JP2008037259A - 車両の直進制動時の運転制御装置及び運転制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の車両の運動制御装置は、車体の減速度を取得する手段と、減速度に基づいて、制動装置、前後輪の操舵装置等の車体偏向手段の作動を制御して、車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して車両の直進制動時に車体に発生する横力又はヨーモーメントを低減する横力又はヨーモーメントを発生させる偏向制御手段とを含む。
【選択図】図1
Description
(i)(a)制動装置と後輪操舵装置
(b)重心位置の左右方向のずれにより生ずるヨーモーメント、車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して車体に発生する横力及びヨーモーメント、車両の前輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメント
(ii)(a)制動装置と前輪操舵装置
(b)重心位置の左右方向のずれにより生ずるヨーモーメント、車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して車体に発生する横力及びヨーモーメント、車両の後輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメント
(iii)(a)前輪操舵装置と後輪操舵装置
(b)重心位置の左右方向のずれにより生ずるヨーモーメント、車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメント、車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して車体に発生する横力及びヨーモーメント
なお、上記の(i)と(ii)の場合、重心位置の左右方向のずれにより生ずるヨーモーメント以外の車両構造の左右非対称性による横力及びヨーモーメントが存在しない場合には、操舵装置の舵角制御を行う必要はない。
(iv)(a)後輪操舵装置
(b)重心位置の左右方向のずれにより生ずるヨーモーメント、車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメント、車両の前輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメント
(v)(a)前輪操舵装置
(b)重心位置の左右方向のずれにより生ずるヨーモーメント、車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメント、車両の後輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメント
(vi)(a)制動装置
(b)重心位置の左右方向のずれにより生ずるヨーモーメント、車両の前後車輪の各々のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメント
本発明の好ましい実施形態の説明の前に、実施形態に於いて取り扱う、車両の構造の左右非対称性に起因して車両の直進制動時に生ずる車体の偏向現象について説明する。なお、以下の説明に於いて、図中、車両の進行方向について、減速度A又は制動力は、車両を減速する方向を正、横力は、左向きを正、モーメントは、反時計回りを正とする。車両の質量は、mとする。従って、車両の重心に作用する制動力は、mAで与えられる。
既に述べた如く、車両に於いて、ハンドル、エンジン、燃料タンク等の配置、乗員・積載物の位置によって、車両の重量が車体に左右に均等に分散していない場合には、車両の重心は、車体の前後方向の中心軸上に載らず、車体の左右方向のいずれかにずれる。車両の重心のずれ及びこれに起因して制動時に車体に発生するヨーモーメントは、各輪の静荷重Wi(i=FL、FR、RL、RR、は、それぞれ左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪である。)から、以下の如く求めることができる(図1(A)を参照)。
W=WFL+WFR+WRL+WRR
により与えられる。従って、(図1(A)の如く車両に於いて座標を考えれば、)車両の前後方向の中心軸線から重心までの距離dは、
d=(T/2)・ΔW/W …(1)
で与えられる。ここで、ΔWは、荷重の左右差であり、
ΔW=(WFR+WRR)−(WFL+WRL)
である。また、Tは、トレッド長を示す。ここで、左右の車輪に均等に制動力m・Aが発生すると、車両の重心に作用する横力YcとヨーモーメントMcは、
Yc=0
Mc=(T/2+d)mA/2−(T/2−d)mA/2
=dmA=(T/2)・ΔW/W・mA …(2)
となる。かくして、上記の式(2)及び図1(A)を参照して理解される如く、車両の構造(の重量)が左右で非対称に分散することにより、車両の重心が左右方向にずれる場合、ヨーモーメントMcは、車両の先頭を重量の大きい方から軽い方へ偏向させる方向に作用することとなる。
車両の各輪の制動力をそれぞれFi(i=FL、FR、RL、RR)とすると、これにより車両の重心に作用する横力YbとヨーモーメントMbは、
Yb=0
Mb=T/2・(FFL+FRL)−T/2・(FFR+FRR)=T・ΔF …(3)
で与えられる(図1(B)参照)。ここで、Tは、トレッド長である。ΔFは、左右の制動力差であり、
ΔF={(FFL+FRL)−(FFR+FRR)}/2
である。
ΔF=λmA …(4)
とすると(λは、比例定数)、制動装置の構造の左右非対称性に起因する制動力の左右差によるヨーモーメントMbは、式(3)より、
Mb=TλmA …(3a)
と見積もることができる。なお、比例定数λは、実験的に又は理論的に与えられてよい。
既に述べた如く、タイヤは、前後方向に摩擦力が発生させられる場合、トレッドパターンの方向やベルトの張りなどによって、左右のいずれかの方向へ、幾分かの、通常、前後方向の力の数%程度の、横力が発生する(図1(C)参照)。かかる横力の大きさは、前後方向の力の大きさに概ね比例すると考えられる。そこで、前後力Fxに対する横力Fyの比(タイヤの横力特性値)を、κ(=Fy/Fx)として、車両の前後左右輪の全てに同様にタイヤが装着されるとすると、車両全体にmAの制動力が作用している場合の車両の重心に作用する横力YtとヨーモーメントMtは、
Yt=κFFL+κFFR+κFRL+κFRR=κ・mA
Mt=Lf・(κFFL+κFFR)−Lr・(κFRL+κFRR)
=(Lf・Bf−Lr・Br)・κ・mA …(5)
と見積もることができる(図1(D)参照)。ここで、Fi(i=FL、FR、RL、RR)は、各輪の制動力であり、mA=FFL+FFR+FRL+FRRである。Lf、Lrは、それぞれ、前輪、後輪の車軸から車両の重心までの距離である。Bf、Br(=1−Bf)は、前輪及び後輪の制動力配分であり、
FFL+FFR=Bf・mA
FRL+FRR=Br・mA
である。タイヤの横力特性値κは、トレッドパターンの方向やベルトの張りを調整することにより調節可能である。
車両の前輪及び後輪が転舵された際の前輪及び後輪が車体の重心に作用する横力及びヨーモーメントは、それぞれ、
前輪について、
Yf=2Kfδf
Mf=2LfKfδf …(6)
後輪について、
Yr=2Krδr
Mr=−2LrKrδr …(7)
で与えられる(図1(E)参照)。ここで、δf、δrは、それぞれ、前輪及び後輪の舵角であり、Kf、Krは、前後輪の制動中のコーナリングパワーである。もし、前輪及び後輪の左右で、それぞれ、舵角が異なる場合には、δf、δrは、それぞれ、
δf=(δFL+δFR)/2
δr=(δRL+δRR)/2
により与えられてよい。δi(i=FL、FR、RL、RR)は、各輪の舵角である。
δf=Pf・mA
δr=Pr・mA
と見積もることができる。なお、Pf、Prは、比例定数であり、実験的に又は理論的に与えられてよい。従って、車両の車輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントは、以下の如く見積もられる。
前輪について、
Yf=2Kf・Pf・mA
Mf=2Lf・Kf・Pf・mA …(6a)
後輪について、
Yr=2Kr・Pr・mA
Mf=−2Lr・Kr・Pr・mA …(7a)
図2は、本発明による車両の運動制御装置の好ましい実施形態を有する車両を模式的に示している。なお、図に於いて、説明の目的で、車体偏向手段として、車両の左右輪の間で制動力差を付与できる制動装置、車両の運転者の操舵とは独立に転舵可能な前輪操舵装置及び後輪操舵装置が、一つの車両に搭載されて描かれているが、以下に説明されるように、本発明の以下の実施例の制御に於いては、制動装置、前輪操舵装置及び後輪操舵装置のうちの一つ又は二つが使用される。従って、使用されない車体偏向手段が車両に搭載されている必要がないことは、理解されるべきである。
以下に説明する本発明の実施例に於ける制御の基本的な考え方は、上記に説明した種々の車両の構造の左右非対称性に起因して車両の直進制動中に発生する横力とヨーモーメントが、車体偏向手段により発生される横力とヨーモーメントにより相殺されるように、換言すると、車両の重心周りに作用する横力とヨーモーメントの各々の総和Y、Mが実質的に0となるように、車体偏向手段を作動するというものである。即ち、
横力について、
Y=Yc+Yb+Yt+Yf+Yr=0 …(8)
ヨーモーメントについて
M=Mc+Mb+Mt+Mf+Mr=0 …(9)
が成立するよう車体偏向手段が制御される。(Yc〜Yr及びMc〜Mrのうちの幾つかが構造の左右非対称性に起因する横力とヨーモーメントであり、その残りが車体偏向手段により与えられる横力とヨーモーメントとなる。また、車体偏向手段として、トレッドパターンとベルトの張り角が調整されて、制動力が発生した際に減速度又は制動力に応じて予め定められた横力が発生するタイヤが選択される場合も有り得ることは理解されるべきである。)なお、本発明の実施形態の制御は、いずれも、直進制動中に、車両の減速度に基づいて実行される。車両が制動中であるか否かは、車両の前後加速度Gxの値が0以下であるか否か、或いは、ブレーキペダルの踏込みが行われているか否かより判断されてよい。また、車両が直進中であるか否かは、ステアリングホイール14の舵角θとその時間変化率又はヨーレートの絶対値が所定値以下であるか否かにより判断されてよい。
車両の重心位置の左右方向のずれによる車体偏向の作用は、ヨーモーメントだけであり、かかる偏向作用は、制動装置により左右輪の間で制動力差を付与することにより発生するヨーモーメントにより低減又は相殺することができる。上記の式(2)及び(3)を参照して、
Mc+Mb=0
より、
ΔF=(1/2)・ΔW/W・mA=(ΔW/2g)・A …(10)
となる。ここで、W=mgであり、gは、重力加速度である。
かくして、電子制御装置60に於いて、車両の直進制動時に、加速度センサの検出値から減速度Aを取得し(例えば、前後加速度の検出値Gxから、A=−Gxにより得られる。以下同様)、各輪の荷重センサの検出値から左右の輪荷重差ΔWを算出し、左前後輪の制動力と右前後輪の制動力との差ΔFを、上記の式(10)で与えられる値となるよう、当業者にとって任意の手法により制御することによって、車両の重心位置の左右方向のずれによる車体偏向の作用が低減又は相殺されることとなる。なお、左右の輪荷重差ΔWは、設計時に概算値が予め定められていてもよい。
車体偏向手段として、制動装置と後輪操舵装置とが利用可能である場合(図2に於いて、前輪操舵装置は運転者の操舵とは独立に転舵可能なもので無くてもよい。)、車両の重心位置の左右方向のずれ、車両のタイヤの構造の左右非対称性及び前輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントは、以下の如く低減又は相殺することができる。
横力について、
Y=Yc+Yb+Yt+Yf+Yr
=0+0+κ・mA+2Kf・Pf・mA+2Krδr
ヨーモーメントについて、
M=Mc+Mb+Mt+Mf+Mr
=(T/2)・ΔW/W・mA+T・ΔF+(Lf・Bf−Lr・Br)・κ・mA+2Lf・Kf・Pf・mA−2LrKrδr
が得られる。ここで、Y=0、M=0として、制動装置の制御量である制動力差ΔFと後輪操舵装置の制御量である後輪舵角δrについて解くと、
ΔF=−{ΔW/2W+(L/T)(2KfPf+Bfκ)}mA
δr=−{(2KfPf+κ)/2Kr}mA …(11)
が得られる。なお、Lは、前輪、後輪の車軸間距離であり、L=Lf+Lrである。
車体偏向手段として、制動装置と前輪操舵装置とが利用可能である場合(図2に於いて、後輪操舵装置がなくてもよい。)、車両の重心位置の左右方向のずれ、車両のタイヤの構造の左右非対称性及び後輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントを、以下の如く低減又は相殺することができる。
横力について、
Y=Yc+Yb+Yt+Yf+Yr
=0+0+κ・mA+2Kfδf+2Kr・Pr・mA
ヨーモーメントについて、
M=Mc+Mb+Mt+Mf+Mr
=(T/2)・ΔW/W・mA+T・ΔF+(Lf・Bf−Lr・Br)・κ・mA+2LfKfδf−2Lr・Kr・Pr・mA
が得られる。ここで、Y=0、M=0として、制動装置の制御量である制動力差ΔFと前輪操舵装置の制御量である前輪舵角δfについて解くと、
ΔF=−{ΔW/2W−(L/T)(2KrPr+Brκ)}mA
δf=−{(2KrPr+κ)/2Kf}mA …(12)
が得られる。
車体偏向手段として、前輪操舵装置と後輪操舵装置とが利用可能である場合(図2に於いて、制動装置は左右輪で制動力差を付与できるものでなくてもよい。)、車両の重心位置の左右方向のずれ、制動装置の構造の左右非対称性及び車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントを、以下の如く低減又は相殺することができる。
横力について、
Y=Yc+Yb+Yt+Yf+Yr
=0+0+κ・mA+2Kfδf+2Krδr
ヨーモーメントについて、
M=Mc+Mb+Mt+Mf+Mr
=(T/2)・ΔW/W・mA+TλmA+(Lf・Bf−Lr・Br)・κ・mA+2LfKfδf−2LrKrδr
が得られる。ここで、Y=0、M=0として、前輪操舵装置の制御量である前輪舵角δfと後輪操舵装置の制御量である後輪舵角δrについて解くと、
δf=−{(T・ΔW/W+2Tλ+2LBfκ)/4LKf}mA
δr=−{(T・ΔW/W+2Tλ+2LBrκ)/4LKr}mA …(13)
が得られる。
既に述べた如く、タイヤに於いて、そのトレッドパターンとベルトの張り角を調整することにより、車輪に制動力が発生した際に発生する横力を制御することができる(タイヤの横力特性値を調整できる)。従って、かかるタイヤの横力の特性を予め調整して、タイヤの横力を車両偏向手段の一つとして利用することができる。
後輪操舵装置が車体偏向手段として利用可能である場合(図2に於いて、前輪操舵装置は運転者の操舵とは独立に転舵可能なもので無くてもよく、制動装置は左右輪で制動力差を付与できるものでなくてもよい。)、後輪操舵装置の制御とタイヤの横力とを組み合わせて、車両の重心位置の左右方向のずれ、制動装置の構造の左右非対称性及び前輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントを、以下の如く低減又は相殺することができる。
横力について、
Y=Yc+Yb+Yt+Yf+Yr
=0+0+κ・mA+2Kf・Pf・mA+2Krδr
ヨーモーメントについて、
M=Mc+Mb+Mt+Mf+Mr
=(T/2)・ΔW/W・mA+TλmA+(Lf・Bf−Lr・Br)・κ・mA+2Lf・Kf・Pf・mA−2LrKrδr
が得られる。ここで、Y=0、M=0として、タイヤの横力特性値κと後輪操舵装置の制御量である後輪舵角δrについて解くと、
κ=−{(T/2)・ΔW/W+Tλ+2L・Kf・Pf}/LBf
δr=−[{(T/2)・ΔW/W+Tλ+2Br・L・Kf・Pf}/2LBfKr]・mA …(14)
が得られる。なお、Lは、前輪、後輪の車軸間距離であり、L=Lf+Lrである。
前輪操舵装置が車体偏向手段として利用可能である場合(図2に於いて、後輪操舵装置は無くてもよく、制動装置は左右輪で制動力差を付与できるものでなくてもよい。)、前輪操舵装置の制御とタイヤの横力とを組み合わせて、車両の重心位置の左右方向のずれ、制動装置の構造の左右非対称性及び後輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントを、以下の如く低減又は相殺することができる。
横力について、
Y=Yc+Yb+Yt+Yf+Yr
=0+0+κ・mA+2Kfδf+2Kr・Pr・mA
ヨーモーメントについて、
M=Mc+Mb+Mt+Mf+Mr
=(T/2)・ΔW/W・mA+TλmA+(Lf・Bf−Lr・Br)・κ・mA+2LfKfδf−2Lr・Kr・Pr・mA
が得られる。ここで、Y=0、M=0として、タイヤの横力特性値κと前輪操舵装置の制御量である前輪舵角δfについて解くと、
κ=−{(T/2)・ΔW/W+Tλ+2L・Kr・Pr}/LBr
δf=−[{(T/2)・ΔW/W+Tλ+2Bf・L・Kr・Pr}/2LBrKf]・mA …(15)
が得られる。
制動装置が車体偏向手段として利用可能である場合(図2に於いて、後輪操舵装置は無くてもよく、前輪操舵装置は運転者の操舵とは独立に車輪を転舵できるものでなくてもよい。)、制動装置の制御とタイヤの横力とを組み合わせて、車両の重心位置の左右方向のずれ、前輪及び後輪のサスペンション等の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントを、以下の如く低減又は相殺することができる。
横力について、
Y=Yc+Yb+Yt+Yf+Yr
=0+0+κ・mA+2Kf・Pf・mA+2Kr・Pr・mA
ヨーモーメントについて、
M=Mc+Mb+Mt+Mf+Mr
=(T/2)・ΔW/W・mA+T・ΔF+(Lf・Bf−Lr・Br)・κ・mA+2Lf・Kf・Pf・mA−2Lr・Kr・Pr・mA
が得られる。ここで、Y=0、M=0として、タイヤの横力特性値κと制動装置の制御量である制動力差ΔFについて解くと、
κ=−2KfPf−2KrPr
ΔF=−{(1/2)・ΔW/W+2(L/T)・(BrKfPf+BfKrPr)}・mA …(16)
が得られる。
12…車両
16…前輪操舵装置
24…転舵角可変装置
36…制動装置
38…油圧回路
40FL〜40RR…ホイールシリンダ
50…後輪操舵装置
60…電子制御装置
64…前後加速度センサ
Claims (24)
- 車体と前記車体に横力又はヨーモーメントを発生する車体偏向手段とを有する車両の運動制御装置であって、前記車体の減速度を取得する手段と、前記減速度に基づいて前記車体偏向手段の作動を制御して、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントを低減する横力又はヨーモーメントを前記車体偏向手段によって発生させる偏向制御手段とを含むことを特徴とする車両の運動制御装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントが前記減速度の関数であり、前記車体偏向手段の制御量が、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して発生する前記横力又はヨーモーメントに基づいて決定されることを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記偏向制御手段が、前記車両の直進制動時に前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車体に発生する横力及びヨーモーメントの双方を低減するよう前記車体偏向手段を制御することを特徴とする装置。
- 請求項1又は3の車両の運動制御装置であって、前記偏向制御手段が、前記車体偏向手段に前記車体に横力及びヨーモーメントの双方を発生させることを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車体偏向手段が、前記車両の左右輪の間で制動力差を付与できる制動装置と、前記車両の運転者の操舵とは独立に転舵可能な前輪操舵装置と、前記車両の後輪操舵装置とから成る群から選択されることを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントが、前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより生ずるヨーモーメントを含むことを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントが、前記車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメントを含むことを特徴とする装置。
- 請求項7の車両の運動制御装置であって、前記制動装置が液圧式制動装置であり、前記車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差が、前記車両の左右輪への制動圧を供給する配管の長さに差があることに起因して発生する左右輪の制動力差を含むことを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントが、前記車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントを含むことを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車体に発生する横力又はヨーモーメントが、前記車両の車輪のサスペンション又は操舵装置の構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントを含むことを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車両の車輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントが、前記車両の車輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車輪が転舵されることにより生ずる横力及びヨーモーメントを含むことを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、更に、前記車両の左右輪の間の荷重差を取得する手段を含み、前記車体偏向手段が前記車両の左右輪の間で制動力差を付与できる制動装置であり、前記偏向制御手段が、前記減速度と前記左右の車輪の間の荷重差とに基づいて、前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより生ずるヨーモーメントを低減する前記左右輪の制動力差を前記制動装置により発生させることを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車体偏向手段が前記車両の運転者の操舵とは独立に転舵可能な前輪操舵装置と、前記車両の後輪操舵装置とを含み、前記偏向制御手段が、前記減速度に基づいて、前記前輪操舵装置及び前記後輪操舵装置を制御して前記車両の前輪及び後輪を転舵することにより、前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより生ずるヨーモーメントと前記車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメントと前記車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントのうちの少なくとも一つを低減する横力及びヨーモーメントを発生させることを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車体偏向手段が前記車両の左右輪の間で制動力差を付与できる制動装置と、前記車両の後輪操舵装置とを含み、前記偏向制御手段が、前記減速度に基づいて、前記制動装置を制御して前記車両の左右輪の間で制動力差を生成させると共に前記後輪操舵装置を制御して後輪を転舵することにより、前記車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントと前記車両の前輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記前輪が転舵することにより生ずる横力及びヨーモーメントのうちの少なくとも一つを低減する横力及びヨーモーメントを発生させることを特徴とする装置。
- 請求項14の車両の運動制御装置であって、前記偏向制御手段が、前記制動装置を制御して前記車両の左右輪の間で制動力差を生成させると共に前記後輪操舵装置を制御して後輪を転舵することにより、前記車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントと前記車両の前輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記前輪が転舵することにより生ずる横力及びヨーモーメントのうちの少なくとも一つと共に前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより生ずるヨーモーメントを低減する横力及びヨーモーメントを発生させることを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車体偏向手段が、前記車両の左右輪の間で制動力差を付与できる制動装置と、前記車両の運転者の操舵とは独立に転舵可能な前輪操舵装置とを含み、前記偏向制御手段が、前記減速度に基づいて、前記制動装置を制御して前記車両の左右輪の間で制動力差を生成させると共に前記前輪操舵装置を制御して前輪を転舵することにより、前記車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントと前記車両の後輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記後輪が転舵することにより生ずる横力及びヨーモーメントのうちの少なくとも一つを低減する横力及びヨーモーメントを発生させることを特徴とする装置。
- 請求項16の車両の運動制御装置であって、前記偏向制御手段が、前記制動装置を制御して前記車両の左右輪の間で制動力差を生成させると共に前記前輪操舵装置を制御して前輪を転舵することにより、前記車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントと前記車両の後輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記前輪が転舵することにより生ずる横力及びヨーモーメントのうちの少なくとも一つと共に前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより生ずるヨーモーメントを低減する横力及びヨーモーメントを発生させることを特徴とする装置。
- 請求項1の車両の運動制御装置であって、前記車両が、その車輪に、前記車両の直進制動時に前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車体に発生する横力の総和及びヨーモーメントの総和に基づいて決定される横力を前記車両の直進制動時に発生するよう予め調整されたタイヤが取り付けられた車両であることを特徴とする装置。
- 請求項18の車両の運動制御装置であって、前記車体偏向手段が前記車両の後輪操舵装置であり、前記車両の直進制動時に前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより前記車両の直進制動時に生ずるヨーモーメントと、前記車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメントと、前記車両の前輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記前輪が転舵されることにより生ずる横力及びヨーモーメントとのうちの少なくとも一つを、前記タイヤの横力と、前記偏向制御手段が前記後輪操舵装置を作動して前記車両の後輪を操舵することにより生ずる横力とヨーモーメントとにより低減することを特徴とする装置。
- 請求項18の車両の運動制御装置であって、前記車体偏向手段が前記車両の運転者の操舵とは独立に転舵可能な前輪操舵装置であり、前記車両の直進制動時に前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより前記車両の直進制動時に生ずるヨーモーメントと、前記車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメントと、前記車両の後輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記後輪が転舵されることにより生ずる横力及びヨーモーメントとのうちの少なくとも一つを、前記タイヤの横力と、前記偏向制御手段が前記前輪操舵装置を作動して前記車両の前輪を操舵することにより生ずる横力とヨーモーメントとにより低減することを特徴とする装置。
- 請求項18の車両の運動制御装置であって、前記車体偏向手段が前記車両の左右輪の間で制動力差を付与できる制動装置であり、前記車両の直進制動時に前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより前記車両の直進制動時に生ずるヨーモーメントと、前記車両の前輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記前輪が転舵されることにより生ずる横力及びヨーモーメントと、前記車両の後輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記後輪が転舵されることにより生ずる横力及びヨーモーメントとのうちの少なくとも一つを、前記タイヤの横力と、前記偏向制御手段が前記制動装置を作動して前記車両の左右輪に制動力差を与えることにより生ずるヨーモーメントとにより低減することを特徴とする装置。
- 車体と前記車体に横力又はヨーモーメントを発生する車体偏向手段とを有する車両の運動制御方法であって、
車体の減速度を取得する過程と、
前記車体の減速度に基づいて前記車体偏向手段を作動して前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントを低減する横力又はヨーモーメントを発生する過程と
を含むことを特徴する方法。 - 請求項22の車両の運動制御方法であって、
前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントが、前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより生ずるヨーモーメントと、前記車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメントと、前記車両のタイヤの構造の左右非対称性に起因して発生する横力及びヨーモーメントと、前記車両の車輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車輪が転舵されることにより生ずる横力及びヨーモーメントとのうちの少なくとも一つを含み、
前記車体偏向手段を作動して横力又はヨーモーメントを発生する過程に於いて、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力と前記車体偏向手段により生成される横力との総和と、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生するヨーモーメントと前記車体偏向手段により生成されるヨーモーメントとの総和とが実質的に0になるように前記車体の減速度に基づいて前記車体偏向手段の作動を制御することを特徴する方法。 - 請求項22の車両の運動制御方法であって、
前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力又はヨーモーメントが、前記車両の重心が前記車体の前後方向の中心軸から前記車体の左右方向のいずれかにずれていることにより生ずるヨーモーメントと、前記車両の制動装置の構造の左右非対称性に起因して発生する左右輪の制動力差により生ずるヨーモーメントと、前記車両の車輪のサスペンションの構造の左右非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車輪が転舵されることにより生ずる横力及びヨーモーメントとのうちの少なくとも一つを含み、
更に、前記車両の車輪に取り付けられるタイヤの前記車両の直進制動時に発生する横力を調節する過程を含み、
前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生する横力と前記車体偏向手段により生成される横力と前記タイヤの横力との総和と、前記車両の構造に於ける左右の非対称性に起因して前記車両の直進制動時に前記車体に発生するヨーモーメントと前記車体偏向手段により生成されるヨーモーメントと前記タイヤの横力により生ずるヨーモーメントとの総和とが実質的に0になるように前記タイヤの横力が予め調整されると共に前記車体の減速度に基づいて前記車体偏向手段の作動が制御されることを特徴する方法。
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