JPH0254543B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は電子写真法、特に正極性トナー現像方
式の電子写真法に用いる転写真に関するものであ
る。 従来技術 正極性トナー現像方式の電子写真法には二積層
感光体（機能分離型感光体）、ポリビニルカルバ
ゾール系有機感光体、酸化亜鉛感光体、硫化カド
ミウム感光体等を使用して負極性の静電潜像を形
成する方法、Se系感光体等を使用し正極性の静
電潜像を形成して反転現像する方法がある。 発明が解決しようとする課題 このような正極性トナー現像方式の電子写真複
写機に従来の負極性トナー現像方式の電子写真用
転写紙を用いると、トー像転写工程で感光体に付
着した紙粉が十分にクリーニングされなかつた
り、クリーニングしたトナーを再使用することな
どにより、紙粉が現像剤に混入してバツクグラン
ドのかぶり等が発生して、コピー質が低下するこ
とが本願発明者等により明らかにされた。 本発明は、前記した従来の転写紙の欠点を除去
改良して良好なコピー質を得ることのできる、特
に正極性トナー現像方式の電子写真用転写紙を提
供することを課題とする。 発明の構成 一般に電子写真用転写紙に要求される主な特性
として、コピー質、走行性（紙詰り、重送等）、
転写性、定着性等がある。 負極性トナー現像方式の従来の電子写真複写法
においては、良好なコピー質を得るために転写紙
についても種々の対策がとられている。 例えば、適当なコピー画像濃度を維持し、バツ
クグランド（白紙部分）の汚れを防ぐために塩化
ナトリウム、塩化カリウム、スチレン−マレイン
酸コポリマー、第四級アンモニウム塩等の導電剤
を抄紙機のサイズプレスで表面塗布して転写紙の
表面電気抵抗（JIS Ｃ−2111による）を10⁹〜
10¹⁰Ω（湿度（RH）65％、温度20℃）にしてい
る。またコピー画像部の鮮鋭度を向上させるため
に表面の凹凸を少なくして転写紙の平滑度
（JISP−8119による）を20秒以上にしている。 また転写紙の部分的吸湿による膨潤やカールが
発生すると、転写時に複写機の感光体と転写紙と
の密接度が低下し、コピー画像濃度の低下やコピ
ーの部分的な抜けが発生する。これを防止するた
めに紙の水分を4.5〜5.5％にし、保管時に吸脱湿
が発生しないように防湿包装紙で包装している。 すなわち従来の負極性トナー現像方式の電子写
真用転写用紙の場合には、満足なコピーを得るた
めに前述のような種々の対策がとられている。 しかし正極性トナ現像方式の電子写真法におい
ては、前述の対策がとられている富士ゼロツクス
用紙や他のPPC用紙を使用したのでは、バツク
グランドの汚れやコピー画像部の細かい白抜けが
発生し、満足なコピー質を得ることができない。 本発明者等はこの原因を各種の実験により検討
し、従来の電子写真用転写紙の紙粉成分がトナー
またはキヤリアとの摩擦、接触、分離などにより
負に帯電するために、紙粉とトナーの凝集体が生
じたり、逆極性トナーが増加したりするためであ
ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成した。 すなわち、従来の転写紙ではトナー像転写工程
で、感光体に付着した転写紙の表面や断裁面より
発生した紙粉、すなわち主にタルクやカオリン等
の填料粉末と細かい繊維の一部がクリーニングさ
れなかつたり、クリーニング後のトナーを再使用
することによつて現像剤中で混入したりする。そ
して混入したこれらの材料がトナーやキヤリアと
の摩擦、接触、分離などにより負に帯電するため
正極性のトナーと凝集体（一般的には弱い逆極性
となる。）を生じたり、逆極性トナーを増加させ、
バツクグランドの汚れやコピー画像に細かい抜け
を発生させる。そしてこれを防止するためにはト
ナー像転写時において複写機の感光体に付着する
紙粉量を０又は大幅に減少すればよいことが、各
種の実験により明らかになつた。 第１図に現像剤５Kg中の紙粉量（mg）とコピー
質との関係を示す。この図は転写紙として市販
（Ａ社）のPPC用紙について、正極性トナー現線
方式の複写機を用いてコピーを行い、１万枚目コ
ピー後のコピー質を紙粉量に対してプロツトした
ものである。図中縦軸のＡは、バツクグランドの
汚れ及びコピー画像の細かい抜けが全くない状
態、Ｂはバツクグランドの汚れ及び／又はコピー
画像の細かい抜けが若干あるが実用上の支障がな
い状態、Ｃはバツクグランドの汚れ及び／又はコ
ピー画像の細かい抜けが多少目につくが、目的に
よつては使用できる状態、Ｄはバツクグランドの
汚れ及び／又はコピー画像の細かい抜けが多発し
使用できない状態を表わす。 第１図から現像剤中の紙粉量を大幅に減少させ
ることにより正極性トナー現像方式の複写におい
て、高品位の画質を得ることができることが明ら
かである。 現在電子複写機に使用されている電子複写機用
紙、印刷用紙を含む上質紙は、すべてパルプ配合
はLBKP（広葉樹晒クラフトパルプ）とNBKP
（針葉樹晒クラフトパルプ）が100：０〜20で、タ
ルク、クレー、炭酸カルシウム（上質紙のみ）等
の填料が紙全重量の６〜15％添加され、紙の表面
には抄紙機のサイズプレスでデンプン（一部ポリ
ビニルアルコールを混合することがある。）が１
〜３ｇ／m²塗布されている。そして電子複写機の
トナー像転写時における感光体への紙粉付着量を
減少させるような対策は何ら配慮されていない。
転写に影響を及ぼす紙粉は転写紙の断裁面と表面
の両方から発生し、その割合は10：１〜８であ
り、一般的には断裁面からのものが多い。断裁面
からの紙粉は、紙を巻取から自動小判断裁機
（LENOXやWILL）で断裁する際、又は大判シ
ートからギロチン断裁機で断裁する際、セルロー
ス繊維自体やセルロース、填料及びデンプンの接
着部が切断されて遊離した繊維、填料及び／又は
デンプンである。転写紙の断裁面を実験的に樹脂
で固めて断裁面からの紙粉発生量を０にしたとこ
ろ、転写時の感光体への紙粉付着量は従来の10％
〜40％に減少した。 しかし現状の電子写真用転写紙や上質紙につい
ては自動小判断裁機の断裁巻取本数や運動速度を
変えたり、ギロチン断裁機の刃の材質、刃先角度
を変えてみたが、転写時の紙粉の感孔体付着量を
10％以上減少することはできなかつた。 しかし中性系で抄紙してPHを7.9から9.0の範囲
（JISP−8133）にしたところ、酸性系で抄紙した
PHがそれ以外の用紙に比べて表面強度が強くな
り、紙粉の発生がみられなくなつた。これはPH
7.9から9.0の範囲の中性域では繊維の膨潤性が良
く、繊維結合が強くなるためによると考えられ
る。 すなわち、本発明の転写紙はJIS Ｐ−8133によ
るPHが7.9から9.0の範囲であることを特徴とする
ものである。 次に実施例及び比較例により本発明の転写用紙
を説明する。 実施例１〜３及び比較例１〜２ 第１に示したような、パルプ、填料及びサイズ
剤を各例に示した配合率で用いて抄造して坪量64
ｇ／m²の本発明の転写用紙（実施１〜３）及び比
較用の転写用（比較例１及び２）を製造した。

【表】 これらの用紙について紙粉量、PH値及び表面強
さを測定した。また正極性トナー現像方式の複写
機によりコピーを行いコピー質を調べた。この結
果を表２に示す。

【表】 発明の効果 以上述べたように、本発明はJIS Ｐ−8133によ
るPHが7.9から9.0の範囲の転写用紙であり、紙粉
の発生量が減少し、正極性トナー現像方式の電子
写真用に特に適した転写用紙を提供したものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は現像剤中の紙粉量と、正極性トナー現
像方式の複写機による１万枚目コピー後のコピー
質との関係を示すグラフである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ JIS Ｐ−8133によるPHが7.9から9.0の範囲に
   あることを特徴とする正極性トナー現像方式の電
   子写真用転写用紙。