JP2008054018A - 圧電振動子およびこれを備える発振器、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 蓋部材6とベース部材7とが厚さ方向に重ね合わされた密閉容器2と、密閉容器内に基端部を蓋部材に片持ち支持された水晶振動片3と、蓋部材及びベース部材の内面であって、圧電振動片の先端部に対応する箇所にそれぞれ設けられた欠け防止用凹部8,10と、水晶振動片の先端部に設けられた周波数調整用の重り5とを備える水晶振動子1において、周波数調整用の重り5が、水晶振動片の先端部であって蓋部材とベース部材と対向する両面の内蓋部材と対向する面にのみに設けられ、水晶振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられない側であるベース部材の欠け防止用凹部の圧電振動片への接触縁部10bが、水晶電振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられた側である蓋部材の欠け防止用凹部の水晶振動片への接触縁部8bよりも水晶電振動片の先端側へずらして設けられている。
【選択図】 図1
Description
このような問題に対処するものとして、ベース部材及び蓋部材のそれぞれの内面に、2段階の深さを持つ凹部(キャビティ)を形成したものが提案された(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、落下等衝撃の作用によって圧電振動片がたわむ場合に、1段目と2段目の境の段差に圧電振動片の中間が当たり、さらなるたわみを抑えることで、圧電振動片の先端が蓋部材等の内面にあたることを防止し、これにより、ある程度の小型化・薄型化を実現しつつ、圧電振動片の先端の欠けを防止することができる。
ところで、前述した従来の技術において、このような要求に応えようとすると、ガラス材料により作られるベース部材や蓋部材の、部材厚に対する凹部(キャビティ)の深さの締める比率が大きくなり、これに起因して強度が低下するという問題が生じる。
また、最近、ベース部材または蓋部材のうち一方の部材にのみ凹部を形成し、そこにチップ(圧電振動片)をマウントした状態で収納する、いわゆるチップマウント方式が考えられているが、この方式を前記従来の技術に適用しようとすると、ベース部材または蓋部材のうちチップを収納する側の部材が、圧電振動片の厚み分のキャビティ深さを負担することとなり、前述の問題がより顕著となる。
すなわち、本発明に係る圧電振動子は、板状の蓋部材と板状のベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、該密閉容器内に、基端部を前記蓋部材または前記ベース部材に片持ち支持された状態で配置された圧電振動片と、前記蓋部材及び前記ベース部材のそれぞれの内面であって前記圧電振動片の先端部に対応する箇所にそれぞれ設けられた欠け防止用凹部と、前記圧電振動片の先端部であって前記蓋部材または前記ベース部材と対向する面に設けられた周波数調整用の重りと、を備える圧電振動子において、前記周波数調整用の重りが、前記圧電振動片の先端部であって前記蓋部材または前記ベース部材と対向する両面の内いずれか一方の面にのみに設けられ、前記圧電振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられない側の面と対向する前記欠け防止用凹部の前記圧電振動片への接触縁部が、前記圧電振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられた側の面と対向する前記欠け防止用凹部の前記圧電振動片への接触縁部よりも前記圧電振動片の先端側へずらして設けられていることを特徴とする。
ところで、圧電振動片が、周波数調整用の重りが設けられない側にたわむときに、その先端部近傍が欠け防止用凹部の縁部にあたるが、もともと、この部分には周波数調整用の重りを設けていないので、欠け防止用凹部の縁部との接触により、周波数調整用の重りの一部が欠落して周波数が変わるといった事態は生じない。
本発明によれば、ベース部材に振動片収納用凹部を設けそこに圧電振動片を収納する、いわゆるチップマウント方式の圧電振動子において、振動片収納用凹部が設けられたベース部材側に設ける欠け防止用凹部の圧電振動片への接触縁部を圧電振動片の先端側へずらして設けており、これにより、前述した理由から、該ベース部材側の欠け防止用凹部の深さを浅く設定することができる。つまり、ベース部材には、振動片収納用凹部と欠け防止用凹部とを重ねて設けているが、欠け防止用凹部の深さを浅く設定できる分、それら凹部を設けることに伴うベース部材の強度低下を防止することができる。
本発明によれば、圧電振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられない側の面と対向する欠け防止用凹部の前記圧電振動片接触縁部を、前記圧電振動片の先端を越えない範囲で前記圧電振動片の先端側へずらして設けている。このようにずらして設けているにもかかわらず、圧電振動片の先端は必ず欠け防止用凹部に対応する位置にある。したがって、落下等の衝撃が作用する際に圧電振動片が、周波数調整用の重りが設けられない側にたわむときに、該圧電振動片の先端は、欠け防止用凹部の縁部にあたったり、ベース部材や蓋部材の内面に当たったりすることはない。
本発明にかかる電子機器は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする。
これらの発明にかかる発振器、電子機器は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電振動子と同様な効果を奏する。
以下、本発明の第1実施形態における水晶振動子(圧電振動子)について、図面を参照して説明する。図1(a)は水晶振動子の断面図、図1(b)は図1(a)のA部分の拡大図である。図1において、符号1は水晶振動子を示すものである。なお、この実施形態では、圧電振動片として、水晶により形成された水晶振動片を例に挙げて説明するが、これに限られることなく、圧電振動片は、タンタル酸リチウムやニオム酸リチウム等の圧電材料によって作ったものであってもよい。
水晶振動片3は、平行に延びる一対の振動腕部3a(図12に示す)がそれぞれ基端側で一体的に接続された音叉型振動片として構成されている。水晶振動片3の基端部は、蓋部材6の後述する接続部15に接続されていて、これにより、電気的に接続されるとともに、密閉容器2の中で機械的に片持ち支持された状態で固定されている。また、水晶振動片3は、水晶からなり、電圧を印加することにより、所定の周波数で振動するようになっている。
水晶振動片3の表面には、一対の振動腕部3aを互いに接近または離間する方向へ所定の共振周波数で振動させる励磁電極4を備える。また、水晶振動片3の先端部には、振動腕部3aの共振周波数を調整するための周波数調整用の重り5が、蓋部材6またはベース部材7と対向する両面の内いずれか一方の面にのみ、ここでは、蓋部材6と対向する面3aaにのみ設けられている。周波数調整用の重り5は、粗調用の重り5aと微調用の重り5bとから構成されている。これら重り5a、5bが、例えばレーザ光を照射される等によって必要量だけ除去されることにより、振動腕部3aの共振周波数が所定範囲内に収まるように調整される。
蓋部材6の両主面のうち、一方の主面(蓋部材6がベース部材7に対して重ね合わされるとき内面となる主面)6aには、矩形状の欠け防止用凹部8が形成されている(図2、図3参照)。同様にして、ベース部材7の一方の主面(ベース部材7が蓋部材6に対して重ね合わされるとき内面となる主面)7aには、水晶振動片3を収納する矩形状の振動片収納用凹部9と矩形状の欠け防止用凹部10が、密閉容器2の一端側で互いに重ね合わされるように形成されている(図4、図5参照。)そして、蓋部材6とベース部材7とは、双方の欠け防止用凹部8,10が対向した状態で、一方の主面6aと一方の主面7aとが重ね合わされて接合されている。すなわち、蓋部材側の一方の主面6aは、蓋部材6の重ね合わせ面として機能し、ベース部材側の一方の主面7aは、ベース部材7の重ね合わせ面として機能する。そして、重ねあわされた蓋部材6とベース部材7との間には、前記振動片収納用凹部9及び前記欠け防止用凹部8,10によってキャビティ12が形成され、このキャビティ12によって、水晶振動片3が振動を許容された状態で収納されている。密閉容器2の中は気密封止されており、キャビティ12は真空状態に保持されている。
このベース部材側に設けられる欠け防止用凹部10の水晶振動片への接触縁部10bのずれ量は、蓋部材側に設けられる欠け防止用凹部8の水晶振動片への接触縁部8bに対して、水晶振動片3の先端を越えない範囲で設定されている。
接続部15は例えば金などの導電性部材からなっていて、引き出し電極16は例えばCrやTiなどの導電性部材からなっている。接続部15は、図6に示すように、水晶振動片3の基端部が配置される箇所に二つ設けられており、これら二つの接続部15が、水晶振動片3に電圧を印加するための正負の電極端子として機能するようになっている。引き出し電極16は、2つに分かれ蓋部材6の隅部まで至るように設けられている。両端の引き出し電極16のうち、一の引き出し電極16は一の接続部15と接続されており、他の引き出し電極16は他の接続部15に接続されている。
なお、図1においては、引き出し電極16、絶縁膜22、接合膜24が層状に重ねられている部分の膜全体の厚みが、水晶振動片3の厚みよりも厚く示されているが、これは、膜の構成を分り易く誇張して描いているためであり、実際には、水晶振動片3の方が膜全体より厚い。
本実施形態における前記蓋部材6及びベース部材7は、例えばガラスからなっており、これら蓋部材6とベース部材7とが、接合膜24を介して陽極接合されている。
まず、蓋部材6を形成加工する。すなわち、図2及び図3に示すように、ガラスかならなる蓋部材用ウエハ30を所定の厚さになるまで研磨加工して洗浄する。そして、最表面の加工変質層をエッチングなどによって除去する。さらに、蓋部材用ウエハ30の一方の主面30aに、エッチングなどにより、欠け防止用凹部8を形成する。なお、図2及び図3には、簡略化のため、一つの欠け防止用凹部8しか明示されていないが、実際には蓋部材用ウエハ30の一方の主面30a全面に、複数の欠け防止用凹部8が行列方向に連続的に形成される。つまり、蓋部材用ウエハ30は、蓋部材6が複数配列されて一体的に形成されたものであり、ここでは蓋部材用ウエハ30は蓋部材6に相当するものである。さらに、蓋部材用ウエハ30の一方の主面30aは、蓋部材6の一方の主面6a、すなわち、蓋部材6の重ね合わせ面に相当する。
次いで、それぞれの欠け防止用凹部10を所定の大きさで矩形に取り囲んだときの、その矩形の四隅のそれぞれに図5、図15に示すスルーホール32を設ける。なお、スルーホール32は、後述するダイシング工程において4分割されるが、その4分割された部位にCr等の金属材料がコーティングされることによって、上述の導電部28となる。
それから、図6及び図7に示すように、蓋部材用ウエハ30の一方の主面30aに、接続部15や引き出し電極16を形成する(電極形成工程)。すなわち、スパッタリングや蒸着などによって、一方の主面30aに、引き出し電極層を形成し、エッチングなどにより、引き出し電極16を一体的にパターニングする。さらに、引き出し電極16の上側に、引き出し電極16を形成するときと同様な手法により例えばAuからなる接続部15を形成する。
なお、絶縁膜22を形成する際、ベース部材用ウエハ31に形成されるスルーホール32に合わせて、図6に示すように、フォトリソグラフィによるパターニングにより絶縁膜22の四隅を円弧状に取り去る。また、同様に、接続部15及びその近傍の中間部の絶縁膜も取り去る。
さらに、図12、図13に示すように、接続部15に水晶振動片3の基端部を電気的に接続する(接続工程)。これにより、水晶振動片3が固定される。この接続方法としては、超音波を利用した金―金接合やハンダ接合、あるいは導電性接着材を用いる方法などが選択される。
また、このとき例えばシリコンからなる接合膜24と、ガラスからなるベース部材用ウエハ31の一方の主面31aが密着した状態になる。
そして、それら切断された一つ一つの上下を反転させると、図1に示す水晶振動子1となる。
現に、ベース部材7は、両凹部9、10を重ねた状態で備えているにも拘わらず、それら凹部の重ねた深さDa+Dcは、蓋部材6の欠け防止用の凹部8の深さDbと同程度に設定されている。つまり、予め、ベース部材7と蓋部材6の板厚を同程度に設定しておけば、ベース部材7の強度を蓋部材6の強度と同程度に維持できる。
次に、本発明の第2実施形態について、図17を参照して説明する。
図17において、符号38は、本発明の第2実施形態に係る発振器を示すものである。
発振器38は、上記第1または第2の実施形態の水晶振動子1が発振子として用いられて構成されたものである。
発振器38は、コンデンサなどの電子部品39が実装された基板40を備えている。基板40には、発振器用の集積回路43が実装されており、この集積回路43の近傍に、水晶振動子1が実装されている。そして、これら電子部品39、集積回路43及び水晶振動子1は、不図示の配線パターンによって電気的に接続されている。なお、各構成部品は、不図示の樹脂によりモールドされている。
また、集積回路43の構成を、例えばRTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することにより、時計用単機能発振器などの他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダーなどを提供したりする機能を付与することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1の実施形態における水晶振動子1を備える電子機器として、携帯情報機器について説明する。
図18において、符号46は、携帯情報機器を示すものであり、図18を参照して、携帯情報機器46の機能的構成について説明する。
電源部47には、各種制御を行う制御部48と、時刻等のカウントを行う計時部51と、外部との通信を行う通信部52と、各種情報を表示する表示部56と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部53と、が並列に接続されている。そして、電源部47によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
無線部57は、音声データ等の各種データを、アンテナを介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部58は、無線部57または増幅部62から入力された音声信号を符号化及び復号化する。増幅部62は、音声処理部58または音声入出力部63から入力された信号を所定のレベルまで増幅する。音声入出力部63は、スピーカやマイクロフォンなどからなり、着信音や受話音声を拡声したり、話者音声を集音したりする。
なお、水晶振動子1は、通信部52の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部69を備えており、この電源遮断部69によって、通信部52の機能が確実に停止される。
前述した第1実施形態では、ベース部材7に振動片収納用凹部9を設けそこに水晶振動片3をマウントした状態で収納する、いわゆるチップマウント方式を例に挙げて説明したが、本発明が適用されるものは、チップマウント方式の圧電振動子に限定されるものではなく、ベース部材と蓋部材それぞれに振動収納用凹部を設けたものにも勿論適用可能である。
また、前記第1実施形態では、蓋部材6とベース部材7の板厚をほぼ同程度に設定しているが、これに限られること無く、それら蓋部材6とベース部材7の板厚を変えてもよい。
Claims (5)
- 板状の蓋部材と板状のベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、
該密閉容器内に、基端部を前記蓋部材または前記ベース部材に片持ち支持された状態で配置された圧電振動片と、
前記蓋部材及び前記ベース部材の内面であって、前記圧電振動片の先端部に対応する箇所にそれぞれ設けられた欠け防止用凹部と、
前記圧電振動片の先端部に設けられた周波数調整用の重りと、
を備える圧電振動子において、
前記周波数調整用の重りが、前記圧電振動片の先端部であって前記蓋部材または前記ベース部材と対向する両面の内いずれか一方の面にのみに設けられ、
前記圧電振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられない側の面と対向する前記欠け防止用凹部の前記圧電振動片への接触縁部が、前記圧電振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられた側の面と対向する前記欠け防止用凹部の前記圧電振動片への接触縁部よりも前記圧電振動片の先端側へずらして設けられていることを特徴とする圧電振動子。 - 前記圧電振動片が前記ベース部材の内面に設けられた振動片収納用凹部に収納され、
前記圧電振動片の先端部の前記蓋部材と対向する面に前記周波数調整用の重りが設けられ、
前記ベース部材の前記欠け防止用凹部の前記圧電振動片への接触縁部が、前記蓋部材の前記欠け防止用凹部の前記圧電振動片への接触縁部よりも前記圧電振動片の先端側へずらして設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子。 - 前記圧電振動片の先端部の周波数調整用の重りが設けられない側の面と対向する前記欠け防止用凹部の前記圧電振動片への接触縁部が、前記圧電振動片の先端を越えない範囲で前記圧電振動片の先端側へずらして設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする電子機器。
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