JP2008032562A - 回転検出装置および回転検出装置付き軸受 - Google Patents

回転検出装置および回転検出装置付き軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】時間遅れによる誤差が無い回転検出装置、及びこの回転検出装置を組み込んだ検出装置付き軸受を提供する。
【解決手段】回転側部材に、その回転中心周りの円周方向異方性を有する磁石2を設ける。この磁石2に対し前記回転側部材の回転中心の軸方向に対向して、複数の磁気センサ素子が平面的に並ぶ磁気センサ5を固定側部材に配置する。この磁気センサ5の各磁気センサ素子の出力から前記磁石2の磁界強度を計測し、その計測値を基に回転側部材の回転角度を検出する角度算出手段6を設ける。前記磁石2の磁界が磁気センサ素子で検出されてから前記角度算出手段6で検出角度が出力されるまでの遅延時間を補正する遅延時間補正手段7と、磁界のサンプリング間隔を補間して角度の変化分を演算する補間手段8を設ける。また、これら遅延時間補正手段7による遅延時間補正、および補間手段8による補間処理がされた回転角度を出力する出力手段9を設ける。
【選択図】図6

Description

この発明は、各種の機器における回転角度検出、例えば小型モータの回転制御のための回転角度検出等に用いられる回転検出装置、およびその回転検出装置を組み込んだ検出装置付き軸受に関する。
小型の機器に組み込み可能で、かつ高精度の回転角度検出が可能な回転検出装置として、磁気センサアレイを用いるものが提案されている(例えば特許文献1)。これは、図12のように、磁気センサ素子(MAGFET)を多数並べて構成した磁気センサアレイ45を、信号増幅回路、AD変換回路、デジタル信号処理回路などの回路46とともにセンサチップ42に集積し、このセンサチップ42を、回転側部材41に配置される磁石44に対向配置したものである。この場合、磁石44は回転中心O回りの円周方向異方性を有するものとされ、前記センサチップ42上では、仮想の矩形の4辺における各辺に沿って磁気センサアレイ45が配置される。
このように構成された回転検出装置43では、各辺の磁気センサアレイ45の出力を信号増幅回路、AD変換回路で読み出して前記磁石44の磁界分布を検出し、その検出結果に基づき磁石44の回転角度をデジタル信号処理回路により算出する。
特許文献1に開示の回転検出装置43と検出方法は異なるものの、ホール素子などの磁気センサ素子を複数使用し、それらの出力信号を演算することによって、回転体に固定された磁石の位置や動きを検出する回転検出装置(例えばAMS社のロータリエンコーダLSI)なども提案されている。
特開2003−37133号公報
これらの回転検出装置では、個々の磁気センサ素子の信号を読み出す時間と、読み出した信号から回転角度などの情報を求めるための演算処理時間とが必要であり、検出信号の時間遅れが発生する。このため、回転側部材の回転速度が速いときには、実際の回転速度と検出される回転角度との間にずれが生じ、細かな回転位置情報をリアルタイムで必要する用途では使い難いという課題があった。
この発明の目的は、時間遅れによる誤差がなく、各時刻における正確な回転角度情報を得ることのできる回転検出装置、およびこの回転検出装置を組み込んだ検出装置付き軸受を提供することである。
この発明の回転検出装置は、回転側部材に設けられ回転中心周りの円周方向異方性を有する磁石(2)と、この磁石(2)に対し前記回転側部材の回転中心の軸方向に対向して固定側部材に配置され複数の磁気センサ素子(5a)が平面的に並ぶ磁気センサ(5)と、この磁気センサ(5)の各磁気センサ素子(5a)の出力から前記磁石(2)の磁界強度を計測し、その計測値を基に回転側部材の回転角度を検出する角度算出手段(6)とを備えた回転検出装置であって、前記磁石(2)の磁界が磁気センサ素子(5a)で検出されてから前記角度算出手段(6)で検出角度が出力されるまでの遅延時間を補正する遅延時間補正手段(7)と、磁界のサンプリング間隔を補間して角度の変化分を演算する補間手段(8)と、これら遅延時間補正手段(7)による遅延時間補正、および補間手段(8)による補間処理がされた回転角度を出力する出力手段(9)とを設けたことを特徴とする。前記磁気センサ(5)は例えば磁気センサアレイからなるものであるが、複数のホール素子などの磁気センサを使用し、それらの出力信号から角度を算出するロータリエンコーダであってもよい。
この構成によると、角度算出手段(6)から出力される検出角度を、磁石(2)の磁界が磁気センサ素子(5a)で検出されてから角度算出手段(6)で検出角度が出力されるまでの時間遅れ分だけ遅延時間補正手段(7)で補正するようにしているので、出力される角度情報が実際の回転側部材の回転角度にごく近い値になり、正確な角度情報をリアルタイムで得ることができる。
また、補間手段(8)により、磁界のサンプリング間隔を補間して回転角度の変化分を演算するようにしているので、回転側部材の高速回転動作を、サンプリング時間間隔よりも細かく検出することができる。その結果、時間遅れによる誤差がなく、各時刻における正確な回転角度情報を得ることができる。
この発明において、前記磁気センサ(5)の出力から回転パルス信号を生成するパルス生成回路(14)を設け、前記出力手段(9)は回転角度の出力をパルス信号で出力するものとしても良い。また、前記パルス信号が、互いに90°位相の異なる二つの回転パルス信号、または回転パルス信号と回転方向信号とからなるものであっても良い。この構成の場合、回転側部材の回転方向も判別することができる。
この発明において、前記パルス信号に加えて、前記磁気センサ(5)の出力から回転側部材の1回転ごとに出力するインデックス信号の生成手段(16)を設けても良い。この構成の場合、パルスを計数することによってリアルタイムで絶対回転角度情報も得ることができる。
この発明において、インデックス信号を出力する角度値を記憶する記憶手段(17)を設け、このインデックス信号を出力する角度値を設定する角度値設定手段(18)を設けても良い。これによって計算時間の遅延が補償された状態で、任意の角度で発生するインデックス信号を得ることができる。角度値設定手段(18)は通信回路で構成されていても良い。
この発明において、前記遅延時間補正手段(7)および補間手段(8)の機能をそれぞれオン状態とオフ状態とに切り替える機能オンオフ手段(19)を設けても良い。また、前記遅延時間補正手段(7)のオン状態とオフ状態とを、回転側部材の回転速度が設定速度以上か否かに応じて切り替える自動切替手段(30)を設け、設定回転速度未満のときにオフ状態とするものとしても良い。また、前記自動切替えを行う設定回転速度を設定する自動切替速度設定手段(31)を設けても良い。角度値設定手段(18)は通信回路で構成されていても良い。
回転側部材の回転速度が低速の場合には、角度算出手段(6)における遅延時間の影響が小さいため、遅延時間補正手段(7)による遅延時間補償の処理を行わないほうが安定した検出結果が得られる場合がある。そこで、このような場合に、機能オンオフ手段(19)により、回転速度に応じて遅延補正機能のオン・オフを自動的に行うようにすると、遅延時間補正手段(7)による遅延時間補償の処理を省略して、安定した検出結果を得ることができる。
この発明において、磁気センサ素子(5a)および前記各手段を同一の半導体チップに集積しても良い。この構成の場合、小型で高精度な回転検出装置を実現できる。
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の上記いずれかの構成の回転検出装置を軸受に組み込んだものである。
この構成によると、軸受使用機器の部品点数、組立工数の削減、およびコンパクト化が図れる。
この発明の回転検出装置は、回転側部材に設けられ回転中心周りの円周方向異方性を有する磁石と、この磁石に対し前記回転側部材の回転中心の軸方向に対向して固定側部材に配置され複数の磁気センサ素子が平面的に並ぶ磁気センサと、この磁気センサの各磁気センサ素子の出力から前記磁石の磁界強度を計測し、その計測値を基に回転側部材の回転角度を検出する角度算出手段とを備えた回転検出装置であって、前記磁石の磁界が磁気センサ素子で検出されてから前記角度算出手段で検出角度が出力されるまでの遅延時間を補正する遅延時間補正手段と、磁界のサンプリング間隔を補間して角度の変化分を演算する補間手段と、これら遅延時間補正手段による遅延時間補正、および補間手段による補間処理がされた回転角度を出力する出力手段とを設けたため、時間遅れによる誤差がなく、各時刻における正確な回転角度情報を得ることができる。
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の回転検出装置を軸受に組み込んだものであるため、軸受使用機器の部品点数、組立工数の削減、およびコンパクト化が図れる。
この発明の一実施形態を図1ないし図9と共に説明する。図1は、この実施形態の回転検出装置を組み込んだ軸受の断面図を示す。この検出装置付き軸受20は、内輪21と外輪22の転走面間に、保持器23に保持された転動体24を介在させた転がり軸受である。転動体24はボールからなり、この転がり軸受20は単列の深溝玉軸受とされている。内輪21には回転側部材である回転軸10が圧入状態に嵌合しており、外輪22は軸受使用機器のハウジング(図示せず)に設置されている。
転がり軸受20に組み込まれる回転検出装置1は、転がり軸受20の内輪21側に配置された磁石2と、外輪22側に配置された回転センサ3とを備える。具体的には、内輪21と共に回転する回転軸10に、一対の磁極N,Sが形成された永久磁石2が配置され、外輪22と固定関係にあるセンサ取付部材27に回転センサ3が配置される。
磁石2は、図2に示すように、その一対の磁極N,Sから発生する磁気が転がり軸受20の軸心Oの回りの方向性を有するものである。この磁石2は、転がり軸受20の軸心Oが磁石2の中心と一致するように、回転軸10の一端の中央に固定される。磁石2が回転軸10と一体に回転することによって、上記軸受軸心Oの回りをN磁極およびS磁極が旋回移動する。
回転センサ3は磁石2の磁気を感知して回転角度の情報を出力するセンサである。回転センサ3は、転がり軸受20の軸心Oの軸方向に向けて磁石2と対面するように、センサ取付部材27を介して外輪22側に取付けられる。具体的には、外輪22に前記センサ取付部材27が取付けられ、このセンサ取付部材27に回転センサ3が固定されている。センサ取付部材27は、外周部の先端円筒部27aを外輪22の内径面に嵌合させ、この先端円筒部27aの近傍に形成した鍔部27bを外輪22の幅面に係合させて軸方向に位置決めがなされている。また、センサ取付部材27には、回転センサ3の出力を取り出すための出力ケーブル29も取付けられている。
回転センサ3は、図3に平面図で示すように、1つの半導体チップ4上に大規模集積回路(LSI)を集積して構成される。その大規模集積回路は、磁気センサ5を構成する複数の磁気センサ素子5aと、その磁気センサ素子5aの出力から前記磁石2の磁界強度を計測し、その計測値に基づき回転側部材である回転軸10の回転角度を検出する角度算出手段6と、遅延時間補正手段7と、補間手段8と、出力手段9とからなる。なお、図3において、角度算出手段6、遅延時間補正手段7、補間手段8、出力手段9については、概念的な構成をブロックで示しており、これらの各手段6〜9の形状,寸法を示すものではない。半導体チップ4上において、磁気センサ素子5aは、仮想の矩形上の4辺における各辺に沿って配置されて、4辺の磁気センサアレイ5A〜5Dとされる。この場合、前記矩形の中心O’は、転がり軸受20の軸心Oに一致する。4辺の磁気センサアレイ5A〜5Dは、同図の例ではセンサ素子5aが一列に並んだものとしているが、センサ素子5aが複列に平行に並んだものであっても良い。前記角度算出手段6、遅延時間補正手段7、補間手段8、出力手段9などからなる演算回路部は、磁気センサアレイ5A〜5Dの矩形配置の内部に配置される。半導体チップ4は、その素子形成面が前記磁石2と対向するように前記センサ取付部材27に固定される。
このように、磁気センサ素子5aと演算回路部(角度算出手段6、遅延時間補正手段7、補間手段8、出力手段9)とを同じ半導体チップ4上に集積して一体化すると、磁気センサ素子5aと演算回路部間の配線が不要となり、回転センサ3のコンパクト化が可能で、断線等に対する信頼性も向上し、回転検出装置1の組み立て作業も容易になる。特に、上記したように矩形に配置された磁気センサアレイ5A〜5Dの内部に演算回路部を配置すると、チップサイズをより小さくすることができる。
図4および図5は、前記角度算出手段6による回転角度算出処理の説明図である。図5(A)〜(D)は、回転軸10が回転している時の磁気センサアレイ5A〜5Dによる出力波形図を示し、それらの横軸は各磁気センサアレイ5A〜5Dにおける磁気センサ素子5aを、縦軸は検出磁界の強度をそれぞれ示す。
いま、図4に示す位置X1とX2に磁気センサアレイ5A〜5Dの検出磁界のN磁極とS磁極の境界であるゼロクロス位置があるとする。この状態で、各磁気センサアレイ5A〜5Dの出力は、図5(A)〜(D)に示す信号波形となる。したがって、ゼロクロス位置X1,X2は、磁気センサアレイ5A,5Cの出力から直線近似することで算出できる。
角度計算は、次式(1)で行うことができる。
θ=tan-1(2L/b) ……(1)
ここでθは、磁石2の回転角度を絶対角度(アブソリュート値)で示した値である。2Lは、矩形に並べられる各磁気センサアレイ5A〜5Dより構成される四角形の1辺の長さである。bは、ゼロクロス位置X1,X2間の横方向長さである。
ゼロクロス位置X1,X2が磁気センサアレイ5B,5Dにある場合には、それらの出力から得られるゼロクロス位置データにより、上記と同様にして回転角度θが算出される。
ところで、角度算出手段6が上記した演算を行って回転角度θを出力するまでに時間遅れが発生する。したがって、高速回転状態では検出された回転角度位置は実際の回転角度位置とは異なっていることがある。図9には、時刻tn-1 ,tn ,tn+1 において角度算出手段6で演算出力される各検出角度θn-1 ,θn ,θn+1 と実際の角度との関係を示している。これら検出角度θn-1 ,θn ,θn+1 と実際の角度との角度差が上記遅延によるものである。
図6には、この実施形態の回転検出装置1の概略構成をブロック図で示す。遅延時間補正手段7は、角度算出手段6から出力される検出角度θを前記時間遅れ分だけ補正する手段である。この遅延時間補正手段7は、その詳細な構成をブロック図で示す図7のように、速度検出回路11、目標値計算回路12、および前回目標値記憶メモリ13を有する。 速度検出回路11では、時刻tn に角度算出手段6から出力される検出角度θn と、時刻tn-1 に角度算出手段6から出力される検出角度θn-1 の差分Δθn (=θn −θn-1 )を回転速度として計算する。この差分値Δθn は、1回の磁界サンプリング間隔Tで回転した角度を示している。差分値Δθn のばらつきは大きくなるため、必要に応じて平均化フィルタなどを使用しても良い。
目標値計算回路12では、速度検出回路11で検出された回転速度(差分値Δθn )を用いて、次のサンプリング時刻(次に角度算出手段6が検出角度θn+1 を出力する時刻)tn+1 に到達すべき回転角度位置Pn+1 を計算する。ここでは、目標値計算回路12は、検出角度出力までの遅延時間を補償する。その補償の計算方法として、例えば一次近似を用いると、tn+1 に到達すべき回転角度位置Pn+1 は、
n+1 =θn +α・Δθn ……(2)
となる。ここでαは遅延時間を補償する係数で、遅延時間の大きさによって設定され、図9の場合ではα=2に設定される。このようにして求められた次回の予想検出角度Pn+1 が目標値となる。このように遅延時間補償を行った場合、Pn+1 は図9に示す位置となり、実際の回転角度位置に近接した値が目標値となる。このとき、目標値記憶メモリ13には、目標値計算回路12が前回計算した目標値Pn が記憶されている。
補間手段8は、磁界のサンプリング間隔Tを補間して回転角度の変化分を演算する手段である。この補間手段8は、その詳細な構成をブロック図で示す図7のように、パルス生成回路14と現在位置カウンタ15とを有する。先の目標値計算回路12では、上記したように求まった目標値Pn+1 と、目標値記憶メモリ13に記憶された前回の目標値Pn とを用いて、次回サンプリング時刻tn+1 までに変化すべきカウント量Cn を、
n =Pn+1 −Pn ……(3)
として求め、補間手段8のパルス生成回路14に入力する。また、目標値計算回路12は、前記カウント量Cn を計算後、現在位置AをPn として前回目標値記憶メモリ13に再記憶する。すると、現在位置カウンタ15にCn 個のクロックが順次入力される。これにより、現在位置カウンタ15のカウント値が変化し、補正角度出力(遅延時間補償+補間)Aが得られる。
このように補間された角度出力信号Aはデジタル信号であるが、常に±1ずつしか変化しない動作をする。したがって、現在位置カウンタ15のカウント値(信号A)の下位2ビットの信号状態から、通常のエンコーダで用いられるAB相などの2相パルス信号を生成することができる。
例えば、信号Aの下位2ビットをA0,A1として、図10に示す論理回路によって、AB相の信号を生成することができる。
出力手段9は、遅延時間補正手段7による遅延時間補償、および補間手段8による補間処理がされた回転角度Aを出力する手段である。この出力手段9は、その詳細な構成をブロック図で示す図8のように、インデックス信号生成手段16、角度値記憶手段17、および角度値設定手段18を有する。出力手段9は、補間手段8からの角度信号Aをそのまま出力する端子の他に、回転側部材である回転軸10が1回転するごとにインデックス信号Zを出力する端子を有する。インデックス信号生成手段16は、補間手段8における現在位置カウンタ15のカウント値(信号A)が例えば0になったとき、前記端子にインデクス信号Zを出力する。角度値記憶手段17はインデックス信号Zを出力する角度値を記憶するメモリであり、角度値設定手段18は前記角度値記憶手段17に記憶させる角度値を設定する手段である。角度値設定手段18は例えば通信回路で構成され、角度値記憶手段17に記憶させる角度値を外部から可変設定可能とされる。これにより、補間手段8における現在位置カウンタ15のカウント値(信号A)が角度値記憶手段17に記憶された角度値と等しくなったとき、インデックス信号生成手段16の出力端子にインデックス信号Zが出力される。信号Aは遅延時間補償および補間処理された信号なので、実際の角度との誤差が小さいインデックス信号を出力することができる。
このように、この実施形態の回転検出装置1では、角度算出手段6から出力される検出角度θを、磁石2の磁界が磁気センサ素子5aで検出されてから角度算出手段6で検出角度θが出力されるまでの時間遅れ分だけ遅延時間補正手段7で補正するようにしているので、出力される角度情報が実際の回転側部材(回転軸10)の回転角度にごく近い値になり、正確な角度情報をリアルタイムで得ることができる。
また、補間手段8により、磁界のサンプリング間隔Tを補間して回転角度の変化分を演算するようにしているので、回転側部材(回転軸10)の高速回転動作を、サンプリング時間間隔Tよりも細かく検出することができる。
また、この実施形態では、補間手段8により補間処理されて出力される角度信号Aから2相信号を生成しているので、これらの信号を用いて回転側部材(回転軸10)の回転方向も判別することができる。
また、この実施形態では、インデックス生成手段16によりインデックス信号Zも出力できるので、パルスを計数することによってリアルタイムで絶対回転角度情報も得ることができる。
また、図1の検出装置付き軸受20では、上記回転検出装置1を転がり軸受20に組み込んでいるので、軸受使用機器の部品点数、組立工数の削減、およびコンパクト化を図ることができる。
図11はこの発明の他の実施形態を示す。この実施形態の回転検出装置1は、図6に示す先の実施形態において、遅延時間補正手段7および補間手段8の機能を選択的にオン・オフする機能オンオフ手段19を付加したものである。機能オンオフ手段19は自動切替手段30と自動切替速度設定手段31とでなる。
自動切替手段30は、回転側部材(回転軸10)の回転速度が設定回転速度以上か否かに応じて、例えばスイッチ32,33をオン・オフすることにより、遅延時間補正手段7および補間手段8の機能をそれぞれオン状態とオフ状態とに切り換える手段であり、具体的には設定回転速度未満のとき遅延時間補正手段7および補間手段8の機能がオフ状態となるように切り換える。図11では、説明を簡略化するために遅延時間補正手段7および補間手段8の外部のスイッチ32,33をオン・オフする構成としているが、遅延時間補正手段7および補間手段8の回路内部動作を切り換えるようにしても良い。
自動切替速度設定手段31は、前記自動切替手段30が自動切替えを行う設定回転速度の値を可変設定する手段であり、例えば通信回路によって構成される。なお、設定回転速度の値の可変設定は、この他、例えばスイッチ端子を外部から操作して行うようにしても良い。その他の構成は図6の場合と同様であり、ここではその説明は省略する。
回転側部材(回転軸10)の回転速度が低速の場合には、角度算出手段6における遅延時間の影響が小さいため、遅延時間補正手段7による遅延時間補償の処理を行わないほうが安定した検出結果が得られる場合がある。この実施形態の回転検出装置1では、機能オンオフ手段19の自動切替手段30により、回転速度に応じて遅延補正のオン・オフを自動的に行うようにしているため、このような場合に、遅延時間補正手段7による遅延時間補償の処理を省略して、安定した検出結果を得ることができる。
なお、遅延時間補正手段7の機能をオフ状態とした場合には、角度算出手段6が検出角度θn+1 を出力する次のサンプリング時刻tn+1 に到達すべき回転角度位置Pn+1 は、次式(2’)として計算される。
n+1 =θn +Δθn ……(2’)
この発明の一実施形態に係る回転検出装置を組み込んだ検出装置付き軸受の断面図である。 同軸受における回転検出装置設置部を示す拡大側面図である。 同軸受における回転センサの一例を構成する半導体チップの平面図である。 同回転センサの角度算出手段による角度算出処理の説明図である。 同回転センサにおける磁気センサアレイの出力を示す波形図である。 前記回転検出装置の概略構成を示すブロック図である。 同回転検出装置における遅延時間補正手段および補間手段の詳細な構成を示すブロック図である。 同回転検出装置における出力手段の詳細な構成を示すブロック図である。 同回転検出装置における遅延時間補正手段の処理動作を示す説明図である。 同回転検出装置における出力手段から出力されるAB相信号の論理説明図である。 この発明の他の実施形態に係る回転検出装置の概略構成を示すブロック図である。 従来例の斜視図である。
符号の説明
1…回転検出装置
2…磁石
3…回転センサ
4…半導体チップ
5…磁気センサ
5a…磁気センサ素子
5A〜5D…磁気センサアレイ
6…角度算出手段
7…遅延時間補正手段
8…補間手段
9…出力手段
10…回転軸
16…インデックス信号生成手段
17…角度値記憶手段
18…角度値設定手段
19…機能オンオフ手段
30…自動切替手段
31…自動切替速度設定手段

Claims (11)

  1. 回転側部材に設けられ回転中心周りの円周方向異方性を有する磁石と、この磁石に対し前記回転側部材の回転中心の軸方向に対向して固定側部材に配置され複数の磁気センサ素子が平面的に並ぶ磁気センサと、この磁気センサの各磁気センサ素子の出力から前記磁石の磁界強度を計測し、その計測値を基に回転側部材の回転角度を検出する角度算出手段とを備えた回転検出装置であって、
    前記磁石の磁界が磁気センサ素子で検出されてから前記角度算出手段で検出角度が出力されるまでの遅延時間を補正する遅延時間補正手段と、磁界のサンプリング間隔を補間して角度の変化分を演算する補間手段と、これら遅延時間補正手段による遅延時間補正、および補間手段による補間処理がされた回転角度を出力する出力手段とを設けたことを特徴とする回転検出装置。
  2. 請求項1において、前記磁気センサの出力から回転パルス信号を生成するパルス生成回路を設け、前記出力手段は回転角度の出力をパルス信号で出力するものとした回転検出装置。
  3. 請求項2において、前記パルス信号が、互いに90°位相の異なる二つの回転パルス信号、または回転パルス信号と回転方向信号とからなる回転検出装置。
  4. 請求項2または請求項3において、前記パルス信号に加えて、前記磁気センサの出力から回転側部材の1回転ごとに出力するインデックス信号の生成手段を設けた回転検出装置。
  5. 請求項4において、インデックス信号を出力する角度値を記憶する記憶手段を設け、このインデックス信号を出力する角度値を設定する角度値設定手段を設けた回転検出装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記遅延時間補正手段および補間手段の機能をそれぞれオン状態とオフ状態とに切り替える機能オンオフ手段を設けた回転検出装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記遅延時間補正手段のオン状態とオフ状態とを、回転側部材の回転速度が設定速度以上か否かに応じて切り替える自動切替手段を設け、設定回転速度未満のときにオフ状態とするものとした回転検出装置。
  8. 請求項7において、前記自動切替えを行う設定回転速度を設定する自動切替速度設定手段を設けた回転検出装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、磁気センサ素子および前記各手段を同一の半導体チップに集積した回転検出装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記磁気センサが磁気センサアレイからなる回転検出装置。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の回転検出装置を軸受に組み込んだ回転検出装置付き軸受。

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