JP2008055882A - 難燃性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、基材シートの表面を難燃化処理することにより、難燃性の性能を付与し、かつ前記基材シートの側面や難燃化処理層の亀裂から燃焼してしまうことを防止した難燃性シートを提供する。
【解決手段】 本発明の難燃性シートは、基材シートの両面に、特定のリン含有化合物を含有してなるリン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂とからなる樹脂成分、および平均粒子径が0.05μm〜1μmである水酸化マグネシウムからなる難燃化処理層を有するものである。また本発明の難燃性シートは、基材シートの少なくとも一方の面と難燃化処理層との間に、リン含有ポリエステル樹脂からなる下引き層を有するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は基材シートの表面に難燃性処理が施された難燃性シートに関し、特に基材シートの側面からの燃焼を防止した難燃性シートに関する。
社会の安全意識の向上や、高層ビル、高速鉄道などの高度な社会基盤の構築によって、材料分野もより多様な安全性が求められるようになってきており、例えば、高層ビルの室内の壁紙や、遮煙スクリーン、地下道の電光看板表面、防煙垂壁等で使用されるシートは、火災を防止するため、難燃性の性能が求められている。
従来、このような難燃性シートとしては、燃焼性の低い樹脂に種々の難燃剤を配合したものをシート化したものなどが提案されている。
例えば、ポリアミド樹脂にメラミンシアヌレートを添加した難燃性樹脂をシート状に加工した難燃性シートが提案されている(特許文献1)が、このような難燃性シートは柔軟性や強度が低く物性の不十分なものであった。
また、例えば、オレフィン樹脂に水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤を多量に配合してシート状に加工した難燃性シートが提案されているが、このような難燃性シートは、多量の無機系難燃剤が配合されていることにより、透明性が低いため無色透明での用途では使用することができず、使用用途が限定されるといった問題があった。また、シートの強靭さが低下するという問題もある。
また、例えば、オレフィン樹脂にハロゲン系難燃剤を配合してシート状に加工した難燃性シートが提案されているが、焼却時にハロゲン系ガスが発生し機器の腐食や人体への影響が指摘されており、さらにダイオキシンの発生という環境汚染の問題がある。
特開2001―31780号公報
そこで、本発明者らは、加工性の良好な柔軟性や強度の高い基材シートの表面に、シリカ等の無機膜やシリコーン系樹脂等の難燃性の樹脂等、燃焼性の低い膜(難燃化処理層)を設けることにより、基材シート表面に難燃化処理を施し、難燃性シートを作製してみたところ、基材シートの表面は前記難燃化処理層により難燃性の性能を示すが、基材シートの側面が火にさらされると、前記難燃化処理層に挟まれた基材シートが中から溶けて燃え始めてしまうという現象が生じた。また、基材シートは熱により伸びやすく、前記難燃化処理層は熱により収縮しやすいことから、火にさらされた際に熱変形した基材シートに難燃化処理層が追従することができず難燃化処理層に亀裂を生じ、その亀裂から露出した基材シート部分に火がつき燃えてしまうという現象が生じた。
そこで、本発明は、基材シートの表面を難燃化処理することにより、難燃性の性能を付与し、かつ前記基材シートの側面や難燃化処理層の亀裂から燃焼してしまうことを防止した難燃性シートを提供することを目的とする。
本発明の難燃性シートは、基材シートの両面に、リン含有ポリエステル樹脂、およびリン含有エポキシ樹脂とからなる樹脂成分と、無機系難燃剤とからなる難燃化処理層を有することを特徴とするものである。
また、本発明の難燃性シートは、前記リン含有ポリエステル樹脂が、下記の一般式(I)で表されるリン含有化合物を含有してなるものであることを特徴とするものである。
Figure 2008055882
(式中、R1〜R8はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。また、Aは水素原子又は有機基を示し、R1〜R8と同一であっても、異なっていてもよい。但し、R1〜R8並びにAのうちの少なくとも一つはエステル形成性官能基を有する。)
また、本発明の難燃性シートは、前記難燃化処理層におけるリン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂の合計の含有量は、樹脂成分中の50重量%以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の難燃性シートは、前記難燃化処理層におけるリン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂との割合は、重量比で1:3〜3:1であることを特徴とするものである。
また、本発明の難燃性シートは、前記無機系難燃剤が水酸化マグネシウムであることを特徴とするものである。
また、本発明の難燃性シートは、前記難燃化処理層における水酸化マグネシウムの含有量は、樹脂成分100重量部に対し、10重量部〜150重量部であることを特徴とするものである。
また、本発明の難燃性シートは、前記水酸化マグネシウムの平均粒子径が0.05μm〜1μmであることを特徴とするものである。
また、好ましくは、本発明の難燃性シートは、前記基材シートの少なくとも一方の面と難燃化処理層との間に、リン含有ポリエステル樹脂からなる下引き層を有することを特徴とするものである。さらに好ましくは、前記リン含有ポリエステル樹脂は、上記一般式(I)で表されるリン含有化合物を含有してなるものであることを特徴とするものである。
なお、本発明でいう水酸化マグネシウム粒子の平均粒子径とは、電子顕微鏡写真中で任意の線を引き、直線上の粒子のなかから20個を選び、その20個の粒子の径のうち、長い方の径の平均値を平均粒子径としたものをいう。
また、本発明でいう「基材シート」とは、一般に「シート」と呼ばれる厚みのものに限られず、「フィルム」や「プレート(板)」と呼ばれるような厚みのものも含むものである。
本発明によれば、基材シートに難燃性の性能を付与し、特に前記基材シートの側面や難燃化処理層の亀裂から燃焼してしまうことを防止した難燃性シートが得られる。
以下、各構成要素の実施の形態について説明する。
本発明の基材シートとしては、特に透明・不透明は問わず、用途に応じて適宜選択すれば良いが、材質としては、透明なものであれば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、アセチルセルロースなどのプラスチックフィルム、プラスチックシート、プラスチックプレート等があげられる。不透明なものとしては、紙、合成紙などの不透明基材、上記のプラスチックのフィルム、シートやプレートの内部に顔料などを含有させて不透明化させたもの、上記のプラスチックのフィルム、シートやプレートに隠蔽性を有する着色層を設けたものなどがあげられる。
基材シートの厚みは、用途によって異なるので一概にいえないが、取り扱いの容易性などを考慮すると、フィルム、シート状のものであれば、下限として2μm以上、好ましくは10μm以上、上限としては300μm以下、好ましくは125μm以下、プレート状であれば、10mm以下、好ましくは3mm以下程度が一般的と考えられる。
このような基材シートは、後述する難燃化処理層との接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理などの易接着処理を施したり、下引易接着処理層を設けたものであっても良い。また、このような基材シートは、通常用いられる各種紫外線吸収剤、酸化防止剤等が含有されたものでも良く、別途これらを含有する層を有するものであっても良い。また、このような基材シートは、室内の壁紙や広告用の印刷物等のように、印刷による図柄層が設けられたものであっても良い。
次に、難燃化処理層について説明する。難燃化処理層は、リン含有ポリエステル樹脂、およびリン含有エポキシ樹脂とからなる樹脂成分と、無機系難燃剤とからなるものである。
リン含有ポリエステル樹脂は、柔軟性に優れるため熱によって軟化した基材シートへの追従性を良好なものとすることができること、および火にさらされた際に基材シートとほぼ同じタイミングで溶融することにより、基材シートの燃焼を抑制することができることから、主に基材シートの側面からの基材シートの燃焼を防止すると共に、難燃化処理層に生じた亀裂から露出した基材シート部分の燃焼を防止するために用いられる。リン含有ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とリン含有化合物とを縮合反応または重縮合反応させることにより得られる。
上記のジカルボン酸成分としては、例えば芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩を挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては例えば直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸等をあげることができる。
また、ジカルボン酸成分には、上記のようなジカルボン酸のほか、その無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、ジカルボン酸の誘導体であって後述するグリコール成分と反応してエステルを形成するもの(ジカルボン酸のエステル形成性誘導体)も含む。
これらの中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、並びにコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類が、反応の容易性、得られる樹脂の耐候性、耐久性等の点から好適である。特に芳香族ジカルボン酸類のみを用いるか、芳香族ジカルボン酸類を主成分とするのが最適である。
また、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール、並びにプロピレングリコール及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、並びに1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールS、ビスフェノールA等をあげることができる。
また、グリコール成分には、上記のようなグルコールのほか、これらのグリコールに対応するジアセテート化合物等のように、グリコールの誘導体であって前記ジカルボン酸成分と反応してエステルを形成するもの(グリコールのエステル形成性誘導体)も含む。
これらグリコール成分は1種単独で用い、或いは2種以上を併用することができる。これらの中でも特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、並びに1,4−ブタンジオール等のブタンジオール類、並びに1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール類、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールA等が反応の容易性、得られる樹脂の耐久性等の点から好適である。
またこのようなリン含有ポリエステル樹脂には、後述するリン含有エポキシ樹脂との反応性を付与するため、反応性付与成分として、例えば三塩基酸無水物や四塩基酸無水物等の3価以上の多価カルボン酸成分等を用いることが好ましい。この場合、多価カルボン酸に起因するカルボキシル基を骨格中に残存させた状態で反応を終了させ、この残存カルボキシル基を反応基として用いることができる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸、(5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の多価カルボン酸があげられ、またこれらの無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、多価カルボン酸の誘導体であってグリコール成分と反応してエステルを形成するもの(多価カルボン酸のエステル形成性誘導体)も含まれる。リン含有ポリエステル樹脂の三次元架橋をできるだけ防止し、重縮合反応後においてもカルボキシル基を有効に残存させるという観点から、これらの中でも特に無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸を用いることが好ましい。以上のような反応性付与成分は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
また反応性付与成分の使用量は、上記ジカルボン酸成分及び反応性付与成分の合計量中で、1〜60モル%とすることが好ましく、この場合、製造工程における不必要な架橋反応を排除できる重合条件下において、充分な重合度を得ることができると共に、リン含有ポリエステル樹脂に十分な反応基を付与することができる。
次にリン含有化合物としては、上記ジカルボン酸成分、グリコール成分、反応性付与成分のうちの少なくともいずれかと反応して縮合または重縮合可能なものが用いられ、具体的にはその分子中にエステル形成性官能基を有するものを用いることが好ましい。
上記のエステル形成性官能基とは、他のカルボキシル基又はヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成する官能基を意味するものであり、カルボキシル基及びヒドロキシル基のほか、カルボキシル基を無水物化、エステル化、酸クロライド化、ハロゲン化するなどして誘導されるものであって、他のヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成するもの(カルボキシル基のエステル形成性誘導基)や、ヒドロキシル基をアセテート化するなどして誘導されるものであって、他のカルボキシル基と反応してエステル結合を形成するもの(ヒドロキシル基のエステル形成性誘導基)も含まれる。
特にエステル形成性官能基が、カルボキシル基又はヒドロキシル基である場合には、製造工程において良好な反応性が得られるため好ましい。
また、特にリン含有化合物が、その一分子中にエステル形成性官能基を1個又は2個有するものであることが好ましく、このようにすると、リン含有ポリエステル樹脂の製造工程において、不必要な架橋反応を排除するように重合条件を調整した場合にも、充分な重合度を有するリン含有ポリエステル樹脂を得ることができる。更に、リン含有化合物がエステル形成性官能基を2個有する場合においては、2個のエステル形成性官能基が共にカルボキシル基であるか、ヒドロキシル基である場合により良好な結果が得られる。
上記のリン含有化合物としては、反応の容易性、難燃効果等が特に優れている点から、下記一般式(I)から(III)で表される化合物を好適なものとして例示でき、特に一般式(I)で表される化合物が最適である。
Figure 2008055882
(式中、R1〜R8はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。また、Aは水素原子又は有機基を示し、R1〜R8と同一であっても、異なっていてもよい。但し、R1〜R8並びにAのうちの少なくとも一つはエステル形成性官能基を有する。)
Figure 2008055882
(式中、R9及びR10はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R9及びR10の少なくとも一方はエステル形成性官能基を有する。)
Figure 2008055882
(式中、R11〜R13はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R11〜R13の少なくともいずれかはエステル形成性官能基を有する。)
上記一般式(I)〜(III)に示すリン含有化合物としては、特に一分子中にエステル形成性官能基を1個又は2個有するものが好ましい。
ここで上記一般式(I)〜(III)における有機基とは、適宜の置換基が選ばれるものであり、特に限定されるものではないが、炭素数1〜1000の1価の有機基が好ましい。1価の有機基としては例えば、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基等の脂環族炭化水素基、アリール基等の芳香族炭化水素基、アラルキル基等の炭化水素基、並びにカルボキシル基、アルキルオキシ基等が例示される。これらの基は、更にそのなかに官能基を含んでもよい。例えば、エステル形成性官能基(カルボキシル基、ヒドロキシル基並びにこれらから誘導されるエステル形成性誘導基)を含む置換基を有していてもよい。ただし、既述のように、一分子中に存在するエステル形成性官能基の数は1又は2個であることが好ましい。
上記一般式(I)で表されるリン含有化合物はエステル形成性官能基を好ましくは1個又は2個有するものであるが、これらは有機基であるA中に存在することが望ましい。なお、上記一般式(I)で表されるリン含有化合物のうち特に好適なものは、R1〜R8が水素原子であり、かつAがエステル形成性官能基としてヒドロキシル基、カルボキシル基又はこれらから誘導されるエステル形成性誘導基を1個又は2個有するものであり、この場合には、リン含有ポリエステル樹脂の調整時における反応性を良好なものとし、また得られるリン含有ポリエステル樹脂の反応性や、難燃性、耐熱性等を特に優れたものとすることができる。
一般式(I)で表されるリン含有化合物として、最適なものとしては下記化学式(a)〜(e)で表されるものを例示できる。
Figure 2008055882
(式中、R14は水素原子又は炭素数1〜6の、直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
Figure 2008055882
(式中、R15及びR16は、それぞれ水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示し、R15及びR16は同一のものでも異なるものでもよい。)
Figure 2008055882
Figure 2008055882
Figure 2008055882
上記一般式(II)で表されるリン含有化合物のうち、特に好適なものとしては、下記化学式(f)及び(g)で表されるものを例示できる。
Figure 2008055882
(式中、R17は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
Figure 2008055882
(式中、R18は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
上記一般式(III)で表されるリン含有化合物のうち、特に好適なものとしては、下記化学式(h)で表されるものを例示できる。
Figure 2008055882
(式中、R19は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
前記リン含有化合物は、リン含有ポリエステル樹脂を製造する際にメタノール、エタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの2価アルコールに溶解もしくは分散させて反応系に添加するのが好ましい。
本発明においてリン含有化合物の使用量は、得られるリン含有ポリエステル樹脂中におけるリン含有化合物に由来するリン原子の含有量が、リン含有ポリエステル樹脂の全量に対する重量比率で300ppm以上となるように調整された量であることが好ましく、更に好ましくは500ppm以上となるようにするものである。このようにすれば、リン含有ポリエステル樹脂に対して特に優れた難燃性、耐熱性を付与することができる。またこのリン含有化合物の使用量の上限は特に限定されるものではないが、上記のリン原子の含有量が200000ppm以下となる範囲で配合することが好ましく、この場合、重合性不良等の発生を防止してリン含有ポリエステル樹脂の樹脂特性が損なわれることを防止することができる。
ここで、リン含有ポリエステル樹脂を得るにあたり使用する上記の各成分は、各成分に含まれるカルボキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数と、ヒドロキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数とが、モル比率で1:1〜1:2.5の範囲となるように配合することが好ましい。
また、リン含有ポリエステル樹脂を調製する際には、分子量を調整するために、公知の多官能性化合物、例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジメチロールブタン酸、3官能性カルボン酸などを適宜の量用いることも好ましい。特にリン含有化合物としてその官能基(エステル形成性官能基)が1個のものを用いる場合には末端停止剤として作用することがあるので、上記の多官能性化合物を適宜併用するのが好ましい。
また、上記以外の反応成分として、例えばp−ヒドロキシ安息香酸、1価の脂肪族アルコール等を併せて用いることも可能である。
リン含有ポリエステル樹脂は、公知のポリエステル製造方法により得ることができる。例えばジカルボン酸とグリコールを用いる直接エステル化反応或いはジカルボン酸のエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル交換反応を第1段反応とし、この反応生成物を重縮合させる第2段反応により製造することができる。
なお、上記のジカルボン酸成分及びグリコール成分以外の成分は上記第1段反応の当初から第2段反応終了に至るまでの任意の時期に添加して反応に供することができる。
次に、リン含有エポキシ樹脂は、火にさらされた際に炭化層の形成を促進し難燃性の性能を得ることができることから、主に基材シートの表面に難燃性を付与するために用いられる。リン含有エポキシ樹脂は、リン含有化合物とエポキシ樹脂とを縮合反応または重縮合反応させたものであり、エポキシ樹脂成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2,2’,6,6’−テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス−β−トリフルオロメチルジグリシジルビスフェノールA等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,6−ジグリシジルオキシナフタレン型エポキシ樹脂、1−(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)−1−(2−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)メタン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)−1−フェニル−メタン等のナフタレン系エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、レゾルシノージグリシジルエーテル等のその他の2官能型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と、ノボラック型エポキシ樹脂とを、ビスフェノールを介して共重合させたエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノールとの重付加体のエポキシ化物に代表される環式脂肪族エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルp−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール、テトラグリシジルm−キシリレンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;その他、フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール、テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル等のエポキシ樹脂などがあげられる。なかでもTg(ガラス転移点)の向上、優れた耐水性の付与という観点から、ノボラック型エポキシ樹脂を使用するのが好ましい。
上記エポキシ樹脂はそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また上記のようなエポキシ樹脂を変性したエポキシ樹脂を併用しても良い。
これらのエポキシ樹脂の中でも、エポキシ当量が150〜1000g/eqのものが好ましい。エポキシ当量をこのような範囲とすることにより、硬化物の架橋密度を高めることができ、Tg(ガラス転移点)や耐熱性を向上することができる。
リン含有化合物としては、上述したリン含有ポリエステル樹脂と同様のものを用いることができる。
難燃化処理層におけるリン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂の合計の含有量は、十分な難燃性の性能を得るという観点から、樹脂成分中の50重量%以上とすることが好ましい。
また難燃化処理層におけるリン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂との割合は、重量比で1:3〜3:1とすることが好ましい。リン含有ポリエステル樹脂の下限、およびリン含有エポキシ樹脂の上限をこのような範囲とすることにより、熱によって軟化した基材シートへの追従性を良好なものとすることができ、火にさらされた際に基材シートとほぼ同じタイミングで溶融することにより、基材シートの側面からの基材シートの燃焼を防止すると共に、難燃化処理層に生じた亀裂から露出した基材シート部分の燃焼を防止することができる。また、リン含有ポリエステル樹脂の上限、およびリン含有エポキシ樹脂の下限をこのような範囲とすることにより、初期の硬化性が低下するのを防止することができ、硬化未完了状態であっても取扱い性を十分なものとすることができる。また、基材シートの表面の難燃性を十分なものとすることができる。
さらに、本発明における難燃化処理層は、リン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂の架橋密度を高めるため硬化剤を加えることが好ましい。このような硬化剤としてはアミン系、酸無水物系、イミダゾール系、イソシアネート系等があげられ、製造時の塗膜面のより速い硬化という観点から、リン含有ポリエステル樹脂にはイソシアネート系、リン含有エポキシ樹脂にはアミン系が好ましく用いられる。
また、本発明における難燃化処理層は、リン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂の他、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、初期の硬化性の向上、硬化完了時間の短縮、表面硬度の向上、可とう性の向上、基材シートとの接着性の向上や取扱い性の向上等の効果を得るため、例えば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂等の他の樹脂成分を加えても良い。このような難燃化処理層における他の樹脂成分の含有量は、樹脂成分中の50重量%未満とすることが好ましい。
次に、本発明における難燃化処理層は、上述した樹脂成分と無機系難燃剤とからなるものである。無機系難燃剤としては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、窒化珪素、窒化硼素などがあげられ、少ない添加量で高い難燃性の効果が得られるという点で、水酸化マグネシウムを用いることが好ましい。水酸化マグネシウムの含有量としては、樹脂成分100重量部に対し、下限として10重量部以上、好ましくは20重量部以上であり、上限としては150重量部以下、好ましくは50重量部以下である。このような範囲とすることにより、高い難燃性の効果が得られつつ、難燃化処理層に亀裂を生じさせにくくすることができる。
また、このような水酸化マグネシウムの大きさは、特に限定されるものではないが、好ましくは平均粒子径が0.01μm〜3μm、さらには0.05μm〜1μmとすることが好ましい。このような範囲とすることにより、粒子径が3μmを超える水酸化マグネシウムを用いる場合よりも少ない添加量で、難燃化処理層に亀裂を生じさせにくくすることができる。
また、本発明における難燃化処理層は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、他の微粒子、滑剤、蛍光増白剤、染料、顔料、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、分散剤、離型剤、触媒等の種々の添加剤を含ませることができる。
難燃化処理層の厚みとしては、基材シートの厚みや材質などによって異なってくるので、一概にいえないが、例えば厚み25μm〜250μmのポリエステルフィルムを基材シートとして用いた場合は、難燃化処理層の厚みは1μm〜40μm、好ましくは5μm〜25μm程度である。
このような難燃化処理層は、上述した基材シートの両面に、上述のリン含有ポリエステル樹脂、リン含有エポキシ樹脂、無機系難燃剤および必要に応じて加えた他の樹脂成分、添加剤、希釈溶媒を混合して難燃化処理層用塗布液を混合し、従来公知の塗布方法、例えば、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷などによって塗布、乾燥し、熱を加えることによりキュアリングして硬化させることにより形成することができる。
また、本発明の難燃性シートは、前記基材シートの少なくとも一方の面と難燃化処理層との間に、リン含有ポリエステル樹脂からなる下引き層を有することが好ましい。
下引き層で用いるリン含有ポリエステル樹脂は、上述した難燃化処理層に用いるリン含有ポリエステル樹脂と同様のものを用いることができる。また、リン含有ポリエステル樹脂に用いられるリン含有化合物としては、反応の容易性、難燃効果等が特に優れている点から、上述した一般式(I)から(III)で表される化合物が好適であり、特に一般式(I)で表される化合物が最適である。
リン含有ポリエステル樹脂は、上述したように柔軟性に優れるため熱によって軟化した基材シートへの追従性を良好なものとすることができること、および火にさらされた際に基材シートとほぼ同じタイミングで溶融することにより、基材シートの燃焼を抑制することができる。しかし、難燃化処理層におけるリン含有ポリエステル樹脂の含有量については、上述したようにリン含有エポキシ樹脂により火にさらされた際に炭化層の形成を促進し、基材シートの表面に難燃性を付与するという観点から、難燃化処理層においては上述した範囲以上に含有させることは好ましくない。そこで、リン含有ポリエステル樹脂からなる下引き層を基材シートと難燃化処理層との間に設けることによって、難燃化処理層のみを有する難燃性シートと比べて、難燃化処理層における炭化層の形成が不十分となることなく、基材シートの燃焼をさらに抑制することができる。
また、このような下引き層は、上述した難燃化処理層とは異なりリン含有エポキシ樹脂や無機系難燃剤等を含んでいないため、基材シートの側面からの基材シートの燃焼をより一層防止すると共に、難燃化処理層に生じた亀裂から露出した基材シート部分の燃焼をより一層防止することができる。
このような下引き層の厚みとしては、特に限定されるものではないが、上述した効果を得るという観点、および経済性という観点から、0.5μm〜5μm、好ましくは1μm〜3μm程度である。
以上のように、本発明によれば、基材シートの両面に、リン含有エポキシ樹脂とリン含有ポリエステル樹脂からなる難燃化処理層を有することにより、基材シートの表面に難燃性の性能を付与し、かつ前記基材シートの側面や難燃化処理層の亀裂から燃焼してしまうことを防止した難燃性シートを得ることができる。
また、本発明によれば、前記基材シートの少なくとも一方の面と難燃化処理層との間に、リン含有ポリエステル樹脂からなる下引き層を有することにより、基材シートの側面や難燃化処理層の亀裂から燃焼してしまうことをより一層防止した難燃性シートを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り重量基準である。
[実施例1]
基材シートとして厚み100μmのポリエステルフィルム(ルミラーT60:東レ社)の両方の面に、下記処方の難燃化処理層用塗布液をバーコーター法により塗布、乾燥した後、60℃で48時間キュアリングして厚み130μmの難燃化処理層をそれぞれ形成し、実施例1の難燃性シートを作製した。
<実施例1の難燃化処理層用塗布液の処方>
・リン含有ポリエステル樹脂(固形分50%) 60部
(GX300:互応化学社)
・リン含有エポキシ樹脂(固形分60%) 58部
(サンタシッドKM-01:日本油脂社)
・アクリル樹脂(固形分50%) 70部
(アクリディックA-817:大日本インキ社)
・無機系難燃剤 35部
(水酸化マグネシウム、平均粒子径0.1μm)
(MGZ−4:堺化学工業社)
・イソシアネート系硬化剤(固形分100%) 10部
(WB40−100:旭化成ケミカルズ社)
・メチルエチルケトン 125部
・酢酸ブチル 65部
・シクロヘキサノン 40部
[実施例2]
実施例1の難燃化処理層用塗布液で、リン含有ポリエステル樹脂を35部、リン含有エポキシ樹脂を79部、イソシアネート系硬化剤を9.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の難燃性シートを作製した。
[実施例3]
実施例1の難燃化処理層用塗布液で、リン含有ポリエステル樹脂を90部、リン含有エポキシ樹脂を33部、イソシアネート系硬化剤を10.9部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の難燃性シートを作製した。
[実施例4]
実施例1の難燃化処理層用塗布液で、平均粒子径0.1μmの水酸化マグネシウムを平均粒子径4.8μmの水酸化マグネシウム(水酸化マグネシウムN-1:神島化学社)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の難燃性シートを作製した。
[実施例5]
実施例4の難燃化処理層用塗布液で、平均粒子径4.8μmの水酸化マグネシウム35部を、平均粒子径8μmの水酸化アルミニウム(水酸化アルミニウムC-308:住友化学工業社)150部に変更した以外は、実施例4と同様にして、実施例5の難燃性シートを作製した。
[実施例6]
実施例1と同様のポリエステルフィルムの一方の面に、下記処方の下引き層用塗布液をバーコーター法により塗布、乾燥して厚み1.5μmの下引き層を形成し、その上層、および前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に、実施例1の難燃化処理層用塗布液を用いて実施例1と同様にして難燃化処理層を形成し、実施例6の難燃性シートを作製した。
<実施例6の下引き層用塗布液の処方>
・リン含有ポリエステル樹脂(固形分25%)62.5部
(プラスコートZ-900:互応化学社)
・メタノール 25部
・水 12.5部
[実施例7]
実施例1と同様のポリエステルフィルムの両方の面に、実施例6の下引き層用塗布液をバーコーター法により塗布、乾燥して厚み1.5μmの下引き層をそれぞれ形成し、それらの上層に実施例1の難燃化処理層用塗布液を用いて実施例1と同様にして難燃化処理層をそれぞれ形成し、実施例7の難燃性シートを作製した。
[比較例1]
実施例1の難燃化処理層用塗布液で、リン含有ポリエステル樹脂60部の変わりに、アクリル樹脂60部をさらに追加し(計130部)、イソシアネート系硬化剤を15.4部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の難燃性シートを作製した。
[比較例2]
実施例1の難燃化処理層用塗布液で、リン含有エポキシ樹脂58部の変わりに、アクリル樹脂69.6部をさらに追加し(計139.6部)、イソシアネート系硬化剤を18.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の難燃性シートを作製した。
[比較例3]
実施例1の難燃化処理層用塗布液で、リン含有ポリエステル樹脂60部の変わりに、リン含有エポキシ樹脂50部をさらに追加し(計108部)、イソシアネート系硬化剤を8.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の難燃性シートを作製した。
[比較例4]
実施例1の難燃化処理層用塗布液で、リン含有エポキシ樹脂58部の変わりに、リン含有ポリエステル樹脂69.6部をさらに追加し(計129.6部)、イソシアネート系硬化剤を12部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の難燃性シートを作製した。
実施例および比較例の難燃性シートについて、UL−94、VTM法に準拠して燃焼性試験を行い、難燃性能を評価した。評価はVTM−0、VTM−1、VTM−2の評価基準に沿って難燃性を評価し、これらの評価基準に達しなかったものを×とした。評価結果を表1に示す。
Figure 2008055882
表1の結果より、実施例の難燃性シートは、基材シートの両面に、リン含有ポリエステル樹脂、およびリン含有エポキシ樹脂とからなる樹脂成分と、無機系難燃剤とからなる難燃化処理層を有するものであったため、基材シートの側面からの基材シートの燃焼を防止すると共に、難燃化処理層に生じた亀裂から露出した基材シート部分の燃焼を防止することができ、良好な難燃性の評価が得られた。
特に実施例1〜3の難燃性シートは、無機系難燃剤として、平均粒子径0.1μmの水酸化マグネシウムを用いているため、実施例4、5よりも無機系難燃剤が少ない添加量で難燃化処理層に亀裂を生じさせにくくすることができ、さらに良好な難燃性の評価が得られた。
また実施例6の難燃性シートは、基材シートの一方の面と難燃化処理層との間に、実施例7の難燃性シートは、基材シートの両面で、基材シートと難燃化処理層との間に、リン含有ポリエステル樹脂からなる下引き層を有するものであったため、最も良好な難燃性の評価が得られた。
一方、比較例1の難燃性シートは、基材シートの両面に有する難燃化処理層が、樹脂成分としてリン含有ポリエステル樹脂を含有せず、その分アクリル樹脂の含有量が多いものであったため、基材シートの側面からの基材シートの燃焼を防止することができず、また難燃化処理層に生じた亀裂から露出した基材シート部分の燃焼を防止することができなかったため、実施例と比べて難燃性の評価が劣るものとなった。
また、比較例2の難燃性シートは、基材シートの両面に有する難燃化処理層が、樹脂成分としてリン含有エポキシ樹脂を含有せず、その分アクリル樹脂の含有量が多いものであったため、基材シートの表面の難燃性を十分なものとすることができず、実施例と比べて難燃性の評価が劣るものとなった。
また、比較例3の難燃性シートは、基材シートの両面に有する難燃化処理層が、樹脂成分としてリン含有ポリエステル樹脂を含有せず、その分リン含有エポキシ樹脂の含有量が多いものであったため、基材シートの表面の燃焼は防げたものの、熱によって軟化した基材シートへの追従性が悪く、また基材シートと同じタイミングで溶融するものではなかったことにより、側面からの基材シートの燃焼を防止することができず、難燃化処理層に生じた亀裂から露出した基材シート部分の燃焼を防止することができなかったため、実施例と比べて難燃性の評価が劣るものとなった。
また、比較例4の難燃性シートは、基材シートの両面に有する難燃化処理層が、樹脂成分としてリン含有エポキシ樹脂を含有せず、その分リン含有ポリエステル樹脂の含有量が多いものであったため、初期の硬化性が低下し、取り扱い性の悪いものとなり、また、熱によって軟化した基材シートへの追従性は良かったものの、基材シートの表面の難燃性を十分なものとすることができず、実施例と比べて難燃性の評価が劣るものとなった。

Claims (9)

  1. 基材シートの両面に、リン含有ポリエステル樹脂、およびリン含有エポキシ樹脂とからなる樹脂成分と、無機系難燃剤とからなる難燃化処理層を有することを特徴とする難燃性シート。
  2. 前記リン含有ポリエステル樹脂は、下記の一般式(I)で表されるリン含有化合物を含有してなるものであることを特徴とする請求項1記載の難燃性シート。
    Figure 2008055882
    (式中、R1〜R8はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。また、Aは水素原子又は有機基を示し、R1〜R8と同一であっても、異なっていてもよい。但し、R1〜R8並びにAのうちの少なくとも一つはエステル形成性官能基を有する。)
  3. 前記難燃化処理層におけるリン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂の合計の含有量は、樹脂成分中の50重量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性シート。
  4. 前記難燃化処理層におけるリン含有ポリエステル樹脂とリン含有エポキシ樹脂との割合は、重量比で1:3〜3:1であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の難燃性シート。
  5. 前記無機系難燃剤が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の難燃性シート。
  6. 前記難燃化処理層における水酸化マグネシウムの含有量は、樹脂成分100重量部に対し、10重量部〜150重量部であることを特徴とする請求項5記載の難燃性シート。
  7. 前記水酸化マグネシウムの平均粒子径は0.05μm〜1μmであることを特徴とする請求項5または6記載の難燃性シート。
  8. 前記基材シートの少なくとも一方の面と難燃化処理層との間に、リン含有ポリエステル樹脂からなる下引き層を有することを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の難燃性シート。
  9. 前記リン含有ポリエステル樹脂は、請求項2記載の一般式(I)で表されるリン含有化合物を含有してなるものであることを特徴とする請求項8記載の難燃性シート。
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