JP2008038902A - トラクション変速機構付き発電・スタータ装置 - Google Patents

トラクション変速機構付き発電・スタータ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な機構で、軽量化とスペースの節約を達成して、起動時の応答性に優れた変速機構付き発電・スタータ装置を提供する。
【解決手段】航空機エンジンEにより駆動される発電機と前記航空機エンジンEを起動させるスタータモータとを兼ねる回転機50と、航空機エンジンEと回転機50とを接続する定速駆動装置3と、起動時に航空機エンジンEが所定の回転数に達したときに回転機50をスタータモータ動作から発電機動作に切り換えるスタータ制御回路44とを備え、定速駆動装置3は、トラクション無段変速機11、遊星歯車変速機12、およびトラクション無段変速機11と遊星歯車変速機12との間で伝達動力を分配して負担させる動力分流軸15を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機エンジンを起動させるとともにその起動後に自立運転状態となった航空機エンジンの回転出力により回転機を一定回転数で駆動して発電するトラクション変速機構付き発電・スタータ装置に関するものである。
従来、大型航空機においては、エンジン・スタータは圧縮空気によるエア・タービン・スタータが主流で、APU(Auxiliary Power Unit:補助動力装置)ないし機外施設からエンジンまでの圧縮空気配管、バルブ等が必要であった。また、発電機はスタータとは別の装置であった。この発電機としては、無段変速機を用いてエンジンの回転数にかかわらず発電機を一定回転で回して一定周波数を得る、IDG(Integrated Drive Generator:発電機定速駆動装置内蔵型発電装置)方式と、変速機を持たずに変動周波数を発するが、整流が必要な場所では分散配置されたインバータ等で整流を行った上で各電気機器に電力を供給する可変周波数発電方式(Variable Frequency:VF方式)の2方式が主流である。
しかしながら、上記方式はつぎの点で不利である。(1) 発電機とスタータが別々であるために、重量、スペースおよびコストに劣る。(2) エア・タービン・スタータは故障が多く、航空機遅延の要因である。(3) エア・タービン・スタータ用圧縮空気配管が重く、スペースおよびコストがかさむ。(4) VF方式の場合、インバータのような余分な設備がいる。
これまでに、発電機とスタータとを兼ねる回転機を有する発電機航空機用エンジンも提案されており、例えば、変速機として油圧変速機を使用したものがあるが(特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)起動時の油圧制御応答性に限界があり、立ち上げ時に回転数制御が不安定となるおそれがある。変速機としてトラクションを用いたものも知られているが(特許文献4参照)、クラッチ機構を組み込んでいるので、機構が複雑になるなどの課題がある。
米国特許第3,174,855号公報 米国特許第3,786,696号公報 米国特許第4,315,442号公報 英国特許第1,199,145号公報
そこで、本発明は、発電機とスタータとを兼ねた回転機を有し、これをトラクション無段変速機でエンジンに接続することにより、簡単な機構で、重量、スペースを節約し、起動時の応答性に優れた変速機構付き発電・スタータ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るトラクション変速機構付き発電・スタータ装置は、航空機エンジンにより駆動される発電機と前記航空機エンジンを起動させるスタータモータとを兼ねる回転機と、前記航空機エンジンと前記回転機とを接続する定速駆動装置と、起動時に前記航空機エンジンが所定の回転数に達したときに前記回転機をスタータモータ動作から発電機動作に切り換えるスタータ制御回路とを備え、前記定速駆動装置は、トラクション無段変速機、遊星歯車変速機、および前記トラクション無段変速機と遊星歯車変速機との間で伝達動力を分配して負担させる動力分流軸を有している。
この構成によれば、回転機を、スタータ制御回路で制御することよってスタータモータと発電機とに兼用しているので、従来のエア・タービン・スタータと発電機とを個別に設ける場合に比べて、装置全体が簡素化されるのに加えて、圧縮空気配管やバルブ等が不要となるのに伴って、省スペース化、軽量化およびコスト低減を図ることができる。また、トラクション無段変速機は、従来の油圧変速機とは異なり、起動時の制御応答性に優れているから、航空機エンジンの立ち上げ時の回転数制御を高精度に行える。さらに、従来のクラッチ機構を組み合わせて航空機エンジンの起動を行う場合のような構成の複雑化も招かない。
しかも、航空機エンジンと回転機とを接続する定速駆動装置が、トラクション無段変速機を有しているので、従来の専用エア・タービン・スタータを用いる場合よりも高い信頼性を得ることができるとともに、航空機エンジンの起動時にトラクション無段変速機によるトルク増幅効果が得られるので、小さな回転機を用いて航空機エンジンを起動できる利点がある。また、トラクション無段変速機と遊星歯車変速機との間で伝達動力が分配されるから、トラクション無段変速機の負荷が軽減されるので、これに伴ってトラクション無段変速機の長寿命化を図ることができるとともに、トラクション無段変速機自体の重量が軽減する。また、トラクション無段変速機は一般的に伝達可能な動力の上限が低いが、遊星歯車変速機との間で伝達動力を分配させることにより、定速駆動装置における伝達可能な動力の上限を容易に引き上げることができる。
本発明において、前記スタータ制御回路は、起動時に定速駆動装置の変速比を制御することによりエンジンスタートに必要な回転数・トルクを調整する制御機能を有していることが好ましい。この構成によれば、航空機エンジンの起動時に駆動トルクとエンジン回転数の関係を任意に設定して高精度に制御できるので、航空機エンジンにとって最適なスターティング・加速スケジュールを実行することができる。
また、本発明において、前記定速駆動装置は、前記トラクション無段変速機および遊星歯車変速機を備える変速機構を前記航空機エンジンの出力軸に接続する装置入力軸と、前記トラクション無段変速機および遊星歯車変速機を備える変速機構とを有し、前記トラクション無段変速機の変速機入力軸および前記動力分流軸の一端部が、前記装置入力軸に、前記航空機エンジンからの回転駆動力を所定割合で分配させるように接続され、前記トラクション無段変速機の変速機出力軸に前記遊星歯車変速機のサンギヤが形成され、前記動力分流軸の他端部が、前記遊星歯車変速機のリングギヤに接続されていることが好ましい。
この構成によれば、遊星歯車変速機のサンギヤがトラクション無段変速機の変速機出力軸に一体化された構成になっているから、遊星歯車変速機をトラクション無段変速機と同軸に配置することができ、定速駆動装置をコンパクトな設計とすることができる。
また、本発明において、さらに、前記回転機および定速駆動装置を収納するケースを備え、前記回転機と前記トラクション無段変速機の軸心および前記動力分流軸の軸心の3つの軸心が互いに平行に配置され、前記トラクション無段変速機と回転機の間に前記動力分流軸が配置され、軸心方向から見て前記3つの軸心を結ぶ線が三角形を形成していることが好ましい。この構成によれば、動力分流軸を、トラクション無段変速機と回転機との間のスペースを有効利用してこのスペースに配置することにより、装置全体をコンパクト化して小型のケース内に収納することができる。
本発明のトラクション変速機構付き発電・スタータ装置によれば、回転機をスタータモータと発電機とに兼用したことにより、装置全体が簡素化され、かつ圧縮空気配管やバルブ等が不要となるので、省スペース化、軽量化およびコスト低減を図ることができ、しかも、信頼性および起動時の制御応答性に優れたトラクション無段変速機により回転機の立ち上げ時の回転数制御を高精度に行うことができる。また、定速駆動装置が、トラクション無段変速機と遊星歯車変速機と動力分流軸とを有しているので、伝達動力の分配による負荷低減の結果、トラクション無段変速機の長寿命化を図ることができる。さらに、航空機エンジンの起動時にトラクション無段変速機によるトルク増幅効果が得られるので、小さな回転機を用いて航空機エンジンを起動できる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトラクション変速機付き発電・スタータ装置1を示している。この発電・スタータ装置1は、航空機エンジンEにより駆動される交流発電機とエンジンEを起動させるスタータモータとを兼ねた回転機50、エンジンEの回転数の変動にかかわらず回転機50を駆動する駆動回転数を一定に保つ定速駆動装置3、および航空機エンジンEが起動したのちに所定の回転数に達したときに回転機50をスタータモータ動作から発電機動作に切り換えるスタータ駆動装置4を有している。
定速駆動装置3は、変速機構2と、この変速機構2における変速比を制御する制御機構31と、航空機エンジンEの出力軸(図示せず)に接続された装置入力軸13とを備えている。前記変速機構2は、高速トラクション無段変速機11と、2自由度とされた遊星歯車変速機12と、両変速機11,12間で伝達動力を分配して負担させる動力分流軸(アイドラ)15とを有している。
ここで、トラクション無段変速機11と遊星歯車変速機12の関係について説明する。図2に示すように、トラクション無段変速機11は、この実施形態においてダブルキャビティ型トロイダルトラクションドライブ20とされるとともに、その第1および第2のキャビティ21,22の間に、遊星歯車変速機12の主要部であるリングギヤ12aやサンギヤ12bなどが配置された構成とされている。
前記ダブルキャビティ型トロイダルトラクションドライブ20は、変速機入力軸14に沿って第1および第2のキャビティ21,22を所定の間隔を設けて配設してなるものであって、各キャビティ21,22の軸方向外側に入力ディスク21a,22aを配設し、各キャビティ21,22の内側に出力ディスク21b,22bを配設している。前記変速機入力軸14に外嵌してこれと同心の変速機出力軸16が配置されており、両入力ディスク21a,22aを変速機入力軸14で連結するとともに、両出力ディスク21b,22bを変速機出力軸16で連結している。また、この実施形態では、遊星歯車変速機12のサンギヤ12bがトラクション無段変速機11の変速機出力軸16の外周に形成されている。
航空機エンジンEの出力軸に接続された装置入力軸13にはギヤ13aが設けられ、一方、トラクション無段変速機11には前記ギヤ13aと噛合するギヤ14aが設けられ、これにより、トラクション無段変速機11の変速機入力軸14が装置入力軸13に接続されている。また、動力分流軸15の一端に、装置入力軸13に噛合するギヤ15aが設けられ、動力分流軸15の他端にギヤ15bが設けられ、このギヤ15bが遊星歯車変速機12のリングギヤ12aに噛合し、それにより遊星歯車変速機12が装置入力軸13に接続されている。したがって、航空機エンジンEの出力軸から定速駆動機構3に入力される回転動力は、トラクション無段変速機11と、動力分流軸15を介して遊星歯車変速機12とに分配されて負担される。
つぎに、トラクション無段変速機11の構成について説明する。第1および第2のキャビティ21,22は、それぞれ変速機入力軸14と連動して回転する入力ディスク21a,22aと、変速機出力軸16と連動して回転する出力ディスク21b,22bと、入力ディスク21a,22aおよび出力ディスク21b,22bの間に介在する複数(例えば2つ)のパワーローラ21c,22cと、パワーローラ21c,22cの押付力を発生するための動力発生機構23とを備えている。
各パワーローラ21c,22cは、スラスト軸受21e,22eと、公知の支持部材であるトラニオン21f,22fとによって、ローラ軸21d,22d回りの回転を許容し、かつローラ軸21d,22dおよび変速機入力軸14を含む平面内で傾転自在に支持されている。遊星歯車変速機12を回転自在に支持する2種の回転支持部材12e,12fは、変速機出力軸16に装着された軸受12gを介してその変速機出力軸16を回転可能に支持している。また、遊星歯車変速機12の出力はキャリア12dに設けられた出力歯車12hから取り出される。
一方、キャビティ21,22においては、入力ディスク21a,22a、出力ディスク21b,22bおよびパワーローラ21c,22cという3つの転動体が、動力発生機構23の動力により高圧で互いに押し付けられて、その接触部に生じる高粘度潤滑油膜の剪断抵抗によって動力が伝達される。すなわち、入力ディスク21aと出力ディスク21bとの間の駆動力伝達は、その間に配置されたパワー・ローラ21cとの流体摩擦によってなされ、入力ディスク22aと出力ディスク22bとの間の駆動力伝達は、その間に配置されたパワー・ローラ22cとの流体摩擦によってなされる。加速比および減速比、すなわち変速比の変更は、パワー・ローラ21c,21dの傾きである後述の傾転角を制御機構31(図1)によって制御することにより行われる。変速比は所定範囲内、例えば0.5〜2.0の範囲内で任意に変化される。
図3に示すように、パワーローラ21c,22cと入力ディスク21a,22aとが接触する位置をディスク回転軸から測った距離を入力側接触半径Ri とし、パワーローラ21c,22cと出力ディスク21b,22bとが接触する位置をディスク回転軸から測った距離を出力側接触半径Ro とし、変速機入力軸14および入力ディスク21a,22aの回転数をNi とし、変速機出力軸16および出力ディスク21b,22bの回転数をNo とすると、変速比RCVT =No /Ni =Ri /Ro という関係が成立する。そこで、各パワーローラ21c,22cの傾転角θを制御することによって、各接触半径Ri ,Ro が連続的に変化するため、変速比CVT =No /Ni を無段階に変化させることが可能となる。この変速比の制御は図1の制御機構31により行われる。
前記傾転角の調節による変速比の制御は次のようにして行われる。すなわち、図4に示すように、トラニオン21f,22f(図2)の傾転駆動軸(図示せず)に係合されている油圧アクチュエータ51のピストンロッド52を進出あるいは後退させて、傾転駆動軸を回転軸からΔYだけ変位させると、パワーローラ21c,22cに接線方向の力Ftが発生し、その分力Fによりパワーローラ21c,22cが新たな釣り合い位置まで傾転されて、パワーローラ21c,22cの傾転角θ(図2)が変化する。したがって、油圧アクチュエータ51のピストンローッド42の進出量を適宜調節することにより、傾転角シータを所望角度とすることができ、それにより所望の変速比が得られる。
つぎに、遊星歯車変速機12の構成について説明する。図2に示すように、遊星歯車変速機12は、定速駆動装置3の装置入力軸13に動力分流軸15を介して接続されるリングギヤ12aと、トラクション無段変速機11の変速機出力軸16に固定または一体形成して設けられたサンギヤ12bと、リングギヤ12aとサンギヤ12bとの間に嵌め込まれた複数の遊星歯車機構12cと、これら遊星歯車機構12cのサンギヤ12bの軸回りの回転に応じて回転するキャリア12dと、リングギヤ12a、遊星歯車機構12cおよびキャリア12dなどを回転可能に支持する回転支持部材12e,12fとから構成されている。
すなわち、遊星歯車変速機12は、各遊星歯車機構12cが自由に回転できる状態でキャリア12dに固定されている他、リングギヤ12aおよびサンギヤ12bがそれぞれ回転可能とされた2自由度を有するとともに、動力分流軸15を有する構成とされている。これにより、図1の航空機エンジンEから定速駆動装置3に入力された回転動力は、トラクション無段変速機11と、動力分流軸15を介して遊星歯車変速機12とに分配されて負担され、遊星歯車変速機12で合流して変速機入出力軸17から回転機50に伝達される。そのため、回転機50を発電機動作させるための回転駆動力がトラクション無段変速機11を介して全て伝達される場合と比較して、トラクション無段変速機11の負荷が軽減されて、トラクション無段変速機11は動作が安定化されることにより長寿命化が図られ、それに加えて、トラクション無段変速機11自体の重量を軽減できる。また、一般的に無段変速機11により伝達可能な動力の上限は比較的低いが、遊星歯車変速機12との間で動力を分配させることによって、定速駆動装置3における伝達可能な動力の上限を引き上げることが容易となるとともに、遊星歯車変速機12の効率が99%以上であるので、定速駆動装置3全体の動力伝達効率が95%程度に向上する。
また、サンギヤ12bの回転速度を、装置入力軸13の回転速度の変化に応じてトラクション無段変速機11のパワーローラ21c,22cの傾転角θ(図2)を所定の関係を維持しながら変化させることによって、キャリア12dの回転速度を一定に保つことが可能となる。すなわち、変速機入力軸14の回転数の変動をトラクション無段変速機11により相殺するように変速比を制御することにより、キャリア12dの回転速度が一定に保たれる。このキャリア12dの一定の回転出力は、変速機入出力軸(アイドラ)17でさらに増速されたのちに、図1の回転機50に伝達される。
スタータ制御装置4は、航空機エンジンEを停止した状態から起動するための装置であり、APUまたは機外設備などの電源41からの電力を調整して回転機50へ供給する電力調整器42と、航空機エンジンEの回転数を検出するエンジン回転センサ43から入力されるエンジン回転数により電力調整器42を制御するスタータ制御回路44とを有している。電力調整器42として、この実施形態ではオン・オフ・リレーを用いるが、インバータを用いることもできる。エンジン回転センサ43は、例えば装置入力軸13の回転速度を検出するセンサである。
図6に示すように、本実施形態のトラクション変速機構付き発電・スタータ装置1は、定速駆動装置3、スタータ駆動装置4および回転機50などの全ての構成が、二つ割りとなったケース7内に収納されて、コンパクトにまとめれられている。このようにコンパクト化できたのは、トラクション無段変速機11の変速機入力軸14と回転機50の回転支軸50aと遊星歯車変速機12の動力分流軸15との3つの軸心S1〜S3が互いに平行に配置され、トラクション無段変速機11の変速機入力軸14と回転機50の回転支軸50aとの間の中央部上方位置に動力分流軸15が配置されて、図7に示すように、軸心方向から見て前記3つの軸心S1〜S3を結ぶ線が三角形を形成するように配置されていることにより、動力分流軸15をトラクション無段変速機11と回転機50との間のスペースを有効利用して配置できたことによる。また、後述のように、航空機エンジンEの起動時にトラクション無段変速機11が見かけ上トルク増幅機として機能するので、回転機50として小型のものを用いることができるから、この点からも3つの軸心S1〜S3を互いに平行に配置することが容易になっている。
つぎに、実施形態のトラクション変速機構付き発電・スタータ装置1の作用について説明する。停止中の航空機エンジンEを起動させる場合は、電源41からの電力がスタータ駆動装置4の電力調整器42を介して回転機50に供給されることにより、回転機50が始動し、この回転機50の回転駆動力が定速駆動装置3を介して航空機エンジンEに伝達されて、航空機エンジンEが起動する。このとき、スタータ制御装置44のスタータ制御回路44は、エンジン回転センサ43からのエンジン回転数信号を受けて、予め設定されたスターティング・加速スケジュールに従ってエンジンEが起動および加速して、エンジンスタートに必要な回転数およびトルクに達するように、電力調整器42および制御機構31を制御して、回転機50への供給電力および定速駆動装置3の変速比を調整する。
すなわち、航空機エンジンEを起動させるためには大きな駆動トルクが必要となるので、スタータ制御回路44は、制御機構31(図1)に対しトラクション無段変速機11の変速比の制御信号を供給して、図2の変速機入力軸14から変速機出力軸16を見た場合の変速比を増速側に設定するように制御する。これにより、図1の回転機50により駆動される変速機入出力軸17の回転は減速して装置入力軸13から航空機エンジンEの出力軸に伝達されることから、トラクション無段変速機11が見かけ上トルク増幅機として機能することになり、航空機エンジンEには、回転機50の回転トルクが増幅された大きな駆動トルクが作用して、航空機エンジンEが確実に起動される。また、スタータ制御回路44は、予め設定されたスターティング・加速スケジュールに従って変速比を徐々に可変するように制御機構31を制御するとともに、電力調整器42を制御することにより回転機50への供給電力を調整して、航空機エンジンEの回転を徐々に加速させる。このように回転機50がスタータモータとして作用するとき、回転機50から定速駆動装置3に入力された回転動力は、遊星歯車変速機12から動力分流軸15を介してトラクション無段変速機11に分配されて負担され、装置入力軸13に伝達される。
図5は本実施形態に係るトラクション変速機付き発電・スタータ装置1のエンジン回転数と起動時の駆動トルクとの関係を示す。同図において、航空機エンジンEが起動したのちに自立運転状態に入ると、エンジン回数数が所定値まで上昇した時点から駆動トルクが急激に減少する。図1のスタータ制御回路44は、エンジン回転センサ43から入力されるエンジン回転数が所定値に達したときに、航空機エンジンEが自立運転に入ったことを検出して、回転機50への電力供給を遮断するように電力調整器42を制御して、回転機50による航空機エンジンEの回転駆動、つまり回転機50のスタータモータ動作を終了させる。その後、回転機50は定速駆動装置3を介して航空機エンジンEにより回転駆動されることにより、発電機として機能して出力ターミナル30から出力線19を通じて電力を航空機の照明、空調および防氷装置などの各種電気機器に供給する。
航空機エンジンEが自立運転に入ったのちは、上述したように制御機構31が定速駆動装置3の変速比を航空機エンジンEの回転数の変動に応じて可変制御することにより、サンギヤ12b(図2)の回転速度が装置入力軸13の回転速度の変化に応じて変化され、その結果、キャリア12dの回転速度が常に一定に維持される。すなわち、制御機構31は、図4の油圧アクチュエータ51のピストンロッド52の位置を調節して、各キャビティ21,22におけるパワーローラ21c,22cの傾転角θを変化させることによって、キャリア12dの回転速度が一定になるように定速駆動装置3における変速比を制御する。これにより、航空機エンジンEの回転が減速された一定回転数に安定に調速されて回転機50に伝達されるから、回転機50からは常に一定周波数(例えば400Hz)の電力が出力される。
このように、本実施形態のトラクション変速機付き発電・スタータ装置1では、回転機50を、スタータ制御回路44で制御することよってスタータモータと発電機とに兼用しているので、従来のエア・スタータと発電機とを個別に設ける場合に比べて、装置全体が簡素化されるのに加えて、圧縮空気配管やバルブ等が不要となるのに伴って、省スペース化、軽量化およびコスト低減を図ることができる。また、トラクション無段変速機11は、従来の油圧変速機とは異なり、起動時の制御応答性に優れているから、航空機エンジンEの立ち上げ時の回転数制御を高精度に行える。さらに、従来のクラッチ機構を組み合わせて航空機エンジンEの起動を行う場合のような構成の複雑化も招かない。しかも、定速駆動装置3は、トラクション無段変速機11と遊星歯車変速機12と動力分流軸15とを有しているので、従来の専用エア・タービン・スタータを用いる場合よりも高い信頼性を得ることができるとともに、トラクション無段変速機11の負荷が軽減されるので、これに伴ってトラクション無段変速機11の長寿命化を図ることができる。また、航空機エンジンEの起動時にトラクション無段変速機11によるトルク増幅効果が得られるので、小さな回転機50を用いて航空機エンジンEを起動できる利点がある。
また、スタータ制御回路44は、航空機エンジンEの起動時に回転機50の回転数・出力および定速駆動装置3の変速比を制御することによりエンジンスタートに必要な回転数・トルクを調整する制御機能を有しているから、航空機エンジンEの起動時に駆動トルクとエンジン回転数の関係を任意に設定して高精度に制御できるので、航空機エンジンEにとって最適なスターティング・加速スケジュールを実行することができる。
なお、前記実施形態では、トラクション無段変速機11として、ダブルキャビティ型トロイダルトラクションドライブ20を用いる場合を例示して説明したが、単一のキャビティを有するシングルキャビティ型トロイダルトラクションドライブやハーフトロイダル型トロイダルトラクションドライブなどを用いることもできる。
本発明に係る本発明の一実施形態に係るトラクション変速機付き発電・スタータ装置を示す模式図である。 同上のトラクション変速機付き発電・スタータ装置における定速駆動装置の縦断面図である。 同上の定速駆動装置におけるトロイダルトラクションドライブの構造を示す概略図である。 同上のトロイダルトラクションドライブにおけるトラニオンにより傾転角を変化させる原理を示す概略図である。 同上のトラクション変速機付き発電・スタータ装置のスタータ駆動トルクカーブの一例を示す図である。 同上のトラクション変速機付き発電・スタータ装置のケース内の構造を示す斜視図である。 同上のトラクション変速機付き発電・スタータ装置の回転機、トラクション無段変速機および動力分流軸の各軸心の相対配置を示す説明図である。
符号の説明
1 トラクション変速機構付き発電・スタータ装置
2 変速機構
3 定速駆動装置
7 ケース
11 トラクション無段変速機
12 遊星歯車変速機
12a リングギヤ
12b サンギヤ
13 装置入力軸
14 変速機入力軸
15 動力分流軸
16 変速機出力軸
44 スタータ制御回路
50 回転機
E 航空機エンジン
S1 トラクション無段変速機の軸心
S2 回転機の軸心
S3 動力分流軸の軸心

Claims (4)

  1. 航空機エンジンにより駆動される発電機と前記航空機エンジンを起動させるスタータモータとを兼ねる回転機と、前記航空機エンジンと前記回転機とを接続する定速駆動装置と、起動時に前記航空機エンジンが所定の回転数に達したときに前記回転機をスタータモータ動作から発電機動作に切り換えるスタータ制御回路とを備え、
    前記定速駆動装置は、トラクション無段変速機、遊星歯車変速機、および前記トラクション無段変速機と遊星歯車変速機との間で伝達動力を分配して負担させる動力分流軸を有するトラクション変速機構付き発電・スタータ装置。
  2. 請求項1において、前記スタータ制御回路は、起動時に前記定速駆動装置の変速比を制御することによりエンジンスタートに必要な回転数・トルクを調整する制御機能を有しているトラクション変速機構付き発電・スタータ装置。
  3. 請求項1または2において、前記定速駆動装置は、前記トラクション無段変速機および遊星歯車変速機を備える変速機構を前記航空機エンジンの出力軸に接続する装置入力軸と、前記トラクション無段変速機および遊星歯車変速機を備える変速機構とを有し、
    前記トラクション無段変速機の変速機入力軸および前記動力分流軸の一端部が、前記装置入力軸に、前記航空機エンジンからの回転駆動力を所定割合で分配させるように接続され、
    前記トラクション無段変速機の変速機出力軸に前記遊星歯車変速機のサンギヤが形成され、前記動力分流軸の他端部が、前記遊星歯車変速機のリングギヤに接続されているトラクション変速機構付き発電・スタータ装置。
  4. 請求項1,2または3において、さらに、前記回転機および定速駆動装置を収納するケースを備え、前記回転機と前記トラクション無段変速機の軸心および前記動力分流軸の軸心の3つの軸心が互いに平行に配置され、前記トラクション無段変速機と回転機の間に前記動力分流軸が配置され、軸心方向から見て前記3つの軸心を結ぶ線が三角形を形成しているトラクション変速機構付き発電・スタータ装置。
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