JP2003320517A - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

ハニカム構造体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 目封じに起因するハニカム成形体又はハニカ
ム構造体の破損が抑制され、かつ確実に目封じしやすい
ハニカム構造体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 2つの端面41、43と、一の端面41
から他の端面43まで貫通するセル3を複数有するハニ
カム成形体1を成形する成形工程と、前記成形体の何れ
かの端面において前記セルを目封じする目封じ工程と、
前記目封じされた成形体を焼成する焼成工程とを含むハ
ニカム構造体の製造方法である。前記目封じ工程が、前
記何れかの端面にフィルム9を貼り付ける第1副工程
と、目封じすべきセルに対応する前記フィルムの所定位
置に高密度エネルギービームにより穴を開ける第2副工
程と、前記目封じすべきセルに目封じ材を詰める第3副
工程とを含むハニカム構造体の製造方法である。前記第
1副工程において、基材層と粘着層を含み、粘着力が3
〜15N/25mmであるフィルム9を用いることを特
徴とするハニカム構造体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ディーゼルパテ
ィキュレートフィルター(以下DPFという)等のフィ
ルターに好適に用いることができる、目封じされたハニ
カム構造体の製造方法に関し、特に目封じに起因するハ
ニカム成形体又はハニカム構造体の破損を抑制すること
ができるハニカム構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 内燃機関、ボイラー等の排ガス中の微
粒子を除去するためのフィルター、特にDPF等に用い
られるハニカム構造体は、一般に図6(a)、(b)に
示すように、隔壁2により仕切られ、一の端面41から
他の端面43まで貫通するセル3を複数有し、隣接する
セルが互いに反対側となる端面において目封じされた構
造を有する。
【0003】 この様なハニカム構造体を製造する方法
として、本出願人は特開2001−300922公報
に、ハニカム成形体の端面に貼り付けたシートの所定の
セルに対応した位置に穴を開けてハニカム成形体毎に対
応したマスクを作成し、マスクを貼り付けた面を封止用
スラリーに浸漬し、マスクに開けられた穴から封止用ス
ラリーをセル中に充填する方法を発明し開示した。ま
た、特開2002−37672公報にも同様の方法が開
示されている。同公報の実施例には、総厚110μmの
フィルムを用い、光径0.1mmφ、出力3〜5Wに設
定したCO2レーザーを用いてフィルムの所定位置に穴
を開けたことが開示されている。
【0004】 この様な方法は、自動化が可能である
上、正確に目的とするセルを目封じできることから有望
な方法である。しかし、フィルムを用いた場合には最終
的にフィルムを除去する必要があり、フィルムを剥がす
ことにより除去する場合に、成形体表面部分も一緒に剥
離してしまう場合があった。また、焼成工程において、
加熱することによりフィルムを除去する方法もあるが、
この場合にもフィルムを貼り付けていた部分に破損が生
じる場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 本発明はこのような
事情に鑑みてなされたものであり、その目的は目封じに
起因するハニカム成形体又はハニカム構造体の破損が抑
制され、かつ確実に目封じしやすいハニカム構造体の製
造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、上記方法
を用いる際のフィルムに着目して検討を行った結果、特
定の範囲の粘着力を有するフィルムを用いることによ
り、目封じ材を詰める際にフィルムのずれ等が生じず、
かつフィルムを除去する際にはハニカム成形体又はハニ
カム構造体の破損が抑制されうることを見出した。
【0007】 即ち、本発明は、2つの端面と、一の端
面から他の端面まで貫通するセルを複数有するハニカム
成形体を成形する成形工程と、前記成形体の何れかの端
面において前記セルを目封じする目封じ工程と、前記目
封じされた成形体を焼成する焼成工程とを含むハニカム
構造体の製造方法であって、前記目封じ工程が、前記何
れかの端面にフィルムを貼り付ける第1副工程と、目封
じすべきセルに対応する前記フィルムの所定位置に高密
度エネルギービームにより穴を開ける第2副工程と、前
記目封じすべきセルに目封じ材を詰める第3副工程とを
含み、前記第1副工程において用いるフィルムが、基材
層と粘着層を含み、かつ粘着力が3〜15N/25mm
であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法を提
供するものである。
【0008】 本発明において、前記フィルムの厚みが
10〜70μmであることが好ましく、基材層の厚みが
5〜40μmであることが好ましい。また、粘着層の厚
みが5〜40μmであることが好ましく、基材層が、ポ
リエステル又はポリオレフィンを主成分とすることが好
ましい。また、粘着層がアクリル系粘着材を主成分とす
ることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】 以下、本発明のハニカム構造体
の製造方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形
態に限定されるものではない。
【0010】 本発明のハニカム構造体の製造方法は、
成形工程と、目封じ工程と、焼成工程とを含む。ここで
目封じ工程は、図1に示すように、ハニカム成形体1の
何れかの端面、例えば端面41にフィルム9を貼り付け
る第1副工程と、図2(a)、(b)に示すように目封
じすべきセル31に対応するフィルム9の所定位置91
に高密度エネルギービームにより穴を開ける第2副工程
と、図3に示すように目封じすべきセル31に目封じ材
15を詰める第3副工程とを含む。
【0011】 本発明における重要な特徴は、上記第1
副工程において用いるフィルムが、基材層と粘着層を含
み、かつフィルムの粘着力が、3〜15N/25mmの
範囲にあることである。上述のようにフィルムは最終的
に除去する必要があるが、フィルムの除去方法として、
目封じ工程の後ハニカム成形体からフィルムを剥がす
ことにより除去する方法、及び焼成工程において、フ
ィルムを分解及び/又は燃焼させることにより除去する
方法がある。フィルムを剥がすことにより除去する場
合、フィルムの粘着力が強すぎるとフィルムと共に成形
体の一部が剥離し、破損する場合がある一方、フィルム
の粘着力が弱すぎると目封じ材を詰める第3副工程にお
いて、フィルムのずれや剥離が起こりやすくなり、確実
に目封じできない場合が生じる。従って、フィルムの粘
着力が、3〜15N/25mm、好ましくは5〜14N
/25mm、更に好ましくは7〜13N/25mmであ
るフィルムを用いることにより、フィルムを剥がす際の
ハニカム成形体の破損も起こらず、目封じ材を詰める際
にもフィルムのずれや剥離が起こらずにハニカム構造体
を製造することができる。
【0012】 一方、焼成工程においてフィルムを分
解及び/又は燃焼させることによりフィルムを除去する
場合にも、焼成後のハニカム構造体における、フィルム
が貼り付けられていた部位に破損が生じる場合がある。
この現象を詳細に検討した結果、焼成工程においてフィ
ルムが加熱される際にフィルムが収縮しようとし、これ
が破損に関係することが見出された。例えば図4(a)
に示す矢印p方向へフィルムが収縮しようとすると、こ
の収縮にともなう応力が発生し、図4(b)に示すよう
にフィルムが剥離する。この剥離の際にフィルムが粘着
していた部分、特に端面近傍の外周壁72の部分がフィ
ルムと共に剥離する場合があることが見出された。そし
て、フィルムを分解及び/又は燃焼させることにより除
去する場合においても、フィルムの粘着力が強すぎると
焼成中にハニカム成形体又は構造体の破損が生じること
が見出された。一方、フィルムの粘着力が弱すぎる場合
には、上述のの場合と同様、確実に目封じができない
場合が起こる。従って、焼成工程においてフィルムを
除去する場合には、フィルムの粘着力が、3〜12N/
25mm、好ましくは5〜11N/25mm、更に好ま
しくは7〜10N/25mmであるフィルムを用いるこ
とにより、フィルムを除去する際のハニカム成形体の剥
離も起こらず、目封じ材を詰める際にもフィルムのずれ
が起こらずにハニカム構造体を製造することができる。
なお、本発明において、フィルムの粘着力はJISZ0
237に準拠した方法で測定した値を意味する。
【0013】 本発明において、フィルムの厚みは、フ
ィルムを剥がす際の除去しやすさに影響を与える要因と
なりうる。即ち、フィルムが厚すぎると、剛性が大きく
なりすぎ、除去しにくくなる。一方、フィルムが薄すぎ
ると強度が不足し除去しにくくなる。更に、フィルムの
厚みは、フィルムに穴を開ける際、及び目封じ材を詰め
る際にも影響を与えうる。即ち、フィルムが厚すぎる
と、高密度エネルギービームによりフィルムの所定位置
に穴を開ける第2副工程において、充分な穴を開けるこ
とができず、その結果確実な目封じができない場合があ
り好ましくない。この場合に、高密度エネルギービーム
の出力を上げることや照射時間を増やすことにより充分
な穴を開けることは可能であるが、高密度エネルギービ
ームの出力を上げることは高密度エネルギービーム発生
装置の大型化やコストの増加につながり、照射時間を増
やすことは製造時間の増加につながり、いずれも好まし
くない。一方、フィルムの厚みが薄すぎると、目封じ材
を詰める第3副工程において、充分なフィルム強度が得
られないため、フィルムが破れ、目封じすべきでないセ
ルに目封じ材が入ってしまう場合があり、好ましくな
い。従って、上記の種々の観点から、好ましいフィルム
の厚みは、10〜70μmであり、更に好ましくは15
〜60μm、特に好ましくは20〜50μmである。
【0014】 本発明において、ハニカム成形体の端面
にフィルムを貼り付ける第1副工程の後にフィルムに穴
を開ける第2副工程を行う場合には、穴を開ける位置の
決定を容易にするために、フィルムは透明又は半透明、
即ちフィルムを端面に貼り付けた後に、カメラなどの撮
像装置などの画像認識手段により、セルの位置を認識で
きる程度の透明性を有していることが好ましい。
【0015】 フィルムの基材層の厚みはフィルムの剛
性、強度及び、高密度エネルギービームによる穴の開け
やすさの大きな要因となりうる。従って、基材層の厚み
は5〜40μmであることが好ましく、7〜30μmで
あることが更に好ましく、10〜25μmであることが
特に好ましい。
【0016】 粘着層の厚みは、粘着力及びフィルムを
除去する際の除去しやすさに影響を与える要因となりう
る。従って、粘着層の厚みが、5〜40μmであること
が好ましく、7〜30μmであることが更に好ましく、
10〜25μmであることが特に好ましい。
【0017】 基材層に用いられる材料は、ある程度の
強度を有し、高密度エネルギービームにより穴を開ける
ことができるものであることが必要であり、また、透明
又は半透明であることが好ましい。従って、PETのホ
モポリマーやコポリマー等のポリエステル、ポリエチレ
ンやポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル等
のハロゲン化ポリオレフィン等のポリマー材料が好まし
く、基材層は、これらのポリマー材料を主成分とするこ
と、即ち基材層の50質量%以上がこれらのポリマー材
料であることが好ましい。ポリマー材料の中でもポリエ
ステル、ポリオレフィンが好ましく、ポリエステルが特
に好ましい。
【0018】 粘着層に用いられる材料は、粘着力が3
〜15N/25mmの範囲にはいるものであれば特に制
限はないが、アクリル系材料、ゴム系材料を含む粘着剤
等が好ましく、特にアクリル系材料を含むアクリル系粘
着剤が、フィルムを除去する際に、粘着剤がハニカム成
形体に残留しにくいという観点から好ましい。
【0019】 次に、本発明の一連の工程について説明
する。本発明における成形工程は、例えば次のようにし
て行うことができる。原料粉末として、種々のセラミッ
クス、例えばコージェライト、ムライト、アルミナ、ス
ピネル、炭化珪素、炭化珪素−コージェライト系複合材
料、珪素−炭化珪素系複合材料、窒化珪素、リチウムア
ルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、及び金
属、例えばFe−Cr−Al系金属、並びにびこれらの
組合せよりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料の
粉末を使用し、これにバインダー、例えばメチルセルロ
ース及びヒドロキシプロポキシルメチルセルロースを添
加し、更に界面活性剤及び水を添加し、可塑性の坏土を
作製する。この坏土を押出成形することにより、図1に
示すような一の端面41から他の端面43まで貫通する
セル3を複数有するハニカム成形体1を得ることができ
る。
【0020】 本発明の目封じ工程における、第1副工
程、即ち何れかの端面にフィルムを貼り付ける工程は、
例えば図1に示すように、フィルム9を端面41に貼り
付けることによって行うことができる。この際、フィル
ム9は、端面41のみに貼り付けてもよいが、端面近傍
の外周壁72まで覆うように貼り付けることが好まし
い。これは、ハニカム成形体の最外周におけるフィルム
とハニカム成形体との粘着部分が、図1に示す外周壁7
の端部71のみだけでなく端面近傍の外周壁72も粘着
部分に含めることにより、後工程において、目封じ材を
詰める際に、最外周及びその近傍においてフィルムのず
れや剥離を生じにくくするために効果的だからである。
【0021】 第2副工程、即ち目封じすべきセルに対
応するフィルムの所定位置に高密度エネルギービームに
より穴を開ける工程は、次のようにして行うことができ
る。例えば図5に示すように、第1副工程においてフィ
ルム9が貼り付けられた端面41をカメラ12などの撮
像手段により撮像し、撮像した画像を画像処理すること
により、目封じすべきセル上のフィルムの位置を決定
し、決定された位置データに基づいて、高密度エネルギ
ービーム発生装置によって、フィルム上の決定された位
置に高密度エネルギービームを照射し、フィルムに穴を
開ける。高密度エネルギービームとしては、例えばレー
ザー光等が上げられる。レーザー光を用いる場合のレー
ザー光発生装置に特に制限はないが、例えばCO2レー
ザーやYAGレーザーなどの発生装置が好ましい。また
出力は、例えば5〜15W程度の出力が好ましい。フィ
ルムの穴の形状は、セルの断面形状と同一形状である必
要はなく特に制限はない。例えばセルの断面形状が四角
形で穴の形状が円形であってもよいが、穴の大きさがセ
ルの断面に対して小さすぎると後の工程で充分な目封じ
が出来なくなる。従って、セルの断面積の50%以上の
面積の穴を開けることが好ましい。
【0022】 第2副工程は、第1副工程の前に、即ち
フィルムをハニカム成形体の端面に貼り付ける前に、フ
ィルムに穴を開けることにより行うこともできる。この
場合には、例えばハニカム成形体の端面をカメラなどの
撮像手段により撮像し、これを画像処理した位置データ
に基づきフィルムの所定位置に高密度エネルギービーム
で穴を開け後、このフィルムを位置データに基づきハニ
カム成形体の端面に貼り付けることができる。即ち第2
副工程を行った後第1副工程を行うこともできる。
【0023】 第3副工程は、例えば次のように行うこ
とができる。目封じ材として、例えば上述のハニカム成
形体の好ましい原料粉末として挙げたセラミックス等か
ら選ばれた少なくとも1種の材料を主成分とし、これに
バインダー、水やグリセリンなどの液体、任意的に界面
活性剤などを加えて、スラリー状として目封じ材を作製
することができる。この目封じ材15を、例えば図3に
示すような容器10に入れる。次に、ハニカム成形体1
のフィルム9が貼り付けられた端面を、この容器10中
の目封じ材15中に浸漬させ、更に上から押圧すること
により、目封じ材を所定のセル、即ちフィルム9の穴の
開いた場所に位置するセル31中に詰めることができ
る。
【0024】 以上のようにして、目封じ工程を行うこ
とができるが、目封じ工程は、他の端面に対しても行う
ことが好ましい。また、目封じ工程は、隣接するセルを
互いに反対側となる端面において目封じし、いずれの端
面においても、目封じされたセルと目封じされず開口し
ているセルが市松模様状を呈するように配置することが
好ましい。
【0025】 焼成工程は、目封じされた成形体を原料
粉末に対応した所定温度及び雰囲気、例えば炭化珪素を
原料粉末として用いた場合は、1800〜2200℃及
びAr等の不活性雰囲気で焼成することにより、コージ
ェライト又は焼成によりコージェライトとなるコージェ
ライト化原料の場合には、1400〜1440℃程度の
温度で焼成することにより、ハニカム構造体を得ること
ができる。この焼成工程は、任意的に、バインダー等の
有機物を除去する脱脂副工程を含んでも良く、この場合
には、例えば、150〜600℃程度でハニカム成形体
を加熱することにより有機物を脱脂することができる。
また、焼成工程の前にハニカム成形体を乾燥することが
好ましい。
【0026】 本発明において、目封じ工程で用いるフ
ィルムは、最終的に不要となるため除去する必要があ
る。除去の方法は、例えば目封じ工程の後にフィルムを
剥がすことにより除去することができる。この場合に
は、ハニカム成形体を乾燥した後フィルムを剥がすこと
が好ましい。また、特にフィルムを剥がさずに、前述の
焼成工程において、フィルムを分解及び/又は燃焼させ
ることにより除去することもできる。
【0027】
【実施例】 以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0028】 (実施例1〜3及び比較例1)原料とし
て、80質量部のSiC粉及び20質量部の金属Si粉
を混合し、これにメチルセルロース及びヒドロキシプロ
ポキシルメチルセルロース、界面活性剤及び水を添加し
て、可塑性の坏土を作製した。この坏土を押出成形して
隔壁の厚みが約300μm(12mil)、セル密度が
約46.5セル/cm2(300セル/平方インチ)、
断面が一辺35mmの正方形、長さが152mmのハニ
カム成形体を得た。
【0029】 このハニカム成形体をマイクロ波及び熱
風で乾燥した後、この端面に、表1に示す、材質、厚
み、粘着力のフィルムを貼り付けた。この端面を図6に
示すように、カメラ12により撮像し、撮像した画像を
画像処理することにより、目封じすべきセル上のフィル
ムの位置を決定し、出力10〜12W、光径180μm
φのCO2レーザー光を照射し、所定位置のフィルムに
穴を開けた。ここで、フィルムに開けられた穴を再度カ
メラにより撮像し、穴の径を測定した。
【0030】 次に、80質量部の炭化珪素(SiC)
及び20質量部の金属珪素の合計100質量部に対し
て、30質量部の水、10質量部の有機助剤を加えてス
ラリーとし、目封じ材を得た。この目封じ材を、図3に
示すような、ハニカム成形体の外形と略同寸法の開口部
がある容器内に入れ、目封じ材を容器内で平坦化させ
た。次にハニカム成形体のフィルムが貼り付けられた端
面が目封じ材と接触するようにハニカム成形体を容器内
に配置して、ハニカム成形体を上方から下方へ押圧する
ことにより目封じ材を所定のセル内に詰めた。そしてハ
ニカム成形体を100℃で乾燥させた後、フィルムを剥
がすことにより除去した。この際の剥がしやすさ及びハ
ニカム成形体の破損の有無を観察し評価した。フィルム
の除去は、乾燥直後、即ちハニカム成形体が乾燥温度に
近い状態の場合、及び放置後、即ちハニカム成形体が室
温の状態の場合の2つの場合に分けて行った。これらの
結果を表1に示す。
【0031】 実施例1及び2のサンプルについては、
目封じした後、フィルムを剥がさずに、焼成工程におい
てフィルムを除去する試験も行い、焼成後のハニカム構
造体の破損の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0032】 (比較例2)フィルム総厚み185μ
m、基材層厚み100μm、基材層の材質がポリエステ
ルのフィルムを用いたことを除いて、実施例1と同様に
してレーザーによる穴開けまで行った。その結果穴を開
けることができなかった。
【0033】
【表1】
【0034】 表1より、実施例1〜3のサンプルは、
フィルムを剥離させることによるハニカム成形体の破損
がなかった。また、実施例1、2のサンプルは、良好に
目封じ材を詰めることができる穴を開けることができ、
ハニカム成形体を放置後にフィルムを剥がした場合にも
良好にフィルムを剥がすことができた。更に実施例1の
サンプルは、焼成によってフィルムを除去した場合にも
ハニカム構造体の破損がなく、良好な結果が得られた。
これに対して、比較例1のサンプルは、フィルムの粘着
力が強すぎたためにフィルムを剥離させる際にハニカム
成形体の破損が起こった。また、フィルムの厚みが厚す
ぎたために、フィルムに充分な穴を開けることができな
かった。
【0035】
【発明の効果】 以上説明してきたとおり、本発明のハ
ニカム構造体の製造方法は、目封じ工程に起因するハニ
カム成形体又はハニカム構造体の破損が抑制され、目封
じされたハニカム構造体を好適に製造することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の目封じ工程におけるフィルムの貼り
付け方法の一例を示す模式的な斜視図である。
【図2】 (a)は、本発明に係るハニカム成形体にフ
ィルムを貼り付けた状態の一例を示す模式的な平面一部
拡大図であり、(b)は(a)のB−B線断面図であ
る。
【図3】 本発明の目封じ工程における目封じ材を所定
セルに詰める方法の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】 (a)、(b)は本発明の焼成工程における
フィルムの動きを示す模式的な断面図である。
【図5】 本発明の目封じ工程における、穴開け位置を
決定する方法の一例を示す模式的な断面図である。
【図6】 (a)は、本発明によって製造することがで
きるハニカム構造体の一例を示す模式的な斜視図であ
り、(b)は(a)におけるbで示された部分の一部拡
大図である。
【符号の説明】
1…ハニカム成形体、2…隔壁、3…セル、31…目封
じすべきセル、4…ハニカム構造体、7…外周壁、71
…外周壁の端部、72…端面近傍の外周壁、9…フィル
ム、91…穴を開けるフィルムの所定位置、10…容
器、12…カメラ、15…目封じ材、41、43…端
面。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの端面と、一の端面から他の端面ま
    で貫通するセルを複数有するハニカム成形体を成形する
    成形工程と、前記成形体の何れかの端面において前記セ
    ルを目封じする目封じ工程と、前記目封じされた成形体
    を焼成する焼成工程とを含むハニカム構造体の製造方法
    であって、 前記目封じ工程が、前記何れかの端面にフィルムを貼り
    付ける第1副工程と、目封じすべきセルに対応する前記
    フィルムの所定位置に高密度エネルギービームにより穴
    を開ける第2副工程と、前記目封じすべきセルに目封じ
    材を詰める第3副工程とを含み、 前記第1副工程において用いるフィルムが、基材層と粘
    着層を含み、かつ粘着力が3〜15N/25mmである
    ことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記フィルムの厚みが10〜70μmで
    ある請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 基材層の厚みが5〜40μmである請求
    項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 粘着層の厚みが5〜40μmである請求
    項1乃至3の何れか1項に記載のハニカム構造体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 基材層が、ポリエステル又はポリオレフ
    ィンを主成分とする請求項1乃至4の何れか1項に記載
    のハニカム構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】 粘着層がアクリル系粘着材を主成分とす
    る請求項1乃至5の何れか1項に記載のハニカム構造体
    の製造方法。
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