JP2008049939A - エンドロック抑制・解除装置およびこれを用いたシートベルト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンドロック防止のための構造をより一層簡単にしかつ制御をより簡単にしつつ、エンドロックの発生を抑制しかつ発生したエンドロックを簡単に解除する。
【解決手段】シートベルトの巻取りが完了する際に、コイルスプリング10および軟質ブーツ11が弾性的に伸張するので、シートベルトリトラクタに加えられる衝撃が緩和され、この衝撃によるエンドロックの発生が抑制されて、エンドロックの発生頻度が低減する。また、仮にエンドロックが生じると、シートベルト4をシートベルトリトラクタ側に引っ張ると、コイルスプリング10、軟質ブーツ11およびシートベルト4の部分4bが伸張する。これにより、シートベルトリトラクタのスプールがベルト巻取り方向に回転し、シートベルトリトラクタのエンドロックが解除する。
【選択図】 図2
【解決手段】シートベルトの巻取りが完了する際に、コイルスプリング10および軟質ブーツ11が弾性的に伸張するので、シートベルトリトラクタに加えられる衝撃が緩和され、この衝撃によるエンドロックの発生が抑制されて、エンドロックの発生頻度が低減する。また、仮にエンドロックが生じると、シートベルト4をシートベルトリトラクタ側に引っ張ると、コイルスプリング10、軟質ブーツ11およびシートベルト4の部分4bが伸張する。これにより、シートベルトリトラクタのスプールがベルト巻取り方向に回転し、シートベルトリトラクタのエンドロックが解除する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、自動車等の車両に装備され、シートベルトリトラクタから引き出されるシートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置において、シートベルトリトラクタのエンドロックを抑制しかつ解除するエンドロック抑制・解除装置およびこれを用いたシートベルト装置の技術分野に関するものである。
従来から自動車等の車両シートに付設されているシートベルト装置は、衝突時等の車両に大きな減速度が作用した場合のような緊急時に、シートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止している。
一般に、このようなシートベルト装置はシートベルトリトラクタを備えている。このシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻き取るスプールと、必要時にこのスプールのベルト引出し方向の回転をロックするロック手段とを少なくとも有している。
スプールは付勢手段によってベルト巻取り方向に常時付勢されていて、シートベルトの非装着時にこの付勢手段の付勢力によってシートベルトを完全に巻き取るようになっている。
スプールは付勢手段によってベルト巻取り方向に常時付勢されていて、シートベルトの非装着時にこの付勢手段の付勢力によってシートベルトを完全に巻き取るようになっている。
また、ロック手段は通常時は作動しなく、スプールの回転を自由にしてスプールによるシートベルトの巻取りおよび引出しを可能にするが、車両衝突時等の大きな減速度が車両に発生した緊急時あるいはシートベルトの急激な引出し時には作動してスプールの引出し方向の回転をロックすることで、シートベルトの引出しを阻止するようになっている。
ところで、乗員がシートベルトの装着を解除するため、タングとバックルの係止を解除しタングあるいはシートベルトを放すと、スプールによりシートベルトが急激に巻き取られる。そして、シートベルトが完全に巻き取られると、スプールの回転が急激に停止するため、シートベルトを急激に引き出した場合と同じ状態になってロック手段が作動する場合がある。
このようにロック手段が作動すると、シートベルトリトラクタに、シートベルトの再度の引出しができなくなるという、いわゆるエンドロックが発生する。このエンドロックを解除するためには、スプールを更に若干の所定量ベルト巻取方向へ回動させてロック手段の作動を解除することが考えられる。しかしながら、シートベルトが完全巻取りの状態にあることから、スプールは更にベルト巻取方向へ回転する余裕がないので、所定量を超える更なるベルト巻取方向へのスプールの回転は不可能である。このため、エンドロックの解除は困難となる。
そこで、従来より、シートベルトリトラクタのエンドロックの対策が多々提案されている。従来のエンドロックの対策の1つとして、シートベルトリトラクタに講じたエンドロックの対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に開示のエンドロックの対策は、通常時スプールと一体回転するロック輪を前述の緊急時やシートベルトの急激な引出し時にスプールと相対回転させてロック手段を作動することでスプールのベルトの引出し方向の回転をロックするシートベルトリトラックタにおいて、カムとフリクシヨンスプリングにより、所定時にはロック輪とスプールとの相対回転を阻止することで、エンドロックを防止するものである。
この特許文献1に開示のエンドロックの対策は、通常時スプールと一体回転するロック輪を前述の緊急時やシートベルトの急激な引出し時にスプールと相対回転させてロック手段を作動することでスプールのベルトの引出し方向の回転をロックするシートベルトリトラックタにおいて、カムとフリクシヨンスプリングにより、所定時にはロック輪とスプールとの相対回転を阻止することで、エンドロックを防止するものである。
しかしながら、特許文献1に開示のエンドロックの対策を講じたシートベルトリトラクタでは、カムをフリクションスプリングで挟持しているだけなので、シートベルトを急激に巻き取らせると、フリクションスプリングの挟持力を越える摩擦力によってカムが回動してしまい、エンドロックが発生するおそれがあるという問題がある。
しかも、シートベルトリトラクタにエンドロックの対策を講じることから、エンドロック防止のための構造が複雑でかつ部品点数が多く、しかも制御が面倒であるという問題がある。エンドロックの対策を講じたシートベルトリトラクタは特許文献1以外にも多々提案されているが、いずれも同様の問題がある。
そこで、シートベルトリトラクタ以外のシートベルトに講じたエンドロックの対策が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2に開示のエンドロックの対策は、シートベルトから引き出されたシートベルトを固定プーリと移動プーリとに巻き掛け、シートベルトリトラクタのスプールによってシートベルトを巻き取る際には、移動プーリを通常位置から移動させてベルト巻取り力に抗する抵抗力を発生することで、ベルト巻取り終了時の衝撃を緩和してエンドロックを防止するものである。これにより、シートベルトリトラクタによるシートベルトの急激な巻取りの際のエンドロックの発生を低減することができる。
この特許文献2に開示のエンドロックの対策は、シートベルトから引き出されたシートベルトを固定プーリと移動プーリとに巻き掛け、シートベルトリトラクタのスプールによってシートベルトを巻き取る際には、移動プーリを通常位置から移動させてベルト巻取り力に抗する抵抗力を発生することで、ベルト巻取り終了時の衝撃を緩和してエンドロックを防止するものである。これにより、シートベルトリトラクタによるシートベルトの急激な巻取りの際のエンドロックの発生を低減することができる。
更に、シートベルトリトラクタとシートベルトとの間に講じたエンドロックの対策も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この特許文献3に開示のエンドロックの対策は、シートベルトリトラクタのカバーに形成したベルト引出し口を通してシートベルトの端を延出させるとともにこのシートベルトの端に弾性を有する肉厚増大ピースを取り付け、シートベルトの完全巻取り時に肉厚増大ピースをベルト引出し口に嵌り込ませて厚さ方向に弾性変形させることで、ベルト巻取り終了時の衝撃を緩和してエンドロックを防止するものである。これにより、シートベルトリトラクタによるシートベルトの急激な巻取りの際のエンドロックの発生を低減することができる。
実開昭62−95058号公報
特開2004−106561号公報
実開平5−26680号公報
この特許文献3に開示のエンドロックの対策は、シートベルトリトラクタのカバーに形成したベルト引出し口を通してシートベルトの端を延出させるとともにこのシートベルトの端に弾性を有する肉厚増大ピースを取り付け、シートベルトの完全巻取り時に肉厚増大ピースをベルト引出し口に嵌り込ませて厚さ方向に弾性変形させることで、ベルト巻取り終了時の衝撃を緩和してエンドロックを防止するものである。これにより、シートベルトリトラクタによるシートベルトの急激な巻取りの際のエンドロックの発生を低減することができる。
しかしながら、特許文献2に開示のエンドロックの対策では、特許文献1に開示のエンドロックの対策が有する、エンドロック防止のための構造が複雑でかつ部品点数が多く、しかも制御が面倒であるという問題はある程度解決できるものの、固定プーリと移動プーリとの二つのプーリを必要とするばかりでなく、シートベルトの完全巻取り時にその都度移動プーリを移動させる必要がある。このため、特許文献2に開示のエンドロックの対策は、エンドロック防止のための構造が複雑でかつ部品点数が多く、しかも制御が面倒であるという問題を十分に解決することができず、特許文献2に開示のエンドロックの対策にはこの問題を更に効果的に解決する余地がある。
しかも、乗員はシートベルトを装着するためにシートベルトを掴んでシートベルトリトラクタから引き出そうとすると、固定プーリと移動プーリとがシートベルトの掴み部よりシートベルトリトラクタ側にあるため、固定プーリと移動プーリとから抵抗力を受けて大きな力でシートベルトを引き出さなければならず、違和感を抱くという問題がある。
更に、特許文献2に開示のエンドロックの対策では、エンドロックの発生をある程度低減することができるものの、エンドロックが発生するおそれが未だに十分にある。そして、このエンドロックの対策では、エンドロックが一旦発生すると、前述の所定量を超える更なるベルト巻取り方向のスプールの回転が難しく、このエンドロックを解除することが困難であるという問題がある。
また、特許文献3に開示のエンドロックの対策でも、特許文献1に開示のエンドロックの対策が有する問題はある程度解決できるものの、特殊な形状でかつ弾性を有する肉厚増大ピースを必要とするばかりでなく、シートベルトの完全巻取り時にその都度肉厚増大ピースをその厚さ方向に弾性変形させてベルト引出し口に嵌り込ませる必要がある。しかも、シートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトと、一端がベルトアンカーで車体に固定されるシートベルトとを必要とするだけではなくこれらのシートベルトを連結するための手段が必要となる。このため、特許文献3に開示のエンドロックの対策は、エンドロック防止のための構造が複雑でかつ部品点数が多く、しかも制御が面倒であるという問題を十分に解決することができず、特許文献3に開示のエンドロックの対策にもこの問題を更に効果的に解決する余地がある。
しかも、乗員はシートベルトを装着するためにシートベルトを掴んでシートベルトリトラクタから引き出そうとすると、肉厚増大ピースがシートベルトの掴み部よりシートベルトリトラクタ側にありかつ肉厚増大ピースがベルト引出し口に嵌り込んでいるため、抵抗力を受けて大きな力でシートベルトを引き出さなければならず、違和感を抱くという問題がある。
更に、特許文献3に開示のエンドロックの対策でも、エンドロックの発生をある程度低減することができるものの、エンドロックが発生するおそれが未だに十分にある。そして、このエンドロックの対策でも、エンドロックが一旦発生すると、前述の所定量を超える更なるベルト巻取り方向のスプールの回転が難しく、このエンドロックを解除することが困難であるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンドロック防止のための構造をより一層簡単にしかつ部品点数を更に削減し、しかも制御をより簡単にしつつ、エンドロックの発生を抑制し、仮にエンドロックが発生しても、そのエンドロックを簡単に解除することができるエンドロック抑制・解除装置およびこれを用いたシートベルト装置を提供することである。
本発明の他の目的は、エンドロックの対策を講じても乗員の通常のシートベルトの操作に違和感を抱くことのないエンドロック抑制・解除装置およびこれを用いたシートベルト装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のエンドロック抑制・解除装置は、先端部がベルトアンカーを介して車体または車両シートに固定されかつ乗員に装着されるシートベルトと、常時ベルト巻取り方向に付勢されて前記シートベルトを巻き取るスプールと、通常時は作動しなく、前記スプールの回転を自由にするが、緊急時あるいは前記シートベルトの急激な引出し時には作動して前記スプールの引出し方向の回転をロックするロック手段とを少なくとも有するシートベルトリトラクタと、を少なくとも備えたシートベルト装置に用いられて、前記シートベルトリトラクタのエンドロックの発生を抑制するとともに、発生したエンドロックを解除するエンドロック抑制・解除装置であって、前記エンドロック抑制・解除装置が前記シートベルトの前記ベルトアンカーとの連結部に隣接する近傍位置に設けられていることを特徴としている。
また、請求項2の発明のエンドロック抑制・解除装置は、両端を前記シートベルトの前記ベルトアンカーとの連結部の近傍位置に連結され、通常時はこれらの両端との連結部間のシートベルトの部分が所定量弛んだ状態に設定し、前記シートベルトの部分より前記シートベルトリトラクタ側のシートベルトが前記シートベルトリトラクタ側に引っ張られたとき弾性的に伸張して、弛んだ状態の前記シートベルトの部分を伸張させるスプリングを有していることを特徴としている。
更に、請求項3の発明のエンドロック抑制・解除装置は、両端を前記シートベルトに前記スプリングを覆うようにして設けられ、弾性的に伸縮可能な軟質ブーツを有していることを特徴としている。
更に、請求項4の発明のシートベルト装置は、請求項1ないし3のいずれか1に記載されたエンドロック抑制・解除装置を用いていることを特徴としている。
更に、請求項4の発明のシートベルト装置は、請求項1ないし3のいずれか1に記載されたエンドロック抑制・解除装置を用いていることを特徴としている。
このように構成された本発明に係るエンドロック抑制・解除装置およびシートベルト装置によれば、シートベルトの巻取り完了の際に、エンドロック抑制・解除装置によりシートベルトリトラクタのエンドロックの発生を抑制することができ、エンドロックの発生頻度を低減させることができるとともに、発生したエンドロックを解除することができる。
また、エンドロック抑制・解除装置を、シートベルトリトラクタ側と反対側のベルトアンカー側に設けているので、乗員がシートベルトを装着するためにシートベルトあるいはタングを掴んでシートベルトリトラクタから引き出すとき、エンドロック抑制・解除装置の影響をまったく受けることがなく、従来のシートベルト装置と同様に乗員はシートベルトをスムーズに引き出すことができる。したがって、エンドロックの対策を講じても乗員が通常のシートベルトの操作に違和感を抱くことを防止できる。
特に、請求項2の発明に係るエンドロック抑制・解除装置によれば、両端をシートベルトのベルトアンカーとの連結部の近傍位置に連結され、通常時はこれらの両端との連結部間のシートベルトの部分が所定量弛んだ状態に設定し、シートベルトの部分よりシートベルトリトラクタ側のシートベルトがシートベルトリトラクタ側に引っ張られたとき弾性的に伸張して、弛んだ状態の前記シートベルトの部分を伸張させるスプリングを用いているので、シートベルトの完全巻取りの際にスプリングが弾性的に伸張することで、シートベルトの完全巻取り時にシートベルトリトラクタに加えられる衝撃を緩和することができる。したがって、この衝撃によるシートベルトリトラクタのエンドロックの発生を抑制でき、エンドロックの発生頻度を低減させることができる。
また、シートベルトリトラクタのスプールによって完全に巻き取られたとき、仮にシートベルトリトラクタにエンドロックが発生しでも、シートベルトリトラクタ側のシートベルトを引っ張ってエンドロック抑制・解除装置のスプリングを伸張させて、シートベルトの弛みの部分を伸張することで、シートベルトリトラクタのエンドロックを解除することができる。
更に、請求項3の発明に係るエンドロック抑制・解除装置によれば、スプリングを覆うように軟質ブーツを設けているので、乗員がスプリングに直接接触するのを防止することができる。これにより、スプリングに接触することによる乗員の不快感を防止することができる。
更に、請求項2および3の発明に係るエンドロック抑制・解除装置によれば、簡単な構成のスプリングと軟質ブーツとをシートベルトに弛みの部分が形成されるように単に取り付けて一体化し、これらのスプリング、軟質ブーツ、およびシートベルトの弛みの部分を伸縮するだけであるので、従来に比べてエンドロック防止のための構造がより一層簡単でかつ部品点数を削減でき、しかも制御が更に簡単にできる。しかも、スプリングと軟質ブーツとを既存のシートベルトに取り付けるだけであるので、シートベルトリトラクタ、シートベルト、ベルトアンカー等の従来のシートベルト装置の構成要素を設計変更することなく、そのまま使用することができる。これにより、エンドロック抑制・解除装置を種々のシートベルト装置に柔軟に適用することができ、コストを低減できるとともに、設置スペースを少なくできる。
更に、シートベルトの装着状態での前述の緊急時にエンドロック抑制・解除装置のスプリングおよび軟質ブーツが伸張することで、エネルギ吸収機能(EA機能)を発揮することができる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明にかかるエンドロック抑制・解除装置の実施の形態の一例を備えたシートベルト装置を模式的に示す斜視図である。
図1は本発明にかかるエンドロック抑制・解除装置の実施の形態の一例を備えたシートベルト装置を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、この例のシートベルト装置1は、後部座席でありかつ従来周知のように乗員が着座するシート部2aとこのシート部2aに着座した乗員の背中等がもたれかかるシートバック部2bとからなる車両シート2に装備されるシートベルト装置である。このシートベルト装置1は、シートバック部2bの後方の車体に固定されたシートベルトリトラクタ3と、このシートベルトリトラクタ3から引き出されて乗員に装着されるシートベルト4と、このシートベルト4の先端部に連結されかつ車体または車両シート2に固定されるベルトアンカー5と、シートベルト4に摺動可能に支持されたタング6と、車体あるいは車両シート2に固定されかつタング5が係止されるバックル7と、シートバック部2bに固定されてシートベルト4をガイドするベルトガイド8と、シートベルト4のベルトアンカー5との連結部に隣接する近傍位置に設けられたエンドロック抑制・解除装置9とを備えている。
この例のシートベルト装置1の構成のうち、シートベルトリトラクタ3、シートベルト4、ベルトアンカー5、タング6、バックル7、およびベルトガイド8は、いずれも、従来公知のものであるので、それらの詳細な説明は省略する。
エンドロック抑制・解除装置9は本発明の特徴部分であり、図2(a)に示すようにコイルスプリング10と、ゴムや樹脂等の弾性材からなり弾性的に伸縮可能でかつ曲げ変形可能な軟質ブーツ11とを備えている。そして、シートベルト4のベルトアンカー5との連結部4aの近傍部分にコイルスプリング10の一端部と軟質ブーツ11の一端部とがともに固着具12によりシートベルト4に連結されているとともに、コイルスプリング10の他端部と軟質ブーツ11の他端部とがともに固着具13によりシートベルト4に連結されている。その場合、軟質ブーツ11はコイルスプリング10を覆うようにして設けられて、乗員がコイルスプリング10に直接接触するのを防止している。また、両固着具12,13は、コイルスプリング10および軟質ブーツ11をともにシートベルト4に連結することができるものであれば、従来公知のどのような固着具も使用することができる。
なお、図2(a)に示す例では、軟質ブーツ11の上端および下端がそれぞれ上方および下方に開口してシートベルト4から離間しているが、これらの上端および下端はそれぞれ閉塞してシートベルト4に密着するようにすることもできる。この場合には、軟質ブーツ11の内周面とコイルスプリング10とが干渉しないようにすることが、軟質ブーツ11の摩耗を防止するうえで、好ましい。
図2(a)に示す通常時は、コイルスプリング10および軟質ブーツ11はともに伸張していなく自由状態にある。この自由状態では、両固着具12,13間のシートベルト4の部分4bが所定量弛んだ状態にされている。
このように構成されたエンドロック抑制・解除装置9を備えたシートベルト装置1においては、乗員が後部の車両シート2に着座して、従来の公知の三点式シートベルト装置1と同様にシートベルト4をシートベルトリトラクタ3から所定量引出すとともにタング6をバックル7に係止し、その後乗員がタング6を離すと、シートベルト4が余分に引き出された分をシートベルトリトラクタ3に巻き取られて乗員にフィットする。こうして、シートベルト4が乗員に装着される。
シートベルト4が乗員に装着された状態で、乗員が着座姿勢のままで若干量前後左右に移動すると、その移動に応じてシートベルト4がシートベルトリトラクタ3から引き出され、乗員は自由に移動することができる。また、車両衝突時等の車両にきわめて大きな減速度が作用した時、シートベルトリトラクタ3のロック手段が作動してスプールのベルト巻取り方向の回転をロックするので、シートベルトリトラクタ3はシートベルト4の引出しを阻止する。これにより、大きな減速度による慣性で乗員が前方へ移動しようとすると、シートベルト4がこの乗員を拘束して乗員の前方移動を阻止する。
このとき、図2(b)に示すように乗員の慣性力でシートベルト4が引っ張られてエンドロック抑制・解除装置9のコイルスプリング10および軟質ブーツ11が弾性的に伸張し、これに伴いシートベルト4の部分4bも伸張する。これらのコイルスプリング10および軟質ブーツ11の弾性的伸張により、シートベルト4が乗員に加えれる衝撃エネルギが吸収される。すなわち、この例のエンドロック抑制・解除装置9は、エネルギ吸収機能(EA機能)を発揮する。そして、図2(c)に示すようにシートベルト4の部分4bがピンと張った状態になると、部分4bの伸張が停止し、これに伴いコイルスプリング10および軟質ブーツ11の伸張も停止する。これにより、乗員がシートベルト4によって拘束される。
乗員のシートベルト4の装着状態で通常の走行が終了し、車両が停止した後、乗員が車両シート2から離座するために、従来公知のシートベルト装置と同様にバックル7の解除ボタンを押すと、図3に実線で示すようにタング6とバックル7との係止が解除される。すると、シートベルトリトラクタ3のスプールが、引き出されたシートベルト4を巻き取る。
シートベルト4の巻取りが完了する際に、スプールの巻取り力でシートベルト4に大きなベルト張力が発生するが、図2(b)に示すようにこのベルト張力でコイルスプリング10および軟質ブーツ11が弾性的に伸張するので、シートベルト4の完全巻取り時にシートベルトリトラクタ3に加えられる衝撃が緩和される。したがって、この衝撃によるシートベルトリトラクタ3のエンドロックの発生が抑制され、エンドロックの発生頻度が低減する。シートベルトリトラクタ3のスプールによるシートベルト4の巻取りが終了し、シートベルトリトラクタ3にエンドロックが生じていないと、コイルスプリング10および軟質ブーツ11が弾性復元力で図2(a)に示す自由状態に収縮するとともに、シートベルト4の部分4bが図2(a)に示すように弛み、シートベルト4は図3に点線で示すシートベルト非装着の通常状態となる。
また、仮にロック手段が作動してシートベルトリトラクタ3にエンドロックが生じると、シートベルト4をシートベルトリトラクタ3から再び引き出すことができない。このとき、コイルスプリング10および軟質ブーツ11もほとんど収縮しないが、シートベルト4の部分4bは未だ弛んでいるので伸張可能となっている。そこで、エンドロック抑制・解除装置9よりシートベルトリトラクタ3側のシートベルト4の適宜の部分を掴んで引っ張ると、エンドロック抑制・解除装置9のコイルスプリング10および軟質ブーツ11が更に弾性的に伸張し、これに伴いシートベルト4の部分4bも更に伸張し、シートベルト4は図3に二点鎖線で示す状態になる。
シートベルト4の部分4bの更なる伸張により、シートベルトリトラクタ3のスプールにおけるシートベルト4の巻取り部分が弛んで前述の所定量を超えるベルト巻取り方向の余裕が発生するので、スプールが所定量以上にベルト巻取り方向に回転し、シートベルトリトラクタ3のロック手段の作動が解除されてエンドロックが解除する。そして、シートベルト4を離すと、コイルスプリング10および軟質ブーツ11がそれらの弾性復元力で収縮し、図2(a)に示す通常時の自由状態となるとともに、シートベルト4の部分4bが図2(a)に示す通常時の弛んだ状態となり、シートベルト4は図3に点線で示すシートベルト非装着の通常状態となる。
この例のエンドロック抑制・解除装置9によれば、シートベルト4の巻取り完了の際に、コイルスプリング10および軟質ブーツ11が弾性的に伸張するので、シートベルト4の完全巻取り時にシートベルトリトラクタ3に加えられる衝撃を緩和することができる。したがって、この衝撃によるシートベルトリトラクタ3のエンドロックの発生を抑制でき、エンドロックの発生頻度を低減させることができる。
また、シートベルトリトラクタ3のスプールによって完全に巻き取られたとき、仮にシートベルトリトラクタ3にエンドロックが発生しでも、シートベルト4を引っ張ってエンドロック抑制・解除装置9のコイルスプリング10および軟質ブーツ11とともにシートベルト4の弛みの部分4bを伸張することで、シートベルトリトラクタ3のエンドロックを解除することができる。
更に、エンドロック抑制・解除装置9を、乗員のシートベルト装着操作時での乗員のシートベルトの掴み部あるいはタング6支持部をシートベルトリトラクタ3側と反対側のベルトアンカー5側に設けているので、乗員がシートベルト4を装着するためにシートベルト4あるいはタング6を掴んでシートベルトリトラクタ3から引き出すとき、エンドロック抑制・解除装置9の影響をまったく受けることがなく、従来のシートベルト装置と同様に乗員はシートベルト4をスムーズに引き出すことができるとともにシートベルト4の引出し時に違和感を抱くことはない。このようにして、エンドロックの対策を講じても乗員が通常のシートベルト4の操作に違和感を抱くことを防止できる。
更に、簡単な構成のコイルスプリング10と軟質ブーツ11とをシートベルト4に弛みの部分4bが形成されるように単に取り付けて一体化し、これらのコイルスプリング10、軟質ブーツ11、および弛みの部分4bを伸縮するだけであるので、従来に比べてエンドロック防止のための構造がより一層簡単でかつ部品点数を削減でき、しかも制御が更に簡単にできる。しかも、コイルスプリング10と軟質ブーツ11とを既存のシートベルト4に取り付けるだけであるので、シートベルトリトラクタ3、シートベルト4、ベルトアンカー5等の従来のシートベルト装置の構成要素を設計変更することなく、そのまま使用することができる。これにより、エンドロック抑制・解除装置9を種々のシートベルト装置に柔軟に適用することができ、コストを低減できるとともに、設置スペースを少なくできる。
更に、コイルスプリング10を覆うように軟質ブーツ11を設けているので、乗員がコイルスプリング10に直接接触するのを防止することができる。これにより、コイルスプリング10に接触することによる乗員の不快感を防止することができる。
更に、シートベルト4の装着状態での前述の緊急時にエンドロック抑制・解除装置9のコイルスプリング10および軟質ブーツ11が伸張することで、エネルギ吸収機能(EA機能)を発揮することができる。
なお、前述の例では、本発明のエンドロック抑制・解除装置を後部座席のシートベルト装置1に適用して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図4に示すように前部座席のシートベルト装置1に適用することもできる。図4における各符号は、図1に示す例の構成要素と同じ構成要素に、図1に示す例の符号と同じものを用いている。
本発明のエンドロック抑制・解除装置およびシートベルト装置は、エンドロックが発生する可能性のあるシートベルトリトラクタおよびこれを用いてシートベルトリトラクタから引き出されるシートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置に好適に利用することができる。
1…シートベルト装置、2…車両シート、3…シートベルトリトラクタ、4…シートベルト、4b…シートベルト4の部分、5…ベルトアンカー、6…タング、7…バックル、9…エンドロック抑制・解除装置、10…コイルスプリング、11…軟質ブーツ、12,13…固着具
Claims (4)
- 先端部がベルトアンカーを介して車体または車両シートに固定されかつ乗員に装着されるシートベルトと、
常時ベルト巻取り方向に付勢されて前記シートベルトを巻き取るスプールと、通常時は作動しなく、前記スプールの回転を自由にするが、緊急時あるいは前記シートベルトの急激な引出し時には作動して前記スプールの引出し方向の回転をロックするロック手段とを少なくとも有するシートベルトリトラクタと、
を少なくとも備えたシートベルト装置に用いられて、前記シートベルトリトラクタのエンドロックの発生を抑制するとともに、発生したエンドロックを解除するエンドロック抑制・解除装置であって、
前記エンドロック抑制・解除装置が前記シートベルトの前記ベルトアンカーとの連結部に隣接する近傍位置に設けられていることを特徴とするエンドロック抑制・解除装置。 - 両端を前記シートベルトの前記ベルトアンカーとの連結部の近傍位置に連結され、通常時はこれらの両端との連結部間のシートベルトの部分が所定量弛んだ状態に設定し、前記シートベルトの部分より前記シートベルトリトラクタ側のシートベルトが前記シートベルトリトラクタ側に引っ張られたとき弾性的に伸張して、弛んだ状態の前記シートベルトの部分を伸張させるスプリングを有していることを特徴とする請求項1記載のエンドロック抑制・解除装置。
- 両端を前記シートベルトに前記スプリングを覆うようにして設けられ、弾性的に伸縮可能な軟質ブーツを有していることを特徴とする請求項2記載のエンドロック抑制・解除装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1に記載されたエンドロック抑制・解除装置を用いていることを特徴とするシートベルト装置。
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