JP2008037736A - セラミックの焼成装置及びセラミックの製造方法 - Google Patents

セラミックの焼成装置及びセラミックの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 輻射による熱の移動を抑制して急速昇温可能なセラミックの焼成装置を提供する。
【解決手段】 予熱帯22、焼成帯23及び冷却帯24毎に搬送手段28,29,30を独立して備え、各搬送手段28,29,30による搬送路の周囲が炉壁27で囲まれたトンネル式のセラミックの焼成装置21であって、少なくとも焼成帯の搬送手段の搬送方向が予熱帯の搬送手段の搬送方向とは異なるように予熱帯と焼成帯とが配設され、予熱帯の加熱手段と焼成帯の加熱手段とをそれぞれ独立して備えている。
従って、予熱帯と焼成帯とで搬送路の搬送方向が異なり、搬送方向の前後で搬送路の周囲を囲む炉壁によって輻射による熱の移動が抑制され、焼成帯の長さを増加させることなく昇温速度を大きくすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品等の素体として用いられる各種セラミックや内部電極を備えた積層セラミック電子部品素子等の焼成に用いられるセラミックの焼成装置及びセラミックの製造方法に関し、より大きな昇温速度で焼成することが可能なセラミックの焼成装置及びセラミックの製造方法に関するものである。
電子部品のセラミック素体として用いられる誘電体セラミック、電圧非直線抵抗体セラミック、圧電体セラミック、磁性体セラミック等の各種セラミックや、前記各種セラミックと内部電極とが交互に積層された積層セラミック電子部品素子等の焼成装置としては、バッチ式の焼成炉や連続式のトンネル式焼成炉等が広く利用されている。
近年、上記セラミックや積層セラミック電子部品素子の焼成プロセスにおいても省エネルギーが課題となっており、より大きな昇温速度で短時間に焼成可能な焼成装置が求められている。
特許文献1には、バッチ式の焼成装置を用いた急速昇温によるセラミックの焼成方法の一例として、セラミック加圧成形物を白金の籠に載せて縦型炉の炉心管内へ吊り下げ、100〜1,600℃/分の昇温速度で加熱し、次いで該温度に20分以上保持するセラミックの焼成方法が提案されている。
また、特許文献2には、図5に示されるように、セラミックベルトコンベア8,9,10を予熱帯2、焼成帯3及び冷却帯4毎に別個に配置した連続式のトンネル式焼成炉1が提案されている。
具体的には、トンネル式の焼成炉1は、長手方向に、予熱帯2、焼成帯3、冷却帯4のセラミックベルトコンベア8,9,10が直線状に配設されている。各セラミックベルトコンベア8,9,10は、セラミックベルトコンベア8を例にとると、モータ8Dにより駆動される駆動ローラ8Bと、従動ローラ8B’支点ローラ8Cと、これらに架け渡されたセラミックベルト8Aとを備えている。そして、予熱帯2、焼成帯3及び冷却帯4における被熱物14の搬送速度がそれぞれ独立して設定でき、この結果、任意のプロファイルで焼成を行うことができる構造となっている。予熱帯2の搬送路の上方には、断熱ボードにニクロム線を植え込んだ平面加熱ヒータからなる発熱体12が配設され、また、焼成帯3には、セラミックベルトコンベア9の上下から被熱物14を加熱できるように、それぞれ側壁の上下部にSiCヒータからなる発熱体13が配設されている。
特公平3−51242号公報 実開昭64−5096号全文明細書
一般に、電子部品のセラミック素体等に用いられるセラミックや積層セラミック電子部品素子は、所望の形状・構造に成形する目的やハンドリング性を向上させる等の目的で、セラミック材料粉末と有機バインダーとを混合したものを用いて所望の形状・構造の成形体や未焼成積層体を得ている。このため、セラミックの焼成プロセスの前半において、前記成形体や前記未焼成積層体を所定の温度で十分に脱脂処理した後に焼成することが求められる。ところが、上記の前者の背景技術では、脱脂処理の後に急速昇温による焼成を行うと、リードタイムが増大するため、大量生産には不向きであった。
一方、上記の後者の背景技術では、予熱帯2において十分に脱脂した後に焼成帯3で昇温して焼成するが、焼成帯3における昇温速度を大きくしようとしても、ヒータの熱容量が不足して十分な昇温速度が得られないという課題があった。主な要因としては、予熱帯2と焼成帯3とが直線状に配列されているため、該予熱帯2と焼成帯3の間で輻射による熱の移動が生じ、焼成帯3のヒータによる発熱が急速昇温に有効に活用できないことがあげられる。
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、輻射による熱の移動を抑制して急速昇温可能なセラミックの焼成装置を提供することにある。また、本発明の目的は、輻射による熱の移動を抑制して急速昇温により焼成するセラミックの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、
(1)予熱帯、焼成帯及び冷却帯毎に搬送手段を独立して備え、各搬送手段による搬送路の周囲が炉壁で囲まれたトンネル式のセラミックの焼成装置において、
少なくとも前記焼成帯の搬送手段の搬送方向が前記予熱帯の搬送手段の搬送方向とは異なるように前記予熱帯と前記焼成帯とが配設され、前記予熱帯の加熱手段と前記焼成帯の加熱手段とをそれぞれ独立して備えたことを特徴とする。(・・・以下、第1の課題解決手段と称する。)
また、主要な形態の一つは、
(2)前記予熱帯の搬送手段による搬送方向と前記焼成帯の搬送手段による搬送方向とが直交するように前記予熱帯と前記焼成帯とが配設されていることを特徴とする。(・・・以下、第2の課題解決手段と称する。)
また、他の主要な形態の一つは、
(3)前記予熱帯の搬送手段の上方に前記冷却帯の搬送手段が配設され、前記焼成帯の搬送手段が前記予熱帯の搬送手段の端部と前記冷却帯の搬送手段の端部との間を繋ぐようにかつ該焼成帯の搬送手段による搬送方向が垂直になるように配設されていることを特徴とする。(・・・以下、第3の課題解決手段と称する。)
また、他の形態の一つは、
(4)少なくとも前記焼成帯と前記予熱帯とに雰囲気ガス制御手段とをそれぞれ独立して備えたことを特徴とする。(・・・以下、第4の課題解決手段と称する。)
また、本発明のセラミックの製造方法は、
(5)バインダーを含む未焼成のセラミック成形体を準備する工程と、該セラミック成形体をベースプレート上に載置しトンネル式焼成装置内を搬送しながら、予熱により脱脂する工程と、さらに昇温して雰囲気ガス中で所定の温度で焼成する工程と、冷却する工程と、を備えたセラミックの製造方法において、前記焼成する工程が前記予熱により脱脂する工程における搬送方向とは異なる搬送方向で搬送しながら昇温して焼成することを特徴とする。(・・・以下、第5の課題解決手段と称する。)
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、少なくとも前記焼成帯の搬送手段の搬送方向が前記予熱帯の搬送手段の搬送方向とは異なるように前記予熱帯と前記焼成帯とが配設され、前記予熱帯の加熱手段と前記焼成帯の加熱手段とをそれぞれ独立して備えたので、予熱帯と焼成帯とで搬送路の搬送方向が異なり、搬送方向の前後で前記搬送路の周囲を囲む炉壁によって前記輻射による熱の移動が低減され、焼成帯の長さを増加させることなく昇温速度を大きくすることができる。
また、上記第2の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記予熱帯の搬送手段による搬送方向と前記焼成帯の搬送手段による搬送方向とが直交するように前記予熱帯と前記焼成帯とが配設されているので、搬送方向の前後で輻射による熱の移動が大幅に低減され、焼成帯の昇温速度をより大きくすることができる。
また、上記第3の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記予熱帯の搬送手段の上方に前記冷却帯の搬送手段が配設され、前記焼成帯の搬送手段が前記予熱帯の搬送手段の端部と前記冷却帯の搬送手段の端部との間を繋ぐようにかつ該焼成帯の搬送手段による搬送方向が垂直になるように配設されているので、加熱された雰囲気ガスは上昇焼成装置の占有面積を小さくすることができる。
また、上記第4の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、少なくとも前記焼成帯と前記予熱帯とに雰囲気ガス制御手段とをそれぞれ独立して備えたので、予熱帯から焼成帯への雰囲気ガスの対流による熱の移動を低減することができ、焼成帯の昇温速度をより一層大きくすることができる。
上記第5の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記焼成する工程が前記予熱により脱脂する工程における搬送方向とは異なる搬送方向で搬送しながら昇温して焼成するので、少ない熱エネルギーで短時間でセラミックを製造することができる。
また、本発明本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明によれば、輻射による熱の移動を抑制して急速昇温可能なセラミックの焼成装置を提供することができる。また、本発明は、輻射による熱の移動を抑制して急速昇温により焼成して少ない熱エネルギーで短時間でセラミックを製造することができる。
以下、本発明のセラミックの焼成装置の第1の実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は第1の実施形態のセラミックの焼成装置21の内部構造を説明するための搬送路の中央を通る縦断面図である。図2は前記実施形態の内部構造を説明するための断面図であり、図2(B)は上記図1におけるB−B線断面図、図2(C)は上記図1におけるC−C線断面図である。図3は本実施形態のセラミックの焼成装置21における温度プロファイルを示す図である。尚、図3において、実線は本実施形態の焼成装置の温度プロファイルであり、1点鎖線は従来のプッシャー方式のトンネル式焼成装置の温度プロファイルである。
本発明の第1の実施形態のセラミックの焼成装置21は、図1及び図2に示すように、予熱帯22、焼成帯23及び冷却帯24毎に搬送手段28,29,30を独立して備え、各搬送手段28,29,30による搬送路の周囲が炉壁27で囲まれたトンネル式のセラミックの焼成装置21であって、
少なくとも前記焼成帯23の搬送手段29の搬送方向が前記予熱帯22の搬送手段28の搬送方向とは異なるように前記予熱帯22と前記焼成帯23とが配設され、前記予熱帯22の加熱手段32と前記焼成帯23の加熱手段33とをそれぞれ独立して備えたものである。
具体的には、予熱帯22と該予熱帯22の端部に該予熱帯22の搬送路に直交するように連結された焼成帯23と、該焼成帯23の端部に該焼成帯23の搬送路に直交するように連結された冷却帯24とを備え、前記予熱帯22の上方に前記冷却帯24が配設されている。前記予熱帯22の搬送手段28及び前記冷却帯24の搬送手段30は、それぞれ搬送ローラが用いられ、前記焼成帯23の搬送手段29として前記予熱帯22の搬送手段28の端部と前記冷却帯24の搬送手段30の端部との間で搬送ステージ29Aが支柱29Bにより昇降可能に配設された搬送エレベータを備えるものである。
また、上記第1の実施形態のセラミックの焼成装置21においては、前記予熱帯22の搬送手段28による搬送方向と前記焼成帯23の搬送手段29による搬送方向とが直交するように前記予熱帯22と前記焼成帯23とが配設されているものである。
また、上記第1の実施形態のセラミックの焼成装置21においては、前記予熱帯22の搬送手段28の上方に前記冷却帯24の搬送手段30が配設され、前記焼成帯23の搬送手段29が前記予熱帯22の搬送手段28の端部と前記冷却帯24の搬送手段30の端部との間を繋ぐようにかつ該焼成帯23の搬送手段29による搬送方向が垂直になるように配設されているものである。
また、上記第1の実施形態のセラミックの焼成装置21においては、少なくとも前記予熱帯22と前記焼成帯23とに雰囲気ガス制御手段36、37をそれぞれ独立して備えたものである。
上記セラミック焼成装置は、誘電体セラミック、電圧非直線抵抗体セラミック、圧電性セラミック、磁性体セラミック、その他の各種セラミックの焼成に適用することができる。
また、上記セラミック焼成装置は、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックバリスタ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアンテナ、積層セラミックアクチュエータ、積層セラミック共振器、積層セラミックLC複合部品その他の各種セラミック電子部品や、積層セラミック回路基板等の焼成に適用することができる。
上記トンネル式焼成装置21としては、被焼成物34が導入される入口25と被焼成物が排出される出口26とを備え、搬送路の周囲が炉壁27で囲まれたものである。
上記予熱帯22としては、未焼成のセラミック成形体から有機バインダー成分を分解・除去する所謂脱脂する工程に用いられ、一般的に用いられる有機バインダーが分解される約800℃前後まで加熱される領域を指す。
上記焼成帯23としては、前記予熱体22よりもさらに高温に加熱され、被焼成物34としての各種セラミックや積層体セラミック電子部品素子の焼結温度まで加熱される領域を指す。本実施形態においては、上記予熱帯22と上記焼成帯23とは搬送路の周囲を囲む炉壁27の折れ曲がり部分27Aにより区分され、この折れ曲がり部分27Aを有することにより前記予熱帯22と前記焼成体23との間で輻射熱が遮られ、輻射による熱の移動が抑制されるため、焼成帯23における昇温速度を大きくすることができる。
上記冷却体24としては、前記被焼成物34としての各種セラミックや積層体セラミック電子部品素子の焼結後、室温まで自然冷却もしくは強制的に冷却される領域を指す。本実施形態においては、上記焼成帯23と上記冷却帯24とは搬送路の周囲を囲む炉壁27の折れ曲がり部分27Bにより区分され、この折れ曲がり部分27Bを有することにより前記焼成体23と前記冷却帯24との間で輻射熱が遮られ、輻射による熱の移動が抑制されるため、焼成帯23における昇温速度を大きくすることができる。
上記炉壁27としては、アルミナ、ジルコニアその他の各種の耐熱性セラミックや多孔質セラミック等を用いることができる。
上記搬送手段28,29,30としては、独立して駆動可能な駆動ローラや、プッシャー等の他の駆動手段と併用して搬送可能な従動ローラ、搬送コンベア、搬送エレベータその他、各種の搬送手段を用いることができる。上記搬送手段28,29,30のうち、焼成帯23に対応する搬送手段29は、予熱帯22の搬送手段28及び冷却帯24の搬送手段30に比べて搬送速度が速いことが好ましい。これにより、焼成帯23における昇温速度を大きくすることができる。
上記予熱帯22に用いられる加熱手段32としては、ニクロム線、遠赤外線発熱体等が好ましい。
上記焼成帯23に用いられる加熱手段33としては、SiC発熱体を用いることができるが、NやH等を含む雰囲気ガスを用いる場合には、雰囲気に比較的侵されにくい二珪化モリブデン発熱体等を用いることが好ましい。
上記ベースプレート35としては、アルミナ、ジルコニア、その他の各種耐熱性セラミックの中から、高温における被焼成物との反応性が低いものを適宜選択して用いることができる。
上記予熱帯22には、雰囲気ガスを独立して制御できるように雰囲気ガス制御手段36として雰囲気ガス吹き込み口36Aと雰囲気ガス排出口36Bとが設けられることが好ましい。また、上記焼成帯23には、雰囲気ガスを独立して制御できるように雰囲気ガス制御手段37として雰囲気ガス吹き込み口37Aと雰囲気ガス排出口37Bとが設けられることが好ましい。
本実施形態においては予熱帯22の雰囲気ガスと焼成帯23の雰囲気ガスとを仕切るために、前記炉壁27の折れ曲がり部分27Aの近傍に不活性ガスの吹き込み口38Aと不活性ガスの排出口38Bとを対向配置し、不活性ガスの流れによるエアカーテン38が設けられている。これにより、予熱帯22と焼成帯23との間で雰囲気ガスの移動に伴う熱の移動を抑制することができる。
また、本実施形態においては焼成帯23の雰囲気ガスと冷却帯24の雰囲気ガスとを仕切るために、前記炉壁27の折れ曲がり部分27Bの近傍に不活性ガスの吹き込み口38A’と不活性ガスの排出口38B’とを対向配置し、不活性ガスの流れによるエアカーテン38’が設けられている。これにより、焼成帯23と冷却帯24との間で雰囲気ガスの移動に伴う熱の移動を抑制することができ、焼成帯23における昇温速度をより大きくすることができる。
また、本実施形態においては、予熱帯22の搬送手段28及び冷却帯24の搬送手段30として図示省略した駆動手段により任意に速度設定可能な搬送ローラを用いたローラハース式を採用しているが、これに限定するものではなく、図1に示すように補助搬送手段としてプッシャー28’を設けるとともに前記搬送ローラを従動ローラに変更してプッシャー式搬送とすることもできる。
次に、本実施形態のセラミックの焼成装置21における温度プロファイルについて説明する。図3に実線で示されるように、本実施形態のセラミックの焼成装置21における温度プロファイルは、予熱帯22において徐々に加熱した後に所定の温度で保持され、脱脂処理が十分に行われる。次の焼成帯23において、大きな昇温速度で昇温された後セラミックの焼結温度付近に保持されてセラミックの焼結が行われる。そして、次の冷却帯24において徐々に冷却されて室温付近に戻される。一方、一点鎖線で示される従来のプッシャー方式のトンネル式の焼成装置の温度プロファイルは、焼成帯に近づくにつれて温度が上昇し、焼成帯においては、輻射により予熱帯に熱の移動が生じて、十分な昇温速度が得られないものとなっている。
次に、本発明のセラミックの製造方法の第1の実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。図1は本発明のセラミックの製造方法を説明するための焼成装置の断面図である。図2は上記実施形態を説明するための要部断面図であり、図2(B)は上記図1におけるB−B線断面図、図2(C)は、上記図1におけるC−C線断面図である。図3は本実施形態のセラミックの製造方法における焼成温度プロファイルを示す図である。
本発明の第1の実施形態のセラミックの製造方法は、図1〜図3に示すように、被焼成体34としてバインダーを含む未焼成のセラミック成形体を準備する工程と、該セラミック成形体(34)をベースプレート35上に載置しトンネル式焼成装置21内を搬送しながら、予熱により脱脂する工程と、さらに昇温して雰囲気ガス中で所定の温度で焼成する工程と、冷却する工程と、を備えたセラミックの製造方法であって、前記焼成する工程が前記予熱により脱脂する工程における搬送方向とは異なる搬送方向で搬送しながら昇温して焼成するものである。
具体的には、有機バインダーを含む未焼成のセラミック成形体からなる被焼成体34をベースプレート35の上に載置し、搬送ローラからなる搬送手段28によりセラミックの焼成装置21の入口25から予熱帯22内へ導入する。次に、加熱手段32により所定の温度に加熱して脱脂し、前記セラミック成形体中の有機バインダーを分解・消失させる。予熱帯22には、雰囲気ガスの導入口36Aから雰囲気ガスとして大気を導入し、前記分解されたバインダー成分を含む雰囲気ガスを雰囲気ガス排出口36Bから排出する。
焼成帯23には、前記ベースプレートを載置可能なステージを備えた耐火物セラミック製のエレベータからなる搬送手段29が設けられており、前記被焼成体34が載置されたベースプレート35を載せて焼成帯23の内部を垂直に移動し、この間に被焼成体34が急速昇温されて焼結される。この際、前記予熱帯22と前記焼成帯23とはそれぞれ被焼成体34の搬送路の周囲が炉壁27により囲まれ、かつ異なる搬送方向に搬送されるので、予熱帯22と焼成帯23との間で輻射熱が遮られ、相互に輻射による熱の移動が抑制されるため、この結果、前記焼成体23における昇温速度が大きくなり、急速昇温により少ないエネルギーで短時間にセラミックの焼成を行うことができる。
また、本実施形態のセラミックの焼成方法は、上記のように十分な脱脂処理が施された後に急速昇温により焼結されるので、複雑な形状のセラミック、異種のセラミック同士の積層体やセラミックと内部電極との積層体等において、構成部材間の焼結速度差に起因するクラックやデラミネーションの発生が抑制されるという優れた効果も有する。
上記有機バインダーとしては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、その他の各種の有機バインダーより適宜選択して用いることが好ましく、これらの有機バインダーと前記セラミック材料粉末と混合して乾式プレス成型法、湿式押し出し成型法、鋳込み成型法その他公知の成型手段により未焼成のセラミック成形体を準備することができる。
また、積層セラミック電子部品素子の焼成を行う場合においては、セラミック材料粉末と有機バインダーと溶剤とを混合してセラミックスラリーを準備するとともに、内部電極材料となる導電性金属粉とバインダーと溶剤とを混合して電極ペーストを準備し、ドクターブレード法その他の公知のシート化手段によりセラミックシートを作成してその表面にスクリーン印刷法、インクジェット法その他公知の印刷手段により、前記電極ペーストを所定のパターンで印刷し、未焼成のセラミック積層体を準備するか、あるいは前記セラミックスラリーと前記電極ペーストとを交互にスクリーン印刷して所謂スラリービルド法により前記と同様の未焼成のセラミック積層体を準備する等のうちから適宜選択して用いることができる。
次に、本発明のセラミックの焼成装置の第2の実施形態について、図4及び図5を参照して説明する。図4は第2の実施形態のセラミックの焼成装置51の内部構造を説明するための内部構造を透視した平面図である。図5は本実施形態の内部構造を説明するための図であり、図5(A)は上記図4におけるA−A線の部分断面図、図5(B)は上記図4におけるB−B線の部分断面図、図5(C)は上記図4におけるC−C線の部分断面図である。
本実施形態のセラミックの焼成装置51は、図4及び図5に示されるように、予熱帯52、焼成帯53及び冷却帯54毎に搬送手段58,59,60を独立して備え、各搬送手段58,59,60による搬送路の周囲が炉壁57で囲まれたトンネル式のセラミックの焼成装置51であって、
少なくとも前記焼成帯53の搬送手段59の搬送方向が前記予熱帯52の搬送手段58の搬送方向とは異なるように前記予熱帯52と前記焼成帯53とが配設され、前記予熱帯52の加熱手段62と前記焼成帯53の加熱手段63とをそれぞれ独立して備えたものである。
具体的には、予熱帯52と該予熱帯52の端部に該予熱帯52の搬送路に直交するように連結された焼成帯53と、該焼成帯53の端部に該焼成帯53の搬送路に直交するように連結された冷却帯54とを備え、前記予熱帯52と前記冷却帯54とが平行に配設されている。前記予熱帯52の搬送手段58、前記焼成体53の搬送手段59及び前記冷却帯54の搬送手段60は、それぞれ独立してセラミックベルトコンベアが用いられている。
また、本第2の実施形態のセラミックの焼成装置51においては、前記予熱帯52の搬送手段58による搬送方向と前記焼成帯53の搬送手段59による搬送方向とが直交するように前記予熱帯52と前記焼成帯53とが配設されているものである。
また、上記第2の実施形態のセラミックの焼成装置51においては、前記予熱帯52の搬送手段58と前記冷却帯54の搬送手段60とが平行に配設され、前記焼成帯53の搬送手段59が前記予熱帯52の搬送手段58の端部と前記冷却帯54の搬送手段60の端部との間を繋ぐようにかつ該焼成帯53の搬送手段59による搬送方向が水平になるように配設されているものである。
本第2の実施形態が先の第1の実施形態と異なる点は、予熱帯52、焼成帯53及び冷却帯54の搬送手段としてそれぞれセラミックベルトコンベアを用い、予熱帯52、焼成体53及び冷却帯54をそれぞれ水平に配置した点と、雰囲気ガス制御手段を有さない点であり、その他の構成及びそれに基づく作用・効果は先の第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
尚、上記第1及び第2の実施形態においては、被焼成体を載置したベースプレートを一段で搬送したが、これに限定するものではなく、例えば、前記ベースプレート上に載置された被焼成体の厚み寸法よりも大きな高さ寸法を有する耐火物製の駒を複数準備し、これを間に挟んで多段重ねで搬送するものであってもよい。
本発明によれば、種々の電子部品用セラミック及び積層セラミック電子部品素子の焼成に好適である。
本発明のセラミックの焼成装置の第1の実施形態の内部構造を示す断面図である。 前記第1の実施形態の内部構造を示す要部断面図である。 本発明のセラミックの焼成装置の第2の実施形態の内部構造を透視した平面図である。 前記第2の実施形態の内部構造を示す要部断面図である。 背景技術のセラミックの焼成装置を示す断面図である。
符号の説明
21:トンネル式焼成装置
22:予熱帯
23:焼成帯
24:冷却帯
27:炉壁
28:予熱帯の搬送手段
29:焼成帯の搬送手段
30:冷却帯の搬送手段
32:予熱帯の加熱手段
33:焼成帯の加熱手段
34:被焼成体
35:ベースプレート
37:雰囲気ガス制御手段
51:トンネル式焼成装置
52:予熱帯
53:焼成帯
54:冷却帯
57:炉壁
58:予熱帯の搬送手段
59:焼成帯の搬送手段
60:冷却帯の搬送手段
62:予熱帯の加熱手段
63:焼成帯の加熱手段
64:被焼成体
65:ベースプレート
67:雰囲気ガス制御手段

Claims (5)

  1. 予熱帯、焼成帯及び冷却帯毎に搬送手段を独立して備え、各搬送手段による搬送路の周囲が炉壁で囲まれたトンネル式のセラミックの焼成装置において、
    少なくとも前記焼成帯の搬送手段の搬送方向が前記予熱帯の搬送手段の搬送方向とは異なるように前記予熱帯と前記焼成帯とが配設され、前記予熱帯の加熱手段と前記焼成帯の加熱手段とをそれぞれ独立して備えたことを特徴とするセラミックの焼成装置。
  2. 前記予熱帯の搬送手段による搬送方向と前記焼成帯の搬送手段による搬送方向とが直交するように前記予熱帯と前記焼成帯とが配設されていることを特徴とする請求項1記載のセラミックの焼成装置。
  3. 前記予熱帯の搬送手段の上方に前記冷却帯の搬送手段が配設され、前記焼成帯の搬送手段が前記予熱帯の搬送手段の端部と前記冷却帯の搬送手段の端部との間を繋ぐようにかつ該焼成帯の搬送手段による搬送方向が垂直になるように配設されていることを特徴とする請求項1記載のセラミックの焼成装置。
  4. 少なくとも前記焼成帯と前記予熱帯とに雰囲気ガス制御手段をそれぞれ独立して備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミックの焼成装置。
  5. バインダーを含む未焼成のセラミック成形体を準備する工程と、該セラミック成形体をベースプレート上に載置しトンネル式焼成炉内を搬送しながら、予熱により脱脂する工程と、さらに昇温して雰囲気ガス中で所定の温度で焼成する工程と、冷却する工程と、を備えたセラミックの製造方法において、前記焼成する工程が前記予熱により脱脂する工程における搬送方向とは異なる搬送方向で搬送しながら昇温して焼成することを特徴とするセラミックの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101987940B1 (ko) * 2017-12-26 2019-06-11 주식회사 포스코 이차전지 양극재용 공간분리 수직형 소성로

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