JP2007129325A - 圧電振動子、発振器、電波時計、電子機器、圧電振動子用ウエハ体及び圧電振動子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数のウエハが重ね合わされて接合された圧電振動子用ウエハ体が、ダイシングによって切断されることによりなる圧電振動子1であって、板状の蓋部材6とベース部材7とが厚さ方向に重ね合わされて接合された密閉容器3と、前記蓋部材6と前記ベース部材7との間に配され、圧電振動子片が枠状部によって囲まれて形成された圧電振動子板2と、を備え、前記密閉容器3の側面に、前記密閉容器3の内方に向けられた逃げ部19が形成されており、前記逃げ部19は、前記切断の前に前記複数のウエハのそれぞれにあらかじめ形成された切断面積を減少させるための切断用貫通孔の周面により形成されている。
【選択図】 図1
Description
ここで、圧電体材料としては、例えば水晶が選択され、リッド部材とベース部材にはガラスが選択され、水晶とガラスは薄膜のアルミニウムを接合膜として、陽極接合されている。
本発明に係る圧電振動子は、複数のウエハが重ね合わされて接合された圧電振動子用ウエハ体が、ダイシングによって切断されることによりなる圧電振動子であって、板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて接合された密閉容器と、前記蓋部材と前記ベース部材との間に配され、圧電振動子片が枠状部によって囲まれて形成された圧電振動子板と、を備え、前記密閉容器の側面に、前記密閉容器の内方に向けられた逃げ部が形成されており、前記逃げ部は、前記切断の前に前記複数のウエハのそれぞれにあらかじめ形成された切断面積を減少させるための切断用貫通孔の周面により形成されていることを特徴とする。
これにより、ブレードに目つぶれや目詰まりなどが生じることを可及的に防止することができる。
また、逃げ部に合わせてピンセットを当接させることにより、密閉容器を挟み易くすることができる。
また、本発明に係る電波時計は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする。
これにより、ブレードの目つぶれや目詰まりなどが生じることを可及的に防止することができる。
これにより、ブレードの目つぶれや目詰まりなどが生じることを可及的に防止することができる。
以下、本発明の第1実施形態における水晶振動子(圧電振動子)について、図面を参照して説明する。
図1(a)及び(b)において、符号1は水晶振動子を示すものである。
水晶振動子1は、水晶からなり矩形に形成された水晶振動子板(圧電振動子板)2と、この水晶振動子板2を挟んで厚さ方向に重ね合わされて接合された板状の蓋部材6及びベース部材7を有する密閉容器3とを備えている。
また、密閉容器3の外周面には、底面を除いて、電極膜4の腐食などを防止するための保護膜16が形成されている。保護膜16は、トリメチルシロキサンを末端に有するフッ素系コート剤の0.1wt%フルオロカーボンからなっている。保護膜16としては、例えば、オプツールDSX(製品名:ダイキン工業(株)製)などが使用される。
図3は、水晶振動子1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
まず、水晶の原石を切断し、所定の厚さまで研磨加工した後洗浄することにより、図4に示すように、円板状の振動子用ウエハ24を形成する(ステップS10)。それから、例えばエッチングなどの化学的処理により、振動子用ウエハ24上に複数の水晶振動子片9・・・を行列方向に形成する。これら各水晶振動子片9の周囲を囲む領域が、個々の水晶振動子板2の領域となる。また、水晶振動子片9の形成と同時に、それら複数の水晶振動子片9の周囲を個々に囲むようにして、図5に示すように、四つの振動子側切断用貫通孔25が形成される(ステップS11、振動子側貫通孔形成工程)。すなわち、従来の水晶振動子片9及び枠状部10の形成工程に、振動子側切断用貫通孔25用のパターンをマスクに追加するだけで、工程を増やすことなく振動子側切断用貫通孔25が迅速かつ容易に形成される。これら振動子側切断用貫通孔25は、後述するダイシング工程において、図11に示すダイシングブレード33による振動子用ウエハ24の切断面積を減少させるためのものである。さらに、振動子側切断用貫通孔25は、ダイシングブレード33による行列方向の切断線C1に沿って形成される。
図5に示すように、振動子用ウエハ24には、複数の振動子片9とそれを取り囲む枠状部10とが形成されている。ここで枠状部10は、隣接する他の振動子片の枠状部と電極膜4と通して電気的に導通している。これにより、後述する接合工程(ステップS41)において、振動子用ウエハは、ウエハの1点に外部から電圧を供給したときに、振動子用ウエハの表裏を含めた全面を同一の電位にすることが可能となっている。
なお、本実施形態においては、従来の工程に蓋側貫通孔形成工程が追加されるが、蓋側貫通孔形成工程はバッチ処理なので、複数枚同時に迅速に処理することができる。
それから、図10に示すように、振動子用ウエハ24を、蓋用ウエハ27とベース用ウエハ30とで厚さ方向に挟み込むようにして、それぞれのウエハ24,27,30を重ね合わせる。そして、各ウエハ24,27,30上に設けられた基準マークに従って所定の位置にアライメントする(ステップS40)。すなわち、各ウエハ24,27,30を所定の回転位置に合わせて位置合わせする。このとき、各貫通孔25,28,31がそれぞれ一致して配され、各ウエハ24,27,30の高さ方向の全長にわたって貫通する貫通孔が行列方向に複数形成される。また、それぞれの蓋側凹部11とベース側凹部14とが対向し、これによって空洞部15が形成される。
続いて、ベース用ウエハ30の表面に、フルカットの際のダイシングブレード33の案内線となる断面V字型の案内溝を形成する(ステップS42)。ここでは、この案内溝を図11に示すベベルカット34bと称する。このベベルカット34bは、ベース側凹部14の周囲を囲むようにして行列方向に延在し、このベベルカット34bの延在する線が切断線C3となる。
それから、テープに貼り付けた状態のまま、全体をフルオロカーボンの溶液中に浸漬する。それから、全体を取り出し、所定の時間置いた後加熱する。すると、各密閉容器3の外面に上述の保護膜16が形成され、コーティングされる(ステップS46)。なお、各ウエハを浸漬したときに、溶液がテープの隙間から浸入する場合があるが、外部端子20の表面がAuからなり、溶液がフルオロカーボンからなっていることから、外部端子20に保護膜が形成されるのが防止される。
それから、テープを剥がすと、一つ一つの振動子が、図1(a)及び(b)に示す水晶振動子1となる。
また、逃げ部19に合わせてピンセットを当接させることにより、密閉容器3を挟み易くすることができる。
また、逃げ部19が、密閉容器3の高さ寸法hの全長にわたって形成されていることから、切断前の各ウエハ24,27,30に形成された各貫通孔25,28,31がそれぞれ一致して配されて、それら貫通孔25,28,31に沿って切断されるため、圧電振動子用ウエハ体35を容易かつ確実に切断することができる。
さらに、逃げ部19が、密閉容器3の周囲を囲むように複数設けられていることから、圧電振動子用ウエハ体35を個々の水晶振動子1に切断するときに、それら個々の水晶振動子1に対する切断面積をさらに減少させることができる。
さらに、各貫通孔25,28,31の位置が一致していることから、圧電振動子用ウエハ体35を貫く貫通孔が形成されるため、圧電振動子用ウエハ体35を容易且つ確実に切断することができる。
また、さらに、各貫通孔25,28,31が、それぞれの矩形領域の周囲を囲むように複数設けられていることから、ダイシングブレード33による切断面積をさらに減少させることができる。
振動子用ウエハ24の厚さ寸法を130μmとし、蓋用ウエハ27の厚さ寸法を0.4mm、ベース用ウエハ30の厚さ寸法を400μmとした。水晶振動子1の寸法は、長辺3.2mm、短辺1.2mmとした。また、ダイシングブレード33の厚さ寸法は150μmとした。
また、切断(フルカット)時間は、約25分であった。具体的には、ワークの準備や、プログラムの切替、さらにワークのロードとアンロードにかかった時間が約3分、実際に切断していた時間が約20分、また、切断中に調整する(プログラムに入力する)のにかかった時間が約2分であった。
ここで、図13に示す振動子用ウエハ24には、複数の振動子片9とそれを取り囲む枠状部10とが形成されている。ここで枠状部10は、隣接する他の振動子片の枠状部と電極膜4と通して電気的に導通している。これにより、接合工程(ステップS41)において、振動子用ウエハは、ウエハの1点に外部から電圧を供給したときに、振動子用ウエハの表裏を含めた全面を同一の電位にすることが可能となっている。
また、保護膜16が、オプツールDSXからなるとしたが、これに限ることはなく、その部材は適宜変更可能である。
そしてまた、蓋用ウエハ27とベース用ウエハ30を陽極接合するとしたが、これに限ることはなく、その接合方法は適宜変更可能である。例えば、共晶接合などであってもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について、図14を参照して説明する。
図14において、符号38は、本発明の第2の実施形態に係る発振器を示すものである。
発振器38は、上記第1の実施形態の水晶振動子1が発振子として用いられて構成されたものである。
発振器38は、コンデンサなどの電子部品39が実装された基板40を備えている。基板40には、発振器用の集積回路43が実装されており、この集積回路43の近傍に、水晶振動子1が実装されている。そして、これら電子部品39、集積回路43及び水晶振動子1は、不図示の配線パターンによって電気的に接続されている。なお、各構成部品は、不図示の樹脂によりモールドされている。
また、集積回路43の構成を、例えばRTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することにより、時計用単機能発振器などの他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダーなどを提供したりする機能を付与することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1の実施形態における水晶振動子1を備える電子機器として、携帯情報機器について説明する。
図15において、符号46は、携帯情報機器を示すものであり、図15を参照して、携帯情報機器46の機能的構成について説明する。
電源部47には、各種制御を行う制御部48と、時刻等のカウントを行う計時部51と、外部との通信を行う通信部52と、各種情報を表示する表示部56と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部53と、が並列に接続されている。そして、電源部47によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
無線部57は、音声データ等の各種データを、アンテナを介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部58は、無線部57または増幅部62から入力された音声信号を符号化及び復号化する。増幅部62は、音声処理部58または音声入出力部63から入力された信号を所定のレベルまで増幅する。音声入出力部63は、スピーカやマイクロフォンなどからなり、着信音や受話音声を拡声したり、話者音声を集音したりする。
なお、水晶振動子1は、通信部52の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部69を備えており、この電源遮断部69によって、通信部52の機能が確実に停止される。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1の実施形態における水晶振動子1を備える電子機器として、電波時計について説明する。
図16において、符号71は、電波時計を示すものである。
アンテナ74は、前記40kHzもしくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、前記40kHzもしくはkHzの搬送波にAM変調をかけたものである。
受信された長波の標準電波は、アンプ75によって増幅され、複数の水晶振動子1を有するフィルタ(フィルタ部)80によって濾波、同調される。本実施形態における水晶振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部76,79をそれぞれ備えている。
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路81により検波復調される。続いて、波形成形回路84を介してタイムコードが取り出され、CPU85でカウントされる。CPU85では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC86に反映され、正確な時刻情報が表示される。
2 水晶振動子板(圧電振動子板)
3 密閉容器
6 蓋部材
7 ベース部材
9 水晶振動子片(圧電振動子片)
10 枠状部
11 蓋側凹部
14 ベース側凹部
19 逃げ部
24 振動子用ウエハ
25 振動子側切断用貫通孔
27 蓋用ウエハ
28 蓋側切断用貫通孔
30 ベース用ウエハ
31 ベース側切断用貫通孔
35 圧電振動子用ウエハ体
38 発振器
46 携帯情報機器(電子機器)
71 電波時計
80 フィルタ(フィルタ部)
h 高さ寸法(密閉容器の高さ寸法)
Claims (13)
- 複数のウエハが重ね合わされて接合された圧電振動子用ウエハ体が、ダイシングによって切断されることによりなる圧電振動子であって、
板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて接合された密閉容器と、
前記蓋部材と前記ベース部材との間に配され、圧電振動子片が枠状部によって囲まれて形成された圧電振動子板と、を備え、
前記密閉容器の側面に、前記密閉容器の内方に向けられた逃げ部が形成されており、
前記逃げ部は、前記切断の前に前記複数のウエハのそれぞれにあらかじめ形成された切断面積を減少させるための切断用貫通孔の周面により形成されていることを特徴とする圧電振動子。 - 前記逃げ部は、前記密閉容器の高さ寸法の全長にわたって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
- 前記逃げ部は、前記密閉容器の周囲を囲むように複数形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電振動子。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする電子機器。
- 複数の蓋側凹部が形成された蓋用ウエハと、
複数のベース側凹部が形成されたベース用ウエハと、
複数の圧電振動子片が形成された振動子用ウエハと、を備え、
前記蓋用ウエハ、前記ベース用ウエハ及び前記振動子用ウエハのそれぞれに、これら蓋用ウエハ、ベース用ウエハ及び振動子用ウエハを切断するときの切断線に沿って、切断面積を減少させるための切断用貫通孔が形成されていることを特徴とする圧電振動子用ウエハ体。 - 前記蓋用ウエハと前記ベース用ウエハとが前記振動子用ウエハを挟んで重ね合わされて接合されていることを特徴とする請求項7に記載の圧電振動子用ウエハ体。
- 前記蓋用ウエハ、前記ベース用ウエハ及び前記振動子用ウエハのそれぞれの切断用貫通孔の形成位置が一致していることを特徴とする請求項8に記載の圧電振動子用ウエハ体。
- 前記蓋用ウエハ、前記ベース用ウエハ及び前記振動子用ウエハのそれぞれの切断用貫通孔は、それぞれ前記蓋側凹部、前記ベース側凹部及び前記圧電振動子片の周囲を個々に囲むように複数設けられていることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の圧電振動子用ウエハ体。
- 板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて接合された密閉容器と、前記蓋部材と前記ベース部材との間に配され、圧電振動子片が枠状部によって囲まれて形成された圧電振動子板と、を備える圧電振動子の製造方法であって、
前記圧電振動子板となる振動子用ウエハに、この振動子用ウエハを切断するときの切断線に沿って、切断面積を減少させるための振動子側切断用貫通孔を形成する振動子側貫通孔形成工程と、
前記蓋部材となる蓋用ウエハに、この蓋用ウエハを切断するときの切断線に沿って、切断面積を減少させるための蓋側切断用貫通孔を形成する蓋側貫通孔形成工程と、
前記ベース部材となるベース用ウエハに、このベース用ウエハを切断するときの切断線に沿って、切断面積を減少させるためのベース側切断用貫通孔を形成するベース側貫通孔形成工程と、
前記振動子側貫通孔形成工程によって形成された振動子側切断用貫通孔を有する振動子用ウエハを挟んで、前記蓋側貫通孔形成工程によって形成された蓋側切断用貫通孔を有する蓋用ウエハと、前記ベース側貫通孔形成工程によって形成されたベース側切断用貫通孔を有するベース用ウエハとを接合する接合工程と、
この接合工程によって接合された蓋用ウエハ、振動子用ウエハ及びベース用ウエハを、前記切断線に沿って切断するダイシング工程と、を備えることを特徴とする圧電振動子の製造方法。 - 前記蓋側貫通孔形成工程によって、前記蓋用ウエハに、前記蓋部材となる領域の周囲を囲むように複数の蓋側切断用貫通孔が形成され、
前記ベース側貫通孔形成工程によって、前記ベース用ウエハに、前記ベース部材となる領域の周囲を囲むように複数のベース側切断用貫通孔が形成され、
前記振動子側貫通孔形成工程によって、前記振動子用ウエハに、前記圧電振動子板となる領域の周囲を囲むようにして複数の振動子側切断用貫通孔が形成されることを特徴とする請求項11に記載の圧電振動子の製造方法。 - 前記接合工程において、前記振動子用ウエハを挟んで、前記蓋用ウエハと前記ベース用ウエハとを所定の回転位置で重ね合わせたとき、
前記蓋側切断用貫通孔、前記ベース側切断用貫通孔及び前記振動子側切断用貫通孔が、それぞれ一致する位置に配されることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の圧電振動子の製造方法。
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