JP2008288427A - 温度調節装置、ステージ装置、露光装置および露光方法 - Google Patents

温度調節装置、ステージ装置、露光装置および露光方法 Download PDF

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Abstract

【課題】露光対象物の温度制御に関して、構成上の簡易化を図ると共に応答性を向上し、温度を高精度に調節することを可能にする。
【解決手段】ウエハ6を支持するウエハステージ26に配置され、このウエハステージ26に支持されたウエハ6の温度を調節するための複数のペルチェ素子を有する。複数のペルチェ素子は、面積の大きさが異なる第1および第2のペルチェ素子31,32を含んでいる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ウエハ等の露光対象物を露光する際に、露光対象物の温度を調節するための温度調節装置、露光対象物を支持するステージ装置、露光装置、露光方法に関する。
半導体素子や液晶表示素子を製造するためのフォトリソグラフィー工程で使用される縮小投影露光装置(ステッパ、スキャナ等)では、レチクル(原版)またはフォトマスク等の原版上に形成されたパターンを、投影光学系を介してフォトレジストが塗布されたウエハまたはガラスプレート等の基板上に高精度に転写するために、極めて高い結像特性が要求されている。また、原版およびウエハ等の基板を支持するステージの位置を測定するためのレーザ測定器等に対しては、高い測定精度が求められている。
これらの投影光学系の結像特性およびレーザ測定器の測定精度は、露光装置および周囲温度の変化に大きな影響を受ける。レーザ測定器は、周囲温度の変化によってレーザビームの揺らぎという現象が発生し、測定精度を悪化させる。また同時に、レーザ測定器では、測定対象であるミラーを取り付けている部材が温度変化によって変形してしまうため、位置基準であるミラーと基板との相対位置が変化して、測定精度を悪化させることも起こる。
特に、今日では、ナノメートル(nm)オーダーの位置決め精度が必要とされており、例えば、100nmの低熱膨張材(熱膨張係数1×10-6)が1℃だけ温度変化した場合であっても100nm変形してしまう。また、レーザ測定器は、レーザ光路上における空気温度の変化が1℃であっても、位置の測定値が条件によっては100nm程度変化してしまうこともある。そのため、縮小投影露光装置の構成部材および周囲の温度を一定に維持することが重要となる。
ところが、縮小投影露光装置では、露光用の光源やステージを駆動する駆動モータ等の発熱体によって露光装置の温度が上昇したときに、ステージの位置を測定するレーザ測定器等の測定精度や投影光学系の結像特性が低下する。また、大気の温度変化によっても縮小投影露光装置の周囲の温度が変化するので、投影光学系の結像特性が劣化することがある。そのため、一般に、縮小露光投影装置を環境制御用のチャンバ内に収納し、チャンバ内部に温度制御された空気を流動させることで装置全体での空気調節が行われている。
また、特に精密な温度管理を必要とする露光装置では、装置全体での空気調節に加えて、温度制御された空気や冷却水等の冷媒を温度制御が必要な各箇所に直接送り込む等の方法を組合せることによって温度管理が行われている。例えば、レーザ測定器の測定精度を保つために、レーザ測定器と、レーザ測定器からのレーザビームの光路上の局所空間とに、一定方向に所定の温度に制御された空気を送風する方法が行われている。また、レチクルステージやウエハステージを駆動する駆動モータ等で発生した熱を回収し除去するために、駆動モータの周辺に冷却用の循環配管が設けられ、外部の温調装置から循環配管に水や空気、または不活性液体等の冷媒を循環させる方法も使用されている。そして、温度制御が必要な箇所、またはその近傍に温度センサを設置し、その温度センサの出力に基づいて冷媒の流量や温度を変化させて、温度調節可能な部位の温度制御を行っている。
そして、最新の露光技術である液浸露光を適用して液浸露光装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この液浸露光では、投影光学系レンズと、ウエハステージ上に支持されたウエハとの間に液浸水を満たすことで、空気状態(屈折率n=1.0)よりも液浸状態(屈折率n=1.44)の方が高屈折状態となり、解像力の向上、および焦点深度の拡大と結像特性の向上を図ることが可能とされている。
図6は、液浸露光装置の構成の一例を示す模式図である。図6に示すように、ウエハ106は、ウエハチャック(不図示)を介してウエハステージ126の支持面上に支持され、レチクル105に形成されたパターンが、照明装置113からの照射光によって投影レンズ114を介してウエハ106上に転写される。レチクル105を支持するレチクルステージ121は、レチクルステージ121に取り付けているミラーとレチクルステージ測定器121で基準位置からの相対距離を正確に測定し、測定結果を主制御装置118に測定データを送信し、その測定データに基づく制御信号をレチクルステージ駆動装置122に送信し、レチクルステージ121を高精度に駆動しかつ位置決めを行う。
また、ウエハ106を支持するウエハステージ126は、ウエハステージ126に取り付けられているミラーとウエハステージ測定器121で基準位置からの相対距離を正確に測定し、測定結果を主制御装置118に測定データを送信し、その測定データに基づく制御信号をウエハステージ駆動装置127に送信し、ウエハステージ126を高精度に駆動しかつ位置決めを行う。また、発光側フォーカスセンサ119aから照射されたレーザ光は、ウエハ106上で反射され、受光側フォーカスセンサ119bで受光される。これによって、投影レンズ114とウエハ106とのフォーカス高さ、すなわち投影レンズ114と結像面との距離をアライメント測定器119で測定し、その測定データを主制御装置118に送信し、Z軸駆動装置(不図示)を高精度に駆動させて、フォーカス高さを制御している。
ところで、液浸露光装置101では、例えばウエハステージ駆動装置127の駆動用のリニアモータ(不図示)等が発熱することによって、この熱が空気中やウエハステージ102を構成する部材を伝わり、ウエハステージ126上の天板やウエハ106の温度を上昇させてしまう。このような温度の上昇を避けるために、ウエハステージ126は、水冷や空冷等のステージ冷却装置129や、発生した熱を排気するパージ装置120を有しており、ウエハステージ126の天板やウエハ106の温度変化が最小限に抑えるように制御されている。
そして、液浸露光装置101では、投影レンズ114と、ウエハステージ126の支持面上に支持されたウエハ106との間に液浸水107が満たされている。この液浸水107は、液体供給装置115から一定温度に制御されて供給され、投影レンズ114とウエハ106との間に充填され、露光処理で使用した後に液体回収装置116へ回収される。この液体供給装置118と液体回収装置119は、主制御装置118によって一括管理されており、液浸水107の温度が一定に制御されている。
特開2006−24819号公報
しかしながら、上述のような露光装置では、複数の発熱部位において、複数の発熱部位を高精度に温度管理する場合、それぞれの発熱部位に対して温度制御された必要量の冷媒を流すか、全ての発熱部位の発熱を吸収した上でも冷媒の温度上昇が露光装置に許容される温度差よりも小さくなるように冷媒の流量を確保した上で全ての発熱部位を通る配管を設ける必要がある。この構成の場合、複数の発熱部位に対して冷媒をそれぞれ供給するための配管の構成が複雑になり、特にウエハステージ等の駆動機構に配管を設ける場合は、配管の剛性や負荷抵抗等の問題を解決する必要があった。
例えば、投影レンズとウエハとの間に液浸水を充填するための液浸機構を追加した場合には、ウエハや周辺温度を変化させる要因となるものが増えてしまう。そして、これらの要因に対応して個別に温度制御や配管の流量を制御するために、冷却手段を増やす必要が生じる。冷却用配管を増やす場合、配管の引き回しや配管の曲げ剛性、振動、液浸水の気化熱による位置決めに対する外乱を抑えるために、配管の数や管径等の寸法が制限されるので、新たに冷却用配管を増やすことによる温度制御方法は現実的ではない。
以上のように、従来は、露光装置内の温度変化を抑えるために、露光装置内の発熱を回収して、温度調節を行っていた。しかしながら、露光装置全体の発熱が今まで以上に大きくなり、液浸機構を更に備える構成となることで、従来方法では発熱を完全に回収することが困難になり、露光装置各部の温度変化が避けられなくなってきている。また、発熱を回収できたとしても、レチクルのパターンをウエハ上に投影して重ねる位置の重ね合わせ精度、つまり位置決め精度に悪影響を与えることになり、位置決め精度が低下するという問題が生じている。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するため、露光対象物の温度制御に関して、構成上の簡易化を図ると共に応答性を向上し、温度を高精度に調節することを可能にする温度調節装置を提供する。また、本発明は、露光装置全体の高出力化に伴い装置の発熱量が大きくなっても、露光装置や周辺温度の変化を抑え、温度変化による位置決めに関する測定精度ならび重ね合せ精度の低下や結像特性の低下を抑制し、高精度で信頼性を向上することができるステージ装置、露光装置、および露光方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る温度調節装置は、露光対象物を支持する支持台に配置され、この支持台上に支持された露光対象物の温度を調節するための複数のペルチェ素子を有する。そして、複数のペルチェ素子は、面積の大きさが異なる少なくとも2種類のペルチェ素子を含んでいる。
また、本発明に係るステージ装置は、液浸水を介して露光される露光対象物が支持される支持面と、この支持面上に支持された露光対象物の外周部に沿って設けられ液浸水を排出するための排出溝とを有する支持台を備える。また、ステージ装置は、支持台上に支持された露光対象物の温度を調節するための温度調節手段を備える。そして、温度調節手段は、支持台に配置された複数の第1のペルチェ素子および複数の第2のペルチェ素子を有し、第2のペルチェ素子が、第1のペルチェ素子よりも面積が小さく形成されて排出溝近傍に配置されている。
また、本発明に係る露光装置は、上述した本発明のステージ装置と、露光光を露光対象物に照射する照明光学系とを備える。
また、本発明に係る露光方法は、液浸水を介して露光対象物を露光する露光方法において、露光対象物を支持する支持台に配置された、面積の大きさが異なる少なくとも2種類のペルチェ素子を含む複数のペルチェ素子によって露光対象物の温度を調節する調節工程と、ペルチェ素子によって温度が調節された露光対象物を、液浸水を介して露光する露光工程とを有する。
本発明によれば、露光対象物の温度制御に関して、構成上の簡易化を図ると共に応答性を向上し、温度を高精度に調節することが可能になる。また、本発明は、露光装置全体の高出力化に伴い装置の発熱量が大きくなった場合であっても、露光装置や露光対象物周辺の温度の変化を抑え、温度変化による位置決めに関する測定精度ならび重ね合せ精度の低下や結像特性の低下を抑制し、比較的高精度で信頼性を向上することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して説明する。
(第1の実施例)
図1に、本実施例の液浸露光装置の模式図を示す。図2に、本実施例におけるウエハステージ装置が備えるウエハステージの平面図を模式的に示す。
図1に示すように、本実施例の液浸露光装置1は、レチクル5(原版)を支持するレチクルステージ装置11と、露光対象物としてのウエハ6を支持するウエハステージ装置12と、露光光を出射する照明光学系としての照明装置13と、露光光をウエハ6に照射するための投影レンズ14と、液浸水7を供給するための液体供給装置15と、液浸水を回収するための液体回収装置16と、投影レンズ14とウエハ6との間に液浸水を充填するための液浸機構17と、これら各装置を制御する主制御装置18とを備えている。
また、この液浸露光装置1は、ウエハステージ装置12に支持されたウエハ6の位置を測定するためのアライメント測定器19と、ウエハ6の周辺雰囲気を排気するためのパージ装置20とを有している。アライメント測定器19は、ウエハ6にレーザ光を照射する発光側フォーカスセンサ19aと、ウエハ6からの反射光を受光する受光側フォーカスセンサ19bと有しており、投影レンズ14とウエハ6上における結像面との距離を測定する。
液浸露光装置1が備えるレチクルステージ装置11は、レチクル5を支持するレチクルステージ21と、このレチクルステージ21を駆動するレチクルステージ駆動装置22と、レチクルステージ21の位置を測定するためのレチクルステージ測定器23とを有している。
液浸露光装置1が備えるウエハステージ装置12は、ウエハ6を支持する支持台としてのウエハステージ26と、このウエハステージ26を駆動するウエハステージ駆動装置27と、ウエハステージ26の位置を測定するためのウエハステージ測定器28と、ウエハステージ26に支持されたウエハ6の温度を調節するための温度調節装置(温度調節手段)29とを有している。
また、ウエハステージ装置12は、投影レンズ14と、ウエハステージ26に支持されたウエハ6との間に満たされた液浸水が、ウエハステージ26の駆動中にウエハ6上からこぼれて、ウエハステージ26の外部に溢れ出るのを防止するために、ウエハステージ26の支持面上に、液浸水を排出するための排出溝30を有する排出機構(不図示)が設けられている。この排出溝30は、ウエハステージ26の支持面上に支持されたウエハ6の外周部に沿って円環状に形成されている。
次に、本実施例の要部である、ウエハステージ装置12が備える温度調節装置29について詳細に説明する。
ウエハステージ装置12が備える温度調節装置29は、図1および図2に示すように、ウエハステージ26に配置された複数の第1のペルチェ素子31および複数の第2のペルチェ素子32と、これら第1および第2のペルチェ素子31,32を駆動制御する温度制御装置(温度制御手段)33とを有している。
ウエハステージ26には、支持面に支持されたウエハ6の中央部に対応する位置に複数の第1のペルチェ素子31が配置されている。また、図3に示すように、ウエハステージ26には、第1のペルチェ素子31よりも面積が小さい複数の第2のペルチェ素子32が、第1のペルチェ素子31の外周側と排出溝30の内周側との間に配置されている。第2のペルチェ素子32としては、例えば、最小なもので一辺が1mm×1mm角のものを用いている。つまり、第1のペルチェ素子31と排出溝30との間の、第1のペルチェ素子31を配置することができない比較的小さな隙間が、面積が比較的小さい第2のペルチェ素子32によって隙間なく埋められている。これによって、ウエハ6の裏面全域に亘って、第1および第2のペルチェ素子31,32によって温度を調整することが可能にされている。なお、ウエハステージ26に配置された第1および第2のペルチェ素子31,32は、ウエハ6を支持する支持面を構成する天板(不図示)によって覆われており、天板を介してウエハ6の温度を調整する。
また、ウエハステージ26には、排出溝30の外周側にも同様に、第1のペルチェ素子31が配置されており、第1のペルチェ素子31と排出溝30の外周側との間に複数の第2のペルチェ素子32が配置されている。つまり、排出溝30の外周側と第1のペルチェ素子31との間の、第1のペルチェ素子31を配置することができない隙間が、面積が比較的小さい第2のペルチェ素子32によって埋められている。ウエハステージ26に支持されたウエハ6の外部にも、露光光が照射される場合があるが、このような場合にも、露光に伴う温度変化を調節することが可能にされている。
また、第1のペルチェ素子31としては、図2に示すように、冷却用ペルチェ素子31aおよび加熱用ペルチェ素子31bをそれぞれ含んでいる。また同様に、第2のペルチェ素子32としては、冷却用ペルチェ素子32aおよび加熱用ペルチェ素子32bをそれぞれ含んでいる。
本実施例では、第1のペルチェ素子31および第2のペルチェ素子32が方形状にそれぞれ形成されており、複数の冷却用ペルチェ素子31a,32aおよび複数の加熱用ペルチェ素子31b,32bが格子状に交互に配列されている。これら冷却用ペルチェ素子31a,32aおよび加熱用ペルチェ素子31b,32bは、温度制御装置33を介して、主制御装置18に電気的に接続されており、主制御装置18によって駆動制御されている。また、主制御装置18は、原版に形成されたパターンをウエハ6に転写する露光動作を制御する。
ウエハステージ26の支持面には、例えば、複数の熱電対36が所定の間隔をあけてそれぞれ配置されている。各熱電対36は、温度センサモジュール37を介して、温度制御装置33に電気的に接続されている。
熱電対36は、検出した温度を温度センサモジュール37へ送信し、測定温度データに基づいて、温度制御装置33が温度変化に応じた温度変化量分の温度制御をリアルタイムで行う。ウエハ6の温度制御は、測定温度データに基づいて印加される電流または電圧が制御され、冷却用ペルチェ素子31a,32aおよび加熱用ペルチェ素子31b,32bへ個々にフィードバックさせることで、比較的高速かつ高精度に熱を移動させてウエハ6の裏面全域に亘って温度を調節する。
一般に、ペルチェ素子は、印加する電流または電圧を変化させることによって比較的高速かつ高精度に熱の移動を制御することができ、個々のペルチェ素子を高精度に温度制御することが可能である。したがって、温度調節装置29は、第1および第2のペルチェ素子31,32によって、ウエハ6の裏面全域での微少な温度変化に対応した温度制御が可能にされている。このため、投影レンズとウエハとの間が大気であるドライ露光装置に比較して、液浸水7の気化熱が温度変化に影響を及ぼす液浸露光装置においても、第1および第2のペルチェ素子31,32を用いて高速かつ高精度に温度制御することによって、ウエハステージ26の駆動に併せてリアルタイムにウエハ6の温度を制御することができる。
また、温度制御装置33は、制御電源38によって電力が供給されている。温度制御装置33は、主制御装置18が、温度センサモジュール37による測定結果に応じて制御する動作制御信号に基づいて、第1および第2のペルチェ素子31,32をそれぞれ制御することで、ペルチェ素子31,32による熱移動を制御する。
また、ウエハステージ26は、支持面を構成する天板に使用する材料としても、支持面における温度分布の不均一(ムラ)を抑えるために、例えばアルミニウム等の熱伝導率が比較的大きい材料を用いて形成され、相対的な熱量が大きくなるように構成されている。この構成により、第1および第2のペルチェ素子31,32の発熱側から加えられる熱量によって局部的な温度上昇が生じるのを避け、周辺雰囲気への放熱を抑えることで、周辺雰囲気への温度ムラの影響を最小限に抑えることができる。
また、ウエハステージ装置12は、必要に応じて、ウエハステージ26に、冷媒を循環させることでウエハ6を冷却するためのステージ冷却装置(不図示)を備える構成が採られてもよい。この構成によって、温度調節装置29の第1および第2のペルチェ素子31,32による温度の調節が、ステージ冷却装置によって補助されるので、ウエハ6の温度を更に効率的に温度を調節することが可能になる。
以上のように構成された液浸露光装置1について、ウエハ6を露光処理する際の動作を、図4を参照して説明する。
まず、図4に示すように、ステップS51から開始され、基板としてのウエハ6は、図示しない位置決めピンを有するウエハチャックを介してプリプリアライメントされて、ウエハステージ26の支持面上の所定の位置に搭載される。このプリアライメントの方法としては、ウエハ6の外周面の3箇所に位置決めピンを突き当てることで、ウエハ6の外周面を基準として機械的に位置決めする方法が採られる。他のプリアライメントの方法としては、図示しないが、例えば、ウエハ6の外周部に形成された切り欠き(ノッチ)を基準として、この切り欠き部分をCCDカメラで画像取り込みを行い、画像処理によってプリアライメントを行う方法が採られてもよい。続いて、ウエハ6に転写するパターンと下層パターンとのアライメントマークを計測して位置決めし、液浸機構17によって投射レンズとウエハ6との間に、液浸水7を充填する(ステップS52)。
次に、主制御装置18は、ウエハステージ26上に支持されたウエハ6の温度を、温度センサモジュール37で検出し、ウエハ6の温度が、設定されている所定の温度に調節されているか否かを判断する(ステップS53)。
ウエハ6の温度が所定の温度に調節されている場合には、ステップS54に移行して、ウエハ6を露光処理する。また、ウエハ6の温度が所定の温度に調節されていない場合には、ステップS55に移行して、ウエハ6の温度を調節する。
ステップS54では、レチクル5に形成されたパターンを、照明装置13から出射された露光光によって、投影レンズおよび液浸機構、液浸水7を介してウエハ6上の所定の位置に転写させることで、ウエハ6を露光処理する。
ステップS55では、温度センサモジュール37で測定された温度と、設定された所定の温度との差分だけ、第1および第2のペルチェ素子31,32によってウエハ6の温度を調節する。このステップS55では、温度調節装置は、第1および第2のペルチェ素子31,32の、冷却用ペルチェ素子31a,32aおよび加熱用ペルチェ素子31b,32bに印加する電圧または電流をそれぞれ制御し、ウエハ6の裏面全域に亘って温度を調節する。
そして、ウエハ6を露光処理した後、終了する(ステップS56)、あるいはステップS51に移行して、次のウエハ6の露光処理を開始する。
上述したように、本実施例におけるウエハステージ装置12が備える温度調節装置29によれば、ウエハステージ26に第1および第2のペルチェ素子31,32が配置されたことで、ウエハ6の温度制御に関して、構成上の簡易化を図ると共に応答性を向上し、温度を高精度に調節することができる。
また、本実施例におけるウエハステージ装置12が備える温度調節装置29によれば、主制御装置18が、液浸露光装置1の露光動作に基づいて、ウエハ6近傍の第1および第2のペルチェ素子31,32の温度制御を行うことによって、露光動作中の液浸水7、ウエハ6および周辺温度の露光動作での温度変化に対して、従来に比較して応答性が非常に高い温度制御が可能になる。したがって、本実施例は、従来の液浸露光において精度低下の要因となっていた気化熱による温度変化に対して、非常に高い応答性で温度制御することができる。これにより、温度変化による測定精度や位置精度の低下が抑制されるので、ドライ露光装置と同等以上の重ね合せ精度を得ることができる。
また、本実施例は、重ね合せ精度が向上されることによって、製造される半導体デバイスの信頼性の向上に加えて、製造工程におけるリワーク処理の低減、つまり重ね合わせ精度の不良品を再生する工程の負荷を低減することが可能になるので、製造コストの削減を図ることもできる。
また、本実施例の液浸露光装置1は、ウエハステージ26の近傍に、ウエハ6の周辺の空気を排気するパージ装置20が配置されることによって、第1および第2のペルチェ素子31,32で制御する熱移動量を小さく抑えることが可能になり、各ペルチェ素子31,32の制御効率を向上し、さらにペルチェ素子31,32自身からの発熱を少なく抑えることができる。そのため、パージ装置20が設けられることで、液浸露光装置1全体での回収すべき熱量の増加を抑制することが可能となる。
(第2の実施例)
第2の実施例の液浸露光装置は、ウエハステージ上に配置されるペルチェ素子の構成を除いて、第1の実施例の液浸露光装置と同一構成であるため、本実施例の要部であるペルチェ素子についてのみ説明する。
上述した第1の実施例では、第1のペルチェ素子31および第2のペルチェ素子32が、加熱用ペルチェ素子31a,32aおよび冷却用ペルチェ素子31b,32bをそれぞれ有している構成が採られたが、本実施例は、第1および第2のペルチェ素子が、加熱用ペルチェ素子および冷却用ペルチェ素子として、同一構成のペルチェ素子をそれぞれ用いている点が異なる。
図5に、第2の実施例の液浸露光装置が備えるウエハステージ装置のウエハステージの平面図を模式的に示す図5に示すように、本実施例におけるウエハステージには、第1のペルチェ素子31として同一構成のペルチェ素子31cが配列されており、第2のペルチェ素子32として同一構成のペルチェ素子32cが配列されている。
一般に、ペルチェ素子は、電流の向きを反転させて印加することによって、熱の移動を反転させることができる。したがって、本実施例では、第1のペルチェ素子31毎、第2のペルチェ素子32毎に、電流の向きを反転させて印加することによって、任意のペルチェ素子31cおよびペルチェ素子32cを、加熱用ペルチェ素子および冷却用ペルチェ素子として作用させて、温度調整することが可能になっている。すなわち、同一構成のペルチェ素子に印加する電流の向きを変えるだけで、冷却用ペルチェ素子および加熱用ペルチェ素子として使用することが可能にされている。したがって、第2の実施例によれば、第1の実施例のように冷却用ペルチェ素子31a,32a、加熱用ペルチェ素子31b,32bとして専用化されたものを有していなくとも、同一構成のペルチェ素子を用いることができる。
したがって、本実施例では、ウエハステージ26上に支持されたウエハ8の温度を調整する動作において、図4に示したステップS55における制御動作のみが、上述の第1の実施例における制御動作と異なっている。本実施例では、上述のステップS55において、同一構成のペルチェ素子に印加する電流の向き、つまりプラスとマイナスとを切り替えることで、ウエハ6の温度を調節する。
そして、本実施例においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
なお、上述した実施例では、温度調節装置が、面積の大きさが異なる第1および第2のペルチェ素子を有する構成にされたが、更に、面積が異なる第3のペルチェ素子等の他のペルチェ素子を有する構成にされてもよいことは勿論である。
本発明は、露光装置や、例えば高精度加工機等の精密な位置決めが要求される位置決め用のステージ装置や、このステージ装置等に用いられる温度調節装置に用いられて好適である。
第1の実施例の液浸露光装置の構成を示す模式図である。 ウエハステージ装置が備えるウエハステージを模式的に示す平面図である。 ウエハステージの排出溝の近傍を拡大して示す平面図である。 温度調節動作を説明するためのフローチャートである。 第2の実施例の液浸露光装置が備えるウエハステージ装置のウエハステージを模式的に示す平面図である。 液浸露光装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 液浸露光装置
5 レチクル
6 ウエハ
7 液浸水
12 ウエハステージ装置
26 ウエハステージ
29 温度調節装置
31 第1のペルチェ素子
32 第2のペルチェ素子
31a,32a 冷却用ペルチェ素子
31b,32b 加熱用ペルチェ素子

Claims (16)

  1. 露光対象物を支持する支持台に配置され、前記支持台上に支持された前記露光対象物の温度を調節するための複数のペルチェ素子を有し、
    前記複数のペルチェ素子は、面積の大きさが異なる少なくとも2種類のペルチェ素子を含んでいる温度調節装置。
  2. 前記複数のペルチェ素子は、前記支持台上に支持された前記露光対象物の中央部に対応する位置に配置された前記第1のペルチェ素子と、前記第1のペルチェ素子の外周側に配置され前記第1のペルチェ素子よりも面積が小さい前記第2のペルチェ素子とを含んでいる、請求項1に記載の温度調節装置。
  3. 前記第1のペルチェ素子および前記第2のペルチェ素子は、冷却用ペルチェ素子および加熱用ペルチェ素子をそれぞれ含んでいる、請求項2に記載の温度調節装置。
  4. 前記冷却用ペルチェ素子と前記加熱用ペルチェ素子は同一構成であり、印加される電流の向きが異なっている、請求項3に記載の温度調節装置。
  5. 液浸水を介して露光される露光対象物を支持する支持面と、前記支持面上に支持された前記露光対象物の外周部に沿って設けられ前記液浸水を排出するための排出溝とを有する支持台と、
    前記支持面上に支持された前記露光対象物の温度を調節するための温度調節手段とを備え、
    前記温度調節手段は、前記支持台に配置された複数の第1のペルチェ素子および複数の第2のペルチェ素子を有し、前記第2のペルチェ素子が、前記第1のペルチェ素子よりも面積が小さく形成されて前記排出溝近傍に配置されているステージ装置。
  6. 前記第1のペルチェ素子は、前記支持面上に支持された露光対象物の中央部に対応する位置に配置され、
    前記第2のペルチェ素子は、前記第1のペルチェ素子と前記排出溝との間に配置されている、請求項5に記載のステージ装置。
  7. 前記支持台には、前記支持面上に支持される円形状の前記露光対象物の外周部に沿って円環状の前記排出溝が設けられている、請求項5はたは6に記載のステージ装置。
  8. 前記支持台には、前記露光対象物の温度を検出するための温度検出手段が設けられている、請求項5ないし7のいずれか1項に記載のステージ装置。
  9. 前記第1のペルチェ素子および前記第2のペルチェ素子は、冷却用ペルチェ素子および加熱用ペルチェ素子をそれぞれ含んでいる、請求項5ないし8のいずれか1項に記載のステージ装置。
  10. 前記冷却用ペルチェ素子と前記加熱用ペルチェ素子は同一構成であり、印加される電流の向きが互いに異なっている、請求項9に記載のステージ装置。
  11. 前記冷却用ペルチェ素子および前記加熱用ペルチェ素子は、格子状に交互に配列されている、請求項9または10に記載のステージ装置。
  12. 前記支持台には、前記排出溝の外周側に、前記第1のペルチェ素子および前記第2のペルチェ素子が配置されている、請求項5ないし11のいずれか1項に記載のステージ装置。
  13. 前記支持台には、前記支持面上に支持された前記露光対象物を冷却するための冷却手段が設けられている、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のステージ装置。
  14. 請求項5ないし13のいずれか1項に記載のステージ装置と、露光光を前記露光対象物に照射する照明光学系とを備える露光装置。
  15. 原版に形成されたパターンを前記露光対象物に転写する露光動作を制御する主制御装置と、
    前記ステージ装置の前記温度調節手段は、前記主制御装置の動作制御信号に基づいて前記第1および第2のペルチェ素子を制御し、該ペルチェ素子による熱移動を制御する温度制御手段を有している、請求項14に記載の露光装置。
  16. 液浸水を介して露光対象物を露光する露光方法において、
    露光対象物を支持する支持台に配置された、面積の大きさが異なる少なくとも2種類のペルチェ素子を含む複数のペルチェ素子によって前記露光対象物の温度を調節する調節工程と、
    前記ペルチェ素子によって温度が調節された前記露光対象物を、液浸水を介して露光する露光工程と、を有する露光方法。
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