以下、添付図面を参照しながら本発明にかかる検出装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1〜図7は、本発明にかかる検出装置を適用したドア開閉制御装置を示したものである。ここで例示するドア開閉制御装置は、図8に示すように、車両本体Bに設けたトランクルームTRの開口を開閉するためのドア(以下、「トランクリッドD」という)を適用対象とするものである。本実施の形態では、車両本体BにストライカSを固定配置する一方、トランクリッドDにドアラッチ装置9を配設したセダンタイプの四輪自動車を例示している。また、図には明示していないが、トランクリッドDと車両本体Bとの間には、オープンアクチュエータOAの駆動によってトランクリッドDを自動開閉動作させるパワートランクユニットが設けてある。さらに、トランクリッドDの周囲と車両本体Bとの間には、弾性材料によって成形したウェザストリップが設けてある。
ドアラッチ装置9は、トランクリッドDを閉成した状態に維持するためのもので、図1〜図4に示すように、上記ベースプレート10にラッチ機構部100、アクチュエータ駆動機構部200及びマニュアル操作部300を設けて構成したものである。
ベースプレート10は、ドアラッチ装置9をトランクリッドDに取り付ける場合の基準となるもので、車両本体BのストライカSに対応する部位、具体的にはベースプレート10の下端部に収容溝11を有している。収容溝11は、ベースプレート10の下端部から上方に向けて延在した溝状の切欠であり、車両本体Bに対してトランクリッドDを閉成させた場合にストライカSを収容することのできる位置及び大きさに形成してある。
ラッチ機構部100は、車両本体Bに対してトランクリッドDを閉成させた場合にストライカSを噛合保持するためのもので、収容溝11を挟んで右左となる部位にラチェット軸101及びラッチ軸102を備えている。ラチェット軸101は、ベースプレート10に対してラチェット110を回動可能に支承するためのもので、収容溝11の開口端部近傍に設けてある。ラッチ軸102は、ベースプレート10に対してラッチ120を回動可能に支承するためのもので、収容溝11の奥側端部近傍に設けてある。
ラッチ機構部100のラチェット(第3被検出体)110は、ラチェット軸101から収容溝11の奥側端部方向に向けて延在してあり、ラッチ係止部111及びラチェット操作部112を有している。
ラッチ係止部111は、収容溝11の奥側端部近傍においてラチェット110の側面から収容溝11に向けて突設した凸状部である。
ラチェット操作部112は、収容溝11の奥側端部を超えてさらに延在した部分であり、屈曲縁部113及びスイッチ操作部114を有している。屈曲縁部113は、ベースプレート10の表面から離隔する方向に向け、ベースプレート10に対して略直角に屈曲した部分であり、ラチェット操作部112の外側縁部に設けてある。スイッチ操作部114は、ラチェット操作部112の内側縁部からベースプレート10の表面に沿って突設した部分である。
ラッチ機構部100のラッチ(第2被検出体)120は、噛合溝121、フック部122、第1係合部123、第2係合部124及びラッチ操作部125を有している。
噛合溝121は、ラッチ120の外周面からラッチ軸102に近接する方向に向けて形成した切欠であり、ストライカSを収容することのできる幅を有している。この噛合溝121は、図1においてラッチ軸102を中心としてラッチ120を反時計回りに回動させた場合に収容溝11の開口端部から奥側端部に向けて順次交差するように構成してある。
フック部122は、噛合溝121が収容溝11と交差した場合に収容溝11の開口端部側に位置する部分である。
第1係合部123及び第2係合部124は、それぞれラチェット110のラッチ係止部111に当接した場合に、図1においてラッチ120の時計回りの回動を規制するものである。第1係合部123は、ラッチ係止部111に当接した場合にラッチ120のフック部122が収容溝11の開口端部に位置するように構成してある。第2係合部124は、ラッチ係止部111に当接した場合にラッチ120のフック部122が収容溝11の奥側端部に位置するように構成してある。ラッチ係止部111が第1係合部123及び第2係合部124のいずれに当接した場合にも、収容溝11に対してフック部122は、収容溝11に対するストライカSの通過を阻止することができる位置まで突出している。
ラッチ操作部125は、ラチェット110のラチェット操作部112に対応する態様でラッチ軸102に近接した部位から延在した部分である。このラッチ操作部125には、ラチェット操作部112との間に両者を互いに近接する方向に付勢するリターンスプリング103が設けてある。
また、図1、図6、および図7に示すように、ベースプレート10の表面において、ラチェット110及びラッチ120を覆う位置には、サブベースプレート170を配設してある。このサブベースプレート170にも、車両本体Bに対してトランクリッドDを閉成させた場合にストライカSを収容することのできる第2収容溝171が形成してある。サブベースプレート170は、図7に示すように、第1ネジ孔172と第2ネジ孔173と第2係合凹部174とストッパ部175と第2リーフ板カバー部(第2カバー部)176とを有している。
第1ネジ孔172は、サブベースプレート170の表面側に突出するラッチ軸102の近傍であって、図7中、ラッチ軸102の下方に形成してある。第2ネジ孔173は、ラッチ軸102の近傍であって、図7中、ラッチ軸102の右方に形成してある。第2係合凹部174は、ラッチ軸102の近傍であって、図7中、上記第1ネジ孔172よりもさらに下方に形成してある。
ストッパ部175は、ラチェット軸101の近傍に配設してある。このストッパ部175は、サブベースプレート170の下端部からベースプレート10の表面に対して略直角方向に延在する態様で屈曲した部分である。第2リーフ板カバー部176は、収容溝11を挟んでストッパ部175とは反対側となる部分のサブベースプレート170に配設してある。この第2リーフ板カバー部176は、サブベースプレート170の下端部からベースプレート10の表面に対して略直角方向に延在する態様で屈曲した部分である。
上記ラッチ機構部100には、開閉スイッチレバー(第1被検出体)130、ドア開閉スイッチ(第1検出手段)140、ラッチスイッチ(第2検出手段)150、およびラチェットスイッチ(第3検出手段)160が設けてある。
開閉スイッチレバー130およびドア開閉スイッチ140は、ストライカSを検知するものである。開閉スイッチレバー130は、サブベースプレート170の表面側に突出するラチェット軸101の延長端部から径外方向に向けて延在したもので、ラチェット110とは独立してラチェット軸101を中心に揺動することによって、図9〜図11に示すように、進出位置から退避位置までの間を連続的に変位することが可能である。進出位置に配置された開閉スイッチレバー130は、図9に示すように、上記ストッパ部175に当接することによってその位置が規定されており、ベースプレート10に形成した収容溝11の開口端部を閉塞する態様でほぼ直角方向に延在した状態となる。退避位置に配置された開閉スイッチレバー130は、図11に示すように、その先端部が収容溝11の奥側端部を覆う態様で傾斜延在し、収容溝11の開口端部を開放した状態となる。
開閉スイッチレバー130には、図7に示すように、ベースプレート10との間にスイッチレバースプリング131が設けてある。スイッチレバースプリング131は、開閉スイッチレバー130を常時、ストッパ部175の方向に付勢するものである。
ドア開閉スイッチ140は、開閉スイッチレバー130が進出位置に配置されたことを検出するためのもので、収容溝11を挟んで開閉スイッチレバー130と反対側となるサブベースプレート170の表面に配設してある。 このドア開閉スイッチ140は、図7に示すように、押釦部141と、リーフ板(第1検出子)142と、第1本体143とで構成してある。
押釦部141は、第1本体143の収容溝11に臨む部位に配設してある。押釦部141と第1本体143との間には、不図示のスプリングが配設してあり、このスプリングの弾性力によって押釦部141の先端が第1本体143から突出するように付勢してある。
第1本体143には、サブベースプレート170に形成した第1ネジ孔172と同じ大きさの第1貫通孔143aが形成してある。また、第1本体143には、その表面側となる部位に突出する態様で第1係合凸部143bが形成してあり、裏面側であって、上記第1係合凸部143bを形成した部位と反対側となる部位に、裏面側から突出する態様で第2係合凸部が形成してある。第1係合凸部143bおよび第2係合凸部は、例えば同じ大きさであって、略円柱状を成している。さらに、第1本体143には、出力信号を送信するための第1ケーブル144の一端が連結してある。
リーフ板142は、金属材料によって細長い板状に形成した板バネである。このリーフ板142は、先端部と押釦部141との間に間隙が存在するよう基端部を第1本体143に取り付けてある。このリーフ板142は、基端部近傍の傾動軸142aを中心に、第1位置から第2位置までの間を連続的に変位することが可能である。第1位置に配置されたリーフ板142は、図6−2中、2点鎖線でに示すように、進出位置に配置された開閉スイッチレバー130によって、第1本体143に対して先端部が近接した状態となる。一方、第2位置に配置されたリーフ板142は、図6−2中、実線で示すように、第1本体143に対して先端部が離隔した状態となる。
ラッチスイッチ150は、ベースプレート10に対するラッチ120の回転位置を検出するロータリスイッチであり、回動軸心をラッチ軸102の軸心に合致させる態様でサブベースプレート170の表面に設けてある。 このラッチスイッチ150は、図7に示すように、第2本体151と第2検出子152とケース153とで構成してある。
第2本体151は、円柱状を成している。この第2本体151には、出力信号を送信するための第2ケーブル151aの一端が連結してある。第2ケーブル151aおよび第1ケーブル144には、それらをまとめる第1チューブ520を配設してある。第2検出子152は、第2本体151に対して回動自在となる態様でラッチスイッチ150に配設してある。この第2検出子152は、第1係合孔152aを有している。第2検出子152は、第1係合孔152aと、ラッチ120に形成したピン126とを係合させることで、ラッチ120に連結してある。
ケース153は、第2本体151を覆うよう樹脂材料で形成したものである。このケース153には、図7に示すように、第1貫通孔形成部154、第2貫通孔形成部155、保持手段形成部156を配設してある。
第1貫通孔形成部154は、ラッチスイッチ150の回動軸心から、図7中、下方に向けて延在するよう形成した部分であり、第2貫通孔154aと第1係合凹部(係合凹部)154bとリーフ板カバー部154cとを有している。
第2貫通孔154aは、第2本体151の近傍であって、図7中、第2本体151の下方の部位に形成してある。この第2貫通孔154aの大きさは、例えば上記第1貫通孔143aの大きさと同一である。第1係合凹部154bは、第2本体151に対して、図7中、第2貫通孔154aのさらに下方の部位に形成してある。この第1係合凹部154bは、上記第1係合凸部143bを挿入することができる大きさに形成してある。第1係合凹部154bと第1係合凸部143bとで係合手段90を構成している。
リーフ板カバー部154cは、板状を成し、第1貫通孔形成部154の基端部から先端部に亘る部分に連続して形成してある。このリーフ板カバー部154cは、図6−2に示す傾動軸142aを中心に傾動するリーフ板142の移動領域142zをベースプレート10とで挟み込むように覆うことができる大きさを有している。
第2貫通孔形成部155は、ラッチスイッチ150の回動軸心から、図6−1中、右方に向けて延在するよう形成した部分であり、図7に示すように、第3貫通孔155aを有している。第3貫通孔155aは、第2本体151の近傍であって、図7中、第2本体151の右方の部位に形成してある。この第3貫通孔155aの大きさは、例えば上記第2ネジ孔173の大きさと同一である。
保持手段形成部156は、ラッチスイッチ150の回動軸心から、図6−1中、左方に向けて延在するよう形成した部分であり、保持手段158を有している。保持手段158は、保持溝158aと保持爪158bとで構成してある。保持溝158aは、図7中、上下方向に延在するようケース153の上面部に形成してある。保持爪158bは、保持溝158aのほぼ中央であって、ケース153の上面部に形成してある。この保持溝158aと保持爪158bとによって、ケース153には第1ケーブル収容空間が形成されている。
ラチェットスイッチ160は、ラッチ係止部111がラッチ120の第1係合部123もしくは第2係合部124に当接した場合にそれぞれ検出信号を出力するもので、図1に示すように、ラチェット110のスイッチ操作部114によって操作される位置に設けてある。 このラチェットスイッチ160は、押釦部161と、第3検出子162と、第3本体163とで構成してある。
押釦部161と第3本体163との間には、不図示のスプリングが配設してあり、このスプリングの弾性力によって押釦部161の先端が第3本体163から突出するように付勢してある。第3本体163には、出力信号を送信するための第3ケーブル164の一端が連結してある。
第3検出子162は、金属材料によって細長い板状に形成した板バネである。この第3検出子162は、先端部と押釦部161との間に間隙が存在するよう基端部を第3本体163に取り付けてある。
アクチュエータ駆動機構部200は、ラッチアクチュエータ201の駆動によってラチェット110及びラッチ120を操作するためのもので出力レバー210と、カム駆動歯車(第4被検出体)220とを備えている。
出力レバー210は、基端部にレバー軸211を備えたもので、レバー軸211をベースプレート10のスライド溝12に収容させることにより、レバー軸211の軸心回りに揺動可能、かつスライド溝12に沿ってレバー軸211をスライド移動させることが可能である。スライド溝12は、ベースプレート10の上縁部に形成したもので、ベースプレート10の外方に向けて凸となる円弧状に形成してある。
出力レバー210の基端部とベースプレート10との間には、レバースプリング212及びキャンセルレバー230が設けてある。レバースプリング212は、出力レバー210の基端部とベースプレート10との間に介在し、出力レバー210のレバー軸211を常時、図1中、スライド溝12の右側端部に配置させるように付勢するものである。
キャンセルレバー230は、スライド溝12の右側端部近傍に設けたキャンセル軸231を介してベースプレート10に揺動可能に配設したもので、湾曲部230aと押圧操作部230bとを一体に形成してある。湾曲部230aは、キャンセル軸231からベースプレート10のスライド溝12に沿うように湾曲状に延在した部分であり、湾曲内面においてスライド溝12の右側端部に対応する部位に支持突部233を有している。支持突部233は、出力レバー210のレバー軸211がスライド溝12の右側端部に位置している場合にその左側周面に当接し、レバー軸211の左側へのスライド移動を規制するものである。押圧操作部230bは、キャンセル軸231から下方に向けて延在したもので、延在端部の外側縁に受圧部230cを有している。受圧部230cは、押圧操作部230bの延在端部からベースプレート10の表面に対して直角方向に延在する態様で屈曲した部分である。このキャンセルレバー230には、湾曲部230aの先端とベースプレート10との間にキャンセルスプリング232が設けてある。キャンセルスプリング232は、キャンセルレバー230の湾曲内面がレバー軸211の周面を圧接するように付勢するものである。このキャンセルスプリング232は、上述のレバースプリング212よりも十分に大きなバネ定数を有したものである。
また、出力レバー210には、ラチェット操作部112とラッチ操作部125との間に位置する先端部分に解除レバー部213及びラッチピン214が設けてある。
解除レバー部213は、出力レバー210の先端部からラチェット操作部112の屈曲縁部113に対向する態様で設けたレバー状部分であり、出力レバー210がレバー軸211の軸心回りに揺動した場合に屈曲縁部113及びラチェット操作部112を介してラチェット110を押圧操作することが可能である。
ラッチピン214は、出力レバー210の先端部から突設した柱状部分であり、出力レバー210がレバー軸211の軸心回りに揺動した場合にラッチ操作部125を介してラッチ120を押圧操作することが可能である。
カム駆動歯車220は、ベースプレート10において出力レバー210の中間部に対応する部位に駆動軸220aを介して回転可能に配設してあり、ラッチアクチュエータ201が駆動した場合に歯車列240を介して一方方向、本実施の形態では図1において時計回りに回転するものである。
このカム駆動歯車220には、出力レバー210に対向する端面にカムピン221が設けてある。カムピン221は、カム駆動歯車220の端面から突出し、出力レバー210の中間部に形成したカム溝215に連係している。カム溝215は、カム駆動歯車220が時計回りに回転した場合にカムピン221を介して出力レバー210を適宜揺動させ、解除レバー部213及びラッチピン214を介してラチェット110及びラッチ120に、後述する一連の動作を順次行わせるように構成したものである。
なお、図には明示していないが、本実施の形態では、ラッチアクチュエータ201として出力軸にウォームギアを備えた電動モータを適用する一方、歯車列240としてこのウォームギアに歯合するウォームホイールを備えたものを適用している。このラッチアクチュエータ201には、ラッチアクチュエータ201に電圧を印加するための第5ケーブル202の一端が連結してある。また、図2中の符号250は、カム駆動歯車220の回転に伴うカムピン221の位置変化を検出するためのカムピン位置検出スイッチ(第4検出手段)250である。
カムピン位置検出スイッチ250は、図2に示すように、第4本体251と第4検出子252と第2ケース253とで構成してある。
第4本体251は、円柱状を成している。この第4本体251には、図2に示すように、出力信号を送信するための第4ケーブル251aの一端が連結してある。第4ケーブル251aおよび上記第3ケーブル164には、それらをまとめる第2チューブ521を配設してある。また、この第2チューブ521をベースプレート10に掛け止めるための第2サブベースプレート510をドアラッチ装置9に配設してある。さらに、上記第1ケーブル144、第2ケーブル151a,第3ケーブル164、第4ケーブル251a、および第5ケーブル202には、それらをまとめる第3チューブ522を配設してある。
第4検出子252は、第4本体251に対して回動自在となる態様でカムピン位置検出スイッチ250に配設してある。この第4検出子252は、第2係合孔を有しており、その第2係合孔と、上記カムピン221とを係合させることで、カム駆動歯車220に連結してある。
第2ケース253は、第4本体251を覆うよう樹脂材料で形成したものである。この第2ケース253には、第2掛止部253aを配設してあり、且つ第4貫通孔254aおよび第5貫通孔254bを形成してある。
第2掛止部253aは、第2ケース253の裏面から略直角方向に突出する態様で延在し、その後、図2中、上方に向けて延在するように形成した掛止爪であり、この第2掛止部253aと第2ケース253の裏面部とによって第2ケーブル収容空間が形成されている。第4貫通孔254aおよび第5貫通孔254bは、第2ケース253の両端部にそれぞれ形成してある。
マニュアル操作部300は、ベースプレート10にオープンレバー310を備えている。オープンレバー310は、図1においてカム駆動歯車220の右方側となる部位にオープンレバー軸311を介して回転可能に配設したもので、初期位置規定部312、ラッチ解除操作部313、レバー操作部314及びキャンセル操作部315を有している。
初期位置規定部312は、図1においてオープンレバー310が時計回りに回転した場合にベースプレート10の規定面10bに当接し、オープンレバー310を初期位置に規定するためのものである。オープンレバー310が初期位置に規定された状態においては、図1において反時計回りにのみ回転することが可能である。ラッチ解除操作部313は、オープンレバー310が初期位置に規定されている場合にオープンレバー軸311から下方に向けて延在し、その延在端部がラチェット110の屈曲縁部113に対向される部分である。レバー操作部314は、オープンレバー310が初期位置に規定されている場合にオープンレバー軸311から、図1中、右方に向けて延在する部分である。このレバー操作部314には、ワイヤケーブルWの一端部が連結してある。ワイヤケーブルWは、図には明示していないが、その他端部がトランクリッドDのキーシリンダKCに連結されており、キー操作により図1において上方に引張操作することが可能である。キャンセル操作部315は、オープンレバー310が初期位置に規定されている場合にオープンレバー軸311から上方に向けて延在し、その延在端部がキャンセルレバー230の受圧部230cに対向される部分である。
このオープンレバー310には、図2に示すように、ベースプレート10との間に初期位置規定スプリング316が設けてある。初期位置規定スプリング316は、オープンレバー310の初期位置規定部312をベースプレート10の規定面10bに常時押圧する方向に付勢するものである。
上記のように構成したオープンレバー310は、図1において反時計回りに回転させた場合、ラッチ解除操作部313とラチェット110の屈曲縁部113とが当接し、ラチェット110を時計回りに揺動させることができ、且つキャンセル操作部315とキャンセルレバー230の受圧部230cとが当接し、キャンセルレバー230を時計回りに揺動させることができる。本実施の形態では、オープンレバー310を回転させた場合にまずラチェット110を揺動させ、その後にキャンセルレバー230が揺動するように、キャンセル操作部315とキャンセルレバー230の受圧部230cとの間隔を、ラッチ解除操作部313とラチェット110の屈曲縁部113との間隔よりも大きく設定してある。より具体的には、オープンレバー310の反時計回りの回転によりラッチ解除操作部313を介してラチェット110のラッチ係止部111がラッチ120の第1係合部123もしくは第2係合部124と対向しない状態となるまで時計回りに揺動した後、さらにオープンレバー310を反時計回りに回転させた場合にキャンセル操作部315を介してキャンセルレバー230の支持突部233が出力レバー210のレバー軸211から離隔するまで揺動するように設定してある。
ベースプレート10には、図1に示すように、その表面側にブラケット10gを配設してあり、図2に示すように、裏面側に第3掛止部10dを備えている。ブラケット10gは、側断面が略コ字状を成しており、第2掛止孔10eを備えている。第3掛止部10dは、図4に示すように、ベースプレート10の裏面から略直角方向に突出する態様で延在し、その後、図4中、上方に向けて延在するように形成した掛止爪である。
図12は、上述したドアラッチ装置9を制御するドア開閉制御装置の概略を示すブロック図である。図12に示す開閉制御部400は、ドア開閉スイッチ140、ラッチスイッチ150、ラチェットスイッチ160及びカムピン位置検出スイッチ250の出力結果、並びにトランクオープンスイッチからの指令に基づいてラッチアクチュエータ201及びパワートランクユニットのオープンアクチュエータOAを適宜駆動することにより、トランクリッドDを開閉動作させるものである。図には明示していないが、トランクオープンスイッチとは、トランクリッドDを開成させる際にON操作するものであり、例えば車両本体BにおいてトランクリッドDの近傍、もしくはトランクリッドDに設けてある。
図13〜図19は、ドアラッチ装置9の動作を順に示した概念図である。以下、これらの図を参照しながら開閉制御部400によるトランクリッドDの開閉動作について説明する。
このドアラッチ装置9では、トランクリッドDが開成された状態にある場合、図13に示すオープン側中立状態にある。すなわち、図13中、ラッチ120が最も時計回りに回転した位置にあり、且つラッチ120の第1係合部123とラチェット110のラッチ係止部111とが対向する以前の状態にある。ラッチ120に設けた噛合溝121は、その開口端部がベースプレート10に設けた収容溝11の開口端部に開放した状態で配置され、かつ収容溝11に対して傾斜した姿勢にある。出力レバー210は、レバー軸211がスライド溝12の右側端部に配置されているとともに、先端部に設けた解除レバー部213及びラッチピン214がそれぞれラチェット操作部112及びラッチ操作部125から離隔した状態に配置されている。開閉スイッチレバー130は、進出位置に配置されており、収容溝11の開口端部を閉塞する態様でほぼ直角方向に延在した状態となっている。
図13に示すオープン側中立状態からトランクリッドDを閉成操作すると、車両本体Bに設けたストライカSがベースプレート10の収容溝11に侵入し、さらにラッチ120の噛合溝121に侵入することになる。この場合、ストライカSの収容溝11への侵入に伴って開閉スイッチレバー130が図13において時計回りに揺動するため、ドア開閉スイッチ140によってこれを検出することが可能となる。
トランクリッドDの閉成操作により収容溝11に沿ってストライカSが順次奥側端部に侵入すると、収容溝11に対して噛合溝121が傾斜した状態にあるラッチ120がストライカSに押され、ラッチ軸102の軸心を中心として反時計回りに回転する(噛合動作)。この間、ラチェット110は、その側面がリターンスプリング103の弾性力によってラッチ120の周面に圧接しており、やがてラッチ120の第1係合部123に対してラッチ係止部111が当接した状態に保持される。
ラッチ120の第1係合部123に対してラチェット110のラッチ係止部111が当接した状態においては、図14に示すように、リターンスプリング103の弾性復元力に抗してラッチ120のラッチ軸102を中心とした時計回りの回転が規制され、ラッチ120のフック部122がストライカSに係合することにより、ラッチ120の噛合溝121からのストライカSの逸脱を阻止する。この結果、ドアラッチ装置9及びストライカSは、車両本体Bに対してトランクリッドDを完全に閉成した状態とはしないが、開成方向への移動を規制したハーフラッチ状態(第1噛合状態)となる。
開閉制御部400は、ドアラッチ装置9が図14に示すハーフラッチ状態であると判断した場合、つまりドア開閉スイッチ140によって収容溝11に対するストライカSの侵入を検出した後、ラチェットスイッチ160によって検出したラチェット110の反時計回りの揺動と、ラッチスイッチ150によって検出したラッチ120の回転位置とに基づいてドアラッチ装置9がハーフラッチ状態であると判断した場合、ラッチアクチュエータ201を駆動することにより、カム駆動歯車220を時計回りに回転させ、カムピン221とカム溝215との作用により、スライド溝12の右側端部に配置されたレバー軸211の軸心を中心として出力レバー210を順次時計回りに揺動させる動作を開始する。この結果、出力レバー210のラッチピン214がラッチ120のラッチ操作部125を押圧することにより、ラッチ120がラッチ軸102を中心として反時計回りに回転を開始する。この場合、ラチェット110のラッチ係止部111がラッチ120の第1係合部123に当接した状態ではあるが、ラッチ120の外周形状に従ってラチェット110が適宜揺動するためラッチ係止部111がラッチ120の反時計回りの回転を妨げることはない。
図14に示すハーフラッチ状態からラッチ120が反時計回りに回転すると、やがてラッチ120の第2係合部124に対してラッチ係止部111が当接した状態に保持される。ラッチ120の第2係合部124に対してラチェット110のラッチ係止部111が当接した状態においては、図15に示すように、リターンスプリング103の弾性復元力に抗してラッチ120のラッチ軸102を中心とした時計回りの回転が規制され、ラッチ120のフック部122がストライカSに係合することにより、ラッチ120の噛合溝121からのストライカSの逸脱を阻止する。しかも、図14に示すハーフラッチ状態から図15に示す状態に至るまでの間においては、ラッチ120がストライカSを収容溝11の奥側端部に引き込むように動作している。この結果、ドアラッチ装置9及びストライカSは、車両本体Bに対してトランクリッドDを完全に閉成させ、かつウェザストリップの弾性力に抗して開成方向への移動を規制したフルラッチ状態(第2噛合状態)となる。なお、ストライカSの侵入に伴って開閉スイッチレバー130は、順次退避位置に向けて揺動することになり、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行を妨げることはない。
開閉制御部400は、ドアラッチ装置9が図15に示すフルラッチ状態に移行した判断した場合、つまりラチェットスイッチ160によって検出したラチェット110の反時計回りの揺動と、ラッチスイッチ150によって検出したラッチ120の回転位置とに基づいてドアラッチ装置9がフルラッチ状態であると判断した場合、ラッチアクチュエータ201を継続駆動して出力レバー210を同方向に揺動させ、図16に示すラッチ側オーバストローク状態に移行する。これにより、ラッチ120の第2係合部124に対してラチェット110のラッチ係止部111を確実に当接させることが可能となる。
図16に示すラッチ側オーバストローク状態に移行した後、開閉制御部400は、ラッチアクチュエータ201を継続駆動して出力レバー210を反時計回りに揺動させる。その後、カムピン位置検出スイッチ250の検出結果により、ドアラッチ装置9が図17に示すクローズ側中立状態となった時点でラッチアクチュエータ201の駆動を停止する。図17に示すクローズ側中立状態では、ストライカSと噛み合ったラッチ120の第2係合部124に対してラチェット110のラッチ係止部111が当接し、かつ出力レバー210のレバー軸211がスライド溝12の右側端部に配置された状態で解除レバー部213及びラッチピン214がそれぞれラチェット操作部112及びラッチ操作部125から離隔した状態に配置されている。この結果、車両本体Bに対してトランクリッドDが閉成した状態に保持されることになる。
これらの動作の間、上述したドアラッチ装置9によれば、ドア開閉スイッチ140によって収容溝11に対するストライカSの侵入を検出した後、ラチェットスイッチ160によって検出したラチェット110の反時計回りの揺動と、ラッチスイッチ150によって検出したラッチ120の回転位置とに基づいてドアラッチ装置9がハーフラッチ状態であると判断した場合にのみラッチアクチュエータ201を駆動するようにしているため、例えばラチェットスイッチ160がラチェット110の揺動を誤検出した場合にもラッチ120がラッチ軸102の軸心を中心として時計回りに回転することがない。従って、トランクリッドDを閉成操作すれば、常にストライカSがラッチ120の噛合溝121に侵入することとなり、車両本体Bに対してこれを確実に閉成することが可能となる。
一方、図17に示したクローズ側中立状態において、運転者がトランクオープンスイッチをON操作すると、これを検出した開閉制御部400は、ドアラッチ装置9のラッチアクチュエータ201を駆動させることにより、カム駆動歯車220を時計回りに回転させ、カムピン221とカム溝215との作用により、レバー軸211の軸心を中心として出力レバー210を順次反時計回りに揺動させる動作を開始する。
出力レバー210がスライド溝12の右側端部に配置されたレバー軸211の軸心を中心として反時計回りに揺動すると、出力レバー210の解除レバー部213がラチェット110のラチェット操作部112を押圧することにより、ラチェット110がリターンスプリング103の弾性力に抗してラチェット軸101を中心に時計回りに揺動し、図18に示すように、ラッチ120の第2係合部124とラッチ係止部111との当接状態が解除されることになる。この結果、ラッチ120がリターンスプリング103の弾性復元力によってラッチ軸102を中心に時計回りに回転するため、ラッチ120の噛合溝121が開放されることとなり、ストライカSがラッチ120の噛合溝121及びベースプレート10の収容溝11から逸脱可能状態となる。
開閉制御部400は、ドアラッチ装置9が図18に示す状態に移行した場合、ラッチアクチュエータ201を継続駆動して出力レバー210を同方向に揺動させ、図19に示すオープン側オーバストローク状態に移行する。これにより、ラッチ120の第2係合部124とラチェット110のラッチ係止部111との当接状態を確実に解除することが可能となる。
図19に示すオープン側オーバストローク状態に移行した後、開閉制御部400は、ラッチアクチュエータ201を継続駆動して出力レバー210を時計回りに揺動させる。その後、カムピン位置検出スイッチ250の検出結果により、ドアラッチ装置9が図13に示すオープン側中立状態となった時点でラッチアクチュエータ201の駆動を停止する。
一方、開閉制御部400は、図18に示す状態においてリターンスプリング103やウェザストリップの弾性復元力によって実際にラッチ120の噛合溝121及びベースプレート10の収容溝11からストライカSが逸脱し、ドア開閉スイッチ140によって開閉スイッチレバー130が進出位置に復帰したことを検出すると、パワートランクユニットが備えるオープンアクチュエータOAの駆動を開始する。これにより、車両本体Bに対してトランクリッドDを全開状態とすることができる。
ここで、本実施の形態においては、パワートランクユニットのオープンアクチュエータOAを駆動する条件として開閉スイッチレバー130が進出位置に配置され、ドア開閉スイッチ140を介してこれを検出した場合としてある。つまり、ラッチ120の噛合溝121が開放された後、この噛合溝121から実際にストライカSが完全に逸脱し、さらにベースプレート10の収容溝11から逸脱したことを条件としてパワートランクユニットのオープンアクチュエータOAを駆動するようにしている。これにより、例えばトランクオープンスイッチをON操作してラッチ120の噛合溝121が開放されているにも関わらず噛合溝121からストライカSが逸脱していない状態においてはパワートランクユニットのオープンアクチュエータOAが駆動することはない。従って、仮に上述したように、開放されているラッチ120の噛合溝121にストライカSが位置した状態からトランクリッドDに荷重が加わり、ラッチ120が噛合動作してハーフラッチ状態となった場合にも、オープンアクチュエータOAとラッチアクチュエータ201とが互いに異なる方向に動作して不具合を来す事態を確実に防止することができる。
以降、上述した図13〜図19に示す動作が繰り返し行われ、車両本体Bに対するトランクリッドDの開閉を制御することが可能となる。
ところで、上述したドアラッチ装置9では、例えば車両本体BとトランクリッドDとの間に異物が挟み込まれた場合、ラッチ120をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行させることができず、最早、スライド溝12の右側端部に配置されたレバー軸211の軸心を中心として出力レバー210を時計回りに揺動させることが困難となる。
しかしながら、本実施の形態のドアラッチ装置9では、ラッチ120が不動状態となった後にカム駆動歯車220が時計回りに回転すると、出力レバー210の中間部が図1中において左方に押圧されることになり、やがて出力レバー210のレバー軸211がキャンセルスプリング232の弾性力及びレバースプリング212の弾性力に抗して支持突部233を乗り越え、図20及び図21に示すように、ラッチピン214の軸心を中心としてベースプレート10のスライド溝12を左側端部に向けてスライド移動するようになる。この結果、ラッチ120が不動状態となった場合にも、ラッチアクチュエータ201からの動力をラッチ120に伝達する動力伝達系、つまり歯車列240、カム駆動歯車220及び出力レバー210のいずれもが動作するため、これらに過負荷が加わることがなく、損傷を来す虞れもまったくない。
スライド溝12をスライド移動したレバー軸211は、その後、カム駆動歯車220が回転した場合にカムピン221とカム溝215との協働により、図22に示す状態を経た後、図23に示すように、再びスライド溝12の右側端部に復帰した状態に保持される。従って、この状態からトランクオープンスイッチをONすれば、図18及び図19に示すように、ラッチ120の第2係合部124とラッチ係止部111との当接状態が解除され、トランクリッドDを開成移動させることが可能となるため、車両本体BとトランクリッドDとの間に挟み込んだ異物を除去することが可能となる。
図24は、図17に示したクローズ側中立状態から手動操作によってトランクリッドDを開成させる場合の動作を示すものである。すなわち、図17に示したクローズ側中立状態からトランクリッドDのキーシリンダKCにキーを挿入し、キーシリンダKCを例えば時計回りに回転操作すると、キーシリンダKCの回転がワイヤケーブルW及びレバー操作部314を介してオープンレバー310に伝達され、初期位置に規定されたオープンレバー310が図17において反時計回りに回転することになる。これにより、図24に示すように、オープンレバー310のラッチ解除操作部313がラチェット110の屈曲縁部113に当接し、ラチェット110が時計回りに揺動することになり、ラッチ120の第2係合部124とラッチ係止部111との当接状態が解除されることになる。この結果、ラッチ120がリターンスプリング103の弾性復元力によってラッチ軸102を中心に時計回りに回転するため、ラッチ120の噛合溝121が開放されることとなり、ラッチ120の噛合溝121及びベースプレート10の収容溝11からストライカSが逸脱可能状態となる。
その後、リターンスプリング103やウェザストリップの弾性復元力によって実際にストライカSがラッチ120の噛合溝121から逸脱し、さらにベースプレート10の収容溝11からストライカSが逸脱し、ドア開閉スイッチ140によって開閉スイッチレバー130が進出位置に復帰したことを検出すると、開閉制御部400はパワートランクユニットのオープンアクチュエータOAを駆動する。これにより、車両本体Bに対してトランクリッドDを全開状態とすることができる。
上述したように、上記ドアラッチ装置9では、オープンレバー310を回転させた場合にまずラチェット110を揺動させ、その後にキャンセルレバー230が揺動するように、キャンセル操作部315とキャンセルレバー230の受圧部230cとの間隔を、ラッチ解除操作部313とラチェット110の屈曲縁部113との間隔よりも大きく設定してある。従って、図24に明示するように、ラッチ解除操作部313を介してラチェット110のラッチ係止部111がラッチ120の第1係合部123もしくは第2係合部124と対向しない状態となるまで時計回りに揺動した状態においても、キャンセル操作部315によってはキャンセルレバー230は揺動せず、支持突部233が当接することによって出力レバー210のレバー軸211がスライド溝12の右側端部に維持されている。
これにより、キーシリンダKCによってトランクリッドDを開成させる場合には、オープンレバー310を回転させる場合に必要となる初期位置規定スプリング316の弾性力、並びにラチェット110を揺動させる場合に必要となるリターンスプリング103の弾性力に抗するだけの操作力を加えれば良い。
図25は、図24に示した状態からさらにキーシリンダKCを時計回りに回転操作した場合の動作を示したものである。すなわち、図24に示した状態からキーシリンダKCを時計回りにさらに回転操作すると、キーシリンダKCの回転がワイヤケーブルW及びレバー操作部314を介してオープンレバー310に伝達され、オープンレバー310のキャンセル操作部315を介してキャンセルレバー230がキャンセル軸231の軸心回りに揺動する。キャンセルレバー230が揺動すると、キャンセルレバー230の支持突部233が出力レバー210のレバー軸211から離隔することになり、レバー軸211のスライド溝12に沿ったスライド移動が可能となる。この結果、図25に示す状態においては、ラッチアクチュエータ201からの動力をラッチ120に伝達する動力伝達系210,220,240から出力レバー210が解放されることになり、カム駆動歯車220を回転させた場合にも出力レバー210のラッチピン214によってラッチ120を回転させることができない。逆に、図25に示す状態においては、カム駆動歯車220のカムピン221を中心として出力レバー210を図において反時計回りに回転させることができる。
従って、例えば図14に示すハーフラッチ状態から図15及び図16に示すフルラッチ状態へ移行する途中においてラッチアクチュエータ201が不動状態となった場合には、上述のようにキー操作によりキーシリンダKCを回転操作すれば、カム駆動歯車220のカムピン221を中心として出力レバー210を図中の反時計回りに回転させることが可能となり、ラッチ120の噛合状態を解除してトランクリッドDを開成することができるようになる。しかも、キーシリンダKCはトランクリッドDを開成操作するためのものであるため、その存在が不明確になる虞れはなく、ラッチアクチュエータ201が不動状態となった場合の問題を確実に解決することが可能になる。さらに、キャンセルレバー230を揺動させるには、キャンセルスプリング232の弾性力に抗しなければならず、通常よりも大きな操作力が必要となるものの、逆に不要時に誤って操作する事態を防止することができるという効果を奏する。
ところで、上述したドアラッチ装置9において、ベースプレート10に対する第1ケーブル144、第2ケーブル151a、第3ケーブル164、第4ケーブル251a、および第5ケーブル202の取り付け方法、およびトランクリッドDに対するドアラッチ装置9の取り付け方法を説明する。
先ず、図7に示す第1ケーブル144および第2ケーブル151aを、第1チューブ520の内部に入れる。次に、図2に示す第3ケーブル164および第4ケーブル251aを、第2チューブ521の内部に入れる。次いで、第1チューブ520、第2チューブ521、および図1に示す第5ケーブル202を、第3チューブ522の内部に入れる。
次いで、第1ケーブル144の他端、第2ケーブル151aの他端、第3ケーブル164の他端、第4ケーブル251aの他端、および第5ケーブル202の他端にカプラ501を取り付けて、複数のケーブル144,151a,164,251a,202を備えるケーブル体500を形成する。上記カプラ501は、第2サブベースプレート510に取り付けるための溝502,503と爪504とを備えている。第2サブベースプレート510は、図2中、上下方向に延在する態様で板状に形成してあり、下端部に係合凹部510aを有しており、且つ図1に示すように、上端部に挿入爪510bを有している。この挿入爪510bの幅は、上記カプラの溝502,503に挿入することができる大きさに設定してある。
次いで、図7に示す第1ケーブル144を、上記保持溝158aと保持爪158bとで構成する保持手段158の第1ケーブル収容空間に入れる。第1ケーブル収容空間に第1ケーブル144を入れれば、ケース153の上面から第1ケーブル144が浮き上がることを防止することができる。
次に、ドア開閉スイッチ140における第1本体143の表面側に形成した第1係合凸部143bと、ラッチスイッチ150におけるケース153の第1係合凹部154bとを係合させ、且つ第1本体143の第1貫通孔143aと、ケース153の第2貫通孔154aとを合致させる。その後、第1本体143の裏面側に形成した第2係合凸部を、サブベースプレート170に形成した第2係合凹部174に入れ、且つ第2検出子152の第1係合孔152aに、ラッチ120に形成したピン126を入れ、さらに、第1貫通孔143aおよび第2貫通孔154aにネジ149aの先端を挿入する。次いで、工具でネジ149aを回転させることによって、ネジ149aの先端を、サブベースプレート170の第1ネジ孔172に挿入する。
次いで、ケース153の第3貫通孔155aにネジ149bの先端を挿入し、工具でネジ149bを回転させることで、サブベースプレート170に形成した第2ネジ孔173にネジ149bの先端に挿入する。このように、ネジ149aと第1ネジ孔172およびネジ149bと第2ネジ孔173によって、ラッチスイッチ150およびドア開閉スイッチ140をサブベースプレート170を介してベースプレート10に取り付ける。
ラッチスイッチ150およびドア開閉スイッチ140をサブベースプレート170に取り付ける際、傾動するリーフ板142の移動領域を、ベースプレート10とで挟み込むように覆うリーフ板カバー部154cをラッチスイッチ150のケース153に配設してあるため、リーフ板142が第1本体143から取れてしまう事態を防止することができる。また、サブベースプレート170には、第1位置に占位するリーフ板142を覆う第2リーフ板カバー部176を配設してあるため、ドア開閉スイッチ140をベースプレート10に取り付けた後も、リーフ板142が第1本体143から取れてしまう事態を防止することができる。また、第1本体143とケース153との間に、第1係合凹部154bと、その第1係合凹部154bに係合する第1係合凸部143bとから成る係合手段90を配設するため、例えば工具でネジ149aを回転させることによって、第1本体143および第2本体151をベースプレート10に取り付ける際、工具によるネジ149aの回転に伴って、第1本体143が回転することを防止することができる。
次に、ラチェットスイッチ160の第3本体163に形成した貫通孔にネジ165の先端を挿入し、工具でネジ165を回転させることで、ネジ165の先端をベースプレート10に形成したネジ孔に挿入してベースプレート10に取り付ける。
また、カムピン位置検出スイッチ250は、第4検出子の第2係合孔に、カム駆動歯車220のカムピン221を入れてから、図2に示す第2ケース253に形成した第4貫通孔254aと、ベースプレート10に形成したネジ孔とを合致させ、且つ第2ケース253に形成した第5貫通孔254bと、ベースプレート10に形成したネジ孔とを合致させてから、工具でネジ255aを回転させ、且つ工具でネジ255bを回転させることによってベースプレート10に取り付ける。
その後、第5ケーブル202の一端を、ラッチアクチュエータ201に連結し、第2サブベースプレート510の係合凹部510aに第2チューブ521を入れる。次に、第2サブベースプレート510に形成した第6貫通孔517aと、ベースプレート10に形成した貫通孔とを合致させ、且つ、第2サブベースプレート510に形成した第7貫通孔517bと、ベースプレート10に形成した貫通孔とを合致させ、図1に示すボルト515aとナット515bとで構成する第1締結手段515およびボルト516aとナット516bとで構成する第2締結手段516によって第2サブベースプレート510をベースプレート10に取り付ける。
次に、第2サブベースプレート510の上端部に形成した挿入爪510bの両側部を、カプラ501の溝502,503に入れ、且つ第2サブベースプレート510の上端部に形成した掛止孔512にカプラ501の爪504を入れて、カプラ501を第2サブベースプレート510に取り付ける。このようにして、ケーブル体500を第2サブベースプレート510を介してベースプレート10に取り付ける。
次に、第2サブベースプレート510に形成した掛止孔512にバンド(掛止部材)530の一端を挿通し、そのバンド530によって第3チューブ522をベースプレート10に掛け止める。この状態では、第1チューブ520がベースプレート10の縁に沿って配索されることとなる。
上記のようにケーブル体500をベースプレート10に取り付けた後、ベースプレート10に図5に示すカバー20を取り付ける。このカバー20は、ドア開閉スイッチ140、ラッチスイッチ150、ラッチ120、およびラチェット110を覆うものである。カバー20の下端部にも、車両本体Bに対してトランクリッドDを閉成させた場合にストライカSを収容することのできる第3収容溝21が形成してある。 さらに、カバー20の上端部には、カバー20の表面に沿って上方に延在した第1舌片22aと、カバー20の表面に対して略直交する方向に延在し、その後、上方に向かって延在した第2舌片22bとを配設してある。これら第1舌片22aと第2舌片22bとで、掛止部22を構成している。この掛止部22の、第1舌片22aと第2舌片22bとで構成される第2ケーブル収容空間には、第1チューブ520を入れ、掛止部22によって第1チューブ520を掛け止めてある。
上記のようにケーブル体500をベースプレート10に取り付けたドアラッチ装置9は、ベースプレート10に形成した第3掛止部10dを、トランクリッドDのインナーパネルに引っかける。この状態で、ボルトによって、インナーパネルにドアラッチ装置9を取り付ける。
その後、ドアラッチ装置9を覆う態様で、インナーパネルにインナートリムを設ける。このとき、インナートリムは、ベースプレート10に配設した第2掛止孔10eに、クリップを掛け止めてインナーパネルに取り付ける。
この発明によれば、ラッチスイッチ150のケース153に、傾動するリーフ板142の移動領域を、ベースプレート10とで挟み込むように覆うリーフ板カバー部154cを配設するため、リーフ板142をサブベースプレート170を介してベースプレート10に取り付ける際、リーフ板142が第1本体143から取れてしまう事態を防止することができる。また、ケース153に第1ケーブル144を保持する保持手段158を配設するため、第1本体143と第2本体151とをベースプレート10に取り付ける際、第1ケーブル144が浮き上がる事態を防止することができる。従って、取り付け作業が阻害されることがないため、作業効率を向上することができる。第1本体143とケース153との間に、第1係合凹部154bと、その第1係合凹部154bに係合する第1係合凸部143bとから成る係合手段90を配設するため、例えば工具でネジ等の締結部材を回転させることによって、第1本体143および第2本体151をベースプレート10に取り付ける際、工具による締結部材の回転に伴って、第1本体143が回転することを防止することができる。従って、取り付け作業が阻害されることがないため、作業効率を向上することができる。
さらに、サブベースプレート170には、第1位置に占位するリーフ板142を覆う第2リーフ板カバー部176を配設してあるため、ドア開閉スイッチ140をベースプレート10に取り付けた後も、リーフ板142が第1本体143から取れてしまう事態を防止することができる。
また、第1チューブ520をベースプレート10の縁に沿って配索するため、ドアラッチ装置9の設置スペースが大きくなることを防止することができる。
さらに、ドアラッチ装置9のカバー20には、掛止部22を配設してあるため、ドアラッチ装置9から第1チューブ520が浮き上がることを防止することができる。
また、カムピン位置検出スイッチ250において、第4本体251を覆う第2ケース253を配設し、その第2ケース253に、第3ケーブル164を掛け止める第2掛止部253aを配設してあるため、ドアラッチ装置9から第3ケーブル164が浮き上がることを防止することができる。
さらに、係合凹部510aを備える第2サブベースプレート510を配設し、その第2サブベースプレート510によって第2チューブ521をベースプレート10に掛け止めるため、ドアラッチ装置9から第2チューブ521が浮き上がることを防止することができる。
また、第2サブベースプレート510に掛止孔512を形成し、その掛止孔512にバンド530を挿通し、そのバンド530によって第3チューブ522をベースプレート10に掛け止めるため、ドアラッチ装置9から第3チューブ522が浮き上がることを防止することができる。
なお、上述した実施の形態では、ラッチスイッチ150のケース153に第1係合凹部154bを形成する一方、ドア開閉スイッチ140の第1本体143に第1係合凸部143bを設ける係合手段90で説明した。しかし、この発明はそれに限られず、ケース153と第1本体143との間に係合手段を設け、いずれか一方の係合凹部を設け、他方に係合凸部を設ければ良い。
さらに、上述した実施の形態では、車両本体にストライカを設ける一方、ドアにドアラッチ装置を設けたドアラッチ装置を制御対象としているが、逆の態様で設けたドアラッチ装置であっても構わない。