JP2008045074A - 水素化高分子量体の製造方法 - Google Patents

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一真 井上
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Abstract

【課題】 特定のチーグラー型触媒を用いて、より高い触媒効率で、芳香族基を有する高分子量体などの不飽和結合を有する高分子量体から水素化された高分子量体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 第VIII族の金属からなる金属化合物、炭素数12以上のアルキルアルミニウムおよび水を、該金属化合物に含まれる第VIII族の金属原子1モルに対して該アルキルアルミニウム原子に含まれるアルミニウム原子が0.1〜10モルとなり、かつ該アルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子1モルに対して水が0.1〜5モルとなる割合で用いて調製される触媒の存在下に不飽和結合を有する高分子量体を水素化する水素化高分子量体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学材料やエンジニアリングプラスチックの製造などに有効な水素化高分子量体の製造方法に関する。
従来、芳香族基を有する高分子量体を水素化する方法としては、白金などの貴金属を触媒として使用する方法およびニッケルなどのベースメタルを担体に担持させた担持触媒を触媒として使用する方法が知られている(特許文献1〜4参照)。
しかしながら、担持触媒を高分子量体の水素化に使用した場合、高分子量体により担持触媒が被覆されて、触媒活性が低下したり、反応終了後に担持触媒を除去することが困難となり操作性が低下したりするといった問題があった。また、担持触媒を高分子量体の水素化に使用する場合には、低分子量体に使用する場合よりも機械強度が必要となるが、担体の機械強度が不足した場合には、担体が微粉化し、除去性がさらに低下するだけでなく、微粉混入により望む製品が取得できないなどの問題点を有していた。
また、ニッケル、コバルトなどの金属塩を、アルキルアルミニウムなどの還元剤により還元して生成させる所謂、チーグラー型触媒が分子水素により水素化する際の水素化触媒として機能することが知られており、これらの触媒を用いた水素化の高分子量体への適用例が知られており(非特許文献1および2参照)、高分子量体が有するビニル結合の選択的な水素化が検討されている。
さらに、共役ジエン重合体ブロックおよびモノビニルアレーン重合体ブロックを含むブロック共重合体をアルキルアルミニウム化合物とニッケル塩またはコバルト塩からなる特定の遷移金属塩との反応生成物から実質的になる触媒を使用して水素化する際に、特定の段階でエーテル、アミン、アルコールまたは酸素を触媒変性剤として添加して、芳香族性の不飽和部分の少なくとも40%を水素化する方法が知られている(特許文献5参照)。
特表平11−504959号公報 特開2000−095815号公報 英国特許出願公告第933127号明細書 特開平1−178505号公報 米国特許第3644588号明細書 ヨーロピアン ポリマー ジャーナル(European Polymer Journal)、36巻、9号、1817−1834頁、2000年 ヨーロピアン ポリマー ジャーナル(European Polymer Journal)、39巻、6号、1151−1167頁、2003年
しかしながら、非特許文献1や2に記載された方法では、本発明者らの追試によると、芳香族基を水素化する活性を有しておらず、ビニル基の水素化に関しても工業的により生産性を高めるには更なる水素化活性向上の必要があった。また、特許文献5に記載された方法についても、芳香族基の水素化活性については満足のいくものではなかった。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、特定のチーグラー型触媒を用いて、より高い触媒効率で、芳香族基を有する高分子量体などの不飽和結合を有する高分子量体から水素化された高分子量体を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定量の水の存在下に調製した特定のチーグラー型触媒を使用することにより、芳香族基を有する高分子量体の水素化において、高い触媒効率で、芳香族基が水素化された高分子量体が得られることを見出し、さらに検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
<1> 第VIII族の金属からなる金属化合物、炭素数12以上のアルキルアルミニウムおよび水を、該金属化合物に含まれる第VIII族の金属原子1モルに対して該アルキルアルミニウム原子に含まれるアルミニウム原子が0.1〜10モルとなり、かつ該アルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子1モルに対して水が0.1〜5モルとなる割合で用いて調製される触媒の存在下に不飽和結合を有する高分子量体を水素化する水素化高分子量体の製造方法、
<2> 不飽和結合を有する高分子量体が芳香族基を有する高分子量体である、上記<1>の水素化高分子量体の製造方法、
に関する。
本発明によれば、より高い触媒効率で、芳香族基を有する高分子量体などの不飽和結合を有する高分子量体から水素化された高分子量体を製造する方法を提供することができる。
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明においては、不飽和結合を有する高分子量体を触媒の存在下に水素化する。該触媒は、第VIII族の金属からなる金属化合物、炭素数12以上のアルキルアルミニウムおよび水を、該金属化合物に含まれる第VIII族の金属原子1モルに対して該アルキルアルミニウム原子に含まれるアルミニウム原子が0.1〜10モルとなり、かつ該アルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子1モルに対して水が0.1〜5モルとなる割合で用いて調製される。
本発明で使用される第VIII族の金属からなる金属化合物における、第VIII族の金属としては、第VIII族の金属である限り特に限定されるものではないが、ニッケル、コバルト、鉄、銅などを使用することができる。そして、第VIII族の金属からなる金属化合物としては、第VIII族の金属の塩を使用することができる。第VIII族の金属の塩の具体例としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、安息香酸、ナフトエ酸等の有機酸の第VIII族金属塩;塩酸、硫酸等の鉱酸の第VIII族金属塩;第VIII族金属のアセチルアセトネートやジベンゾイルメタネート等の第VIII族金属のエノレート;第VIII族金属のメトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、フェノキサイド等の第VIII族金属のアルコキサイドなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても構わない。これらの中でも、得られる触媒の水素化活性を高めることができることから、第VIII族の金属としては、ニッケルまたはコバルトが好ましく、第VIII族の金属からなる金属化合物としては、オクタン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフトエ酸ニッケルが好ましい。
本発明で使用される炭素数が12以上のアルキルアルミニウムとは、該アルキルアルミニウムにおける総炭素数が12以上のものである。アルキルアルミニウムの総炭素数が11以下の場合には、本発明において使用される水との反応性が高すぎて危険であるばかりでなく、アルキルアルミニウムの還元性が著しく低下して目的とする触媒活性を発現できなかったり、反応物が析出し操作が困難になったりする。
炭素数12以上のアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルペンチルアルミニウム、トリイソアミルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリヘプチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、ジオクチルメチルアルミニウム、ジオクチルエチルアルミニウム、エチルジペンチルアルミニウムなどを挙げることができる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用しても差し支えない。これらの中でも、入手性、安全性の観点から、炭素数が12以上のアルキルアルミニウムは、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムであることが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない範囲において、炭素数12以上のアルキルアルミニウムとともに、炭素数が11以下のアルキルアルミニウムを少量、好ましくは炭素数12以上のアルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子1モルに対して、炭素数が11以下のアルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子0.2モル以下となる割合で併用してもよい。
触媒を調製する際における炭素数12以上のアルキルアルミニウムの使用量は使用する第VIII族の金属からなる金属化合物に含まれる第VIII族の金属原子1モルに対して該アルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子が0.1〜10モルとなる量であり、経済性、操作性を考慮して、0.1〜5モルとなる量であることが好ましい。
本発明で使用する触媒を調製する際には、水を使用する。水の使用量は、炭素数12以上のアルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子1モルに対して、0.1〜5モルとなる量である。水の使用量が該範囲よりも少ない場合には、得られる触媒の活性向上に寄与せず、また該範囲よりも多い場合には、炭素数12以上のアルキルアルミニウムの還元力を過度に低下させ、所望の触媒活性が得られなかったり、不溶物の析出を助長したりする。水の使用量は、炭素数12以上のアルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子1モルに対して、0.2〜4.5モルの範囲内にあることが好ましく、0.5〜4モルの範囲内にあることがより好ましい。
なお、本発明を何ら限定するものではないが、水は、炭素数12以上のアルキルアルミニウムの一部を不活性化し、該アルキルアルミニウムが有する、第VIII族の金属からなる金属化合物を還元する能力を低下させ、これにより該金属化合物が有する第VIII族の金属の一部が未還元のままとなり、高い水素化活性を有する反応部位を多く有する触媒が得られるものと推測される。
触媒の調製方法としては、例えば、炭素数12以上のアルキルアルミニウムと水との混合物をあらかじめ調製し、該混合物と第VIII族の金属からなる金属化合物とを混合する方法、第VIII族の金属からなる金属化合物と水との混合物をあらかじめ調製し、該混合物と炭素数12以上のアルキルアルミニウムとを混合する方法、第VIII族の金属からなる金属化合物と炭素数12以上のアルキルアルミニウムとの混合物をあらかじめ調製し、該混合物と水とを混合する方法、第VIII族の金属からなる金属化合物、炭素数12以上のアルキルアルミニウムおよび水を一括して混合する方法などを挙げることができ、より高い水素化能力を発現させることができることから、第VIII族の金属からなる金属化合物と水との混合物をあらかじめ調製し、該混合物と炭素数12以上のアルキルアルミニウムとを混合する方法が好ましい。なお、上記の各混合物においては、それぞれの成分が単に混合された状態であっても、互いに反応していてもよい。また、各混合物には、所望により、後述する溶媒を含有していてもよい。
上記の溶媒としては、第VIII族の金属からなる金属化合物および炭素数12以上のアルキルアルミニウムと反応しないものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、デカン、ドデカン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等のエーテルなどを使用することができる。溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。上記の溶媒の中でも、生成する触媒の安定性などを考慮すると、飽和炭化水素が好ましく、水素化を行う際に、使用する不飽和結合を有する高分子量体や得られる水素化高分子量体の溶解度が良好であり、触媒を調製した後に溶媒を除去することなくそのまま使用することができることから、シクロヘキサン、オクタン、シクロオクタンがより好ましい。
触媒を調製する際の溶媒の使用量としては、第VIII族の金属からなる金属化合物100質量部に対して、100〜20000質量部であることが好ましく、120〜15000質量部であることがより好ましく、200〜10000質量部であることがさらに好ましい。
触媒の調製温度としては、特に限定されないが、低すぎると炭素数12以上のアルキルアルミニウムの還元力を過度に低下させ、所望の触媒活性を有する触媒が得られなくなる場合があり、また高すぎると触媒の安定性が低下する場合があることから、通常、−10〜100℃の範囲内にあることが好ましく、操作性を考慮して、0〜90℃の範囲内にあることがより好ましく、20〜80℃の範囲内にあることがさらに好ましい。
触媒の調製は、窒素、アルゴンなどの不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましく、特に酸素との接触は、触媒の不活性化を助長する傾向が強いことから避けることが好ましい。
上記のように調製された触媒は、調製後、長時間活性を保持することができる。そのため、上記のように触媒を調製した後、速やかに水素化反応に使用しても、1週間程度保存した後に使用してもかまわない。通常、調製後数日以内に使用することが好ましい。なお、触媒を保存する際の雰囲気としては、窒素、アルゴンなどの不活性気体または水素存在下であることが好ましい。酸素との接触は、触媒の酸化や不活性化をもたらす傾向が強いことから避けることが好ましい。保存温度としては特に限定されるものではないが、通常、常温から40℃の範囲で保存することが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記の触媒の存在下に、不飽和結合を有する高分子量体を水素化する。触媒の使用量としては、使用する不飽和結合を有する高分子量体や触媒の種類や水素化条件等にもよるが、経済性を考慮して、不飽和結合を有する高分子量体の不飽和結合1モルに対して、触媒に含まれる第VIII族の金属原子が0.000001〜10モルとなる量であることが好ましく、0.00001〜1モルとなる量であることがより好ましく、0.00002〜0.1モルとなる量であることがさらに好ましい。
本発明において水素化の対象となる不飽和結合を有する高分子量体とは、高分子量体の分子鎖中または側鎖にオレフィン性の不飽和結合や芳香族性の不飽和結合を有する重合体を意味する。かかる重合体の具体例としては、共役ジエンの単独重合体、2種以上の共役ジエンの共重合体、共役ジエンとオレフィン性単量体の共重合体、ノルボルネン系重合体、シクロペンテン系重合体、芳香族ビニル化合物の単独重合体、2種以上の芳香族ビニル化合物の共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエンの共重合体、芳香族ビニル化合物とオレフィン性単量体の共重合体などが挙げられるが、本発明の製造方法は、芳香族ビニル化合物の単独重合体、2種以上の芳香族ビニル化合物の共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエンの共重合体、芳香族ビニル化合物とオレフィン性単量体の共重合体などの芳香族基を有する高分子量体に適用すると特に効果的である。
ここで、2種以上の共役ジエンの共重合体、共役ジエンとオレフィン性単量体の共重合体、2種以上の芳香族ビニル化合物の共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエンの共重合体、および芳香族ビニル化合物とオレフィン性単量体の共重合体における各構成成分の比率には特に制限はないが、不飽和結合を有する高分子量体として、芳香族基を有する高分子量体を用いる場合には、該高分子量体を構成する全構造単位のモル数に対する芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位のモル数の割合が、5〜100%の範囲にあることが好ましく10〜100%の範囲にあることがより好ましく、20〜100%の範囲にあることがさらに好ましい。
上記した共重合体の分子構造は、ブロック状、ランダム状、テーパー状のいずれであってもよい。また、上記の不飽和結合を有する高分子量体にあっては、共役ジエンに由来する部分のミクロ構造は特に制限されない。
上記の共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどが挙げられるが、これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンがより好ましい。
また、上記のオレフィン性単量体としては、例えば、ビニルフラン、アクリロニトリル、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
さらに、上記の芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、オルトメチルスチレン、パラメチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、クマロン、インデン、ビニルピリジンなどが挙げられ、これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンを好ましく使用することができる。
また、本発明において用いられる不飽和結合を有する高分子量体の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、1,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、8,000〜80,000の範囲にあることがより好ましい。なお、ここでいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
また、本発明において用いられる不飽和結合を有する高分子量体は、分子末端または分子鎖中に水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基などの官能基を有していてもよい。
さらに、本発明において用いられる不飽和結合を有する高分子量体の形態としては、特に制限はなく、直鎖状、分岐状、星型のいずれであってもよい。本発明において用いられる不飽和結合を有する高分子量体の製造方法としては特に制限はなく、公知のいかなる方法を利用してもよい。
上述した触媒の存在下に不飽和結合を有する高分子量体を水素化することにより、水素化高分子量体を得ることができる。より具体的には、例えば、反応容器に不飽和結合を有する高分子量体と、所望により溶媒とを仕込み、これに別途調製した触媒を添加して、その後、該反応容器に水素を導入することにより水素化を行うことができる。触媒を添加する前に反応容器にあらかじめ水素を導入してもよい。また、触媒は、水素化前にすべてを反応容器に添加しても、一部の触媒により水素化を開始し、水素化中に残りの触媒を添加してもよい。
該水素化においては、不飽和結合を有する高分子量体中の不飽和結合のすべてが水素化されても、一部が水素化されてもよい。具体的な水素化率(不飽和結合を有する高分子量体が有する全不飽和結合数(モル数)に対する水素化された不飽和結合数(モル数)の占める割合)としては、20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましい。
また、不飽和結合を有する高分子量体として、芳香族基を有する高分子量体を使用した場合には、水素化により、芳香族基が水素化された水素化高分子量体を得ることができる。水素化前の、芳香族基を有する高分子量体が有する芳香族性の不飽和結合の全モル数に対する、水素化後の、水素化高分子量体が有する水素化された芳香族性の不飽和結合の全モル数の割合としては、20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
水素化において使用される溶媒としては、触媒と反応して活性を低下させるものでなければ特に限定されるものではないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、デカン、ドデカン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等のエーテルなどが使用できる。これらの中でも、飽和炭化水素の使用が好ましく、使用する不飽和結合を有する高分子量体や、得られる水素化高分子量体の溶解度を考慮するとシクロヘキサン、オクタン、シクロオクタンがより好ましい。
使用する溶媒の量としては、操作性、生産性を低下させなければ、特に限定されず、水素化前の状態において不飽和結合を有する高分子量体が0.1〜50質量%となる量であることが好ましく、水素の拡散性を考慮して1〜40質量%となる量であることがより好ましい。
水素化時の水素圧力としては、触媒の活性を低下させない範囲であればよく、ゲージ圧として、通常、0〜10MPaの範囲にあることが好ましく、反応器の特殊性、安全性、生産性を考慮して、0.1〜2MPaの範囲内にあることがより好ましく、0.2〜1.8MPaの範囲内にあることがさらに好ましい。
水素化の温度としては、触媒の活性を低下させない範囲であればよく、10〜200℃の範囲内にあることが好ましく、60〜180℃の範囲内にあることがさらに好ましい。
水素化の反応時間としては、使用する触媒や水素化条件などによって適宜変更可能であるが、0.1〜30時間が好ましい。また、水素化中において反応溶液のサンプリングを行い、水素化の進行をモニタリングし、所望の水素化率に達した時点で水素化を停止することができる。水素化の停止方法としては、例えば、酸性水溶液を添加する方法、水素の供給を停止する方法などが挙げられる。
水素化は、攪拌機、気泡塔などの反応容器中で行うことができ、また連続式またはバッチ式のいずれの方式でも行うことができる。
以上説明した水素化により得られる水素化高分子量体は、通常、反応溶液を有機酸または無機酸の水溶液に接触させることによって反応溶液から触媒を除去した後、公知の方法に従って処理することによって取得することができる。高分子量体溶液の処理方法としては、例えば、高分子量体溶液を水蒸気とともに熱水中に投入し、溶媒を水蒸気蒸留により除去し、水素化高分子量体をクラム形態で回収する方法(スチームストリッピング法);高分子量体溶液を直接加熱し、溶媒を留去する方法;水素化高分子量体の貧溶媒中に高分子量体溶液を投入し、水素化高分子量体を沈殿させる方法などが挙げられる。
本発明の水素化高分子量体は、耐熱性透明樹脂や光学用透明樹脂として、導光体や光学レンズ等に好ましく使用することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において反応を追跡する際のH−NMR測定は以下のようにしておこなった。
H−NMR]
装置:日本電子株式会社 JNM−GSX270
溶媒:CDCl(標準物質:テトラメチルシラン)
測定温度:30℃
測定サンプル:反応の各時点においてサンプリングしたサンプリング液から溶媒を除去し、これに内部標準として1,4−ジニトロベンゼンを加えたものを測定した。
<製造例1> 触媒の調製
50ml3口フラスコに、還流管、温度計、攪拌機を装着し、フラスコ内を十分に窒素で置換した。そこに、シクロヘキサン8.5ml、オクタン酸ニッケル(II)シクロヘキサン溶液1.70ml(ニッケル含量2.92mmol)、水0.11g(6.11mmol)を加え、攪拌しながら、60℃に昇温した。
フラスコ内の温度が安定した後、トリイソブチルアルミニウムのシクロヘキサン溶液9.63ml(アルミニウム含量8.76mmol)を内温を観測しながら、15分かけて滴下した。その際、内温は68℃まで昇温した。これを更に1時間攪拌し、水冷により25℃まで冷却して触媒を調製した。
<実施例1>
攪拌機、温度計、サンプリング管を装着した1000mlガラス製オートクレーブに、スチレン−ブタジエン−スチレン(スチレン含量32モル%、数平均分子量70,000、株式会社クラレ製)のトリブロック共重合体80gをシクロヘキサン400gに溶解して添加した。容器内を窒素置換し、さらに水素置換した後、100℃に昇温、さらに水素圧を1MPa(ゲージ圧)にセットした。毎時2Lの水素オフガスを流し、反応系内の水素拡散を一定化した。そこに、製造例1で調製した触媒1.9ml(ニッケル含量0.29mmol)を圧送し、反応を開始した。反応液をサンプリングし、H−NMRによって反応を追跡した。追跡結果を表1に示す。23時間の後、常温に冷却し、水素を窒素置換した後、クエン酸0.3gおよび30質量%過酸化水素水0.5gを加えて触媒を水溶性に変化させた後、水200gで水洗して触媒を除去し、さらに溶媒を減圧留去し、水素化トリブロック共重合体78.6gを得た。
<実施例2>
トリブロック共重合体をポリスチレン(数平均分子量40,000、和光純薬製)80gに代えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。
結果を表1に示す。
<実施例3>
製造例1において、トリイソブチルアルミニウムのシクロヘキサン溶液9.63ml(アルミニウム含量8.76mmol)に代えて、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムのヘキサン溶液9.67ml(アルミニウム含量8.77mmol)を使用した以外は、製造例1と同様にして触媒の調製を行い、該触媒(ニッケル含量0.29mmol)を用いて、上記実施例1と同様の方法によって水素化を行った。
結果を表1に示す。
<実施例4>
製造例1において、水の使用量を0.21g(11.68mmol)に変更した以外は製造例1と同様にして触媒の調製を行い、該触媒(ニッケル含量0.29mmol)を用いて、上記実施例1と同様の方法によって水素化をおこなった。
結果を表1に示す。
<比較例1>
製造例1において、トリイソブチルアルミニウムに代えて、トリメチルアルミニウムを使用したが、著しい発熱の後、不溶物が析出し、ゲル状となったため反応に使用できる触媒を調製することができなかった。
<比較例2>
製造例1において、トリイソブチルアルミニウムに代えて、トリプロピルアルミニウムを使用したが、著しい発熱の後、不溶物が析出し、ゲル状となったため反応に使用できる触媒を調製することができなかった。
<比較例3>
製造例1において、水を添加しなかった以外は、製造例1と同様にして触媒の調製を行い、該触媒(ニッケル含量0.29mmol)を用いて、上記実施例1と同様の方法によって水素化を行った。
結果を表1に示す。
<比較例4>
製造例1において、水の使用量を1.11g(61.6mmol)に変更した以外は製造例1と同様に行ったが、調製液がゲル化し、水素化反応に使用できる触媒を調製することができなかった。
<比較例5>
製造例1において、水をメタノール0.20g(6.25mmol)に変更した以外は、製造例1と同様にして触媒の調製を行い、該触媒(ニッケル含量0.29mmol)を用いて、上記実施例1と同様の方法によって水素化を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2008045074
本発明によれば、チーグラー型触媒の活性を向上させ、高価な貴金属触媒を使用することなく、容易に不飽和結合が水素化された高分子量体、特に芳香族基が水素化された水素化高分子量体を得ることができる。

Claims (2)

  1. 第VIII族の金属からなる金属化合物、炭素数12以上のアルキルアルミニウムおよび水を、該金属化合物に含まれる第VIII族の金属原子1モルに対して該アルキルアルミニウム原子に含まれるアルミニウム原子が0.1〜10モルとなり、かつ該アルキルアルミニウムに含まれるアルミニウム原子1モルに対して水が0.1〜5モルとなる割合で用いて調製される触媒の存在下に不飽和結合を有する高分子量体を水素化する水素化高分子量体の製造方法。
  2. 不飽和結合を有する高分子量体が芳香族基を有する高分子量体である請求項1記載の水素化高分子量体の製造方法。
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