JP2008055340A - ハニカム構造体におけるセルの閉塞状態認識方法及び閉塞状態検査方法並びにハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

ハニカム構造体におけるセルの閉塞状態認識方法及び閉塞状態検査方法並びにハニカム構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】両端面を所望の閉塞状態としたハニカム構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】構造体本体86の一方の端面861における各セル端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞する。また、構造体本体86の他方の端面862にこの端面を覆うように光透過性の樹脂フィルムを貼付する。そして、構造体本体86の一方の端面861側から光照射手段55により光を照射し、その光照射状態で構造体本体86の他方の端面862をカメラ部511により撮像し、カメラ部511により得られた画像データにおけるセルごとの明暗を識別することにより一方の端面861における各セルの端部の閉塞状態を認識する。そして、このようにして認識した一方の端面861の閉塞状態に基づき、他方の端面862のセル位置における樹脂フィルムに貫通穴21を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハニカム構造体におけるセルの閉塞状態認識方法及び閉塞状態検査方法並びにハニカム構造体の製造方法に関する。
例えば、ディーゼルエンジンでは排ガス中のPM(パティキュレートマター)を捕集するフィルタ(DPF)が採用されており、そのDPFを構成するセラミックハニカム構造体としては、図6(a),(b)に示すものが知られている。このセラミックハニカム構造体80には、隔壁81により区画された多数のセル88が設けられるとともに、各セル88の開口端部を交互に閉塞する閉塞部83が設けられている。この特殊な形状のセラミックハニカム構造体80を製造する方法としては、特許文献1に記載の方法が知られている。
すなわち、まず、全てのセル88を端面において開口させた構造体本体を作製する。その後、構造体本体の一方の端面に透明又は半透明の樹脂フィルムを貼り付ける。次いで、カメラを用いて構造体本体の端面におけるセル88を撮影する。そして、その画像データを用いてセル88の位置情報を求め、閉塞すべきセル88の開口端部に位置する樹脂フィルムを熱により溶融して貫通穴を形成する。樹脂フィルムの貼り付けから貫通穴の形成までの作業が、他方の端面に対しても同様に行われる。次いで、スラリーに構造体本体の端面を浸漬し、貫通穴を通じてスラリーをセル88内に浸入させる。その後、スラリーを硬化させると共に樹脂フィルムを除去して、セラミックハニカム構造体80が得られる。
ここで、貫通穴は、構造体本体の端面において隣接するセル88が開口と閉塞を交互に繰り返す市松模様状となるように形成される。また、各セル88の一方の端部は樹脂フィルムにより閉塞され、他方の端部には貫通穴が形成される。
ところが、DPF等に用いられるセラミックハニカム構造体80の1つ1つのセル断面は非常に小さい。そのため、構造体本体の端面に貫通穴を形成する際に、その貫通穴を形成しようとするセル88の反対側の端部が閉塞状態であるかを確認することは容易ではない。同様に、両端面に貫通穴を形成した後に、適切な位置に貫通穴が形成されているかを検査することも容易ではない。その結果、一方の端部において貫通穴を形成したセル88につき、誤って他方の端部にも貫通穴を形成することも起こりうる。そして、この様な状態となった場合、製造されたセラミックハニカム構造体80は、両端部に閉塞部83が形成されたセル88と、両端部が開口したセル88とが交互に並んだものとなる。そして、このようなセラミックハニカム構造体80では、本来のPM捕集機能を果たすことができない。
特開2002−28915号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、ハニカム構造体におけるセルの閉塞状態を容易に認識及び検査することができる方法並びに両端面を所望の閉塞状態としたハニカム構造体の製造方法を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
請求項1に記載の発明は、隔壁により仕切られた複数のセルを有し、少なくとも一端面において各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞してなるハニカム構造体におけるセルの閉塞状態認識方法である。この方法では、ハニカム構造体の一方の端面側から光照射手段により光を照射し、その光照射状態でハニカム構造体の他方の端面を撮像手段により撮像し、撮像手段により得られた画像データにおけるセルごとの明暗を識別することにより、ハニカム構造体におけるセルの閉塞状態を認識することを特徴としている。
ハニカム構造体の一方の端面側から光を照射すると、開口しているセル端部は光が通過し易いが、閉塞されているセル端部は光が通過しにくい。仮に、セル端部の閉塞が光透過性のフィルム等でされている場合であっても、開口しているセル端部に比べるとフィルムで閉塞されているセル端部は光が通過しにくい。このため、ハニカム構造体の一方の端面側から光を照射した状態で他方の端面を撮像した場合、各セルの端部の閉塞状態により、他方の端面を撮像した画像データのセルごとの明度に差が生じる。この画像データにおけるセルごとの明暗を識別することにより、ハニカム構造体におけるセルの閉塞状態を容易に認識することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、隔壁により仕切られた複数のセルを有するハニカム構造体の製造方法である。この発明では、ハニカム構造体の第1の端面における各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞する第1端面閉塞工程と、ハニカム構造体の第2の端面に当該第2の端面を覆うように光透過性フィルムを貼付するフィルム貼付工程と、前記両工程の後、ハニカム構造体の第1の端面側から光照射手段により光を照射し、その光照射状態でハニカム構造体の第2の端面を撮像手段により撮像し、撮像手段により得られた画像データにおけるセルごとの明暗を識別することにより第1の端面における各セルの端部の閉塞状態を認識する第1端面閉塞状態認識工程と、第1端面閉塞状態認識工程で認識した閉塞状態に基づき、第2の端面のセル位置における光透過性フィルムに貫通穴を形成する第2端面貫通穴形成工程とを有することを特徴としている。
ハニカム構造体の第1の端面側から光を照射すると、端部が開口しているセルには光が入るが、端部が閉塞されているセルには光が入りにくい。仮に、第1の端面におけるセル端部の閉塞が光透過性のフィルム等でされている場合であっても、端部が開口しているセルに比べると端部がフィルムで閉塞されているセルには光が入りにくい。このため、各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞した第1の端面側から光を照射した状態で第2の端面を撮像した場合、第2の端面を撮像した画像データには明度の異なるセルが互い違いに並ぶこととなる。この画像データにおけるセルごとの明暗を識別することにより、第1の端面におけるセルの閉塞状態を容易に認識することが可能となる。そして、このようにして認識した第1の端面における閉塞状態に基づき、第2の端面における貫通穴の形成位置を決定することで、適切なセル位置に貫通穴を形成することが可能となる。その結果、端面を所望の閉塞状態としたハニカム構造体を製造することが可能となる。
PM捕集機能を有するDPF等に用いられるハニカム構造体では、その両端面における各セルの端部が隣り合うセルで互い違いに栓材で閉塞される。また、各セルの一方の端部は栓材で閉塞され他方の端部には開口が形成される。そして、両端面の所定のセル端部を栓材で閉塞するために、その前工程で、開口予定のセル端部にマスキング用のフィルムが貼付されるとともに、栓材で閉塞予定のセル端部に開口が形成される。そして、マスキング用のフィルムが貼付されていないセル端部を栓材で閉塞することで、栓材で所望のセル端部を閉塞したのハニカム構造体が形成される。
ハニカム構造体の両端面において開口予定のセル端部にマスキング用のフィルムを貼付するとともに栓材で閉塞予定のセル端部に開口を形成するためには、請求項3に記載の発明のように、第1端面閉塞工程において、第1の端面におけるセルの端部を光透過性フィルムで閉塞し、第2端面貫通穴形成工程において画像データにおける明度が所定値以下の第2の端面におけるセル位置の光透過性フィルムに貫通穴を形成するようにすればよい。
第1の端面において端部が光透過性フィルムで閉塞されているセルと開口しているセルとを比べると閉塞されているセルの方が画像データにおいて明度が低くなる。そのため、第2端面貫通穴形成工程において画像データにおける明度が所定値以下のセル位置の光透過性フィルムに貫通穴を形成すると、各セルの一方の端部は光透過性フィルムにより閉塞され、他方の端部には貫通穴が形成された状態とすることが可能となる。そして、構造体本体をこのような状態とすることで、端面において貫通穴が形成されたセル端部を栓材で閉栓し、両端面の光透過性フィルムを除去して、PM捕集機能を有するDPFに用いられるハニカム構造体を製造することが可能となる。
また、第1の端面側における各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに栓材で閉塞したハニカム構造体について、第2の端面において開口予定のセル端部にマスキング用のフィルムを貼付するとともに栓材で閉塞予定のセル端部に開口を形成するためには、請求項4に記載の発明のように、第1端面閉塞工程において、第1の端面におけるセルの端部を栓材で閉塞し、第2端面貫通穴形成工程において画像データにおける明度が所定値以上の第2の端面におけるセル位置の光透過性フィルムに貫通穴を形成するようにすればよい。
第1の端面において端部が栓材で閉塞されているセルと栓材で閉塞されていないセルとを比べると、栓材で閉塞されていないセルの方が画像データにおいて明度が高くなる。そのため、第2端面貫通穴形成工程において画像データにおける明度が所定値以上のセル位置の光透過性フィルムに貫通穴を形成すると、第1の端面において栓材で閉塞されたセルは第2の端面において光透過性フィルムで閉塞され、第1の端面において栓材で閉塞されていないセルは第2の端面において貫通穴が形成された状態とすることが可能となる。そして、構造体本体をこのような状態とすることで、第2の端面において貫通穴が形成されたセル端部を栓材で閉栓し、第2の端面の光透過性フィルムを除去して、PM捕集機能を有するDPFに用いられるハニカム構造体を製造することが可能となる。
請求項5に記載の発明では、第1端面閉塞状態認識工程において、第2の端面を撮像手段により一括して撮像することを特徴としている。第2の端面を一括して撮像することで、第1の端面の閉塞状態を一括して認識することが可能となる。これにより、第2の端面を複数の領域に分割して撮像するような場合に比べて、第1端面認識工程の処理を高速化することが可能となる。
請求項6に記載の発明では、第1端面閉塞状態認識工程を、ハニカム構造体の両端面を水平方向に向けた状態で行うことを特徴としている。ハニカム構造体の第1の端面側から光を照射した状態で第2の端面の撮像をするためには、両端面が開放されていることが望ましい。ここで、両端面を鉛直方向に向けた状態で両端面を開放するためには、ハニカム構造体の側部を挟持等する必要があるが、それでは装置が複雑化するおそれがある。この点、ハニカム構造体の両端面を水平方向に向けた状態で開放することは比較的容易である。例えば、両端面を水平方向に向けた状態でハニカム構造体を台上に載置すれば、両端面を開放することができる。したがって、第1端面閉塞状態認識工程を、ハニカム構造体の両端面を水平方向に向けた状態で行うことにより、装置の複雑化を抑止することができる。
請求項7に記載の発明では、光照射手段により、第2の端面において撮像手段により撮像される領域に対応する第1の端面の領域に対し、当該第1の端面の領域に含まれる各セルの延びる方向と平行な光を照射するることを特徴としている。セルの延びる方向と平行な光を照射することで、第1の端面側に照射した光が、第1の端面側から各セルの内部を通って第2の端面側に届きやすくなる。これにより、第1の端面において光が通り易いセル端部であるにもかかわらず、そのセル端部を通過した光が、第2の端面側に到達しないことを抑止できる。この結果、第2の端面を撮像した画像データにおけるセルごとの明度を識別して第1の端面の閉塞状態を認識するにあたり、その認識の精度を向上することが可能となる。
請求項8に記載の発明は、隔壁により仕切られた複数のセルを有し、両端面において各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞してなるハニカム構造体におけるセルの閉塞状態検査方法である。この方法では、ハニカム構造体の一方の端面側から光照射手段により光を照射し、その光照射状態でハニカム構造体の他方の端面を撮像手段により撮像し、撮像手段により得られた画像データに基づきセルごとの明暗を識別することにより、ハニカム構造体の両端面の閉塞状態を推定することを特徴としている。
このハニカム構造体では、その両端面において端部が開口されたセルと閉塞されたセルとが交互に並んでいる。ところが、両端面の閉塞状態、すなわち、各セルにつき一方の端部が閉塞され他方の端部が開口されているのか、両端部が閉塞又は開口されているのかは、外観を目視することでは容易には知りえない。
この点、本発明では、一方の端面側から光を照射し、その光照射状態で他方の端面を撮像手段により撮像する。そして、各セルにつき一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された状態である場合には、撮像手段により得られた画像データにおいて、各セル位置における明度の差はほとんどない。これに対し、各セルにつき両端部が閉塞又は開口された状態である場合には、撮像手段により得られた画像データにおいて、明度の異なるセルが交互に並ぶこととなる。このように、両端面の閉塞状態により、画像データにおけるセルの明度が相違する。したがって、画像データに基づきセルごとの明暗を識別することで、ハニカム構造体の両端面の閉塞状態を容易に検査することが可能となる。
[第1実施形態]
以下、本発明にかかるハニカム構造体における両端面のセル閉塞状態検査方法を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るハニカム構造体は、前述した図6に示すごとく、その端面に位置するセル88の端部の一部を閉塞してなるものであり、自動車用排ガス浄化装置の担体用等に用いられるものである。
まず、図1に示すごとく、すべてのセル88を端面861,862において開口させた構造体本体86を作製する。本実施形態では、構造体本体86は押出し成形により作製される。具体的には、コーディエライトを形成する多孔質セラミック材料を用い、ほぼ等間隔に形成された多数のセル88を有し、且つ、円柱状をなす長尺のハニカム構造体の基材が作製される。そして、それが所定長さに切断されることにより、構造体本体86が形成される。なお、各セル88の断面は略正方形状に形成される。
次に、構造体本体86における各端面861,862に透明又は半透明の光透過性の樹脂フィルム20を貼り付ける。本実施形態では、予め端面861,862の大きさに合わせて円形にカットされ、一方の面に接着剤を塗布した総厚み110μmの熱可塑性の樹脂フィルム20が用いられる。
次に、図2に示すごとく、貫通穴形成装置50を用いて、閉塞すべきセル88の開口端部に位置する樹脂フィルム20を熱により溶融あるいは焼却除去して貫通穴21を形成する。貫通穴形成装置50は、画像処理手段51と熱照射手段52と制御手段53とステージ54と光照射手段55とを有している。
画像処理手段51は、カメラ部511と制御部512とを有している。カメラ部511は、制御部512からの指示に応じてカメラ部511と対向している端面861,862全体を一括して撮像するとともに、得られた画像データを制御部512に送信する。制御部512は、カメラ部511により得られた画像データに基づいてセル位置等の情報を算出する。また、制御部512は、カメラ部511により得られた画像データにおける各位置の明度が基準値以上か否かを判定し、画像データを2値化処理する。
制御手段53は、上記のようにして得られたセル88の位置の情報等に基づいて、貫通穴21の形成位置及び大きさを算出する。本実施形態では、端面861,862において隣接するセル88の端部が開口と閉塞を交互に繰り返す市松模様状となるように貫通穴21の形成位置を算出する。また、制御手段53は、画像処理手段51及び熱照射手段52をステージ54に対して相対的に移動させる。なお、ステージ54を画像処理手段51及び熱照射手段52に対して相対的に移動させるようにしてもよい。
熱照射手段52は、樹脂フィルム20に高密度エネルギービーム(レーザ光)520を照射するものである。熱照射手段52は、CO2レーザ発射装置521とその制御部を内蔵した移動装置522とを有している。CO2レーザ発射装置521は複数設置した方が効率は向上するが、本実施形態では設備コストの関係上1組のCO2レーザ発射装置521を用いている。CO2レーザ発射装置521で貫通穴21を形成する際にはレーザ光520が照射されており、その照射は各セル88における四角形の重心位置を基点にするとともに四角形の面積に応じて行われる。
ステージ54は構造体本体86を載置するためのものであり、構造体本体86はその両端面861,862を水平方向に向けた状態でステージ54上に載置される。ステージ54上には、平行に延びる2本の支持部541が所定間隔で設けられている。そして、支持部541が延びる方向に円柱状の構造体本体86の軸方向を合わせ、2本の支持部541間に構造体本体86が載置される。これにより、構造体本体86の軸方向を所定の方向に向けることが可能となるとともに、構造体本体86の転がりを防止することが可能となる。
光照射手段55は、各セル88を貫通する光を構造体本体86の一方の端面側から照射するためのものである。光照射手段55はステージ54に隣接して設けられており、本実施形態では、ステージ54上に載置された構造体本体86の端面861,862との距離が約100mmから500mmとなる位置に設けられている。光照射手段55は、平面基板上にLEDが高密度に実装され、その前面に透明又は半透明の樹脂パネルが装着された面光源が用いられている。この光照射手段は、構造体本体86の端面861,862の全体に向けて約100ルクスから500ルクスの光を各セル88の延びる方向に照射する。
貫通穴21の形成は、まず一方の端面861について行い、その後他方の端面862について行う。
一方の端面861に貫通穴21を形成する際には、他方の端面862を光照射手段55に対向させて、構造体本体86をステージ54上に載置する。この際、画像処理手段51のカメラ部511は、一方の端面861の正面位置に配置とされる。そして、画像処理手段51により一方の端面861におけるセル位置情報を取得する。
その後、CO2レーザ発射装置521を構造体本体86における一方の端面861の正面まで移動させせると共に、カメラ部511の正面に位置するときの座標上の原点を合わす。そして、制御手段53の指示に基づいて、CO2レーザ発射装置521からレーザ光520を順次照射して樹脂フィルム20を溶融または焼却除去して、貫通穴21を形成する。本実施形態では、図3に示すごとく、端面861において隣接するセル88の端部が開口と閉塞を交互に繰り返す市松模様状となるように貫通穴21を形成する。また、周辺の一部が欠けた四角形に対しては全て開口が形成されるように輪郭位置22を算出し、樹脂フィルム20を除去する。
これにより、構造体本体86の一方の端面861には、閉塞予定のセル88の開口端部に相当する部分に貫通穴21が設けられるとともに、開口予定のセル88の開口端部に相当する部分に樹脂フィルム20によるフィルム閉塞部23が設けられた状態となる。
次に、他方の端面862に貫通穴21を形成するために、端面861,862の向きを変えて構造体本体86をステージ54上に載置する。すなわち、図2に示すごとく、貫通穴21を形成した一方の端面861を光照射手段55に対向させて構造体本体86をステージ54上に載置する。この際、画像処理手段51のカメラ部511は、まだ貫通穴21が形成されていない他方の端面862の正面位置に配置される。
端面861,862の向きを変えて構造体本体86を載置した後、光照射手段55をONし、各セル88の延びる方向と平行な光を構造体本体86の一方の端面861側から照射する。そして、その光照射状態で他方の端面862をカメラ部511で撮像する。制御部512はカメラ部511により撮像された画像データに基づいて各位置の明度が基準値以上か否かを判定する。そして、制御部512は、その判定結果に基づいて画像データを2値化処理する。
図4は、他方の端面862の画像データを2値化処理した後の画像データを示す図である。光照射手段55により照射された光は光透過性の樹脂フィルム20を透過するが、樹脂フィルム20透過後は透過前に比べて光が弱められる。したがって、他方の端面862を撮像した画像データにおいて、一方の端面861に貫通穴21が形成されているセル88の位置と貫通穴21が形成されていないセル88の位置とを比較すると、貫通穴21が形成されていないセル88の位置の方が暗く写る。このため、他方の端面862の画像データを制御部512により2値化処理した後の画像データは、図4に示すごとく市松模様状となる。
制御手段53は、2値化処理された他方の端面862の画像データに基づき、一方の端面861において貫通穴21が形成されていないセル88の端部(図4において暗く写っているセル88の端部)に貫通穴21を形成するように熱照射手段52に指示を送信する。また、周辺の一部が欠けた四角形に対しては全て開口が形成されるように輪郭位置22を算出し、樹脂フィルム20を除去するように熱照射手段52に指示を送信する。
その後、CO2レーザ発射装置521を構造体本体86における他方の端面862の正面まで移動させせると共に、カメラ部511の正面に位置するときの座標上の原点を合わす。そして、制御手段53の指示に基づいて、CO2レーザ発射装置521からレーザ光520を順次照射して樹脂フィルム20を溶融または焼却除去して、貫通穴21を形成するとともに、周辺の一部が欠けた四角形に対しては全て開口が形成されるように樹脂フィルム20を除去する。
その結果、構造体本体86の各端面861,862においては、隣接するセル88が開口と閉塞を交互に繰り返す市松模様状となるように貫通穴21が形成される。それととともに、各セル88の一方の端部は樹脂フィルム20により閉塞され、他方の端部には貫通穴21が形成される。
構造体本体86の両端面861,862に貫通穴21が形成された後、栓材としての端面閉塞材を含有するスラリー65に一方の端面861を浸漬し、貫通穴21を通じてスラリー65をセル88の端部に浸入させる。本実施形態では、図5に示すごとく、ディップ装置60を用いて行う。
ディップ装置60は、ハンドリング部61と液槽62と制御部63とを有している。ハンドリング部61は構造体本体86を把持して移動させるためのものである。液槽62にはスラリー65が入れられている。このスラリー65は、焼成後コーディエライトとなる材料を主体とする端面閉塞材を含有している。制御部63はハンドリング部6を制御するためのものである。また、制御部63には、スラリー65の液面位置を検知する液面センサ631を接続してある。
このディップ装置60を用いて作業を行うにあたっては、まず図5に示すごとく、処理すべき端面861を下にして構造体本体86を基準台64上に載置する。次いで、ハンドリング部61のクランプ部611によって構造体本体86を掴んで所定量持ち上げる。次いでハンドリング部61を移動してスラリー65の上方に構造体本体86を移動する。次いで、ハンドリング部61を下降させて、構造体本体86の端面861をスラリー65に浸漬する。
このとき、制御部63は、液面センサ631のデータとハンドリング部61の上下方向の移動量とからディップ深さを算出し、所望の浸漬深さとなるようにハンドリング部61を制御する。これにより、構造体本体86の端面861において、スラリー65が貫通穴21からセル88の端部に浸入する。次に、ディップ装置60を用いた同様の作業を、構造体本体86の他方の端面862に対しても行う。
次に、スラリー65をセル88の端部に浸入させた構造体本体86を乾燥させた後、焼成する。これにより、焼成・固化したスラリー65によりセル88の端部に閉塞部83が形成され、セル88の端部が閉栓される。それと共に、端面861,862に貼り付けられていた樹脂フィルム20が焼却除去される。これにより、一部のセル88の端部を閉塞したハニカム構造体80が得られる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
上記実施形態では、一方の端面861側から光を照射した状態で、他方の端面862を撮像し、撮像された画像データの各位置の明度に基づき画像データを2値化処理した。そして、この2値化処理された画像データに基づいて、一方の端面861側におけるセル端部の閉塞状態を認識した。これにより、構造体本体86の端面861,862におけるセル端部の閉塞状態を容易に認識することが可能となる。
上記実施形態では、2値化処理された画像データにおいて暗く写っているセル88に貫通穴21を形成した。2値化処理された画像データにおいて暗く写っているセル位置は、一方の端面861側において端部が樹脂フィルム20で閉塞されているセル88である。したがって、他方の端面862側において、上述のセル位置に貫通穴21を形成することで、各セル88の一方の端部は樹脂フィルム20により閉塞され、他方の端部には貫通穴21が形成された状態とすることが可能となる。
上記実施形態では、各端面861,862の撮像は、各端面861,862の全体を一括して行った。これにより、各端面861,862を分割して撮像しそれにより得られた複数の画像データを結合して各端面861,862全体の画像データを得るような場合に比べて、端面861,862におけるセル位置の認識等の処理を早めることができる。また、端面861,862全体を一括して撮像することで、端面861,862全体の閉塞状態を一括して認識することが可能となる。
上記実施形態では、光照射手段55により一方の端面861に光を照射した状態で、他方の端面862の撮像を行った。このように、一方の端面861への光の照射及び他方の端面862の撮像を並行して行うためには、両端面861,862が開放された状態とすることが望ましい。ここで、構造体本体86の両端面861,862を鉛直方向に向けた状態で両端面861,862を開放しようとすると、構造体本体86の側面を挟持等することが必要になる。しかし、構造体本体86の側面を挟持するような構成とすると、装置が複雑化するおそれがある。この点、本実施形態では、構造体本体86の各端面861,862を水平方向に向けてステージ54上に載置した。これにより、簡易な構成で各端面861,862を開放することが可能となり、装置が複雑化することを抑制することができる。
上記実施形態では、光照射手段55として平行光を発することが可能な面光源を採用した。このため、一方の端面861側から他方の端面862側に向けて各セル88内を貫通する平行光を照射することが可能となる。これにより、一方の端面861側からセル88内に入った光を確実に他方の端面862側に貫通させることが可能となる。そして、一方の端面861において貫通穴21が形成され光が通り易いセル88であるにもかかわらず、そのセル88の他方の端面862側に光が到達しないことを抑止することができる。この結果、他方の端面862を撮像した画像データを2値化処理した画像データに基づいて一方の端面861の閉塞状態を認識する際の認識精度を向上することが可能となる。
[第2実施形態]
第1実施形態においては、両端面861,862に貫通穴21を形成した後に両端面861,862のスラリー65への浸漬処理を行った。しかし、一方の端面861について貫通穴21の形成とスラリー65への浸漬を連続して行い、その後他方の端面862について貫通穴21の形成とスラリー65への浸漬を連続して行うようにしてもよい。
この場合においては、まず、市松模様状に貫通穴21を形成した一方の端面861をスラリー65に浸漬し、一方の端面861におけるセル88の端部を市松模様状に閉塞部83で閉塞する。その後、一方の端面861側から光を照射した状態で他方の端面862を撮像し、得られた画像データを2値化処理する。一方の端面861において閉塞部83で閉塞されたセル位置は、光がほとんど通らない。そのため、2値化処理された画像データでは、一方の端面861において閉塞部83で閉塞されたセル位置が暗く、閉塞部83で閉塞されていないセル位置が明るく写る。そして、この2値化処理された他方の端面862の画像データに基づき、その画像データにおいて明るく写っているセル88の端部に貫通穴21を形成する。その後、他方の端面862をスラリー65に浸漬し、他方の端面862において貫通穴21が形成されたセル88の端部を市松模様状に閉塞部83で閉塞する。
これにより、構造体本体86の各端面861,862において、隣接するセル88が開口と閉塞を交互に繰り返す市松模様状となるように閉塞部83を形成することが可能となる。それととともに、各セル88の一方の端部を閉塞部83で閉塞し、他方の端部を開口した状態とすることが可能となる。
[第3実施形態]
第1及び第2実施形態では、一方の端面861側に光を照射した状態で他方の端面862を撮像し、それにより得られた画像データに基づいて一方の端面861の閉塞状態を認識した。そして、このようにして認識した一方の端面861の閉塞状態に基づいて、他方の端面862における貫通穴21の形成位置を算出した。しかし、本発明は、貫通穴21の形成位置の算出に限られず、ハニカム構造体の両端面861,862における閉塞状態の検査に適用することも可能である。
DPF等に用いられるセラミックハニカム構造体の製造工程においては、各セル88の一方の端部を樹脂フィルム20により閉塞し、他方の端部に貫通穴21を形成することが必要である。ところが、両端面861,862の閉塞状態、すなわち、各セル88につき一方の端部が閉塞され他方の端部が開口されているのか、両端部が閉塞又は開口されているのかは、外観を目視することでは容易には知りえない。
この点、本発明を適用することにより、両端面861,862の閉塞状態を容易に検査することが可能である。すなわち、各セル88につき一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された正常な状態に貫通穴21が形成された構造体本体86につき、その一端面側から光を照射した状態で他端面を撮像した画像データを2値化処理した場合、各セル位置における明度の差はほとんど見られない。これに対し、一方の端部に貫通穴21が形成されたセル88につき他方の端部にも貫通穴21が形成されるとともに、そのセル88に隣接するセル88の両端部が樹脂フィルム20により閉塞されるような異常状態も起こりうる。このような異常状態の場合には、2値化処理された画像データは、明度の異なるセルが市松模様状に並ぶこととなる。このため、2値化処理された画像データのセル88ごとの明暗を識別することで、ハニカム構造体の両端面861,862における閉塞状態を容易に検査することが可能となる。
特に、上述の異常状態の場合には、一端のみが閉塞されているセル88はなく、両端部が閉塞又は開口しているため、明度の差が明確となる。このため、ハニカム構造体の両端面861,862における閉塞状態の検査において、正常状態と異常状態との区別が容易となる。
なお、ハニカム構造体の両端面861,862における閉塞状態の検査は、両端面861,862をスラリーに浸漬した後、スラリーを焼成・固化してセル88の端部に閉塞部83を形成した状態で行ってもよい。
[他の実施形態]
上記実施形態では、光照射手段55として、平行光を発することが可能な面光源を採用した。しかし、本発明を実現するための光照射手段55としては、平行光を発する面光源に限られるものではない。例えば、拡散性が少なく、所定の領域に集中的に光を照射することが可能なリング照明を採用することも可能である。
上記実施形態では、端面の861,862全体を一括して撮像した。しかし、端面861,862を複数の領域に分割し、それら複数の領域ごとに撮像を行ってもよい。この場合、端面861,862全体の閉塞状態を認識するためには、分割して撮像された複数の画像データを結合することで、端面861,862全体の画像データを得ることができる。なお、光照射手段55による光の照射は、少なくとも撮像する領域に対応する部分に照射するようにすればよい。
なお、上記実施の形態では、構造体本体86をコーディエライトで形成したが、炭化珪素(SiC)を用いて形成してもよい。
ハニカム構造体本体に樹脂フィルムを貼り付ける工程を示す説明図。 貫通穴形成工程を示す説明図。 貫通穴及び輪郭位置を形成した状態を示す説明図。 2値化処理された画像データを示す図。 スラリーへの浸漬工程を示す説明図。 (a)はハニカム構造体の断面図、(b)はハニカム構造体の正面図。
符号の説明
20…樹脂フィルム、21…貫通穴、50…貫通穴形成装置、51…画像処理手段、511…カメラ部、512…制御部、52…熱照射手段、520…高密度エネルギービーム、521…CO2レーザ発射装置、53…制御手段、54…ステージ、541…支持部、55…光照射手段、86…構造体本体、861,862…端面。

Claims (8)

  1. 隔壁により仕切られた複数のセルを有し、少なくとも一端面において前記各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞してなるハニカム構造体におけるセルの閉塞状態認識方法であって、
    前記ハニカム構造体の一方の端面側から光照射手段により光を照射し、
    その光照射状態で前記ハニカム構造体の他方の端面を撮像手段により撮像し、
    前記撮像手段により得られた画像データにおけるセルごとの明暗を識別することにより、前記ハニカム構造体におけるセルの閉塞状態を認識することを特徴とするハニカム構造体におけるセルの閉塞状態認識方法。
  2. 隔壁により仕切られた複数のセルを有するハニカム構造体の製造方法において、
    前記ハニカム構造体の第1の端面における各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞する第1端面閉塞工程と、
    前記ハニカム構造体の第2の端面に、当該第2の端面を覆うように光透過性フィルムを貼付するフィルム貼付工程と、
    前記両工程の後、前記ハニカム構造体の第1の端面側から光照射手段により光を照射し、その光照射状態で前記ハニカム構造体の第2の端面を撮像手段により撮像し、前記撮像手段により得られた画像データにおけるセルごとの明暗を識別することにより前記第1の端面における各セルの端部の閉塞状態を認識する第1端面閉塞状態認識工程と、
    前記第1端面閉塞状態認識工程で認識した閉塞状態に基づき、前記第2の端面のセル位置における前記光透過性フィルムに貫通穴を形成する第2端面貫通穴形成工程と
    を有することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記第1端面閉塞工程において、前記第1の端面における前記セルの端部を光透過性フィルムで閉塞し、
    前記第2端面貫通穴形成工程において、前記画像データにおける明度が所定値以下の前記第2の端面における前記セル位置の前記光透過性フィルムに貫通穴を形成することを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記第1端面閉塞工程において、前記第1の端面における前記セルの端部を栓材で閉塞し、
    前記第2端面貫通穴形成工程において、前記画像データにおける明度が所定値以上の前記第2の端面における前記セル位置の前記光透過性フィルムに貫通穴を形成することを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記第1端面閉塞状態認識工程において、前記第2の端面を前記撮像手段により一括して撮像することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記第1端面閉塞状態認識工程を、前記ハニカム構造体の両端面を水平方向に向けた状態で行うことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記光照射手段により、前記第2の端面において前記撮像手段により撮像される領域に対応する前記第1の端面の領域に対し、当該第1の端面の当該領域に含まれる各セルの延びる方向と平行な光を照射することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  8. 隔壁により仕切られた複数のセルを有し、両端面において前記各セルの端部を隣り合うセルで互い違いに閉塞してなるハニカム構造体におけるセルの閉塞状態検査方法であって、
    前記ハニカム構造体の一方の端面側から光照射手段により光を照射し、
    その光照射状態で前記ハニカム構造体の他方の端面を撮像手段により撮像し、
    前記撮像手段により得られた画像データに基づき前記セルごとの明暗を識別することにより、前記ハニカム構造体の両端面の閉塞状態を推定することを特徴とするハニカム構造体におけるセルの閉塞状態検査方法。
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