JP2008065009A - トナー製造方法及びトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性、耐ホットオフセット性を持ち、かつ粒度の単一分散性を有したトナー粒子の提供。
【解決手段】少なくとも樹脂、着色剤、離型剤及び少なくともポリオレフィン樹脂とビニル系樹脂とからなるグラフト重合体を含有するトナー組成物を溶媒に溶解及び/または分散させたトナー組成液を、貫通孔より放出し液滴化してトナー粒子を製造するトナー製造方法において、前記トナー組成液を貯留部へ供給し、少なくとも貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して前記トナー組成液を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より前記トナー組成液を造粒空間に放出し、前記トナー組成液を柱状から括れ状態を経て液滴化し、該液滴を造粒空間において固体粒子に変化させることを特徴とするトナー製造方法より製造されることを特徴とするトナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像する為の現像剤に使用されるトナーの製造方法、及びこれにより製造されたトナーに関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等に於いて使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像する為の現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及び、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
従来、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などのトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕したもの、いわゆる粉砕型トナーが広く用いられている。
また、最近では、懸濁重合法、乳化重合凝集法によるトナー製造法、いわゆる重合型トナーが検討されている。この他にも、ポリマー溶解懸濁法と呼ばれる体積収縮を伴う工法も検討されている(特許文献1参照)。この方法はトナー材料を低沸点有機溶媒などの揮発性溶剤に分散、溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で乳化、液滴化した後に揮発性溶剤を除去するものである。この方法は懸濁重合法、乳化重合凝集法と異なり、用いることのできる樹脂に汎用性が広く、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
しかしながら、上記の重合型トナーにおいては、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、トナーの帯電特性を損なう分散剤がトナー表面に残存して環境安定性が損なわれるなどの不具合が発生したり、これを除去するために非常に大量の洗浄水を必要とすることが知られており、必ずしも製法として満足のいくものではない。
これに代わるトナーの製造方法として、圧電パルスを利用して微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献2参照)。更に、ノズル内の熱膨張を利用し、やはり微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献3参照)。更には、音響レンズを利用し、同様の処理をする方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、これらの方法では、一つのノズルから単位時間あたりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題があると同時に、液滴同士の合一による粒度分布の広がりが避けられず、単一分散性という点においても満足のいくものではなかった。
熱硬化性樹脂やUV硬化樹脂を含有させたトナー原料を分散質として、分散媒中に微分散した分散液を、ノズルから液滴として間欠的に吐出した後、液滴を凝集させ、熱硬化樹脂もしくはUV硬化樹脂を硬化させて粒子形成の安定化を図る方法も提案されている(特許文献5、6参照)。しかしながら、これらの方法も特許文献1〜4と同様に、生産性が低く、単一分散性の点でも不十分であった。また、粒子形成後に樹脂を硬化しているが、上述したような定着特性に関する課題を解決するものではなかった。
上述の造粒方法の場合(特許文献5、特許文献6)、流体に直接加振部が触れることを特徴としているが、この様な構成の場合、細孔と振動部の数が一致する場合はシャープな粒径分布を達成できるが、多数の細孔と1つの加振部の場合、細孔の位置と加振部の位置関係によるその距離に応じて、細孔から吐出する液滴の大きさが変化するので、トナー粒子が異なる複数のオリフィス間で異なった粒径を生産してしまうことが判明した。
また、これらの乾式トナーは、紙などに現像転写された後、加熱したロールやベルト等を用いて接触加熱溶融することで定着する方法が熱効率が良いため一般的に行われている。その際、熱ロールやベルトの温度が高すぎると、トナーが過剰に溶融し熱ロールやベルトに融着する問題(ホットオフセット)が発生する。また、熱ロールやベルト温度が低すぎると、トナーが充分に溶融せず定着が不十分になる問題が発生する。省エネルギー化、複写機等の装置の小型化の観点から、よりホットオフセット発生温度が高く(耐ホットオフセット性が良好)、かつ定着温度が低い(低温定着性が良好)トナーが求められている。また、トナーには、トナーが保管中および装置内の雰囲気温度下でブロッキングしない耐熱保存性も必要である。とりわけフルカラー複写機、フルカラープリンターにおいては、その画像の光沢性および混色性が必要なことから、トナーはより低溶融粘度であることが必要であり、シャープメルト性のポリエステル系のトナーバインダーが用いられている。
しかし、このようなトナーではホットオフセットの発生がおこりやすいことから、従来からフルカラー用の機器では、熱ロールにシリコーンオイルなどを塗布することが行われている。しかしながら、熱ロールにシリコーンオイルを塗布する方法は、オイルタンク、オイル塗布装置が必要であり、装置が複雑、大型となる。また、コピー用紙、OHP (オーバーヘッドプロジェクター)用フィルム等にオイルが付着することが不可避であり、水性インクでの加筆性やOHPでは付着オイルによる色調の悪化等の問題がある。
そこで、熱ロールにオイル塗布することなくトナーの融着を防ぐために、トナーにワックス等の離型剤を添加する方法が一般的に用いられているが、その離型効果にはワックスのバインダー中での分散状態が大きく影響している。ワックスはバインダー中に相溶してしまうと離型性を発現できず、非相溶なドメイン粒子として存在することにより初めて離型性を向上させることができる。ドメイン粒子の分散径が大きすぎると、トナー粒子表面近傍に存在するワックスの割合が相対的に増加するため、凝集性を示して流動性が悪化したり、長期の使用においてワックスがキャリアや感光体に移行してフィルミングを生じたりして良好な画質を得るのを妨げるという問題が生じる。また、カラートナーにおいては色再現性や透明性を損なうという問題もある。逆に、分散径が小さすぎると、ワックスが過度に微分散されて十分な離型性が得られない。このようにワックスの分散径のコントロールは必要不可欠であるにもかかわらず、未だ適切な方法が見つかっていない。特に粉砕法により製造されるトナーの場合、分散径を決める大きな要因は溶融混練時の練りのせん断力であるが、近年トナー用バインダーに多く用いられているポリエステル樹脂は、その粘度の低さから充分な練りのせん断力が加わらず、ワックスの分散を制御するのが非常に困難で、適度な分散径を得るのが難しかった。
また、粉砕法におけるもう一つの問題として、ワックスが破断面になりやすいために、表面に露出するワックスが多くなってしまうということがある。
ワックスは樹脂に比べて柔らかく付着性が高いため、トナー表面に多くのワックスが存在すると、感光体にワックスがフィルム状に移行するいわゆるフィルミング現象がおきやすい。
高品位、高画質の画像を得るためには、トナーの粒子径を小さくしたり、その粒度分布を狭くしたりすることにより改良が図られているが、通常の混練粉砕法による製造方法では、その粒子形状が不定形であり、機械内部では現像部内でのキャリアとの攪拌や、一成分系現像剤として用いる場合は現像ローラとトナー供給ローラ、層厚規制ブレードや摩擦帯電ブレードなどとによる接触ストレスによりさらにトナーが粉砕され、極微粒子が発生したり、流動化剤がトナー表面に埋め込まれるために画像品質が低下するという現象が発生している。また、その形状ゆえに粉体としての流動性が悪く、多量の流動化を必要としたり、トナーボトル内への充填率が低く、コンパクト化への阻害要因となっている。
さらに、フルカラー画像を作成するために多色トナーより形成された画像の感光体から転写媒体や紙への転写プロセスも複雑になってきており、粉砕トナーのような不定形の形状による転写性の悪さから、転写された画像のぬけやそれを補うためトナー消費量が多いなどの問題が発生している。
従って、さらなる転写効率の向上によりトナーの消費量を減少させて画像のぬけの無い高品位の画像を得たり、ランニングコストを低減させたいという要求も高まっている。転写効率が非常に良いならば、感光体や転写媒体から未転写トナーを取り除くためのクリーニングユニットが必要なくなり、機器の小型化、低コスト化が図れ、廃棄トナーも無くなるというメリットも同時に有しているからである。このような不定形の形状効果の欠点を補うために種々の球状のトナー製造法が考案されている。
これまで、トナー性能の改良のために多くの検討がなされている。トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させるために、ポリオレフィンの如き低軟化点離型剤(ワックス)をトナーに含有させることが知られている。特許文献7〜9に、特定のDSC 吸熱ピークを有するワックスを含有するトナーが提案されている。しかし、これらのトナーは低温定着性と耐オフセット性を更に改良させる必要があり、また、現像性も向上させる必要がある。
また、特許文献10〜15に、離型剤として、キャンデリラワックス、高級脂肪酸系ワックス、高級アルコール系ワックス、植物系天然ワックス(カルナバ、ライス)、モンタン系エステルワックス等を用いることが記載されている。しかしながら、トナーの低温定着性と耐ホットオフセット性を更に改良する必要があり、また、これらのトナーの現像性(帯電性)及び耐久性も向上させる必要がある。一般にこの様な低軟化点離型剤をトナーに含有させると、トナーの流動性が低下するため、現像性や転写性が低下する。また、帯電性、耐久性及び保存性にも悪影響を及しやすい。
定着領域(非オフセット領域)の拡大のため、2種以上の離型剤をトナーに含有させることが、特許文献16〜21に提案されている。これらのトナーにおいては、離型剤のトナー粒子への均一分散に未だ問題がある。
特許文献22では、ポリエステル樹脂と、それぞれ酸価を有し軟化点の異なる2種類のオフセット防止剤を含有したトナーが提案されている。しかし、このトナーでは現像性に未だ問題がある。また、特許文献23、24では、トナー内部におけるワックスの分散径を規定しているが、トナー内部での存在状態、存在位置が不定の為、定着での十分な離型性が得られない場合がある。
更に、特許文献25では、トナーの表面に球形ワックスを固定化したトナーが提示されているが、トナーの表面に存在するワックスは、トナーの流動性を低下させるため、現像性や転写性が低下する。また、帯電性、耐久性及び保存性にも悪影響を及しやすい。また、特許文献26では、トナー粒子にワックスが内包され、かつトナー粒子の表面近傍に局在化したトナーが提示されているが、耐オフセット性と、保存性、耐久性の面で、いずれも不十分な場合がある。
また、特許文献27、28では、トナーバインダーとして、スチレン系樹脂を用いた粉砕トナーにおいて、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン離型剤や、これらポリオレフィン系樹脂にスチレン系樹脂をグラフトさせた樹脂が有効であることが提示されているが、ここに用いられているスチレン系樹脂は、低温定着性に劣るために、近年の省エネルギー化の要求を満たす低温定着化に対する課題があった。
特許文献29、30、31、32では、この問題を解決するために低温定着性の優れるポリエステル樹脂との組み合わせが提示されているが、溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている粉砕トナーであり、トナー形状および表面構造は不定形であり、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により微妙に変化するものの、トナー形状および表面構造を任意に制御することは容易でない。また、トナーの粒度分布をさらに狭くすることは分級の能力の限界やコストアップにつながることから更なる向上困難な状況にある。また、トナー粒度分布における平均粒径については収率、生産性、コストから考えた場合、小粒径特に6μm以下にすることは粉砕トナーにとって非常に大きな課題となる。
一方、微小ノズルからトナー組成物を吐出させてトナー粒子を形成する方法では球形化や小粒径化は容易であるが、ノズルのつまりという課題がある。特に離型剤を含有したトナーの場合、トナー組成物中に存在する粗大な離型剤や凝集した離型剤に起因するノズルのつまりを生じやすい。
特開平7−152202号公報 特開2003−262976号公報 特開2003−280236号公報 特開2003−262977号公報 特開2006−28432号公報 特開2006−28433号公報 特開平6−295093号公報 特開平7−84401号公報 特開平9−258471号公報 特開平5−341577号公報 特開平6−123999号公報 特開平6−230600号公報 特開昭6−295093号公報 特開平6−324514号公報 特開平6−230600号公報 特開平11−258934号公報 特開平11−258935号公報 特開平4−299357号公報 特開平4−337737号公報 特開平6−208244号公報 特開平7−281478号公報 特開平8−166686号公報 特開平8−328293号公報 特開平10−161335号公報 特開2001−305782号公報 特開2001−26541号公報 特公昭52−3304号公報 特公平7−82255号公報 特開2000−75549号公報 特開2001−249485号公報 特開2003−202698号公報 特開2003−255589号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、小粒径のトナーを効率よく生産することができ、ワックスに起因するノズルの詰まりや感光体等へのフィルミングを生ずることがなく、耐オフセット防止性に優れ、更にこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少なく、高解像度で、高精細・高品質な画像を形成し、長期にわたって画像劣化のないトナーの製造方法、これにより製造されたトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー組成物を含むトナー組成液を貯留部へ供給し、貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して前記トナー組成液を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より前記トナー組成液を造粒空間に放出し、前記トナー組成液を柱状から括れ状態を経て液滴化し、該液滴を造粒空間において固体粒子に変化させることによって単一分散性に優れるトナーを製造することができることを見出した。この方法は、一つの振動手段により、該貫通孔を有する貯留部全体を励振させることにより、貯留部に設けられた貫通孔より放出される原料流体に一括して同等に振動を加えて圧力粗密波を発生することが可能であるため、1振動手段によって100以上の液滴形成現象を同時に発生させることが可能となり、これによって、貫通孔部の閉塞や生産性、安定性といった、従来における諸問題を解決でき、粒子特にはトナーを効率よく生産することができ、更にこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像するための現像剤に使用されるトナーの製造方法として有用である。
しかしながら、この製造方法(以下、「噴射造粒法」という。)にワックスを含有するトナー組成液を用いると、粒度分布がシャープなものとなりにくく、これはトナー組成液中のワックスが貫通孔に詰まりやすいことが原因であると考えられる。
そこで、本発明者等は鋭意検討を進めた結果、噴射造粒法におけるトナー組成物が特定のグラフト重合体を含有することにより、前記の諸課題が解決できることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、前記課題を解決するための発明の構成は以下の通りである。
<1> 少なくとも樹脂、着色剤、離型剤及び少なくともポリオレフィン樹脂とビニル系樹脂とからなるグラフト重合体を含有するトナー組成物を溶媒に溶解及び/または分散させたトナー組成液を、貫通孔より放出し液滴化してトナー粒子を製造するトナー製造方法において、前記トナー組成液を貯留部へ供給し、少なくとも貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して前記トナー組成液を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より前記トナー組成液を造粒空間に放出し、前記トナー組成液を柱状から括れ状態を経て液滴化し、該液滴を造粒空間において固体粒子に変化させることを特徴とするトナー製造方法より製造されることを特徴とするトナーの製造方法。
<2> 前記トナー組成液が有機溶剤を含有するものであり、トナーが前記液滴を脱溶剤することによって固体粒子化して得られたことを特徴とする<1>に記載のトナー。
<3> 該ポリオレフィン樹脂(A)の軟化点が70〜150℃であることを特徴とする<1>、<2>に記載のトナー製造方法
<4> 該ビニル系樹脂のSP値が10.0〜11.5であることを特徴とする<1>〜<3>に記載のトナー製造方法
<5> 該グラフト重合体の添加量が離型剤100重量部に対して、10〜150重量部であることを特徴とする<1>〜<4>に記載のトナー製造方法
<6> 該ビニル系樹脂はスチレンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリルを含むことを特徴とする<1>〜<5>に記載のトナー製造方法
<7> 該離型剤が少なくとも溶剤及び前記グラフト重合体の存在下に加熱溶解した後、冷却し、析出した離型剤粒子をさらに微粉砕して得られたものであることを特徴とする<1>〜<6>に記載のトナー製造方法
<8> 該離型剤として、カルナウバワックス、合成エステルワックス及びパラフィンワックスよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いること特徴とする<1>〜<7>に記載のトナー製造方法
<9> 前記貫通孔の開口径が1〜40μmであることを特徴とする<1>〜<8>に記載のトナー製造方法。
<10> 貫通孔から放出される液滴に、誘導荷電により、正電荷又は負電荷を与える<1>〜<9>に記載のトナー製造方法。
<11> 液滴吐出方向と同方向に乾燥気体を流すことにより気流を発生させ、該気流により、液滴を溶媒除去設備内で搬送させると共に、該搬送中に前記液滴中の溶媒を除去させることにより、トナー粒子を形成する<1>〜<10>に記載のトナー製造方法。
<12> 乾燥気体が、空気及び窒素ガスのいずれかである<11>に記載のトナー製造方法。
<13> 乾燥気体の温度が、40〜200℃である<11>、<12>に記載のトナー製造方法。
<14> <1>〜<13>に記載のトナー製造方法により製造されたことを特徴とするトナー。
<15> 粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)が、1.00〜1.05の範囲にある請求項14に記載のトナー。
<16> 重量平均粒径が1〜15μmである<14>、<15>に記載のトナー。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、トナーを効率よく生産することができ、更にこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像するための現像剤に使用されるトナーの製造方法、及びそれにより製造されたトナーを提供することができる。
具体的には、本発明のトナー製造方法においては、溶解液及び分散液に、一定周波数で振動を与えることで、貫通孔から吐出される際に、一定間隔のくびれが生じ、一定量の液滴が分裂することにより単分散な粒度分布を有する真球トナーを生成することが可能である。したがって、これまでの粉砕型トナーやケミカルトナーにおける製造方法にみられた粒子のバラツキによる変動幅が全くないか、あっても殆ど無視できる程度に極端に変動が少ないものであるといった大きな特徴を有する。これらの特徴の実現は、本発明でしか得ることができない特性といえるが、この特性の実現によりはじめて、感光体に形成された潜像に殆ど忠実な画像を形成することが可能となった。また同様の特徴から長期間に渡りその効果が持続することが可能となる。
すなわち、粒度分布の均一性、形状の均一性、表面状態の均一性の達成により、電子写真プロセス上設定されたトナー帯電量に達するために必要な機械的ストレスが非常に少なく、かつ無駄がなくなり、トナー寿命が飛躍的に伸びたことによるものと推察される。このことにより、画質に優れた画像を長期間にわたり得ることが可能となる。
本発明のトナーの製造方法は、トナー組成液中に離型剤を含有しても、ポリオレフィン樹脂とビニル系樹脂とからなるグラフト重合体をも含有するため離型剤が微分散されると同時にトナー組成液中での再凝集を防止するため、トナー組成液を、振動手段設けた貯留部の貫通孔からトナー組成液を連続的に放出し、液滴化しても、貫通孔のつまりが発生することなく、これまでにない粒度の単一分散性を有したトナー粒子を効率よく生産することができる。本発明のトナーの製造方法により得られたトナーは離型剤を含有しているため耐ホットオフセット性に優れ、ポリオレフィン樹脂とビニル系樹脂とからなるグラフト重合体の存在下で離型剤が安定に微分散されているため、トナー表面へ離型剤が移行することが無く、感光体等への離型剤に起因するフィルミングを生じることが無く、小粒径で粒度分布が非常に狭いため、高品位な画質を安定して得ることができる。
さらに該ポリオレフィン樹脂(A)の軟化点を70〜150℃とし、該ビニル系樹脂(B)のSP値を10.0〜11.5とし、グラフト重合体の添加量を離型剤100重量部に対して、10〜150重量部含有させることにより、この効果をより確実なものとすることができる。
[トナー製造方法]
本発明のトナー製造方法は、少なくとも樹脂、着色剤、離型剤及びポリオレフィン樹脂とビニル系樹脂とからなるグラフト重合体を含有するトナー組成物を溶媒に溶解及び分散または一部を溶融させ分散させたトナー組成液を、貯留部へ供給し、少なくとも貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して前記トナー組成液を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より前記トナー組成液を造粒空間に放出し、前記トナー組成液を柱状から括れ状態を経て液滴化し、該液滴を造粒空間において固体粒子に変化させることを特徴とする。
(液滴化現象)
液滴化現象について図3を用いて説明する。
液柱の均一液滴化現象は下記非特許文献1に説明されるように、液柱が最も不安定になる波長条件λは、液柱直径d(jet)を用いて下記の式(1)で表される。
λ = 4.5d(jet) (1)
ここで、発生する擾乱現象の周波数fは、液柱の速度をvとした場合下記の式(2)で表すことが出来る。
f = v/λ (2)
また、下記非特許文献2で説明されるように、実験的に安定に均一粒子を形成する条件を導いた結果、下記の式(3)の条件において安定的に均一粒子を形成することが可能であるとしている。
3.5 < λ/ d(jet) < 7.0 (3)
更には、下記非特許文献3で説明されるように、エネルギー保存則を基に、貫通孔より排出される液が、液柱を形成する最小ジェットV(min)速度は下記の式(4)のように表現される。
v(min) = (8σ/ρd(jet))1/2 (4)
式(4)において、σは液の表面張力、ρは液密度、d(jet)は液柱の直径を表す。
(1)から式(4)の条件式はこのような現象を再現するための条件を推定するために有用であるが、我々は、これらの関係式は液物質の種類、混合物、分散物等によって変動し得ることを確認しているが、振動子を液室に取り付け、これを振動数fにおいて振動することにより液柱が、上記のような擾乱によって液滴化する現象は様々な液体において成立した。
図1に液柱の液滴化現象を表した模式図を示す。
[非特許文献1]Rayleigh, Lord “On the Instability of Jets” Proc. London Math. Soc. 110:4 [1878]
[非特許文献2]Schneider J. M., C. D. Hendricks, Rev. Instrum. 35 (10), 1349−50 [1964]
[非特許文献3]Lindblad N. R. and J. M. Schneider, J. Sci. Instrum. 42, 635 [1965]
[トナー製造装置]
本発明のトナー製造方法に使用される装置(以下、「トナー製造装置」ともいう。)としては、本製造方法により、トナーを製造可能な装置であれば、特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、少なくとも樹脂、着色剤、離型剤及び前記グラフト重合体を含有するトナー組成物を溶媒に溶解及び分散または一部を溶融させ分散させたトナー組成液を貯留する貯留部と、少なくとも貯留部の一部に接し、貯留部を介して前記トナー組成液を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より前記トナー組成液を造粒空間に放出し、前記トナー組成液を柱状から括れ状態を経て液滴化する振動手段と、造粒空間に放出された液滴中に含まれる溶媒を除去することにより前記液滴を乾燥させてトナー粒子を形成するトナー粒子形成手段とを有するトナー製造装置であることが好ましい。

前記好ましいトナー製造装置としては、例えば、図1に示すように、少なくとも、前記液滴形成手段としての、少なくとも前記トナー組成液を貯留する貯留部1と、振動手段2と、前記振動手段を保持する支持手段3前記複数の貫通孔4を有し、前記貫通孔より放出される前記トナー組成液を貯留部へ供給して前記貫通孔より放出するための液供給手段5と、前記トナー粒子形成手段としての、溶媒除去設備6と、トナー捕集部7とを有する装置が好適に挙げられる。
以下、前記トナー製造装置について、各部材毎にさらに詳述する。
(貯留部)
貯留部は、少なくとも、前記トナー組成物原料流体を加圧された状態において保持される必要があるため、SUS、アルミなどの金属等の部材からなり、10MPa程度の耐圧性があることが望ましいが、これに限るものではない。また、例えば、図2に示すように、貯留部へ液を供給する配管8で接続され、貫通孔を有する板を保持する機構9を設けた構造が望ましい。また、貯留部全体を振動する振動手段2が、前記貯留部には接している。振動手段には振動発生装置10と導電線11によって接続されており、制御される形態が望ましい。貯留部内の圧力調整を行ったり、内部の気泡を除去するための開放弁12を設けたりすることが、液柱の安定形成を行う上で好ましい。
(振動手段)
前記振動手段2は、一つの振動手段により、該貫通孔を有する貯留部全体を励振させるのが好ましい。
振動手段が前記貯留部を構成する一部に接し、前記貯留部を介して原料流体に振動を与えることで、1貯留部に設けられた貫通孔より放出される原料流体に一括して同等に振動を加えて圧力粗密波を発生することが可能であるため、1振動手段によって100以上の液滴形成現象を同時に発生させることが可能となる。
前記貯留部1に振動を与える振動手段2としては、確実な振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、上述の観点から、例えば、前記貫通孔が、圧電体の伸縮により一定の周波数で振動されるのが好ましい。
前記圧電体は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより、伸縮し、この伸縮により、貫通孔を振動させることができる。
前記圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO、等の単結晶、などが挙げられる。
前記一定の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100kHz乃至10MHzが好ましく、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、200kHz乃至2MHzがより好ましい。
前記振動手段2は、貯留部と接しており、貯留部は貫通孔を有する板が保持されており、前記振動手段と貫通孔を有する板は、貫通孔から発生する液柱に振動を均一に与える観点から、平行に配置されていることが最も好ましく、振動の過程における変形が起こっても、その関係は傾きが10°以内に保たれることが望ましい。
前記貫通孔3は、1個のみ設けても粒子生産は可能であるが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を効率よく発生させる観点から、複数個設け、各貫通孔から吐出される液滴を、一の溶媒除去設備、図示の例では、溶媒除去設備5で乾燥させるのが好ましい。
更なる生産性の向上の観点から、前記振動手段を有する貯留部も複数設けることが、より好ましい。この際、トナー粒子の生産性は、単位時間あたりに発生する液滴の個数(周波数)と、振動手段の数と、1つの振動手段により作用する貫通孔の数の積で決定されるが、操作性の観点から、可能な限り1つの振動手段により作用する貫通孔の数、つまり1つの貯留部の有する貫通孔の数が多ければよいが、無制限に多いと、粒子径の均一性を保てない。従って、前記一個の振動手段により振動させる一個の貯留部に付随する貫通孔の個数としては、生産性と制御性の観点から、10乃至10,000であるのが好ましい。極めて均一な粒子径を有する微小液滴をより確実に発生させるために、より好ましくは、10乃至1,000であることが望ましい。
(支持手段)
前記振動手段2の一部を、固定支持するための支持手段3は、装置に貯留部及び振動手段を固定するために設けられており、材質に限定は特に無いが、金属などの剛体であればよい。必要によっては余分な共振による貯留部の振動の乱れを発生させないために、振動緩和材としてのゴム材、樹脂材などが一部に設けられることもできる。
(貫通孔)
前記貫通孔4は、先にも述べたように、前記トナー組成物原料流体を、液柱として吐出させる部材である。前記貫通孔の材質及び形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、吐出孔が、厚み5〜50μmの金属板で形成され、かつ、その開口径が1〜40μmであることが、前記トナー組成物原料流体中に含まれる1μm以下の微粒子分散物を閉塞させることなく、かつ100kHz以上の振動周波数で極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させることを両立させる観点から好ましい。これは、前記液滴化現象により安定的に液滴を得ることが可能な周波数領域は、実質上貫通孔の直径が大きくなるにつれて減少するため、生産性を考慮して、100kHz以上の振動周波数を想定している。なお、前記開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
(送液供給・加圧手段)
前記共通液室へ液を供給する手段5としては、チューブポンプ、ギアポンプ、ロータリーポンプ、シリンジポンプなどの定量ポンプであることが望ましい。また、圧縮空気などによって加圧し送液するタイプのポンプであってもよい。これら液供給手段で前記共通液室は前記トナー組成物原料流体で満たされ、更に液滴化可能な圧力まで昇圧することが可能である。液圧力はポンプ付属の圧力ゲージまたは専用の圧力センサにて測定が可能である。
(電極)
貫通孔から吐出される液滴11を帯電させて単分散粒子とするための部材として電極を設けることができる。
前記電極は、貫通孔に対向して設置された一対の部材であり、その形状としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、例えば、リング状に形成するのが好ましい。
前記電極(以下、「リング状電極」とも称す)による帯電方法としては、特に制限はないが、貫通孔から吐出される液滴13に、常に一定の帯電量を液滴13に与えることができることから、例えば、前記液滴13に、誘導荷電により、正電荷又は負電荷を与えることが好ましい。より具体的には、前記誘電荷電が、前記液滴を、直流電圧が印加されたリング状電極の中を通過させることにより行われるのが好ましい。
更に、前記誘導荷電の方法としては、直接貫通孔に直流電圧を印加し、乾燥設備の底部に配置したアースとの間で電位差を設け、液滴を荷電させることも可能である。この場合は、トナー組成液貯留部1にある導電性のトナー組成液を介し電位をかけることができる。トナー組成液貯留部1への液供給を空気圧などを利用することで絶縁すれば、比較的簡易に誘導荷電が達成される。
気流中の液滴が高荷電状態となることは、エレクトロスプレー法や静電噴霧による微粒子製造などでもすでに実証されている。この場合、揮発成分の蒸発による液滴の表面積縮小作用から、固体への帯電よりも高い帯電量を維持させることが原理的には可能であり、さらに高荷電な固体粒子を得ることができる。
(除電器)
液滴13を、搬送路内に通過させることにより形成したトナー粒子15の電荷を、一時的に中和させた後、該トナー粒子15をトナー貯蔵容器に収容させるための部材として除電器を設けることができる。
前記除電器による除電の方法としては、特に制限はなく、通常知られている方法を適宜選択して使用することができるが、効率的に除電が可能であることから、例えば、軟X線照射、プラズマ照射、などにより行うのが好ましい。
(溶媒除去設備)
前記溶媒除去設備6としては、液滴13の溶媒を除去することができれば特に制限はないが、液滴13吐出方向と同方向に乾燥気体を流すことにより気流を発生させ、該気流により、液滴13を溶媒除去設備6内で搬送させると共に、該搬送中に前記液滴13中の溶媒を除去させることにより、トナー粒子15を形成するのが好ましい。なお、ここで、「乾燥気体」とは、大気圧下の露点温度が−10℃以下の状態の気体を意味する。
前記乾燥気体としては、液滴13を乾燥可能な気体であれば特に制限はなく、例えば、空気、窒素ガス、などが好適に挙げられる。
前記乾燥気体を溶媒除去設備6に流す方法としては、特に制限はないが、例えば、乾燥気体供給チューブを溶媒除去設備に接続して溶媒除去設備内に乾燥気体を流す方法が挙げられる。
前記乾燥気体の温度は、乾燥効率の面においてはより高温である方が好ましく、また噴霧乾燥の特性上、使用する溶媒の沸点以上の乾燥気体を使用したとしても、乾燥途中の恒率乾燥領域では液滴温度が溶媒沸点以上に上昇することはなく、得られるトナーに熱的損傷を与えることはない。しかしながら、トナーの主構成材料が熱可塑性樹脂であることから、乾燥後すなわち減率乾燥領域において、使用する樹脂の沸点以上の乾燥気体にさらされると、トナー同士が熱融着を発生しやすくなり、単分散性が損なわれる危険性がある。したがって、前記乾燥気体の温度は、具体的には、例えば、40〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましく、75〜85℃が特に好ましい。
また、前記溶媒除去設備6の内壁面には、液滴13が、前記溶媒除去設備6の壁面に付着することを防止する観点から、液滴の電荷とは逆極性に帯電された電界カーテンを設け、前記電界カーテンで周囲が覆われた搬送路を形成し、該搬送路内に液滴を通過させるのが好ましい。
(トナー捕集部)
前記トナー捕集部7は、トナーを効率的に捕集し、搬送する観点から、トナー粒子製造装置の底部に設けられた部材である。
前記トナー捕集部7の構造としては、トナーを捕集できれば特に制限はなく、適宜選択することができるが、上述の観点から、図示の例のように、開口径が漸次縮小するテーパー面を有してなり、該開口径が入口部より縮小した出口部から、トナー粒子15を、乾燥気体14を用い、該乾燥気体の流れを形成し、該乾燥気体の流れにより、トナー粒子をトナー貯蔵容器に移送させるのが好ましい。
前記移送の方法としては、図示の例のように、乾燥気体14により、トナー粒子15をトナー貯蔵容器に圧送してもよいし、トナー貯蔵容器側からトナー粒子15を吸い込んでもよい。
前記乾燥気体の流れとしては、特に制限はないが、遠心力を発生させて確実にトナー粒子15を移送できる観点から、渦流であることが好ましい。

さらに、該トナー粒子15の搬送をより効率的に行う観点から、トナー捕集部7、及びトナー捕集容器が、導電性の材料で形成され、かつ、これらがアースに接続されているのがより好ましい。また、前記トナー製造装置は、防曝仕様であることが好ましい。
(液滴)
前記液滴6は、先に述べたように、特定の物質を含有するトナー用材料の溶解乃至分散液を、一定の周波数で振動させた貯留部1に設けた貫通孔4から吐出させることにより発生させる。なお、前記トナー用材料については、別途「トナー」の項を設けて、その中で述べる。
前記トナー用材料の溶解乃至分散液としては、トナー用材料を、溶解及び分散の少なくともいずれかを行ってさえいれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、高い帯電量を維持させる観点から、電解伝導率が1.0×10−7S/m以上であることが好ましい。
同様の観点から、前記溶解乃至分散液の、溶媒としての電解伝導率も、1.0×10−7S/m以上であるのが好ましい。
前記トナー用材料を、溶解乃至分散する方法としては、特に制限はなく、通常使用される方法を適宜選択することができる。具体的には、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂等のトナーバインダーを、着色剤等と共に溶融混練し、微粉砕しても良いし、この製造途中で得られた混練物を、樹脂成分が可溶な有機溶媒に一度溶解させ、これを微小液滴として処理しても良い。
(作用)
以上の詳細に説明した本発明のトナー製造方法によれば、貫通孔4から発生する液滴の粒子数は、1秒当たり数万乃至数百万個と、非常に多く、更に吐出孔を多くすることも容易である。また、非常に均一な液滴径が得られ、充分な生産性を有する観点からも、トナーを生産するのに最も好適な方法といえる。さらに、本製造方法では、最終的に得られるトナーの粒径を、下記計算式(1)により正確に決定することができ、使用する材料による粒径の変化が殆どない。
〔計算式〕
Dp=(6QC/πf)(1/3)・・・(1)
但し、Dp: 固体粒子径、Q:液流量(ポンプ流量と貫通孔径で決まる)、f:振動周波数、C:固形分の体積濃度である。
トナー粒子径は上記計算式(1)のみで正確に計算することが可能であるが、より簡単には下記計算式(2)で求められる。
〔計算式〕
固形分体積濃度(体積%)=(固体粒子径/液滴径)・・・(2)
すなわち、本発明により得られるトナー粒子の直径は、液滴を噴出する振動周波数に依らず貫通孔の開口径の2倍となる。そこで、上記計算式(2)の関係から、固形分の濃度を予め求め調整することにより、目的とする固体粒子径を得ることが可能である。例えば、貫通孔径が7.5μmの場合、液滴径は15μmとなる。そこで、固形分体積濃度を6.40体積%にすれば6.0μmの固体粒子が得られることになる。この場合、振動周波数は生産性の点からより高いほど望ましいが、ここで決定した振動周波数に併せて計算式(1)からQ(液流量)を決定することになる。
これまでの製造方法では、使用する材料によって粒度が大きく変化することが多いが、本製造方法では、吐出する際の液滴径と、固形分濃度とを管理することにより、設定した通りの粒径を有する粒子を連続して得ることが可能になる。
また、本発明により得られたトナーは極めて均一な粒子径を有することから、トナー母体における流動性が非常に高い。そのため、製造装置等への付着力低下を目的として外添剤を加える場合においても、極めて少量でその効果を発揮することができる。ストレスによる外添剤の劣化や微粒子の人体への安全性を考えると、このような外添剤を極力使用しないことが好ましいので、これも本発明の利点といえる。
[トナー]
本発明のトナーは、先に述べた、本発明のトナー製造方法により製造されたトナーである。
該トナーは、前記トナー製造方法により、粒度分布が単分散なものが得られる。
具体的には、前記トナーの粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.05の範囲にあるのが好ましい。また、重量平均粒径としては、1〜20μmであるのが好ましい。
前記トナー製造方法により得たトナーは、静電反発効果により、容易に気流に再分散、すなわち浮遊させることができる。このため、従来の電子写真方式で利用されるような搬送手段を用いなくても、現像領域まで用意にトナーを搬送することができる。すなわち、微弱な気流でも充分な搬送性があり、簡単なエアーポンプでトナーを現像域まで搬送し、そのまま現像することができる。現像は、いわゆるパワークラウド現像となり、気流による像形成の乱れがないことから、極めて良好な静電潜像の現像が行える。また、本発明のトナーは、従来の現像方式であっても問題なく応用することができる。このとき、キャリアや現像スリーブ等の部材は、単にトナー搬送手段として使用することになり、従来、機能分担していた摩擦帯電機構を考慮する必要が全くない。したがって、材料の自由度が大きく増すことから、耐久性を大きく向上させたり、安価な材料を使用することもでき、コストの低減を図ることもできる。
本発明のトナーは、離型剤及び少なくともポリオレフィン樹脂とビニル系樹脂とからなるグラフト重合体を含有していることが特徴であるが、それ以外のトナー材料は、従来の電子写真用トナーと全く同じものが使用できる。すなわち、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂、等のトナーバインダーを各種有機溶媒に溶解し、着色剤を分散、かつ、離型剤及び前記グラフト重合体を分散又は溶解し、これを前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。また、上記材料を熱溶融混練し得られた混練物を各種溶媒に一度溶解乃至分散した液を、前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的のトナーを得ることも可能である。離型剤及び前記グラフト重合体をトナー中に添加することにより、耐オフセット性が向上するとともに、離型剤の分散粒径を微小化できるとともに再凝集することを防止できるためノズルの詰まりを防止することができる。
(トナー用材料)
前記トナー用材料としては、少なくとも樹脂及び着色剤、離型剤、前記グラフト重合体とを含有し、必要に応じて、帯電制御剤、磁性体、流動性向上剤、滑剤、クリーニング助剤、抵抗調整剤等のその他の成分を含有する。
(樹脂)
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
前記アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。
(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマー。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類として、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマー100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本発明のビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2’,4’−ジメチル−4’−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3,000〜50,000(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量100,000以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶分としては、分子量分布100,000以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5,000〜30,000の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5,000〜20,000の領域にメインピークを有する結着樹脂が最も好ましい。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100%となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
本発明において、結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
本発明のトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の計算式(3)で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W (3)
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であるのが好ましく、40〜75℃であるのがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
(着色剤)
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。 混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000〜100,000がより好ましい。特に、5,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、50質量部を超えると帯電性が低下することがある。
(離型剤)
本発明では、定着時のオフセット防止を目的として離型剤としてワックス類を含有させている。
ワックス類としては、特に制限はなく、通常トナー用離型剤として使用されるものを適宜選択して使用することができるが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックス類の例としては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
より好適な例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィツシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
なお、これらのワックス類でもカルナウバワックス、合成エステルワックス、パラフィンワックスがオフセット防止の点から特に好ましい。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
前記ワックスの融点としては、耐ブロッキング性と耐オフセット性のバランスを取るために、70〜140℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。70℃未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。
離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
2種のワックスを選択する際には、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が70〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。
前記ワックスは、相対的に、枝分かれ構造のものや官能基の如き極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フイシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポルリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナバワックズ、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせが挙げられる。
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、70〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
本発明では、DSCにおいて測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
(グラフト重合体)
本発明で用いられるグラフト重合体は、ポリオレフィン樹脂が少なくともビニル系樹脂でグラフトされた構造をし、従来公知の方法により製造することができる。即ち、グラフト重合体の主鎖を構成するポリオレフィン樹脂を有機溶媒に溶解させ、この溶液に、側鎖を構成するビニル樹脂用のビニルモノマーを添加し、これらのポリオレフィン樹脂とビニルモノマーを、有機溶媒中で、有機過酸化物等の重合開始剤の存在下でグラフト重合反応させる。ポリオレフィン樹脂とビニルモノマーの重量比は、フィルミング防止の観点から好ましくは1〜30:70〜99、より好ましくは2〜27:83〜98である。
前記のグラフト重合によって得られるグラフト重合体には、未反応のポリオレフィン樹脂及びビニルモノマー同志の重合により生成したグラフトしていないビニル樹脂が混入するが、本発明の場合、これらのポリオレフィン樹脂及びビニル樹脂は、グラフト重合体から分離除去する必要はなく、グラフト重合体は、それらの成分を含む混合樹脂として好ましく用いることができる。
この混合樹脂において、そのポリオレフィン樹脂の含有量は、5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。また、そのビニル樹脂の含有量は10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。本発明の場合、この混合樹脂中のグラフト重合体の割合は、85重量%以上、好ましくは90重量%以上に規定するのがよい。
前記混合樹脂中のグラフト重合体樹脂の割合や、その分子量及びビニルポリマーの分子量等は、反応原料の仕込み比や重合反応温度、反応時間等の条件によって適宜調節することができる。
本発明のトナーにおいては、離型剤は、その少なくとも一部がグラフト重合体中に内包されているか付着している。
離型剤及びグラフト重合体を含有するトナー組成物を溶解又は分散し液化させたトナー組成液中で、グラフト重合体は微細化した離型剤の移動や再凝集を抑制する。これは、グラフト重合体のポリオレフィン樹脂部分が離型剤と親和性が高く、ビニル系樹脂部分がバインダー樹脂と親和性が高いため、分散剤的な効果を生じるためと推測される。
前記ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィン類の重合体及びその熱減成品、オレフィン類の重合体の酸化物、オレフィン類の重合体の変性物、オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物などが挙げられる。
前記オレフィン類の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体などが挙げられる。
オレフィン重合体の熱減成品とは、重量平均分子量5万〜500万のポリオレフィン樹脂を250℃〜450℃に加熱して低分子量化したポリオレフィン樹脂であり、熱減成後の数平均分子量から導かれる分子数に対応する1分子あたりの二重結合含有率は、30〜70%が好ましい。
前記オレフィン類の重合体の酸化物としては、例えば、前記例示したオレフィン類の重合体の酸化物等が挙げられる。
前記オレフィン類の重合体の変性物としては、例えば、前記例示したオレフィン類の重合体のマレイン酸誘導体付加物などが挙げられる。前記マレイン酸誘導体付加物としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチルなどが挙げられる。
前記オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸アルキルエステル等の単量体と、オレフィン類との共重合体などが挙げられる。前記不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。前記不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素原子数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、炭素原子数1〜18のマレイン酸アルキルエステルなどが挙げられる。
本発明において用いるポリオレフィン系樹脂は、ポリマー構造がポリオレフィンの構造を有していればよく、モノマーが必ずしもオレフィン構造を有している必要はない。このため、例えば、サゾールワックス等のポリメチレンなども使用することができる。
これらポリオレフィン系樹脂の中では、オレフィン類の重合体、熱減成型ポリオレフィン、オレフィン類の重合体の酸化物、オレフィン類の重合体の変性物が好ましく、ポリエチレン、ポリメチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体及びその熱減成品、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンなどがより好ましく、ポリエチレン及びポリプロピレンの熱減成品が特に好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂の軟化点は、通常60〜170℃であり、トナーの流動性が良好となり、有効な離型効果を発揮する観点からは、70〜150℃が好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂の分子量は、キャリア等へのフィルミング及び離型性の観点から、通常、数平均分子量が500〜20,000、質量平均分子量が800〜100,000であり、数平均分子量が1,000〜15,000、質量平均分子量が1,500〜60,000であることが好ましく、数平均分子量が1,500〜10,000、質量平均分子量が2,000〜30,000であることが特に好ましい。
前記ビニル系樹脂としては、従来公知のビニルモノマーの単独重合体、もしくは、共重合体が使用できる。
具体的には、スチレン系モノマー、炭素原子数1〜18の不飽和カルボン酸のアルキルエステル、ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、ハロゲン元素含有ビニル系モノマー、ジエン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンなどの不飽和ニトリル系モノマーが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどが挙げられる。
前記炭素原子数1〜18の不飽和カルボン酸のアルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば酢酸ビニルなどが挙げられ、前記ビニルエーテル系モノマーとしては、例えばビニルメチルエーテルなどが挙げられ、前記ハロゲン元素含有ビニル系モノマーとしては、例えば塩化ビニルなどが挙げられ、前記ジエン系モノマーとしては、例えば、ブタジエン、イソブチレンなどが挙げられる。
これらの中では、スチレン系モノマー、不飽和カルボン酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、及びその併用が好ましく、スチレン;スチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル又は(メタ)アクリロニトリルとの併用が特に好ましい。
前記ビニル系樹脂のSP値(ソルビリティー パラメーター)は、10.0〜11.5(cal/cm1/2が好ましい。前記ビニル系樹脂のSP値は、バインダー樹脂のSP値を考慮して調整する。なお、SP値は公知のFedors法で算出することができる。
前記ビニル系樹脂の分子量は、通常、数平均分子量が1,500〜100,000、質量平均分子量が5,000〜200,000であり、数平均分子量が2,500〜5,0000、質量平均分子量が6,000〜100,000であることが好ましく、数平均分子量が2,800〜20,000、質量平均分子量が7,000〜50,000であることが特に好ましい。
前記ビニル系樹脂のTg(ガラス転移点)は、保存性が良好となり、低温定着性が良好になる観点から、通常40〜90℃であり、45〜80℃が好ましく、50〜70℃が特に好ましい。
本発明のグラフト重合体の具体例としては、以下のポリオレフィン系樹脂(A)及びビニル系樹脂(B)から構成されるものなどが挙げられる。
(A):酸化型ポリプロピレン、(B):スチレン/アクリロニトリル共重合体
(A):ポリエチレン/ポリプロピレン混合物、(B):スチレン/アクリロニトリル共重合体
(A):エチレン/プロピレン共重合体、(B):スチレン/アクリル酸/アクリル酸ブチル共重合体
(A):ポリプロピレン、(B):スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸ブチル/マレイン酸モノブチル共重合体
(A):マレイン酸変性ポリプロピレン、(B):スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸/アクリル酸ブチル共重合体
(A):マレイン酸変性ポリプロピレン、(B):スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸/アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体
(A):ポリエチレン/マレイン酸変性ポリプロピレン混合物、(B):アクリロニトリル/アクリル酸ブチル/スチレン/マレイン酸モノブチル共重合体
前記グラフト重合体の製造方法としては、例えば、まず、ポリオレフィン系樹脂等のワックスを、トルエン、キシレン等の溶剤に溶解又は分散させ、100〜200℃に加熱した後、ビニルモノマーをパーオキサイド系開始剤とともに滴下重合後、溶剤を留去してグラフト重合体を得る方法が挙げられる。前記パーオキサイド系開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシドベンゾエートなどが挙げられる。
前記パーオキサイド系開始剤の量は、反応原料の質量に基づき適宜調整することができ、通常0.2〜10質量%であり、0.5〜5質量%が好ましい。
前記グラフト重合体には、未反応のポリオレフィン系樹脂及びビニルモノマー同士の重合により生成したビニル系樹脂が混入していても構わない。本発明の場合、これらのポリオレフィン系樹脂及びビニル系樹脂は、グラフト重合体から分離除去する必要はなく、グラフト重合体は、それらの成分を含む混合樹脂として好ましく用いることができる。
前記グラフト重合体を構成する各成分の量は、生成したグラフト重合体の重量に基づき適宜調整することができ、通常、ポリオレフィン系樹脂は1〜90質量%であり、5〜80質量%が好ましい。また、ビニル系樹脂は、通常10〜99質量%であり、20〜95質量%が好ましい。
また、未反応のポリオレフィン系樹脂及びビニル系樹脂を含めたグラフト重合体の添加量は、離型剤の分散安定性の面から、離型剤100質量部に対し、通常5〜300重量部であり、10〜150質量部が好ましい。
(磁性体)
本発明で使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。
磁性体として具体的に例示すると、Fe、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が好適に挙げられる。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素を例示すると、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、などが挙げられる。好ましい異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムから選択される。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、磁性体の磁気特性としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンPー51、含金属アゾ染料のボントロンSー34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のEー84、フェノール系縮合物のEー89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTPー302、TP一415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRAー901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カ一リット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(流動性向上剤)
本発明のトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
前記流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。
前記流動性向上剤の粒径としては、平均一次粒径として、0.001〜2μmであることが好ましく、0.002〜0.2μmであることがより好ましい。
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIEGMBH社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名):Franso1(Fransi1社商品名)、などが挙げられる。
更には、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が好ましくは30〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法がよい。
有機ケイ素化合物としては、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサン等がある。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
流動性向上剤の個数平均粒径としては、5〜100nmになるものが好ましく、5〜50nmになるものがより好ましい。
BET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、30m/g以上が好ましく、60〜400m/gがより好ましい。
表面処理された微粉体としては、20m/g以上が好ましく、40〜300m/gがより好ましい。
これらの微粉体の適用量としては、トナー粒子100質量部に対して0.03〜8質量部が好ましい。
(クリーニング性向上剤)
記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナの除去性を向上させるためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
これらの流動性向上剤やクリーニング性向上剤等はトナーの表面に付着乃至は固定化させて用いられるため、外添剤とも呼ばれており、トナーに外添する方法としては各種の粉体混合機等が用いられる。例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、などが挙げられ、固定化も行う場合はハイブリタイザー、メカノフュージョン、Qミキサー等が挙げられる。
(キャリア)
本発明のトナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。前記キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアも樹脂コートキャリアも使用することができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。
該被覆材に使用する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が好適に挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆(コート)材として使用できる樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁せしめて塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が適用できる。
前記樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆材の割合としては、適宜決定すればよいが、樹脂コートキャリアに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
2種以上の混合物の被覆(コート)剤で磁性体を被覆する使用例としては、(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものが挙げられる。
前記樹脂中、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂が好適に使用され、特にシリコーン樹脂が好ましい。
含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂が挙げられる。
キャリアコアの磁性材料としては、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの合金を用いることができる。
また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。これらの中でも特に、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが好適に挙げられる。
前記キャリアの抵抗値としては、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して10〜1010Ω・cmにするのがよい。
前記キャリアの粒径としては、4〜200μmのものが使用できるが、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。特に、樹脂コートキャリアは、50%粒径が20〜70μmであることが好ましい。
2成分系現像剤では、キャリア100質量部に対して、本発明のトナー1〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、トナー2〜50質量部で使用するのがより好ましい。
本発明のトナーを用いた現像方法は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体、などが好適に使用可能である。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
(グラフト重合体製造例−1)
温 度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン480部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業(株)製 サンワックスLEL−400:軟化点128℃)100部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン755部、アクリロニトリル100部、アクリル酸ブチル45部、アクリル酸21部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36部およびキシレン100部の混合溶液を170℃で3時間で滴下し重合し、さらにこの温度で0.5時間保持した。次いで脱溶剤を行い、数平均分子量:3300、重量平均分子量:18000、ガラス転移点:65.0℃、ビニル系樹脂のSP値11.0(cal/cm1/2のグラフト重合体(W−1)を得た。
(グラフト重合体製造例−2)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450 部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製ビスコール440P:軟化点153℃)200部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン280部、メタクリル酸メチル520部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート32.3部およびキシレン120部の混合溶液を150℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、数平均分子量:3300、重量平均分子量:16000、ガラス転移点:58.8℃、ビニル系樹脂のSP値10.2(cal/cm1/2のグラフト重合体(W−2)を得た。
(グラフト重合体製造例−3)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450部、低分子量ポリプロピレン及び低分子量ポリエチレン混合物(クラリアント社製Licocene1302:軟化点78.9℃)150部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン200部、メタクリル酸メチル460部、アクリロニトリル140部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート35部およびキシレン120部の混合溶液を150℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、数平均分子量:2400、重量平均分子量:14000、ガラス転移点:88.5℃、ビニル系樹脂のSP値11.5(cal/cm1/2のグラフト重合体(W−3)を得た。
[実施例1]
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400;Cabot社製)20質量部、顔料分散剤2質量部を、酢酸エチル78質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させた液を調製した。
−樹脂及びワックスを添加した分散液の調製−
撹拌羽と温度計をセットした容器に、結着樹脂としてのポリエステル樹脂(重量平均分子量2万)186質量部、カルナバワックス10質量部、グラフト重合体(W−1)4質量部、酢酸エチル2,000質量部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌しポリエステル樹脂及びカルナバワックスを溶解させた後、急冷しカルナバワックスの微粒子を析出させた。この分散液をダイノーミルを用いて強力なせん断力によりさらに細かく分散した。
−トナー組成液の調製−
前記カーボンブラック分散液30質量部、樹脂及びワックスを添加した分散液1100質量部を攪拌羽を有するミキサーを使用し混合した。
得られたトナー組成液に更に固形分が6.0%になるよう酢酸エチルを用いて希釈し、液を図2に示したトナー製造装置の、貯留部1に供給した。使用した貫通孔を有する板は、厚み20μmのニッケルプレートに、真円形状の出口直径8.0μmの貫通孔を、フェムト秒レーザによるマスク縮小投影法による除去加工(レーザアブレーション)により同心円上に500個作製した。貫通孔の存在する部分は、一辺0.5mmの正方形の範囲であった。
分散液調製後、以下のようなトナー作製条件で、液滴を形成させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナーを作製した。
〔トナー作製条件〕
分散液固形分 :6.0 %
液流量 :400ml/hr
乾燥空気流量 :シース 2.0L/分、装置内エアー 20L/分
装置内温度 :27〜28℃
露点温度 :−20℃
共通液室振動周波数:601.0kHz」
乾燥固化した粒子は、サイクロンで捕集した。さらに、この粒子に対して、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.7部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて外添処理を行い、ブラックトナーaを得た。
このトナーの粒度を測定した結果を表1に示したが、重量平均粒径は5.9μm、個数平均粒径も5.9μmであり、完全に単分散であった。
なお、トナーの作成は連続して5時間行ったが貫通孔が詰まることは無かった。
得られた粒子の光学顕微鏡写真を図4に示した。
−キャリアの作製−
シリコ−ン樹脂(オルガノストレ−トシリコ−ン) 100重量部
トルエン 100重量部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5重量部
カ−ボンブラック 10重量部
上記混合物をホモミキサ−で20分間分散し、コ−ト層形成液を調整した。このコ−ト層形成液を流動床型コ−ティング装置を用いて、粒径50μmの球状マグネタイト1000部の表面にコ−ティングして磁性キャリアAを得た。
−現像剤の作製−
トナーa4部に対して、上記磁性キャリアA96部とをボールミルで混合し、二成分現像剤1を作成し,ホットオフセット性及びフィルミング性の評価を行った。
評価結果を表−1に示したが、ホットオフセット性及びフィルミング性ともに良好であった。
[評価方法]
<粒度分布>
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定後、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。粒度分布の指標としては、トナーの重量平均粒径(D4)を個数平均粒径(Dn)で除したD4/Dnを用いる。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
<ホットオフセット性>
現像剤を、市販の複写機(イマジオネオ455;リコー社製)に入れ、リコー社製タイプ6000ペーパーを用いて定着温度を低温から高温に変化させながら画像を出力し、画像の光沢度が低下した温度もしくは画像にオフセット画像が見られた場合をオフセット発生温度とした。オフセット発生温度が200℃以上であれば○、200℃未満であれば×とし、結果を表1に示した。
<フィルミング性>
現像剤を、市販の複写機(イマジオネオ455;リコー社製)に入れ、画像占有率7%の印字率でリコー社製タイプ6000ペーパーを用いてランニングを実施した。2万枚、5万枚及び10万枚後の感光体上フィルミング、及びフィルミングに伴う異常画像(ハーフトーン濃度ムラ)の有無を評価した。フィルミングの発生はランニング枚数が多いほど不利であり、以下の評価基準とし結果を表1に示した。
良 ○:10万枚でも発生せず、△:5万枚で発生、X:2万枚で発生 悪
[実施例2]
実施例1において、ワックスを合成エステルワックス(WEP−5 日本油脂社製)に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりは発生せず、単分散なトナーが得られ、ホットオフセット性及びフィルミング性は良好であった。
[実施例3]
実施例1において、ワックスをパラフィンワックス(HNP−9 日本精蝋社製)に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりは発生せず、単分散なトナーが得られ、ホットオフセット性及びフィルミング性は良好であった。
[実施例4]
実施例1においてグラフト重合体(W−1)をグラフト重合体(W−2)に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりは発生せず、単分散なトナーが得られ、ホットオフセット性及びフィルミング性は良好であった。
[実施例5]
実施例1においてグラフト重合体(W−1)をグラフト重合体(W−3)に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりは発生せず、単分散なトナーが得られ、ホットオフセット性及びフィルミング性は良好であった。
[実施例6]
実施例1においてグラフト重合体(W−1)の量を1質量部に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりは発生せず、単分散なトナーが得られ、ホットオフセット性は良好であったが5万枚複写僅かなフィルミングが認められた。
[実施例7]
実施例1においてグラフト重合体(W−1)の量を15質量部に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりは発生せず、単分散なトナーが得られ、ホットオフセット性及びフィルミング性は良好であった。
[比較例1]
実施例1においてカルナバワックス及びグラフト重合体(W−1)を添加せず、ポリエステル樹脂の量を200質量部に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりは発生せず、単分散なトナーが得られ、フィルミング性は良好であったがホットオフセット性は不良であった。
[比較例2]
実施例1においてグラフト重合体(W−1)を添加せず、ポリエステル樹脂の量を196質量部に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりが発生し、単分散なトナーが得られず、ホットオフセット性は良好であったがフィルミング性は良くなかった。
[比較例3]
実施例2においてグラフト重合体(W−1)を添加せず、ポリエステル樹脂の量を196質量部に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりが発生し、単分散なトナーが得られず、ホットオフセット性は良好であったがフィルミング性は良くなかった。
[比較例4]
実施例3においてグラフト重合体(W−1)を添加せず、ポリエステル樹脂の量を196質量部に変えた以外は、全て実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示したが、ノズルの詰まりが発生し、単分散なトナーが得られず、ホットオフセット性は良好であったがフィルミング性は良くなかった。
[比較例5]
−分散液の調製−
着色剤の分散液、樹脂及びワックスを添加した分散液を、実施例1と同様の条件で調製した。
−トナーの作製−
実施例1で用いた、分散液を貯留する貯留部と、この貯留部に圧電体の伸縮により圧力パルスを与え、これにより液物質を液滴としてノズルから吐出することが可能なヘッド部を設けた装置に変え、比較例5の装置は、ノズル部に直接圧電素子が接し、この圧電体の伸縮による圧力パルスがノズル部そのものを加振する点が実施例1の構造と大きく異なる。この液滴化部が異なる以外は、実施例1と同じトナー作製条件で、液滴を吐出させ、該液滴を乾燥固化することによりトナーを作製した。また、本比較例で用いた液滴吐出部のノズル数も実施例1と同様に500個であった。
乾燥固化したトナー粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布を粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)で測定したところ、重量平均粒径D4は4.8μm、D4/Dnが1.32であり、粒度分布の広いトナー母体粒子となった。また、1時間あたりの生産量は24.8gであった。得られた粒子の光学顕微鏡写真を図5に示した。
本発明の製造方法により製造されたトナーは、優れた単一分散性を有しており、高解像度で、高精細・高品質で、長期にわたって劣化のない画像を形成することができるので、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像する為の現像剤に好適に使用することができる。
本発明を実施するためのトナー粒子製造装置の一例の説明図である。 本発明における貯留部の一例の説明図である。 液柱の液滴化現象を説明する図である。 実施例1で得られたトナーの顕微鏡写真を示す図である。 比較例5で得られたトナーの顕微鏡写真を示す図である。
符号の説明
1 貯留部
2 振動手段
3 支持手段
4 貫通孔
5 液供給手段
6 溶媒除去設備
7 トナー捕集部
8 配管
9 貫通孔保持機構
10 振動発生装置
11 導電線
12 開放弁
13 液滴
14 乾燥手段
15 トナー粒子

Claims (16)

  1. 少なくとも樹脂、着色剤、離型剤及び少なくともポリオレフィン樹脂とビニル系樹脂とからなるグラフト重合体を含有するトナー組成物を溶媒に溶解及び/または分散させたトナー組成液を、貫通孔より放出し液滴化してトナー粒子を製造するトナー製造方法において、前記トナー組成液を貯留部へ供給し、少なくとも貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して前記トナー組成液を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より前記トナー組成液を造粒空間に放出し、前記トナー組成液を柱状から括れ状態を経て液滴化し、該液滴を造粒空間において固体粒子に変化させることを特徴とするトナー製造方法より製造されることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記トナー組成液が有機溶剤を含有するものであり、トナーが前記液滴を脱溶剤することによって固体粒子化して得られたことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該ポリオレフィン樹脂(A)の軟化点が70〜150℃であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー製造方法
  4. 該ビニル系樹脂のSP値が10.0〜11.5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナー製造方法
  5. 該グラフト重合体の添加量が離型剤100重量部に対して、10〜150重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトナー製造方法
  6. 該ビニル系樹脂はスチレンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリルを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトナー製造方法
  7. 該離型剤が少なくとも溶剤及び前記グラフト重合体の存在下に加熱溶解した後、冷却し、析出した離型剤粒子をさらに微粉砕して得られたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトナー製造方法
  8. 該離型剤として、カルナウバワックス、合成エステルワックス及びパラフィンワックスよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いること特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のトナー製造方法
  9. 前記貫通孔の開口径が1〜40μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトナー製造方法。
  10. 貫通孔から放出される液滴に、誘導荷電により、正電荷又は負電荷を与える請求項1〜9のいずれかに記載のトナー製造方法。
  11. 液滴吐出方向と同方向に乾燥気体を流すことにより気流を発生させ、該気流により、液滴を溶媒除去設備内で搬送させると共に、該搬送中に前記液滴中の溶媒を除去させることにより、トナー粒子を形成する請求項1〜10のいずれかに記載のトナー製造方法。
  12. 乾燥気体が、空気及び窒素ガスのいずれかである請求項11に記載のトナー製造方法。
  13. 乾燥気体の温度が、40〜200℃である請求項11または12に記載のトナー製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のトナー製造方法により製造されたことを特徴とするトナー。
  15. 粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)が、1.00〜1.05の範囲にある請求項14に記載のトナー。
  16. 重量平均粒径が1〜15μmである請求項14または15に記載のトナー。
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