JP3658788B2 - 電子写真用転写紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンターなどに用いる転写紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真技術を用いる機器においては、紙粉の発生は多くの障害をもたらした。紙中に含まれるタルクやカオリンにより生ずるバックグランドかぶりや画像の抜け、給紙ローラーに紙粉が付着して生ずる給紙不良や転写コロトロンに付着して生ずる転写不良、クリーニングブレードに紙粉中の繊維が付着して生ずる画質不良などの様々な障害をもたらすことはよく知られている。
【0003】
ところで、近年、地球環境問題が表面化して森林資源保護の重要性が認識され、その対策の一環として紙原料に古紙を利用する木材資源の有効活用が、重要な課題となってきた。そのような中で、印刷・情報に用いる紙は古紙利用が未だ進んでいないが、バージンのケミカルパルプからなる電子写真用転写紙より紙粉の発生量が多く、給紙不良、転写不良などの実用上の問題が明らかになってきた。
【0004】
また、両面利用により紙の使用量を減らして木材資源の有効利用を積極的に行う動きも出てきた。両面利用するためには、紙中の灰分量を増配合して裏写りを防止することが考えられるが、灰分量の増配合は紙粉の増加を招き、給紙不良、転写不良などの実用上の支障の原因となる。
【0005】
バージンのケミカルパルプからなる電子写真用転写紙の紙粉は、正極性トナー現像方式では、紙中に含まれるタルクやカオリンに起因するバックグランドかぶりや画像の抜けを改善するために、添加填料として炭酸カルシウムを使用したり、灰分量を抑制するなどの提案がある(特開昭59─162560号公報、特開昭59─162561号公報、特開昭59─191068号公報、特開昭59─208557号公報、特開昭60─61762号公報参照)。
【0006】
また、紙粉が給紙ローラーに付着して給紙不良を生じたり、転写コロトロンに付着して転写不良を生ずるなどの問題については、紙粉が発生し易い紙の端部に塗料層を設けたり、断裁面の長さを制限するなどの提案がある(特開昭59─191068号公報、特開昭60─61763号公報参照)。また、灰分量を少量に限定することにより、紙粉の発生を抑制することが提案されている(特開昭55─133054号公報参照)。
しかし、両面利用のために填料を増配合するときの紙粉の問題に対して、具体的に解決手段を開示したものはない。
【0007】
他方、リサイクル紙に関しては、特公昭63─6867号公報、特開平3─287894号公報、特開平3─287895号公報、特開平4─18188号公報、特開平4─5662号公報等に種々の提案があるが、紙粉の問題に対する改善手段を開示したものはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消し、紙粉に起因するバックグランドかぶりや画像の抜け、給紙不良や転写不良等のトラブルの発生が極めて少なく、両面利用時の裏写りが殆どなく電子写真適性が優れた電子写真用転写紙を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1) 坪量が60g/m2 以上の電子写真用転写紙において、坪量が15〜20g/m2 になるように分割剥離した表面層中に存在する0.2mm以下の短繊維の割合が20%以下であることを特徴とする電子写真用転写紙、及び、 (2) 前記表面層の灰分量が中央層の灰分量の50%以下であり、層全体の灰分量を8〜20%に調整したことを特徴とする上記(1) に記載した電子写真用転写紙である。なお、上記灰分量は、JISP8128で測定した。
【0010】
【作用】
本発明者等は、紙粉によるトラブルのない、両面利用時の電子写真適性の優れた転写用紙を鋭意検討する中で、坪量が60g/m2 以上の電子写真用転写紙について、紙粉量の多いサンプルと少ないサンプルの紙粉中の繊維長の分布を調べたところ、紙粉量の多いサンプルは、図1に示すように、0.2mm以下の短繊維が60〜70%存在していることを確認した。
【0011】
また、上記のサンプルについて、紙粉中の灰分量を調べたところ、紙粉量の多いサンプルは、図2に示すように、灰分が60%存在していることを確認した。一方、紙粉による走行性不良と紙粉量の関係を調べた。図3のように、A4サイズの用紙1000枚を走行させ、その間の転写時の感光体に付着した紙粉を回収したところ、紙粉発生総量が30mg以下であれば走行性不良が発生しないことが確認されている。
【0012】
そこで、本発明者等は、紙の表面層に存在する短繊維や填料が離脱して紙粉を形成すると推定し、紙の表面層と中央層に分割剥離し、それぞれの繊維長割合と灰分量を分析したところ、図4に示すように、繊維長0.2mm以下の繊維割合と紙粉量との間に相関が存在することを確認した。即ち、安定した走行性能を得るために紙粉発生量を30mg以下に抑えるには、坪量15〜20g/m2 の範囲の表面層部に存在する繊維長0.2mm以下の繊維割合を20%以下、好ましくは15%以下にする必要があることを見い出した。
【0013】
なお、本発明における繊維長0.2mm以下の繊維割合の測定には、表面層と中央層を別々にパルプ離解機を使用して離解した後、パルプの希薄溶液を毛細管に導き、光学系を介して電気的にその繊維長分布を計測する装置(FIBER SIZE ANALYZER,FS-200, KAJAANI 社製)による方法か、パルプ繊維をスライドグラス上に分散した後、固定して顕微鏡観察により繊維長分布を測定する方法を用いることができる。
また、本発明における灰分量は、繊維長割合の算出に用いた方法と同様に表面層と中央層に分割剥離して、JISP8128の方法で測定した。
【0014】
さらに、紙粉発生量を30mg以下に抑えるための灰分量分布を調べたところ、図5に示すように、坪量15〜20g/m2 の範囲の表面層(以下、「15〜20g/m2 の範囲の表面層」を単に「表面層」という)に存在する灰分量が、紙層中央層の50%以下にする必要があることを見い出した。
【0015】
本発明において、電子写真用転写紙の坪量を60g/m2 以上と規定したのは、表面層と中央層とに分離剥離した紙層において、前記坪量を下回ると、紙層中の繊維長割合と灰分量を安定に制御することが困難であるからである。また、表面層の坪量の下限値を15g/m2 と規定したのは、繊維長割合及び灰分量の測定の安定性を考慮したものであり、この値を下回ると紙粉発生量との対応を取り難くなる。
【0016】
表面層や中央層の短繊維や填料を少なくする方法としては、長網抄紙機を用いるときにはワイヤパート、プレスパートで脱水を制御すればよいが、好ましくは表裏両面から脱水して紙層を形成するオントップフォーマー等のツインワイヤー抄紙機によって抄紙するのが良く、また、原料パルプ中の微細繊維を選択的に取り除いたり、白水の利用を減少することも好ましい。
【0017】
本発明で使用するパルプは、バージンのケミカルパルプ(CP:広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等の木材及びその他の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ)やバージンの機械パルプ(MP:グランドパルプ、ケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ、セミケミカルパルプ等の木材及びその他の繊維原料を主に機械的に処理して作製されたパルプ)を含有させてもよい。
【0018】
製本、印刷工場、裁断所等において発生する裁落、損紙、幅落としした古紙である上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を解離した古紙パルプ、並びに、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に平版、凸版、凹版等により印刷されたた古紙・新聞古紙、電子写真方式、感熱方式、熱転写方式、感圧記録方式、インクジェット記録方式、カーボン紙などにより印刷された古紙、及び、水性インク、油性インクや鉛筆などで筆記した古紙などを解離して脱墨したパルプ(以下、DIPと略記する)なども使用できる。また、バガス、ケナフ、竹、稲藁等の非木材繊維を原料として処理したパルプを使用することもできる。
【0019】
本発明で用いることができる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク等の炭酸カルシウム、カオリン、焼成クレー、パイオロフィライト、セリサイト、タルク等のケイ酸類などの無機填料や、尿素樹脂等の有機顔料を使用することができる。添加する場合には、裏写り防止の観点から灰分として8%以上、また、灰分が20%を越えると強さが低下して紙詰まりが発生し易くなるので、8〜20%の範囲が好ましい。
【0020】
本発明において使用する内添サイズ剤は、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等のサイズ剤を使用することができ、硫酸バンド、カチオン化澱粉等の適当なサイズ剤と繊維との定着剤を組み合わせて使用することができる。なお、電子写真方式の複写機、プリンター等における走行性及びコピーの用紙保存性を考慮すると、中性サイズ剤が好ましい。
そして、コピー適性、走行性等の電子写真適性を付与するために、原料の調製及び製造条件の制御が行われる。
【0021】
また、画像の乱れを防止し、適当なコピー画像濃度を維持するため、塩化ナトリウム、塩化カリウム、スチレン・マレイン酸共重合体、第四級アンモニウム塩等の導電剤を抄紙機のサイズプレスで表面塗布して、電子写真用転写紙の表面電気抵抗率(JISK6911)を109 〜1011Ω(温度20℃、湿度65%RH)の範囲に調製することが好ましい。さらに、PVAをサイズプレスで表面塗布することにより紙粉発生量を低減することが、より好ましい。
【0022】
また、コピー画像部の鮮明度を向上するために、カレンダー処理等を行い、表面の凹凸を少なくして転写紙の平滑度(JISP8119)を50秒以上、好ましくは60秒以上にするのがよい。また、開封直後の製品水分は、波打ち電気的特性を維持するために4.0〜6.0%になるように、抄紙機の乾燥工程、カレンダー工程及び断裁工程などで調整する。また、白色度は80%以上にする。保管時に吸脱湿が進行しないように、ポリエチレンラミネート紙等の防湿包装紙やポリプロピレンフィルム等で包装することが好ましい。
【0023】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
〔実施例1〕
表1の実施例1に示すとおり、坪量64g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として20%配合し、かつ、内添サイズ剤としてASA0.1%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いてツインワイヤー抄紙機で不透明度90%、表面層(坪量が20g/m2 になるように分割剥離した表面層)(以下、実施例及び比較例中の表面層は同義)の0.2mm以下の短繊維割合が20%、前記表面層の灰分量割合が50%となるように抄紙条件を定め、両面緩和脱水で紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を1.0g/m2 、PVAを0.1g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て実施例1の転写紙を得た。
【0024】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、28mgであった。この転写紙1000枚を用いて富士ゼロックス社製複写機Vivace550でコピー質の評価と給紙不良発生の有無を確認した。コピー質の評価は、1000枚目のコピーについてバックグランドかぶり及びコピー画像の細かな抜けの評価と給紙不良の発生頻度を確認した。また、裏写り評価を1枚目に3色(黄・白・赤・白・青・白)のシマ模様の原稿を用い、2枚目には人物写真の原稿を重ねて上記のVivace550でコピーを採り、その裏写りの程度が許容できるか否かを目視で評価した。その結果を表1に示した。
【0025】
表1から明らかなように、紙層全体の灰分量20%、不透明度90%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合20%、表面層の灰分量割合を50%にした結果、28mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られ、コピー質の維持性、給紙安定性に優れていることを確認した。また、両面コピー時の裏写りがなく、良好な転写紙を得ることができた。
【0026】
裏写り評価、画像抜け評価、及び、走行トラブルは次の基準で評価した。
(裏写り評価)
◎:非常に良好、○:やや裏写りがあるが許容できる、×:裏写りがひどく許容できない。
(画像の抜け評価)
◎:非常に良好、○:やや画像抜けがあるが容易に判読できる、×:画像抜けがひどく判読できない。
(走行トラブル発生率)
◎:0.5%未満、○:0.5〜5%未満、△:5〜10%未満、×:10%以上。
【0027】
〔実施例2〕
表1の実施例2に示すとおり、坪量68g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として10%配合し、また、内添サイズ剤としてASA0.1%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いてオントップフォーマー抄紙機で不透明度86%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が7%、表面層の灰分量割合が25%となるように抄紙条件を定め、両面緩和脱水で紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を0.8g/m2 、PVAを0.2g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て実施例2の転写紙を得た。
【0028】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、11mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。表1から明らかなように、紙層全体の灰分量10%、不透明度86%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合7%、表面層の灰分量割合を25%にした結果、11mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られ、コピー質の維持性、給紙安定性に優れていることを確認した。また、両面コピー時の裏写りがなく、良好な転写紙を得ることができた。
【0029】
〔実施例3〕
表1の実施例3に示すとおり、坪量68g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として14%配合し、また、内添サイズ剤としてAKD0.2%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いてオントップフォーマー抄紙機で不透明度88%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が13%、表面層の灰分量割合が39%となるように抄紙条件を定め、両面緩和脱水で紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を0.8g/m2 、PVAを0.2g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て実施例3の転写紙を得た。
【0030】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、20mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。表1から明らかなように、紙層全体の灰分量14%、不透明度88%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合13%、表面層の灰分量割合を39%にした結果、20mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られ、コピー質の維持性、給紙安定性に優れていることを確認した。また、両面コピー時の裏写りがなく、良好な転写紙を得ることができた。
【0031】
〔実施例4〕
表1の実施例4に示すとおり、坪量82g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として15%配合し、また、内添サイズ剤としてASA0.1%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いてツインワイヤー抄紙機で不透明度91%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が10%、表面層の灰分量割合が30%となるように抄紙条件を定め、両面緩和脱水で紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を0.8g/m2 、PVAを0.2g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て実施例4の転写紙を得た。
【0032】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、18mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。表1から明らかなように、紙層全体の灰分量15%、不透明度91%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合10%、表面層の灰分量割合を30%にした結果、18mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られ、コピー質の維持性、給紙安定性に優れていることを確認した。また、両面コピー時の裏写りがなく、良好な転写紙を得ることができた。
【0033】
〔実施例5〕
表1の実施例5に示すとおり、坪量90g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として8%配合し、また、内添サイズ剤としてAKD0.2%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いてオントップフォーマー抄紙機で不透明度90%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が4%、表面層の灰分量割合が15%となるように抄紙条件を定め、両面緩和脱水で紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を0.8g/m2 、PVAを0.2g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て実施例5の転写紙を得た。
【0034】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、7mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。表1から明らかなように、紙層全体の灰分量8%、不透明度90%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合4%、表面層の灰分量割合を15%にした結果、7mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られ、コピー質の維持性、給紙安定性に優れていることを確認した。また、両面コピー時の裏写りがなく、良好な転写紙を得ることができた。
【0035】
〔実施例6〕
表1の実施例6に示すとおり、坪量90g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として17%配合し、また、内添サイズ剤としてAKD0.2%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いて長網抄紙機で不透明度92%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が15%、表面層の灰分量割合が46%となるように抄紙条件を定め、両面緩和脱水で紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を0.8g/m2 、PVAを0.2g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て実施例6の転写紙を得た。
【0036】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、25mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。表1から明らかなように、紙層全体の灰分量17%、不透明度92%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合15%、表面層の灰分量割合を46%にした結果、25mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られ、コピー質の維持性、給紙安定性に優れていることを確認した。また、両面コピー時の裏写りがなく、良好な転写紙を得ることができた。
【0037】
【表1】
Figure 0003658788
【0038】
〔比較例1〕
表2の比較例1に示すとおり、坪量64g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として4%配合し、また、内添サイズ剤としてASA0.2%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いて長網抄紙機で不透明度80%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が20%、表面層の灰分量割合が70%となるように抄紙条件を定めて紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を1.0g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て比較例1の転写紙を得た。
【0039】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、20mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。表2から明らかなように、紙層全体の灰分量4%、不透明度80%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合20%、表面層の灰分量割合を70%にした結果、20mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られたが、両面コピー時に裏写りがひどく許容てきるものはなかった。
【0040】
〔比較例2〕
表2の比較例2に示すとおり、坪量68g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として16%配合し、また、内添サイズ剤としてASA0.2%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いて長網抄紙機で不透明度84%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が51%、表面層の灰分量割合が65%となるように抄紙条件を定めて紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を1.0g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て比較例2の転写紙を得た。
【0041】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、39mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。表2から明らかなように、紙層全体の灰分量16%、不透明度84%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合51%、表面層の灰分量割合を65%にした結果、39mgと紙粉の発生の多い転写紙が得られ、画像抜けがひどく判読することができなかった。また、走行トラブルも5〜10%と高い発生率を示した。
【0042】
〔比較例3〕
表2の比較例3に示すとおり、坪量68g/m2 、填料にタルクを使用して灰分量として10%配合し、また、内添サイズ剤としてAKD0.1%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いて長網抄紙機で不透明度82%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が32%、表面層の灰分量割合が48%となるように抄紙条件を定めて紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を1.0g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て比較例3の転写紙を得た。
【0043】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、20mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。表2から明らかなように、紙層全体の灰分量10%、不透明度82%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合32%、表面層の灰分量割合を48%にした結果、20mgと紙粉の発生の少ない転写紙が得られたが、画像抜けがひどく判読することができなかった。
【0044】
〔比較例4〕
表2の比較例4に示すとおり、坪量82g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として17%配合し、また、内添サイズ剤としてASA0.2%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いて長網抄紙機で不透明度91%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が60%、表面層の灰分量割合が52%となるように抄紙条件を定めて紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を1.0g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て比較例4の転写紙を得た。
【0045】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、35mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。表2から明らかなように、紙層全体の灰分量17%、不透明度91%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合60%、表面層の灰分量割合を52%にした結果、35mgと紙粉の発生の多い転写紙が得られ、画像抜けがひどく判読することができなかった。また、走行トラブルも5〜10%と高い発生率を示した。
【0046】
〔比較例5〕
表2の比較例5に示すとおり、坪量90g/m2 、填料に炭酸カルシウムを使用して灰分量として25%配合し、また、内添サイズ剤としてASA0.2%(対パルプ重量)を配合した。この紙料を用いて長網抄紙機で不透明度94%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合が70%、表面層の灰分量割合が61%となるように抄紙条件を定めて紙層を形成した。さらに、間接電子写真適性を付与するために、サイズプレス処理により、澱粉を1.0g/m2 、塩化ナトリウムを0.2g/m2 となるように塗工して乾燥工程を経て比較例5の転写紙を得た。
【0047】
この転写紙の紙粉発生量を富士ゼロックス社製FX−5041を用いて測定したところ、42mgであった。この転写紙を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。表2から明らかなように、紙層全体の灰分量25%、不透明度94%、表面層の0.2mm以下の短繊維割合70%、表面層の灰分量割合を61%にした結果、42mgと紙粉の発生の多い転写紙が得られ、画像抜けがひどく判読することができなかった。また、走行トラブルも10%以上と高い発生率を示した。
【0048】
【表2】
Figure 0003658788
【0049】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、坪量60g/m2 以上の用紙において、紙層の厚さ方向に対して表面層(表面から坪量で15〜20g/m2 の範囲)中に存在する0.2mm以下の短繊維の割合が紙層中央層の50%以下にし、表面層の灰分量を8〜20%の範囲に調整することにより、両面コピー時の裏写りを防止することができ、紙粉が少なく、コピー質の維持性、給紙安定性に優れた良好な転写紙を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】紙粉量の少ないサンプルと多いサンプルについて、紙粉中の繊維長分布を示したグラフである。
【図2】紙粉量の少ないサンプルと多いサンプルについて、紙粉中の灰分量を示したグラフである。
【図3】紙粉発生量と走行トラブル率の関係を示したグラフである。
【図4】紙層の厚さ方向に対する表面層と紙層中央層の短繊維割合と紙粉発生量の関係を示したグラフである。
【図5】紙層の厚さ方向に対する表面層と紙層中央層の灰分量割合と紙粉発生量の関係を示したグラフである。
【図6】紙層の表面層、中央層の短繊維割合、灰分量を測定するための試料の概念図である。

Claims (2)

  1. 坪量が60g/m2 以上の電子写真用転写紙において、坪量が15〜20g/m2 になるように分割剥離した表面層中に存在する0.2mm以下の短繊維の割合が20%以下であることを特徴とする電子写真用転写紙。
  2. 前記表面層中の灰分量が中央層の灰分量の50%以下であり、層全体の灰分量を8〜20%に調整したことを特徴とする請求項1に記載した電子写真用転写紙。
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