以下、本発明の血液成分採取装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態では、代表的に、一時貯留バッグに一時的に貯留された所定の血球成分を回収する(分配するために用いられる)血液成分採取バッグの数が2つの場合について説明する。
図1は、本発明の血液成分採取装置の実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図である。
図1に示す血液成分採取装置1は、血液を複数の血液成分に分離するとともに分離された所定の血球成分である血小板(血漿を含む血小板)(血液成分)と、血漿(血液成分)とを採取するための装置である。この血液成分採取装置1は、内部に貯血空間146を有するローター142と、貯血空間146に連通する流入口143および排出口(流出口)144とを有し、ローター142の回転により流入口143より導入された血液を貯血空間146内で遠心分離する遠心分離器(血液分離器)20と、採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続する第1のライン21と、遠心分離器20の排出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続された第3のライン23と、チューブ49および50を介して第1のライン21に接続され、かつチューブ43および44を介して第2のライン22に接続された血漿採取バッグ(採取バッグ)25と、チューブ42を介して第2のライン22に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43および45を介して第2のライン22に接続された中間バッグ(一時貯留バッグ)(採取バッグ)27aと、チューブ46、47、48および52を介して中間バッグ27aに接続された第1の血小板採取バッグ(採取バッグ)26aと、チューブ46、47、48および54を介して中間バッグ27aに接続された第2の血小板採取バッグ(採取バッグ)26bと、チューブ51を介して第1の血小板採取バッグ26aに接続されたサブバッグ28aと、チューブ53を介して第2の血小板採取バッグ26bに接続されたサブバッグ28bとを有する血液成分採取回路(採取回路)2を備えている。
さらに、血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ(第1の送液手段)11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ(第2の送液手段)12と、血液成分採取回路2の流路の途中を開閉し得る複数(本実施形態では、第1〜第9の9個)の流路開閉手段81〜89と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段81〜89を制御するための制御部(制御手段)3と、濁度センサ(血小板濃度センサ)14および19と、光学式センサ15と、重量センサ(重量検出手段)16および62と、複数(本実施形態では、6個)の気泡センサ31、32、33、34、35、36とを備えている。
前記濁度センサ19により、後述する血液成分回収ライン61を流れる所定の血球成分である血小板(血漿を含む血小板)の濃度(個数)を検出する濃度検出手段が構成される。なお、濃度検出手段は、濁度センサには限定されないことは言うまでもない。
そこで、最初に、血液成分採取回路2について説明する。
この血液成分採取回路2は、ドナー(供血者)から血液を採取する採血針(中空針)(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続し、第1のポンプチューブ21gを備え、採血ラインおよび返血ラインの双方として兼用される第1のライン21(採血および返血ライン)(血液処理ライン)21と、一端側が遠心分離器20の排出口(流出口)144に接続された第2のライン22と、第1のライン21の採血針29の近くに接続され、第2のポンプチューブ23aを備える第3のライン(抗凝固剤注入ライン)23と、第1のライン21の第1のポンプチューブ21gより採血針29側に接続されたチューブ50と、チューブ50に接続されたチューブ49と、第2のライン22に接続されたチューブ43と、チューブ43に接続されたチューブ44と、チューブ44および49に接続された血漿採取バッグ25と、第2のライン22に接続されたチューブ42と、チューブ42に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43に接続されたチューブ45と、チューブ45に接続された中間バッグ27aと、中間バッグ27aに接続されたチューブ46と、チューブ46に接続されたチューブ47と、チューブ48と、チューブ48にそれぞれ接続されたチューブ52および54と、チューブ52に接続された第1の血小板採取バッグ26aと、第1の血小板採取バッグ26aに接続されたチューブ51と、チューブ51に接続されたサブバッグ28aと、チューブ54に接続された第2の血小板採取バッグ26bと、第2の血小板採取バッグ26bに接続されたチューブ53と、チューブ53に接続されたサブバッグ28bとを備えている。エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン21aと、一端側が採血針側第1ライン21aに接続され、他端側が遠心分離器20の流入口143に接続された遠心分離器側第1ライン21bとを有している。採血針29としては、例えば、公知の金属針が使用される。
この採血針側第1ライン21a、遠心分離器側第1ライン21b、後述する第2のライン22、第3のライン23は、それぞれ、軟質樹脂製チューブ、または、その軟質樹脂製チューブが複数接続されて形成されている。
採血針側第1ライン21aは、採血針29側より、第3のライン23との接続用分岐コネクター21cと、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dと、チューブ50との接続用分岐コネクター21fとを備えている。
また、採血針側第1ライン21aに沿って、採血針29側より、気泡センサ35、36および32が設置されている。この場合、気泡センサ35および36は、分岐コネクター21cとチャンバー21dとの間に配置され、気泡センサ32は、チャンバー21dと分岐コネクター21fとの間に配置されている。
気泡センサ35、36および32は、チューブの外側から超音波を送受信し、液体と気泡(気体)とで超音波の伝導率が異なるのを利用して、チューブ内の気体および液体(気/液の別、気/液面等)を検出することができる検出手段である。なお、気泡センサ31、33および34も、上記と同様の機能を有している検出手段である。また、気泡センサ(気体および液体検出手段)としては、上記超音波式センサに限らず、例えば、光学式センサ、赤外線センサ等を用いてもよい。
また、チャンバー21dには、チューブ21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側第1ライン21aの内圧の検出等に用いることができる。
一方、遠心分離器側第1ライン21bは、チューブ50との接続用分岐コネクター21fに接続されており、その途中に形成された第1のポンプチューブ21gを有している。
第2のライン22は、その一端側が遠心分離器20の排出口144に接続されている。
この第2のライン22は、チューブ42および43との接続用分岐コネクター22bとを備えている。
また、第2のライン22に沿って、遠心分離器20側より、濁度センサ14および気泡センサ34が設置されている。この場合、濁度センサ14および気泡センサ34は、遠心分離器20と分岐コネクター22bとの間に配置されている。
また、分岐コネクター22bには、チューブ41を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター22fが接続されている。このラインは、例えば、第2のライン22の内圧の検出等に用いることができる。
第3のライン23は、その一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。すなわち、第3のライン(流路)23は、分岐コネクター(分岐部)21cを介して第1のライン(流路)21から分岐している。また、分岐コネクター21cは、採血針29の近傍に位置している(設けられている)。
この第3のライン23は、分岐コネクター21c側より、第3のポンプチューブ23aと、除菌フィルター(異物除去用フィルター)23bと、気泡除去用チャンバー23cと、抗凝固剤容器接続用針23dとを備えている。
また、第3のライン23に沿って、気泡センサ31が設置されている。この気泡センサ31は、分岐コネクター21cと第3のポンプチューブ23aとの間に配置されている。
この第3のライン23の抗凝固剤容器接続用針23dは、抗凝固剤(抗凝固剤液)が収納(収容)された図示しない容器に接続され、これにより、容器内の抗凝固剤は、後述するように、抗凝固剤容器接続用針23dから分岐コネクター21cに向かって第3のライン23を流れ、採血針側第1ライン21aに供給(注入)される。これにより、例えば、第3のライン23を介して、採血針29により採取された血液に抗凝固剤を添加(混合)することができる。
なお、抗凝固剤としては、特に限定されないが、例えば、ACD−A液等を用いることができる。
血液成分採取バッグである血漿採取バッグ25は、血漿(第2血液成分)を採取(貯留)するための容器である。チューブ49の一端は、この血漿採取バッグ25に接続され、その途中に接続用分岐コネクター22dが設けられている。そして、チューブ50の一端は、この分岐コネクター22dに接続され、他端は、分岐コネクター21fに接続されている。
また、チューブ43の一端は、分岐コネクター22bに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22cが設けられている。そして、チューブ44の一端は、この分岐コネクター22cに接続され、他端は、血漿採取バッグ25に接続されている。
また、チューブ46の途中には、そのチューブ46に沿って、気泡センサ33が設置されている。
なお、血漿採取バッグ25、チューブ43および44により、血漿を採取する血漿採取用分岐ラインが構成されている。
第1の血液成分採取バッグである第1の血小板(血小板製剤)採取バッグ26aは、後述する白血球除去フィルター261を通過した後の血漿を含む血小板(血球成分)(第1血液成分)を採取(回収)(貯留)(収納)するための容器である。
同様に、第2の血液成分採取バッグである第2の血小板(血小板製剤)採取バッグ26bは、白血球除去フィルター261を通過した後の血漿を含む血小板(血球成分)(第1血液成分)を採取(回収)(貯留)(収納)するための容器である。
なお、以下の説明では、血漿を含む血小板(第1血液成分)を、「濃厚血小板」と言い、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26b内に採取された濃厚血小板を、それぞれ、「血小板製剤」と言う。
チューブ51の一端は、第1の血小板採取バッグ26aに接続され、その他端にはサブバッグ28aが接続されている。このサブバッグ28aは、例えば、第1の血小板採取バッグ26aに濃厚血小板を回収した後に、第1の血小板採取バッグ26a内のエアーを排出する場合等に用いられる。
同様に、チューブ53の一端は、第2の血小板採取バッグ26bに接続され、その他端にはサブバッグ28bが接続されている。このサブバッグ28bは、例えば、第2の血小板採取バッグ26bに濃厚血小板を回収した後に、第2の血小板採取バッグ26b内のエアーを排出する場合等に用いられる。
なお、サブバッグ28a、28bは、一方を省略して兼用してもよい。この場合、分岐コネクター61aを四方分岐管に変更して、サブバッグを接続することが好ましい。
エアーバッグ(収納バッグ)27bは、空気(エアー)を一時的に収納(貯留)するための容器である。
後述する採血の際は、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)は、このエアーバッグ27b内に移送され、収納される。そして、返血工程(血液成分返還工程)の際、エアーバッグ27b内に収納されている空気は、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻される。これにより、所定の血液成分が、ドナーへ返還される。
チューブ42の一端は、分岐コネクター22bに接続され、他端は、このエアーバッグ27bに接続されている。
中間バッグ(一時貯留バッグ)27aは、濃厚血小板、すなわち、血漿を含む血小板(血球成分)(第1血液成分)を一時的に貯留するための容器(貯留部)である。チューブ45の一端は、分岐コネクター22cに接続され、他端は、この中間バッグ27aに接続されている。
また、チューブ46の一端は、この中間バッグ27aに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22eが設けられている。前記チューブ49の他端は、この分岐コネクター22eに接続されている。
また、接続用分岐コネクター22eには、チューブ47の一端が接続され、このチューブ47の途中には、濃厚血小板中から白血球(所定の細胞)を分離除去する白血球除去フィルター(細胞分離フィルター)(濾過器)261が設置されている。
また、チューブ47の他端には、接続用分岐コネクター22gが設けらており、一端に接続用分岐コネクター(分岐部)61aが設けられているチューブ48の他端が、この分岐コネクター22gに接続されている。
また、分岐コネクター22gのポートには、ベントフィルターが設けられたフィルター本体およびキャップを備えたフィルター22hが設置されている。
また、分岐コネクター61a(残りの2つのポート)には、一端が前記第1の血小板採取バッグ26aに接続されたチューブ52の他端と、一端が前記第2の血小板採取バッグ26bに接続されたチューブ54の他端とが、それぞれ、接続されている。すなわち、チューブ48の一端側(下流側)には、分岐コネクター61aおよびチューブ52を介して、第1の血小板採取バッグ26aが接続され、かつ、分岐コネクター61aおよびチューブ54を介して、第2の血小板採取バッグ26bが接続されている。
ここで、チューブ46、47、48、52および54と、分岐コネクター22e、2gおよび61aと、チューブ47とチューブ48との間に設けられた白血球除去フィルター261とにより、濃厚血小板(所定の血球成分)を中間バッグ27aから第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bにそれぞれ移送し得る流路を有する血液成分回収ライン61が構成されている。そして、この血液成分回収ライン61を用いて、中間バッグ27aに一時的に貯留された濃厚血小板を第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bにそれぞれ分配(小分け)する後述する分配操作が行なわれるようになっている。
また、分配操作の際は、白血球除去フィルター261により、濃厚血小板中から白血球が分離除去され、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bにそれぞれ回収されるように構成されている。すなわち、分配操作の際に、濾過操作が同時に行なわれるようになっている。従って、前記血液成分回収ライン61は、濃厚血小板中から白血球を分離除去する(所定の血球成分中から所定の細胞を分離除去する)濾過ラインを兼ねる。
なお、白血球除去フィルター261をチューブ52、54の途中に各々設けてもよい。
血液成分採取装置1を組み立てた状態で(血液成分採取装置1を使用する際)、これらの中間バッグ27a、白血球除去フィルター261、第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26bおよび血漿採取バッグ25は、それぞれ、血漿バッグ25が鉛直方向の最も高い位置にセットされ(位置し)、中間バッグ27aが血漿バッグ25より低い位置(鉛直方向下方)に、白血球除去フィルター261が中間バッグ27aより低い位置に、さらに、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bが白血球除去フィルター261より低い位置にセットされる(位置する)。そして、中間バッグ27aおよび血漿採取バッグ25は、それぞれ、遠心分離器20のローター142の貯血空間146より高い位置(鉛直方向上方)にセットされる。このように、血漿バッグ25が、中間バッグ27aよりも高い位置にセットされることにより、落差で血漿バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに移送することができる。
また、血液成分採取装置1には、血漿採取バッグ25と、中間バッグ27aおよびエアーバッグ27bと、第1の血小板採取バッグ26aと、第2の血小板採取バッグ26bとを着脱自在に支持する支持部である図示しないハンガー(フック)が、それぞれ、設けられている。そして、血漿採取バッグ25および中間バッグ27aは、それぞれ、出口側(入口側)が鉛直方向下方になるように、対応するハンガーに引っ掛けられ、吊り下げられる(吊られる)。すなわち、血液成分採取装置1を使用する際は、血漿採取バッグ25は、そのチューブ44および49側が鉛直方向下方になるように設けられ、また、中間バッグ27aは、そのチューブ45および46側が鉛直方向下方になるように設けられる。
また、白血球除去フィルター261としては、例えば、両端に流入口および排出口を有するケーシング内に、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂よりなる織布、不織布、メッシュ、発泡体等の多孔質体を1層または2層以上積層した濾過部材を挿入して構成したもの等を用いることができる。
上述した第1〜第3のライン21〜23の形成に使用される各チューブ、各ポンプチューブ21g、23a、さらに、その他の各チューブ41〜54、21hの構成材料としては、それぞれ、ポリ塩化ビニルが好ましい。
これらのチューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
また、上述した各分岐コネクター21c、21f、22b、22c、22d、22e、22g、61aの構成材料についても、それぞれ、前記チューブで挙げた構成材料と同様のものを用いることができる。
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、それぞれ、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12により押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
血漿採取バッグ25、第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26b、中間バッグ27a、エアーバッグ27b、サブバッグ28a、サブバッグ28bは、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。なお、前述したように、エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
各バッグ25、26a、26b、27a、27b、28a、28bに使用される材料としては、それぞれ、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
なお、第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26bに使用されるシート材としては、それぞれ、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。
このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いること、また、このような素材を用いることなく、上述したような材料のシート材を用い、厚さを比較的薄く(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.3mm程度)したものが好適である。
このような血液成分採取回路2の主要部分は、図示しないが、例えば、カセット式となっている。すなわち、血液成分採取回路2は、各ライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23)および所定の各チューブを部分的に収納し、かつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジングを備えている。
このカセットハウジングには、第1のポンプチューブ21gの両端および第2のポンプチューブ23aの両端が固定され、これらのポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、カセットハウジングより、各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12の形状に対応したループ状に突出している。このため、第1および第2のポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、各送液ポンプ11、12への装着が容易である。また、このカセットハウジングには、後述する各流路開閉手段81〜89等が設置される。
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を複数の血液成分に分離する。
遠心分離器20は、図2に示すように、上端に流入口143が形成された鉛直方向に伸びる管体141と、管体141の回りで回転し、上部145に対し液密にシールされた中空のローター142とを有している。
ローター142には、その周壁内面に沿って環状の貯血空間146が形成されている。この貯血空間146は、図2中下部から上部に向けてその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしており、その下部は、ローター142の底部に沿って形成されたほぼ円盤状の流路を介して管体141の下端開口に連通し、その上部は、排出口(流出口)144に連通している。また、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされ、ローター142の回転軸からの最大内径(最大半径)は、例えば、55〜65mm程度とされる。
このようなローター142は、血液成分採取装置1が備える遠心分離器駆動装置10によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
本実施形態では、図2に示すように、血液がローター142の貯血空間146内で内層より血漿層131、バフィーコート層132および赤血球層133に分離されるように遠心条件が設定される。
次に、図1に示す血液成分採取装置1の全体構成について説明する。
血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21の途中に設置された第1の送液ポンプ11と、第3のライン23の途中に設置された第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2(第1のライン21、チューブ50、チューブ44、チューブ45、チューブ42、チューブ49、チューブ47、チューブ52、チューブ54)の流路の途中を開閉し得る複数の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87、88、89と、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)および各操作を行なう操作手段である表示・操作部17と、記憶部(記憶手段)18と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、複数の流路開閉手段81〜89、表示・操作部17および記憶部18等の各部を制御するための制御部(制御手段)3とを備えている。
さらに、血液成分採取装置1は、第2のライン22に装着(設置)された濁度センサ14と、血液成分回収ライン61に装着(設置)された濁度センサ19と、遠心分離器20の近傍に設置された光学式センサ15と、複数の気泡センサ31〜36と、血漿の重量を血漿採取バッグ25ごと重量測定するための重量センサ16と、濃厚血小板の重量を中間バッグ27aおよびエアーバッグ27bごと重量測定するための重量センサ62とを備えている。濁度センサ19は、血液成分回収ライン61の白血球除去フィルター261の下流側で、かつ、分岐コネクター61a上流側、すなわち、チューブ48に装着(設置)されている。
制御部3は、第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12のための2つのポンプコントローラ(図示せず)を備え、制御部3と第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12とはポンプコントローラを介して電気的に接続されている。
遠心分離器駆動装置10が備える駆動コントローラ(図示せず)は、制御部3と電気的に接続されている。
各流路開閉手段81〜89は、それぞれ、制御部3に電気的に接続されている。
また、濁度センサ14、19、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36、表示・操作部17、記憶部18は、それぞれ、制御部3と電気的に接続されている。
制御部3は、例えばマイクロコンピュータ(演算部やメモリー等を内蔵)で構成されており、制御部3には、上述した濁度センサ14、19、光学式センサ15、重量センサ16、62、気泡センサ31〜36からの検出信号が、それぞれ、随時入力される。また、表示・操作部17からの信号(入力)も、制御部3に入力される。
制御部3は、濁度センサ14、19、光学式センサ15、重量センサ16、62、気泡センサ31〜36からの検出信号および表示・操作部17からの信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血液成分採取装置1の各部の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段81〜89の開閉、遠心分離器駆動装置10の作動および表示・操作部17の駆動をそれぞれ制御する。
なお、この制御部3により、分配操作において、その制御(分配操作の制御)を行なう分配制御手段の主機能が達成される。
第1の流路開閉手段81は、第1のポンプチューブ21gより採血針29側、すなわち、分岐コネクター21fとチャンバー21dとの間において第1のライン21を開閉するために設けられている。
第2の流路開閉手段82は、チューブ50を開閉するために設けられている。第3の流路開閉手段83は、チューブ44を開閉するために設けられている。第4の流路開閉手段84は、チューブ45を開閉するために設けられている。第5の流路開閉手段85は、チューブ42を開閉するために設けられている。第6の流路開閉手段86は、分岐コネクター22dと分岐コネクター22eとの間のチューブ49を開閉するために設けられている。第7の流路開閉手段87は、チューブ47を開閉するために設けられている。
第8の流路開閉手段88は、血液成分回収ライン61の第1の血小板採取バッグ26aの上流側の流路を構成するチューブ52を開閉するために設けられている。第9の流路開閉手段89は、血液成分回収ライン61の第2の血小板採取バッグ26bの上流側の流路を構成するチューブ54を開閉するために設けられている。これら第8の流路開閉手段88および第9の流路開閉手段89により、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに濃厚血小板(血球成分)を分配する分配手段が構成される。
各流路開閉手段81〜89は、それぞれ、第1のライン21、チューブ50、44、45、42、49、47、52、54を挿入可能な挿入部を備え、該挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有している。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
これらの流路開閉手段(クランプ)81〜89は、それぞれ、制御部3からの信号に基づいて作動する。
表示・操作部17は、例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等を備えたタッチパネル等で構成される。この表示・操作部17により、後述する第1のモードと第2のモードとを選択するための入力を行なう入力手段が構成される。
なお、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)である表示部(例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等)と、各操作を行なう操作手段である操作部(例えば、操作ボタン、操作スイッチ、操作ダイヤル等)とを、別個に設けてもよい。
また、記憶部18は、各種の情報、データ、テーブル、演算式、プログラム等が記憶(記録とも言う)される記憶媒体(記録媒体とも言う)を有しており、この記憶媒体は、例えば、RAM等の揮発性メモリー、ROM等の不揮発性メモリー、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリー等の書き換え可能(消去、書き換え可能)な不揮発性メモリー等、各種半導体メモリー、ICメモリー等で構成される。この記憶部18における書き込み(記憶)、書き換え、消去、読み出し等の制御は、制御部3によりなされる。
遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング201と、脚部202と、駆動源であるモータ203と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台205とを有している。
ハウジング201は、脚部202の上部に載置、固定されている。また、ハウジング201の下面には、ボルト206によりスペーサー207を介してモータ203が固定されている。
モータ203の回転軸204の先端部には、固定台205が回転軸204と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台205の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材によりハウジング201に固定されている。
このような遠心分離器駆動装置10では、モータ203を駆動すると、固定台205およびそれに固定されたローター142が、例えば、回転数3000〜6000rpm程度で回転する。
ハウジング201には、その側部(図2中、左側)に光学式センサ15が設置されている。
この光学式センサ15は、貯血空間146に向って投光するとともにその反射光を受光するように構成されている。
光学式センサ15は、投光部151から光(例えばレーザー光)を照射(投光)し、ローター142の反射面147で反射された反射光を受光部152で受光する。そして、受光部152においてその受光光量に応じた電気信号に変換される。
ここで、光学式センサ15は、片面に反射面を有し、光路を変更する反射板153を有しており、投光部151から照射された光は、反射板153を介して反射面147に照射され、反射面147で反射した光は、反射板153を介して受光部152で受光されるように構成されている。
このとき、投光光および反射光は、それぞれ、貯血空間146内の血液成分を透過するが、血液成分の界面(本実施形態では、血漿層131とバフィーコート層132との界面B)の位置に応じて、投光光および反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光部152での受光光量が変動(変化)し、この変動を受光部152からの出力電圧の変化として検出することができる。
すなわち、光学式センサ15は、受光部152での受光光量の変化に基づき、血液成分の界面の位置を検出することができる。
なお、光学式センサ15が検出する血液成分の界面としては、界面Bに限られず、例えば、バフィーコート層132と赤血球層133との界面であってもよい。
ここで、貯血空間146内の各層131〜133は、それぞれ、血液成分により色が異なっており、特に、赤血球層133は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、光学式センサ15の精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、特に限定されないが、例えば、600〜900nm程度であるのが好ましく、750〜800nm程度であるのがより好ましい。
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度(血小板の濃度)を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度センサ14は、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
この濁度センサ14により、例えば、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度、血漿中の血小板濃度の変化、血漿中への赤血球の混入等を検出することができる。
また、気泡センサ34により、例えば、第2のライン22中を流れる流体の空気から血漿への置換等を検出することができる。
また、濁度センサ19は、血液成分回収ライン61の白血球除去フィルター261の下流側で、かつ、分岐コネクター61a上流側、すなわち、チューブ48を流れる流体の濁度(濃厚血小板の濃度)を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度センサ19は、濁度が高い時(単位体積当りの血小板の個数が多い時)には低電圧値、濁度が低い時(単位体積当りの血小板の個数が少ない時)には高電圧値を出力する。
この濁度センサ19により、チューブ48を流れる濃厚血小板の濃度(血小板濃度)、すなわち、濃厚血小板の単位体積当りに含まれる血小板の個数(個数濃度)を検出することができる(検出値から求めることができる)。
濁度センサ14、19および各気泡センサ31〜36としては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。
第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11および、第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、それぞれ、例えば、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適に用いられる。
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
この第1の送液ポンプ11の作動により、例えば、第1のライン21内の血液や血液成分等の液体(流体)を送液することができる。また、第2の送液ポンプ12の作動により、例えば、第3のライン23内の抗凝固剤(抗凝固剤液)等の液体(流体)を送液することができる。
次に、血液成分採取装置1の作用(動作)、すなわち、血液成分採取装置1を用いた血小板採取操作(血液成分採取操作)について説明する。
血液成分採取装置1は、制御部3の制御により、血漿採取バッグ25に血漿を採取する第1の血漿採取工程と、血漿採取バッグ25に採取された血漿を遠心分離器20の貯血空間146内に定速で循環させる定速血漿循環工程(血漿循環工程)と、血漿採取バッグ25に血漿を採取する第2の血漿採取工程と、血漿採取バッグ25に採取された血漿を遠心分離器20の貯血空間146内に加速しつつ循環させる加速血漿循環工程(血漿循環工程)と、血漿採取バッグ25に血漿を採取する第3の血漿採取工程と、中間バッグ27aに濃厚血小板(血小板)を一時的に貯留(採取)する血小板採取工程と、返血工程(血液成分返還工程)とを有する血小板採取操作(血液成分採取操作)を実行するとともに、中間バッグ27a内に一時的に貯留した濃厚血小板を、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bにそれぞれ分配(小分け)する分配操作(分配工程)実行して成分採血を行なうよう作動する。
この成分採血の際は、第1の送液ポンプ11を作動(正転)し、第1のライン21を介して、ドナーから採血するとともに、第2の送液ポンプ12を作動し、第3のライン23を介して、例えばACD−A液等の抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に混入させる(注入する)。これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、第1のライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143より管体141を経てローター142の貯血空間146内に導入され、このとき、遠心分離器20内の空気(滅菌空気)は、第2のライン22およびチューブ42を介してエアーバッグ27b内に送り込まれる。
また、遠心分離器駆動装置10を作動し、遠心分離器20のローター142を回転し、貯血空間146内に導入された血液を、内側から血漿層(PPP層)131、バフィーコート層(BC層)132、赤血球層(CRC層)133の3層に分離する。
そして、第1の血漿採取工程と、定速血漿循環工程と、第2の血漿採取工程と、加速血漿循環工程と、第3の血漿採取工程と、血小板採取工程と、返血工程とを、この順序で行なう血小板採取操作(血液成分採取操作)が少なくとも1回(1サイクル)、通常は、複数回(複数サイクル)行われ、血漿採取バッグ25に所定量の血漿が採取され、中間バッグ27aに所定量(所定体積量)および所定数(所定単位数)の濃厚血小板が採取される(一時的に貯留される)。
なお、この血小板採取操作は、回路構成は少し異なるが、例えば、特開2005−152362号公報等に記載されている方法を用いて行なうことができる。
ところで、血小板の「1単位」は、0.2×1011個であり、また、血小板製剤(製剤規格で規定されているもの)としては、下記(1)〜(4)の4種類のものがある。
(1)5単位製剤
容量(体積量)が、100mL±20%であり、個数が、1.0×1011〜1.9×1011個
(2)10単位製剤
容量(体積量)が、200mL±20%であり、個数が、2.0×1011〜2.9×1011個
(3)15単位製剤
容量(体積量)が、250mL±20%であり、個数が、3.0×1011〜3.9×1011個
(4)20単位製剤
容量(体積量)が、250mL±20%であり、個数が、4.0×1011個以上
さて、この血液成分採取装置1は、中間バッグ27a内に一時的に貯留した濃厚血小板を、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bにそれぞれ分配する分配操作を実行するように構成されている。この分配操作は、例えば、最終サイクルの血小板採取操作終了後に行なわれる。また、分配操作においては、中間バッグ27a内の濃厚血小板は、落差(自重)により、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bにそれぞれ移送(送液)されるようになっている。
また、血液成分採取装置1は、第1のモードと、第2のモードとを有しており、オペレータは、表示・操作部17を操作して、これら第1のモードおよび第2のモードのうちから、いずれか一方のモードを選択することができるように構成されている。
分配操作では、中間バッグ27aに一時的に貯留された濃厚血小板を、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bにそれぞれ分配するが、第1のモードに設定されている場合には、この分配操作の際、濁度センサ19の検出結果に基づいて、第8の流路開閉手段88および第9の流路開閉手段89の駆動(開閉)を制御するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、濃厚血小板の濃度(または体積量)を調整し、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに、それぞれ、互いに異なる単位数の濃厚血小板が収納されるよう分配するようになっている。すなわち、第1のモードでは、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに、それぞれ、互いに異なる単位数の製剤規格に適合した血液製剤が収納されるよう分配する。
この第1のモードにおける分配操作については、後に詳述するが、第1のモードにおける分配の具体例としては、例えば、下記(1)および(2)が挙げられる。
(1)20単位分の濃厚血小板(20単位よりも多めの血小板数、体積量とするのが好ましい)を中間バッグ27aに一時的に貯留し、それを、第1の血小板採取バッグ26aと、第2の血小板採取バッグ26bとに、それぞれ、15単位の製剤規格に適合した血小板製剤と、5単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納されるように分配する。
(2)15単位分の濃厚血小板(15単位よりも多めの血小板数、体積量とするのが好ましい)を中間バッグ27aに一時的に貯留し、それを、第1の血小板採取バッグ26aと、第2の血小板採取バッグ26bとに、それぞれ、10単位の製剤規格に適合した血小板製剤と、5単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納されるように分配する。
一方、第2のモードに設定されている場合には、分配操作の際、濁度センサ19の検出結果に基づいて、第8の流路開閉手段88および第9の流路開閉手段89の駆動(開閉)を制御するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、濃厚血小板の濃度(または体積量)を調整し、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに、それぞれ、互いに同一の単位数の濃厚血小板が収納されるよう分配するようになっている。すなわち、第2のモードでは、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに、それぞれ、互いに同一の単位数の製剤規格に適合した血液製剤が収納されるよう分配する。
この第2のモードにおける分配操作は、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに、それぞれ、互いに同一の単位数の製剤規格に適合した血液製剤が収納されるよう分配することを除き、前記第1のモードにおける分配操作と略同様であるので、その詳細な説明にについては、省略するが、第2のモードにおける分配操作においては、中間バッグ27aに一時的に貯留された濃厚血小板を、例えば、所定時間毎に、交互に、第1の血小板採取バッグ26aと、第2の血小板採取バッグ26bとに移送するようになっているのが好ましい。これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板を、第1の血小板採取バッグ26aと、第2の血小板採取バッグ26bとに、その個数および体積量が略均等になるように、分配することができる。
また、この第2のモードにおける分配の具体例としては、例えば、下記(1)および(2)が挙げられる。
(1)20単位分の濃厚血小板(20単位よりも多めの血小板数、体積量とするのが好ましい)を中間バッグ27aに一時的に貯留し、それを、第1の血小板採取バッグ26aと、第2の血小板採取バッグ26bとに、それぞれ、10単位の製剤規格に適合した血小板製剤と、10単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納されるように分配する。
(2)10単位分の濃厚血小板(10単位よりも多めの血小板数、体積量とするのが好ましい)を中間バッグ27aに一時的に貯留し、それを、第1の血小板採取バッグ26aと、第2の血小板採取バッグ26bとに、それぞれ、5単位の製剤規格に適合した血小板製剤と、5単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納されるように分配する。
なお、制御部3は、前記分配操作の際は、濁度センサ19の検出結果と、血液成分回収ライン61を流れる濃厚血小板(血液成分)の重量または体積量とに基づいて、血液成分回収ライン61を流れる濃厚血小板(血小板)の個数を求め、求まった個数に基づいて、分配を行なう。
また、中間バッグ27aに貯留される濃厚血小板の(血小板)の個数は、分配操作の際の損失分を考慮して、必要な血小板数(目標単位数)より、少し多めに目標血小板数、体積量を設定し、採取するのが好ましい。
次に、第1のモードの場合の構成例、すなわち、第1の血小板採取バッグ26aに収納される血小板製剤の単位数が、第2の血小板採取バッグ26bに収納される血小板製剤の単位数より多い場合の構成例として、20単位分よりも多めの血小板数、体積量の濃厚血小板を中間バッグ27aに一時的に貯留し、それを、第1の血小板採取バッグ26aに15単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納され、第2の血小板採取バッグ26bに5単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納されるように分配する場合を挙げて、分配操作の際の血液成分採取装置1の動作を説明する。
ここで、血小板採取操作においては、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力される。同様に、中間バッグ27aは、その重量が重量センサ62により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力される。制御部13は、重量センサ16からの検出信号(検出結果)に基づいて、血漿採取バッグ25内の血漿の重量を検知し、その情報から、血漿採取バッグ25内の血漿の量を求めることができる。
また、中間バッグ27aに濃厚血小板(血小板)を一時的に貯留(採取)する血小板採取工程は、第2の送液ポンプ12を作動させて行なわれるようになっており、制御部13は、第2のポンプ12の回転回数に基づいて、中間バッグ27a内の濃厚血小板の量(体積量)を求めることができる。また、制御部13は、濁度センサ14からの検出信号(検出結果)に基づいて、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度(血小板濃度)、すなわち、濃厚血小板の累積濃度(累積血小板濃度)を検知し、その情報から、中間バッグ27a内の濃厚血小板の単位体積当りに含まれる血小板の個数(個数濃度)を求めることができる。また、制御部13は、第2のポンプ12の回転回数と、濁度センサ14からの検出信号に基づいて、中間バッグ27a内の濃厚血小板の個数を求めることができる。
また、制御部13は、重量センサ62からの検出信号(検出結果)に基づいて、中間バッグ27a内の濃厚血小板の重量を検知し、その情報から、中間バッグ27a内の濃厚血小板の量を求めることができる。
図3は、図1に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートであり、この図3には、第1のモードの場合の分配操作における制御部13の制御動作が示されている。
分配操作に先立って、血漿採取バッグ25に、必要な量の血漿を採取するとともに、中間バッグ27aに、20単位分よりも多めの個数(4.2×1011〜5.1×1011個)の濃厚血小板を採取する(一時的に貯留する)。
図3に示すように、分配操作においては、まず、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度を、第1の血小板採取バッグ26aに収納する予定の血小板製剤の濃度と略等しく、又は少し高め(好ましくは少し高め)、すなわち、15単位製剤(高単位の血小板製剤)の濃度と同じ又は少し高め(好ましくは少し高め)となるように調整する(ステップS101)。なお、濃度を少し高めにするのは、後述するフィルターリンス処理操作を行うと、洗浄液により希釈されるためである。
このステップS101では、第7の流路開閉手段87を閉塞し、第6の流路開閉手段86を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿は、落差(自重)により、チューブ49、46を経て、中間バッグ27aに移送(送液)される。
前記所定量、すなわち、ステップS101において血漿採取バッグ25から中間バッグ27aに移送する血漿の量は、その量の血漿が中間バッグ27aに移送されると、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度が15単位製剤の濃度と同じ又は少し高めとなる量とされる。
また、前記濃度調整後の中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度は、具体的には、100〜235万個/μL程度であるのが好ましい。この値は、フィルターリンス処理操作時の洗浄液量により、適正値が異なる。
すなわち、前記濃度調整後の中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度は、中間バッグ27a内の15単位分の個数の濃厚血小板を第1の血小板採取バッグ26aに移送した場合に、15単位製剤の体積量からフィルターリンス処理操作時の洗浄液量分を差し引いた体積量の濃厚血小板が第1の血小板採取バッグ26aに移送される程度であるのが好ましい。
これにより、中間バッグ27a内の15単位分の個数の濃厚血小板を第1の血小板採取バッグ26aに移送した場合に、15単位製剤の体積量からフィルターリンス処理操作時の洗浄液量分を差し引いた体積量の濃厚血小板が第1の血小板採取バッグ26aに移送され、その第1の血小板採取バッグ26a内の濃厚血小板の体積量は、フィルターリンス処理操作後に、15単位製剤の規格に適合する。
次いで、中間バッグ27a内の濃厚血小板を第1の血小板採取バッグ26aに移送する(ステップS102)。
ステップS102では、第6の流路開閉手段86および第9の流路開閉手段89を閉塞し、第7の流路開閉手段87および第8の流路開閉手段88を開放する(導入流路を第1の血小板採取バッグ26a側に切り替える)。これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板は、落差(自重)により、チューブ46、47を経て、白血球除去フィルター261に移送され、さらに、白血球除去フィルター261を経由し、チューブ48、52を経て、第1の血小板採取バッグ26aに移送される。
また、この際、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
次いで、中間バッグ27a内から第1の血小板採取バッグ26aに移送された濃厚血小板の個数が所定数に達したか否かを判断する(ステップS103)。
この場合、第1の血小板採取バッグ26aに移送された濃厚血小板の個数は、重量センサ62からの検出信号(検出結果)に基づいて得られた中間バッグ27a内から第1の血小板採取バッグ26aに移送された濃厚血小板の体積量と、濁度センサ19からの検出信号(検出結果)とに基づいて、求められる(カウントされる)。
また、濃厚血小板の極一部は、白血球除去フィルター261の濾過部材に捕捉されてしまうこともあるが、濁度センサ19は、血液成分回収ライン61の白血球除去フィルター261の下流側に設けられており、その濁度センサ19により、白血球除去フィルター261を通過した後の濃厚血小板の濃度を検出するようになっているので、白血球除去フィルター261に捕捉されずに、第1の血小板採取バッグ26aに移送された濃厚血小板の個数を求めることができる。同様に、後述する第2の血小板採取バッグ26bに移送された濃厚血小板の個数を求めることもできる。
また、ステップS103における所定数は、15単位製剤の個数、すなわち、15単位分の個数(3.0×1011〜3.9×1011個)であり、例えば、中間バッグ27a内の濃厚血小板の総数の3/4程度とされる。
ステップS103において、中間バッグ27a内から第1の血小板採取バッグ26aに移送された濃厚血小板の個数が所定数に達していないと判断した場合には、ステップS102に戻り、再度、ステップS102以降を実行し、その第1の血小板採取バッグ26aへの濃厚血小板の移送を継続する。
また、ステップS103において、中間バッグ27a内から第1の血小板採取バッグ26aに移送された濃厚血小板の個数が所定数に達したと判断した場合、すなわち、中間バッグ27a内の濃厚血小板のうちの15単位分の個数の濃厚血小板(例えば、中間バッグ27a内の濃厚血小板のうち、個数換算で全体の3/4程度)が、第1の血小板採取バッグ26aに移送された場合には、第7の流路開閉手段87を閉塞し、その移送を終了する(ステップS104)。なお、第7の流路開閉手段87の代わりに、第8の手段88を閉塞してもよい。これにより、第1の血小板採取バッグ26aには、15単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納される。また、中間バッグ27a内には、5単位分の個数(1.0×1011〜1.9×1011個)の濃厚血小板が残る。
なお、中間バッグ27a内から第1の血小板採取バッグ26aに移送された濃厚血小板の体積量を、重量センサ62からの検出信号(検出結果)に基づいて求め、15単位製剤の体積量(250mL±20%)からフィルターリンス処理操作時の設定洗浄液(血漿)量を差し引いた量の濃厚血小板が第1の血小板採取バッグ26aに移送されたことを確認(保証)するようになっているのが好ましい。
このとき、血小板数の不足が予想される場合は、それをオペレータに通知するとともに、濾過工程を中断し、サイクルを追加することができる。
次いで、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度を、第2の血小板採取バッグ26bに収納する予定の血小板製剤の濃度と略等しく、すなわち、5単位製剤(低単位の血小板製剤)の濃度となるように調整する(ステップS105)。
このステップS105では、第7の流路開閉手段87を閉塞し、第6の流路開閉手段86を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿は、落差(自重)により、チューブ49、46を経て、中間バッグ27aに移送される。そして、血漿採取バッグ25内の所定量の血漿が中間バッグ27aに移送されると、第2の送液ポンプ12を停止させる。
前記所定量、すなわち、ステップS105において血漿採取バッグ25から中間バッグ27aに移送する血漿の量は、その量の血漿が中間バッグ27aに移送されると、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度が5単位製剤の規格に適合する濃度となる量とされる。
また、前記濃度調整後の中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度は、具体的には、83〜250万個/μL程度であるのが好ましい。
これにより、中間バッグ27a内の5単位分の個数の濃厚血小板を第2の血小板採取バッグ26bに移送した場合に、その第2の血小板採取バッグ26b内の濃厚血小板の体積量は、5単位製剤の規格に適合する。
次いで、中間バッグ27a内の濃厚血小板を第2の血小板採取バッグ26bに移送する(ステップS106)。
ステップS106では、第6の流路開閉手段86および第8の流路開閉手段88を閉塞し、第7の流路開閉手段87および第9の流路開閉手段89を開放する(導入流路を第2の血小板採取バッグ26b側に切り替える)。これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板は、落差(自重)により、チューブ46、47を経て、白血球除去フィルター261に移送され、さらに、白血球除去フィルター261を経由し、チューブ48、54を経て、第2の血小板採取バッグ26bに移送される。
また、この際、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
次いで、気泡センサ33により空気が検出されたか否かを判断する(ステップS107)。
ステップS107において、空気が検出されない場合には、ステップS106に戻り、再度、ステップS106以降を実行し、その第2の血小板採取バッグ26bへの濃厚血小板の移送を継続する。
また、ステップS107において、空気が検出された場合には、所定の各処理を行なって、この分配操作を終了する。これにより、中間バッグ27a内の略すべての濃厚血小板が、第2の血小板採取バッグ26bに移送され、第2の血小板採取バッグ26bには、5単位の製剤規格に適合した血小板製剤が収納される。
前記空気の検出後に行なう処理としては、例えば、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、中間バッグ27a内や血液成分回収ライン61等を洗浄し、その洗浄後の血漿を、白血球除去フィルター261を通過させて、第1の血小板採取バッグ26aや第2の血小板採取バッグ26bに回収するフィルターリンス処理操作等が挙げられる。この場合、前記洗浄後の血漿を、白血球除去フィルター261を通過させて、第1の血小板採取バッグ26aに回収するフィルターリンス処理操作を行うことにより、第1の血小板採取バッグ26aに収納された濃厚血小板量は、15単位製剤の体積量に調整される。
なお、中間バッグ27a内から第2の血小板採取バッグ26bに移送された濃厚血小板の個数は、重量センサ62からの検出信号(検出結果)に基づいて得られた濃厚血小板の体積量と、濁度センサ19からの検出信号(検出結果)とに基づいて求め、5単位製剤の個数、すなわち、5単位分の個数(1.0×1011〜1.9×1011個)の濃厚血小板が第2の血小板採取バッグ26bに移送されたことを確認(保証)するようになっているのが好ましい。
このとき、血小板数の不足が予想される場合はそれをオペレータに通知するとともに、濾過工程を中断し、サイクルを追加することができる。
また、中間バッグ27a内から第2の血小板採取バッグ26bに移送された濃厚血小板の体積量を、重量センサ62からの検出信号(検出結果)に基づいて求め、5単位製剤の体積量(100mL±20%)の濃厚血小板が第2の血小板採取バッグ26bに移送されたことを確認(保証)するようになっているのが好ましい。
このとき、血小板体積量の不足が予想される場合は、それをオペレータに通知するとともに、濾過工程を中断し、サイクルを追加する等して体積量を調整する。
また、濃厚血小板の中間バッグ27a内から第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bへの移送は、それぞれ、ポンプ(図示せず)を用いて行なうようにしてもよい。
また、血漿の血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aへの移送は、ポンプ(図示せず)を用いて行なうようにしてもよい。
ここで、本発明では、前述したフィルターリンス処理操作を行うのが好ましいが、それを省略してもよい。
フィルターリンス処理操作を行わない場合は、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度は、第1の血小板採取バッグ26aへの移送前は、第1の血小板採取バッグ26aに収納する予定の血小板製剤の濃度と略等しく、すなわち、15単位製剤(高単位の血小板製剤)の濃度と同じとなるように調整され、第2の血小板採取バッグ26bへの移送前は、第2の血小板採取バッグ26bに収納する予定の血小板製剤の濃度と略等しく、すなわち、5単位製剤(低単位の血小板製剤)の濃度と同じとなるように調整される。
一方、フィルターリンス処理操作を行う場合は、フィルターリンス処理操作における洗浄後の血漿を第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26bのいずれに回収するかによって、下記(1)〜(3)のように構成するのが好ましい。
(1)洗浄後の血漿を第1の血小板採取バッグ26aに回収
これは、前記図3に基づいて説明した構成例であり、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度は、第1の血小板採取バッグ26aへの移送前は、第1の血小板採取バッグ26aに収納する予定の血小板製剤の濃度よりも少し高く、すなわち、15単位製剤(高単位の血小板製剤)の濃度よりも少し高くなるように調整され、第2の血小板採取バッグ26bへの移送前は、第2の血小板採取バッグ26bに収納する予定の血小板製剤の濃度と略等しく、すなわち、5単位製剤(低単位の血小板製剤)の濃度と同じとなるように調整される。
(2)洗浄後の血漿を第2の血小板採取バッグ26bに回収
中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度は、第1の血小板採取バッグ26aへの移送前は、第1の血小板採取バッグ26aに収納する予定の血小板製剤の濃度と略等しく、すなわち、15単位製剤(高単位の血小板製剤)の濃度と同じとなるように調整され、第2の血小板採取バッグ26bへの移送前は、第2の血小板採取バッグ26bに収納する予定の血小板製剤の濃度よりも少し高く、すなわち、5単位製剤(低単位の血小板製剤)の濃度よりも少し高くなるように調整される。
(3)洗浄後の血漿を第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26bに回収
中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度は、第1の血小板採取バッグ26aへの移送前は、第1の血小板採取バッグ26aに収納する予定の血小板製剤の濃度よりも少し高く、すなわち、15単位製剤(高単位の血小板製剤)の濃度よりも少し高くなるように調整され、第2の血小板採取バッグ26bへの移送前は、第2の血小板採取バッグ26bに収納する予定の血小板製剤の濃度よりも少し高く、すなわち、5単位製剤(低単位の血小板製剤)の濃度よりも少し高くなるように調整される。
また、前記図3に基づいて説明した構成例では、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度を第1の血小板採取バッグ26aに収納される濃厚血小板用の濃度に調整して、中間バッグ27a内から所定数の濃厚血小板を第1の血小板採取バッグ26aに移送した後、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度を、第2の血小板採取バッグ26bに収納する予定の血小板製剤の濃度と略等しくなるように調整し、中間バッグ27a内から所定数の濃厚血小板を第2の血小板採取バッグ26bに移送するように構成されているが、本発明では、これに限らず、例えば、中間バッグ27a内の濃厚血小板の濃度を第1の血小板採取バッグ26aに収納される濃厚血小板用の濃度に調整して、中間バッグ27a内から所定数の濃厚血小板を第1の血小板採取バッグ26aと第2の血小板採取バッグ26bとのうちの一方に移送し、次に、中間バッグ27a内から所定数の濃厚血小板を他方に移送し、この後、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、第2の血小板採取バッグ26b内の濃厚血小板の濃度を調整するように構成されていてもよい。
前記第2の血小板採取バッグ26b内の濃厚血小板の濃度の調整は、血漿採取バッグ25内の血漿を、直接、第2の血小板採取バッグ26bに移送して行なってもよいが、血漿採取バッグ25内の血漿を、一旦、中間バッグ27aに移送し、この中間バッグ27a内の血漿を第2の血小板採取バッグ26bに移送して行なうのが好ましい。その理由は、後者の場合は、その濃度調整の処理が、中間バッグ27aに付着した血小板(残存血小板)を回収できるという効果が期待できるためである。
また、本発明では、例えば、中間バッグ27a内から所定数の濃厚血小板を第1の血小板採取バッグ26aと第2の血小板採取バッグ26bとのうちの一方に移送し、次に、中間バッグ27a内から所定数の濃厚血小板を他方に移送し、この後、血漿採取バッグ25内の血漿を用いて、第1の血小板採取バッグ26a内の濃厚血小板の濃度と、第2の血小板採取バッグ26b内の濃厚血小板の濃度とのうちの一方を調整し、次に、他方を調整するように構成されていてもよい。
前記第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26b内の濃厚血小板の濃度の調整は、血漿採取バッグ25内の血漿を、直接、第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26bに移送して行なってもよいが、血漿採取バッグ25内の血漿を、一旦、中間バッグ27aに移送し、この中間バッグ27a内の血漿を第1の血小板採取バッグ26a、第2の血小板採取バッグ26bに移送して行なうのが好ましい。その理由は、後者の場合は、その濃度調整の処理が、中間バッグ27aに付着した血小板(残存血小板)を回収できるという効果が期待できるためである。
以上説明したように、この血液成分採取装置1によれば、濁度センサ19の検出結果に基づいて、自動的に分配操作が行なわれるので、第1のモードにおいては、1人のドナーから、単位数(単位数や体積量)が互いに異なる2種類の血小板製剤を、容易、迅速かつ確実に、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに採取することができる。これにより、製剤規格に適合し、単位数が異なる2種類の血小板製剤を、容易、迅速かつ確実に得ることができる。
また、第2のモードにおいては、1人のドナーから、単位数(単位数や体積量)が互いに同一の血小板製剤を、容易、迅速かつ確実に、第1の血小板採取バッグ26aおよび第2の血小板採取バッグ26bに採取することができる。これにより、製剤規格に適合し、単位数が同一の血小板製剤を2つ、容易、迅速かつ確実に得ることができる。
以上、本発明の血液成分採取装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
なお、前記実施形態の血液成分採取装置は、第1のモードと、第2のモードとを有しているが、本発明では、これに限らず、例えば、さらに、分配操作を行なわずに、濾過操作(濾過工程)を行なう第3のモードを有していてもよい。
この濾過操作では、第7の流路開閉手段87と、第8の流路開閉手段88または第9の流路開閉手段89を開放する。これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板は、落差(自重)により、チューブ46、47を経て、白血球除去フィルター261に移送(送液)され、さらに、白血球除去フィルター261を経由し、チューブ48と、チューブ52または54とを経て、第1の血小板採取バッグ26a内または第2の血小板採取バッグ26b内に移送される。このとき、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
この濾過操作は、例えば、最終サイクルの血小板採取操作を行なうのに並行して、または、最終サイクルの血小板採取操作終了後に行なわれる。
なお、濃厚血小板の中間バッグ27a内から第1の血小板採取バッグ26aまたは第2の血小板採取バッグ26bへの移送は、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
また、本発明の血液成分採取装置は、第1のモードと第3のモードのみを有しているものや、第1のモードのみを有しているもの(モードを選択する余地のないもの)であってもよい。
また、本発明では、第1の血小板採取バッグ(第1の血液成分採取バッグ)26aと、第2の血小板採取バッグ(第1の血液成分採取バッグ)27bの他に、中間バッグ(一時貯留バッグ)27aに一時的に貯留された濃厚血小板(所定の血球成分)を分配するために用いられる血小板採取バッグ(血液成分採取バッグ)が、さらに、1つまたは複数、設けられていてもよい。すなわち、血小板採取バッグの数は、複数であればよい。また、第1の血小板採取バッグ26aと第2の血小板採取バッグ26bの他に、さらに、1つまたは複数の血小板採取バッグを設ける場合には、例えば、血液成分回収ラインにおける、その1つまたは複数の血小板採取バッグの上流側の流路をそれぞれ開閉する1つまたは複数の流路開閉手段を設ける。
また、本発明では、血小板採取バッグを3つ以上有する場合、例えば、20単位分の濃厚血小板を採取して、5単位製剤2つと10単位製剤1つの3つに分配するモード、20単位分の濃厚血小板を採取して、5単位製剤4つに分配するモード等を有していてもよい。
また、本発明では、中間バッグ(一時貯留バッグ)27aが省略され、その中間バッグ27aを介さずに、分配操作が行われるように構成されていてもよい。
また、本発明の血液成分採取装置は、血小板製剤および血漿製剤(または血漿分画製剤の原料血漿)の両方を得るのに適用する場合に限らず、血液中から、血小板製剤のみを得る場合に適用してもよい。
また、本発明の血液成分採取装置は、血小板製剤や血漿製剤を得るのに適用する場合に限らず、例えば、血液中から、赤血球製剤等を得る場合に適用してもよい。すなわち、本発明の血液成分採取装置では、血液成分採取バッグに採取される血球成分は、血小板(血漿を含む血小板)に限らず、例えば、赤血球(血漿を含む赤血球)等であってもよい。
また、本発明では、血液分離器は、遠心型のものに限定されず、例えば、膜型等のものであってもよい。
また、本発明では、濃度検出手段は、血液成分回収ラインの細胞分離フィルター(濾過器)の上流側に設けられていてもよい。
また、本発明では、細胞分離フィルター(濾過器)により分離除去する細胞も、白血球に限定されない。
また、本発明では、細胞分離フィルター(濾過器)が省略されていてもよい。
また、本発明では、光学式センサは、図示のものに限定されず、例えば、ラインセンサ等であってもよい。
また、本発明の血液成分採取装置の方式は、間歇式(片腕式)に限らず、例えば、連続式(両腕式)であってもよい。