JP2008031324A - カチオン系感光性組成物およびその硬化物 - Google Patents

カチオン系感光性組成物およびその硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP2008031324A
JP2008031324A JP2006207293A JP2006207293A JP2008031324A JP 2008031324 A JP2008031324 A JP 2008031324A JP 2006207293 A JP2006207293 A JP 2006207293A JP 2006207293 A JP2006207293 A JP 2006207293A JP 2008031324 A JP2008031324 A JP 2008031324A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
alkyl group
compound
amine
ether
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006207293A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4999393B2 (ja
Inventor
Atsushi Shimizu
敦 清水
Kenichi Kato
謙一 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2006207293A priority Critical patent/JP4999393B2/ja
Publication of JP2008031324A publication Critical patent/JP2008031324A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4999393B2 publication Critical patent/JP4999393B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polyethers (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】 大気中の酸素により硬化反応が阻害されず優れた光硬化性を(表面硬化性、内部硬化性)有し、その光硬化物が樹脂、金属、ガラスといった様々な基材に対する良好な密着性を示す、且つ金属基材を腐食させることがないカチオン系感光性組成物を提供すること。
【解決手段】(a)カチオン重合性を有する化合物、(b)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、(c) 熱アミン発生剤からなるカチオン重合性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、エネルギー線の照射により大気中において硬化塗膜を形成し、形成された塗膜が、塗料、接着剤、インキ、フィルムコーティング、レジスト材料、より具体的には、インクジェット印刷用UVインク、グラビア印刷用UVインク、フレキソ印刷用UVインク、オフセット印刷用UVインク、スクリーン印刷用UVインク、金属印刷用UVインク、液晶や有機EL等のディスプレイパネル用シール材、光ディスク貼り合わせ用接着剤、Blu−rayディスクの表面保護層形成材、反射防止膜形成用コーティング材、ハードコーティング材、半導体製造用レジスト材料、微細配線用レジスト材料等として有用な感光性組成物およびその硬化物に関する。
紫外線等のエネルギー線を用いた硬化システムは、生産性の向上や近年の環境問題を解決する上で有力な方法となっている。現在の光硬化システムの主流は、(メタ)アクリレート系材料を使用したラジカル硬化系であるが、エポキシやビニルエーテル、オキセタン等の材料を使用したカチオン硬化系材料は、(a)酸素による硬化阻害を受け難いため、表面および薄膜硬化性に優れる、(b)硬化収縮が小さく、幅広い基材に対し良好な接着性を有する、(c)活性種の寿命が長く光照射後も硬化が徐々に進むことから(暗反応)、残モノマー量を低く抑えることが可能等、ラジカル硬化系に比べ優れた特長を有し、近年、塗料、接着剤、ディスプレイ用シール剤、印刷インキ、立体造形、シリコーン系剥離紙、フォトレジスト、電子部品用封止剤等への応用が検討されている(非特許文献1)。
光カチオン硬化系で主に用いられる化合物としてグリシジル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物(特許文献1)、オキセタン化合物(非特許文献2)、ビニルエーテル化合物(特許文献2、3、4、5)などが例示できる。これらの化合物は、大気中においても酸素による硬化阻害を起こさないことからラジカル系に比べても優れた硬化性を有する。
一方、光カチオン硬化系では、エネルギー線である光により酸を発生させる光酸発生剤が使用されるために硬化物中に酸が存在する可能性がある。酸の生成機構としては、光により発生した酸が硬化反応(重合反応)に使用されずにそのまま残ったものや、下記反応により、成長ポリマーの活性端(オキシラニウムイオン)が系内に存在する微量の水により失活することにより発生する酸が考えられる。これらの酸は基材の金属を腐食させる可能性が有る。特に、電子材料の用途では、これらの酸はデバイスの劣化等の問題を引き起こす可能性がある。
Figure 2008031324
上記問題の発生を防止するために、系内に予め塩基を含有させて発生する酸を補足する方法が考えられるが、この方法では、光により発生した酸が、カチオン重合を引き起こす前に塩基により補足されてしまうので、重合反応が効率よく進まない。
米国特許第3794576号明細書 特開平06−298911号公報 特開平09−328634号公報 特許第2667934号公報 特開平04−120182号公報 特開2003−048951号公報 特開2003−048950号公報 角岡正弘、他著「カチオン硬化技術の工業展開」 MATERIAL STAGE、 技術情報協会、2002年5月10日、第2巻、第2号、P.39−92 3-Ethyl-3-hydroxymethyloxetane/Epoxide配合系の光カチオン重合性、佐々木 裕、東亞合成研究年報TREND 2005 第8号
本発明の組成物は、大気中の酸素により硬化反応が阻害されず優れた光硬化性を(表面硬化性、内部硬化性)有し、その光硬化物が樹脂、金属、ガラスといった様々な基材に対する良好な密着性を示す、且つ金属基材を腐食させることがないカチオン系感光性組成物を提供することを目的とする。このような硬化組成物は、コーティング材、UVインク、接着剤、有機EL等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用シール剤、レジスト材料などの構成材料として有用である。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、エネルギー線によりカチオン硬化反応が硬化前組成物に特定の熱アミン発生剤を含有させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
1.(a)カチオン重合性を有する化合物、(b)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、(c) 熱アミン発生剤、からなるカチオン重合性組成物、
2.熱アミン発生剤が、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)の構造から選択される1種以上のアミンをイソシアネートと反応させてなる付加体である上記1に記載の組成物、
Figure 2008031324
(但し、R1, R2はアルキル基またはフェニル基、R3, R4, R5, R6は水素、アルキル基、またはフェニル基を表す。R1, R2, R3の内二種ないし全てが同じ環状アルキル基の一部であっても良く、R4, R5, R6の内二種ないし全てが同じ環状アルキル基の一部であっても良い。R7はアルキル基またはフェニル基、R8, R9, R10は水素、アルキル基、またはフェニル基を表す。R7, R8が同じ環状アルキル基の一部であっても良く、R9, R10が同じ環状アルキル基の一部であっても良い。R11はアルキレン基を表す。R12, R13, R14はアルキル基またはフェニル基を表す。R15, R16, R17はアルキル基またはフェニル基を表す。)
3.カチオン重合性を有する化合物が、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物からなる群から選ばれる一種以上である上記1又は2に記載の組成物、
4.エネルギー線感受性カチオン重合開始剤が、スルホニウム塩およびまたはヨードニウム塩である上記1〜3のいずれかに記載の組成物、
5.アミンが、沸点120℃以上のアミンである上記1〜4のいずれかに記載の組成物、
6.上記1〜5のいずれかに記載の組成物にエネルギー線を照射して硬化させ、さらに熱処理を行うことを特徴とする硬化組成物、
である。
大気中の酸素により硬化反応が阻害されず優れた光硬化性を(表面硬化性、内部硬化性)有し、その光硬化物が樹脂、金属、ガラスといった様々な基材に対する良好な密着性を示す、且つ金属基材を腐食させることがないカチオン系感光性組成物を提供すること。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明における(a)カチオン重合性基を有する化合物とは、水素イオンまたは、ルイス酸により重合する化合物であり、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、ビニルエーテル基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物、プロペニルエーテル基を有する化合物、アルコキシシラン類が例示できる。上記官能基は一分子中に一個あるいは複数個含まれる。また一分子中に異なった種類の官能基が存在しても良い。これらの中で、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物からなる群から選ばれる1種以上が硬化反応性が良好であるので好ましい。これら成分の使用量には特に制限は無いが、エポキシ基を有する化合物とオキセタニル基を有する化合物は、それぞれ30〜90wt%であり、好ましくは60〜90wt%である。ビニルエーテル基を有する化合物は、1〜50wt%であり、好ましくは1〜30wt%である。また、アルコキシシラン類は、1〜50%であり、好ましくは1〜30wt%である。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジクリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジクリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジクリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ及び/又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリ及び/又はテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタ及び/又はヘキサグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
脂環エポキシ化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、プロピレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、等が挙げられる。
2官能脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2080、3000(ダイセル化学工業社製)、UVR−6110、6105、6128、ERLX−4360(ダウ・ケミカル日本社製)、3官能以上の多官能脂環式エポキシ化合物としてはエポリードGT300、GT400(ダイセル化学工業社製)等を用いることができる。
これらのうち、脂環式エポキシ化合物がカチオン重合反応性に優れるため好ましい。これらエポキシ基を有する化合物は、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ビニルエーテル基を有する化合物とは、下記の一般式を有する化合物である。
Figure 2008031324
(Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、ビニル基を有するアルキル基、アリール基を有するアルキル基、アクリロイル基、メタクリロイル基を表す。)
これらの中で、Rがヒドロキシアルキル基である化合物が好ましい。分子内に水酸基を有するビニル化合物を用いることにより、優れた硬化性と接着性、耐水性を有する硬化物を与える光硬化性が得ることができる。その理由は明確にはなっていないが、水酸基を有する化合物は、酸を触媒としてエポキシ基やオキセタニル基と反応した場合、水酸基をポリマー骨格に導入することになるので、このことにより硬化性、接着性、耐水性を向上させると推定される。
水酸基を有するビニルエーテル化合物としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールモノビニルエーテル、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリシクロデカンジオールモノビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールモノビニルエーテル等を挙げることができる。これらの中では、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテルが硬化膜の柔軟性と高度のバランスが良好であるために好ましい。
オキセタニル基を有する化合物とは、分子内に、四員環エーテルであるトリメチレンオキシド構造を有する化合物を言うが、好ましくは、下記一般式で表される化合物である。
Figure 2008031324
(ここでR1は水素、アルキル基、アリール基、オキセタニルアルキル基、シリルアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、オキシアルキレン基、オキセタニルオキシフェニレン基、フェノキシアルキル基、を表す。R2はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基をあらわす。)
プロペニルエーテル基を有する化合物とは、下記一般式で表される化合物である。(Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、ビニル基を有するアルキル基、アリール基を有するアルキル基、アクリロイル基、メタクリロイル基を表す。)
Figure 2008031324
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランなどが例示できる。これらの中で、テトラエトキシシランが硬化性に優れており好ましい。テトラアルコキシシランは、酸を触媒として、ポリシロキサンを生成する。テトラアルコキシシランを用いることで、粘度が低く、高度と柔軟性のバランスに優れた硬化膜を得ることができる。
本発明で使用する(b)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を発生させることが可能な化合物であり、特に好ましいものとしては照射によりルイス酸を発生させるオニウム塩である。具体的には、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウムであり、アニオン部分がBF 、PF 、SbF 、[BX(ただし、Xは少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)等により構成されたオニウム塩である。具体的には四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができる。より具体的には、CD−1012(商品名:SARTOMER社製)、PCI−019、PCI−021(商品名:日本化薬社製)、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170(商品名:旭電化社製)、UVI−6990(商品名:ダウケミカル社製)、CPI−100P、CPI−100A(商品名:サンアプロ社製)、TEPBI−S(商品名:日本触媒社製)、R HODORSIL PHOTOINITIATOR2074(商品名:Rhodia社製)、IRGACURE250(チバスペシャリティーケミカルズ)等が例示できる。、これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用することもできる。
これらの(b)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤のカチオン重合性組成物中の含有率は、0.1〜10wt%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5wt%である。10wt%より多い場合、光線透過率が低下し膜底部の硬化が不足するため好ましくない。また0.1wt%より少ない場合、エネルギー線照射により発生するカチオン物質の量が不足し、十分な硬化性が得られなくなる。
本発明における(c)熱アミン発生剤とは、加熱することによりアミン化合物を発生する化合物を言う。これらの化合物としては、アミンとイソシアネートの付加体、ケチミン化合物、カルボン酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、マイクロカプセル化アミンなどが例示できる。これらの中で、アミンとイソシアネートの付加体が好ましい。特に、立体障害のあるアミンとイソシアネートとからなる付加体は、100〜200℃の比較的低温でアミンを解離させることができる。
これらの(c)熱アミン発生剤の量は、(b)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤に対して、当量比で(c)/(b)=10/1〜0.5/1であることが好ましく、(c)/(b)=5/1〜0.5/1がより好ましい。
上記アミンとイソシアネートとからなる付加体は、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4) の構造から選択される1種以上のアミンをポリイソシアネートと反応させてなる、付加体である。
Figure 2008031324
(但し、R1, R2はアルキル基またはフェニル基、R3, R4, R5, R6は水素、アルキル基、またはフェニル基を表す。R1, R2, R3の内二種ないし全てが同じ環状アルキル基の一部であっても良く、R4, R5, R6の内二種ないし全てが同じ環状アルキル基の一部であっても良い。R7はアルキル基またはフェニル基、R8, R9, R10は水素、アルキル基、またはフェニル基を表す。R7, R8が同じ環状アルキル基の一部であっても良く、R9, R10が同じ環状アルキル基の一部であっても良い。R11はアルキレン基を表す。R12, R13, R14はアルキル基またはフェニル基を表す。R15, R16, R17はアルキル基またはフェニル基を表す。)
本発明においてアミンとの付加体を合成するためのイソシアネートはモノイソシアネートあるいは1分子中にイソシアネート基が複数存在するポリイソシアネートが使用される。好ましくは、ポリイソシアネートであり、この場合、アミンが解離した後に生成するイソシアネート基が樹脂中に水酸基があればこれと反応するので、この場合当該イソシアネートは架橋材としての機能も有する。イソシアネートは、芳香族イソシアネートと脂肪族イソシアネートが使用可能である。芳香族イソシアネートの方が一般的に付加体のアミン発生温度が低くなる。
上記一般式(1)、(2)の化合物は、上記のように窒素原子に隣接したいずれかまたは両方の炭素に立体障害の大きな置換基が入っている化合物である。上記一般式(3)の化合物はイミダゾールもしくはその誘導体であり、上記一般式(4)の化合物はピラゾールもしくはその誘導体である。各化合物の置換基R1〜R17については、アルキル基の場合は、直鎖、分岐、環状アルキル基が含まれ、フェニル基の場合にはアルキル置換フェニル基、縮合環が含まれる。これらのアミンはイソシアネートと反応してウレア化合物を生成する。イソシアネートを目的物とし、アミンは反応系外に移行させる場合は塗料の分野で該ウレア化合物はブロックドイソシアネートと呼ばれるが(特許文献6、7)、本発明においては、発生するアミンが系内にとどまり、プロトントラップ剤として働くために、当該付加体は、熱アミン発生剤となる点がブロックイソシアネートと異なる点である。従って、アミンの沸点は、熱アミン発生温度よりも高いことが好ましく、具体的には120℃以上が好適である。
本発明における、特定のアミンとイソシアネートが反応してできるウレア化合物は、上記立体障害あるいは、電子的理由で、カルボニル炭素とアミン側の窒素原子との結合が切れやすい性質を持つこと推定される。このために、100〜150℃に加熱することによってイソシアネートが容易に再生し、発生するアミンがプロトン補足剤として働き、発生するイソシアネートは、系内に水酸基がある場合は、それと反応しポリマーとして取り込まれる。鎖延長剤と反応してポリウレタン及び/又はポリウレア樹脂を生成するものと推定される。
上記一般式(1)、(2)に示すアミンの具体例としては2,6-ジメチルピペリジン、2,6-ジメチル-4-アルキルピペリジン、ジイソプロピルアミン、N-エチルt-ブチルアミン、2,2,6,6,- テトラメチルピペリジン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-プロピルsec ブチルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-イソプロピルシクロヘキシルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N-t-ブチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジt-ブチルアミンなどが挙げられる。これらの中で、2,6-ジメチルピペリジン、2,6-ジメチル-4-アルキルピペリジン、N-エチルt-ブチルアミン、ジイソプロピルアミン、N-t-ブチルベンジルアミン、はアミン解離温度が低く特に好ましい。
上記一般式(3)に示す化合物としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-アルキルイミダゾール、4-アルキルイミダゾール、5-アルキルイミダゾール、2-エチル-4- メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、これらの化合物の炭素に結合した水素がアルキル基に置換された化合物などが例示できる。
上記一般式(4)に示す化合物としては、ピラゾール、アルキル置換ピラゾール、これらの化合物の炭素に結合した水素がアルキル基に置換された化合物などが例示できる。
本発明における熱アミン発生剤は、イソシアネートを本発明の特定のアミン化合物と仕込み当量比( アミン当量/イソシアネート当量) 1で反応させることが好ましい。この反応は通常室温で行われるが、100℃程度までの温度で行っても良い。該熱アミン発生剤は、100℃程度以上に加熱することにより、容易にアミンが解離する。当該付加体を合成する場合、溶媒は使用しても使用しなくても良いが、もし溶媒を使用する場合は、芳香族系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤が使用可能な溶媒として例示できる。
イソシアネートとしては、モノイソシアネートもポリイソシアネートも使用可能であるが、ポリイソシアネートが、アミン解離語は架橋剤となるので好ましい。ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI) 、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) 、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI) 、ナフタレンジイソシアネート(NDI) 、トリジンジイソシアネート(TODI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI) 、水添トリレンジイソシアネート(H6TDI) 、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI) 、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、などが例示できる。
3官能以上のポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート類から誘導される化合物やトリフェニルメタントリイソシアネートートが例示できる。ジイソシアネート化合物から誘導されるポリイソシアネートの具体例としては、イソシアヌレート変性体、アロハネート変性体、ビュウレット変性体、ウレア変性体などが挙げられる。
本発明ではこれらのポリイソシアネートをポリオールで変性したポリオール変性ポリイソシアネートを用いても良い。この手法により、イソシアネートとアミンからなる付加体の溶解性を向上させることができる。ポリオール変性とは、ポリオールとポリイソシアネートを仕込み当量比( イソシアネート基当量/ 水酸基当量) が1を越える割合で反応させて分子の両末端がイソシアネート基の化合物を得ることを言う。この反応は通常室温で進行するが、150℃程度までの温度で行っても良い。ウレタン化触媒は使用しても使用しなくても良く、また溶媒は使用しても使用しなくても良い。
溶媒としては、芳香族系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤が使用できる。ここで使用されるポリオールとは、多価アルコール化合物のことであり、分子中に2個の水酸基を有する低分子ジオールまたは高分子ジオールや、分子中に2を越える平均水酸基数を有する低分子ポリオールまたは高分子ポリオールである。これらのポリオールは単独でも混合して用いても良い。
低分子ジオールは、一般式
HO-R-OH
(Rはアルキレン基またはオキシアルキレン基) で表すことができる化合物である。これらの中でも、一般式中Rの炭素数が2から12のアルキレン基またはオキシアルキレン基が好ましい。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1.6-ヘキサンジオールなどである。
低分子トリオールとしてはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、クオドロールなどが例示される。
高分子ジオールとしては、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオールなどが例示できる。
本発明の感光性組成物には、光増感剤をエネルギー線感受性カチオン重合開始剤(b)と併用することができる。光増感剤としては、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(b)の光に対する感度を増大させ、あるいは、感光波長領域を拡大するものであれば得に制限は無く、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、ペリレン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、CS−7001(日本曹達)、キサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェノチアジンなどが例示できる。
本発明の感光性組成物には、加熱によりカチオン重合を開始させる物質を発生させる機能を有する重合開始剤を本発明で使用される重合開始剤(b)と併用することもできる。具体的には、フェニルベンジルアルキルスルフォニウム塩などの熱酸発生剤が例示できる。
本発明においては、上記化合物の他に使用可能な化合物の例としては、分子中に水酸基を2個以上有する脂肪族多価アルコール化合物が例示できる。これらの化合物は、硬化膜の機械的強度の向上、表面硬度の向上に効果がある。脂肪族多価アルコールとは、芳香環を含まない脂肪族系の多価アルコールであり、低分子でもオリゴマーでも高分子でも良い。その分子内に、水酸基を除いた酸素原子を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。脂肪族多価アルコールの構成部分として、水酸基を除く酸素原子が含まれる場合を例示すると、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アセタール結合などが挙げられる。また、脂肪族多価アルコールは、非環式、単環式、橋かけ環状、スピロ環状の多価アルコールが幅広く使用可能である。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ジメチロールシクロヘキサン、トリシクロデカンジメタノール(ジ(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカン)、ヒドロキシエチルメタクリレートを含むポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエステルジオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトンポリオール、水添ポリフェノール系樹脂、水添テルペン系樹脂などが例示できる。
本発明の感光性組成物には、フェノール樹脂やその誘導体、テルペン系樹脂などを光硬化膜の機械的物性や接着性改良のために併用することが可能である。フェノール樹脂としては、ノボラックやレゾールが例示できる。ノボラック樹脂の使用は、硬化膜の機械的強度や耐熱性を向上させるので好ましい。
本発明の感光性組成物には、水酸基を含有しない多官能のビニルエーテルもしくはオキセタンを併用することも可能である。このようなビニルエーテルとしては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。また、このようなオキセタンとしては、1,4−ビス([(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル)ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビフェニル、フェノールノボラックオキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン等を挙げることができる。
この他、硬化性や硬化時の膜物性に悪影響を及ぼさない程度にカチオン重合性を示す他の化合物を添加することができる。これらの化合物としては、例えば前記以外の低分子量のエポキシ化合物を希釈剤として用いることでき、また環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物等が挙げられる。また従来用いられる、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールやトリエチレングリコール等のポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールと言ったジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等を用いることもできる。
本発明の組成物において脂肪族多価アルコールの水酸基濃度(脂肪族多価アルコールのモル数×1分子中の水酸基数と定義する)およびヒドロキシ化合物の水酸基濃度(ヒドロキシ化合物のモル数×1分子中の水酸基数と定義する)の和は、エポキシ化合物のエポキシ基濃度(エポキシ化合物のモル数×1分子中のエポキシ基数と定義する)以下であることが好ましく、より好ましくはエポキシ基の官能基濃度1に対し0.8以下である。これは、感光性組成物中のエポキシ基濃度に比べフェノール性水酸基濃度ないし水酸基濃度が過剰であると、硬化後の膜の親水性が高くなり過ぎ耐水性が不足する、あるいは硬化膜が脆弱化するなどして、硬化膜特性が不十分となるためである。
本発明の感光性組成物には、さらに必要に応じて(メタ)アクリレートモノマー類やオリゴマー類およびビニル(メタ)アクリレート等のラジカル重合性化合物および光ラジカル開始剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、ワックス類、酸化防止剤、非反応性ポリマー、微粒子無機フィラー、シランカップリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤等を添加することもできる。
微粒子無機フィラーおよびシランカップリング剤の添加は、塗膜の透湿性を低下させるのに有効である。このような微粒子無機フィラーとしては、一次粒子の平均径が0.005〜10μmの無機フィラーであり、具体的にはシリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、雲母等が挙げられる。微粒子無機フィラーは、表面未処理のもの、および表面処理したもの共に使用でき、表面処理した微粒子無機フィラーとしては例えば、メトキシ化、トリメチルシリル化、オクチルシリル化、またはシリコーンオイルで表面処理したものが挙げられ、これらの1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、シランカップリング剤としては、エポキシ基、カルボキシル基、メタクリロイル基等の反応性基を有するアルコキシシラン化合物であり、具体的にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
本発明の感光性組成物は、その優れた高速硬化性、低硬化収縮性および種々の基材に対する優れた接着性を有することから、塗料、接着剤、インキ、フィルムコーティング、レジスト材料等として有用である。より具体的には、インクジェット印刷用UVインク、グラビア印刷用UVインク、フレキソ印刷用UVインク、オフセット印刷用UVインク、スクリーン印刷用UVインク、金属印刷用UVインク、印刷物用のOPニスが例示できる。また、液晶、有機EL、電子ペーパー等のディスプレイパネル用シール材、光ディスクの貼り合わせ用接着剤、次世代光ディスクであるBlu−rayディスクの表面保護層形成材、反射防止膜形成用コーティング材、ハードコーティング材、半導体製造用レジスト材料、微細配線用レジスト材料、太陽電池シール剤等として有用である。
また本発明の感光性組成物は、空気中において薄膜を高速に硬化することが出来ることから、非加熱で高速に硬化することが要求される樹脂フィルム、基板等へのコーティング材としても好適に使用される。このような例としては、FPD等に用いられる反射防止膜形成用コーティング材が挙げられる。
<硬化膜の特性評価>
(1)タックフリー露光量(TFED):露光後皮膜を触診観察し、表面が硬化しベタツキがなくなるのに必要な最小露光量を求めた。
○:TFED 120mJ/cm以下
×:TFED 120mJ/cm超える
(2)腐食性:銅板(C1100P)に硬化膜(厚さ約12μm)を形成した後、80℃、90%RHの恒温恒湿槽中に、100hr放置した。放置後の外観について目視評価した。
○:黒色の点状腐食なし
×:黒色の点状腐食あり
〔実施例1〕
ブロックドポリイソシアナートの溶液の調整
攪拌子を入れた200mlの四つ口フラスコに、テトラヒドロフラン(THF)94.8gと、2−メチルイミダゾール 4.74g(0.058mol)を採取した。常温で溶解するまで攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアネート体(NCO基 23.1wt%、商品名「デュラネートTPA100」、旭化成ケミカルズ(株)製、10g(0.055mol)を常温で添加した。その後、冷却管を付け、窒素雰囲気下で30分攪拌した後、40℃に昇温し2時間攪拌した後、取り出した。得られたブロックドポリイソシアナートは、液状で流動性があり、赤外吸収スペクトルではNCO基の特性吸収ピークは検出されず、NCO基のブロック化が完全に行われていた。
硬化試験および腐食性試験
成分(1)3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを58重量部、成分(2)ヒドロキシブチルビニルエーテル17重量部、成分(3)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤としてスルホニウムPF塩型のCPI−100P(製品名:サンアプロ社製)7重量部、成分(4)多核フェノール化合物としてフェノール3〜5核体の含有率が50wt%のp−tert−Bu−フェノールノボラック樹脂(PAPSシリーズ:旭有機材工業社製)3重量部、成分(5)反応性有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン15重量部の組成物を調整した。この組成物に対して、調整したブロックドポリイソシアナートを3重量部、添加した物を十分混合することにより透明な感光性組成物を得た。
この感光性組成物の特性を評価するために、まずバーコーターを用い膜厚12μmになるように塗工した後、400W高圧水銀灯露光機(セン特殊光源社製)でTFEDを測定した。硬化性は良好であった。次にTFED相当の紫外光を銅基板に照射し、得られた硬化膜を120℃の乾燥機中で30分放置した。その後腐食性を評価したところ腐食が抑制されていた。これらの結果を表1に示す。
〔実施例2〕
ブロックドポリイソシアナートの溶液の調整
攪拌子を入れた100mlの3つ口フラスコに、ジメチルホルムアミド(DMF)25.5gと、イソプロピルシクロヘキシルアミン4.5g(0.032mol)をとり、常温で溶解させた。また、分液漏斗に、DMF31.39gと、「デュラネートTPA100」5.54gをとり、常温で溶解させた後、窒素雰囲気下で、常温で約30分かけて滴下していった。その後、常温で30分攪拌した後、取り出した。得られたブロックドポリイソシアナートは、液状で流動性があり、赤外吸収スペクトルではNCO基の特性吸収ピークは検出されず、NCO基のブロック化が完全に行われていた。
硬化試験および腐食性試験
成分(1)3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを60重量部、成分(2)ヒドロキシブチルビニルエーテル18重量部、成分(3)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤としてスルホニウムPF塩型のCPI−100P(製品名:サンアプロ社製)4重量部、成分(4)多核フェノール化合物としてフェノール3〜5核体の含有率が50wt%のp−tert−Bu−フェノールノボラック樹脂(PAPSシリーズ:旭有機材工業社製)3重量部、成分(5)反応性有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン15重量部の組成物を調整した。この組成物に対して、調整したブロックドポリイソシアナートを3重量部、添加した物を十分混合することにより透明な感光性組成物を得た。
その後、実施例1と同様に評価を行った。硬化性は良好であり、腐食は抑制されていた。これらの結果を表1に示した。
〔比較例1〕
実施例1の組成物から、ブロックドポリイソシアナートを添加しない組成物を使用し、硬化させた。この後、熱処理を実施せず腐食性を評価した。銅板には腐食が見られた。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1の組成物を使用して硬化膜を作成した後、実施例1の熱処理(120℃×30分)を行わずに、腐食性を評価した。銅板には腐食が見られた。結果を表1に示す。
Figure 2008031324
本発明の組成物は、コーティング材、UVインク、接着剤、有機EL等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用シール剤、レジスト材料などの構成材料として有用である。

Claims (6)

  1. (a)カチオン重合性を有する化合物、(b)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、(c) 熱アミン発生剤からなるカチオン重合性組成物。
  2. 熱アミン発生剤が、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)の構造から選択される1種以上のアミンをイソシアネートと反応させてなる付加体である請求項1に記載の組成物。
    Figure 2008031324
    (但し、R1, R2はアルキル基またはフェニル基、R3, R4, R5, R6は水素、アルキル基、またはフェニル基を表す。R1, R2, R3の内二種ないし全てが同じ環状アルキル基の一部であっても良く、R4, R5, R6の内二種ないし全てが同じ環状アルキル基の一部であっても良い。R7はアルキル基またはフェニル基、R8, R9, R10は水素、アルキル基、またはフェニル基を表す。R7, R8が同じ環状アルキル基の一部であっても良く、R9, R10 が同じ環状アルキル基の一部であっても良い。R11はアルキレン基を表す。R12, R13, R14 はアルキル基またはフェニル基を表す。R15, R16, R17 はアルキル基またはフェニル基を表す。)
  3. カチオン重合性を有する化合物が、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物からなる群から選ばれる一種以上である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. エネルギー線感受性カチオン重合開始剤が、スルホニウム塩およびまたはヨードニウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. アミンが、沸点120℃以上のアミンである請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物にエネルギー線を照射して硬化させ、さらに熱処理を行うことを特徴とする硬化組成物。
JP2006207293A 2006-07-31 2006-07-31 カチオン系感光性組成物およびその硬化物 Active JP4999393B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006207293A JP4999393B2 (ja) 2006-07-31 2006-07-31 カチオン系感光性組成物およびその硬化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006207293A JP4999393B2 (ja) 2006-07-31 2006-07-31 カチオン系感光性組成物およびその硬化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008031324A true JP2008031324A (ja) 2008-02-14
JP4999393B2 JP4999393B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=39121101

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006207293A Active JP4999393B2 (ja) 2006-07-31 2006-07-31 カチオン系感光性組成物およびその硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4999393B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009179709A (ja) * 2008-01-30 2009-08-13 Panasonic Electric Works Co Ltd 樹脂組成物、樹脂成形品、塗装品
JP2011032353A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Nippon Carbide Ind Co Inc カチオン重合性組成物
WO2012020688A1 (ja) * 2010-08-12 2012-02-16 ダイセル化学工業株式会社 低透湿性樹脂組成物及びその硬化物
KR20160022766A (ko) 2014-08-20 2016-03-02 후지필름 가부시키가이샤 감광성 수지 조성물, 경화막의 제조 방법, 경화막, 액정 표시 장치, 유기 일렉트로 루미네센스 표시 장치 및 터치 패널
US10113030B2 (en) 2013-07-26 2018-10-30 Toshiba Memory Corporation Resist material and pattern forming method using same
JPWO2021085407A1 (ja) * 2019-10-29 2021-05-06
CN114008163A (zh) * 2019-07-05 2022-02-01 三井化学株式会社 有机el显示元件用密封剂及有机el显示装置
WO2023153387A1 (ja) * 2022-02-08 2023-08-17 三井化学株式会社 重合性組成物、封止材、画像表示装置および画像表示装置の製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05335101A (ja) * 1992-06-01 1993-12-17 Murata Mfg Co Ltd 電子部品
JP2007246855A (ja) * 2006-03-20 2007-09-27 Fujitsu Ltd エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05335101A (ja) * 1992-06-01 1993-12-17 Murata Mfg Co Ltd 電子部品
JP2007246855A (ja) * 2006-03-20 2007-09-27 Fujitsu Ltd エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置の製造方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009179709A (ja) * 2008-01-30 2009-08-13 Panasonic Electric Works Co Ltd 樹脂組成物、樹脂成形品、塗装品
JP2011032353A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Nippon Carbide Ind Co Inc カチオン重合性組成物
WO2012020688A1 (ja) * 2010-08-12 2012-02-16 ダイセル化学工業株式会社 低透湿性樹脂組成物及びその硬化物
JPWO2012020688A1 (ja) * 2010-08-12 2013-10-28 株式会社ダイセル 低透湿性樹脂組成物及びその硬化物
JP5812993B2 (ja) * 2010-08-12 2015-11-17 株式会社ダイセル 低透湿性樹脂組成物及びその硬化物
US10113030B2 (en) 2013-07-26 2018-10-30 Toshiba Memory Corporation Resist material and pattern forming method using same
US10407542B2 (en) 2013-07-26 2019-09-10 Toshiba Memory Corporation Resist material and pattern forming method using same
KR20160022766A (ko) 2014-08-20 2016-03-02 후지필름 가부시키가이샤 감광성 수지 조성물, 경화막의 제조 방법, 경화막, 액정 표시 장치, 유기 일렉트로 루미네센스 표시 장치 및 터치 패널
CN114008163A (zh) * 2019-07-05 2022-02-01 三井化学株式会社 有机el显示元件用密封剂及有机el显示装置
JPWO2021085407A1 (ja) * 2019-10-29 2021-05-06
WO2021085407A1 (ja) * 2019-10-29 2021-05-06 三井化学株式会社 インクジェット塗布型配線保護用組成物、およびこれを用いた半導体装置の製造方法、ならびに半導体装置
WO2023153387A1 (ja) * 2022-02-08 2023-08-17 三井化学株式会社 重合性組成物、封止材、画像表示装置および画像表示装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4999393B2 (ja) 2012-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4999393B2 (ja) カチオン系感光性組成物およびその硬化物
EP1657268B1 (en) Photosensitive composition and cured product thereof
JP4753601B2 (ja) 感光性組成物
JP5356121B2 (ja) 感光性樹脂組成物、感光性インクジェットインク、感光性接着剤、感光性コーティング剤、及び半導体封止材
JP5234562B2 (ja) 感光性組成物
JP5356928B2 (ja) 感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性インクジェットインク、感光性接着剤、感光性コーティング剤、及び半導体封止材
JP4042067B2 (ja) 多官能オキセタニル基含有紫外線硬化性樹脂組成物
JP7085791B2 (ja) 感光性樹脂組成物及びその硬化物
JP4696659B2 (ja) 紫外線硬化性樹脂組成物
JPWO2019026460A1 (ja) ハードコート層形成用樹脂組成物
JP2006063261A (ja) 感光性組成物
JP4984111B2 (ja) 紫外線硬化性樹脂組成物
US20220389268A1 (en) Ink-jet application type composition for wiring-line protection, method for producing semiconductor device using same, and semiconductor device
JP2011231243A (ja) エポキシ樹脂組成物
JP2011001422A (ja) 感光性樹脂組成物、それを用いた感光性インクジェットインク、感光性接着剤、感光性コーティング剤、及び半導体封止材
JP2009108183A (ja) 硬化性組成物
JP2011037973A (ja) 感光性組成物及びその硬化物
EP2896670B1 (en) Photocurable adhesive composition
US20240168380A1 (en) Photosensitive Resin Composition And Cured Product Therefrom
JP2008024804A (ja) 新規な熱硬化性組成物およびその硬化物
JP2008024817A (ja) 潜在性熱硬化型組成物およびその硬化物
US20220186066A1 (en) Protection member for semiconductor, protection composition for inkjet coating-type semiconductor, and method for producing semiconductor apparatus using same, and semiconductor apparatus
JP2020160327A (ja) ネガ型感光性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110928

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120515

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120515

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4999393

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150525

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350