JP2008051463A - 自動空調制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用的な空調機や撮像装置を用いて、室内の人物の状況を的確に検知し、快適と感じる温度、風力、風向の制御を効率良く行うこと。
【解決手段】室内に設置された一つまたは複数の汎用性のある空調機3と、空調機が空調可能な領域を撮影する一つまたは複数の汎用性のある撮像装置1と、撮像装置で撮影された映像データに対して画像認識処理を行い、室内の状況を検出し判断する画像認識・状態検出部4と、画像認識・状態検出部の判断結果と空調機の設置場所及び設置数とを基に、各空調機に対する制御内容を決定する空調制御命令作成部5と、空調制御命令作成部の決定結果を、各空調機の仕様に対応した信号に変換して送信し、空調機の制御を行う空調制御命令送信部7と、から構成される。室内の人物の動作(額の汗を拭う、膝に毛布を被せる)を基に空調の制御内容を決定して、快適且つ省電力の空調機の運転が可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空調機の自動制御システムに係わり、特に、汎用性を備えた空調機と撮像装置とを用いて室内状況に応じた空調機の制御を行う自動空調制御システムに関する。
従来の空調自動制御システムとしては、位置情報を利用した方法として、撮像装置から取得した室内の画像データやリモコンの位置情報から、空調機と人物との距離、人物の有無、人数、人物の動き量を検知し、制御するものがある(例えば、特許文献1,2を参照)。また、温度情報を利用した方法として、温度センサ、湿度センサ等を用いて人物の体温、付近の湿度を検知し、その人物が快適となるように制御するものがある(例えば、特許文献3,4を参照)。また、位置情報に加え、頭の揺れ、手足をさする等の人物の動作情報を利用して制御するものもある(例えば、特許文献5,6を参照)。なお、上記での制御とは、主に設定温度、風向、風力の制御を指し、以後も同様の意味を表す。
特開平5―187682号公報 特開平6−74526号公報 特開平7−49142号公報 特開平10−230729号公報 特開平10−259942号公報 特開平10−259943号公報
しかしながら、上述した従来のシステムにおいて、上記特許文献1,2に示したように、位置情報を利用した手法では、消し忘れ等による人物のいない空間へ空調機の無駄な冷房(暖房)の防止や、室内にいる人物( ユーザ)が、自身の方向へ風向を変える等の煩わしい操作を行う必要が無いという利点がある反面、人物がどんな状態にあるかを検知していないため、電車、図書館、教室、飲食店等でその空間内にいる人物が自由に動き回れないような状況下では、空調機のそばにいる人々が「寒い」と感じていながら、人数と位置関係が原因で、より強い冷房・風を受けるといった課題を生じる可能性がある。
これに対して、上記特許文献2,3に示したように、温度情報を利用した手法では、人物の体温や付近の湿度から、人物の状態を具体的な数値として得られることができ、上記のような「寒い」と感じている人々の場所にさらに強い冷房運転をする、というような課題は発生せず、室内にいる人々の状態を正確に知ることが可能である。しかし、人々が多く集まるような場所で高精度な状態検知を実現するためには、多くの温度センサ、湿度センサが必要となりコスト増となる上に、同じ体温、湿度であっても、それがその人物にとって快適であるか否かは、対象となる人物や場所等によって大きく異なるという課題がある。
一方、上記特許文献5,6に示したように、人物の動作を検知し状態を判断する手法は、手足をさすっていれば寒がっている、頭が一定の揺れを起こしていたら覚醒度( どれくらい起きている状態か)が低下している等、人物の状態を非常に高い精度で知ることが可能である。しかし、これら人物の動作検出は単純な温度検知等と異なり複雑な処理が必要となるため、空調機の設置場所、自動制御の目的等を、事前にある程度限定しておく必要があり(特許文献5では就寝中の人物がいる部屋を想定し、特許文献6では覚醒度を上げることを目的としている)、機器の汎用性に欠ける。
上述した位置情報、温度情報、動作情報を利用した従来の空調自動制御システムを全て組み合わせたとしても、次のようなコスト、汎用性、拡張性の面で課題が残る。
(1)位置、温度、動作等の各種情報取得装置は、空調機に内蔵されていて、空調機の自動制御を想定したものとなっている。そのため、自動制御を行なわない場合はそれらのための機構が無駄となる。言い換えれば、これらの情報取得装置と空調機は自動制御を行うことが確定している場所でなければ、設置できない(コスト、汎用性)。
(2)情報取得装置と空調機は互いに密接に関連しており、独立性が無いため、一方の機器の変更、故障、更新、等に対してもう一方も影響を受ける(汎用性、拡張性) 。
(3)情報取得装置、その情報から人物・室内の状況を検出するアルゴリズムは、予め空調機の設置場所を特定したものとなっているため、他場所への移動が困難である(汎用性、拡張性)。
次に、電車、図書館、教室、飲食店等のような公共の場に上記従来の自動空調制御システムが設置された場合を例として上述した課題を説明する。例えば、それまで店員や教師等が手動で行なっていた空調制御を自動制御に変更しようとした場合、それまで使用していた空調機は廃棄し、自動制御対応の空調機に換えなければならない。これはコスト面で非常に大きな負担となる。
また、飲食店や電車での自動制御において、それまで室内の全範囲を調べて空調制御を行なっていたものを、「人の出入りが発生した直後の出入り口付近は調査対象外とする」等のようにアルゴリズムを変更したい場合、それによる空調機への影響・対応も考慮しなければならない。
また、電車、図書館、教室、飲食店等の公共の場は、各自が自由に空調機を制御できないと言う点では共通であるが、室内での人物の挙動、出入り、特性は大きく異なる。従って、電車で使用していた自動空調制御システムをそのまま飲食店で使用する、といった使用法は非常に困難である。
本発明の目的は、上記課題を解決するためのものであり、空調システムの構成や室内状況の検知アルゴリズムとは非依存であって且つ汎用的な空調機や撮像装置を構成要素とすることを前提として、室内の人物の状況を的確に検知し、快適と感じる温度、風力、風向制御を効率良く行え、また、撮像装置や空調機の設置場所や機種の変更等に対して、空調システムに大きな変更等を加える必要の無い柔軟性を保持する自動空調制御システムを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
室内に設置された一つまたは複数の空調機と、前記空調機が空調可能な領域を撮影する一つまたは複数の撮像装置と、前記撮像装置で撮影された映像データに対して画像認識処理を行い、室内の状況を検出し判断する画像認識・状態検出部と、前記画像認識・状態検出部の判断結果と前記空調機の設置場所及び設置数とを基に、各空調機に対する制御内容を決定する空調制御命令作成部と、前記空調制御命令作成部の決定結果を、各空調機の仕様に対応した信号に変換して送信し、前記空調機の制御を行う空調制御命令送信部と、から構成する自動空調制御システム。
また、前記自動空調制御システムにおいて、前記画像認識・状態検出部は、前記画像認識処理されたデータから室内の人の数、場所、服装、動作等の室内の人に関する情報を検出し、寒い、暑い又は程良いと感じている人の数と室内の位置を検出し判断する機能を有するものである。さらに、前記自動空調制御システムにおいて、前記空調制御命令作成部は、前記室内に設置された各空調機における設定温度の増減、風力の強弱、風向の変更等の制御内容を計算し決定する機能を有するものである。さらに、前記自動空調制御システムにおいて、前記空調制御命令送信部は、前記空調制御命令作成部から取得した前記空調機に対する制御命令を、前記空調機の仕様に対応した実行可能な制御内容に変換し、有線や無線等の通信手段で信号を前記空調機に送信して前記空調機の制御を行う機能を有するものである。
また、室内を撮影する撮像装置で撮影された映像データを入力とし、前記映像データをもとに室内に設置された空調機への制御データを出力とする自動空調制御装置であって、前記撮像装置で撮影された室内の映像データを取得して画像認識処理を行い、室内の人の数、場所、服装、動作等の室内の人に関する情報を検出し、寒い、暑い又は程良いと感じている人の数と室内の位置を検出し判断する画像認識・状態検出部と、前記画像認識・状態検出部の判断結果と前記空調機の設置場所を基に、前記室内に設置された空調機における設定温度の増減、風力の強弱、風向の変更等の制御内容を計算し決定する空調制御命令作成部と、前記空調制御命令作成部の決定結果を、前記空調機の仕様に対応した実行可能な制御内容に変換し、有線や無線等の通信手段で信号を前記空調機に送信して前記空調機の制御を行う空調制御命令送信部と、から構成するものである。
本発明によれば、本実施形態に係る自動空調制御システムを構成する空調機や撮像装置として、空調システムの構成や室内状況の検知アルゴリズムとは非依存であって且つ汎用的な機器を使用することができ、コストと汎用性に貢献することができる。
また、室内の人物の状況を的確に検知し、快適と感じる温度、風力、風向制御を個別に効率良く行うことができる。さらに、撮像装置や空調機の設置場所や機種の変更等に対して、自動空調制御システムの全体に亘る大きな変更等を加えることのない柔軟性を持つシステムとすることができる。
本発明の実施形態に係る自動空調制御システムについて、図1、図2及び図3を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る自動空調制御システムにおける撮像装置と空調機がそれぞれ1台の基本構成例を示す図である。図2は本発明の実施形態に係る自動空調制御システムにおける撮像装置と空調機がそれぞれ複数台の応用構成例を示す図である。図3は本発明の実施形態に係る自動空調制御システムの適用対象である部屋の状況を示す図である。
図面において、1は撮像装置、2は自動空調制御装置、3は空調機、4は画像認識・状態検出部、5は空調制御命令作成部、6は空調制御命令送信部、7は送信媒体、8は室内状況データ、9は部屋、10は部屋内に存在する人、11は部屋内の各地点、12は部屋に関する部屋情報、13は部屋の全体図、14は部屋での撮像装置の設置状況(設置数、設置場所等)、15は部屋での空調機の設置状況(設置数、設置場所等)、をそれぞれ表す。
次に、本発明の実施形態に係る自動空調制御システムの基本的な概要について、夏の冷房運転を例として図1と図3を参照しながら説明する。本実施形態に係る自動空調制御システムは、基本的には、1台の撮像装置1と、自動空調整装置2と、1台の空調機3とから構成される。図3に示すように、撮像装置1と空調機3が1台またはそれ以上設置された部屋において、撮像装置1はその設置された場所から部屋9内を撮影し、映像データを得る。ここで、撮像装置1は、自動空調制御装置2や空調機3とは関係なく通常の撮像装置としての働き・機能であり、防犯・監視等の機能を満たすのに十分なものである。同様に、空調機3は撮像装置1や自動空調制御装置2とは関係なく通常の空調機として十分に働くものである。
また、部屋情報12は、部屋の全体図13と、撮像装置1の数、設置場所、撮影範囲を表す撮像装置設置状況14と、空調機3の数、設置場所を表す空調機設置状況15と、から成る。部屋情報12の取得は、例えば、ユーザーまたは空調機設置業者の入力による設定によって行えば良い。ただし、部屋情報12の構成要素はこれらに限定されるわけではなく、用途・状況に応じてその内容が増減・変化しても構わない。
まずは、1台の撮像装置と1台の空調機3が設置された部屋を例として、本発明の基本的な自動空調制御の処理手順を説明する。自動空調制御装置2内の画像認識・状態検出部4は、撮像装置1から得た映像データと、室内情報12を基に、室内の状況を判断する。例えば図3において、10−A、10−Bの人物が腕をさする動作をしており、10−Cの人物が上着を着ていたとする。そうすると、地点11−Aにいる人々は全員寒がっており、地点11−Aは「寒い」状態であることがわかる。同様に、10−D、10−Eの人物が、汗を拭う、内輪であおぐ等の「暑がる」動作をしていた場合、地点11Bは「暑い」状態であることがわかる。また、10−F、10−Gの人物が特に「暑い」「寒い」を示す動作をしていない場合は、「丁度良い」状態であると言える。地点11−Dには、誰も人がいないので、「誰もいない」と判別される。
上述したように、画像認識・状態検出部4での処理はここまであり、あくまで室内の情報取得・状況判断のみを行い、その結果を室内状況データ8として、次の処理部である空調制御命令作成部5に渡す。この室内状況データ8にどのような情報を持たせるかは、ユーザーが設定・変更できる(詳細は後述する図2の説明で述べる)。ここでは、単に地点11−A、11−B、11−C、11−Dの情報のみとする。
自動空調制御装置2内の空調制御命令作成部5は、室内状況データ8と、部屋情報12を基に、各空調機3に対する制御内容を決定する。この例では、地点11−Aの風力を弱める、地点11−Bの風力を強める、地点11−Cに対しては特に変更しない、地点11−Dへの風は停止、等とする。ただし、これら制御内容のうち、場所に関する情報は、空調機3から見た表現に変更する必要がある。よって、前述した制御内容は、右奥(11−A)の風力を弱める、左奥(11−B)の風力を強める、左手前(11−C)は特に変更しない、右手前(11−D)への風は停止、となる。
なお、得られた室内状況データ8に対して、どのような制御を行うかは空調制御命令作成部5の自由であり、室内状況データ8が同一のものであっても、空調制御命令作成部5の仕様によって、空調機3に対する制御内容が変わる。この制御内容に関しては図2の説明で述べる。
空調制御命令作成部5で作成された空調機3に対する制御内容は、次の処理部である空調制御命令送信部6に渡される。空調制御命令送信部6は、各空調機3への制御内容を、製造元、仕様等に対応した実際に空調機3が実行可能な制御内容に変換し、有線または無線の送信媒体7によって、空調機3に送信する。
実際の空調機3が、空調制御命令作成部5からの制御内容通り、忠実に動作できるとは限らない。この例で言えば、実際の空調機3が地点11−A、……、11−D毎のような細かい制御は行なえず、風向きは右、左、全体のいずれか、風力は強、弱、オフの制御しか行なえないとする。そのような場合に、空調制御命令送信部6が、空調機3が動作可能な制御内容に変換して送信を行う。
例えば、図3の空調機3の右側である地点11−A、11−Dに対する制御はそれぞれ「風力を弱める」、「停止」であり、空調機3の左側である地点11−B、11−Cに対する制御はそれぞれ「風力を強める」「変更しない」であり、これらを「風向きを左」、「風力は弱」等の内容に変換し、かつ機種に対応した送信信号に変換し、送信媒体7によって、空調機3に制御信号を送る。
また、送信媒体7は、本実施形態に特化したものではなく、家庭や教室等で使用される一般的な有線または無線の送信媒体である。以上のことが、本発明の実施形態に係る自動空調制御システムの基本的な流れである。
また、本発明の実施形態に係る自動空調制御システムでは、撮像装置1、空調機3とは無関係に主要処理部である自動空調制御装置2内の画像認識・状態検出部4と、空調制御命令作成部5と、空調制御命令送信部6とにおいて、それぞれのカスタマイズが可能である(制御態様例)。
例えば、画像認識・状態検出部4は、撮影される部屋や人物の行動を予め限定して処理することで処理の高速化が図れる。これにより、処理内容を「高精度だが低速」「高速だが低精度」「両者の中間」等の精度・速度の切り替えや、「人の数」「地点」「高さ」「人口密度」等の次処理部に与えるデータの種類・数に応じて、また、「10分以上同じ場所にいる人のみ」「全身映っている人のみ」等の検出対象の調整、用途に応じて変更することができる。また、人物の動作検出処理において、より優秀なアルゴリズムが発見された場合等もアルゴリズム部分の書き換えを行うだけで良い。なお、画像認識・状態検出部4から出力される室内状況データ8にパラメータの増減等の大きな変更があった場合には、空調制御命令作成部5は、それに応じてアルゴリズムを変更する必要がある。
また、空調制御命令作成部5は、室内状況データ8に対して、空調機3に指示すべき制御内容のカスタマイズが可能である。例えば、「人が多く、暑い」と判断された場所に対して、「風力を強くする」「設定温度を下げる」「除湿運転に切り替える」「現運転状態を優先し、待機」等、どのような対処法を取るかは自由に設定可能である。
空調制御命令送信部6は、前述した空調制御命令作成部からの制御情報を実際の空調機3に合わせた制御内容に変換する際、「複数制御内容を一つにまとめる場合は消費電力が少ない方を優先」「風向制御は受け付けない」「設定温度X度以下となる制御は受け付けない」等、消費電力、騒音、空調機3の状態等を考慮した設定が可能である。
次に、本発明の実施形態に係る自動空調制御システムにおける撮像装置1および/または空調機3の設置場所、数、機種の変更、室内状況の変更があった場合の構成例と対処例について、図2を参照しながら以下説明する。以下の説明では本実施形態における柔軟性の高さを示す。
まず、本実施形態に関する撮像装置1または空調機3の設置場所が変更した例を説明する。撮像装置1の設置場所が変更した場合、映像データと部屋との対応関係が変化する。この際、変更が必要な処理部は画像認識・状態検出部4のみであり、アルゴリズム・設定の変更で対応可能である。また、空調機3の設置場所が変更した場合、室内の状況と空調機3との対応関係が変化する。この際、変更が必要な処理部は空調制御命令作成部5のみであり、アルゴリズム・設定の変更で対応可能である。なお、空調機3の設置場所が変更した場合、配線や信号方向等、送信媒体7の変更は必要であるが、これは本実施形態に依るものではなく、一般的な空調機3においても当然必要な処置であるため対象外とする。以後、同様の理由により送信媒体7の変更に関しては説明しない。
次に、本実施形態に関する撮像装置1および/または空調機3の設置数が変更した例を説明する。撮像装置1の設置数が変更した場合は、画像認識・状態検出部4の変更のみで対応可能である。撮像装置1が図2のように3台(1−A,1−B,1−C)となった場合を考える。この場合、各撮像装置1に対して画像認識・状態検出を行う必要がある(4−A,4−B,4−C)。これら複数の画像認識・状態検出部4の結果と部屋情報12を基に室内状況データ8としてまとめる。
なお、図2では画像認識・状態検出処理部4が撮像装置1ごとに用意されているが、機能として複数の撮像装置1からのデータを処理し、最終的に室内状況データ8を出力するものを備えていれば、必ずしも複数設ける必要は無い。空調機3の設置数が変更した場合は、空調制御命令作成部5が、空調機3ごとに制御命令を作成し、空調制御命令送信部6も、空調機3ごとの制御内容の変更・送信が必要となる。図2の個々の画像認識・状態検出部は、図1の画像認識・状態検出部との対比で一切変更する必要はない。
さらに、本実施形態に関する撮像装置1または空調機3の機種が変更した例を説明する。撮像装置1の機種が変更した場合、画像認識・状態検出部4のデータ処理部分の変更が必要である。ただし、得られる映像データのフォーマットに変更が無ければ、この変更は不要となる。空調機3の機種が変更した場合、空調制御命令送信部6の制御内容の変換部の変更が必要である。
また、部屋の改装、大きな荷物の設置・移動等のような、室内状況に大きな変更があった場合を考える。画像認識・状態検出部4は、前述した撮影される部屋のデータを予め限定した処理を行っていれば、アルゴリズムの変更が必要となる。また、空調制御命令作成部5は、部屋をパーティション化した場合等のように、空調機3から影響を受ける空間に変更が生じる場合は、アルゴリズム・設定の変更が必要となる。
表1に、上述した撮像装置1、空調機3の設置場所、数、機種、室内状況の変更時の、各処理部の変更すべき箇所をまとめた。各処理部が高い独立性を有するため、一つの変更に対して、全ての処理部を変更することなく、一部の変更で対応可能であることがわかる。
Figure 2008051463
なお、自動空調制御装置2は、画像認識・状態検出部4、空調制御命令作成部5、空調制御命令6の3つの処理部に限定されるものではなく、用途に応じて、各処理部を統合または分割し、その数が変動しても構わない。
以上説明したように、本発明の実施形態は次のような構成を備えることを特徴とするものである。すなわち、室内の情報を取得する情報取得装置はビデオカメラを一例とする一般的な撮像装置であり、また、空調機も同様に自動制御とは無関係な、リモコン、壁面に設置されたキーパネル等を用いて人が手動で操作する一般的な空調機とする。この撮像装置と空調機との間を、自動空調制御装置を構成する画像認識・状態検出部、空調制御命令作成部、空調制御命令送信部の3つの処理部でつなぐ。即ち、画像認識・状態検出部は、撮像装置によって撮影された室内の映像データを取得し、画像認識処理を行い、室内の人数、場所、動作、服装等を検出し、室内の状況を判断する。空調制御命令作成部は、画像認識・状態検出部の判断結果を基に、室内に設置された各空調機に対する制御内容(設定温度の増減、風力の強弱、風向の変更等)を計算・決定する。空調制御命令送信部は、空調制御命令作成部が決定した各空調機に対する制御命令を、実際に空調機を制御する信号に変換し、有線や無線等の手段で信号を空調機に送信し、空調機の制御を行う。このような構成により、汎用的な撮像装置、空調機での自動空調制御システムの実現と室内状況に応じた空調制御がそれぞれ達成される。
また、自動空調制御装置内の画像認識・状態検出部は、撮像装置の機種、数、設置場所の変更に対してはそれらに応じたアルゴリズム・データの収集・まとめ方等の変更が必要であるが、空調機の機種、数、設置場所の変更および最終処理部である空調制御命令送信部とは非依存である。空調制御命令作成部は、前処理部である画像認識・状態検出部からのデータフォーマットの変更および空調機の数、設置場所の変更に対してはそれらに応じたアルゴリズムの変更が必要であるが、撮像装置の機種、数、設置場所の変更とは非依存である。空調制御命令送信部は、前処理部である空調制御命令作成部からのデータフォーマットの変更および空調機の機種、数、設置場所の変更に対してはそれらに応じた出力信号種類、物理的な配線等の変更が必要であるが、撮像装置の機種、数、設置場所の変更とは非依存である。このような構成により、撮像装置、空調機の変化に対して必要な処理部のみの変更で対応可能な高い柔軟性が達成される。
繰り返して説明すると、本発明の実施形態に係る自動空調制御システムが奏する機能乃至作用を取り纏めると次のようになる。すなわち、撮像装置によって撮影された映像データから画像認識・状態検出部によって室内の状況を判断し、空調制御命令作成部と空調制御命令送信部によって室内の状況に応じた空調機の制御を自動で行う構成を備えることによって、撮像装置と空調機は、室内状況に対応した自動空調制御システムに特化したものではなく汎用的なものでも対応可能であるため、余計な設備投資が不要である上に、この自動空調制御システムとしての利用・非利用の切り替えを容易に行うことができる(空調機が汎用的な機種であるので、空調機自体で室内温度などを検知して通常の空調機としての動作を行わせることができ、この際、図1に示す撮像装置1や自動空調制御装置2は非利用とするように切り替えればよい)。
また、撮像装置によって撮影された映像データは空調制御のためだけではなく、防犯用等としても十分に活用でき、自動空調制御システムの利用・非利用に関わらず、そのデータは利用でき、非常に効率的な構成となっている。また、一度設置してしまえば、撮像装置が撮影する場所は常に決まった範囲となるため、場所の限定、人物の動作の限定による状態検出処理の高速化が可能となる。
また、電車、図書館、教室、飲食店等のような公共の場では、個人が自由に空調機を制御することができないため、その場にいる全員が「寒い」と感じていても冷房運転が弱まらず、無駄に電力を消費するような状態が頻発するが、本発明では、室内の人物の動作を基に空調の制御内容を決定するため、その場にいる人々にとって快適かつ省電力な空調機の運転が可能となる。さらに、自動空調制御装置内の空調制御命令送信部において運転内容の限度(設定温度の下限値等)を設定することで、人物の動作のみに左右されて過度な運転をするというような状況も回避できる。
また、自動空調制御装置内の画像認識・状態検出部、空調制御命令作成部および空調制御命令送信部はそれぞれ高い独立性を有しているため、撮像装置、空調機の設置場所、数、機種の変更、室内状況の変更があった場合に、最低限の処理部の変更で対応可能であり、低コストで高い柔軟性をもって実現することができる。さらに、各処理部のアルゴリズム、設定の変更・更新も他の処理部に影響を与えることなく行うことができる。
本発明の実施形態に係る自動空調制御システムにおける撮像装置と空調機がそれぞれ1台の基本構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る自動空調制御システムにおける撮像装置と空調機がそれぞれ複数台の応用構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る自動空調制御システムの適用対象である部屋の状況を示す図である。
符号の説明
1 撮像装置
2 自動空調制御システム
3 空調機
4 画像認識・状態検出部
5 空調制御命令作成部
6 空調制御命令送信部
7 送信媒体
8 室内状況データ
9 部屋
10 部屋内に存在する人
11 部屋内の各地点
12 部屋に関する部屋情報
13 部屋の全体図
14 部屋での撮像装置の設置状況(設置数、設置場所等)
15 部屋での空調機の設置状況(設置数、設置場所等)

Claims (10)

  1. 室内に設置された一つまたは複数の空調機と、
    前記空調機が空調可能な領域を撮影する一つまたは複数の撮像装置と、
    前記撮像装置で撮影された映像データに対して画像認識処理を行い、室内の状況を検出し判断する画像認識・状態検出部と、
    前記画像認識・状態検出部の判断結果と前記空調機の設置場所及び設置数とを基に、各空調機に対する制御内容を決定する空調制御命令作成部と、
    前記空調制御命令作成部の決定結果を、各空調機の仕様に対応した信号に変換して送信し、前記空調機の制御を行う空調制御命令送信部と、から構成する
    ことを特徴とする自動空調制御システム。
  2. 請求項1において、
    前記画像認識・状態検出部は、前記画像認識処理されたデータから室内の人の数、場所、服装、動作等の室内の人に関する情報を検出し、寒い、暑い又は程良いと感じている人の数と室内の位置を検出し判断する機能を有する
    ことを特徴とする自動空調制御システム。
  3. 請求項1または2において、
    前記画像認識・状態検出部は、前記空調機の機種と数と設置場所、及び前記空調制御命令送信部の機能とは非依存であって独立性を有することを特徴とする自動空調制御システム。
  4. 請求項1または2において、
    前記画像認識・状態検出部は、前記撮像装置により撮影される室内の状態と人の状態を特定し、前記特定した状態に基づく画像認識・状態検出のアルゴリズムを採用することによって、前記画像認識・状態検出部での任意の処理速度と精度を設定可能とする
    ことを特徴とする自動空調制御システム。
  5. 請求項1において、
    前記空調制御命令作成部は、前記室内に設置された各空調機における設定温度の増減、風力の強弱、風向の変更等の制御内容を計算し決定することを特徴とする自動空調制御システム。
  6. 請求項1または5において、
    前記空調制御命令作成部は、前記撮像装置の機種と数と設置場所、及び前記空調機の機種とは非依存であって独立性を有する
    ことを特徴とする自動空調制御システム。
  7. 請求項1において、
    前記空調制御命令送信部は、前記空調制御命令作成部から取得した前記空調機に対する制御命令を、前記空調機の仕様に対応した実行可能な制御内容に変換し、有線や無線等の通信手段で信号を前記空調機に送信して前記空調機の制御を行う
    ことを特徴とする自動空調制御システム。
  8. 請求項1において、
    前記空調制御命令送信部は、前記撮像装置の機種と数と設置場所、及び前記画像認識・状態検出部とは非依存であって独立性を有することを特徴とする自動空調制御システム。
  9. 室内を撮影する撮像装置で撮影された映像データを入力とし、前記映像データをもとに室内に設置された空調機への制御データを出力とする自動空調制御装置であって、
    前記撮像装置で撮影された室内の映像データを取得して画像認識処理を行い、室内の人の数、場所、服装、動作等の室内の人に関する情報を検出し、寒い、暑い又は程良いと感じている人の数と室内の位置を検出し判断する画像認識・状態検出部と、
    前記画像認識・状態検出部の判断結果と前記空調機の設置場所を基に、前記室内に設置された空調機における設定温度の増減、風力の強弱、風向の変更等の制御内容を計算し決定する空調制御命令作成部と、
    前記空調制御命令作成部の決定結果を、前記空調機の仕様に対応した実行可能な制御内容に変換し、有線や無線等の通信手段で信号を前記空調機に送信して前記空調機の制御を行う空調制御命令送信部と、から構成する
    ことを特徴とする自動空調制御装置。
  10. 請求項9において、
    前記撮像装置としてビデオカメラを一例とする汎用性を有するものを用い、前記空調機としてリモコン又はキーパネルで手動操作する汎用性のあるものを用いる
    ことを特徴とする自動空調制御装置。
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