JP2008058011A - 時計用ジャンパ付き歯車、時計のスリップ機構付き歯車構造体、時刻修正構造、及び時差修正付き時計 - Google Patents

時計用ジャンパ付き歯車、時計のスリップ機構付き歯車構造体、時刻修正構造、及び時差修正付き時計 Download PDF

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Abstract

【課題】 弾性腕部が破損する虞れの少ない時計用ジャンパ付き歯車、該歯車を備えた時計のスリップ機構付き歯車構造体、該歯車構造体を備えた時刻修正構造、及び該時刻修正構造を備えた時差修正付き時計の提供
【解決手段】 時計用ジャンパ付き歯車は、爪車62の遊嵌される中央穴部74及びその一側開口74Aと外周縁部の近傍との間に拡がる中間穴部75からなる穴73と、弾性腕部81及び爪車に係合する躍制爪部82からなるジャンパ部80とを備えた円板状本体部71、並びにその外周の歯車部82を有し、中間穴部の周壁部において外周縁部71Aのジャンパ部形成部71A1よりもジャンパ部の背面側にズレた部位71A2に基端91でつながり該基端から躍制爪部の背面85に対面する領域まで延びた弾性補助腕部90を有し、該弾性補助腕部90が、その延在端92においてジャンパ部80を躍制爪部82の前記背面85で支える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、時計用ジャンパ付き歯車、該歯車を備えた時計のスリップ機構付き歯車構造体、該歯車構造体を備えた時刻修正構造、及び該時刻修正構造を備えた時差修正付き時計に係る。
腕時計のような小型の携帯時計において、通常の時刻表示針の運針を止めることなく、時差修正を行い得るようにした時差修正付き時計は、古くから知られている(例えば、特許文献1)。
この種の時差修正付き時計では、時針、分針及び秒針の如き通常の時刻表示針の運針を行わせる通常の時車(筒車)その他の時刻表示車に加えて、外国の特定の場所の如く時差の有る地点での時刻を表示する時差時針を運針させる補助筒車を備える。この補助筒車は、通常の時刻表示車の回転に同期して回転されて一定の時差のある時を表示させ、通常運針を妨げることなく時差修正を行い得るように、通常の時刻表示車の回転に影響を及ぼすことなくその回転位置のみが独自に調整可能に構成される。
この種の時差修正付き時計のうち最近の時差修正付き時計は、部品点数を最低限に抑えると共に小型化を図るべく、例えば、図6の(a)に示すような構造を有する。すなわち、この時差修正付き時計101では、時針、分針及び秒針を備えた通常の時刻表示機構の運針動作を行わせる通常の時車(筒車)(図示せず)、分車112及び秒車(図示せず)に加えて、該通常の時車(筒車)とは別に、外国の特定の場所の如く時差のある地点での時刻を表示するための補助筒車120を備える。また、この時差修正付き時計101では、部品点数を最低限に抑えると共に小型化を図るべく、補助筒車120が、爪車の形態のカナ部132を備えた第一の補助筒車部130と、該第一の補助筒車部130と協働してスリップ機構付き歯車構造体140を形成すべく該第一の補助筒車部130に係合された第二の補助筒車部150とを備える。第二の補助筒車部150は日の裏車114に噛合されている。
ここで、図6の(a)に加えて図6の(b)に拡大して示したように、従来の補助筒車120を構成する第二の補助筒車部150は、円板状本体部152と該円板状本体部152の外周の歯車部156とを備える。円板状本体部152は、穴160とジャンパ部170とを有するジャンパ付き歯車の形態を採る。円板状本体部152の穴160は、第一の補助筒車部130の爪車ないしカナ部132の遊嵌される中央穴部161と、該中央穴部161の一側開口162と外周縁部163の近傍との間に拡がる中間穴部164とを含む。ジャンパ部170は、中間穴部164の外周縁部163に基端171でつながり該基端171から前記中央穴部161の前記一側開口162まで延びた弾性腕部172と、該弾性腕部172のうち中央穴部161の前記一側162に臨む部位において爪車132に係合する躍制爪部175とを有する。弾性腕部172は、ばねとして働く。円板状本体部152の穴160のうち中間穴部164は、ジャンパ部170の躍制爪部175が爪車132の爪部134に対して係脱される際にジャンパ部170の弾性腕部172の弾性変形を許容する。ジャンパ部170は、爪車132と協働して時計のスリップ機構141を形成する。
時差修正付き時計101では、通常運針の際には、分車112の回転が日の裏車114を介して補助筒車120のうち第二の補助筒車部150の円板状本体部152の外周の歯車部156に伝えられる。この場合(第二の補助筒車部150が回転駆動される場合)、スリップ機構141のジャンパ部170と爪車132との係合が保持され、該第二の補助筒車部150の回転に応じて第一の補助筒車部130が回転され、該第一の補助筒車部130に取り付けられた補助時針(図示せず)の運針が行われる。
一方、時差の異なる地域に移動したときのように時差の変化に応じた異なる時を補助時針(図示せず)で表示させる場合、巻真103を時差修正用の引出位置に設定しておき、巻真103をその回転中心軸線AのまわりでA1方向又はA2方向に回転させることにより、第一及び第二のカレンダ修正伝え車181,182及び第一及び第二の時修正伝え車185,186を介して第一の補助筒車部130をH1方向又はH2方向に回転させ、該第一の補助筒車部130に取付けられた補助時針を所定の時刻表示位置まで回転させる。なお、巻真103が時差修正用引出位置にある場合、該巻真103の回転によっては、通常の時刻表示車(通常の時車、分車112及び秒車)は回転されない。一方、第一の補助筒車部130がスリップ機構141を介して第二の補助筒車部150に係合され且つ該第二の補助筒車部150が日の裏車114を介して分車112等の増速輪列に係合されているので、第二の補助筒歯車部のうちスリップ機構付き歯車構造体140の一部を構成するジャンパ部170の躍制爪部175が第一の補助筒歯車部130のうちスリップ機構付き歯車構造体140の他の一部を構成するカナ部132の爪部(歯部)に対して躍動して第一及び第二の補助筒車部130,150の間にすべりが生じるから、時差修正の際に通常運針状態の時刻表示針の表示はそのまま保たれる。
この従来のスリップ機構付き歯車構造体140を構成するジャンパ付き歯車150は、その径が数mm程度と小さいことから、ジャンパ部170の弾性腕部(バネ部)172の長さも制限されて短かくなり、曲げ応力が集中する弾性腕部172の基部等に大きな応力がかかることから、該弾性腕部172の基部等が壊れ易く、弾性腕部172の表面等に僅かなクラック等があるだけで、その部分から壊れる虞れが高くなる。従って、これを避けるためには、部品の表面処理等を要する。特に、このジャンパ付き歯車150は、プレスによる打抜きで形成されていたことから、抜き型の保守等にも注意を要した。
また、この従来のスリップ機構141を構成するジャンパ部170は、片持ち梁の形態で構成され且つ躍制爪部175が爪車(カナ部)132に係合する部位における爪車132の接線方向とほぼ平行な方向にほぼ直線状に弾性腕部172が延びる。従って、爪車132の回転方向が異なると、爪車132の回転に要する力が異なる。即ち、例えば、図7の(a)に示したように爪車132の爪部が躍制爪部175をジャンパ部170の弾性腕部172の先端側に向かって押すようにH1方向に回転する場合と(b)に示したように爪車132の爪部が躍制爪部175を弾性腕部172の基端側に向って押すようにH2方向に回転する場合とでは、爪車132の回転に対するジャンパ部170の回転規正力が異なる(図7の(b)の方が大きくなる)。従って、時差修正の際、巻真103の回転方向によって時差修正のために要するトルクが相当異なり、ユーザに違和感を与える。
なお、ジャンパ部170を片持ち支持する代わりに、両持ち支持すること自体は提案されているけれども(特許文献2)、ジャンパ部を両持ち支持すると躍制爪部による制止力が過度に大きくなる虞れがある。一方、両持ち支持されたジャンパ部の制止力を低く抑えようとしてジャンパ部の弾性腕部を撓み易くすると、ジャンパ部の躍制爪部が爪車の爪部の回転方向に揺動して円板状本体部の穴の周壁に当たってスリップ機構の動作が不安定になる虞れがある。
特公平7−111463号公報 実公昭59−18377号公報
本発明は前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、弾性腕部が破損する虞れの少ない時計用ジャンパ付き歯車、該歯車を備えた時計のスリップ機構付き歯車構造体、該歯車構造体を備えた時刻修正構造、及び該時刻修正構造を備えた時差修正付き時計を提供することにある。
本発明の時計用ジャンパ付き歯車は、前記目的を達成すべく、爪車の遊嵌される中央穴部及び該中央穴部の一側開口と外周縁部の近傍との間に拡がる中間穴部からなる穴と、前記中間穴部の周壁部において外周縁部のジャンパ部形成部に基端でつながり該基端から前記中央穴部の前記一側開口の近傍まで延びた弾性腕部及び該弾性腕部のうち前記中央穴部の前記一側開口に臨む部位において前記爪車に係合する躍制爪部からなるジャンパ部とを備えた円板状本体部、並びに該円板状本体部の外周の歯車部を有し、前記爪車と協働して時計のスリップ機構付き歯車構造体を形成する時計用ジャンパ付き歯車であって、中間穴部の周壁部において外周縁部の前記ジャンパ部形成部よりもジャンパ部の背面側にズレた部位に基端でつながり該基端からジャンパ部の躍制爪部の背面に対面する領域まで延びた弾性補助腕部を有し、該弾性補助腕部が、その延在端においてジャンパ部を躍制爪部の前記背面で支えるように構成された。
本発明の時計用ジャンパ付き歯車では、「ジャンパ部の躍制爪部の背面に対面する領域まで延びた弾性補助腕部」が設けられ、「該弾性補助腕部が、その延在端においてジャンパ部を躍制爪部の背面で支えるように構成され」ているので、ジャンパ部の弾性腕部が曲げられた際に弾性補助腕部がジャンパ部の弾性腕部の弾性力に対して付加的な弾性力を与え得る。従って、ジャンパ部の弾性腕部が全体的に撓み易くなるように(単一の弾性腕部が所要の制止力を与えるバネとして働く従来のジャンパ部の弾性腕部と比較して同程度の変形に対する弾性力が小さくなるように)ジャンパ部の弾性腕部をより細長く(細く又は長く)形成し得る。その結果、ジャンパ部の弾性腕部の基端への応力の集中が低減され得、弾性腕部の折れその他の破損が生じる虞れが少なく、ジャンパ部に多少の傷があっても弾性腕部が壊れる虞れが少ない。従って、ジャンパ付き歯車が長期間安定に動作し得る。
しかも、本発明のジャンパ付き歯車では、弾性補助腕部は、単に、ジャンパ部の弾性腕部を補強するのではなく、「中間穴部の周壁部において外周縁部のジャンパ部形成部よりもジャンパ部の背面に対面する側にズレた部位に基端でつながり該基端からジャンパ部の躍制爪部の背面に対面する領域まで延び」るので、該弾性補助腕部の配備及び撓み動作を許容するように中間穴部を大きく拡げるだけで、板状本体部の一部を一体的に構成する弾性補助腕部の配備が可能になり、部品点数の増大や構造の過度な複雑化を避け得る。また、該弾性補助腕部は、ジャンパ部の躍制爪部の背面側でジャンパ部の弾性腕部を支えるので、一方ではジャンパ部の弾性腕部の撓みを許容し他方では躍制爪部の制止力を確保するように該弾性腕部の弾性力を補強し得る。なお、ここで、「外周縁部のジャンパ部形成部よりもジャンパ部の背面に対面する側にズレた部位」とは、先端部(延在端)においてジャンパ部の弾性腕部の先端部の背面側に達し得るような弾性補助腕部の基端部の位置をいい、弾性補助腕部の基端部自体は、弾性腕部の背面側に位置していなくてもよい。
なお、弾性補助腕部は、典型的には、爪車の回転に伴い該爪車の爪部(歯部)によって弾性腕部の延在端が多少変形されて初めて該弾性腕部の延在端の背面に弾性補助腕部が当接するように、爪車の嵌合前のジャンパ付き歯車単独の状態では、弾性腕部と弾性補助腕部との間に、狭い間隙があるように形成される。従って、ジャンパ付き歯車は、UV−LIGA等により正確に製造され得る。但し、所望ならば、ジャンパ付き歯車の延在端において弾性腕部のうち躍制爪部のある延在端の背面に常時当接するようにいずれか一方又は両方の腕部を予め曲げておいてもよい。以上において、弾性腕部及び弾性補助腕部は、典型的には、躍制爪部等の先端肥大部を除き、基端から先端に向って多少先細になるように形成される。但し、基端以外の部分は実際上同じ幅であってもよい。弾性腕部や弾性補助腕部の厚さは、典型的には、幅よりも小さい。但し、所望ならば、厚さが、幅よりも厚くてもよい。
なお、本発明のジャンパ付き歯車において、弾性補助腕部は典型的には一本であるけれども、所望ならば、一つの弾性補助腕部の背後に更にこれを補強する別の弾性補助腕部が設けられていてもよい。
この明細書において、「背面」又は「背後」とは、ジャンパ部の弾性腕部の先端部のうち爪車に対面する側(躍制爪部の突出する側)とは反対側、即ち、爪車の爪部を乗り越えるように躍制爪部が爪車の爪部によって該爪車の半径方向外向きに押される際に躍制爪部が変位される側をいう。
本発明のジャンパ付き歯車では、典型的には、前記弾性腕部が躍制爪部の前記背面に該背面側に突出した凸状部を備え、弾性補助腕部が前記延在端で該凸状部を支える。これにより、弾性補助腕部は、弾性腕部の先端部に対して、躍制爪部が爪車に向う向きの弾性力を、弾性腕部の躍制爪部の背後から確実に及ぼし得る。なお、所望ならば、弾性補助腕部のうち躍制腕部の躍制爪部の背面に対面する領域に弾性腕部の躍制爪部のある先端部の背面を支える凸状部を形成しておいてもよい。その場合、弾性腕部の躍制爪部の背面(躍制爪部のある先端部の背面)には、凸状部がなくてもよい。
本発明のジャンパ付き歯車では、典型的には、前記弾性腕部及び前記弾性補助腕部は、爪車の爪部によって押された際に曲げられる方向に傾斜している。
その場合、弾性腕部及び弾性補助腕部は、一箇所に過度の応力集中が生じることなく(応力が分散されるから)、全体的に撓み易い。ここで、「爪車の爪部によって押された際に曲げられる方向に傾斜」とは、「爪車の爪部によって押された際に曲げられる方向」(すなわち前述の背後の方向)に沿った仮想線と弾性腕部や弾性補助腕部の延在方向の仮想線との成す角度が、90度よりも小さいことをいう。なお、前記傾斜は、典型的には、弾性腕部及び弾性補助腕部の全体について該当するけれども、場合によっては、先端部(延在端)を含む一部だけであってもよい。但し、その場合、弾性腕部及び弾性補助腕部の全体が滑らかに湾曲する。
なお、時計のジャンパ付き歯車では、前述のように、元々、歯車の径が小さい(例えば、2〜3mm程度又はそれ以下である)ので、弾性腕部や弾性補助腕部の長さも短くならざるを得ない。従って、弾性腕部や弾性補助腕部を最大限長くしようとすると、弾性腕部や弾性補助腕部は、躍制爪部が爪車の爪部に当たる部位における爪車の接線方向に対して傾斜する位置を採ることが好ましい。
本発明のジャンパ付き歯車では、例えば、前記弾性補助腕部の基端部が、前記ジャンパ部の前記基端部から歯車の周方向に間隔をおいて且つ該ジャンパ部の前記基端部に隣接して位置し、前記弾性補助腕部が前記ジャンパ部の前記弾性腕部に沿って延びる。
その場合、中間穴部を弾性腕部の背面側に多少拡げるだけで、弾性補助腕部の配備が可能になる。なお、この場合、弾性補助腕部は弾性腕部とほぼ平行に配置されるけれども、典型的には、先端側程弾性腕部に近接するように配置される。但し、躍制爪部の背後に凸状部が形成されている場合、弾性補助腕部は弾性腕部と実際上平行であってもよい。
なお、本発明のジャンパ付き歯車では、典型的には、前記弾性補助腕部の基端部が、前記ジャンパ部の前記基端部とは前記歯車部の直径方向の反対側に位置し、前記弾性補助腕部が基端から先端まで前記ジャンパ部の弾性腕部とは反対向きに延びる。
その場合、弾性補助腕部が撓んだ際にその延在端が弾性腕部の延在端を押す方向が弾性腕部が撓んだ際にその延在端が爪車の爪部を押す方向とは異なるので、全体として、爪車の爪部に対して該爪車の半径方向に近い向きの力を及ぼし得る。すなわち、弾性腕部が片持ち支持され且つある程度の長さを有するように躍制爪部が爪車に当たる部位における爪車の接線方向に対して傾斜して配置されることから、躍制爪部が爪車の爪部に対して及ぼす制止力の向きは多少なりとも爪車の半径方向からズレるのを避け難いけれども、弾性補助腕部が同様の理由により多少なりとも爪車の半径方向に対して逆側にズレた向きに弾性力を及ぼし得るから、全体として、爪車の半径方向に近い向きの力を該爪車の爪部に対して及ぼし得ることになる。その結果、片持ちバネの形態の単一の弾性腕部のみがある従来のジャンパ付き歯車の場合と比較して、爪車の回転方向にかかわらず同様な制止力を爪車に対して及ぼし得る。従って、躍制爪部が爪車の爪部を乗り越えるように躍制爪部を躍動させることにより爪車を回転させる際にユーザが付与すべきトルクがいずれの方向でも同程度になり得る。
すなわち、このジャンパ付き歯車を時差修正時計の時差時針のためのスリップ機構付き歯車に適用する場合、時差を進み方向に調整する場合及び遅れ方向に調整する場合に要するトルクの差が最低限に抑えられ得る。
本発明のジャンパ付き歯車では、典型的には、前記ジャンパ部の前記弾性腕部が直線状に延びている。従って、ジャンパ部の形成が容易である。但し、所望ならば、ジャンパ部の弾性腕部が湾曲する等、非直線状であってもよい。
本発明のジャンパ付き歯車では、典型的には、前記弾性補助腕部が直線状に延びている。従って、弾性補助腕部の形成が容易である。但し、所望ならば、弾性補助腕部も湾曲する等、非直線状であってもよい。
本発明の時計のスリップ機構付き歯車構造体は、前述のような時計用ジャンパ付き歯車と、前記爪車とを有する。また、本発明の時計の時刻修正構造は、前記のような時計のスリップ機構付き歯車構造体を備えた時計の時刻修正構造であって、前記ジャンパ付き歯車が筒歯車である。更に、本発明の時差修正付き時計は、典型的には、前記のような時刻修正構造を備える。
本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい一実施例に基づいて説明する。
図1及び図2には、本発明の好ましい一実施例の時差修正付き時計1が示されている。この時差修正付き時計1は、本発明の好ましい一実施例のジャンパ付き歯車70を備えた本発明の好ましい一実施例のスリップ機構付き歯車構造体3を具備した本発明の好ましい一実施例の時差修正構造2を有する。
時差修正付き時計1は、24時間表示の時針21、分針31及び秒針41が取付けられる時車20、分車30及び秒車40に加えて、時差のある時を表示する時差時針61が取付けられる補助筒車としての補助時車60を有する。24時間表示の時表示に係る部分に「主」をつけ、例えば24時間表示の時針21を以下では主時針21ともいう。図2において、10は地板、11,12は輪列受等の受、13は日車押え又は裏物押えである。
通常運針に際して、秒車40は、秒歯車42において輪列駆動機構(図示せず)から所定速度で回転駆動を受け、秒カナ43において三番車の如き伝え車(図示せず)を介して分車30の分歯車32を回転させる。分歯車32が胴部ないし軸部33にスリップ係合してなる分車30は、分カナ34を介して日の裏車50の日の裏歯車51を回転させ、日の裏車50は、日の裏カナ(図示せず)を介してこれに噛合した時車(筒車)20を回転させる。これにより、秒針41、分針31及び主時針21が回転されて、通常の現在時刻の表示が行われる。
時差修正付き時計1の補助筒車ないし補助時車60は、図2からわかるように、三つの部分60A,60B1,60B2からなり、第一部分60Aは、ジャンパ付き歯車70の形態を採る。第二部分60B1は、小径の爪車ないしカナ62の形態で、分車30の胴部ないし軸部33に摺動回転自在に嵌合されている。爪車62は同じ大きさ及び形状の12個の爪67(図1)を等間隔に備える。第三部分60B2は、爪車62の中空軸部63の下部が嵌着される穴部64を備えた胴部65及びこれと一体的な歯車部66を備える。第二部分60B1及び第三部分60B2は、全体として、一体的な補助筒車本体部60Bを構成する。
ジャンパ付き歯車70は、図2の断面図に加えて、該歯車70及び爪車62を含むスリップ機構付き歯車構造体3を拡大して示した図3の平面図からわかるように、円板状本体部71と、該本体部71の外周の平歯車部72とを有する。円板状本体部71は、大きな穴73と、該穴73内に延びたジャンパ部80及び弾性補助腕部90とを備える。穴73は、中央穴部74と、該中央穴部74の一側開口74Aと円板状本体部71の外周縁部71Aとの間に拡がる中間穴部75とを有する。
中央穴部74には、補助筒車本体部60Bを構成する第二部分60B2である爪車ないしカナ62が遊嵌される。中央穴部74は、180度よりも大きい範囲にわたって延びた円弧状の周面74Bを備え、円弧の開口部分が中央穴部74の開口部74Aになっている。中間穴部75は、中央穴部74の一側開口74Aで該中央穴部74につながり、該開口74Aと円板状本体部71の外周縁部71Aの近傍との間に拡がる。中央穴部74に遊嵌される爪車ないしカナ62は、円弧状周面74Bにほぼ内接すると共に開口部74Aにおいて、中央穴部74から中間穴部75に向って突出する。
ジャンパ部80は、弾性腕部81と躍制爪部82とを有する。ジャンパ付き歯車70は、例えば、数mmの直径(但しより大きくてもより小さくてもよい)を有し、弾性腕部81の幅は例えば0.1〜0.3mm程度(但しより大きくてもより小さくてもよい)である。弾性腕部81は、図6の(b)や図7に示した従来のジャンパ付き歯車150の弾性腕部170よりも細長い(歯車の径が同じで弾性腕部の長さが同程度である場合、従来のものより細く、その幅が従来のものより小さい(狭い))。弾性補助腕部90は弾性腕部81と同様又はこれより少し細長い。従って、弾性腕部81や弾性補助腕部90が曲げられる際に、その基端部への応力の集中が低減され(弾性腕部81及び弾性補助腕部90に応力が分散され)得る。このようなジャンパ付き歯車70は、好ましくは、UV−LIGAにより形成される。但し、UV−LIGAの代わりにプレス等で製造されてもよい。
弾性腕部81は、中間穴部75の一側76Aすなわち中間穴部75の周壁76の一側76Aにおいて円板状本体部71の外周縁部71Aのうち部位71A1(すなわちジャンパ部形成部71A1)に基端83でつながり、該基端83から中央穴部74の開口74Aの近傍まで多少先細になるように延在し、延在端(先端部)84において躍制爪部82に一体的につながっている。従って、躍制爪部82は、開口74Aに臨むところに位置する。すなわち、弾性腕部80は、延在端84において爪車62にほぼ接するように(但し、躍制爪部82の係合する部位での爪車62の接線方向に対して多少傾斜するように)B方向に直線状に延び、延在端ないし先端部84の一側にある躍制爪部82で爪車62の爪部(歯部)67,67間に係合する。なお、延在端84のうち躍制爪部82の背面側(躍制爪部82のある側とは反対側)には滑らかに湾曲した凸状部85が形成されている。爪車62が中央穴部74に嵌っていない状態では、弾性腕部80の先端側部分86は、図3において、想像線86fで示す位置PJ1を採る。爪車62が中央穴部74に遊嵌され躍制爪部82が爪車62の爪67,67の間に係合ないし噛合すると、弾性腕部80の先端側部分86は、D1方向に弾性変形されて実線86で示す制止位置PJ2を採る。
弾性補助腕部90は、中間穴部75の他側76Bすなわち中間穴部75の周壁76の他側76Bにおいて円板状本体部71の外周縁部71Aのうちジャンパ部形成部71A1からジャンパ部80の背面側にズレた部位71A2に基端91でつながり、該基端91から中央穴部74の開口74Aに臨む中間穴部75の中央部75Aまで延在している。ここで、基端部91のつながる部位71A2に関して、「ジャンパ部形成部71A1よりもジャンパ部80の背面に対面する側にズレた部位」とは、先端部(延在端)92においてジャンパ部80の弾性腕部81の先端部84の背面側に達し得る弾性補助腕部90の基端部91の位置をいい、弾性補助腕部90の基端部91自体は、弾性腕部81の背面側に位置していなくてもよい。弾性補助腕部90は、延在端(先端部)92の一側93において、ジャンパ部80の弾性腕部81の延在端ないし先端部84の背面側の凸状部85に対面するところに位置する。すなわち、弾性補助腕部90は、延在端92においてジャンパ部80の凸状部85にほぼ接するようにE方向に直線状に延びる。爪車62が中央穴部74に嵌っておらず弾性腕部80の先端部84が自由位置PJ1にある場合、弾性補助腕部90の先端側部分94は、図3において、想像線94fで示す位置PS1を採る。爪車62が中央穴部74に遊嵌され躍制爪部82が爪車62の爪67,67の間に係合し弾性腕部80の先端側部分86が制止位置PJ2へとD1方向に弾性変形されて弾性補助腕部90の延在端92の一側部93に押付けられると、弾性補助腕部90の先端側部分94は、F1方向に弾性変形されて実線94で示す第一支持位置PS2を採る。
中間穴部75は、ジャンパ部80の弾性腕部81のD1,D2方向への揺動を許容するように、弾性腕部81の揺動方向の両側に十分大きなスペースないし穴部分75B1,75B2を有し、弾性補助腕部90のF1,F2方向への揺動を許容するように、弾性補助腕部90の揺動方向の両側に十分大きなスペースないし穴部分75C1,75C2を有する。なお、中間穴部75は更に弾性補助腕部90の先端側部分94のF1方向への揺動を許容するように、穴部分75C3を穴部分75B2と穴部分75C2との中間に有する。
なお、ジャンパ部80の躍制爪部82が爪車62の隣接する二つの爪部67,67間に係合ないし噛合して爪車62を相対的に制止した状態S1において、躍制爪部82の頂点82Aと中央凹部74の中心Cすなわち爪車62の中心Cとを結ぶ仮想線Gに関し、ほぼ対称な位置に弾性腕部80の基端83と弾性補助腕部90の基端91が位置する。従って、基端83,91は、中心Cに関してほぼ直径方向に対向する位置にある。但し、厳密には、弾性腕部81及び弾性補助腕部90が直線的に伸長した状態を採り得るように、基端83,91は、いずれも、中心CよりもG1方向にズレた位置にある。また、弾性腕部81の延在方向Bの仮想線と仮想線Gとの成す角は90度よりも小さく、弾性補助腕部90の延在方向Eの仮想線と仮想線Gとの成す角は90度よりも小さい。従って、弾性腕部81がD1方向に曲げられ、弾性補助腕部90がF1方向に曲げられる際に、弾性腕部81の基端部83及び弾性補助腕部90の基端部91への応力集中が最低限に抑制され得る。
以上のように構成されたスリップ機構付き歯車構造体3において、爪車62の下流側の負荷が小さい場合、弾性補助腕部90のF2方向の弾性力及び弾性腕部81のD2方向の弾性力によって躍制爪部82が爪車62の相対回転を禁止する。すなわち、躍制爪部82が爪車62の爪部67,67間に係合ないし噛合した状態において、ジャンパ付き歯車70がH1方向又はH2方向に回転駆動されると、爪車62もジャンパ付き歯車70と一体的にH1方向又はH2方向に回転駆動される。
一方、スリップ機構付き歯車構造体3において、ジャンパ付き歯車70の下流側の負荷が大きい場合、爪車62が回転駆動されても、ジャンパ付き歯車70は爪車62の回転によっては回転されない。
まず、爪車62がH1方向に回転される場合について、図4の(a)に基づいて詳しく説明する。
図3において実線で示したような制止状態S1から爪車62がH1方向に回転すると、図4の(a)に示したように、ジャンパ部80の躍制爪部82の二側面82A,82BのうちH1方向上流側の側面82Aに当接又は近接していた爪部67Aが、該爪部67AのH1方向下流側側面67A1で躍制爪部82のH1方向上流側側面82AをH1方向に押す。従って、ジャンパ部80の弾性腕部81の先端側部分86がD1方向に揺動されて躍制爪部82がG1方向に後退する。また、弾性腕部81のD1方向揺動に伴う凸状部85のG1方向変位に応じて、弾性補助腕部90の先端側部分94がF1方向に揺動される。
この弾性腕部81の先端側部分86のD1方向揺動及び弾性補助腕部90の先端側部分94のF1方向揺動に際して、弾性腕部81は先端部84に位置する躍制爪部82で爪車62の爪部67Aに対してD2方向の弾性力K1を及ぼし、弾性補助腕部90は先端部92で弾性腕部82の先端部84の凸状部85及び躍制爪部82を介して爪車62の爪部67Aに対してF2方向の弾性力K2を及ぼす。従って、弾性腕部82及び弾性補助腕部90は、協働して、爪車62の爪部67Aに対して合力Kを及ぼす。この合力Kの向きは、弾性力K1の向きよりも半径方向G2に近似し、大まかには、半径方向G2に一致する。
なお、爪車62の回転に伴い躍制爪部82がG1方向に後退して爪車62の爪部67Aを乗り越えると、弾性腕部82及び弾性補助腕部90の弾性力の作用下で躍制爪部82が躍動して、次の爪部67,67の間に嵌り込む。
一方、図3において実線で示したような制止状態S1から爪車62がH2方向に回転すると、図4の(b)に示したように、ジャンパ部80の躍制爪部82の二側面82A,82BのうちH2方向上流側の側面82Bに当接又は近接していた爪部67Bが、該爪部67BのH2方向下流側側面67B1で躍制爪部82のH2方向上流側側面82BをH2方向に押す。従って、ジャンパ部80の弾性腕部81の先端側部分86がD1方向に揺動されて躍制爪部82がG1方向に後退する。また、弾性腕部81のD1方向揺動に伴う凸状部85のG1方向変位に応じて、弾性補助腕部90の先端側部分94がF1方向に揺動される。
この弾性腕部81の先端側部分86のD1方向揺動及び弾性補助腕部90の先端部92のF1方向揺動に際して、弾性腕部81は先端部84に位置する躍制爪部82で爪車62の爪部67Bに対してD2方向の弾性力N1を及ぼし、弾性補助腕部90は先端部92で弾性腕部82の先端部84の凸状部85及び躍制爪部82を介して爪車62の爪部67Bに対してF2方向の弾性力N2を及ぼす。従って、弾性腕部82及び弾性補助腕部90は、協働して、爪車62の爪部67Bに対して合力Mを及ぼす。この合力Nの向きは、弾性力N1の向きよりも半径方向G2に近似し、大まかには、半径方向G2に一致する。
爪車62の回転に伴い躍制爪部82がG1方向に後退して爪車62の爪部67Bを乗り越えると、弾性腕部82及び弾性補助腕部90の弾性力の作用下で躍制爪部82が躍動して、次の爪部67,67の間に嵌り込む。
以上において、力K1,N1は弾性腕部82のD1方向弾性変形に起因し力K2,N2は弾性補助腕部90のF1方向弾性変形に起因するものであるから本来同じであり、合力K,Nも同じである。すなわち、ジャンパ付き歯車70を備えたスリップ機構付き歯車構造体3では、ジャンパ付き歯車70のジャンパ部80が片持ち支持された弾性腕部81を備えるにもかかわらず、弾性補助腕部90が弾性腕部82の躍制爪部82の背後の凸状部ないし突出部85を逆側から片持ち支持することにより躍制爪部82が爪車62に対してほぼ半径方向G1の力を及ぼし得るので、爪車62の回転方向H1,H2にかかわらず、爪車62の回転に対して弾性腕部82及び弾性補助腕部90が及ぼす抵抗がほぼ同程度になる。なお、躍制爪部82の側面82A,82Bは、爪車62の半径方向G1又はG2に対して、同程度傾斜している。
図1及び図2に戻って、時差修正付き時計1では、図2からわかるように、補助筒車60のうち部分60Aを構成するジャンパ付き歯車70は、歯車部72で日の裏車50の時差修正用カナ部52と噛み合っている。
従って、通常運針状態においては、日の裏車50の回転が時差修正用日の裏カナ52を介してジャンパ付き歯車70に伝えられ、該ジャンパ付き歯車70の回転に応じてカナ部ないし爪車62が回転されて補助筒車本体部60Bが回転されるので、時差時針61は設定された時差分だけズレた時を表示するように運針される。
また、図1及び図2からわかるように、時差修正付き時計1の時刻修正構造としての時差修正構造2は、スリップ機構付き歯車構造体3の形態の補助筒車60に加えて、相互に噛み合った第一及び第二のカレンダ修正伝え車55及び56並びに第一及び第二の時修正伝え車57及び58を有する。第一のカレンダ修正伝え車55は、巻真14がM方向に引出されて時差修正位置M1に設定されると小鉄車15と噛合し、巻真14が中心軸線AのまわりでA1又はA2方向に回転される際、つづみ車16及び小鉄車15を介して回転される。第二の時修正伝え車58は、補助筒車60の本体部60Bの歯車部66に噛合し、巻真14のA1又はA2方向の回転を、補助筒車60の本体部60Bに伝え、該補助筒車60をH1又はH2方向に回転させる。
従って、時差修正位置M1に設定された巻真14のA1又はA2方向回転に伴い補助筒車本体60Bの胴部65がH1又はH2方向に回転され、補助時針ないし時差時針61がH1又はH2方向に回転されて時差分だけズレた時に設定される。このとき、補助筒車本体60Bのカナ部ないし爪車部62もH1又はH2方向に回転されるけれども、ジャンパ付き歯車70は日の裏車50の時差修正用カナ部52を介して比較的高負荷系につながっているので、爪車62の回転によってはジャンパ付き歯車70は回転されず、ジャンパ部70の躍制爪部82が躍動動作することにより、爪車62とジャンパ付き歯車70との間にスベリが生じる。
ここで、時差修正付き時計1のジャンパ付き歯車70では、躍制爪部82への制止力を弾性腕部81の弾性力だけでなくその背後に位置する弾性補助腕部90の弾性力によって与えるようにし、弾性腕部81を細長く形成しているので、躍制爪部82の躍動動作の際に弾性腕部81の先端側部分86がD1方向に大きく揺動されるように弾性腕部81が弾性変形されても、弾性腕部81の基端部83に過度の応力集中が生じる虞れがなく(弾性補助腕部90にも応力が分散され得るから)、弾性腕部81が長期間壊れにくい。従って、時差修正動作が長期間安定に行われ得る。
また、時差修正付き時計1のジャンパ付き歯車70では、弾性補助腕部90が弾性腕部81とは逆向きに片持ち支持されて弾性腕部82の先端部84の背後の凸状部85を弾性支持するので、爪車62の回転方向H1,H2にかかわらず、爪車62は実際上同様な回転負荷のある状態で回転され得るから、表示すべき時差を増加させる方向に巻真14を回すときも該表示時差を減少させる方向に巻真14を回すときも巻真14にかかる負荷が同程度になる。従って、ユーザが時差時針を時差の大きくなる向きに調整するときも時差の小さくなる向きに調整するときも、ユーザは同程度のトルクを巻真14にかければよいので、違和感なく時差修正を行い得る。
なお、弾性補助腕部が、図3及び図4等に示したようにジャンパ部の弾性腕部に対して直径方向に対向する位置(周方向に見てほぼ180度離れた位置)に設けられる代わりに、図5に示したように、周方向にみて近接した位置に設けられてもよい。
図5に示したスリップ機構付き歯車構造体Q3のジャンパ付き歯車Q70において、図3及び図4に示したスリップ機構付き歯車構造体3のジャンパ付き歯車70と同様な要素には、最初に符号「Q」が付されている。
すなわち、図5のジャンパ付き歯車Q70においても、弾性補助腕部Q90が中間穴部Q75の外周縁部Q71Aのうちジャンパ部形成部Q71A1よりもジャンパ部Q80の背面に対面する側にズレた部位Q71A2に基端Q91でつながり、該基端Q91からジャンパ部Q80の躍制爪部Q82の背面側の凸状部Q85に対面する領域まで延び、その延在端Q92においてジャンパ部Q80を躍制爪部Q82の背面凸状部Q85で支える点は、ジャンパ付き歯車70の弾性補助腕部90と同様である。
但し、図5のジャンパ付き歯車Q70では、図3及び4のジャンパ付き歯車70とは異なり、弾性補助腕部Q90の基端部Q91がジャンパ部Q80の基端部Q83から歯車Q72の周方向に間隔をおいて且つジャンパ部Q80の基端部Q83に隣接して位置し、弾性補助腕部Q90がジャンパ部Q80の弾性腕部Q81に沿って延びている。
従って、このジャンパ付き歯車Q70では、中間穴部Q75がジャンパ部Q80の弾性腕部Q81の先端側部分Q86のQD1,QD2方向揺動を許容する穴部分Q75B1,Q75B2を有すると共に弾性補助腕部Q90の先端側部分Q94のQF1,QF2方向揺動を許容する穴部分Q75C1,Q75C2を有すること自体は、ジャンパ付き歯車70の中間穴部75の場合と同様である。但し、ジャンパ付き歯車Q70では、弾性補助腕部Q90が弾性補助腕部90とは異なり弾性腕部Q80に近接し且つこれに並設されていることから、中間穴部Q75の穴部分Q75B1と穴部分Q75C2とが共通(実際上同じ)領域になる点で、ジャンパ付き歯車70とは異なる。
このジャンパ付き歯車Q70においても、ジャンパ付き歯車70の場合と同様に、ジャンパ部Q80の弾性腕部Q81が、弾性補助腕部Q90によって背後から支えられ得るので、図6の(b)や図7の(a)及び(b)に示した従来のジャンパ付き歯車150の弾性腕部170と比較して細く形成され、基端部Q83に過度な応力が集中する虞れが少ない。
ジャンパ付き歯車Q70の中央穴部Q74に爪車62が嵌っていない場合、ジャンパ付き歯車Q70のジャンパ部80の弾性腕部Q81の先端側部分Q86及び弾性補助腕部Q90の先端側部分Q94は、図5の(a)において、想像線Q86f及びQ94fで示したような状態QPJ1及びQPS1を採る。この状態QPJ1,QPS1では、弾性腕部Q81と弾性補助腕部Q90との間には、若干の隙間がある。
ジャンパ付き歯車Q70の中央穴部Q74に爪車62を嵌めると、爪車62の爪67,67の間に躍制爪部Q82が係合した安定位置(制止位置)QS1になる。その場合、弾性腕部Q81の先端側部分Q86がQD1方向に若干揺動して躍制腕部Q82がG1方向に若干後退することにより、躍制爪部Q82と爪車62の爪部67,67間の凹部との係合が可能になる。先端側部分Q86がQD1方向に若干揺動した弾性腕部Q81は、その先端部Q84の背面側にある凸状部Q85で弾性補助腕部Q90の先端側部分Q94をG1方向に押し、該先端側部分Q94をQF1方向に僅かに揺動させる。
スリップ機構付き歯車構造体Q3において、ジャンパ付き歯車Q70が回転駆動される場合、前述のスリップ機構付き歯車構造体3の場合と同様に、躍制爪部Q82が爪部67,67間に係合された爪車62が躍制爪部Q82の制止力の作用下でジャンパ付き歯車Q70と実際上一体的に回転する。
一方、スリップ機構付き歯車構造体Q3において、爪車62が一方向(例えば、H1方向)に回転駆動された場合、図5の(b)に示したように、躍制爪部Q82の下流側に位置する爪部67によって躍制爪部Q82がG1方向に押されるので、ジャンパ部Q80の弾性腕部Q81の先端側部分Q86がQD1方向に揺動され、該揺動に伴い凸状部Q85に押されて弾性補助腕部Q90の先端側部分Q94がQF1方向に揺動される。
爪部67の先端が躍制爪部Q82の先端(の前)を通過すると、弾性腕部Q81及び弾性補助腕部Q90のQD2,QF2方向の弾性復元力の作用下で、躍制爪部Q82が躍動して次の爪部67,67間の安定位置に嵌り込む。
このような躍制爪部Q82の躍動動作は、弾性腕部Q81の弾性力だけではなく弾性補助腕部Q90の弾性力によって支えられる。従って、弾性腕部Q81の弾性力は図7に示したような従来のジャンパ部の弾性腕部の弾性力と比較してが小さくてもよいから、弾性腕部Q81の基部Q83に過度な応力がかかるのを避け得、長期間安定に動作し得る。
爪車62がH1方向の代わりにH2方向に回転する場合も、弾性腕部Q81及び弾性補助腕部Q90は、実際上同様に機能する。
以上においては、ジャンパ付き歯車が時差修正付き時計の時差修正構造に適用される例について説明したけれども、本発明のジャンパ付き歯車は、時計の他の部分に用いられてもよい。
本発明の好ましい一実施例のジャンパ付き歯車を備えた本発明の好ましい一実施例の時差修正付き時計の平面説明図(但し、ケースその他の外装部分は省略)。 図1の時差修正付き時計の一部の拡大断面説明図。 図1の時差修正付き時計で用いられている本発明の好ましい一実施例のジャンパ付き歯車の平面説明図。 図4のスリップ機構付き歯車構造体の動作状態を示したもので、(a)は爪車が一方向に回転する場合のスリップ機構付き歯車構造体の動作状態を示した平面説明図、(b)は爪車が他方向に回転する場合のスリップ機構付き歯車構造体の動作状態を示した平面説明図。 本発明の一変形例のジャンパ付き歯車を備えた本発明の一変形例のスリップ機構付き歯車構造体を示したもので、(a)は図3と同様な平面説明図、(b)は図4の(a)と同様な動作状態の平面説明図。 従来の時差修正付き時計のジャンパ付き歯車を説明するための図であって、(a)は従来の時差修正付き時計の一部を拡大して示した平面説明図、(b)は(a)の時差修正付き時計で用いられているジャンパ付き歯車についての図3と同様な平面説明図。 従来のジャンパ付き歯車を備えたスリップ機構付き歯車構造体の動作を説明するための図であって、(a)は爪車が一方向に回転する際におけるスリップ機構付き歯車構造体の一部を拡大して示した平面説明図、(b)は爪車が(a)とは反対方向に回転する際におけるスリップ機構付き歯車構造体の一部を拡大して示した平面説明図。
符号の説明
1 時差修正付き時計
2 時差修正構造
3 スリップ機構付き歯車構造体
4 スリップ機構
14 巻真
15 小鉄車
16 つづみ車
20 時車(筒車)ないし主時車(主筒車)
21 時針(主時針、24時針)
30 分車
31 分針
32 分歯車
33 胴部(軸部)
34 分カナ
40 秒車
41 秒針
42 秒歯車
50 日の裏車
51 日の裏歯車
52 日の裏カナ
60 補助時車(補助筒車)
60A 第一部分(ジャンパ付き歯車)
60B 補助筒車本体部
60B1 第二部分(爪車部分)
60B2 第三部分
62 爪車(カナ)
63 中空軸部
64 穴部
65 胴部
66 歯車部
67 爪部
70,Q70 ジャンパ付き歯車
71,Q71 円板状本体部
71A1,Q71A1 ジャンパ部形成部
72,Q72 歯車部
73,Q73 穴
74,Q74 中央穴部
74A,Q74A 開口
75,Q75 中間穴部
80,Q80 ジャンパ部
81,Q81 弾性腕部
82,Q82 躍制爪部
83,Q3 基端
84 延在端(先端部)
85,Q85 凸状部
86,Q86 先端側部分
90,Q90 弾性補助腕部
91,Q91 基端部
92,Q92 延在端(先端部)
94,Q94 先端側部分
55、56 カレンダ修正伝え車
57、58 時修正伝え車
A 中心軸線
A1,A2 回転方向
B,E 延在方向
C 回転中心
D1,D2,QD1,QD2 揺動方向
F1,F2,QF1,QF2 揺動方向
G 仮想中心線(半径方向仮想線)
G1,G2 半径方向の変位方向
H1,H2 回転方向
K,K1,K2,N,N1,N2 弾性力のかかる方向
M 巻真出し入れ方向
M1 時差修正位置

Claims (10)

  1. 爪車の遊嵌される中央穴部及び該中央穴部の一側開口と外周縁部の近傍との間に拡がる中間穴部からなる穴と、前記中間穴部の周壁部において外周縁部のジャンパ部形成部に基端でつながり該基端から前記中央穴部の前記一側開口の近傍まで延びた弾性腕部及び該弾性腕部のうち前記中央穴部の前記一側開口に臨む部位において前記爪車に係合する躍制爪部からなるジャンパ部とを備えた円板状本体部、並びに
    該円板状本体部の外周の歯車部
    を有し、前記爪車と協働して時計のスリップ機構付き歯車構造体を形成する時計用ジャンパ付き歯車であって、
    中間穴部の周壁部において外周縁部の前記ジャンパ部形成部よりもジャンパ部の背面側にズレた部位に基端でつながり該基端からジャンパ部の躍制爪部の背面に対面する領域まで延びた弾性補助腕部を有し、該弾性補助腕部が、その延在端においてジャンパ部を躍制爪部の前記背面で支えるように構成された時計用ジャンパ付き歯車。
  2. 前記弾性腕部が、躍制爪部の前記背面に該背面側に突出した凸状部を備え、前記弾性補助腕部が前記延在端で該凸状部を支える請求項1に記載の時計用ジャンパ付き歯車。
  3. 前記弾性腕部及び前記弾性補助腕部は、爪車の爪部によって押された際に曲げられる方向に傾斜している請求項1又は2に記載の時計用ジャンパ付き歯車。
  4. 前記弾性補助腕部の基端部が、前記ジャンパ部の前記基端部から歯車の周方向に間隔をおいて且つ該ジャンパ部の前記基端部に隣接して位置し、前記弾性補助腕部が前記ジャンパ部の前記弾性腕部に沿って延びている請求項1から3までのいずれか一つの項に記載の時計用ジャンパ付き歯車。
  5. 前記弾性補助腕部の基端部が、前記ジャンパ部の前記基端部とは前記歯車部の直径方向の反対側に位置し、前記弾性補助腕部が基端から先端まで前記ジャンパ部の弾性腕部とは反対向きに延びている請求項1から3までのいずれか一つの項に記載の時計用ジャンパ付き歯車。
  6. 前記ジャンパ部の前記弾性腕部が直線状に延びている請求項1から5までのいずれか一つの項に記載の時計用ジャンパ付き歯車。
  7. 前記弾性補助腕部が直線状に延びている請求項1から6までのいずれか一つの項に記載の時計用ジャンパ付き歯車。
  8. 請求項1から7までのいずれか一つの項に記載の時計用ジャンパ付き歯車と、前記爪車とを有する時計のスリップ機構付き歯車構造体。
  9. 請求項8に記載の時計のスリップ機構付き歯車構造体を備えた時計の時刻修正構造であって、前記ジャンパ付き歯車が筒歯車である時計の時刻修正構造。
  10. 請求項9に記載の時刻修正構造を備えた時差修正付き時計。
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