しかしながら、上記公報(特許文献3)に記載の技術には、ダイヤモンドカッタを用いて圧電セラミックスプレートの積層方向に延在した溝を形成すること自体が非常に煩雑であるばかりでなく、溝形成工程後に洗浄工程が必要であって長時間の作業を要するために良好な製造効率が得られないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、容易且つ短時間に製造可能であってクロストークの低減された流体圧力発生機構及びその製造方法、並びに、この液体圧力発生機構を含む液滴噴射装置を提供することを目的としている。
本発明による液体圧力発生機構は、圧電材料からなる板状体と、前記板状体の面方向の複数領域に配置された第1の電極と、前記板状体を挟んで前記第1の電極と対向するように前記板状体に配置された第2の電極とを備えており、前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれてなり且つ前記板状体の面方向に対して実質的に垂直な方向に変形可能な複数の活性部が前記板状体の面方向に間隔をおいて形成されていると共に、隣接する2つの前記活性部の間において前記板状体にマイクロクラックが形成されていることを特徴としている(請求項1)。
この構成によると、隣接する2つの活性部の間において板状体にマイクロクラックが形成されているので、クロストークを低減することができる。また、マイクロクラックは板状体の積層方向に延在した溝を形成する場合のようにダイヤモンドカッタを用いなくても形成可能であるので、容易且つ短時間に製造することができる。さらに、クロストークが低減されるために板状体を従来よりも数多く積層することが可能となり、これにより板状体1枚あたりの変位量が少なくても全体として大きな変位量を得ることができるようになって第1の電極又は第2の電極の低電圧駆動が可能となる。そのため、第1の電極又は第2の電極の駆動信号を発生する回路部品のコストダウンが可能となる。
なお、マイクロクラックは、板状体の全厚にわたって形成されているか、又は、活性部の全厚にわたって形成されていることが好ましいが、活性部の全厚の少なくとも一部にわたって形成されているだけでもよい。また、マイクロクラックは、互いに隣接する活性部同士を隔てるように連続して帯状に形成されていることが好ましいが、互いに隣接する活性部の間に不連続的に形成されていてもよい。
本発明の液体圧力発生機構では、隣接する2つの前記活性部の間において前記板状体を挟んで第3の電極と第4の電極とが配置されており、前記第3の電極と前記第4の電極とに挟まれた領域にマイクロクラックが形成されていてよい(請求項2)。
これによると、第3の電極と第4の電極との電位を異なるものとすることでこれら2つの電極の間に電界を印加することができるので、極めて容易にマイクロクラックを形成可能となる。
本発明の液体圧力発生機構では、隣接する2つの前記活性部の間において前記板状体に第3の電極が配置されており、前記第1の電極及び前記第2の電極のいずれかが前記板状体を挟んで前記第3の電極と対向するように前記隣接する2つの前記活性部の間にまで延在しており、前記第3の電極と前記延在した電極とに挟まれた領域にマイクロクラックが形成されていてよい(請求項3)。
これによると、板状体を挟んで第3の電極と対向するように隣接する2つの活性部の間にまで延在した第1の電極及び第2の電極のいずれかと第3の電極との間に電界を印加することでマイクロクラックを形成することができるために第4の電極が不要となる。そのため、電極への配線構造を簡略化できる。
本発明の液体圧力発生機構において、複数の前記板状体が積層されており、隣接する前記板状体の間に前記第1の電極と前記第2の電極とが積層方向に交互に配置されていると共に隣接する前記板状体の間に前記第3の電極と前記第4の電極とが積層方向に交互に配置されていてよい(請求項4)。
この構成によると、各板状体が第3の電極と第4の電極とによって挟まれることにより電極間距離を比較的小さくすることができるため、マイクロクラック形成の際に大きな電圧を用いる必要がなくなる。また、多くの板状体にマイクロクラックを形成することができるので、クロストークを効果的に低減することができる。
本発明の液体圧力発生機構において、複数の前記板状体が積層されており、隣接する前記板状体の間に前記第1の電極と前記第2の電極とが積層方向に交互に配置されており、隣接する2つの前記活性部の間においていずれかの前記板状体に第3の電極が配置されていると共に、前記第1の電極及び前記第2の電極のいずれかが前記板状体を挟んで前記第3の電極と対向するように前記隣接する2つの前記活性部の間にまで延在しており、前記第3の電極と前記延在した電極とに挟まれた領域にマイクロクラックが形成されていてよい(請求項5)。
これによると、板状体を挟んで第3の電極と対向するように隣接する2つの活性部の間にまで延在した第1の電極及び第2の電極のいずれかと第3の電極との間に電界を印加することでマイクロクラックを形成することができるために第4の電極が不要となる。そのため、電極への配線構造を簡略化できる。また、多くの板状体にマイクロクラックを形成することができるので、クロストークを効果的に低減することができる。
本発明の液体圧力発生機構において、複数の前記板状体が前記第3の電極と前記延在した電極とによって挟まれていてよい(請求項6)。
これによると、第3の電極の枚数が少ないために構造が簡単であり、歩留まりが向上する。
別の観点によると、本発明は液滴噴射装置であって、上述したような液体圧力発生機構と、複数の前記活性部に対応した複数の液体収容室と、前記液体収容室を隔てる隔壁とを備えており、前記板状体は前記マイクロクラックが形成された部分において前記隔壁に固定されたものである(請求項7)。
この構成によると、活性部の変形を液体収容室の容積変化として有効に使用できるので、良好なエネルギー効率が得られる。
さらに別の観点によると、本発明は液体圧力発生機構の製造方法であって、圧電材料からなる板状体の面方向の複数領域に第1の電極が配置され且つ前記板状体を挟んで前記第1の電極と対向する第2の電極が前記板状体に配置されると共に、前記第1の電極が配置されていない領域において前記板状体に第3の電極及び第4の電極が配置された電極複合体を形成する工程と、前記電極複合体の前記第1の電極と前記第2の電極との間にある前記板状体に電界を加えて前記板状体を分極させることにより、前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれてなり且つ前記板状体の面方向に対して実質的に垂直な方向に変形可能な複数の活性部を前記板状体の面方向に間隔をおいて形成する工程と、前記活性部を形成する工程において前記板状体に加えられるよりも大きな電界を前記第3の電極と前記第4の電極との間にある前記板状体に加えることによって、隣接する2つの前記活性部の間において前記板状体にマイクロクラックを形成する工程とを備えている(請求項8)。
この構成によると、第3の電極と前記第4の電極との間の板状体に電界を印加することで極めて短時間にマイクロクラックを形成可能である。また、高い位置精度でマイクロクラックを形成することができ、しかも加工後に洗浄工程が不要となって機械加工で活性部間に溝を作る場合に比較して容易且つ短時間にクロストークが低減された液体圧力発生機構を製造可能となる。
さらに別の観点によると、本発明は液体圧力発生機構の製造方法であって、圧電材料からなる板状体の面方向の複数領域に第1の電極が配置され且つ前記板状体を挟んで前記第1の電極と対向する第2の電極が前記板状体に配置されると共に、前記第1の電極が配置されていない領域において前記板状体に第3の電極が配置され、前記第2の電極が前記板状体を挟んで前記第3の電極と対向するように延在した電極複合体を形成する工程と、前記電極複合体の前記第1の電極と前記第2の電極との間にある前記板状体に電界を加えて前記板状体を分極させることにより、前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれてなり且つ前記板状体の面方向に対して実質的に垂直な方向に変形可能な複数の活性部を前記板状体の面方向に間隔をおいて形成する工程と、前記活性部を形成する工程において前記板状体に加えられるよりも大きな電界を前記第3の電極と前記延在した電極との間にある前記板状体に加えることによって、隣接する2つの前記活性部の間において前記板状体にマイクロクラックを形成する工程とを備えている(請求項9)。
この構成によると、第3の電極と延在した電極との間の板状体に電界を印加することで極めて短時間にマイクロクラックを形成可能である。また、高い位置精度でマイクロクラックを形成することができ、しかも加工後に洗浄工程が不要となって機械加工で活性部間に溝を作る場合に比較して容易且つ短時間にクロストークが低減された液体圧力発生機構を製造可能となる。
また、別の観点では、本発明は、液体圧力発生機構の製造方法であって、圧電材料からなる板状体の面方向の複数領域に第1の電極が配置され且つ前記板状体を挟んで前記第1の電極と対向する第2の電極が前記板状体に配置された電極複合体を形成する工程と、前記電極複合体の前記第1の電極と前記第2の電極との間にある前記板状体に電界を加えて前記板状体を分極させることにより、前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれてなり且つ前記板状体の面方向に対して実質的に垂直な方向に変形可能な複数の活性部を前記板状体の面方向に間隔をおいて形成する工程と、レーザビームを照射することにより、隣接する2つの前記活性部の間において前記板状体にマイクロクラックを形成する工程とを備えている(請求項10)。
さらに別の観点では、本発明は、液体圧力発生機構の製造方法であって、圧電材料からなる板状体の面方向の複数領域に第1の電極が配置され且つ前記板状体を挟んで前記第1の電極と対向する第2の電極が前記板状体に配置された電極複合体を形成する工程と、前記電極複合体の前記第1の電極と前記第2の電極との間にある前記板状体に電界を加えて前記板状体を分極させることにより、前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれてなり且つ前記板状体の面方向に対して実質的に垂直な方向に変形可能な複数の活性部を前記板状体の面方向に間隔をおいて形成する工程と、前記電極複合体の表面を圧子で押圧することにより、隣接する2つの前記活性部の間において前記板状体にマイクロクラックを形成する工程とを備えている(請求項11)。
これらの構成によると、高い位置精度でマイクロクラックを形成することができ、しかも加工後に洗浄工程が不要となって機械加工で活性部間に溝を作る場合に比較して容易且つ短時間にクロストークが低減された液体圧力発生機構を製造可能となる。
なお、上述した4つの本発明による液体圧力発生機構の製造方法において、活性部を形成する工程とマイクロクラックを形成する工程とは順序を入れ替えることが可能である。
以上説明したように、本発明の液体圧力発生機構によると、隣接する2つの活性部の間において板状体にマイクロクラックが形成されているので、活性部間のクロストークを低減することができる。また、マイクロクラックは板状体の積層方向に延在した溝を形成する場合のようにダイヤモンドカッタを用いなくても形成可能であるので、容易且つ短時間に製造することができる。さらに、クロストークが低減されるために板状体を従来よりも数多く積層することが可能となり、これにより板状体1枚あたりの変位量が少なくても全体として大きな変位量を得ることができるようになって第1の電極又は第2の電極の低電圧駆動が可能となる。そのため、第1の電極又は第2の電極の駆動信号を発生する回路部品のコストダウンが可能となる。
本発明の液体圧力発生機構の製造方法によると、高い位置精度でマイクロクラックを形成することができ、しかも加工後に洗浄工程が不要となって機械加工で活性部間に溝を作る場合に比較して容易且つ短時間にクロストークが低減された液体圧力発生機構を製造可能となる。
本発明の液滴噴射装置によると、活性部の変形を液体収容室の容積変化として有効に使用できるので、良好なエネルギー効率が得られる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る液体圧力発生機構であるアクチュエータユニットを含むインクジェットヘッドについて説明する。図1は、そのインクジェットヘッドの分解斜視図である。図1に示すように、本実施の形態による圧電式のインクジェットヘッド1は、ほぼ直方体の流路ユニット7上にこれとほぼ同形状のアクチュエータユニット6が積層され、アクチュエータユニット6上に外部回路との接続のためのフレキシブルフラットケーブル又はフレキシブルプリント回路(FPC)5が貼付されたものである。インクジェットヘッド1は、流路ユニット7の下面側に開口したノズル9(図2及び図3参照)から下向きにインクを噴射する。
アクチュエータユニット6の上面には、FPC5との電気的接続のために用いられる多数の表面電極3が設けられている。また、流路ユニット7の上面には、上方に開口した多数の圧力室(インク収容室)10が設けられている。また、流路ユニット7の長手方向についての一端部近傍には、後述するマニホールド流路15(図3参照)にそれぞれ連通した一対の供給孔4a、4bが穿設されている。供給孔4a、4bは、インクカートリッジ(図示せず)から供給されるインク中の塵除去のためのフィルタ2で覆われている。
次に、インクジェットヘッド1の詳細な構造について図2及び図3をさらに参照して説明する。図2は、図1に示すインクジェットヘッドをその長手方向に沿って切断した部分断面図である。図3は、図1に示すインクジェットヘッドをその幅方向に沿って切断した部分断面図である。なお、図2及び図3において、アクチュエータユニット6上のFPC5の図示を省略している。
図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド1においては、図示されない駆動回路で発生した駆動パルス信号(グランド電位及び正の所定電位のいずれかを選択的にとる)によりFPC5を介して駆動されるアクチュエータユニット6と、インク流路を形成する流路ユニット7とが積層されている。アクチュエータユニット6と流路ユニット7は、エポキシ系の熱硬化性の接着剤によって接着されている。
流路ユニット7は、金属材料からなる薄板状の3枚のプレート(キャビティプレート7a、スペーサプレート7b、マニホールドプレート7c)と、インクを噴射するノズル9を備えたポリイミド等の合成樹脂製のノズルプレート7dとが積層されることによって構成されている。最上部のキャビティプレート7aは、アクチュエータユニット6に接している。
キャビティプレート7aの表面には、アクチュエータユニット6の動作により選択的に噴射されるインクを収容する複数の圧力室10が長手方向に沿って2列に形成されている。複数の圧力室10は、隔壁10aによって相互に隔てられ、その長手方向を平行に並べて配列されている。また、スペーサプレート7bには、圧力室10の一端をノズル9に連通させる連通孔11と、圧力室10の他端を後述するマニホールド流路15に連通させる連通孔12とがそれぞれ形成されている。
また、マニホールドプレート7cには、圧力室10の一端をノズル9に連通させる連通孔13が形成されている。さらに、マニホールドプレート7cには、インクを圧力室10に供給するマニホールド流路15が複数の圧力室10がなす列の下方においてその列方向に長く形成されている。また、マニホールド流路15の一端は、図1に示した一対の供給孔4a、4bのいずれか一方を介して図示されないインク供給源に接続されている。このようにして、マニホールド流路15から連通孔12、圧力室10、連通孔11、連通孔13を経てノズル9に至るインク流路が形成されている。
アクチュエータユニット6においては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のセラミックス材料からなる6枚の圧電セラミックスプレート6a〜6fが積層されている。そして、圧電セラミックスプレート6bと圧電セラミックスプレート6cとの間、及び、圧電セラミックスプレート6dと圧電セラミックスプレート6eとの間にはそれぞれ共通電極(第2の電極)21、23が、流路ユニット7の圧力室10に対応した範囲内のみに配置されている。なお、共通電極21、23は、各圧電セラミックスプレートのほぼ全範囲を覆う広範囲にわたって配置されてもよい。一方、圧電セラミックスプレート6cと圧電セラミックスプレート6dとの間、及び、圧電セラミックスプレート6eと圧電セラミックスプレート6fとの間にはそれぞれ個別電極(第1の電極)22、24が、流路ユニット7の圧力室10に対応した範囲内にのみ配置されている。
共通電極21、23は常にグランド電位に保持されている。一方、個別電極22、24には駆動パルス信号が与えられる。共通電極21、23と個別電極22、24とによって挟まれた圧電セラミックスプレート6c〜6eの当該挟まれた領域は予めこれら電極によって電界が印加されることによって積層方向に分極した活性部25となっている。活性部25は、平面視で圧力室10と同じ方向に延びており且つ圧力室10内に収まる矩形形状を有している(図5参照)。
個別電極22、24の電位が正の所定電位になると、圧電セラミックスプレート6c〜6eの活性部25は電界が印加されて積層方向に伸びようとする。ところが、圧電セラミックスプレート6a、6bにはこのような現象が現れないので、アクチュエータユニット6の活性部25に対応した部分は、全体として圧力室10側に伸びるように膨らむ。すると圧力室10の容積が小さくなるので、圧力室10内に充填されたインクに噴射圧力が付与されてノズル9からインクが噴射される。
図2に示された2つの圧力室10のうち左側は、このように正の所定電位が与えられて圧力室10側に伸びたアクチュエータユニット6によって圧力室10の容積が縮小することで、当該圧力室10に連通したノズル9からインクが噴射されようとする様子を描いたものである。また、右側は、駆動パルス信号が共通電極21、23の電位と同じくグランド電位に保持されているために、圧力室10に連通したノズル9からインクが噴射されない様子を描いたものである。
なお、常態において、全圧力室10に対応する個別電極22、24に電界を印加して、全圧力室10を図2の左側のように縮小しておいて、インクを噴射しようとする圧力室10に対応する個別電極22、24のみ電界を解除して図2の右側のように圧力室10を拡大し、その後再びその個別電極22、24に電界を印加して圧力室10内のインクに圧力を付与する(いわゆる引き打ち)ことによって、インクを噴射することもできる。
このように、本実施の形態において、アクチュエータユニット6には圧電セラミックスプレート6a〜6fの面方向に対して実質的に垂直な方向(圧電セラミックスプレート6a〜6fの積層方向)に変形可能な複数の活性部25が形成されている。それと共に、アクチュエータユニット6の面方向に隣接する活性部25間は、多数のマイクロクラック(微細な亀裂)が形成されたマイクロクラック領域30となっている。この点について、さらに図4及び図5を参照して説明する。図4は、隣接する活性部25間における図2の拡大図である。図5は、圧力室と活性部とマイクロクラック領域との平面的位置関係を表した模式図である。
図2及び図4から分かるように、マイクロクラック領域30は、圧電セラミックスプレート6a〜6fの積層方向について、6枚の圧電セラミックスプレート6a〜6fのうち、3枚の圧電セラミックスプレート6c〜6eだけに形成されている。また、図5から分かるように、マイクロクラック領域30は、圧電セラミックスプレート6a〜6fの面方向について、隣接した活性部25同士を互いに完全に隔絶するように、圧力室10の配列状態と同じく2列に並んだ梯子状に形成されている。
マイクロクラック領域30は、3枚の圧電セラミックスプレート6c〜6eのうち、以下に説明する第1のマイクロクラック形成電極(第3の電極)26、28と第2のマイクロクラック形成電極(第4の電極)27、29とが互いに重なり合った領域だけに形成されている。これは、後で説明するように、第1のマイクロクラック形成電極26、28と第2のマイクロクラック形成電極27、29との間に比較的大きな電界を印加することで圧電セラミックスプレート6c〜6eが局所破壊されてマイクロクラックが形成されるからである。アクチュエータユニット6は、マイクロクラック領域30の下方において流路ユニット7の隔壁10aに固定されている。
第1のマイクロクラック形成電極26、28は、隣接する活性部25間であって、圧電セラミックスプレート6bと圧電セラミックスプレート6cとの間、及び、圧電セラミックスプレート6dと圧電セラミックスプレート6eとの間にそれぞれが配置されている。一方、第2のマイクロクラック形成電極27、29は、隣接する活性部25間であって、圧電セラミックスプレート6cと圧電セラミックスプレート6dとの間、及び、圧電セラミックスプレート6eと圧電セラミックスプレート6fとの間にそれぞれ配置されている。
第1のマイクロクラック形成電極26、28は、共通の端子31に接続されている。第2のマイクロクラック形成電極27、29は、共通の端子32に接続されている。端子31、32は、FPC5側の端子とそれぞれ接続されている。後述するように、インクジェットヘッド1の製造過程において、端子31はグランド電位に固定され且つ端子32には比較的大きな正の電位が一時的に付与される。
このように、本実施の形態による液体圧力発生機構であるアクチュエータユニット6によると、隣接する2つの活性部25の間において圧電セラミックスプレート6c〜6eにマイクロクラック領域30が設けられているので、インク噴射時に隣接する活性部25への変位の伝播が一部遮断されて隣接する活性部25同士のクロストークを低減することができる。したがって、高い印刷品質での印刷が可能となる。
特に、本実施の形態の場合、図5に示すように、マイクロクラック領域30が隣接した活性部25同士を面方向について互いに完全に隔絶しているので、大幅なクロストークの低減効果が期待できる。ただし、図5に示すように活性部25同士をマイクロクラック領域30で完全に隔絶するようにすると共通電極21、23の配線を共通にすることができなくなって配線構造が複雑になってしまうという問題が生じる。そこで、一変形例として、マイクロクラック領域30が隣接する活性部25の間のどこか一部分で分断されるようにし、そこに共通電極21、23を通して隣接する活性部25に係る共通電極21、23と接続するようにすればクロストーク低減効果はやや低下するものの配線構造が複雑になることがなくなる。また、別の変形例として、図5と同様の模式図である図6に示すように、それぞれが矩形形状を有する多数のマイクロクラック領域30aがアクチュエータユニット6の長手方向に隣接する活性部25の間にそれぞれ設けられてもよい。図6のようにマイクロクラック領域30aを設けた場合でも、図5の場合よりは劣るものの優れたクロストーク低減効果が得られる。
また、後で説明する製造方法からも明らかなように、マイクロクラック領域30は圧電セラミックスプレート6c〜6eの積層方向に延在した溝を形成する場合のようにダイヤモンドカッタを用いなくても形成可能であるので、容易且つ短時間に製造することができる。
さらに、本実施の形態によるアクチュエータユニット6によると、クロストークが低減されるために圧電セラミックスプレートを従来よりも数多く積層することが可能となり、これにより圧電セラミックスプレート1枚あたりの変位量が少なくても全体として大きな変位量を得ることができるようになって個別電極22、24の低電圧駆動が可能となる。そのため、個別電極22、24の駆動パルス信号を発生する回路部品のコストダウンが可能となる。
しかも、本実施の形態によるアクチュエータユニット6によると、後で説明する製造方法からも明らかなように、第1のマイクロクラック形成電極26、28と第2のマイクロクラック形成電極27、29との電位を異なるものとすることでこれら2つの電極の間に電界を印加することができるので、極めて容易に圧電セラミックスプレート6c〜6eにマイクロクラックを形成可能である。
さらに、本実施の形態によるアクチュエータユニット6においては積層された複数の圧電セラミックスプレート6b〜6fの間に共通電極21、23と個別電極22、24とが積層方向に交互に配置されていると共に圧電セラミックスプレート6b〜6fの間に第1のマイクロクラック形成電極26、28と第2のマイクロクラック形成電極27、29とが積層方向に交互に配置されているので、圧電セラミックスプレート6c〜6eのそれぞれが第1のマイクロクラック形成電極26、28と第2のマイクロクラック形成電極27、29とによって挟まれることになる。そのため、後で説明する製造方法からも明らかなように、電極間距離が比較的小さくなって、マイクロクラック形成の際に第2のマイクロクラック形成電極27、29に非常に大きな電位を与える必要がなくなる。また、3枚の圧電セラミックスプレート6c〜6eにマイクロクラック領域30を形成することができるので、1枚の圧電セラミックスプレートだけにマイクロクラックを形成する場合と比較して活性部25間のクロストークを効果的に低減することができる。
また、本実施の形態によるインクジェットヘッド1は、アクチュエータユニット6がマイクロクラック領域30の下方において流路ユニット7の隔壁10aに固定されたものである。そのため、活性部25の変形を圧力室10の容積変化として有効に使用できるので、良好なエネルギー効率が得られるという利点がある。
次に、本実施の形態によるアクチュエータユニットを含むインクジェットヘッド1の製造方法についてその工程図である図7を参照しつつ説明する。図1〜図5で説明したようなインクジェットヘッド1を製造するには、流路ユニット7及びアクチュエータユニット6などの部品を別々に作製し、それから各部品を組み付ける。
流路ユニット7を作製するには、図2に描かれた4枚のプレート7a〜7dをそれぞれ独立して作製した後に、これらが位置合わせされて積層された状態で接着剤を用いてこれらを互いに接着する。なお、プレート7a〜7cに圧力室10や連通孔11などを形成するのにはエッチング加工が用いられ、プレート7dにノズル9を形成するのにはレーザ加工が用いられる(ステップS1)。
一方、アクチュエータユニット6を作製するには、まず、個別電極22、24及び第2のマイクロクラック形成電極27、29が導電性ペーストでそれぞれスクリーン印刷された圧電セラミックスのグリーンシート2枚と、共通電極21、23及び第1のマイクロクラック形成電極26、28が導電性ペーストでそれぞれスクリーン印刷された圧電セラミックスのグリーンシート2枚とを交互に積層し、さらにその上に、何も印刷されていない圧電セラミックスのグリーンシート1枚と、表面電極3が導電性ペーストでスクリーン印刷された圧電セラミックスのグリーンシート1枚とを順次積層する(ステップS2)。これによって、アクチュエータユニット6となる電極複合体が得られる。
そして、ステップS2で得られた電極複合体を公知のセラミックスと同様に脱脂し、所定の温度で焼成する(ステップS3)。これにより、上述したようなアクチュエータユニット6を比較的容易に作製することができる。なお、アクチュエータユニット6は、予め焼成による収縮量を見込んで設計される。
しかる後、流路ユニット7とアクチュエータユニット6とが、活性部25の位置と圧力室10の位置とを合わせて、熱硬化性接着剤を用いて貼り合わされると共に、アクチュエータユニット6と別途用意されたFPC5とが表面電極3とこれに対応するFPC5上の電極とがそれぞれ重なるように半田を用いて貼り合わされる(ステップS4)。なお、このFPC5の貼り合わせは、後述するステップS5の後で行ってもよい。この場合、マイクロクラック形成電極26〜29への電界の印加はFPC5とは別の手段で行われる。
その後、第1のマイクロクラック形成電極26、28の電位をグランド電位に保持した状態においてFPC5から第2のマイクロクラック形成電極27、29に高電位を与えることで、第1のマイクロクラック形成電極26、28と第2のマイクロクラック形成電極27、29とによって挟まれた部分の圧電セラミックスプレート6c〜6eにその絶縁破壊限界を超える高い電界(例えば、インク噴射動作時に印加される電界の8〜30倍である6.4kV/mm〜24kV/mm程度以上)を印加する。これによって、当該部分は局所的な絶縁破壊により多数のマイクロクラックが形成されたマイクロクラック領域30となる(ステップS5)。
そして、共通電極21、23の電位をグランド電位に保持した状態においてFPC5から個別電極22、24に高電位(ステップS5で第2のマイクロクラック形成電極27、29に与えられるよりも低い電位)を与えることで、共通電極21、23と個別電極22、24とによって挟まれた部分の圧電セラミックスプレート6c〜6eにその絶縁破壊限界を超えない高い電界(例えば、インク噴射動作時に印加される電界の2〜8倍である1.6kV/mm〜6.4kV/mm程度)を印加する。これによって、当該部分は分極されて、インク噴射動作時に圧電セラミックスプレート6c〜6eの面方向に対して実質的に垂直な方向に変形可能な活性部25となる(ステップS6)。以上の工程を経ることによって、インクジェットヘッド1が完成する。
上述した製造方法には、第1のマイクロクラック形成電極26、28と第2のマイクロクラック形成電極27、29との間の圧電セラミックスプレート6c〜6eに高い電界を印加することで極めて短時間にマイクロクラックを形成可能であるという利点がある。また、高い位置精度でマイクロクラックを形成することができるという利点もある。さらに、加工後に洗浄工程が不要であるので、上述したように機械加工で活性部25間に溝を作る場合に比較して、容易且つ短時間にクロストークが低減されたアクチュエータユニット6を作製可能である。
なお、ここではアクチュエータユニット6と流路ユニット7とを貼り合わせてから活性部25及びマイクロクラック領域30を形成したが、活性部25及びマイクロクラック領域30を形成してからアクチュエータユニット6と流路ユニット7とを貼り合わせてもよい。また、ステップS5のマイクロクラック形成工程とステップS6の活性部形成工程とは順序を入れ替えて行っても何ら支障はない。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る液体圧力発生機構であるアクチュエータユニットを含むインクジェットヘッドについて図8を参照して説明する。図8は、図2と同様にインクジェットヘッドをその長手方向に沿って切断した部分断面図である。なお、本実施の形態において第1の実施の形態と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すインクジェットヘッド41では、アクチュエータユニット46に含まれる圧電セラミックスプレート6c上の共通電極43(グランド電位に保持されている)は、面方向に隣接する一方の活性部25との中間付近にまで延在している。面方向に隣接する2つの活性部25の間には、1枚の第1のマイクロクラック形成電極(第3の電極)42が圧電セラミックスプレート6fの下側に配置されているだけで、上述した第1の実施の形態のようにこれと対になる第2のマイクロクラック形成電極は設けられていない。そして、共通電極43の図8中右側への延在部分と第1のマイクロクラック形成電極42とによって挟まれた4枚の圧電セラミックスプレート6c〜6fの当該挟まれた領域だけがマイクロクラック領域44となっている。第1のマイクロクラック形成電極42は端子47に接続されている。インクジェットヘッド41は、ここで説明した以外は、第1の実施の形態で説明したインクジェットヘッド1と同様に構成されている。
図8に示したインクジェットヘッド41の製造手順は図7で説明したのと概ね同様である。ただし、本実施の形態の場合、ステップS5において端子47を介して第1のマイクロクラック形成電極42に高電位が与えられる。すると、第1のマイクロクラック形成電極42と共通電極43との間に高電界が印加され、両者に挟まれた部分がマイクロクラック領域44となる。
本実施の形態による液体圧力発生機構であるアクチュエータユニット46によると、第1の実施の形態と同様に、隣接する2つの活性部25の間において4枚の圧電セラミックスプレート6c〜6fにマイクロクラック領域44が設けられているので、インク噴射時に隣接する活性部25への変位の伝播が一部遮断されて隣接する活性部25同士のクロストークを低減することができる。したがって、高い印刷品質での印刷が可能となる。そのほか、第1の実施の形態で得られたのと同様の効果が得られる。
ただし、本実施の形態によるアクチュエータユニット46においてはマイクロクラック領域44が形成された圧電セラミックスプレート6c〜6f間にそれぞれマイクロクラック形成電極が配置されておらず、これら4枚の圧電セラミックスプレート6c〜6f群の両側だけにこれらプレート群を挟み込む電極42、43が配置されているだけである。そのため、電極間距離が大きくなるので、第1のマイクロクラック形成電極42に与える電位を第1の実施の形態において第2のマイクロクラック形成電極27、29に与えられる電位の数倍程度の非常に高いものとする必要がある。
また、本実施の形態によると、第1のマイクロクラック形成電極42と対になる第2のマイクロクラック形成電極を設ける必要がないために、アクチュエータユニット46内部の配線構造が簡略化できる。したがって、アクチュエータユニット46の製造が容易となる。
さらに、本実施の形態の場合、第1のマイクロクラック形成電極42が1枚だけ設けられており、これに対応して2枚の共通電極23、43のうち1枚だけが隣接する活性部25との中間付近にまで延在していることで、4枚の圧電セラミックスプレート6c〜6fが第1のマイクロクラック形成電極42と共通電極43とによって挟まれることになる。つまり、マイクロクラック領域44が第1の実施の形態よりも多くの枚数の圧電セラミックスプレートに跨って形成されているために、より優れたクロストーク低減効果が得られる。しかも、第1のマイクロクラック形成電極が2枚設けられ且つ2枚の共通電極が隣接する一方の活性部25との中間付近にまで延在している場合と比較して構造が簡略化されるため、構造が簡単で歩留まりが向上するという利益が得られる。
なお、本実施の形態では共通電極43を隣接する活性部25との中間付近にまで延在させているが、その代わりとして個別電極を隣接する活性部25との中間付近にまで延在させてもよい。その場合、マイクロクラック領域44を形成する際に、当該延在させた個別電極に高電位が与えられ且つ第1のマイクロクラック形成電極42はグランド電位に保持される。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る液体圧力発生機構であるアクチュエータユニットを含むインクジェットヘッドについて図9を参照して説明する。図9は、図2と同様にインクジェットヘッドをその長手方向に沿って切断した部分断面図である。なお、本実施の形態において第1の実施の形態と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示すインクジェットヘッド51において、アクチュエータユニット56内の隣接する活性部25間に、上述した第1及び第2の実施の形態とは異なり、マイクロクラック形成電極は配置されていない。それにも拘わらず、面方向に隣接する活性部25間の5枚の圧電セラミックスプレート6a〜6eにはマイクロクラック領域54が形成されている。これは、上述した第1及び第2の実施の形態とは異なる方法でマイクロクラック領域54が形成されていることを意味する。インクジェットヘッド51は、ここで説明した以外は、第1の実施の形態で説明したインクジェットヘッド1と同様に構成されている。
本実施の形態による液体圧力発生機構であるアクチュエータユニット56によると、第1及び第2の実施の形態と同様に、隣接する2つの活性部25の間において5枚の圧電セラミックスプレート6a〜6eにマイクロクラック領域44が設けられているので、インク噴射時に隣接する活性部25への変位の伝播がかなり遮断されて隣接する活性部25同士のクロストークを大幅に低減することができる。したがって、高い印刷品質での印刷が可能となる。そのほか、第1の実施の形態で得られたのと同様の効果が得られる。
次に、図9に示したインクジェットヘッド51の製造方法について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
まず、図7のステップS2で第1及び第2のマイクロクラック形成電極となる導電性ペーストをグリーンシート上に印刷せず、共通電極21、23及び個別電極22、24となる導電性ペーストをグリーンシート上に印刷する。
その後、ステップS3のグリーンシートの焼成工程後にできたアクチュエータユニット56と、ステップS1で作製された流路ユニット7とをステップS4で貼り合わせる。これにより、マイクロクラック領域54及び活性部25が形成されていない以外は図9に示すインクジェットヘッド51と同様に構成された、図10に示すインクジェットヘッド51になるべき構造物58が得られる。
その後、ステップS5で、図11に示すように、圧電セラミックスプレート6aの表面の面方向に隣接する活性部25間にレーザビーム59を照射する。このとき、レーザビーム59のレーザ源としては例えばYAGレーザのように被照射物に熱を加えることができるものが用いられ、そのレーザ照射条件は、例えば、ノーマルパルスYAGレーザ(1.06μm)、照射エネルギー1〜10J、パルス幅0.2〜2msである。このレーザ照射によって、面方向に隣接する活性部25間の圧電セラミックスプレート6a〜6dにはマイクロクラック領域54が形成される。
その後、アクチュエータユニット56上にFPC5を貼り合わせ、ステップS6でFPC5を介して個別電極22、24に高電位を与えることで、圧電セラミックスプレート6c〜6eに活性部25を形成する。このような工程を経ることで、図9に示したようなインクジェットヘッド51を製造することができる。
なお、本実施の形態の製造方法において、ステップS5でレーザビーム59を照射する代わりとして、図12に示すように、圧電セラミックスプレート6aの表面の面方向に隣接する活性部25間を圧子60で押圧してもよい。このとき、圧子60としては例えば先端に人造ダイヤモンドが配置されたものが用いられ、その押圧条件は、例えば、マイクロビッカース圧子において荷重50〜500gfである。このように圧子60での押圧によっても、面方向に隣接する活性部25間の圧電セラミックスプレート6a〜6dにマイクロクラック領域54を形成することができる。
本実施の形態による製造方法によると、高い位置精度でマイクロクラックを形成することができる。さらに、加工後に洗浄工程が不要であるので、上述したように機械加工で活性部25間に溝を作る場合に比較して、容易且つ短時間にクロストークが低減されたアクチュエータユニット56を作製可能である。
なお、上述した第1及び第2の実施の形態のように高電界を印加することで形成されたマイクロクラックと、レーザビーム59を照射することで形成されたマイクロクラックと、圧子60で押圧することで形成されたマイクロクラックとは、その構造(クラックの長さやクラック間の間隙、クラック密度など)が異なるが、いずれの方法によって形成されたマイクロクラックも十分なクロストーク低減効果を発揮することが本発明者によって確認されている。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。例えば、上述した実施の形態以外の方法で隣接する活性部間にマイクロクラック領域が形成されてもよい。また、マイクロクラック領域は必ずしも隣接する活性部間を遮断するように連続的に形成されている必要はなく、不連続的に形成されていてもよい。
また、上述した実施の形態では複数枚の圧電セラミックスプレートに跨ってマイクロクラック領域が形成されているが、マイクロクラック領域は1枚の圧電セラミックスプレートにだけ形成されていてもよい。同様に、活性部も1枚の圧電セラミックスプレートにだけ形成されていてよい。また、アクチュエータユニット内における圧電セラミックスプレートの積層数は複数枚に限らず、1枚だけであってもよい。
また、上述した実施の形態で説明したインクジェットプリンタと同様に構成された液滴噴射装置において、噴射媒体として導電ペーストを用いることにより、極めて微細な電気回路パターンを印刷したり、或いは、噴射媒体として有機発光体を用いることにより有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD)などの高精細ディスプレイデバイスを作成したりすることもできる。そのほか、上述した実施の形態で説明したインクジェットプリンタと同様に構成された液滴噴射装置は、微小なドットを被印刷媒体上に形成する用途であれば、極めて広範に用いることができる。