JP2008053732A - 露光装置及び露光方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】投影系内レンズの加熱により生じる投影像の歪みを改善する技術の提供にある。
【解決手段】
露光装置は、放射ビームを供給する照明系と、放射ビームを投影する投影系1と、を備える。また、当該露光装置は、投影系1の内部に気体を通過させる冷却システムであって当該投影系1の内部を通過する気体の流量が100リットル/時よりも多い冷却システムを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は露光装置及び露光方法に関する。
集積回路(IC)の製造には通常リソグラフィが用いられる。ICの個々の層に対応する回路パターンの生成にはパターニング用デバイス(これはマスクまたはレチクルとも称される)が使用される。このパターンは放射感応材料層(レジスト)を有する基板(例えばシリコンウエハ)上の(1つまたは複数のダイ、あるいはダイの一部分からなる)ターゲット部分に結像される。一般に1枚の基板にはネットワーク状に隣接する複数のターゲット部分が含まれており、これらのターゲット部分は順次露光される。
通常、1枚の基板には複数の層が形成される。各層においては次の層が形成される前にパターンがその層に永久的に固定されるよう処理される。すべての層にパターン形成処理がなされると、基板は個々のICへと切断され各ICはボードにマウントされる。各ボードにはICとの電気接続のための足が複数設けられており、これによりICとの電気信号の送受信が可能となる。
従来からボードにICを接続するのにワイヤボンディングが用いられている。しかし、近年ではワイヤが接続される位置間の距離がかなり小さくなってきているために、ワイヤボンディングを用いることが難しくなっている。そこでワイヤでの接続に代えて、フリップチップ実装として知られる処理がボードへのICの接続に多く使われるようになってきている。このフリップチップ実装のためのバンプ処理においては、はんだ(または他の金属)が基板上の各ICに対して複数の特定位置に設けられる。この基板は反転され、ボードに接合される。基板をボードに接続する1つの方法は、はんだを加熱することで融解させ、その後、冷やすことである。基板をボードに接続する別の方法として超音波溶接、機械的加圧または導電ペーストを用いる方法がある。ボードには、IC上の離れた部位をはんだバンプによって電気的に接続するためにパターンが形成されている。
露光装置は、はんだバンプを設ける基板上の位置にパターンを形成するために用いられてもよい。つまり、露光装置はフリップチップ実装のためのバンプ設置用装置であってもよい。バンプが設けられる位置のパターンが露光用のマスクを用いて基板に転写される。
通常、露光装置は、パターンが付与された放射投影ビームを基板に投影するために投影系を備える。例えば投影系は、投影ビームが通過するレンズ群を備えていてもよい。投影系の中でも特にレンズが投影ビームによって加熱されることが知られている。こうした加熱は、投影される像を歪ませることがある。像の歪みによって、例えばはんだバンプが基板上の誤った位置に設けられることがある。
本発明の目的は、上述の問題を克服または改善することにある。
本発明の第1の態様によれば、放射ビームを供給する照明系と、放射ビームを投影する投影系と、を備える露光装置が提供される。当該露光装置は、投影系の内部に気体を通過させる冷却システムであって当該投影系の内部を通過する気体の流量が100リットル/時よりも多い冷却システムをさらに備える。
本発明のさらなる態様によれば、照明系を用いることで放射ビームを供給するステップと、投影系により放射ビームを投影するステップと、を含むデバイス製造方法が提供される。また、当該方法は、投影系の内部に気体を通過させるステップを含み、投影系の内部を通過する気体の流量は100リットル/時よりも多い。
本発明のさらに別の態様によれば、放射ビームを供給する照明系と、放射ビームを投影する投影系と、を備える露光装置が提供される。当該露光装置は、投影系の内部に気体を通過させる冷却システムをさらに備える。投影系は、外部ケーシングで囲まれた1つ以上のレンズ素子を備える。冷却システムは、外部ケーシングの第1部分から、当該第1部分と離れた第2部分であって外部ケーシングにおける第2部分へと投影系の内部に気体を通過させる。
本発明のさら別の態様によれば、照明系を用いることで放射ビームを供給するステップと、投影系により放射ビームを投影するステップと、を含むデバイス製造方法が提供される。また、当該方法は、投影系の内部に気体を通過させるステップを含む。投影系は、外部ケーシングで囲まれた1つ以上のレンズ素子を備える。冷却システムは、外部ケーシングの第1部分から、当該第1部分と離れた第2部分であって外部ケーシングにおける第2部分へと投影系の内部に気体を通過させる。
本発明のさらに別の態様によれば、放射ビームを供給する照明系と、放射ビームを投影する投影系と、を備える露光装置が提供される。当該露光装置は、投影系の内部に気体を通過させることで当該投影系を冷やす冷却システムをさらに備える。
本発明のさらに別の態様によれば、照明系を用いることで放射ビームを供給するステップと、投影系により放射ビームを投影するステップと、を備えるデバイス製造方法が提供される。また、当該方法は、投影系を冷やすべく投影の内部に気体を通過させるステップを含む。
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置を模式的に示す図である。この装置は、放射投影ビームPB(例えば紫外(UV)光または極紫外(EUV)光)を供給するよう構成されている照明系(照明器)ILと、パターニング用デバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成され、要素PLに対してパターニング用デバイスを正確に位置決めするよう構成されている第1のポジショナPMに接続されている第1の支持構造部(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストでコーティングされた基板)Wを支持するよう構成され、要素PLに対して基板を正確に位置決めするよう構成されている第2のポジショナPWに接続されている基板テーブル(例えばウエハテーブル)WTと、パターニング用デバイスMAにより投影ビームPBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイからなる)ターゲット部分Cに結像する投影系(例えば屈折投影レンズ系)PLと、を備える。
図示されるように本装置は透過型(例えば透過型マスクを用いる)である。また、反射型(例えば上述のプログラマブルミラーアレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
照明器ILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば放射源がエキシマレーザである場合には、放射源と露光装置とは別体であってもよい。この場合、放射源は露光装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは放射源SOから照明器ILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当なダイレクトミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは放射源が例えば水銀ランプである場合には、放射源は露光装置に一体に構成されていてもよい。放射源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。
照明器ILは放射ビームの角照度分布を調整するためのアジャスタAMを備えてもよい。一般にはアジャスタAMにより、照明器ILの瞳面における照度分布の少なくとも半径方向外周部及び/または内周部での量(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えて照明器ILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。照明器はビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビーム(本明細書では投影ビームPBとも称される)を調整するために用いられる。
投影ビームPBは、マスクテーブルMTに保持されているマスクMAに入射する。マスクMAを通過した投影ビームPBは、更に投影系PLを通過して基板Wのターゲット部分Cで合焦される。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば干渉計)により基板テーブルWTは正確に移動され、例えばビームPBの経路に対して異なるターゲット部分Cが順次位置決めされる。同様に、(マスクテーブルMTを動作させる)第1のポジショナPM及び(図1に明示されていない)もう1つの位置センサは、例えばマスクストレージ領域(例えばマスクライブラリ)からのマスクの機械的取付後または走査中に、ビームPBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするのに用いられる。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせされる。
パターニング用デバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニング用デバイスの例としては、例えばマスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィーの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように独立に傾斜されるというものがある。このようにして反射ビームにパターンが付与される。
本露光装置は、投影系PLへと気体を送り込み、回収するよう構成されている1対の道管CAとCBをさらに備える。気体は、露光装置が置かれている製造工場内の第1ポートPF1から供給される。通常、気体は5〜10バールの圧力で供給される。気体の温度は製造工場において制御されてもよい。バルブVは第1道管CAへの気体の供給を制御する。つまり、バルブVによって投影系PLへの気体の供給が制御される。第2道管CBに接続されている流量計FMは、投影系からの気体の流量を測定する。流量計を通過後、気体は第2ポートPF2を経由して製造工場の気体発生システムへと戻ってもよい。制御部CGは流量計に接続されており、流量計からのフィードバックに基づいてバルブVを制御する。
基板Wへのパターン投影に続いて基板は処理される。この処理は通常トラックという露光されたレジストを現像する装置で行われる。なおトラックは露光前に基板にレジストを塗布する機能も備えてもよい。現像されたレジストは、(例えば適宜の半導体又は金属でパターン中の溝部を埋める等により)所望の電気特性を現像済の層にもたらすように処理される。複数の層がこのように処理されて集積回路(IC)が同時に形成される。ここで「基板」という用語は多数の層が処理済みである基板も含むものとする。
基板上にICが形成されると、当該基板はパッケージング工程へと送られる。パッケージング工程には複数の装置が備えられ、基板に設けられた各ICをパッケージするためにこれらの装置が用いられる。各ICはボードにマウントされ、当該ボードはICと電気的に接続される足を備える。こうした足の一例として、ICとの接続を可能にするはんだバンプが用いられる。はんだバンプを用いる接続処理はフリップチップ実装と呼ばれる。
図2は、通常のフリップチップ実装処理200の概要を説明するためのフローチャートである。この処理は202から始まる。204では基板上のICの位置が定められる。
次に206では、はんだバンプがIC上に形成される。はんだバンプは、例えば図1に模式的に示される装置を用いてリソグラフィにより形成されてもよい。マスクMAには、はんだバンプが所望される位置にパターンが設けられている。このパターンは、基板に設けられた厚い(すなわち通常のリソグラフィで使用されるレジスト層よりも厚い)レジスト層に転写される。そして、基板は露光装置から取り出され、別の処理用装置へと送られる。そこでは、はんだバンプが必要な位置に凹部を形成するべくレジストが現像され、処理される。レジストの当該凹部にはんだが電気メッキされる。その後、レジストは除去され、はんだバンプが基板の最上面から上方へと突出した状態となる。
一般に、はんだバンプの配置に必要な精度は通常1ミクロン程であるため、使用される露光装置の解像度は低くてもよい(これは、高解像度露光装置によりもたらされる数十ナノメートルという精度に比べかなり低い精度である)。当然ながら、このことは特定の解像度(または解像度の範囲)を限定するものではない。
次に208では基板は個々のICへと切断される。この切断は、特別に設けられたトラックに沿って切ることにより行われる。このトラックはスクライブラインとして公知であり、ICとICの間に設けられる。
210では、ボードは所定のICのはんだバンプに接触され、ボードとICは加熱される。はんだバンプが溶け、ボードに固着される(はんだバンプはICにも固着している)。これによりICとボードの間に機械的かつ電気的な接続が設けられる。加熱は、例えば炉を用いることで行われてもよい。また本処理におけるこの工程は、はんだバンプを基板の下に位置させるべく基板を反転する工程を含んでもよい(ボードははんだバンプの下に位置する)。
212では、ICとボードの間の空間(すなわちはんだバンプの高さによって決まるギャップ)が接着剤または他の適切な材料によって満たされる。これはアンダーフィル処理として公知であり、この処理は、湿気または周辺環境による損傷要因に対するはんだバンプの保護に加えて機械的強度をもたらす。フリップチップ実装の処理は214で終了する。
例えば、フリップチップ実装の処理で用いられる露光装置の投影系PLは、投影ビームが通り抜けるレンズ群を備えていてもよい。投影系の中でも特にレンズが投影ビームによって加熱されることが知られている。加熱によってレンズの屈折率が変化すると、投影される像が歪むことがある。こうした現象により、はんだバンプが基板の面に対して不正確な位置に設けられることがある。
投影系内において1つ以上のレンズ素子を機械的に動かすことで、パターンが付与された投影ビームの歪みを補正する方法が知られている。実際、機械的に投影系を調整することによりまたは付与されたパターンを調整することにより、レンズの加熱による光学的歪みを低減することができる。しかし、この方法では歪みを完全にかつ確実に補正することができるとは限らない。
レンズ加熱による光学的歪みを低減する別の方法として、投影系を外側から冷却する方法が知られている。図3に示されるように、当該図は公知の投影系冷却システムを模式的に示している。投影系はレンズ素子群2〜5として模式的に示されており、放射投影ビームは、破線6で示された垂直方向に当該レンズ群を通過する。レンズ群2〜5は、密閉された外部ケーシング7の中に含まれている。放射投影ビームが通過できるように外部ケーシング7において放射投影ビームが通る部位は透明である。
外部ケーシング7の外側は、パイプ8により取り囲まれている。図3ではパイプ8は投影系1の周囲を螺旋状に取り囲むように示される。パイプ8において投影系1の裏側を進む部分は、破線によって示される。例えば水または別の冷却剤が、矢印により示される方向に上から下へと螺旋状にパイプ8の中を通り抜ける。
パイプ8は、投影系1の外部ケーシング7と熱的接触するように構成されているため、水が当該パイプを通り抜けることで熱が投影系1から取り除かれる。投影系1から離れた水は熱交換機を通り抜けてもよく、一旦冷やされた後、閉じたループの冷却システムを形成するべくパイプ8の他端へと戻されてもよい。この冷却処理は、本明細書では別の呼び方として投影系の温度調整または温度管理と称される。
しかし、投影系1の外部ケーシング7を冷却しても、光学的歪みを起こす熱の低減効果は限定的となることがある。冷却の効果が外部ケーシングから生じるので、レンズ素子2〜5の中心部からの熱移動は主に熱伝導によってレンズ素子2〜5に沿って外側へと進む。その結果、レンズ素子2〜5の中心部から外側へと温度勾配が生じることがある。レンズ素子に温度勾配がある場合、各レンズ素子全体が均一に加熱されている投影系と比較して同じ量だけ加熱しても、投影される像により大きな歪みが実際に生じることがある。
空気中に浮遊する汚染物質がレンズ素子に達しないように投影系の外部ケーシングが、実質的に密閉された容器を備えていてもよいことが知られている。上述の通り、投影ビームが通過できるように外部ケーシングの対応する部位は透明な素材から形成される。しかし、完全に密閉された外部ケーシングを設け、空気中に浮遊する汚染物質がレンズに達しないことを保証するのは困難である。外部ケーシング内部の気体を加圧し、投影系周囲の気圧よりも少し高い圧力にする方法が知られている。この場合、通常は投影系内部の気体は停滞した状態にあるが、外部ケーシングに漏れ口があると、気体は投影系の内部から投影系の外部へと流れる。投影系から流出する気体によって、空気中に浮遊する汚染物質が漏れ口を経由して投影系へと侵入するのを防止できる。この方法はパージとして知られている。投影系はできる限り気体を流出させないように構成されており、このように加圧された投影系から流出する気体の体積はごくわずかである。さらに、気体の流出がどこで生じるかを予測することは通常不可能であり、投影系から流出する気体の流量を予測することはできない。
本発明の実施形態によれば、投影系を冷却する別の冷却システムが提供される。本発明の実施形態によれば、投影系を気体が通り抜けることによりレンズ素子群の1つ以上のレンズ(最大で全レンズ)が冷やされる。この場合、各レンズ素子表面において冷却効果がより高い割合で生じ得る。そのため、レンズ素子群の温度勾配を低下させ、歪みを減少させる。本発明のある実施形態によれば、図3に示されるような公知の外部冷却システム、機械的補正またはパターン補正と比較してレンズ加熱による光学的歪みをより低減できる。
さらにレンズの加熱を全体的に低減するだけでなく、本発明の実施形態はまた、もしくは加えて投影系の温度を管理できるため、投影系内部、特にレンズの温度勾配を投影系の絶対温度とは関係なく低下させることができる。レンズ温度のばらつきがより大きな光学的歪みをもたらす場合に本発明の実施形態は有効である。光学的歪みは、基板に投影された像に影響を与えるため、投影系全体を均一に加熱することでレンズを均一に加熱し、光学特性のばらつきを低減できる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係り、冷却システムを備える露光装置を模式的に示す。上述の通り、一対の道管CA、CBは投影系へと気体を送り込み、回収するよう構成されている。気体は、通常5〜10バールの圧力で第1ポートPF1から供給される。バルブVは第1道管CAへの気体の供給を制御する。つまり、バルブVによって投影系PLへの気体の供給が制御される。流量計FMは投影系からの気体の流量を測定する。流量計を通過後、気体は第2ポートPF2を経由して製造工場の気体発生システムへと戻る。制御部CGは流量計に接続されており、流量計からのフィードバックに基づいてバルブVを制御する。これにより、投影系PLへの気体の流量を制御できる。
図4は、投影系に気体を送り込むための一実施形態を模式的に示す。図3と同様に投影系1は、積み重なったレンズ素子2〜5と外部ケーシング7を備える。気体は外部ケーシング7の内側を通過し、通過する気体によりレンズ素子2〜5は直接冷やされる。気体は外部ケーシング7へと送り込まれてもよいし、外部ケーシング7に吸入されてもよい。
図4では、気体の流れが矢印10と11により模式的に示される。矢印10と11は、入口12から出口14、入口13から出口15へと流れる気体をそれぞれ示している。気体の流れは、レンズ素子2と5に隣接した領域を通過するように示されている。当然のことながら、1つのレンズ素子に隣接した領域のみを気体が通過してもよい。
レンズ表面積の大部分を横切って通過することでレンズ素子を冷却するためには、気体がレンズ素子に隣接して流れるのが有利である。こうした構成により、温度勾配の高まりが抑制される。本発明の別の実施形態では、例えば以下に説明しているように、気体は、レンズ素子表面の異なる部位または別の部位を通過してもよい。
特定の投影系1に対する冷却要求に応じて、最適な態様による冷却システムを用いることができる。まず初めに、投影系を通過する気体の量が調整される。本発明のある実施形態では流量が100リットル/時よりも多い。流量は1000リットル/時より多くてもよい。流量が多いことによる利点は、投影系を通過する際に気体が加熱されるのを低減することで、出口に最も近いレンズ素子の当該出口に近い部位に対する冷却能力を実質的に維持できることである。例えばレンズ素子の振動を低減するために気体の流量は調整されてもよい。気体の入口と出口の数およびそれらの位置は、どのレンズ素子を冷やすかによって調整されてもよい。本発明のある実施形態によれば、最も加熱されたレンズ素子のみが冷却される。
さらに、加熱された気体が循環するのを抑制するために気体は最も冷えたレンズ素子を最初に通り、それから最も熱いレンズ素子を通り、その後、投影系から出て行くように気体の流れる方向が最適化されてもよい。使用される気体として空気を用いることができる。空気に代えて窒素またはヘリウム、または他のいかなる適切な気体が用いられてもよい。
図5に示されるように、当該図は、本発明の別の実施形態に係り、冷却システムを備える投影系1を模式的に示す。投影系1は図4とほぼ同じである。しかし、この冷却システムは、矢印20と21により示される垂直方向に気体が投影系1を通り抜けるよう構成されている。気体の流れは、入口22から出口24、入口23から出口25へと下方に向かうようにそれぞれ示されている。当然のことながら、気体の流れは逆方向であってもよい。入口22と23は、投影系の上部を囲むように円状に多数設けられた入口のうちの2つであってもよい。多数の入口を設けることで、1つ当たりの入口を通過する必要な気体の量を減らすことができる。そのため、最上部のレンズ素子2の特定点に加えられる気体の圧力が過剰となるのを抑制しやすくなる。
図5では、投影系1は図1と同じ方向を向くように示されている。つまり図5では、投影系1の上部がパターニング用デバイスに最も近く、投影系1の下部が基板に最も近い。放射投影ビームが投影系を通過する際の伝送損失のため、露光装置のある実施形態では、パターニング用デバイスに最も近いレンズ素子への投影ビーム強度を高くしてもよい。この場合、パターニング用デバイスに最も近いレンズ素子は、基板により近いレンズ素子に比べてより加熱される。本発明のこうした実施形態に対して、気体が流れる最適な方向は投影系の下部から上部への方向であり、この場合、最も加熱されたレンズ素子は最後に気体と接触する。投影ビームが縮まる(すなわち縮小する)露光装置において投影ビームが投影系を通過する際、当該投影ビームの局所的な強度が基板に向かうにつれて上昇することがある。こうした実施形態では、図5に示されている気体の流れが最適な流れとなり得る。
図6に示されるように、当該図は本発明の他の実施形態を模式的に示す。入口と出口の数が多いことを除いて図6の実施形態は図4とほぼ同じであり、気体は、矢印30〜34に示されるようにレンズ素子2〜5の全ての主面に隣接して通過する。気体が両面を通過することで各レンズ素子において気体が通過する表面積が大きくなるため、図6の実施形態の冷却能力は高い。
図7に示されるように、当該図は本発明の他の実施形態を模式的に示し、本実施形態には単一の入口40と単一の出口41が設けられている。気体は、矢印42により示されるように入口40と出口41の間を概ね下から上へと通り抜ける。図に示されるように入口40と出口41の距離ができる限り遠くなるように構成されているため、空気は投影系の大部分を通り抜ける必要がある。これにより、実質的に均一に全体を冷やすことができる。さらに気体がそれぞれのレンズ素子間を流れるようにするため、バッフル43〜45が設けられている。バッフルとは別の構成が、気体の流れを変えるために設けられてもよい。また、入口と出口の位置が変更されてもよい。
フリップチップ実装用のはんだバンプのパターン投影する露光装置では、通常、広帯域の投影ビームが使用され、当該投影ビームにはある範囲の周波数成分が含まれる。これは投影ビームの強度を高くするためであり、また必要とされる解像度が他の露光装置よりも低いためである。各レンズ素子を形成する材料や各レンズ素子に用いられるコーティング材料によって、各レンズ素子内部やレンズコーティング材の熱分布が変化することがある。レンズ素子やレンズコーティング材に適切な材料は石英、鉛ガラスおよびCaFである。さらに放射投影ビームの波長は、レンズやコーティングの材料と相まってレンズの加熱に影響を及ぼすことがある。多数の波長が存在するため、用いられるレンズとコーティングの材料を最適化することは困難である。そのため、レンズがどの程度加熱されるかが他の露光装置に比べてより一層重要である。こうした理由により、本発明に係る冷却システムは特に有利である。
上述した本発明の実施形態によれば、投影系の外部ケーシングを冷却する既知の方法と比べてより効果的な投影系の温度調節が可能となる。改善された本発明の温度調節によれば、レンズマニュピレータなどの機械的補正技術が必要とされない可能性があり、コスト削減や投影系の複雑性が軽減される。また、レンズ移動制御ソフトウェアについてもレンズ位置調整の頻度が低減されるため、複雑さが低減される。ソフトウェアが簡素化されることで投影系はより安定し、能動的に処理を行うことなくその特性が維持される。また、温度調節の改善によって、投影ビームに付与されたパターンに必要な調整を軽減でき、より効率的なパターニングシステムが実現される。
既知の外部ケーシング冷却システムに比べ投影系をより効果的に冷やすことができる本発明の実施形態に係る冷却システムの性能のおかげで、本発明においても放射投影ビームを高強度で用いることができる。高強度な放射投影ビームの使用は、利用分野によっては都合がよい場合がある。
上記の説明では、フリップチップ実装用のバンプ設置処理がはんだ使用の観点から述べられている。「はんだ」という表現は、適合するいかなる金属または合金をも含むことを意図しており、63Sn/37Pbの共晶はんだ、鉛の含有率が高いはんだ、95Pb5Sn、スズ、SnCuAg、SnAg3.5及びSnCuが含まれる(が、これらに制限されない)。適合する他の材料が用いられてもよく、こうした材料は当業者にとって公知である。所定の基板におけるバッチ処理でどの材料を使用するべきかの指示を含むデータが用いられてもよい。
上述の説明はICのフリップチップ実装についてなされているが、本発明は光集積回路システムや磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどのフリップチップ実装といった他の分野にも適用可能である。上述の説明ではICを適用対象としているが、ICであるか否かにかかわらず種々のデバイスに適用可能であるものと理解されたい。
本発明は上述の実施例以外の実施例で実施することも可能である。また、発明の詳細な説明は本発明を限定することを意図しておらず、本発明は請求項によってのみ限定される。
本発明の一実施形態に係る露光装置を模式的に示す図である。 フリップチップ実装を説明するフローチャートである。 露光装置の一部を構成する公知の投影系冷却システムを模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係り、露光装置の一部を構成する投影系冷却システムを模式的に示す図である。 本発明の他の実施形態に係り、露光装置の一部を構成する投影系冷却システムを模式的に示す図である。 本発明の他の実施形態に係り、露光装置の一部を構成する投影系冷却システムを模式的に示す図である。 本発明の他の実施形態に係り、露光装置の一部を構成する投影系冷却システムを模式的に示す図である。
符号の説明
1 投影系、 2、3、4、5 レンズ素子、 7 外部ケーシング、 8 パイプ、 12、13 入口、 14、15 出口、 22、23 入口、 24、25 出口、 40 入口、 41 出口、 43、44、45 バッフル。

Claims (27)

  1. 放射ビームを供給する照明系と、
    前記放射ビームを投影する投影系と、
    前記投影系の内部に気体を通過させ、前記投影系の内部を通過する気体の流量が100リットル/時よりも多い冷却システムと、
    を備えることを特徴とする露光装置。
  2. 前記冷却システムでは、前記投影系の内部を通過する気体の流量が1000リットル/時よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記投影系は、外部ケーシングで囲まれた1つ以上のレンズ素子を備え、
    前記冷却システムは、前記外部ケーシングの第1部分から、当該第1部分と離れた前記外部ケーシングの第2部分へと前記投影系の内部に気体を通過させることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  4. 前記冷却システムは、前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ水平方向に気体を通過させることを特徴とする請求項3に記載の露光装置。
  5. 前記冷却システムは、前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ垂直方向に気体を通過させることを特徴する請求項3に記載の露光装置。
  6. 前記投影系は、気体が前記第1部分と前記第2部分の間を通過する際、レンズ素子とレンズ素子の間を気体が流れるようにする1つ以上のバッフルをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の露光装置。
  7. 前記冷却システムは、前記投影系を冷やすことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  8. 前記投影系への気体の供給を制御するバルブをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  9. 流量計に接続され、当該流量計からのフィードバックに基づいて前記バルブを制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
  10. 照明系を用いることで放射ビームを供給するステップと、
    投影系により前記放射ビームを投影するステップと、
    前記投影系の内部に気体を通過させるステップと、
    を含み、
    前記投影系の内部を通過する気体の流量が100リットル/時よりも多いことを特徴とするデバイス製造方法。
  11. 前記投影系の内部を通過する気体の流量が1000リットル/時よりも多いことを特徴とする請求項10に記載のデバイス製造方法。
  12. 前記投影系は、外部ケーシングで囲まれた1つ以上のレンズ素子を備え、
    前記外部ケーシングの第1部分から、当該第1部分と離れた前記外部ケーシングの第2部分へと前記投影系の内部に気体を通過させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のデバイス製造方法。
  13. 前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ水平方向に気体を通過させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のデバイス製造方法。
  14. 前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ垂直方向に気体を通過させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のデバイス製造方法。
  15. 気体が前記第1部分と前記第2部分の間を通過する際、レンズ素子とレンズ素子の間を気体が流れるようにするステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のデバイス製造方法。
  16. 放射ビームを供給する照明系と、
    前記放射ビームを投影する投影系と、
    前記投影系の内部に気体を通過させる冷却システムと、
    を備え、
    前記投影系は、外部ケーシングで囲まれた1つ以上のレンズ素子を備え、
    前記冷却システムは、前記外部ケーシングの第1部分から、当該第1部分と離れた前記外部ケーシングの第2部分へと前記投影系の内部に気体を通過させることを特徴とする露光装置。
  17. 前記冷却システムは、前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ水平方向に気体を通過させることを特徴とする請求項16に記載の露光装置。
  18. 前記冷却システムは、前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ垂直方向に気体を通過させることを特徴とする請求項16に記載の露光装置。
  19. 前記投影系は、気体が前記第1部分と前記第2部分の間を通過する際、レンズ素子とレンズ素子の間を気体が流れるようにする1つ以上のバッフルをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の露光装置。
  20. 前記投影系への気体の供給を制御するバルブをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の露光装置。
  21. 流量計に接続され、当該流量計からのフィードバックに基づいて前記バルブを制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の露光装置。
  22. 照明系を用いることで放射ビームを供給するステップと、
    投影系により前記放射ビームを投影するステップと、
    冷却システムにより前記投影系の内部に気体を通過させるステップと、
    前記外部ケーシングの第1部分から、当該第1部分と離れた前記外部ケーシングの第2部分へと前記投影系の内部に気体を通過させるステップと、
    を含み、
    前記投影系は、外部ケーシングで囲まれた1つ以上のレンズ素子を備えることを特徴とするデバイス製造方法。
  23. 前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ水平方向に気体を通過させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のデバイス製造方法。
  24. 前記第1部分と前記第2部分の間をほぼ垂直方向に気体を通過させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のデバイス製造方法。
  25. 気体が前記第1部分と前記第2部分の間を通過する際、レンズ素子とレンズ素子の間を気体が流れるようにするステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のデバイス製造方法。
  26. 放射ビームを供給する照明系と、
    前記放射ビームを投影する投影系と、
    前記投影系の内部に気体を通過させることで、前記投影系を冷やす冷却システムと、
    を備えることを特徴とする露光装置。
  27. 照明系を用いることで放射ビームを供給するステップと、
    投影系により前記放射ビームを投影するステップと、
    前記投影系を冷やすべく前記投影系の内部に気体を通過させるステップと、
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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