JP2008064832A - 電子写真転写用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表層と裏層に2分割した状態において、一方の層の澱粉含有量が他方の層の澱粉含有量よりも多くなっており、一方の層は、塗工前の原紙において、加熱した時に収縮率の小さい層である。原紙において加熱した時の収縮率の小さい層の澱粉含有率が高くなるように調整されているから、電子写真を転写する機械によって加熱されたときに、収縮率の小さい層に含まれる澱粉から蒸発する水分量は、他方の層に含まれている澱粉からの蒸発量よりも多くなる。すると、原紙の状態で加熱されたときに比べて、収縮率の小さい層と他方の層との収縮率の差を小さくできるから、ヒートカールの発生を抑えることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、かかる電子写真の支持体に適した電子写真転写用紙に関する。
従来例1の技術は、表面サイズプレスの方式としてゲートロールコーター方式(GRC方式)を採用し、アルデヒド基を生成官能基とする酸化澱粉を糊液とする表面サイズプレス液を紙の表面に塗布することによってヒートカールを防ぐ技術であり、表面サイズプレス液を上記のごときものとすること、表面サイズプレス液の濃度を10〜14重量%に調整したこと、および、メタリングロール回転比を60〜80%の範囲で調節することに特徴を有するものである。
また、従来例2の技術は、紙を表層と裏層との2層に均等又はほぼ均等に分割したときに、各層間の離解濾水度差が30ml以下となるように調整したこと、に特徴を有する技術である。
第2発明の電子写真転写用紙は、表層と裏層に2分割した状態において、一方の層の澱粉含有量が他方の層の澱粉含有量よりも多くなっており、前記一方の層は、表層と裏層のうち、フリーネスが高い層であることを特徴とする。
本発明の電子写真転写用紙は、紙を表層と裏層に2分割した状態において、澱粉の含有量に差が生じるように塗工されたものであり、表面処理剤を塗工する前の原紙を2層分割した状態において、水分の蒸発に伴う紙の収縮率が小さい層に対して、澱粉含有量が多くなるように塗工されたものである。
なお、本発明の電子写真転写用紙に塗工される表面処理剤は、澱粉を主成分とするものであり、澱粉に加えて、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、ラテックス、オレフィン系、スチレンアクリル系等の各種サイズ剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、ジメチルアミノエチルメタアクリレート等の導電剤、保湿剤などを使用してもよい。澱粉は、例えば、酸化澱粉、酵素変性澱粉、リン酸エステル化澱粉等であるが、特に限定はない。
一方、電子写真転写用紙はその水分率が低くなると、転写時に加熱されたときに放湿する水分量が小さくなり紙の収縮も小さくなるので、原紙の水分率が少ない方がヒートカールの発生を防ぐ上では好ましいが、保管時に紙が空気中の水分を吸収し波うちを起こしやすくなるし、紙同士の摩擦による静電気が発生しやすくなるため、転写時に紙詰まりを起こしやすくなる。
したがって、電子写真転写用紙の水分率が3.0%〜6.0%となるように調整されていることが望ましい。なお、電子写真転写用紙の水分率は、紙の水分試験方法(JIS P8127)により測定された水分率である。
したがって、表面処理剤が塗工された転写用紙において、表層と裏層に含有される澱粉の量の比は、各層に含まれる澱粉含有量(重量)をそれぞれA、B(B>A)とすると、B/Aの値が、1.10〜1.40であることが好ましく、原紙を加熱したときヒートカールが少ない場合であれば、B/Aの値が、1.10〜1.25であることが好ましい。
B/Aの値が1.40よりも大きい場合には、転写直後のヒートカールを防止することはできるものの、塗工量が少ない面から水分を吸収しやすくなるため転写後保管している間にカールが発生しやすくなる。
なぜなら、水分の蒸発による紙の伸縮は、繊維間結合による繊維一本一本の伸縮が紙全体に伝達して起こるのであるが、相対的にフリーネスの高い紙、すなわち繊維が長く太い紙では繊維間結合が少ないので、紙の伸縮は小さくなる。つまり、フリーネスが高ければ加熱したときの収縮率が小さく、逆に、フリーネスが小さいければ加熱したときの収縮率が大きくなるという傾向を示すからである。
したがって、原紙または塗工後の転写用紙を表層と裏層に2分割したときにおけるフリーネスの高い層における表面処理剤の塗工量が、他方の層における表面処理剤の塗工量よりも多くなるように塗工されていれば、ヒートカールを抑えることができる。
とくに、フリーネスは塗工しても変化しないから、塗工後の転写用紙のフリーネスを調べるだけでも原紙のフリーネスを判断できる。
表面処理剤Dはトップメタリングロール2とトップファウンテンロール3との間に供給されており、トップメタリングロール2の表面に付着した後、トップアプリケーターロール1の表面に転写され、トップアプリケーターロール1から原紙Pに塗工される。また、ボトムメタリングロール5とボトムファウンテンロール6との間に供給された表面処理剤Dは、ボトムメタリングロール5の表面に付着した後、ボトムアプリケーターロール4の表面に転写され、ボトムアプリケーターロール4から原紙Pに塗工される。
本発明の転写用紙を製造する場合において、例えば、トップアプリケーターロール1側の塗工量を多くする場合には、トップメタリングロール2のメタリングロール周速比をボトムメタリングロール5のメタリングロール周速比よりも大きくすればよい。
したがって、ヒートカールしたときに外面側に位置する層が収縮率が小さい層となる。そして、ヒートカールしたときに収縮率が小さい層を含む面(カール方向と逆側に位置する面)における塗工量を増やす、又は、収縮率の大きい層を含む面(カール方向側に位置する面)の塗工量を減らせば、ヒートカールを抑制することができる。
また、カール方向と逆側に位置する面における塗工量を増やすだけでなく、他方の面への塗工量を減らせば、ヒートカールの抑制効果を高めることができる。
また、メタリング周速比が大きくなると表面処理剤が飛散するミスティング現象が起こる。これは、表面処理剤がミスト状となりゲートロールコーターの様々な部位に付着して、粕を形成する現象であり、この粕が紙の上に落下すると紙切れを起こしたり、製品に澱粉粕が紛れ込み不良品となってしまう。
上記のごとき問題が発生することを防ぐためには、メタリング周速比は、60〜80の範囲に設定するのが好ましい。
(1)実施例1の転写用紙
原料パルプ:新聞古紙脱墨パルプ(330mlCSF)と広葉樹晒クラフトパルプ(405mlCSF)を70:30の重量割合で混合したもの
内添薬品(パルプ100重量部に対する量):硫酸バンド2重量部、炭酸カルシウム8重量部、カチオン化澱粉(日本NSC株式会社製:CATO302)0.3重量部、ロジン系サイズ剤荒川化学工業株式会社製:商品名SPN−811)0.5重量部
塗工薬品:酸化澱粉(日本食品加工株式会社製、商品名MS3800)を濃度11%に調整したもの
塗工条件:ゲートロールコーターにて塗工し、メタリングロール周速比を、トップロール側のメタリングロール周速比76、ボトムロール側のメタリングロール周速比74としており、トップアプリケーターロールによって紙の表面を塗工し、ボトムアプリケーターロールによって紙の裏面を塗工している。なお、紙の表面裏面とは、抄紙機で抄紙されている状態における表面裏面を意味し、一般的には、紙が抄紙機のワイヤーパートからプレスパートへ移行する際に最初にフェルトが接する面が表面(F面)であり、その反対側の面が裏面(W面)である。
なお、転写用紙の坪量は64g/m2、リール水分5.5%である。
また、CSFとは、カナダ標準ろ水度である。
実施例2〜6および比較例1〜3の転写用紙は、メタリングロール周速比を変化させたこと以外の条件は実施例1と同等の条件で製造されたものである。
実施例7〜9および比較例4、5の転写用紙は、原料パルプを以下のように変更したことと、メタリングロール周速比を変化させたこと以外は、他の条件は実施例1と同等の条件で製造されたものである。
原料パルプ:新聞古紙脱墨パルプ(330mlCSF)と広葉樹晒クラフトパルプ(405mlCSF)を30:70の重量割合で混合したもの
(フリーネスの測定)
転写用紙を粘着テープにより均等に2層に分割し、各層を標準離解機(JIS8209に準拠)にて、固形分濃度3%で25分間離解して、カナダ標準ろ水度を測定した。
100mm×200mmのサイズのサンプルを2枚用意し、その内1枚について、澱粉を純水と塩酸で抽出し、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液KI-I2(7.5gのWakoよう化カリウム161-03987と5.0gのWakoよう素092-00405を1.0Lの純水に溶解させたもの)を加えて発色させた。そして吸光度計(HITACHI U-1500)により吸光度測定を行い、澱粉含有量x(g/m2)を定量した。
次に、もう1枚のサンプルの質量を測定し、紙面をメンディングテープ(住友スリーエム株式会社製:製品名スコッチメンディングテープ:製品番号Cat No.810-1-18)で剥がして元の半分の質量の紙層を得た。そして、これについて上記と同様に澱粉含有量y(g/m2)を定量した。さらに、澱粉含有量x(g/m2)から澱粉含有量y(g/m2)を引いてもう一方の紙層の澱粉含有量z(g/m2)を求めた。
なお、内添された澱粉は紙層全体に均一に分散し、ヒートカールへの影響は無視できるものと考える。
抄紙機のリールからサンプルを採取し、A4サイズに裁断し、サンプル15枚の表面にXEROX DocuCentre 605(富士ゼロックス社製)によって印字を行い、印字したサンプルを重ね、一端を二本の指で持ち、軽くゆすって紙をカールさせた。そして、K=1/R×100の式で表されるカール値(K)を求めた。そして、カール値Kが、3以下の場合を合格と評価した。
ただし、R=曲率半径(cm)とし、その後、サンプルの裏面についても印字を行い、同様にヒートカールさせて、カール値Kを測定した。
なお、カール値は、紙の表面(F面)へのカール、つまり、表面を内側にしてカールするの場合をFカールとし、カール値Fが3の場合にはカール値をF3と表記し、紙の裏面(W面)へのカール、つまり、裏面を内側にしてカールするの場合をWカールとし、カール値Wが3の場合、カール値をW3と表記する。
一方、比較例1では、T/B比率は1.0に保たれているものの、澱粉含有量の比率が1.00となっており、また、比較例2、3では、T/B比率が1.0より小さく、また、澱粉含有量の比率も1.40より大きくなっている。そして、比較例1〜3いずれも、F面印字カールまたはW面印字カールのいずれかにおいて、Fカールのカール値またはWカールのカール値が3より大きくなっており、カールを抑制できていないことが確認できる。
一方、比較例4では、B/T比率が1.0より小さく澱粉含有量の比率が1.40より大きくなっており、逆に、比較例5では、B/T比率が1.00であるが澱粉含有量の比率が1.00となっている。そして、比較例4、5いずれも、F面印字カールまたはW面印字カールのいずれかにおいて、Fカールのカール値またはWカールのカール値が3より大きくなっており、カールを抑制できていないことが確認できる。
2 トップメタリングロール
3 トップファウンテンロール
4 ボトムアプリケーターロール
5 ボトムメタリングロール
6 ボトムファウンテンロール
D 表面処理剤
P 原紙
Claims (2)
- 表層と裏層に2分割した状態において、一方の層の澱粉含有量が他方の層の澱粉含有量よりも多くなっており、
前記一方の層は、
塗工前の原紙において、加熱した時に収縮率の小さい層である
ことを特徴とする電子写真転写用紙。 - 表層と裏層に2分割した状態において、一方の層の澱粉含有量が他方の層の澱粉含有量よりも多くなっており、
前記一方の層は、
表層と裏層のうち、フリーネスが高い層である
ことを特徴とする電子写真転写用紙。
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