以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明にかかる空気調和機が備えられた居室の概略図である。図1に示すように、空気調和機Aは、居室Rmの内部に設置される室内機IMと、居室Rmの外部に設置される室外機OMとを有する。図1に示すように、居室Rmは、空気調和機Aの室内機IMが取り付けられた壁(ここでは、壁BWとする)と、室内機IMから見て正面の壁(正面壁FW)と、左右側面を構成する側壁(SWL、SWR)と、天井CLと、床FLとに囲まれている。なお、扉、窓等の開口は空調を行うときに閉じ、壁、天井等と一体と考えてもよいため、省略している。空気調和機Aは、居室Rmの空気を室内機IMに取込み、口調した空気を吐出することで居室Rm内の空調を行っている。
次に本発明にかかる空気調和機Aの詳細について図面を参照して説明する。図2は本発明にかかる空気調和機の概略構成を示すブロック図であり、図3は図2に示す空気調和機の空調部の概略図である。
図2に示すように空気調和機Aは、制御部1、空調部2、記憶部3、画像データ生成部4、健康状態検出部5、リモコン通信部6(リモートコントローラ通信部)及びリモコン7(リモートコントローラ)を備えている。
制御部1は、空気調和機Aを構成する各部の動作を制御する制御回路を備えている。制御部1は、例えば、複数個のマイクロプロセッサで構成されるものを利用することができる。制御部1の制御処理によって、温度、湿度、風量、風向等の空調条件を変更し、居室Rm内を空調することができる。また、これら以外にも、空気調和機Aの各部の制御処理を行うことが可能となっている。
図3に示すように制御部1は、室内機IMに備えられており、室外機OMには室外機制御部11が設けられている。室外機制御部11は、制御部1と同様の構成を有している。なお、室外機制御部11は室外機OMに設けられている機器の動作を行うための制御装置であるため、制御部1よりも簡略な構成であってもよい。
制御部1が通信部12を備えているとともに、室外機制御部11が通信部13を備えている。そして、通信部12及び通信部13が有線又は無線で接続されており、制御部1と室外機制御部11とは通信部12及び通信部13を介して信号(情報)の送受信が可能となっている。
図3に示すように空調部2は、圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器23、減圧部24及び室内熱交換器25を備えている。そして、これらの各部が冷媒配管で接続されているとともに、内部に冷媒が封入されており、公知の冷媒回路を構成している。
図3に示すように、減圧部24、室内熱交換器25、室内ファン27及び風向調整部28は室内機IMに配置されており、圧縮機21、四方弁22、室内ファン27及び風向調整部28は制御部1に接続されている。また、圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器23、室外ファン26及びサーミスタ29は室外機OMに配置されており、圧縮機21、四方弁22、室外ファン26及びサーミスタ29は室外機制御部11に接続されている。なお、減圧部24は室内機ではなく、室外機OMに設けられていてもよい。
圧縮機21は冷媒を圧縮する装置であり、圧縮機21の動作(例えば、回転数)を制御することで空調の条件(温度、湿度)を変更することが可能となっている。四方弁22は冷媒回路の流れ方向を変更するものである。減圧部24は冷媒の圧力を低下させるものであり、例えば、キャピラリーチューブや膨張弁等が採用される。
室外熱交換器23及び室内熱交換器25はそれぞれ、居室Rmの外部及び内部の空気と冷媒との間の熱交換を行うためのものであり、例えば、冷媒配管に断面積を増やすためのフィンが設けられた構成を挙げることができる。このフィンに空気を吹き付け、強制的に空気を送り込むことで熱交換の効率を高めることが可能である。そのため、空調部2では、室外熱交換器23の近傍に室外ファン26が、室内熱交換器25の近傍に室内ファン27が設けられている。
また、空気調和機Aは、室内熱交換器25で熱交換した空気を居室Rm内に送ることで、居室Rm内を空調しており、空気の流れ方向で空調の効率も変化する。そのため、空気調和機Aでは、室内ファン27で発生した空気の流れを制御するための風向調整部28を備えている。風向調整部28は、上下左右に風の向きを変更できるフィン(不図示)を備えており、室内熱交換器25で熱交換した空気の流れ方向を制御する。なお、風向調整部は、室内機IMから吐出される空気の全てが同じ方向に向いて吹き付けるようなものであってもよいし、部分的に異なる方向に向いて吹き付けるようなものであってもよい。
サーミスタ29は、居室Rmの外部の温度を検出するセンサであり、検出した温度は室外機制御部11に送信する。室外機制御部11は、サーミスタ29からの温度に基づいて、例えば、室外ファン26の動作を制御する。
記憶部3は、制御部1が各種の処理を行うときに必要となる情報やプログラムを記憶する。記憶部3には、情報の読み出しのみが可能なROM(Read Only Memory)や情報に随時アクセス可能(読書き可能)なRAM(Random Access Memory)等が含まれている。記憶部3は、空気調和機Aの動作に必要な情報を、系統だてて収納するためのデータベース群31を備えている。なお、データベース群31は、複数のデータベース或いはデータテーブルを含む構成となっており、それぞれのデータベース及びデータテーブルは、その都度説明する。
画像データ生成部4は、撮像部41と、画像処理部42と、駆動部43とを備えている。撮像部41は、居室Rmの内部を撮影し、画像データを取り込むものであり、ここでは、デジタルカメラユニットを採用しているが、これに限定されない。画像処理部42は、画像データから、居室Rmの天井と壁とを突き合わせた稜線を認識する。そして、画像処理部42は、認識した稜線の形状(角度、長さ)から居室Rmの形状及び大きさ(床面積)及び室内機IMの居室内での位置を検出(推定)する。そして、画像データ生成部4は、画像データから検出した居室Rmの形状及び大きさの情報を制御部1に受け渡す。
また、画像処理部42は、画像データに人が写っているか否か判断し、人が写っている場合、その人の属性(性別、年齢等)を判断する人認識機能を備えている。また、この人認識機能は、公知の顔認識技術を利用して個人を特定できるものであってもよい。この人認識機能については、必要に応じ説明を追加する。
なお、空気調和機Aでは、画像処理部42が画像データ生成部4に設けられているものとしているが、これに限定されない。例えば、画像処理部42が画像データ生成部4と独立して設けられていてもよく、或いは、制御部1の一部として設けられていてもよい。
駆動部43は、撮像部41を旋回駆動するための駆動装置を含んでいる。駆動部43を駆動することで、撮像部41の画角を旋回させることができる。これにより、画角外の部分を撮影し、画像データを取得することが可能となる。駆動部43としては、正確に角度を制御できるアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)を備えていることが好ましい。駆動部43は必要に応じ、駆動するようになっている。
健康状態検出部5は、居室Rm内の人の健康状態を認識するため、人体から発せられる信号を測定し、健康情報(体温、呼吸数、心拍数、血流量の少なくとも一つを含む情報)を検出するものである。なお、健康状態検出部5は、体温、呼吸数、心拍数、血流量の少なくとも一つを非接触で検出するセンサを備えている。健康状態検出部5の詳細については、後述する。
リモコン通信部6は、室内機IMと離れて配置されたリモコン7(リモートコントローラ)と通信を行うためのものである。リモコン通信部6はリモコン7からの信号を受けて、その信号を制御部1に送信するものである。なお、リモコン通信部6及びリモコン7が双方向通信可能な構成を有している場合、リモコン通信部6はリモコン7に対して、信号を送信するようになっている。空気調和機Aでは、リモコン通信部6及びリモコン7は双方向通信が可能なものである。
リモコン7は、居室Rm内の人が、室内機IMから離れた場所から空気調和機Aの操作を行う物である。リモコン7は、操作者が入力を行うための操作部71と、リモコン通信部6から送られてきた情報等を表示するための表示部72とを備えている。なお、リモコン7がリモコン通信部6に対して一方通行の信号送信を行う構成の場合、表示部72には、リモコン7で行われた操作等を表示するようにしてもよい。また、表示部72を省略してもよい。また、空気調和機Aが無線LAN等のネットワーク回線に接続されている場合、同じネットワークに接続されているスマートフォン、携帯電話、タブレット端末等をリモコンの代わりに利用するようになっていてもよい。
本発明にかかる空気調和機Aは、以上のような構成を有している。本発明にかかる空気調和機Aによる居室Rmの形状及び大きさを検出する動作について図面を参照して説明する。図4は本発明にかかる空気調和機による居室の形状及び大きさを判別する手順を示すフローチャートであり、図5は撮像部で取得した居室の画像データの概略を示す図である。
空気調和機Aでは、室内機IMの居室Rmへの設置後、最初の電源投入時に、居室情報を取得するようになっている。また、これ以外にも、使用者又は設置者の指示に従って居室情報を取得する場合や、長期間の電源OFF等によって、記憶部3に居室情報が記憶されていない場合にも居室情報を取得するようになっている。なお、以下の説明では、最初の電源投入時の居室情報の取得について説明するが、その他の場合についても同様である。空気調和機Aの室内機IMは図1に示す直方体の居室Rmの壁の1つに配置されているものとする。このとき、撮像部41で取得した画像データは図5に示す画像データPd1である。
最初の電源投入を検出すると(ステップS101)、制御部1は撮像部41を操作して、居室Rm内の画像データPd1(図5参照)を取得する(ステップS102)。画像処理部42は画像データPd1から、壁と天井の稜線を認識する(ステップS103)。画像処理部42は画像データPd1中において、天井CLと正面壁FWとで形成される第1稜線Rd1、天井CLと左側壁SWLとで形成される第2稜線Rd2及び天井CLと右側壁SWRで形成される第3稜線Rd3とを認識する。このとき、壁と壁の稜線も同時に認識してもよい。
そして、画像処理部42は、壁と天井の稜線の長さ及び水平線に対する角度を取得する(ステップS105)。図5に示す画像データPd1で説明すると、画像処理部42は、第1稜線Rd1の画像データPd1内での長さL1、第2稜線Rd2の画像データPd1内での長さL2及び第3稜線Rd3の画像データPd1内での長さL3を取得する。また、2稜線Rd2の水平線に対する角度θ1及び第3稜線Rd3の水平線に対する傾斜角度θ2を取得する。なお、稜線の長さはピクセルで取得してもよいし、画像データの枠に対する比で取得してもよい。また、これら以外であってもよい。
また、画像処理部42は、稜線の長さ及び角度に基づいて室内機IMの居室Rmにおける位置を演算により検出する(ステップS106)。図5に示す画像データPd1では、長さL1、L2、L3及び角度θ1、θ2の値と、撮像部41の条件(画角、ピント位置、画素数等)とを利用し、居室Rmの大きさ(床面積)及び形状(横長、縦長等)を検出する。そして、画像処理部42は居室Rmの形状及び大きさ、室内機IMの居室Rmにおける設置位置の情報を居室情報として制御部1に送り、制御部1は居室情報を記憶部3に記録する(ステップS107)。空気調和機Aは、以上のようにして取得した居室Rmの形状、大きさの情報に基づいて、空調条件(空調温度、風向、風量等)を決定し、居室Rmを空調する。
上述のとおり、本発明にかかる空気調和機Aでは、最初の電源投入とともに、室内機IMが配置された居室Rmの形状及び大きさを検出できる。これにより、居室Rmの形状、大きさ及び室内機IMの居室Rmにおける設置位置の情報を含む居室情報を手間なく取得できる。
本実施形態の空気調和機Aにおいて、画像処理部42が居室Rmの大きさを検出するとき、稜線の長さ、角度及び撮像部41の撮像条件に基づいて演算により検出している。しかしながら、これに限定されるものではなく、記憶部3のデータベース群31に稜線の形状と居室Rmの大きさとを関連付けたデータベースを蓄積しておき、画像データから認識した稜線をデータベースと比較して居室Rmの大きさを検出するようにしてもよい。このように、データベースとの比較で居室Rmの大きさを検出するようにすることで、簡単な動作で居室の大きさ及び形状を検出することが可能である。なお、データベース内の情報と一致する情報が見つからない場合、撮像部41で取得した画像データと近い情報をデータベースから複数個抽出し、それらの情報から近似値を求めるようにしてもよい。
空気調和機Aでは、上述のような方法で自動的に居室Rmの大きさを検出することができるとともに、使用者が手動で(リモコン7を利用して)設定できるようになっていてもよい。このような構成の空気調和機Aでは、使用者による手動の設定を優先するようにしてもよいし、自動検出及び使用者の手動の設定の両方で居室情報を取得し、居室情報が異なる場合、リモコン7の表示部72への表示、音声等の方法で使用者に通知するようになっていてもよい。また、無線LAN等の回線に接続されている場合、PC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等の電子機器で表示するように設定されていてもよい。
さらに、空気調和機Aの本体とリモコン7とが双方向に通信可能な構成である場合、一度検出した居室情報を、空気調和機Aの本体の記憶部3と、リモコン7の記憶部(不図示)とで共有するようにしてもよい。このように、居室情報を共有することで、どちらかの情報が消去されたとき、他方の居室情報で補うことが可能である。例えば、停電等で空気調和機Aの本体の記憶部3の居室情報が失われたとき、リモコン7の記憶部の居室情報を空気調和機Aの本体の記憶部3に送るようにしてもよい。また、リモコン7の居室情報が失われたとき、空気調和機Aの本体の記憶部3から送るようにしてもよい。このようにすることで、居室情報が失われても、再度検出の時間をかけることなく、居室情報を回復することが可能である。
本発明にかかる空気調和機Aでは、天井CLと壁(正面壁FW、側壁SWL、SWR)との稜線に基づいて居室の大きさを検出している。この構成に加え、取得した画像データPd1に正面壁FWと側壁(SWL又はSWR)とで形成される稜線が、天井CLから床FLまで認識可能な場合、その稜線の長さに基づいて、居室Rmの天井高(容積)を検出するようにしてもよい。このような構成とすることで、一般的な居室に比べて天井高が高い又は低い居室に対しても、適切な空調を行うことが可能となる。
(第2実施形態)
本発明にかかる空気調和機多くの居室Rmでは、タンス、棚等の家具が配置される。図6は家具が配置された居室を示す図であり、図7は図6に示す居室を撮影した画像データを示す図である。図6に示すように、居室Rm内には、室内機IMが取り付けられた壁と対向する壁面を有するように家具Fnが配置されている。
図6に示すような家具Fnが配置された居室Rm内を撮影すると、図7に示すように家具Fnが含まれた画像データPd2が取得される。画像処理部42がこのような画像データPd2から稜線を検出する場合、家具Fnの側面が形成する稜線Rdfや家具と壁との稜線Rdnも検出してしまい、居室Rmの大きさの推定が難しい場合がある。
一般的に、居室Rmに配置される家具Fnは、天井CLに到達するものは少ない。すなわち、家具Fnの上面と天井CLとの間には隙間が形成される。天井CLと壁(正面壁FW、左側壁SWL、右側壁SWR)とで形成される第1稜線Rd1、第2稜線Rd2及び第3稜線Rd3は、水平方向に並ぶとともに一本に繋がっており、両端が画像データの端部に到達する。また、第1稜線Rd1、第2稜線Rd2及び第3稜線Rd3は天井CLと各壁(FW、SWL、SWR)とで形成される稜線であるため、画像データPd2の上部に形成される。
一方、家具Fnは壁全体を覆う物でない限り、稜線Rdf、Rdnは途中で途切れる。画像処理部42は、稜線の特性の違いを利用して天井と壁との稜線と、家具の稜線とを判別し、天井と壁との稜線に基づいて、居室Rmの大きさを検出(推定)する。なお、この判別方法は一例であり、別の方法を利用してもよい。天井と壁とで形成される稜線と、家具自体或いは家具と壁とで形成される稜線とを区別できる方法を広く採用することが可能である。
本発明にかかる空気調和機Aは天井CLと壁(正面壁FW、左側壁SWL、右側壁SWR)とで形成する稜線(Rd1、Rd2、Rd3)から居室Rmの大きさを決定するため、家具が配置さている場合でも、居室Rmの大きさを検出(推定)することが可能である。なお、家具の大きさ及び位置の情報も、居室情報として取得する。これにより、家具で遮られている部分にも空調された空気を確実に送ることができ、効果的な空調を行うことが可能である。
なお、稜線の情報だけでは、家具Fnと仕切り壁PWとの判別が困難な場合がある。このような場合、壁部の色の変化を利用して家具Fnか仕切り壁PWかを判別するようにしてもよい。通常の居室では、家具Fnは居室を構成した後に搬入されるものであるため、仕切り壁PWを含む壁と家具Fnとは、表面の色が異なることが多い。つまり、画像処理部42は天井と同色又は略同色の壁体は仕切り壁PWとして認識し、壁と異なる色の表面を有している場合、家具と判断するようにしてもよい。このような判断方法を備えていることで、より正確に家具と仕切り壁とを判別することが可能となる。
(第3実施形態)
居室Rmの一部を区切るような仕切り壁が設けられている場合もある。図8は仕切り壁が配置された居室を示す図であり、図9は図8の居室を撮影した画像データを示す図である。図8に示すように、居室Rmには、室内機IMが取り付けられた壁と対向し、居室Rmの一部を仕切るように設けられた仕切り壁PWが備えられている。
図8に示すような仕切り壁PWが配置された居室Rm内を撮影すると、図9に示すように仕切り壁PWが含まれた画像データPd3が取得される。仕切り壁PWは天井CLまで達しており、天井CLと仕切り壁PWとで形成される稜線Rdpが現れる。また、天井CLと正面壁FWとで形成される第1稜線Rd1及び天井CLと左側壁SWLとで形成される第2稜線との接続部分が、仕切り壁PWによって隠れる。
図9に示すように、天井CLと仕切り壁PWとで形成される稜線Rdpと、天井CLと正面壁FWとで形成される第1稜線Rd1とは重ならない。そして、仕切り壁PWは正面壁FWよりも室内機IMの近くに形成されている。そのため、画像データPd3において、天井CLと仕切り壁PWとで形成される稜線Rdpは、天井CLと正面壁FWとで形成される第1稜線Rd1よりも上方に形成される。
そのため、天井CLとで形成される(水平に延びる)稜線が複数本ある場合、画像データPd3内で最も下にある(遠くにある)水平に延びる稜線を天井CLと正面壁FWとで形成される稜線と判断するようにすればよい。なお、画像処理部42で仕切り壁を検出した場合、仕切り壁の大きさ及び位置の情報も、居室情報として検出する。これにより、仕切り壁で遮られている部分にも空調された空気を確実に送ることができ、居室Rm内を効果的に空調することが可能である。
(第4実施形態)
本発明にかかる空気調和機のさらに他の例について説明する。空気調和機Aの構成は、第1実施形態等に示す空気調和機Aと略同じであるため、図2を参照して説明し、図2と異なる部分のみ説明を行うものとする。空気調和機において空調に適切な居室の大きさは、空気調和機の出力に基づいたある程度の目安がある。この居室Rmの目安は、一般的な住宅で多く用いられている居室の形状及び大きさであり、空気調和機Aの撮像部41は、この居室Rmの大きさの目安に応じて、画角、ピント位置等が設定されている場合が多い。
しかしながら、居室Rmはすべて同じ形状で形成されているものではなく、室内機IMから見て想定している居室よりも縦長或いは横長であることもあり、この場合、想定していた居室用の画角、ピント位置等では、稜線を正確に認識できる画像データを取得できない場合がある。そこで、本実施形態にかかる空気調和機Aは、ピント位置を変更可能な撮像部41を備えている。
画像処理部42が撮像部41で取得した画像データから認識した稜線から、居室Rmの大きさを検出できない場合、撮像部41はピント位置を変更し、再度、居室Rmの撮影を行う。画像処理部42は、異なるピント位置の画像データを総合し、居室Rmの天井と壁(正面壁、側壁)とによる稜線を正確に認識できる。
このように、撮像部41のピント位置を変更して画像データを取得するようにすることで、撮像部41(室内機IM)から見て縦長の居室、横長の居室の大きさを正確に検出することができる。
また、ピント位置を変えたときの側壁と正面壁との稜線の長さの変化を認識することで、室内機IMが配置された壁と正面壁FWとの間の距離を正確に測定することも可能である。
(第5実施形態)
本発明にかかる空気調和機のさらに他の例について図面を参照して説明する。図10A〜図10Dは本発明にかかる空気調和機で取得した画像データを示す概略図である。上述したように本発明にかかる空気調和機Aでは、天井CLと正面壁FW、左右側壁SWL、SWRとで形成される稜線(第1稜線Rd1、第2稜線Rd2及び第3稜線Rd3)を画像データPd1中に認識することで、居室Rmの大きさ(床面積)を検出している。
撮像部41は上述のとおり、デジタルカメラユニットを採用しており、レンズを頂点とする扇形状の範囲(画角)内の画像を取得する。室内機IMの設置場所や撮像部41の画角によっては、図10Aに示す画像データPd4のように、第1稜線Rd1と第2稜線Rd2だけが認識可能な場合がある。そこで、本実施形態に示す空気調和機Aは、駆動部43を駆動し撮像部41を旋回させつつ撮影を行い、撮影範囲を変化させて画像データを取得している。
以下に撮像部41を旋回させつつ撮像する手順の一例について図面を参照して説明する。図11は本発明にかかる空気調和機による居室の形状及び大きさを判別する手順の他の例を示すフローチャートを示す。図11に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートのステップS101からS104の間の処理である。そのため、図11のフローチャートでは、図4のフローチャートのステップS101の後に続き、ステップS105に続くものとする。
撮像部41で居室Rmを撮影し画像データを取得する(ステップS201)。画像処理部42が取得した画像データから天井と壁の稜線を認識する(ステップS202)。画像処理部42は居室情報を取得するために必要な稜線を認識できるか否か確認する(ステップS203)。居室情報を取得するために必要な稜線が認識できた場合(ステップS203でYesの場合)、現在取得している画像データを撮影したときの撮像部の41の角度と、画像データから認識された稜線の情報から居室情報を取得する(ステップS204)。
画像処理部42が居室情報を取得するために必要な稜線が認識できない場合(ステップS203でNoの場合)、現在の撮像部41の角度と稜線の情報を記憶部に記憶する(ステップS205)。ここで記憶部は、空気調和機Aの本体に備えられている記憶部3であってもよいし、画像データ生成部4に記憶部(不図示)を備えておき、その記憶部に一時的に保存するようにしてもよい。そして、駆動部43が撮像部41を所定角度旋回させる(ステップS206)。撮像部41の旋回が終了した後、撮像部41は居室Rmの撮影を行い、画像データを取得に戻る(ステップS201に戻る)。
例えば、図10Aに示す画像データPd4を取得した場合、第1稜線Rd1及び第2稜線Rd2が認識されるが、第3稜線が認識できない。このとき、駆動部43を所定角度回転させた後、居室Rmを撮影し画像データ(図10Bに示す画像データPd41)を取得する。画像処理部42は図10Bに示す画像データPd41から第3稜線Rd3を認識することができる。そのため、画像処理部42は、画像データPd4の稜線の情報(第1稜線Pd1、第2稜線Pd2の長さ、角度等)及び画像データPd41の稜線の情報(第1稜線Pd1、第3稜線Pd3の長さ、角度等)から居室情報を演算により検出する。
なお、駆動部43による撮像部41の旋回方向は、画像データから認識した稜線の情報に基づいて、画像処理部42によって稜線があると想定される方向(図10Aでは、右方向)に行われる。
撮像部41は駆動部43によって予め決められた角度旋回し、停止した時点で撮像を行う。このとき、画角、ピント位置によっては稜線が1本になる場合もある(図10Cの画像データPd42の第1稜線Rd1参照)。このときの撮像部41の旋回角度と第1稜線Rd1の長さの情報を記憶し、駆動部43を駆動して撮像部41を同じ方向に旋回させ、旋回終了後、撮像部41で居室Rmを撮影し画像データを取得する。この動作を、最初の画像に含まれていた第1稜線Rd1とは異なる稜線(ここでは、第3稜線Rd3)が認識できる画像データ(図10Bの画像データPd41)を取得できるまで繰り返す。
このように、撮像部41(の撮影範囲)を旋回させる駆動部43を備えていることで、室内機IM或いは撮像部41の設置場所にかかわらず、居室Rmの大きさを検出することが可能である。なお、画像処理部42は複数の画像データを合成し1つの画像データとしてから、居室Rmの大きさを検出してもよいし、複数の画像データそれぞれから取得した情報を総合して、居室Rmの大きさを検出するようにしてもよい。また、撮像部41を旋回させて画像データを取得する場合、2本の稜線が交わる部分を認識できる画像データ(図10Bの画像データPd41)が取得されるように調整することが好ましい。2本の稜線が交わる部分を認識することで、より正確に居室Rmの形状及び大きさを検出することが可能である。
このように、撮像部41を旋回させつつ撮像を行うことで、画像処理部42は最初に撮影した画像では認識できなかった稜線を認識できる画像データを取得することが可能となる。そして、画像処理部42は複数の画像データに基づいて、居室Rmの形状及び大きさを検出するとともに室内機IMの居室Rm内での設置位置を検出する。
また、図10Cに示す画像データPd42のように、1つの稜線(ここでは、第1稜線Rd1)のみが認識可能な場合もある。この場合も、駆動部43を駆動し、撮像部41を旋回させつつ画像データを取得し、複数の画像データより画像処理部42が複数の稜線を認識することで、居室Rmの形状及び大きさを認識できる。このとき、撮像部41は左右両方に旋回させる。
なお、本実施形態では、左右に旋回するものを挙げているが、左右に加えて上下にも旋回するものであってもよい。例えば、画像処理部42が最初の画像データで天井と壁との稜線を認識できなかった場合、少なくとも1本の天井と壁との稜線を認識できる画像データを取得できるまで撮像部41を上下に旋回させる。その後、必要に応じて撮像部41を左右方向に旋回させつつ撮影を行う。このようにすることで、天井と壁との稜線を確実に認識できる。また、上下に旋回させることで、居室の遠くまで撮影することができ、より正確な居室情報を得ることも可能となる。
上述の各実施形態では、空気調和機Aの室内機IMが配置される居室Rmが、直方体形状であるとして、居室Rmの形状及び大きさを検出している。しかしながら、居室Rmの平面視の形状が長方形ではない場合や多角形である場合もある。その場合、室内機IMが備えられた壁と対向する正面壁FWと天井CLとで形成される第1稜線Rd1が水平ではなくなる。床FLの形状が長方形ではない居室Rmを撮影すると、図10Dに示す画像データPd5のように、第1稜線Rd1が水平にならない。
画像処理部42が第1稜線Rd1が水平ではないと認識した場合、駆動部43が撮像部41を旋回させつつ撮影し、複数の画像データを取得する。そして、画像処理部42は複数の画像データにおいて、天井と壁との稜線の全ての長さ及び水平線に対する角度を認識する。そして、画像処理部42は各画像データにおける撮像部41の旋回角度、認識された稜線の長さ及び角度に基づいて、居室Rmの形状及び大きさを演算にて検出する。
以上のような構成とすることで、最初に撮影した画像データで居室Rmの形状、大きさ及び室内機IMの設置位置の情報(居室情報)を取得できない場合でも、撮像部41を旋回させつつ画像データを取得することで、居室情報を得るために十分な稜線の情報を取得し、居室情報を取得することが可能である。
(第6実施形態)
本発明にかかる空気調和機の他の例について図面を参照して説明する。図12は空気調和機で取得した画像データを示す図である。図13は本発明にかかる空気調和機の動作を示すフローチャートであり、図14は本発明にかかる空気調和機の空調条件を示す空調条件データテーブルの概略を示す図である。なお、本実施形態の空気調和機Aは、第1実施形態に示す空気調和機Aと実質上同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。図12に示す画像データPd6は、画像データに人が写っている画像データである。
空気調和機Aで居室Rmを空調する場合、居室Rm内にいる人の属性(性別、年齢)によって、好みの空調温度等が異なる。例えば、女性は冷え性の割合が高く男性に比べて空調温度が高い方を好む(快適と感じる)場合が多い。また、乳幼児等は代謝量が多く、汗腺の皮膚に占める割合も大人よりも多く、男女ともに低めの空調温度が快適であると考えられる。また、少年、青年等の若年層も活動量が多く代謝も多い。そのため、年齢が若いと空調温度が低い方が快適と感じる場合が多い。さらに、老人は代謝量が低下している場合が多く、空調温度が高い方が快適と感じる場合が多い。空気調和機Aは、このような居室内の人の特徴(年齢、性別)に基づいて、空調条件(空調温度等)を設定し、空調を行っている。
空気調和機Aでは空調条件をデータベース群31に備えられた空調条件データテーブル311(図14参照)を参照して設定している。図14に示す空調条件データテーブル311について説明する。図14に示す空調条件データテーブル311は、縦軸が空調温度、横軸が年齢を示している。図14に示す空調条件データテーブル311では、男性が快適と感じる空調温度を実線で、女性が快適と感じる空調温度を破線で示している。なお、図14に示すデータテーブル311は、快適と感じる空調条件を例示するものであり、実際のものとは異なる。
空気調和機Aで空調条件を設定する手順を図12、図13及び図14を参照して説明する。空気調和機Aは予め決められた空調条件又は前回動作していたときと同じ空調条件動作が開始される(ステップS301)。なお、空気調和機Aの動作開始は、リモコン7等の操作部を利用して操作者の操作によってなされるものであってもよいし、タイマー等で自動的に動作開始されるものであってもよい。
撮像部41は居室Rm内を撮影し画像データPd6を取得する(ステップS302)。画像処理部42が画像データに基づいて画像データ内に人が写っているか否か確認する(ステップS303)。画像処理部42が画像データ内に人が写っていないことを検出した場合(ステップS303でNoの場合)、所定時間の経過を待ち(ステップS304)、画像データの取得にする(ステップS302に戻る)。
画像処理部42が画像データ(図12に示す画像データPd6)内に人が写っている(すなわち、居室内に人がいる)ことを検出した場合(ステップS303でYesの場合)、画像データに写っている人の居室内での概略の場所と特徴(年齢、性別)を検出する(ステップS305)。画像データに写っている人の特徴を検出する方法は公知の方法を用いており、詳細は省略する。制御部1はが画像処理部42から居室Rm内の人の特徴を取得し、空調情報データテーブル311から対応する空調情報を取得する(ステップS306)。制御部1は、ステップS306で取得した空調条件で空調できるように空調部2の各部(主に、圧縮機21、室外ファン26、室内ファン27)を駆動する(ステップS307)。そして、所定時間の経過を待ち(ステップS304)、画像データの取得する(ステップS302に戻る)。
このように、居室Rm内を撮影した画像データ内に写っている人の特徴に基づき空調条件を設定するため、自動的に居室Rm内の人が快適と感じる空調条件で空調を行うことが可能である。これにより、居室Rm内の人が空調条件を頻繁に変更するような煩わしさを抑制することができる。
また、画像処理部42が性別を特定できない場合がある。この場合、設定温度が高めになる女性用のデータテーブルを利用して、空調温度を設定するものを挙げることができる。空調条件化において、暑さによる不快感よりも寒さによる不快感の方が深刻な体調変化になる場合が多いため、温度設定を高めに設定することで、不快に感じたとしても体調変化を起こしにくくすることが可能である。しかしながら、これに限定されるものではなく、男性用のデータテーブルを利用するものであってもよいし、冷房時と暖房時で切り替えてもよい。また、男性用と女性用のデータテーブルより算出した空調温度の中間の温度としてもよい。
なお、上述では空調条件として空調温度を例に説明しているが。これに限定されるものではない。その他の空調条件として、湿度、風量等を挙げることができる。この場合、人の特徴(性別、年齢)ごとの湿度、風量等の関係を示すテーブルを備え、このテーブルも含めて空調条件を設定するものを挙げることができる。このような構成とすることで、居室Rm内の人の快適性をより高める空調を行うことが可能である。
また、居室Rm内に複数の人が存在する場合がある。このような場合、画像処理部42は画像データから複数の人それぞれの特徴の情報を取得する。そして、確認された人が居室Rm内のどのあたりにいるかの情報と、そしてその人の特徴の情報とを制御部1に送信する。制御部1は、居室Rm内の人の位置とその人の特徴に基づいて、空調部2を制御する。このとき、制御部1は空調部2の風向調整部28を適切に動作させ、居室Rm内の人が快適となるように、空調された空気を送風する。例えば、居室Rmにほぼ同年代の男性と女性がいる場合、男性には低温の空気(空調された空気)を送る。また、同時に女性には男性に送った空気よりも高温の空気を送る。このように、居室Rmの内部の異なる領域に異なる空調条件で空調された空気を送る機構は公知であるため詳細は省略する。
また、本発明にかかる空気調和機Aでは、撮像部41が空気調和機Aの室内機IMに取り付けられている構成としているが、これに限定されるものではなく、リモコン7に取り付けられていてもよい。以下の実施形態においても、同様である。
(第7実施形態)
本発明にかかる空気調和機の他の例について図面を参照して説明する。本実施形態の空気調和機Aは、第1実施形態に示す空気調和機Aと実質上同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
画像処理部42は画像データから居室Rm内の人を認識することができるとともに、その人の顔から個人を特定する機能(顔認識機能)を備えている。顔認識機能は公知の技術であるため詳細は省略するが、画像処理部42は予め登録された顔の情報を備えたデータベースを備えており、そのデータベースを参照し個人の特定を行っている。なお、この顔認識機能用のデータベースは、画像データ生成部4に備えていてもよいし、空気調和機Aの記憶部3のデータベース群31の一部として備えられていてもよい。
本実施形態にかかる空気調和機Aは、画像処理部42で居室Rm内の個人を特定し、その個人に応じた快適と感じる空調条件で空調を行うようになっている。図15は本発明にかかる空気調和機の空調動作の他の例のフローチャートであり、図16は空調情報データベースの一例を示す図である。なお、図15に示すフローチャートは、図13に示すフローチャートのステップS302とステップS304の間に配置される。なお、図15のフローチャートはステップS303から始まっているが、ステップS303は図13のステップS303と同じステップである。また、空調情報データベース312は、記憶部3に設けられているデータベース群31内に備えられている。
画像処理部42が画像データに基づいて画像データ内に人が写っているか否か確認する(図13のステップS303と同じ)。画像データ内に人が写っていない場合(ステップS303でNoの場合)、ステップS304進む。画像処理部42は画像データ内に人を確認した場合(図13のステップS303でYesの場合)、画像処理部42は画像データ内の人に特定できる個人がいるか否か確認する(ステップS401)。特定できる個人がいない場合(ステップS401でNoの場合)、図13のステップS305に進み、写っている人の特徴から空調条件を決定する。
特定の個人を認識した場合(ステップS401でYesの場合)、画像処理部42はその居室Rm内の人について制御部1に送信する(ステップS402)。制御部1は記憶部3の空調情報データベース312を参照し、居室Rm内の人の情報が空調情報データベース312に含まれているか否か確認する(ステップS403)。
ここで、空調情報データベース312について説明する。図16に示すように、空調情報データベース312は、名前の情報が格納される個人情報フィールド312Nと、快適と感じる温度範囲が格納される空調温度フィールド312Tを備えている。例えば、Aさんは快適と感じる温度範囲がT1−T2の間である。
居室Rm内の人の情報が空調情報データベース312に含まれていない場合(ステップS403でNoの場合)、図13のステップS305に進み、写っている人の特徴から空調条件を決定する。居室Rm内の人の情報が空調情報データベース312に含まれている場合(ステップS403でYesの場合)、制御部1は居室Rm内の人が快適と感じる空調条件(ここでは、空調温度)を呼出し、空調条件を設定する(ステップS404)。その後、図13のステップS307に進み、設定した空調条件で空調を実行し、所定の時間ごとに居室Rm内の人の確認を繰り返す。
以上示したように、居室Rm内の人を認識し、その個人が快適と感じる空調温度を設定することで、居室Rm内の人の好みに合致した空調条件で空調を行うことができるので、快適性の高い空気調和機を提供することができる。
なお、空調情報データベース312の個人情報フィールド312Nに入力される情報として名前としているが、これに限定されるものではなく、画像処理部42が特定した個人と関連付けた文字列、記号等を採用してもよい。また、空調情報データベース312では、個人が快適と感じる空調温度として一定の範囲を有するものとしている。そのため、制御部1は、空気調和機Aの運転開始時の空調条件がこの空調温度の範囲にから外れているときのみ、空調条件を変更するように制御してもよい。
また、この空調情報データベース312は、使用者が予めリモコン7等を利用して入力するようにしてもよいし、画像処理部42が新たに認識した個人の情報と、そのときの空調条件を空調情報データベース312に蓄積するようにしてもよい。また、空調情報データベース312は、快適と感じる温度の範囲のみを提供しているが、季節によって外気温や着衣がことなるため、季節ごとの温度の範囲を有する構成であってもよい。さらに、温度だけでなく、湿度、風量等、空気調和機Aで調整できる条件を備えた構成であってもよい。
(第8実施形態)
本発明にかかる空気調和機の他の例について図面を参照して説明する。本実施形態の空気調和機Aは、第1実施形態に示す空気調和機Aと実質上同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
本発明にかかる空気調和機Aには、居室Rm内の人の健康情報を検出する健康状態検出部5を備えている。健康状態検出部5は居室Rm内の人の健康情報(体温、心拍数)を非接触で検出するセンサを備えている。このようなセンサ及びこのようなセンサによる健康状態の検出方法は公知であるため詳細な説明は省略する。
本実施形態にかかる空気調和機Aは、画像処理部42で居室Rm内の人の健康情報を取得し、その健康情報から快適と感じる空調条件を設定するようになっている。図17は本発明にかかる空気調和機の空調動作の他の例のフローチャートであり、図18は空調情報データベースの他の例を示す図である。図17に示すフローチャートでは、空調条件を設定した後から所定時間経過後(ステップS304の後)に行うフローチャートである。そのため、既出の部分についての説明は省略する。
ここで、健康情報データベース313について説明する。快適と感じる空調温度は個人差があるとともに、天候、服装等によっても変化する場合が多い。しかしながら、快適と感じているときの体温、心拍数は季節、服装に影響されにくい。そこで、図18に示すように、空調情報データベース313は、空調情報データベース312の個人情報フィールド312N及び空調温度フィールド312Tに加え、快適と感じるときの体温を記憶した体温フィールド313B、心拍数を記憶した心拍数フィールド313Pとを備えている。
制御部1は、居室Rm内の人を個人として特定しているか否か判断する(ステップS501)。個人を特定していない場合(ステップS501でNoの場合)、図13のステップS301に戻り画像データの取得から繰り返す。
個人が特定されている場合(ステップS501でYesの場合)、制御部1は特定された個人の情報が健康情報データベース313に含まれているか否か確認する(ステップS502)。特定された個人の情報が空調情報データベース313に含まれていない場合(ステップS502でNoの場合)、図13のステップS301に戻り、画像データの取得から繰り返す。
空調情報データベース313に特定された個人の情報が含まれている場合(ステップS502でYesの場合)、制御部1は健康状態検出部5を動作させ居室Rm内の人の体温及び心拍数を検出する(ステップS503)。制御部1は検出した体温及び心拍数を空調情報データベース313に含まれる情報と比較し、体温及び心拍数が空調情報データベース313に含まれている快適と感じるときの体温及び心拍数になっているか否か確認する(ステップS504)。
体温及び心拍数が快適と感じるときの体温及び心拍数になっている場合(ステップS504でYesの場合)、図13のステップS301に戻り、画像データの取得から繰り返す。体温及び心拍数が快適と感じるときの体温及び心拍数になっていない場合(ステップS504でNoの場合)、制御部1は空調条件を体温及び心拍数が快適と感じる時の値となるように変更し(ステップS505)、図13のステップS301に戻り、画像データの取得から繰り返す。
ここで、快適と感じる体温及び心拍数となるように空調条件を変更する方法の例について説明する。例えば、ある空調条件で空調を行っている状態で測定した居室Rm内の人の体温が空調情報データベース313から取得した体温の値よりも高く、測定した心拍数が空調情報データベース313から取得した体温の値になっている(値の範囲に入っている)場合、制御部1は、体温が高めであるが心拍数が安定していることから居室Rm内の人の快適性はそれほど悪くなく、体温が低下している段階にあると判断し、現在の空調条件を維持する。
一方、測定した居室Rm内の人の体温が空調情報データベース313から取得した体温の値よりも高く、測定した心拍数が空調情報データベース313から取得した体温の値よりも高い場合、制御部1は、居室Rm内の人が現在の状況を不快と感じている判断し、空調温度を下げるように空調条件を変更する。
この空調条件の変更方法は、一例でありこれに限定されるものではない。健康情報(体温、心拍)の測定値と空調情報データベースから取得した値とを比較し、その比較の結果に基づいて予め決められているルールを採用して、空調条件を変更するものを広く採用することができる。
本実施形態の空気調和機Aは、健康情報(ここでは、体温と心拍数)を利用して快適か否かを判断し、快適でないと判断したとき、空調条件を変更する。同じ人でも健康情報を取得した時間や体調等で快適と感じる温度等の空調条件がばらつくことがある。以上のように空調条件を変更することで、空調条件のばらつきにも対応した快適性の高い空気調和機を提供することができる。
なお、健康状態検出部5は、体温、心拍数の両方を検出しているが、いずれか一方を検出する構成であってもよいし、これらに加えて、血流量、呼吸数の中から少なくとも一つを検出する構成であってもよい。さらに、別の健康情報を検出できるようになっていてもよい。このとき、快適度データベース313として、健康状態検出部5で検出できる健康情報を格納するフィールドを備えているものを挙げることができる。
また、本発明にかかる空気調和機Aでは、健康状態検出部5が室内機IMに備えられているものとしているが、これに限定されるものではなく、リモコン7に設けられていてもよい。リモコン7は室内機IMに対し、居室Rm内の人の近くに配置される。健康状態検出部5の各センサがリモコン7に取り付けられている構成の場合、各センサは上述のとおり非接触で健康情報を検出してもよいし、人による接触によって健康情報を検出する構成であってもよい。
健康状態検出部5が人の睡眠中を検出する睡眠センサ(睡眠検知部の一例)を備える構成であってもよい。睡眠センサは、人の近くにあるときに人の睡眠を精度よく検出するセンサであるため、健康状態検出部5の他のセンサの位置にかかわらずリモコン7に設けられていることが好ましい。睡眠センサを備えた空気調和機Aは、例えば、以下のように居室内の空調を行う物としてもよい。空気調和機Aにおいて、睡眠センサによって居室Rm内の人が睡眠状態にあることを検知した場合、制御部1が居室Rm内の人が睡眠に適した(快適に睡眠ができる)環境となるように空調条件を調整する。なお、記憶部3のデータベース群31の空調情報データベース312に睡眠時の各条件を備えたフィールドを備えていてもよいし、睡眠時の空調情報データベース(不図示)を別途備えていてもよい。制御部1は、居室Rm内の睡眠している個人情報又は睡眠している人の特徴(年齢、性別等)に基づいて、空調情報データベース312又は睡眠時の空調情報データベースから、居室Rm内の人が睡眠に適した空調条件を抽出し、空調を行う。
本実施形態にかかる空気調和機Aは、健康状態検出部5の各センサより取得する健康情報に基づいて、居室Rm内の人の体動状態を検出(推定)してもよい。体動状態とは、居室Rm内の人の活動状態のことである。例えば、体温、心拍数、呼吸数、血流量が空調情報データベース313の各値よりも高いときは掃除や片づけをしているような体を動かしていると推定できる。また、空調情報データベース313の各値に対して、体温、心拍数は高く呼吸数や血流量はあまり高くないときは、読書、テレビ鑑賞等、体の一部を利用していると推定することが可能である。以上は一例であるが、各センサの測定値と空調情報データベース313の各値との関係によって体動状態を検出することが可能である。そして、制御部1は、体動状態に基づいて、空調条件をより細かく調整することも可能である。
(第9実施形態)
本発明にかかる空気調和機の他の例について図面を参照して説明する。本実施形態の空気調和機Aは、第8実施形態に示す空気調和機Aと実質上同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
本発明にかかる空気調和機Aでは、空調情報データベース313の情報と、居室Rm内の人から検出した健康情報とを比較して空調条件を設定している。空調情報データベース313のフィールド数は、健康状態検出部5が検出できる健康情報の数にもよるが、複数個あり入力が煩雑である。そのため、本発明にかかる空気調和機Aでは、空調情報データベース313を自動更新(学習)できるようになっている。図19は空調情報データベースの学習手順を示すフローチャートである。
図19に示すように、空気調和機Aは、空調情報データベース313の学習を行うとの指示があると(ステップS601)、所定の空調条件で空調運転を行う(ステップS602)。なお、所定の空調条件とは、居室Rm内の人に関係なく一定の空調条件としてもよいし、使用者が設定した空調条件を採用してもよい。また、居室Rm内の人の特徴に基づいて空調条件データテーブル311(図14参照)より設定した空調条件を採用してもよいし、居室Rm内の人を特定し空調情報データベース313から取得した空調条件を採用してもよい。
この所定の空調条件は暫定的な空調条件であるため、居室Rm内の人が快適と感じる状態となるように逐次変更されるものであるとする。そして、制御部1は居室Rm内の人の健康情報(ここでは、体温、心拍数)を健康状態検出部5を介して取得する(ステップS603)。
制御部1は空調条件の変更を検出しており、空調条件の変更が行われない状態で所定時間経過したか否か確認する(ステップS604)。所定時間の間に空調条件が変更された場合(ステップS604でNoの場合)、制御部1は健康状態の取得(ステップS603)に戻る。
空調条件の変更が行われない状態で所定時間経過した場合(ステップS604でYesの場合)、制御部1は、居室Rm内の人にとって現在の空調条件が快適な空調条件であると判断する(ステップS605)。また、制御部1はこのときの健康情報が居室Rm内の人にとって快適な状態のときの値であると判断する(ステップS606)。制御部1は、空調条件(空調温度)と健康情報(体温、心拍数)を空調情報データベース313に蓄積する(ステップS607)。このとき、居室Rm内の人の情報が空調情報データベース313に含まれている場合、情報を上書きし、含まれていない場合、新たなレコードとして追加する。
以上のような方法を利用することで、空調情報データベース313を簡単に更新できるとともに、新たなレコードの追加も自動的に行われる。なお、この空調情報データベース313の学習は、使用者の指示があったときに行うようにしてもよいし、定期的に行うようにしてもよい。定期的に行うものとしては、空気調和機Aの毎回の駆動直後や前回の駆動から一定時間経過後の駆動直後を挙げることができる。
このような空調データベース313の学習機能を利用して、居室Rm内の人の健康を判別することも可能である。例えば、居室Rm内の人が快適と感じる空調条件で空調を行い、一定期間経過後の居室Rm内の人の健康情報を健康状態検出部5で検出する。居室Rm内の人が快適と感じる空調条件で空調運転を行っているにもかかわらず、健康情報(体温、心拍数)が快適と感じるときの健康情報と大きく離れている場合(例えば、情報の差が閾値よりも大きい場合)、制御部1は居室Rm内の人が健康を害している可能性があると判断する。そして、制御部1はリモコン7の表示部72に健康状態が悪化している旨の表示を行い、居室Rm内の人に警告を行う。また、リモコン7が音声出力部を備えている場合、音声として警告を行うようにしてもよい。
この方法では、健康状態検出部5での検出結果に基づいて、居室Rm内の人の健康を判断するため、居室Rm内の人が自身で認識していない健康の異常を検出することができる。
空気調和機Aが無線LAN等のネットワーク回線に接続されている場合、ネットワーク回線に接続されている電子機器(PC、スマートフォン、タブレット端末等)で警告を行うようにしてもよい。さらに、空気調和機Aがインターネットに接続されている場合、居室Rm外で、予め決められた連絡先(例えば、かかりつけの病院、介護施設、離れて住んでいる家族等)に居室Rm内の人の健康状態が悪化している旨の情報を送付するようにしてもよい。
本発明にかかる空気調和機Aでは、定期的に居室Rm内の人の健康情報を健康状態検出部5で検出している。制御部1が測定している健康情報を居室Rm内の人に関連付けて蓄積するようにしてもよい。この蓄積した健康情報に基づいて、居室Rm内の人の健康状態を判断してもよい。また、空気調和機Aがインターネットを含むネットワークに接続されている場合、この蓄積した健康情報をネットワーク上のサーバ(クラウド)上に自動的にアップロードするようにしてもよい。このように自動的に健康情報をアップロードすることで、病院や介護施設での診察時の情報として利用することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。例えば、第1実施形態から第5実施形態の画像処理部42は、画像データから、居室Rmの天井と壁とを突き合わせた稜線を認識し、認識した稜線の形状(角度、長さ)から居室Rmの形状、大きさ(床面積)及び室内機IMの居室内での位置を検出(推定)する機能を有している。一方で、第6実施形態から第9実施形態では、居室Rmの形状、大きさ(床面積)及び室内機IMの居室内での位置(居室情報)の検出が不要である。そのため、第6実施形態から第9実施形態における画像処理部42は上述した居室機能を検出する機能が省かれていてもよい。換言すると、第6実施形態から第9実施形態の画像データ生成部4は居室Rmの形状や大きさ(居室情報)を検出する機能を備えない構成であってもよい。