JP2006087985A - セラミックハニカムフィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セラミックハニカム構造体の端面に粘着フィルムが貼着され、該粘着フィルムに所定の貫通孔が形成された後、該貫通孔にスラリーが導入されて封止部が形成される、セラミックハニカムフィルタの製造方法において、前記セラミックハニカム構造体の端面に粘着フィルムを貼り付け時、または、貼り付け後において、0.01〜2.0MPaの押圧力を付加する。
【選択図】 図1
Description
セラミックハニカム構造体の端面に粘着フィルムを貼り付け時、または、貼り付け後において、セラミックハニカム構造体の端面に貼り付けられた粘着フィルムに0.01〜2.0MPaの押圧力を付加することにより、多孔質であるセル壁に形成されている細孔に、少なくとも基材層と粘着材層からなる粘着フィルムの粘着材がくい込むことで粘着力が増し、粘着フィルムとセラミックハニカム構造体の端面がしっかりと貼着されるのである。
本発明において、セラミックハニカム構造体の端面に粘着フィルムを貼り付け時、または、貼り付け後に、粘着フィルムに0.01MPa以上の押圧力を付加して行うのは、0.01MPa未満の押圧力では、多孔質であるセル壁に形成されている細孔への、粘着フィルムの粘着材のくい込みが少なくなるため粘着力が増加せず、セラミックハニカム構造体の端面に粘着フィルムがしっかりと貼着されなくなり、セラミックハニカム構造体の端面との間に隙間を生じることがあるからである。そして、隙間が生じると、スラリーの充填工程において、封止を必要としない流路にスラリーがはみ出てしまい、この流路の開口部が狭くなり、その後、乾燥、焼成して、セラミックハニカムフィルタとした場合に、流路の開口面積が確保されずに圧力損失が大きくなるおそれがあるからである。一方、2.0MPaを超える押圧力では、セラミックハニカム構造体が破損するおそれがあるからである。セラミックハニカム構造体の端面に貼り付けられた粘着フィルムに付加する好ましい押圧力は、0.1〜1.0MPaであり、より好ましくは0.1〜0.3MPaである。
ここで、粘着フィルムを押圧する手段としては、例えば、図1に示すように、所望の大きさの板状の金属製の工具11に荷重をかけながら粘着フィルム上を移動させて押圧力を負荷する方法や、図2に示すように、ローラ状の工具21に荷重をかけながら回転させて押圧力を負荷する方法等を適宜用いることができる。また、粘着フィルムへの押圧力の付加は、セラミックハニカム構造体の端面に粘着フィルム貼り付ける時、または貼り付けた後の何れにおいてでも良い。
また、セラミックハニカム構造体の端面に貼り付けられた粘着フィルムに付加する押圧力は、貼り付けられた粘着フィルム全面に付加することが好ましいが、外周壁近傍を除いた粘着フィルム面にのみ付加されれば良い。この場合、外周壁近傍とは、セラミックハニカム構造体の端面において、外周壁から内周側へ向かい、端面半径の20%以下の長さの領域を表す。これは、セラミックハニカムフィルタが収納容器内に配置されると、外周近傍は把持部材が当接することにより、排気ガスが流入しないので、圧力損失の上昇には影響しないからである。
尚、本発明における押圧力とは、押圧工具により、セラミックハニカム構造体の略流路方向に付加する押圧荷重を、押圧工具と接するセラミックハニカム構造体端面の面積で除して算出する。ここで言うセラミックハニカム構造体端面の面積とは、セル壁端面の面積と流路端面の面積の合計のことである。
なお、粘着フィルムの温度を20〜100℃とする手段としては、例えば、図1に示すように、所望の大きさの板状の金属製の工具11に加熱ヒーター11aを内蔵させることで、押圧時に粘着フィルムの温度を上昇させる方法、図2に示すように、ローラー状の工具21に加熱ヒーター21aを内蔵させることで、押圧時に粘着フィルムの温度を上昇させる方法、熱風を発生するドライヤーで粘着フィルムを加熱させる方法、電熱プレートで粘着フィルムを加熱させるなど、適宜用いることができる。また、粘着フィルムの温度を20〜100℃とするのは、セラミックハニカム構造体の端面に貼り付ける前、もしくは、貼り付ける時の何れでも良い。
また、粘着材層の形成材料は、ゴム系、アクリル系、シリコン系、ウレタン系等を使用することができるが、中でも、ゴム系、アクリル系が好ましい。これは、押圧力を付加した際に、粘着材がセル壁に形成されている細孔にくい込み易くなるとともに、粘着フィルムの温度を20〜100℃とした際に、粘着材が細孔によりくい込み易くなり、粘着力が増す効果があるからである。そして、粘着フィルムの厚さは、0.03〜0.2mmであり、基材層の厚さが0.01〜0.15mm、粘着材層の厚さが0.01〜0.15mmであり、粘着力が2〜20N/25mmであることで、貫通孔の形成や、粘着力の向上がより好ましく行われるのである。
コージェライト生成原料粉末に、成形助剤、造孔剤を適量添加し、混合、混練してセラミック坏土を生成する。次に、坏土を押出し成形用金型を用いて押出し成形し、切断して、直径270mm×長さ300mmの成形体とし、続いて、乾燥、焼成してセラミックハニカム構造体31とする。
次に、このハニカム構造体31の一方の端面35aに粘着フィルム41を載置して仮付けする。この粘着フィルム41は、基材層がポリプロピレン、粘着材層がゴム系、粘着フィルム厚さ0.09mmで粘着力7.22N/25mmの特性を有している。
次いで、図1に示すように、30mm×50mm、厚さ15mmのステンレス製の板状の工具11に荷重をかけながら、粘着フィルムを押圧力が0.01〜2.0MPaとなるよう板状の工具11により押圧して、粘着フィルム41をハニカム構造体31の端面35aに貼着させる。
ここで、押圧の方法は、図2に示すように、軸23で取り付けられた直径20mm、長さ50mmのステンレス製のローラー状の工具21を、回転自在に支承するアーム22に、荷重をかけながら粘着フィルム上を移動させて、押圧力が0.01〜2.0MPaとなるよう押圧して、粘着フィルム41をハニカム構造体31の端面35aに貼着させることもできる。また、図2に示すローラー状の工具21の長さが、ハニカム構造体の直径と同じかそれよりも長いものを用いることもできる。この場合、ローラー状の工具を回転させて粘着フィルム上を移動させると、ローラー状の工具とセラミックハニカム構造体の端面とが接する面積が変動するので、押圧荷重Pを調整しながら、押圧力が0.01〜2.0MPaとなるように押圧する。
次に、図4(b)(c)(d)に示すように、粘着フィルム41に交互に貫通孔41aをレーザー51を用いて形成し、封止材を含有するスラリー42に浸漬して、スラリー42を貫通孔41aから流路34内の所定深さに浸入、充填させる。そして、スラリー42を硬化、乾燥させ、粘着フィルム41を除去し、片方の端面35aが交互に封止材36aで封止されたセラミックハニカム構造体31とする。
次いで、セラミックハニカム構造体31の他方の端面35bについても、端面35aと同様にして、端面35bが交互に封止材36bで封止されたセラミックハニカム構造体31とする。
そして、このセラミックハニカム構造体31の封止材を焼成させて、図3に示すセラミックハニカムフィルタ30が得られる。
熱風を発生するドライヤーで粘着フィルムを20〜100℃に加熱して、加熱した粘着フィルム41をセラミックハニカム構造体の端面35a、35bに載置して、上述したように、図1に示す、板状の工具11、若しくは、図2に示すローラー状の工具21で押圧して、粘着フィルム41をセラミックハニカム構造体31の端面35a、35bに貼着させる。
また、電熱プレートで粘着フィルムを20〜100℃に加熱して、加熱した粘着フィルム41をセラミックハニカム構造体の端面35a、35bに載置して、上述したように、図1に示す板状の工具11、若しくは、図2に示すローラー状の工具21で押圧して、粘着フィルム41をセラミックハニカム構造体31の端面35a、35bに貼着させる。
一方、図1に示すように、板状の工具11に発熱コイル11aを内蔵させることで、板状の工具11の温度を20〜100℃とし、この加熱された板状の工具11で押圧することで粘着フィルムの温度を20〜100℃とすることができる。
また、図2に示すように、ローラー状の工具21に加熱ヒーター21aを内蔵させることで、工具21の温度を20〜100℃とし、この加熱された工具で押圧することで粘着フィルムの温度を20〜100℃とすることができ、押圧時に粘着フィルムの温度を上昇させることができる。
カオリン、タルク、シリカ、アルミナなどの粉末を調整して、質量比で、SiO2:48〜52%、Al2O3:33〜37%、MgO:12〜15%を含むようなコージェライト生成原料粉末とし、これにメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のバインダー、潤滑剤、造孔材としてグラファイトを添加し、乾式で十分混合した後、規定量の水を添加、十分な混練を行って可塑化したセラミック杯土を作成した。次に、押出し成形用金型を用いて坏土を押出し成形し、切断して、直径270mm×長さ300mmの成形体とした。次に、成形体を、乾燥、焼成させ、セル壁33が、厚さ0.3mm、気孔率65%、平均細孔径20μm、ピッチ1.5mmで、外径が280mm、全長が300mmのコージェライト質セラミックハニカム構造体31を得た。
そして、ダイヤモンド砥粒が電着された砥石の粒度(#)を変えて端面35a、35bを研削加工したものと、研削加工をしないものを準備した。
一方、比較例1〜3は、押圧力を本発明の範囲を外れる0.01MPa未満としたので、粘着フィルム41がセラミックハニカム構造体31の端面35a(35b)に緊密に貼着せず、セラミックハニカム構造体の端面と粘着フィルムの間に隙間を生じ、スラリーの充填時に、封止を必要としない流路にスラリーがはみ出てしまい、流路の開口面積が確保されずに結果として、圧力損失が大きくなっていた。また、比較例4〜6は、押圧力を本発明の範囲を外れる2.5MPaとしたので、セル壁33の一部が破損してしまい、封止することができず、セラミックハニカムフィルタとして使用することができなかった。さらに、従来例1では、押圧力を付加しなかったので、粘着フィルム41がセラミックハニカム構造体31の端面35a(35b)にしっかりと貼着せず、セラミックハニカム構造体の端面と粘着フィルムの間に隙間が生じ、スラリーの充填時に、封止を必要としない流路にスラリーがはみ出てしまい、流路の開口面積が確保されずに結果として、圧力損失が大きくなった。
11a発熱コイル
21:ローラー状の工具
21a:加熱ヒータ
22:アーム
23:軸
30:セラミックハニカムフィルタ
31:セラミックハニカム構造体
32:外周壁
33:セル壁
34:流路
34a:封止を必要としない流路
35a:端面(排気ガスが流入する端面)
35b:端面(排気ガスが流出する端面)
36a、36b:封止材
41:粘着フィルム
41a:貫通孔
42:スラリー
51:レーザー
P:荷重
Claims (3)
- セラミックハニカム構造体の端面に粘着フィルムが貼着され、該粘着フィルムに所定の貫通孔が形成された後、該貫通孔にスラリーが導入されて封止部が形成される、セラミックハニカムフィルタの製造方法において、前記セラミックハニカム構造体の端面に前記粘着フィルムを貼り付け時、または、貼り付け後において、前記セラミックハニカム構造体の端面に貼り付けられた前記粘着フィルムに0.01〜2.0MPaの押圧力を付加することを特徴とするセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 前記押圧力を付加するときの前記粘着フィルムの温度が20〜100℃であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 前記セラミックハニカム構造体の端面が、前記粘着フィルムの貼着前に、粒度#40〜#500の砥石で研削加工されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2何れかに記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法。
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2004
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