JP2008035592A - 直流電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】三相電源を入力とする直流電源装置において、入力力率の改善と高調波電流の低減を簡単な構成で実現することを目的とする。
【解決手段】三相交流電源1と接続される第1のダイオードブリッジ16と、交流リアクトル2〜4を介して接続される第2のダイオードブリッジ5と、この第2のダイオードブリッジ5と第2のダイオードブリッジ16の直流出力端間に接続される直流リアクトル17、18と、平滑用コンデンサ14と、負荷15とを具備し、第2のダイオードブリッジ5の直流出力に並列に2個直列接続した第3、第4のダイオードブリッジ6、7と、第2のダイオードブリッジ5の交流入力端と第3、第4のダイオードブリッジ6、7の交流入力端との間にコンデンサ8〜13とを備えることにより、簡単な構成で入力力率の改善と高調波電流低減が可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】三相交流電源1と接続される第1のダイオードブリッジ16と、交流リアクトル2〜4を介して接続される第2のダイオードブリッジ5と、この第2のダイオードブリッジ5と第2のダイオードブリッジ16の直流出力端間に接続される直流リアクトル17、18と、平滑用コンデンサ14と、負荷15とを具備し、第2のダイオードブリッジ5の直流出力に並列に2個直列接続した第3、第4のダイオードブリッジ6、7と、第2のダイオードブリッジ5の交流入力端と第3、第4のダイオードブリッジ6、7の交流入力端との間にコンデンサ8〜13とを備えることにより、簡単な構成で入力力率の改善と高調波電流低減が可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、三相交流電源を直流に変換するとともに入力力率の改善と高調波電流低減を図る直流電源装置に関するものである。
従来、三相交流を直流に変換する直流電源装置としては、6個のダイオードから成るダイオードブリッジとその直流出力端に設けられた直流リアクトルとを組み合わせた、いわゆる三相全波整流を行う直流電源装置が最も基本的なものとして、広く一般的に用いられている。
しかし、このような単純な方式の直流電源装置では力率を一定レベル以上に改善することができず、発生する高調波電流による系統への悪影響についても問題とされてきた。
そこで、近年、力率改善と高調波電流低減とを目的として、三相交流電源の電流波形を正弦波に近づけて、電源電圧を直流電圧に変換する直流電源装置が開発されている。
このような直流電源装置としては、主としてスイッチング素子を数kHzから十数kHzで駆動することでスイッチング素子を流れる電流を高速制御し、目標となる基準正弦波形に追従させる方式がとられることが多い。
しかしながら、このような直流電源装置は、部品点数が多く制御手段が複雑となることや、スイッチング素子のオンオフにより発生する電気的ノイズの発生、部品点数の多さに起因するコスト高などの課題があった。
一方、スイッチング素子を利用しない直流電源装置では、一般的に用いられる力率改善と高調波低減の手段として交流入力側に交流リアクトルを挿入することが行われている。
しかし、海外の高調波電流規制に対応するためには交流リアクトルのインダクタンスを数十mH程度に設定する必要があり、この場合は負荷量が増えるに従って直流電圧が大幅に低下するという課題と、入力力率が遅れ力率となって悪化するという課題があるため適用範囲は限られていた。
そこで近年、スイッチング素子を有する電源装置に対して回路の簡素化と低コストを実現するとともに、単なる交流リアクトルの適用に比して高負荷時に直流電圧の低下と力率悪化を防止でき、かつ高調波電流低減が可能な直流電源装置が提案されている。
例えば、従来の受動部品を組み合わせて力率改善と高調波電流低減とを図る直流電源装置としては、三相交流電源に接続される6個のダイオードから成るダイオードブリッジと、このダイオードブリッジの正極出力側の3個のダイオードにそれぞれ並列に接続された3個のコンデンサと、ダイオードブリッジの交流入力端子と三相交流電源との間にそれぞれ介挿されて3個のコンデンサとの間で、三相交流電源の周波数に等しい周波数の共振回路を形成する3個の交流リアクトルとを具備した直流電源装置がある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら従来の直流電源装置について説明する。
図19は、特許文献1に記載されている三相交流電源から直流電力を得る従来の直流電源装置の構成図である。
この直流電源装置のダイオードブリッジ5は、正極出力側の3個のダイオードD1、D2、D3と負極出力側の3個のダイオードD4、D5、D6からなる。そして正極出力側の各ダイオードD1、D2、D3には、コンデンサC1、C2、C3がそれぞれ並列接続されている。
U相、V相およびW相からなる、三相交流電源1のU相電源Ugとダイオードブリッジ5の第1の電源入力端u(ダイオードD1のアノードとダイオードD4のカソード)との間には第1の交流リアクトルL1が直列に介挿され、また同様にV相電源Vgと第2の電源入力端v(ダイオードD2のアノードとダイオードD5のカソード)との間には第2の交流リアクトルL2が介挿され、W相電源Wgと第3の電源入力端w(ダイオードD3のアノードとダイオードD6のカソード)との間には第3の交流リアクトルL3が介挿されている。
ダイオードブリッジ5の正極出力側は出力端OUT1に接続され、負極出力側は出力端OUT2に接続されている。ここで、出力端OUT2を接地すると直流電源装置の直流電圧は正電圧となる。
なお、直流電圧は、例えばリアクトルLfとコンデンサCfからなる平滑回路で平滑され負荷抵抗RLに供給される。
以上のように構成された直流電源装置においては、各相電源Ug、Vg、Wgから電源入力端u、v、wに流れる各相電流iu、iv、iwは、ダイオードD1からD6の整流作用によって正弦波化される。この電流の正弦波化についてU相を例に説明する。
図20は、U相電源Ugからダイオードブリッジ5の第1の電源入力端uを経由して、ダイオードD1、D4およびコンデンサC1に流れる電流iuと、三相交流電源1の電源波形を説明するための波形図である。
また、図21はU相電源UgによるU相電流iuを説明するための図である。ここで前記各相電源Ug、Vg、Wgの各出力電圧(以下、「U相電圧、V相電圧、W相電圧」)eu、ev、ewを、
eu=Em×sinωt
ev=Em×sin(ωt−2π/3)
ew=Em×sin(ωt−4π/3)
とする。
eu=Em×sinωt
ev=Em×sin(ωt−2π/3)
ew=Em×sin(ωt−4π/3)
とする。
なおEmは各相電圧の最大値であり、角度の単位はラジアンである。また、ωは三相交流電源1の角周波数であり、tは時刻である。
図20中、時刻t0では、U相電圧euは負、V相電圧evは正、W相電圧ewは正の関係にあり、U相電圧euは略負の最大値となっている。
このとき、図21(a)に示すように、ダイオードD4は導通しており、負極出力側から電流id4が流れている。ダイオードD4の順方向電圧降下Vfは略0ボルトとみなしている。
一方ダイオードD1は遮断しており、コンデンサC1には、正極出力側から電流icの絶対値電流Ic(以下、電流Icは電流icの絶対値を表すものとする)が充電電流として流れることで、コンデンサC1は正極出力側に接続された端子を正電圧として充電する。
従って、電流id4と電流icとは電源入力端uから交流リアクトルL1を介してU相電源Ugへと流れるU相電流iuとなり、U相電流iuの絶対値Iuは(以下、U相電流IuはU相電流iuの絶対値を表すものとする)、
Iu=id4+Ic・・(1)
となる。
Iu=id4+Ic・・(1)
となる。
なお電流の流れる方向を明確にするため、U相電流iuとコンデンサC1の電流icは絶対値で表示している。またU相電圧euの絶対値電圧を電圧Euとする。以下、絶対値で表示した電流等は電流の流れる方向等を明確にするためである。
またコンデンサC1の充電電圧を電圧Vcとする。後述するように時刻t0以前に、コンデンサC1は既に充電状態にあるが、時刻t0以降、コンデンサC1は電流Icによって更に充電され、電圧Vcはその最大値まで上昇する。その後にU相電圧euが正となると、図21(b)に示すように電流Icはコンデンサの充電電流から放電電流へと変わる。
このときU相電流Iuは、
Iu=Ic−id4・・(2)
である。
Iu=Ic−id4・・(2)
である。
電流Icが充電電流から放電電流へと変わった時(この時刻をtcとする)には、図20に示すようにV相電圧evはU相電圧euに比べて低電圧となっているので、V相電圧evが印加されているダイオードD5がやがて導通し、ダイオードD4に流れていた電流id4は、ダイオードD5へ流れるようになり、ダイオードD4が遮断する。
このようにしてダイオードD4が遮断する時刻はt1であり、このときダイオードD4のアノード・カソード間電圧は逆方向電圧となる。この逆方向電圧をVrとすると、Vrは負である。
かくして、時刻t0〜時刻t1の期間では、交流リアクトルL1とコンデンサC1で構成される共振回路に、電源周波数に共振した共振電流が流れることになる(以下、電源周波数に共振した共振回路を「共振回路」と表示する)。時刻t1を経過すると、上述したように、ダイオードD4が遮断し且つ電流Icは既にコンデンサC1の電圧Vcの放電電流となっている。
このとき、コンデンサC1が放電し尽くすまでの期間、図21(c)に示すように、コンデンサC1に並列接続されたダイオードD1は、カソード側が正電圧であるので遮断している。
従って、この期間では、U相電流Iuと電流Icとは等しくなり、
Iu=Ic・・(3)
となる。
Iu=Ic・・(3)
となる。
やがてコンデンサC1が放電し尽くすと、ダイオードD1は導通して電流id1が流れる。このようにしてダイオードD1が導通する時刻はt2となる。
一方、時刻t1から時刻t2に至る期間では、ダイオードD4の逆方向電圧Vrは、コンデンサC1の放電による電圧Vcの減少に伴い、0Vから次第に上昇している。かくして、時刻t1から時刻t2の期間、交流リアクトルL1とコンデンサC1の共振回路に共振電流が流れることになる。
上述したように、コンデンサC1が放電し尽くして、電流id1がダイオードD1に流れると(時刻t2を経過すると)、電圧Vc(ダイオードD1の順方向電圧降下Vfと同一電圧)は略0ボルトになる。このときU相電流Iuと電流の絶対値Id1とは等しくなり(以下、電流Id1はU相電流id1の絶対値を表すものとする)、
Iu=Id1・・(4)
となって、U相電流iu(電流id1)が出力端OUT1から負荷へ供給される。やがてU相電流iuの極性は反転するが、この反転する時刻を時刻t3とする。
Iu=Id1・・(4)
となって、U相電流iu(電流id1)が出力端OUT1から負荷へ供給される。やがてU相電流iuの極性は反転するが、この反転する時刻を時刻t3とする。
上述したように、時刻t2から時刻t3までは、交流リアクトルL1はコンデンサC1と共振回路を構成しない。
しかし、ダイオードブリッジ5としては、図22に示すように、V相では交流リアクトルL2とコンデンサC2とが、W相では交流リアクトルL3とコンデンサC3とが共振回路として作用するので、V、W各相の共振電流(電源入力端v、wから流出する電流)が交流リアクトルL1を介して電源入力端uに流れることになる。
かくして、時刻t2からt3の期間、交流リアクトルL1には共振電流が流れることになる。
なお、図22は、遮断しているダイオードの図示を省略し、導通しているダイオードのみを示している。また、ダイオードD1は導通しているので、コンデンサC1はコンデンサとして作用しないため、図示を省略している。
時刻t3で、U相電流iuの極性が反転してダイオードD1が遮断し、その後、時刻t3を経過しても、ダイオードD4は未だ導通していないため、コンデンサC1には、電源入力端uに向かって(充電)電流icが流れ、電圧Vcが上昇する。この電流はU相電流iuとなる。従って、この期間では、U相電流Iuと電流Icとは等しくなり、
Iu=Ic・・(5)
となる。
Iu=Ic・・(5)
となる。
一方、ダイオードD4には、時刻t1以降、逆方向電圧Vrが印加されているが、出力端OUT1およびOUT2に発生する直流電圧をV10とすると、
V10=Vc+Vr
となる。
V10=Vc+Vr
となる。
ここで直流電圧V10は、U相電圧eu、V相電圧evおよびW相電圧ewによって電源入力端u、v、wに発生する各瞬時電圧の絶対値の最も高い電圧を出力したものである。
従って、直流電圧V10は、U相電圧euのみならずV相電圧evおよびW相電圧ewに相互に関連した電圧となる。
よって、ダイオードD4を遮断している逆方向電圧Vrも、一時、V相電圧evおよびW相電圧ewに対応して上昇するが、やがて電圧Vcの上昇と直流電圧V10の低下に伴い、ダイオードD4の逆方向電圧Vrは0ボルトに低下し、ダイオードD4のアノード・カソード間電圧の極性が反転してダイオードD4は導通する。このダイオードD4が導通する時刻を時刻t4とする。このときコンデンサC1は、電流icで引き続き充電されている。
以上より、時刻t3からt4の期間、交流リアクトルL1とコンデンサC1の共振回路に共振電流が流れることになる。
ここで時刻t4におけるダイオードブリッジ5の動作状態は時刻t0におけるダイオードブリッジ5の動作状態と同一であり、前述したように時刻t0においてコンデンサC1は既に充電状態にあることになる。
こうしてダイオードブリッジ5は、上述した時刻t0からt4の期間の動作を繰り返す。
以上のように、従来の直流電源装置では、U相電流iuが共振回路によって正弦波状となり、同様にV相・W相電流についても正弦波状の電流が流れることから、高調波電流を低減することが可能となる。
また、負荷容量によって交流リアクトルL1からL3のインダクタンスとコンデンサC1からC3の定数を適切に選定することにより、定格負荷時の入力力率をほぼ1にすることが可能となる。
特開2002−369530号公報
しかしながら、前記従来の直流電源装置の構成では、高調波電流の発生を抑えつつ定格負荷時の入力力率を99%程度として最大になるよう、交流リアクトルとダイオードに並列接続されるコンデンサの定数を選定すると、ほとんどの場合、50%負荷時には入力力率は90%程度まで低下してしまう。
これはコンデンサの位相進み電流の影響によるものである。
従って、常時、定格負荷運転とする場合には問題ないが、通常よく使用する50%以下の負荷率で運転するような場合には不利となる。また、高調波電流を低減し、定格負荷時の入力力率を99%程度にするためには、使用する交流リアクトルのインダクタンスが大きくなり、回路全体の外形、重量、コスト面での課題となっていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、定格負荷時の入力力率を99%程度となるように各部品の定数を選定しても、負荷率50%時の入力力率の低下を5%以下に抑えるとともに、三相入力機器での高調波電流として最も問題となる5次高調波電流を低減するものである。
そして、さらに交流リアクトルのインダクタンスを従来回路に比較して半分以下にすることで直流リアクトルも含めたリアクトル全体での体積重量の低減を図り、ひいては装置全体の小型化と軽量化、コスト低減をも実現することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の直流電源装置は、三相交流電源に接続される第1のダイオードブリッジと、三相交流電源と交流リアクトルを介して接続される第2のダイオードブリッジと、第1のダイオードブリッジと第2のダイオードブリッジの直流出力端間にそれぞれ接続される直流リアクトルと、直流出力電圧を平滑する平滑用コンデンサと、第2のダイオードブリッジの直流出力端に、並列に2個直列接続した第3のダイオードブリッジおよび第4のダイオードブリッジと、第2のダイオードブリッジの交流入力端と第3のダイオードブリッジおよび第4のダイオードブリッジの交流入力端との間にコンデンサを備えることにより、簡単な構成で広い負荷範囲での高い入力力率を維持するとともに、リアクトルの総体積、重量の軽減と5次高調波電流の低減を図ることができる。
本発明の直流電源装置は、3つの交流リアクトルと1つのダイオードブリッジを用いた基本的な三相全波整流回路に対して、3つのダイオードブリッジと2つの直流リアクトル、およびこれらに接続される6つのコンデンサを追加した簡単な構成で広い負荷範囲における入力力率の改善と高調波電流低減が可能であり、従来の受動素子のみを用いた直流電源装置と比較してリアクトルの小型化と軽負荷時の入力力率低下抑制が可能となる。
第1の発明は、三相交流電源と接続される6個のダイオードからなる第1のダイオードブリッジと、三相交流電源と3つの交流リアクトルを介して接続される6個のダイオードからなる第2のダイオードブリッジと、第1のダイオードブリッジと第2のダイオードブリッジの正負極各々の直流出力端間に接続される2個の直流リアクトルと、第2のダイオードブリッジの正極出力端を共通に接続される6個のダイオードからなる第3のダイオードブリッジと、第2のダイオードブリッジと負極出力端を共通に接続されるとともに正極出力端を第3のダイオードブリッジの負極出力端と接続される6個のダイオードからなる第4のダイオードブリッジと、第2のダイオードブリッジの交流入力端と第3のダイオードブリッジの交流入力端、および第2のダイオードブリッジの交流入力端と第4のダイオードブリッジの交流入力端との間におのおの接続される6個のコンデンサと、正極出力端と負極出力端との間の直流出力電圧を平滑する平滑用コンデンサとを備えたことを特徴とする直流電源装置であり、入力力率改善と高調波電流低減が可能となる。
第2の発明は、特に第1の発明において第2のダイオードブリッジの交流入力端とコンデンサとの間に開閉手段を設けたことを特徴とした直流電源装置であり、単なる三相全波整流の直流電源装置と、高力率電源としての直流電源装置との動作を切り替えることが可能となる。
第3の発明は、特に第1の発明において第3のダイオードブリッジと第4のダイオードブリッジとの接続点に開閉手段を設けたことを特徴とした直流電源装置であり、単なる三相全波整流の直流電源装置と高力率電源としての直流電源装置との動作の切り替えを1点で行うことが可能となる。
第4の発明は、特に第3の発明において開閉手段をトランジスタやサイリスタなどの一方向に流れる電流のみを制御することが可能な1つの有極性半導体素子で構成したことを特徴とする直流電源装置であり、単なる三相全波整流の直流電源装置と高力率電源としての直流電源装置との動作の切り替えを1点で高速に行うことができるとともに、開閉手段として機械式開閉器を用いた場合の寿命が短いという問題を解決することが可能となる。
第5の発明は、第2から第4のいずれかの発明において直流電圧検出手段を設け、直流電圧が所定値を超えた場合に開閉手段を開放することを特徴とした直流電源装置であり、通常運転状態での高調波電流低減と入力力率の改善が可能となるとともに、軽負荷時の直流電圧上昇の防止と、それに伴う入力力率低下と高調波電流増大の防止をすることが可能となる。
第6の発明は、第2から第4のいずれかの発明において入力電流検出手段を設け、入力電流が所定値を下回った場合に開閉手段を開放することを特徴とした直流電源装置であり、通常運転状態での高調波電流低減と入力力率の改善が可能となるとともに、軽負荷時の直流電圧上昇の防止と、それに伴う入力力率低下と高調波電流増大の防止をすることが可能となる。
第7の発明は、第1から第8のいずれかの発明において交流リアクトルに流れる電流が所定の値以上となった場合に、その電流に応じて交流リアクトルのインダクタンスが低下するような飽和特性を持たせたことを特徴とする直流電源装置であり、交流リアクトルの小型化と重負荷時の直流電圧低下の防止が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における直流電源装置の回路構成図である。
図1は、本発明の実施の形態1における直流電源装置の回路構成図である。
図1に示すように、三相交流電源1は商用の電源であり、U、V、Wの各相は第1のダイオードブリッジ16の交流入力端と交流リアクトル2、3、4に接続されている。
以下、U相、V相、W相とはこの三相交流電源1の出力端を指すものとし、UV間電圧、VW間電圧、WU間電圧についても三相交流電源1の出力間の線間電圧を指すものとする。
そして、交流リアクトル2、3、4は第2のダイオードブリッジ5の入力端子u、v、wに接続される。以下、uv間電圧、vw間電圧、wu間電圧とはこの第2のダイオードブリッジ5の入力端子間電圧を指すものとする。
そして、この第2のダイオードブリッジ5の直流出力端と第1のダイオードブリッジ16の直流出力端の間には2つの直流リアクトル17、18が接続される。また、第2のダイオードブリッジ5と正極出力端を共通に接続される第3のダイオードブリッジ6と、第2のダイオードブリッジ5と負極出力端を共通に接続される第4のダイオードブリッジ7とが接続点nにて直列に接続される。
そして、図1に示すように、第2のダイオードブリッジ5の交流入力端と第3のダイオードブリッジ6の交流入力端の間、および第2のダイオードブリッジ5の交流入力端と第4のダイオードブリッジ7の交流入力端との間には、入力力率を改善するための6個のコンデンサ8〜13がそれぞれ接続されている。
これらの3つのダイオードブリッジ5〜7の直流出力端は平滑用コンデンサ14に接続されており、負荷15に対して供給される直流電圧は、平滑して供給するように構成されることになる。
以上の構成において、図2から図13を用いて以下その動作、作用を説明する。
まず、入力力率の改善を実現するための基本的動作について説明する。この基本動作説明に必要な構成要素のみを抜き出した回路構成図を図2に示す。図2では、第1のダイオードブリッジ16と直流リアクトル17、18が省かれているが、これは後述するように交流リアクトル2〜4の小型化と、特に5次の高調波電流低減に有効なものであるため基本動作には不要であるためである。
次に、さらに直接的に入力力率の改善に寄与する基本構成要素のみを抜き出したものを図3に示す。
図3においては、第3のダイオードブリッジ6を構成する6個のダイオードを6a、6b、6c、6d、6e、6fで示し、同様に第4のダイオードブリッジ7を6個のダイオード7a、7b、7c、7d、7e、7fで示している。
なお、入力力率の改善は、結局のところ入力の相電圧に位相が一致した入力電流を流すことについて説明すれば、基本原理の説明となる。
したがって、入力側の線間電圧が直流電圧を超えた期間にのみ導通する第2のダイオードブリッジ5は不要であるため、図中の記載を省略している。
次に、コンデンサ8〜13に印加される電圧についての説明が必要となるが、ここで構成要素をコンデンサのままとして説明すると放電経路を考慮する必要があり、原理説明の回路構成の簡素化が困難となる。
そこで、図3におけるコンデンサ8〜13を抵抗器R1〜R6に置き換えた上で、入力力率の改善に寄与する構成部分をさらに絞った等価回路の構成図を図4に示す。
まず、図4(a)は、抵抗器R1〜R6に印加される電圧を説明するのに不要な部品である交流リアクトル2〜4、平滑用コンデンサ14、負荷15、ダイオード6a、6b、6cおよびダイオード7d、7e、7fを削除したものである。
これら削除した構成要素は、交流リアクトル2〜4については抵抗器R1〜R6の印加電圧を説明するのに省略可能であり、削除した6個のダイオード6a〜6c、7d〜7fはコンデンサ8〜13を抵抗器R1〜R6に置き換えたことにより導通することがなく、開放として考えることができるため削除したものである。
そして、図4(b)は、さらに図4(a)の構成要素を見やすく描いたものであり、図4(c)は、図4(b)において抵抗器R1〜R6が同じ定数であり、ダイオード6d〜6f、7a〜7cがそれぞれの相に接続される抵抗器R1〜R6に逆並列に接続されていることから、それぞれの相に接続される構成要素をさらに単純にすべく抵抗器R7〜R9に置き換えたものである。
ここで抵抗器R7〜R9の抵抗値は抵抗器R1〜R6の半分となる。
この図4(c)から明らかなように、本実施の形態においては第3、第4のダイオードブリッジ6、7の交流入力端に接続される構成要素をまとめた抵抗器R7〜R9には、三相交流電源1の各相の相電圧が印加されることとなる。これは、第3、第4のダイオードブリッジ6、7を直列接続することにより、その接続点nが仮想中性点を構成することによるためである。
本実施の形態における入力力率改善の原理は、以上のように仮想中性点が構成されることから、第3、第4のダイオードブリッジ6、7の交流入力端に接続される構成要素に相電圧が印加されるため、負荷量や構成要素の定数などにほとんど関係なく相電圧のゼロクロス点から各相の入力電流が流れ始めることとなり、入力力率が改善されるというものである。
以上のことから、第3、第4のダイオードブリッジ6、7の交流入力に接続される抵抗器R1〜R6には相電圧が半波整流されて交互に印加されることになる。
ここで、抵抗器R1〜R6をコンデンサ8〜13に戻すことを考えると、コンデンサ8〜13に相電圧が半波整流された電圧を印加したとしても、コンデンサ8〜13が充電されていなければ最初は相電圧のゼロクロス点から電流を流すことが可能であるが、一度充電してしまうと放電しない限り電流は流れない。
そこで、次に抵抗器R1〜R6をコンデンサ8〜13に戻した場合でも、相電圧のゼロクロス点から入力電流が流れ、かつコンデンサ8〜コンデンサ13に充電された電荷が放電動作によって有効に利用される動作について図5から図12を用いて説明する。
なお、以下の説明については各部品の定数を適切に選定し、定格負荷時の入力力率が99%以上となるよう設計した場合における定格負荷状態での説明とする。具体的に例を挙げるならば入力線間電圧400V、定格5kWの直流電源装置において、交流リアクトル2〜4のインダクタンス12mH、コンデンサ8〜13の容量33uF、平滑用コンデンサ14の容量3mFとする。
図5は本実施の形態における回路上での電流の流れを説明するためのU相電圧euのゼロクロス点における初期状態のコンデンサ8〜13の電圧分布を示した図である。図5ではコンデンサ8〜13の放電経路の説明を行うため、第2のダイオードブリッジ5を6個のダイオード5a、5b、5c、5d、5e、5fとして図3に追加している。
また、図6から図11はU相電圧euの正の半周期の間を回路内部に流れる電流の経路が変化するt0からt6のタイミングで区切って6つの期間T1からT6に分け、それらの各期間における電流の流れを示すための説明図である。
ここで、t0からt6のタイミングは上記の回路定数設定条件の場合はおよそ電気角で30°ごととなっている。そして、図12は各部電圧波形を示した図であり、各相電圧eu、ev、ewとコンデンサ8から13の電圧Vc8からVc13を示したものである。
ここで、Vc8、Vc10、Vc12については第3のダイオードブリッジ6に接続される側の電位を正極性に取り、Vc9、Vc11、Vc13については入力電源側の電位を正極性に取るものとする。以上の図面を用いて、U相電圧の正の半周期の区間における直流電源装置の動作について以下に説明する。
まず、図5で示されるt0時点での初期状態ではU相電圧euがゼロボルトであり、このときU相に接続されるコンデンサ8の電圧Vc8は、直流電圧Vdcのほぼ2/3となっている。
また、コンデンサ9の電圧Vc9は0ボルトであり、以下、図12のt0時点での電圧に示すようにコンデンサ10の電圧Vc10は1/3Vdc、コンデンサ11の電圧Vc11は0ボルト、コンデンサ12の電圧Vc12は0ボルト、コンデンサ13の電圧Vc13は2/3Vdcに充電されている。
なお、初期電圧値がこのように直流電圧Vdcの1/3あるいは2/3といった電圧値となることについては回路動作説明の中で後述する。
次に、t0からt6の意味合いを明らかにしながらT1からT6の各期間の動作について説明する。まず、t0はU相電圧が負から正に転ずる電圧ゼロクロス点であり、T1の期間では図6に示すようにU相に接続されるコンデンサ9にはダイオード7aを介して充電が行われるとともに、コンデンサ8はダイオード6aを介して平滑用コンデンサ14に放電を行い、この放電電流はダイオード5eを介してV相に流れることになる。
また、コンデンサ9を充電した電流はさらにV相電圧が負のピーク電圧に近づいているためダイオード6eを介してコンデンサ10を充電してV相に流れる。そして、この期間では通常の整流動作として、W相からV相に向けてダイオード5c、5eを介して電流が流れる。これはW相の電圧が低下しているにも拘らず交流リアクトル3、4のエネルギー放出作用により電流が連続するものである(以下、このようにコンデンサの充放電を伴う期間の動作を充放電モードとする。)。
なお、図6においては、理解を容易とするためにコンデンサ8〜13の充放電にかかわる電流の流れを実線で示し、コンデンサ8〜13を介さず第2のダイオードブリッジ5の内蔵ダイオードのみを介して平滑用コンデンサ14を充電する電流を破線で示している。以下、図7から図11でも同様とする。
以上の動作について、線間電圧を基準にさらに詳細に説明すると、UV間に直列に接続されるコンデンサ9、10において、コンデンサ9の電圧値が0ボルトでコンデンサ10の電圧が1/3Vdcであるため、UV間線間電圧の瞬時値が直流電圧Vdcの1/3を越えた時点で電流が流れ出すものと推察される。
ここで、UV間電圧のピーク値がVdcに等しいとして計算すると、その角度はUV間電圧の電圧ゼロクロス点から約20°となり、U相電圧の電圧ゼロクロス点よりも電気的な角度で10°ほど進んで電流が流れ出すことになる。
しかし、前述のW相からV相に向かって電流が流れている以外にもU相の電圧ゼロクロス点直前にはW相からU相にも交流リアクトル2、4のエネルギー放出作用により電流が流れているため、第2のダイオードブリッジ5のuv間電圧は0ボルトとなり、コンデンサ9、10には電流は流れない。そして、交流リアクトル2に蓄えられたエネルギーの放出が完了し、U相電流が0アンペアとなった時点で第2のダイオードブリッジ5のuv間に1/3Vdcを上回る電位差が発生するためコンデンサ9、10に電流が流れることとなる。
このように、本実施の形態における直流電源装置では、厳密には各相の電圧ゼロクロス点からどのような場合でも必ず電流が流れはじめるというわけではないが、軽負荷時でも1/3Vdcまでuv間の電圧が上昇するまでは電流が流れないため、従来回路に比較して入力力率の低下が防止できる。
なお、通常は高調波低減のための交流リアクトル2〜4の存在により、50%以上の負荷率ではほとんど問題とならない。
この期間T1における各部の電圧変化のようすを図12で確認すると、コンデンサ8の電位は2/3Vdcから0ボルトまで単調に減少し、コンデンサ9の電位は0ボルトから1/3Vdcに、コンデンサ10の電圧Vc10は1/3Vdcから2/3Vdcにそれぞれ上昇することになる。
ついで、期間T2における動作について説明する。
ここで、t1は第2のダイオードブリッジ5のuv間電圧が直流電圧Vdcと一致する点である。
従って、この期間ではダイオード5aと5eが導通するが、コンデンサ9、10に充電された電圧の和についてもVdcに等しくなるためコンデンサ9、10への充電は停止する。
一方、交流リアクトル3、4の働きによりW相からV相への電流は連続するため、結果として図7に示すように第2のダイオードブリッジ5のみに電流が流れる一般的な整流回路と同様の全波整流動作(以下、全波整流モードとする。)となる。
図12を用いて確認すると、期間T2における各コンデンサの電圧Vc8〜Vc13には変化が見られず、コンデンサ8〜13への充放電も行われない期間であることが確認できる。
一方、t1のタイミングはU相電圧の位相30°の点に一致し、このときのU相電圧の瞬時値は相電圧ピーク値の1/2となる。また、このときにV相電圧は負の半サイクルのピーク値となっていることから、コンデンサ9と10の電圧の比が1:2となり、それぞれ1/3Vdc、2/3Vdcに分圧されることが説明できる。
期間T3については、t2がW相の正から負への電圧ゼロクロス点であることより、W相に接続されるコンデンサ12、13の動作は、図12に示すようにコンデンサ12のt2時点での電圧が0ボルトであることから、W相との接続点を基準として0ボルトから徐々にダイオード6fを介して充電されることとなる。
また、コンデンサ13についてはW相との接続点を正として2/3Vdcに充電されていることから、W相に向けてダイオード7fを介して放電されるとともに、この電流はU相からダイオード5aを介して平滑用コンデンサ14を充電してコンデンサ13に戻り、蓄積した電荷を有効に利用できることとなる。
一方、この期間T3ではU相の電圧がピーク値まで上昇する期間であり、コンデンサ9にも充電電流が流れる。そして、このコンデンサ9を充電した電流がダイオード7aを介してダイオード6fを通じてコンデンサ12を同時に充電することになる。また、この期間では第2のダイオードブリッジ5のuv間電圧はVdcにクランプされたままであるため、この期間T3はダイオード5a、5eを介しての通常の整流動作をも伴う充放電モードとなる。この期間T3での電流の流れを図8に示す。
次に、期間T4の動作について説明する。ここで、t3は第2のダイオードブリッジ5のwu間電圧が直流電圧Vdcと一致する点である。従って、この期間ではダイオード5aと5fが導通するが、コンデンサ9、12に充電された電圧の和についてもVdcに等しくなるためコンデンサ9、12への充電は停止する。一方、交流リアクトル2、3の働きによりU相からV相へのダイオード5a、5eを介した電流は連続するため、結果として図9に示すように第2のダイオードブリッジ5のみに電流が流れる全波整流モードとなる。
そして、期間T5の動作については、t4がV相の負から正への電圧ゼロクロス点であることより、U相ゼロクロス点からの期間T1における動作と同様に充放電モードとして考えることができる。つまり、図10に示すようにV相からの電流によりコンデンサ10はダイオード6b、5fを介して平滑用コンデンサ14を充電する方向にW相に向かってその電荷を放電し、同時にコンデンサ11、12をダイオード7b、6fを介して充電する。また、交流リアクトル2、4の働きによりダイオード5a、5fを介した平滑用コンデンサ14への通常の整流動作も同時に行っており、充放電モードとして動作している。
最後に期間T6の動作について説明する。
ここでt5は第2のダイオードブリッジ5のvw間電圧が直流電圧Vdcと一致する点である。従って、この期間ではダイオード5bと5fが導通するが、コンデンサ11、12に充電された電圧の和についてもVdcに等しくなるためコンデンサ11、12への充電は停止する。一方、交流リアクトル2、4の働きによりU相からW相への電流はダイオード5a、5fを介して連続するため、結果として図11に示すように第2のダイオードブリッジ5のみに電流が流れる全波整流モードとなる。
以上、本実施の形態における直流電源装置の動作について、第1のダイオードブリッジ16と直流リアクトル17、18を除いた基本動作原理の説明をU相電圧が正の半サイクルにおいて説明したが、負の半サイクルについても対称的な動作を行うものであり、またV相やW相についても同様に考えることができる。
以上のように、図2の回路構成のみでも入力力率を改善し、99%以上の入力力率確保と高調波電流の低減も可能であるが、前述の定数設定にてシミュレーション検証すると、4.8kW入力において5次高調波が1.1A程度となる。
この値はIEC61000−3−2に規定される高調波電流規制値(5次成分)が1.14Aであることから鑑みると決して低い値ではなく、小型化のために安易に交流リアクトル2〜4のインダクタンスを下げることはできないことが分かる。
一方、このときの5次高調波電流の入力相電圧に対する位相について考えてみると、仮に同じ大きさの5次高調波電流を流すことができた場合、相対的な位相差が120°から240°以内にある場合は、互いに打ち消しあうことで交流リアクトル2〜4のインダクタンスを上げずに5次高調波電流の値を小さくすることができることが予測される。
そこで、図2の回路構成では前述のように相電圧に対して基本波位相が一致するように電流を流すよう構成されていることから、線間電圧に基本波位相が一致する電流を補助的に流せれば互いに含まれる5次高調波電流が打ち消しあって5次高調波電流が低減できると推定し、本実施の形態における直流電源装置では図1のように第1のダイオードブリッジ16を設け、電流の絶対値と位相を調整すべく直流リアクトル17、18を追加したものである。
図1における回路構成にて、前述の定数設定と同様に入力線間電圧400V、定格5kWの直流電源装置を想定して、交流リアクトル2〜4のインダクタンス12mH、コンデンサ8から13の容量33uF、平滑用コンデンサの容量3mFとし、ここに直流リアクトル17、18のインダクタンスを40mHとした場合の高調波電流をシミュレーションする。
その結果、4.8kW入力時の5次高調波電流値は約0.48Aとなり、図2の場合の半分以下に低減できることとなった。また、入力力率は99.9%と非常に高い力率を得ることができている。このときの入力電圧電流波形を図13に示す。
次に、逆の発想で入出力条件が同じで5次高調波電流の値が1.1Aになるよう、図1における交流リアクトル2〜4のインダクタンスを算出すると6mHとなり、図2の回路構成に対してインダクタンスの半減が可能となった。そして、この場合のリアクトルのボリュームを蓄えるエネルギーに比例するとしてLI2で相対比較計算すると、
図2での交流リアクトル2〜4はインダクタンス12mH、流れる電流が21Aであることより、
図2でのLI2=0.012×3×21×21≒15.9
図1での交流リアクトル2〜4はインダクタンス6mH、流れる電流が16Aであること、直流リアクトル17、18はインダクタンス40mH、流れる電流が6.4Aであることより、
図1でのLI2=0.006×3×16×16+0.04×2×6.4×6.4
≒7.88
となる。
図2での交流リアクトル2〜4はインダクタンス12mH、流れる電流が21Aであることより、
図2でのLI2=0.012×3×21×21≒15.9
図1での交流リアクトル2〜4はインダクタンス6mH、流れる電流が16Aであること、直流リアクトル17、18はインダクタンス40mH、流れる電流が6.4Aであることより、
図1でのLI2=0.006×3×16×16+0.04×2×6.4×6.4
≒7.88
となる。
よって、リアクトルの総ボリュームを半減できることがわかる。
次に、本実施の形態における直流電源装置と図19に示す従来の直流電源装置を比較する。
図19において、入力線間電圧400V、4.8kW入力時に入力力率99%以上かつ、5次高調波電流1.1Aとするには交流リアクトルL1からL3のインダクタンス20mH程度、コンデンサC1からC3のキャパシタンス47uF程度が必要となり、リアクトルのボリュームLI2は、
図19でのLI2=0.02×3×20.5×20.5≒25.2
となり、図1に示す本実施の形態における直流電源装置の約3倍となる。
図19でのLI2=0.02×3×20.5×20.5≒25.2
となり、図1に示す本実施の形態における直流電源装置の約3倍となる。
以上のように、本実施の形態における直流電源装置では、入力力率改善と高調波電流低減を従来に比較して小さなリアクトルで実現することが可能となるとともに、軽負荷時の入力力率の低下についても改善可能となる。
なお、本実施の形態においては交流リアクトル2、3、4のインダクタンス特性については特に規定していないが、これを所定の電流値を超えた点からインダクタンスが低下するように設定して、交流リアクトル2、3、4をいわゆる可飽和リアクトルとして用いてもよい。
この場合は、重負荷時において三相交流電源1の電圧が低下した場合などに交流リアクトル2、3、4による電圧降下が原因となる直流電圧低下を防止するとともに、直流電圧低下と同時に発生する入力電流と電源電圧の位相がずれることによる入力力率低下も防止することができる。
(実施の形態2)
図14は本発明の実施の形態2における直流電源装置の回路構成図である。
図14は本発明の実施の形態2における直流電源装置の回路構成図である。
図14においては、実施の形態1における直流電源装置の回路構成図に対し、コンデンサ8〜13と第2のダイオードブリッジ5の接続点に開閉手段19を設けたものである。
本実施の形態では、実施の形態1の場合と基本的な回路動作は同じであるが、負荷率が30%程度以下の軽負荷の運転状態が存在する場合に対応するものであり、軽負荷時のコンデンサ8〜13の昇圧作用による直流過電圧防止、あるいは軽負荷時の入力力率改善と高調波電流低減を目的とするものである。
まず直流過電圧防止について説明する。
本実施の形態において開閉手段19を閉じたまま基本的な回路動作を続けると、実施の形態1でも説明したとおりコンデンサ8〜13の電圧がおよそ2/3Vdcに充電された後、その電荷を平滑用コンデンサ14側に放電する動作を繰り返すこととなる。
通常、負荷率30%以上の範囲での運転では、コンデンサ8〜13に蓄えられたエネルギーと、交流リアクトル2〜4に蓄えられたエネルギー、および三相交流電源1から供給されるエネルギーの総和に対し、負荷の消費エネルギーがつりあって直流電圧はさほど変動しない。
しかし、負荷率が30%を下回り、20%以下となってくるとそのバランスが崩れ始め、コンデンサ8〜13に蓄えられたエネルギーと交流リアクトル2〜4に蓄えられたエネルギーだけでも直流電圧を押し上げる結果となる。
そして、このような状態がさらに進むと直流電圧が上昇することにより、回路を構成する要素が破損にいたる恐れがある直流過電圧状態に陥ることになる。
そこで、本実施の形態による直流電源装置の1つの目的は、軽負荷運転の場合に開閉手段19を開放することによりコンデンサ8〜13への充放電を停止し、負荷への電力供給を確保しつつ回路構成要素の破損を防止するものである。
次に、軽負荷時の入力力率改善と高調波電流低減とを目的とした本実施の形態における動作について説明する。
本実施の形態において開閉手段19を閉じたまま基本的な回路動作を続けると、軽負荷になるに従って前述のように直流電圧が上昇する。ここで、負荷率30%程度までであれば、直流電圧の上昇による過電圧といった問題は生じない。
しかし、直流電圧の上昇は入力力率の悪化と高調波電流の増大を誘発する。
これは、入力力率の悪化の観点で説明すると、直流電圧が高いために交流リアクトル2〜4に流れる電流の時間変化率が大きくなることが一因である。つまり、このことが入力電流の尖頭値を押し上げる原因となるとともに、交流リアクトル2〜4の電流が連続しないことによってコンデンサ8〜13に流れる電流の位相が、実施の形態1でも述べたように若干進み位相となるためである。
また、コンデンサ8〜13に充電される電圧も比例して上昇するため、放電電流の時間変化率も上昇してさらに電流の尖頭値を引き上げ、これも入力力率が悪化する一因となっている。
そして、この交流リアクトル2〜4とコンデンサ8〜13の電流の時間変化率の増加は、高調波電流成分を多く含むことになるため、同時に高調波電流増大の原因ともなっている。
そこで、本実施の形態においては軽負荷運転の場合に開閉手段19を開放することによりコンデンサ8〜13を切り離し、直流電圧の上昇と前述のような電流の時間変化率の増大による弊害を防止するものである。
以上述べたように、本実施の形態については直流過電圧の防止という目的で用いても、あるいは直流過電圧状態となるよりも低い直流電圧において、軽負荷時の入力力率の悪化と高調波電流の増大とを防止するという目的で用いてもよい。
最後に、他の実施の形態として、直流過電圧の防止、軽負荷時の力率改善のために直流電圧検出手段20を設けた回路構成図を図15に示し、入力電流にて開閉手段19の制御を行うために入力電流検出手段21を設けた回路構成図を図16に示す。
なお、本実施の形態においてはコンデンサをすべて切り離すために開閉手段19を3極構成としているが、コンデンサの充放電を防止すると言う目的のみであれば任意の1極を削除し2極接点で切り離すものとしてもよい。
なお、他の実施の形態として、第1のダイオードブリッジ16と第2のダイオードブリッジ5との直流出力間に第2の開閉手段19を設けてもよい。
本構成とすることにより、過負荷時などに第2の開閉手段19を開放することにより、第1のダイオードブリッジ16と直流リアクトル17、18とを切り離すことができるため、第1のダイオードブリッジ16と直流リアクトル17、18の小型化設計をすることが可能となり、装置全体の信頼性を向上することが可能となる。
さらに他の実施の形態として、第1のダイオードブリッジ16の交流入力端に第2の開閉手段19を設けてもよい。
本構成とすることにより、過負荷時などに第2の開閉手段19を開放することにより、第1のダイオードブリッジ16と直流リアクトル17、18とを切り離すことができるため、第1のダイオードブリッジ16と直流リアクトル17、18の小型化設計をすることが可能となり、装置全体の信頼性を向上することが可能となる。
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3における直流電源装置の回路構成図である。
図17は、本発明の実施の形態3における直流電源装置の回路構成図である。
図17においては、実施の形態2における直流電源装置の回路構成図に対して開閉手段19aの配置を第2のダイオードブリッジ5の交流入力とコンデンサ8〜13との間から、第3のダイオードブリッジ6と第4のダイオードブリッジ7の接続点に変更したものである。
このような構成とすることにより、本実施の形態では開閉手段19aの接点構成を1極として実施の形態2と同様の効果を得ることが可能となるとともに、回路構成の簡素化が可能となる。
また、本実施の形態においては、開閉手段19を図18に示すように、一方向のみに流れる電流を制御できる1つの半導体素子22で構成してもよい。
具体的には、トランジスタやサイリスタなどのように、一方向に流れる電流のみを制御することが可能な1つの有極性半導体素子を用いることが望ましい。
本構成とすることにより、開閉手段19の開閉寿命や即応性などの問題を解消でき、回路全体の信頼性向上を図ることが可能となる。
なお、ここで1つの半導体素子22で開閉手段が構成可能となるのは、第3、第4のダイオードブリッジ6、7の作用によってこれらの接続点を流れる電流が常に一方向であることによる。
また、本実施の形態による直流電源装置でも、実施の形態2と同様に直流電圧検出手段20を設けて、直流電圧に基づいて開閉手段19aを自動的に動作させるよう構成してもよい。
また、直流電圧検出手段20に代えて入力電流検出手段21の検出値に基づいて開閉手段19aを動作させるように構成してもよい。
以上のように、本発明にかかる直流電源装置は単に直流電源装置としてだけでなく、圧縮機駆動装置の前段として用いることで高調波電流を低減するとともに入力力率を改善することができ、受電設備の有効利用が図れ、他の負荷設備に悪影響与えない装置となる。
1 三相交流電源
2、3、4 交流リアクトル
5 第2のダイオードブリッジ
6 第3のダイオードブリッジ
7 第4のダイオードブリッジ
8、9、10、11、12、13 コンデンサ
14 平滑用コンデンサ
15 負荷
16 第1のダイオードブリッジ
17、18 直流リアクトル
19、19a 開閉手段
20 電圧検出手段
21 入力電流検出手段
22 半導体素子
2、3、4 交流リアクトル
5 第2のダイオードブリッジ
6 第3のダイオードブリッジ
7 第4のダイオードブリッジ
8、9、10、11、12、13 コンデンサ
14 平滑用コンデンサ
15 負荷
16 第1のダイオードブリッジ
17、18 直流リアクトル
19、19a 開閉手段
20 電圧検出手段
21 入力電流検出手段
22 半導体素子
Claims (7)
- 三相交流電源と接続する6個のダイオードからなる第1のダイオードブリッジと、各相ごとに交流リアクトルを介して前記三相交流電源と接続する6個のダイオードからなる第2のダイオードブリッジと、前記第1のダイオードブリッジと前記第2のダイオードブリッジの正負極各々の直流出力端間に接続する2個の直流リアクトルと、前記第2のダイオードブリッジと正極出力端を共通に接続する6個のダイオードからなる第3のダイオードブリッジと、前記第2のダイオードブリッジと負極出力端を共通に接続するとともに正極出力端を前記第3のダイオードブリッジの負極出力端と接続する6個のダイオードからなる第4のダイオードブリッジと、前記第2のダイオードブリッジの交流入力端と前記第3のダイオードブリッジの交流入力端、および前記第2のダイオードブリッジの交流入力端と前記第4のダイオードブリッジの交流入力端との間におのおの接続する6個のコンデンサと、前記正極出力端と前記負極出力端との間に直流出力電圧を平滑する平滑用コンデンサとを備えたことを特徴とする直流電源装置。
- 前記第2のダイオードブリッジの交流入力端と前記6個のコンデンサとの間に第1の開閉手段を設けたことを特徴とした請求項1に記載の直流電源装置。
- 前記第3のダイオードブリッジの負極出力端と前記第4のダイオードブリッジの正極出力端との間に第1の開閉手段を設けたことを特徴とした請求項1に記載の直流電源装置。
- 前記第1の開閉手段を一方向に流れる電流のみを制御することが可能である有極性半導体素子で構成したことを特徴とする請求項3に記載の直流電源装置。
- 前記正極出力端と前記負極出力端との間の直流電圧を検出する直流電圧検出手段を設け、前記直流電圧に応じて前記第1の開閉手段を制御することを特徴とした請求項2から4のいずれか一項に記載の直流電源装置。
- 前記三相交流電源から流れ込む入力電流を検出する入力電流検出手段を設け、前記入力電流に応じて前記第1の開閉手段を制御することを特徴とした請求項2から4のいずれか一項に記載の直流電源装置。
- 前記交流リアクトルに流れる電流の電流値が所定の値以上となった場合に、前記電流値に応じて前記交流リアクトルのインダクタンスが低下するような飽和特性を持たせたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の直流電源装置。
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Cited By (2)
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2006
- 2006-07-27 JP JP2006204368A patent/JP2008035592A/ja active Pending
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