JP2008060331A - 半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極の直下部分の発光層からの発光を抑制して、光の取り出し効率を向上させることができるとともに、過電圧がかかった場合でも破壊を抑制することができる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】ZnO層7上に、ショットキー用ZnO層6が積層され、ショットキー用ZnO層6の一部を残して、コンタクト用ZnO層5が形成されている。ショットキー用ZnO層6の一部とコンタクト用ZnO層5に接触するようにp型GaN系コンタクト層4が形成されており、その上には、MQW活性層3、n型GaN系コンタクト層2、n電極1が順に積層されている。n電極1の直下に相当する部分のZnO層がショットキー接合となるように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】ZnO層7上に、ショットキー用ZnO層6が積層され、ショットキー用ZnO層6の一部を残して、コンタクト用ZnO層5が形成されている。ショットキー用ZnO層6の一部とコンタクト用ZnO層5に接触するようにp型GaN系コンタクト層4が形成されており、その上には、MQW活性層3、n型GaN系コンタクト層2、n電極1が順に積層されている。n電極1の直下に相当する部分のZnO層がショットキー接合となるように構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高い光の取り出し効率が得られる半導体発光素子に関する。
LED等の発光素子は、計器等の数値表示や各種表示板に多用されている。一般的に使用される発光素子構造は、例えば特許文献1の図5に示されているように、基板上に積層したn型又はp型半導体層とp型又はn型半導体層とを接合させてpn接合部を形成し、上記p型又はn型半導体層上に、さらに電流拡散層を積層して、この表面に上部電極を設け、基板の裏面に下部電極を形成している。そして、光を上部電極側から取り出すようにしている。
上部電極の直下方向のpn接合部が、最も電流が注入される領域となるので、発光素子はこの部分で発光量が最も多くなり強発光となる。ところが、この強発光は、光取り出し面に向かって発せられるが、その直上部にある上部電極によって吸収され、素子外部に効率的に取り出すことができず、発光素子の輝度が低下する。このように、従来の発光素子構造では光の取り出し効率が悪く、輝度が低いものとなっていた。
この問題を解決するために、特許文献1(図4参照)では、上部電極とその直下方向のpn接合部間に電流ブロック層を形成しており、電流はこのブロック層を迂回して流れるようになり、上記ブロック層直下方向のpn接合部の周囲に電流が集中して流れる。したがって、上部電極直下のpn接合部分に電流が集中することが防止される。また、ブロック層直下方向のpn接合部の周囲に電流が集中して流れるので、この部分が強発光となり、この強発光は上部電極に吸収されにくくなる。したがって、発光素子の強発光を効率的に外部に取り出すことが可能となり、発光素子の輝度を向上させることができる。
また、特許文献2では、In1−y(Ga1−xAlx)yP混晶半導体(0≦x≦1、0≦y≦1)において、光の取り出し方向側に設けられた上部電極の直下部分に相当するp−InGaAlPクラッド層の上に電流阻止層を形成した構成が記載されており、この電流阻止層により、上部電極の直下部の活性層からの発光を抑制し、チップ全体にキャリアを拡散させて、光の取り出し効率の向上を図っている。
特開平6−29570号公報
特許第2856374号公報
しかしながら、上記従来技術のように、電流ブロック層や電流阻止層を設けて、電極の直下部分の発光層からの発光を抑制し、発光素子全体にキャリアを拡散させると、光の取り出し効率は向上するものの、電流が全く流れない領域が発光素子内に存在することになる。そして、例えば、サージ電圧等の過電圧が加わったときに、電流ブロック層や電流阻止層の周囲に電流が過剰に流れることになり、この過電流により発光素子が破壊されるという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、電極の直下部分の発光層からの発光を抑制して、光の取り出し効率を向上させることができるとともに、過電圧がかかった場合でも破壊を抑制することができる半導体発光素子を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、少なくとも正負電極のどちらか一方の側に光を取り出す半導体発光素子であって、電極とコンタクト層との接合領域の一部がショットキー接触を形成していることを特徴とする半導体発光素子である。
また、請求項2記載の発明は、前記ショットキー接触は、電極の不純物ドープ量をオーミック接触している電極領域のドープ量とは異ならせることにより形成することを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子である。
また、請求項3記載の発明は、前記ショットキー接触は、コンタクト層をプラズマ照射して形成することを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子である。
また、請求項4記載の発明は、前記ショットキー接触を形成している電極には、ZnOを用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体発光素子である。
本発明によれば、少なくとも正負いずれか一方の電極の側に光を取り出す場合に、電極とコンタクト層との接合領域の一部をショットキー接触としているので、ショットキー接触領域直下に相当する発光層には、電流が集中せずに、ショットキー接触以外のオーミック接触が行われている領域に電流が分散されるので、光の取り出し方向に位置する電極によって吸収されたり、遮られる光の量が減少して、電極の周囲からの光の取り出し量が増える。
また、電流の流れない領域を電極とコンタクト層とのショットキー接触で構成しているので、全く電流が流れないのではなく、ショットキー障壁を越えてキャリアが流れるような電圧が印加されると、ショットキー接触領域にも電流が流れるので、素子全体に均一な電界分布となり、耐圧を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明の半導体発光素子の断面構造を示す。本発明の半導体発光素子を構成する半導体材料としては特に制限はなく、通常LED等の発光素子材料として用いられるものがいずれも使用できる。その具体例としては、InP系、GaAs系、GaP系、AlGaAs系、GaInP系、GaInAs系、AlInGaN系等の各種p型またはn型半導体を用いたものが挙げられる。
本発明の実施例では、GaN、AlGaN、InGaN、InGaAlN、GaPNなどの窒素を含む六方晶化合物半導体であって、III−V族窒化物半導体(以下、単に窒化物半導体という)を用いた。この窒化物半導体は、4元混晶系のAlxGayInzN(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表される。
図1の構造では、ZnO層7上に、ショットキー用ZnO層6が積層され、ショットキー用ZnO層6の一部を残して、コンタクト用ZnO層5が形成されている。ショットキー用ZnO層6の一部とコンタクト用ZnO層5に接触するようにp型GaN系コンタクト層4が形成されており、その上には、MQW活性層3(発光層)、n型GaN系コンタクト層2、n電極1(負電極)が順に積層されている。
n型GaN系コンタクト層2、p型GaN系コンタクト層4は、n型又はp型の不純物がドーピングされたGaN又はGaNを含んだ化合物で構成されている。例えば、n型GaN系コンタクト層2としてn型GaNが、p型GaN系コンタクト層4としてp型GaNが用いられる。
n型GaN系コンタクト層2の中央部に設けられたn電極1を除いたn型GaN系コンタクト層2表面は、粗面化加工が施されており、凹凸が形成されている。図1の半導体発光素子は、n電極1側のn型GaN系コンタクト層2の上面から光を取り出すようになっているが、n型GaN系コンタクト層2と大気との屈折率差により臨界角が存在し、臨界角よりも大きな入射角を有するMQW活性層3からの出射光は、全反射して外部に取り出すことができないので、粗面化加工により凹凸を形成することで、入射角が臨界角よりも小さくなる割合を増やして、光の取出効率を向上させるものである。
ところで、ZnO層7、ショットキー用ZnO層6、コンタクト用ZnO層5の3層でp電極50(正電極)を構成しており、ZnO層7の下面は、後述するが支持基板にボンディングされたり、ワイヤボンディグ用のパッド電極が設けられたりする。
p電極の構造で特徴的なのは、ショットキー用ZnO層6の一部は、p型GaN系コンタクト層4と接触するように形成されているが、その他の領域にはコンタクト用ZnO層5が形成されて、このコンタクト用ZnO層5がp型GaN系コンタクト層4と接していることである。ショットキー用ZnO層6がp型GaN系コンタクト層4と接している領域は、n電極1の直下に相当し、n電極1の形状や配置位置に応じて、その接触領域は変化する。
通常は、n電極とp電極間に電流を流す必要があるために、電極と電極に接しているコンタクト層との間は、オーミック接触が行われるように形成されているが、本発明では、n電極1の直下に相当する部分のZnO層がショットキー接合となるように構成している。コンタクト用ZnO層5は、Ga2O3等のドーパント濃度を最適値にして接触抵抗を低減し、p型GaN系コンタクト層4とオーミック接触するように形成されている。
通常、透明電極膜の材料としてのZnOは、不純物がドープされていないノンドープのものでは、p型GaN系半導体との接合ではオーミックコンタクトを形成しにくい。また、ノンドープのZnO膜では導電率が高くないために、駆動電圧が高くなったり、また、横方向に電流が拡散しないために発光効率が低下するという問題があるので、不純物をドーピングしてキャリア濃度を高めている。
一方、ショットキー用ZnO層6は、コンタクト用ZnO層5のドーパント濃度とは異なるように形成されており、コンタクト用ZnO層5のドーパント濃度よりも濃度を高くするか、または低くするかして、接触抵抗を上げ電流を流れにくくしている。例えば、ショットキー用ZnO層6のドーパント量を、コンタクト用ZnO層5のドーパント量の1/2以下か、または2倍以上にすることで、ショットキー用ZnO層6とp型GaN系コンタクト層4との接合領域にショットキー障壁が発生するようにし、ショットキー接触が形成される。実際には、簡単な構成とするために、ショットキー用ZnO層6には、ノンドープのZnOが用いられる。
また、ZnO層7は、電流拡散及びリーク回避のために設けられており、ショットキー用ZnO層6よりも不純物のドープ量を多くしている。ショットキー用ZnO層6として、ノンドープZnOを用いた場合には、ノンドープZnOを厚く積むとクラックが発生するため、ZnO層7については上記のように、ドープされたZnOで構成する。
ところで、図3は、ZnO層とコンタクト層との間に形成されるオーミック接触領域とショットキー接触領域における各電流−電圧特性(IV特性)データを比較した一例を示す。縦軸は電流(A)を、横軸は電圧(V)を表し、実線(X1)の曲線はオーミック接触を、破線(X2)の曲線はショットキー接触を表す。この図からもわかるように、オーミック接触よりもショットキー接触の方が接触抵抗が大きくなって電流が流れにくくなっているものの、高い電圧が加われば、電流が流れ始めるようになる。
したがって、以上のように構成することにより、n電極1直下に相当するp電極領域の接触抵抗が上がるため、n電極1の直下に電流が集中することを回避することができ、電流がn電極1直下の周囲に分散して流れるので、n電極1に吸収されたり、遮られたりする光の割合が減少するとともに、n電極1の周辺部のn型GaN系コンタクト層2から出射する光の割合が増え、光の取り出し効率が向上する。
また、絶縁膜等で電流が流れない領域を形成するのではなく、オーミック接触抵抗よりも高い接触抵抗を持つショットキー接触とすることにより、電流を流れにくくしており、ショットキー障壁を越えるような電圧が印加されると、ショットキー接触部分にも電流が流れるので、サージ電圧等の過電圧がかかった場合でも、ショットキー接触領域に電流が流れることで、素子全体が均一な電界分布となり、耐圧が向上する。
図1の半導体発光素子の形成方法の一例を図4〜図8を参照しつつ以下に述べる。まず、図4を参照しつつ説明すると、成長用基板としてサファイヤ基板8をMOCVD(有機金属化学気相成長)装置に入れ、水素ガスを流しながら、1050℃程度まで温度を上げ、サファイヤ基板8をサーマルクリーニングする。温度を600℃程度まで下げ、低温で分離層となるGaNバッファ層9を成長させる。
MOCVD装置内の温度を再び1000℃程度まで上げ、GaNバッファ層9の上に、n型GaN系コンタクト層2を積層する。n型GaN系コンタクト層2は、例えば、n型不純物SiドープのGaN層で構成される。
次に、MQW活性層3を形成する。MQW活性層3は、一例として、InGaN/GaNによる多重量子井戸構造を用いることができる。井戸層としてIn0.17GaNを20〜40Å望ましくは25〜35Å、バリア層としてアンドープGaN層又は1%程度のIn組成を有するInGaN層を50〜300Åで交互に積層して、例えば3〜10周期の多層構造で成長させる。その後昇温し、p型GaN系コンタクト層4を成長させる。p型GaN系コンタクト層4は、例えば、p型不純物MgドープのGaN層で構成される。
次に、p電極として、最初に、Ga2O3ドープのコンタクト用ZnO層5を積層する。ZnO層の積層には、分子線エピタキシー法を用いて行い、2e−4Ωcm程度の低い抵抗率を持つGa2O3ドープのコンタクト用ZnO層5を形成し、SiO2のような誘導体膜やレジストによりマスク10をn電極1が設けられる位置の直下に相当する部分を除いて形成する。そして、図5に示すように、マスク10で覆われていない領域のコンタクト用ZnO層5を希釈された塩酸等を用いたエッチングにより除去する。
次に、図6に示すように、マスク10をリフトオフした後、図7に示すように、ZnO層7を積層する。図8に示すように、支持基板21をZnO層7の上部に配置し、導電性融着層等を用いて熱圧着する。その後、レーザーリフトオフ(LLO)等によりサファイヤ基板8を除去する。例えば、248nmで発振するKrFレーザーをサファイヤ基板8側からGaNバッファ層9に向けて照射してサファイヤ基板8を剥離する。
粗面加工は、上記図8の製造工程において、サファイヤ基板8を剥離した後、n電極1を形成する前に、n電極1を積層する領域部分をSOG、SiN等のマスクで覆い、KOHと波長365nmを含むUV光を用いてエッチングを行い、n型窒化物半導体層2の露出面に凹凸を形成する。次に、マスクを剥離してn電極1を形成すると、図1の半導体発光素子が完成する(支持基板21は図示せず)。
次に図2は、図1とは異なる方法で電極のショットキー接触を形成するものである。図2の構造は、図1とほぼ同じ構造となっている。ZnO層15上に、p型GaN系コンタクト層14、MQW活性層13、n型GaN系コンタクト層12、n電極11が順に積層されている。
n電極11、n型GaN系コンタクト層12、MQW活性層13、p型GaN系コンタクト層14は、図1のn電極11、n型GaN系コンタクト層2、MQW活性層3、p型GaN系コンタクト層4と同様であり、n型GaN系コンタクト層表面の粗面化も同じであるので、これらの説明については省略する。図1と異なるのは、ZnO層15がp型GaN系コンタクト層14とオーミック接触するように形成されているが、その一部、すなわち図の×印を付けた領域がショットキー接触となっていることである。なお、ZnO層15は、p電極に相当する。
図1では、p電極とコンタクト層との接合領域の一部にショットキー接合領域を形成するために、不純物のドープ量が異なる2種類のZnO層を用いていたが、図2の例では、p型GaN系コンタクト層14の表面の一部にダメージを与えてショットキー接触を形成する。
図2のZnO層15は、図1の構造中のコンタクト用ZnO層5と同様の構成であり、Ga2O3等のドーパント濃度を最適値にして接触抵抗を低減し、p型GaN系コンタクト層14とオーミック接触するように形成されている。
一方、p型GaN系コンタクト層14とZnO層15とが接合している領域の一部(×印を付けた領域)、すなわち、n電極11の直下に相当する×印の領域は、ショットキー接触となるように、p型GaN系コンタクト層14の表面をプラズマ照射する等してダメージを与えて形成される。プラズマ照射は、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチングやRIE(Reactive Ion Etching)等を行うことで達成される。
これは、例えば、図4のように、サファイヤ基板上に、n型GaN系コンタクト層12、MQW活性層13、p型GaN系コンタクト層14を順に積層した後、n電極11の直下に相当する領域のみにプラズマ照射してダメージを与え、その後、ZnO層15を積層して、図8と同様、支持基板等に接合した後、サファイヤ基板を剥離すれば、図2の半導体発光素子が完成する(支持基板は図示せず)。
以上の実施例では、p電極(正電極)とコンタクト層との接合領域の一部にショットキー接触を形成しているが、n電極(負電極)とコンタクト層との接合領域の一部にショットキー接触を形成するようにしても良い。例えば、p電極とn電極が対向した構造で、p電極側に光を取り出す半導体発光素子としては、導電性のn型SiC基板上に、n型GaN系層、MQW活性層、p型GaN系層を積層し、n型SiC基板の裏面全面にn電極を、p型GaN系層の一部にp電極を形成したものがある。そして、p電極側から光を取り出す。
上記構造の場合に、導電性のn型SiC基板上において、n電極を形成する面のp電極直下に相当する領域のみをプラズマ照射してダメージを与えた後、n電極を形成する面とは反対側表面から、n型GaN系層、MQW活性層、p型GaN系層を順に積層していき、最後にn電極、p電極を形成する。すると、n型SiC基板(コンタクト層に相当)とn電極との接合領域の一部(プラズマ照射された領域)がショットキー接触を形成するようになり、図1や図2の半導体発光素子と同様の効果を発揮する。
一方、導電性のSiC基板を用い、図1、2と同様にn電極側から光を取り出す半導体発光素子構造の一例を図9に示す。導電性のn型SiC基板42上に、n型GaN系層43、MQW活性層44、p型GaN系層45を積層し、図1と同様に、コンタクト用ZnO層46、ショットキー用ZnO層47、ZnO層48を形成する。次に、SiC基板42の裏面の一部にn電極41を形成する。ここで、コンタクト用ZnO層46とショットキー用ZnO層47とZnO層48とでp電極60を構成する。そして、n電極41側から光を取り出す。ショットキー用ZnO層47がp型GaN系層45(コンタクト層に相当)と接している領域は、n電極41の直下に相当し、ショットキー接触となっている。この半導体発光素子は、図1や図2と同様の効果を奏する。
図1、2、9は、本発明におけるp電極とn電極が対向した構造例を示したが、図10は、同一面側にn電極、p電極がある場合の構造例を示す。図10の構造を有する半導体発光素子は、図の矢印方向に光を取り出すようになっている。
図10の構造は、p電極とn電極の配置や形状等を除けば、図1と層構造は、ほぼ同様なものとなっている。サファイヤ基板31上に、n型GaN系コンタクト層32、MQW活性層33、p型GaN系コンタクト層34を順に積層した後、コンタクト用ZnO層35とショットキー用ZnO層36とZnO層37で構成されるp電極40を形成し、ZnO層37からn型GaN系コンタクト層32の一部が露出するまでメサエッチングを行った後、p側パッド電極38、n側パッド電極39が形成される。これらパッド電極に対して、ワイヤボンディングが行われる。
コンタクト用ZnO層35、ショットキー用ZnO層36、ZnO層37の製造方法は、図4〜図7までのコンタクト用ZnO層5、ショットキー用ZnO層6、ZnO層7の形成方法と同じである。
ショットキー用ZnO層36の一部は、p型GaN系コンタクト層34と接触するように形成されているが、その他の領域にはコンタクト用ZnO層35が形成されて、このコンタクト用ZnO層35がp型GaN系コンタクト層34と接している。ショットキー用ZnO層36がp型GaN系コンタクト層34と接している領域は、p側パッド電極38の直下に相当し、p側パッド電極38の形状や配置位置に応じて、その接触領域は変化する。コンタクト用ZnO層35は、Ga2O3等のドーパント濃度を最適値にして接触抵抗を低減し、p型GaN系コンタクト層34とオーミック接触するように形成されている。
一方、ショットキー用ZnO層36は、コンタクト用ZnO層35のドーパント濃度とは異なるように形成されており、、コンタクト用ZnO層35のドーパント濃度よりも濃度を高くするか、または低くするかして、接触抵抗を上げ電流を流れにくくしている。例えば、ショットキー用ZnO層36のドーパント量を、コンタクト用ZnO層35のドーパント量の1/2以下か、または2倍以上にすることで、ショットキー用ZnO層36とp型GaN系コンタクト層34との接合領域にショットキー障壁が発生するようにし、ショットキー接触が形成される。実際には、簡単な構成とするために、ショットキー用ZnO層36には、ノンドープのZnOが用いられる。
n型GaN系コンタクト層32、MQW活性層33、p型GaN系コンタクト層34の各層の構成については、図1と同じであるので、説明を省略する。
他方、図11は、p側パッド電極38の直下にショットキー接触領域を形成しない従来のタイプの半導体発光素子を示す。図10と図11は、p電極に相当する部分の構成が異なるだけで、他の構成は同一である。本発明による図10の構造の半導体発光素子と図11の構造の従来の半導体発光素子とで光の取り出し効率又は輝度がどれほど変わるのかを測定した。輝度の測定は、図10、11ともに光の取り出し方向が素子の上側となるので、半導体発光素子の直上において、オートプローバ測定を行った。
図12は、図11の従来構造の半導体発光素子における発光強度と発光輝度の関係を示す。一方、図13は、図10の本発明による半導体発光素子における発光強度と発光輝度の関係を示す。図12及び図13ともに、横軸の輝度の単位はmcd(ミリカンデラ)であり、c1〜c10まで範囲を区切っている。最初のc1は0〜36mcdまでの発光強度を示すが、その後のc2は36〜38mcdまでの発光強度、c3は38〜40mcdまでの発光強度というように、2mcd間隔で、範囲を区切って構成し、最後のc10は、52mcd〜∞とした。
図12と図13を比較するとわかるように、図13の方が発光強度のピーク(山)が、輝度の高い領域にシフトしていることがわかる。 図12では、ピークがc4(40〜42mcd)、c5(42〜44mcd)の付近にあるのに対して、図13ではピークがc7(46〜48mcd)付近にあり、本発明の構成による半導体発光素子では、輝度が約1割向上したことがわかる。
1 n電極
2 n型GaN系コンタクト層
3 MQW活性層
4 p型GaN系コンタクト層
5 コンタクト用ZnO層
6 ショットキー用ZnO層
7 ZnO層
2 n型GaN系コンタクト層
3 MQW活性層
4 p型GaN系コンタクト層
5 コンタクト用ZnO層
6 ショットキー用ZnO層
7 ZnO層
Claims (4)
- 少なくとも正負電極のどちらか一方の側に光を取り出す半導体発光素子であって、
電極とコンタクト層との接合領域の一部がショットキー接触を形成していることを特徴とする半導体発光素子。 - 前記ショットキー接触は、電極の不純物ドープ量をオーミック接触している電極領域のドープ量とは異ならせることにより形成することを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
- 前記ショットキー接触は、コンタクト層をプラズマ照射して形成することを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
- 前記ショットキー接触を形成している電極には、ZnOを用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
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