JP2008051199A - センサ付車輪用軸受 - Google Patents

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孝美 尾崎
Tomoumi Ishikawa
智海 石河
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Abstract

【課題】車両にコンパクトに荷重検出用のセンサを設置できるセンサ付車輪用軸受を提供する。
【解決手段】外方部材1と内方部材2の間に複列の転動体3を介在させた車輪用軸受において、前記外方部材1および内方部材2のうちの固定側部材にセンサユニット21を取付ける。センサユニット21は、センサ取付部材22およびこのセンサ取付部材22に取付けられた歪みセンサ23からなる。このセンサユニット21の歪みセンサ23の出力によって、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力、または車輪用軸受の予圧量を推定する推定手段31を設ける。前記センサ取付部材22は、外方部材1の円周方向に離れた少なくとも2箇所にそれぞれ固定される複数の接触固定部を有する。これら複数の接触固定部のうち少なくとも1箇所の接触固定部に前記歪みセンサ23を取付ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、車輪の軸受部にかかる荷重を検出する荷重センサを内蔵したセンサ付車輪用軸受に関する。
従来、自動車の安全走行のために、各車輪の回転速度を検出するセンサを車輪用軸受に設けたものがある。従来の一般的な自動車の走行安全性確保対策は、各部の車輪の回転速度を検出することで行われているが、車輪の回転速度だけでは十分でなく、その他のセンサ信号を用いてさらに安全面の制御が可能なことが求められている。
そこで、車両走行時に各車輪に作用する荷重から姿勢制御を図ることも考えられる。例えばコーナリングにおいては外側車輪に大きな荷重がかかり、また左右傾斜面走行では片側車輪に、ブレーキングにおいては前輪にそれぞれ荷重が片寄るなど、各車輪にかかる荷重は均等ではない。また、積載荷重不均等の場合にも各車輪にかかる荷重は不均等になる。このため、車輪にかかる荷重を随時検出できれば、その検出結果に基づき、事前にサスペンション等を制御することで、車両走行時の姿勢制御(コーナリング時のローリング防止、ブレーキング時の前輪沈み込み防止、積載荷重不均等による沈み込み防止等)を行うことが可能となる。しかし、車輪に作用する荷重を検出するセンサの適切な設置場所がなく、荷重検出による姿勢制御の実現が難しい。
また、今後ステアバイワイヤが導入されて、車軸とステアリングが機械的に結合しないシステムになってくると、車軸方向荷重を検出して運転手が握るハンドルに路面情報を伝達することが求められる。
このような要請に応えるものとして、車輪用軸受の外輪に歪みゲージを貼り付け、歪みを検出するようにした車輪用軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
特表2003−530565号公報
車輪用軸受の外輪は、転走面を有し、強度が求められる部品であって、塑性加工や、旋削加工、熱処理、研削加工などの複雑な工程を経て生産される軸受部品であるため、特許文献1のように外輪に歪みゲージを貼り付けるのでは、生産性が悪く、量産時のコストが高くなるという問題点がある。また、外輪の歪みを感度良く検出することが難しく、その検出結果を車両走行時の姿勢制御に利用した場合、制御の精度が問題となる。
この発明の目的は、車両にコンパクトに荷重検出用のセンサを設置できて、車輪にかかる荷重等を感度良く検出でき、その検出した荷重等を用いてきめ細かな車両制御を行うことが可能で、量産時のコストが安価となるセンサ付車輪用軸受を提供することである。
この発明のセンサ付車輪用軸受は、複列の転走面が内周に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材の端部を密封する密封装置とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、センサ取付部材およびこのセンサ取付部材に取付けられた歪みセンサからなり、前記外方部材および内方部材のうちの固定側部材に取付けられるセンサユニットと、このセンサユニットの歪みセンサの出力によって、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力、または車輪用軸受の予圧量を推定する推定手段とを設け、前記センサ取付部材は、前記固定側部材の円周方向に離れた少なくとも2箇所にそれぞれ固定される複数の接触固定部を有し、これら複数の接触固定部のうち少なくとも1箇所の接触固定部に前記歪みセンサを取付けたことを特徴とする。
車両走行に伴い回転側部材に荷重が加わると、転動体を介して固定側部材が変形し、その変形はセンサユニットに歪みをもたらす。センサユニットに設けられた歪みセンサは、センサユニットの歪みを検出する。推定手段は、上記歪みセンサの出力によって、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力、または車輪用軸受の予圧量を推定する。このようにして得られた各推定値を自動車の車両制御に使用することにより、きめ細かな車両制御が可能となる。
固定側部材は、円周方向の各部によって、上記外力や作用力によるラジアル方向の変形の程度が異なる。解析結果によると、タイヤ路面との接触点に作用する軸方向力による固定側部材のラジアル方向の変形は、反路面側である真上位置および路面側である真下位置で最も大きくなる。このため、固定側部材の円周方向に離れた少なくとも2箇所にセンサ取付部材の接触固定部が位置していると、これらの接触固定部には異なる程度のラジアル方向の変形がもたらされる。センサ取付部材は、ラジアル方向の変形が小さい接触固定部が支点となって、ラジアル方向の変形が大きい接触固定部がより大きく変形する。したがって、ラジアル方向の変形が大きい接触固定部に歪みセンサを取付けておけば、この歪みセンサにより、固定側部材の歪みを感度良く検出することができる。
この車輪用軸受は、センサ取付部材およびこのセンサ取付部材に取付けた歪みセンサからなるセンサユニットを固定側部材に取付ける構成としたため、荷重検出用のセンサを車両にコンパクトに設置できる。センサ取付部材は固定側部材に取付けられる簡易な部品であるため、これに歪みセンサを取付けることで、量産性に優れたものとでき、コスト低下が図れる。
この発明において、前記センサ取付部材の複数の接触固定部のうち前記歪みセンサが取付けられる接触固定部は、他の接触固定部よりも剛性の弱い弱化部であるのが良い。
弱化部とした接触固定部には他の接触固定部よりも大きな歪みが現れる。この大きな歪みを歪みセンサが検出するため、固定側部材の歪みをより一層感度良く検出することができる。
また、前記歪みセンサが取付けられた前記接触固定部の前記固定側部材への固定箇所は、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力によって、固定側部材の円周方向における他の箇所と比べてラジアル方向に大きく変形する円周方向箇所であるのが良い。
前述したように、ラジアル方向の変形が大きい接触固定部に歪みセンサを取付けておけば、この歪みセンサにより、固定側部材の歪みを感度良く検出することができるからである。
前記センサユニットは複数とすることができる。
複数のセンサユニットを固定側部材の複数箇所に設けると、固定側部材の各部の歪みを検出することができ、固定側部材の歪みに関するより詳細な情報が得られる。
前記センサユニットは、固定側部材におけるアウトボード側部分、例えば固定側部材におけるアウトボード側の転走面よりもアウトボード側の位置に取付けるのが好ましい。
解析および試験結果によると、固定側部材のラジアル方向歪みおよび周方向歪みとも、前記外力あるいは作用力等の荷重の正負によって歪みに正負の方向性を持つのは、固定側部材におけるアウトボード側の部分のみであった。したがって、荷重の正負の方向を検出するには、センサユニットを固定側部材におけるアウトボード側の位置に配置することが必要である。
また、前記センサユニットは前記固定側部材の周面に設けるのが好ましい。
センサユニットは、固定側部材の周面および端面のいずれに取付けても良いが、周面に取付けた場合、センサ取付部材に固定側部材の変形が伝わり易く、固定側部材の歪みをより感度良く検出することができる。
前記固定側部材に作用する外力、または前記タイヤと路面間に作用する作用力として、想定される最大の力が印加された状態においても、前記センサユニットのセンサ取付部材が塑性変形しないものとするのが良い。上記の想定される最大の力は、車両故障につながらない走行において想定される最大の力である。
センサユニットに塑性変形が生じると、固定側部材の変形がセンサユニットのセンサ取付部材に正確に伝わらず、歪みの測定に影響を及ぼす。これを避けるために、センサ取付部材が塑性変形しないものとするのである。
前記歪みセンサは、歪みゲージ式センサ、光ファイバー式センサ、圧力式センサ、および磁歪式センサのいずれかとするのが好ましい。
歪みセンサが磁歪式センサである場合、前記センサ取付部材の材質はニッケル等の負の磁歪特性を有する磁歪材とする。
前記固定側部材が外方部材とすることができる。その場合、センサユニットを外方部材に取付ける。
この発明のセンサ付車輪用軸受は、複列の転走面が内周に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材の端部を密封する密封装置とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、センサ取付部材およびこのセンサ取付部材に取付けられた歪みセンサからなり、前記外方部材および内方部材のうちの固定側部材に取付けられるセンサユニットと、このセンサユニットの歪みセンサの出力によって、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力、または車輪用軸受の予圧量を推定する推定手段とを設け、前記センサ取付部材は、前記固定側部材の円周方向に離れた少なくとも2箇所にそれぞれ固定される複数の接触固定部を有し、これら複数の接触固定部のうち少なくとも1箇所の接触固定部に前記歪みセンサを取付けたため、車両にコンパクトに荷重検出用のセンサを設置できて、車輪にかかる荷重等を感度良く検出でき、その検出した荷重等を用いてきめ細かな車両制御を行うことが可能である。センサ取付部材は固定側部材に取付けられる簡易な部品であるため、これに歪みセンサを取付けることで、量産性に優れたものとでき。コスト低下が図れる。
この発明の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。この実施形態は、第3世代型の内輪回転タイプで、駆動輪支持用の車輪用軸受に適用したものである。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
このセンサ付車輪用軸受は、内周に複列の転走面3を形成した外方部材1と、これら各転走面3に対向する転走面4を形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の転走面3,4間に介在した複列の転動体5とで構成される。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体5はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。上記転走面3,4は断面円弧状であり、各転走面3,4は接触角が外向きとなるように形成されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間の両端は、密封装置7,8によりそれぞれ密封されている。
外方部材1は固定側部材となるものであって、車体の懸架装置(図示せず)におけるナックルに取付けるフランジ1aを外周に有し、全体が一体の部品とされている。フランジ1aには、周方向の複数箇所に車体取付孔14が設けられている。
内方部材2は回転側部材となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルト(図示せず)の圧入孔15が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、ホイールおよび制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。
外方部材1の外周のアウトボード側部分に、センサユニット21が設けられている。センサユニット21の軸方向位置は、詳しくはアウトボード側の転走面3よりもアウトボード側であり、さらに詳しくはアウトボード側の転走面3と外方部材1のアウトボード側端との軸方向ほぼ中間位置である。このセンサユニット21は、外方部材1に取付けられるセンサ取付部材22と、このセンサ取付部材22に貼り付けられてセンサ取付部材22の歪みを測定する歪みセンサ23とでなる。
図2および図3に示すように、センサ取付部材22は、外方部材1の外周面に沿う周方向に細長い略円弧状とされ、その両端および中央に円弧の内周側に張り出す接触固定部22a,22b,22cが形成されている。両端の接触固定部22a,22bは断面形状矩形で断面積が大きく、中央の接触固定部22cは断面形状円形で断面積が小さい。したがって、中央の接触固定部22cは両端の接触固定部22a,22bよりも剛性の弱い弱化部となっている。歪みセンサ23は、このセンサ取付部材22の弱化部である中央の接触固定部22cの外面に取付けられている。この実施形態の場合、歪みセンサ23は接着剤を用いて貼り付けられている。センサ取付部材22の断面形状は、例えば矩形とされるが、この他に各種の形状とすることができる。
このセンサユニット21は、センサ取付部材22の長手方向が外方部材1の周方向を向くように、例えば接着剤による接着等によって、センサ取付部材22の接触固定部22a,22b,22cで外方部材1の外周に固定される。その際、中央の接触固定部22cが外方部材1の全周における真上の位置(反路面側位置)となり、両端の接触固定部22a,22bが真上の位置から数十度下方の位置となるように固定する。真上の位置は、外方部材1に作用する荷重により外方部材1がラジアル方向に最も大きく変形する周方向箇所であり、真上の位置から数十度下方に位置は、上記荷重により外方部材1がほとんど変形しない周方向箇所である。このことは、FEM(有限要素法)解析の結果から判明した。なお、センサユニット21を外方部材1に取付けた状態において、センサ取付部材22の接触固定部22a,22b,22c以外の箇所では、外方部材1の内周面との間に隙間を生じている。
前記センサ取付部材22は、外方部材1への固定により塑性変形を起こさない形状や材質とされている。また、センサ取付部材22は、車輪用軸受に予想される最大の荷重が印加された場合でも、塑性変形を起こさない形状とする必要がある。上記の想定される最大の力は、車両故障につながらない走行において想定される最大の力である。センサ取付部材22を上記のようにするのは、センサ取付部材22に塑性変形が生じると、外方部材1の変形がセンサ取付部材22に正確に伝わらず、歪みの測定に影響を及ぼすためである。
歪みセンサ23としては、種々のものを使用することができる。例えば、歪みゲージ式センサ、光ファイバー式センサ、圧力式センサ、磁歪式センサ等を好適に使用できる。歪みセンサ23が磁歪式センサである場合、センサ取付部材22の材質はニッケル等の負の磁歪特性を有する磁歪材とする。
図1に示すように、歪みセンサ23の出力を処理する手段として、推定手段31および異常判定手段32が設けられている。これらの手段31,32は、この車輪用軸受の外方部材1等に取付けられた回路基板等に電子回路装置(図示せず)に設けられたものであっても、また自動車の電気制御ユニット(ECU)に設けられたものであっても良い。
上記構成の車輪用軸受の作用を説明する。ハブ輪9に荷重が印加されると、転動体5を介して外方部材1が変形し、その変形は外方部材1に取付けられたセンサ取付部材22に伝わり、センサ取付部材22が変形する。このセンサ取付部材22の歪みを、歪センサ23により測定する。この際、センサ取付部材22は外方部材1におけるセンサ取付部材22の固定箇所のラジアル方向の変形に従って変形する。センサ取付部材22の中央の接触固定部22cが固定されている外方部材1の真上位置は、荷重により外方部材1がラジアル方向に最も大きく変形する周方向箇所であり、両端の接触固定部22a,22bが固定されている位置は、荷重により外方部材1がほとんど変形しない周方向箇所であるため、ラジアル方向の変形が小さい接触固定部22a,22bが支点となって、ラジアル方向の変形が大きい接触固定部22cがより一層大きく変形する。また、中央の接触固定部22cは両端の接触固定部22a,22bよりも剛性が弱いため、この部分は他の部分よりも歪みが大きく現れる。この接触固定部22cの大きな歪みを歪みセンサ23で測定することにより、外方部材1の歪みを感度良く検出することができる。
センサユニット21を外方部材1に取付ける軸方向位置は、実施形態におけるように外方部材1のアウトボード側の転走面3よりもアウトボード側位置とするのが好ましい。これは、アウトボード側の転走面3よりもアウトボード側位置であると、荷重の方向に応じて歪みに正負の方向性が生じ、荷重の正逆の方向を検出することができるからである。
FEM解析および試験結果によると、外方部材1のラジアル方向歪みおよび周方向歪みとも、前記外力あるいは作用力等の荷重の正負によって歪みに正負の方向性を持つのは、外方部材1におけるアウトボード側の部分のみであった。したがって、荷重の正負の方向を検出するには、センサユニット21を外方部材1におけるアウトボード側の位置に配置することが必要である。
また、センサユニット21は、この実施形態のように、外方部材1の周面に設けるのが好ましい。センサユニット21は、固定側部材の周面および端面のいずれに取付けても良いが、周面に取付けた場合、センサ取付部材に固定側部材の変形が伝わり易く、固定側部材の歪みをより感度良く検出することができる。
荷重の方向や大きさによって歪みの変化が異なるため、予め歪みと荷重の関係を実験やシミュレーションにて求めておけば、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力を算出することができる。前記推定手段31は、このように実験やシミュレーションにより予め求めて設定しておいた歪みと荷重の関係から、歪センサ23の出力により、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力をそれぞれ算出する。前記異常判定手段32は、推定手段31により算出された車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力が許容値を超えたと判断される場合に、外部に異常信号を出力する。この異常信号を、自動車の車両制御に使用することができる。また、リアルタイムで車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力を出力すると、よりきめ細かな車両制御が可能となる。
また、車輪用軸受は内方部材2によって予圧が付加されるが、その予圧によってもセンサ取付部材22は変形するため、予め歪みと予圧の関係を実験やシミュレーションにて求めておけば、車輪用軸受の予圧の状態を知ることが出来る。前記推定手段31は、実験やシミュレーションにより予め求めて設定しておいた歪みと予圧の関係から、歪センサ23の出力により、車輪用軸受の予圧を算出する。このように予圧の状態が分かれば、車輪用軸受の組立時に予圧の調整が容易になる。
この実施形態では、センサユニット21を1箇所にだけ設けた構成としているが、例えば図4および図5に示すように、センサユニット21を2箇所以上に設けた構成としても良い。例えば2箇所に設ける場合、歪みセンサ23が取付けられる接触固定部22cの外方部材1への固定箇所は、それぞれ外方部材1に作用する荷重により外方部材1がラジアル方向に最も大きく変形する周方向箇所である真上の位置および真下の位置とするのが良い。このようにセンサユニット21を2箇所以上に設けると、より一層精度の高い荷重の検出が可能となる。
図6は異なる実施形態を示す。全体断面図は図4と同一であるので、省略する。この実施形態は、1つセンサユニット21に歪みセンサ23を2個設けたものである。センサユニット21のセンサ取付部材22は,5箇所の接触固定部22a〜22eを有し、このうち両端と中央の接触固定部22a,22b,22cは断面積が大きく、これら接触固定部の間に位置する接触固定部22d、22eは断面積が小さくしてある。この実施形態の場合、接触固定部22d、22eが弱化部となる。そして、この弱化部である接触固定部22d、22eに歪みセンサ23がそれぞれ取付けられている。このように、1つのセンサユニット21に複数の歪みセンサ23を設けると、精度の高い荷重の検出が可能となる。この場合も、センサユニット21を外方部材1の2箇所以上に設けることができる。
また、スペース上の理由等により、センサユニット21を外方部材1の外周に設けるのが困難な場合は、図7および図8に示すように、センサユニット21を外方部材1の内周に設けても良い。
なお、前記各実施形態では、外方部材1が固定側部材である場合につき説明したが、この発明は、内方部材2が固定側部材である車輪用軸受にも適用することができ、その場合、センサユニット21は内方部材2の周面に設ける。
また、前記各実施形態では第3世代型の車輪用軸受に適用した場合につき説明したが、この発明は、軸受部分とハブとが互いに独立した部品となる第1または第2世代型の車輪用軸受や、内方部材の一部が等速ジョイントの外輪で構成される第4世代型の車輪用軸受にも適用することができる。また、このセンサ付車輪用軸受は、従動輪用の車輪用軸受にも適用でき、さらに各世代形式のテーパころタイプの車輪用軸受にも適用することができる。
この発明の実施形態にかかるセンサ付車輪用軸受の断面図とその検出系の概念構成のブロック図とを組み合わせて示す図である。 同センサ付車輪用軸受の外方部材とセンサユニットとを示す正面図である。 (A)は同センサユニットの正面図、(B)はその底面図である。 この発明の異なる実施形態にかかるセンサ付車輪用軸受の断面図である。 同センサ付車輪用軸受の外方部材とセンサユニットとを示す正面図である。 この発明のさらに異なる実施形態にかかるセンサ付車輪用軸受の外方部材とセンサユニットとを示す正面図である。 この発明のさらに異なる実施形態にかかるセンサ付車輪用軸受の断面図である。 同センサ付車輪用軸受の外方部材とセンサユニットとを示す正面図である。
符号の説明
1…外方部材(固定側部材)
2…内方部材(回転側部材)
3,4…転走面
5…転動体
7,8…密封装置
21…センサユニット
22…センサ取付部材
22a〜22e…接触固定部
23…歪みセンサ
31…推定手段
32…異常判定手段

Claims (13)

  1. 複列の転走面が内周に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体と、前記外方部材と内方部材の端部を密封する密封装置とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
    センサ取付部材およびこのセンサ取付部材に取付けられた歪みセンサからなり、前記外方部材および内方部材のうちの固定側部材に取付けられるセンサユニットと、このセンサユニットの歪みセンサの出力によって、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力、または車輪用軸受の予圧量を推定する推定手段とを設け、
    前記センサ取付部材は、前記固定側部材の円周方向に離れた少なくとも2箇所にそれぞれ固定される複数の接触固定部を有し、これら複数の接触固定部のうち少なくとも1箇所の接触固定部に前記歪みセンサを取付けたことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
  2. 請求項1において、前記センサ取付部材の複数の接触固定部のうち前記歪みセンサが取付けられる接触固定部は、他の接触固定部よりも剛性の弱い弱化部であるセンサ付車輪用軸受。
  3. 請求項1または請求項2において、前記歪みセンサが取付けられた前記接触固定部の前記固定側部材への固定箇所は、車輪用軸受に作用する外力、またはタイヤと路面間の作用力によって、固定側部材の円周方向における他の箇所と比べてラジアル方向に大きく変形する円周方向箇所であるセンサ付車輪用軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記センサユニットは複数であるセンサ付車輪用軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記センサユニットを前記固定側部材におけるアウトボード側部分に設けたセンサ付車輪用軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記センサユニットを前記固定側部材の周面に設けたセンサ付車輪用軸受。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、車輪用軸受に作用する外力、または前記タイヤと路面間に作用する作用力として、想定される最大の力が印加された状態においても、前記センサ取付部材が塑性変形しないものとしたセンサ付車輪用軸受。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記歪みセンサが歪みゲージ式センサであるセンサ付車輪用軸受。
  9. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記歪みセンサが光ファイバー式センサであるセンサ付車輪用軸受。
  10. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記歪みセンサが圧力式センサであるセンサ付車輪用軸受。
  11. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記歪みセンサが磁歪式センサであるセンサ付車輪用軸受。
  12. 請求項11において、前記センサ取付部材の材質がニッケル等の負の磁歪特性を有する磁歪材であるセンサ付車輪用軸受。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記固定側部材が外方部材であるセンサ付車輪用軸受。
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