JP2008030668A - 車両のシートベルト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたか否かを判別することなく、簡単かつ確実な制御でクラッチ解除の際の騒音を低減し、装置の静粛性を向上する。
【解決手段】緊急状態解消時、フィードバック制御により通電駆動されるモータ2を巻き取り方向に瞬時通電駆動してシートベルトのロックを解除した後、モータ2の駆動制御部3に備えたクラッチ解除制御設定手段により、モータ2を巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱するクラッチ解除のフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に固定し、クラッチ解除時間を短縮する。
【選択図】図1
【解決手段】緊急状態解消時、フィードバック制御により通電駆動されるモータ2を巻き取り方向に瞬時通電駆動してシートベルトのロックを解除した後、モータ2の駆動制御部3に備えたクラッチ解除制御設定手段により、モータ2を巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱するクラッチ解除のフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に固定し、クラッチ解除時間を短縮する。
【選択図】図1
Description
この発明は、プリクラッシュシートベルト装置ともよばれる車両のシートベルト装置に関する。
従来、いわゆる衝突安全性の向上等を図るため、車両にプリクラッシュシートベルト装置とよばれるシートベルト装置を備え、緊急的なブレーキペダルの踏み込みが発生した場合や、プリクラッシュセンサにより探査した先行車等の自車前方の物標との衝突可能性があると判断した場合に、自動的にシートベルトを巻き取って自車の乗員を拘束し、衝突の被害軽減等を図ることが行なわれている。
このシートベルト装置は、概略、フィードバック制御(以下、FB制御という)によって正方向(シートベルトの巻き取り方向)、逆方向(シートベルトの引き出し方向)に切り替え自在に通電駆動される直流のモータと、シートベルトの巻き取り時に前記モータに連係してシートベルトの引き出しを禁止するクラッチ機構と、巻き取ったシートベルトを引き出されないようにロックするロック機構とを備える。
そして、衝突の可能性が高くなる緊急時は、FB制御により前記モータを正方向に回転し、クラッチ機構が介在することで引き出しを防止しつつシートベルトを巻き取り、さらに、巻き取ったシートベルトをロック機構により車両が減速しても引き出されないようにロックして乗員を保護する。
つぎに、ブレーキペダルの踏み込みが緩められたりして衝突が回避されたと判断したとき等の緊急状態解除時は、前記モータを瞬時巻き取り方向に回転してシートベルトを再巻き取りした後、クラッチ解除の制御により前記モータをFB制御で逆方向に回転して(逆転して)クラッチ機構をモータから係脱し、シートベルトを前記モータから切り離して引き出し自在の通常の(本来の)状態に戻すようになっている。
ところで、前記クラッチ解除の逆方向の通電駆動時間は設計時等に設定された固定時間であり、一般に、クラッチ機構の係脱に十分な時間である。
一方、前記FB制御は制御の目標値をモータの通電電流値としてモータの端子間電圧を増減調整する制御である。
そして、前記クラッチ解除の場合、クラッチが外れるまではクラッチ機構が係合しているのでモータは有負荷状態であるが、クラッチ機構が係脱すると、モータは無負荷状態に変化して通電電流が急に減少する。
そのため、FB制御はモータの端子間電圧を上げて通電電流を増加するように制御し、この結果、モータは端子間電圧が上昇して高速回転するようになる。なお、モータの端子間電圧=モータ電流(通電電流)×モータ電機子抵抗+誘起電圧係数×モータ回転数の関係がある。
この場合、モータの高速回転に伴ってモータから発生する騒音(差動音)が大きくなり、ドライバ等に不快感を与える。
そこで、前記クラッチ解除において、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れると、モータ電流(クラッチ解除電流)を小電流に制御して前記騒音を低減すること、及び、モータを停止して前記騒音を低減することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−28970号公報(要約書、特許請求の範囲、[0040]−[0042]、[0046]−[0047]、[0051]−[0052]、図1〜図4等)
前記特許文献1に記載のように、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたときに、モータ電流(クラッチ解除電流)を小電流に制御したとしても、クラッチ解除の残り時間はモータが無負荷状態で回転し続けるので騒音が発生し、ドライバ等の乗員に不快感を与える。
また、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたときに、モータを停止すればその後の騒音は防止できるが、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたか否かを、モータ電流の微分変化のしきい値以上か否かから判別する複雑な処理が必要であり、しかも、誤判別が生じるおそれもある。
したがって、従来のこの種の車両のシートベルト装置は、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたか否かを判別することなく、簡単かつ確実な制御でクラッチ解除の騒音を低減し、装置の静粛性を向上することができない問題がある。
つぎに、前記クラッチ解除に要する時間は雰囲気温度に依存したモータ内部のグリスの粘性等によっても変化するが、従来装置にはこの点を考慮してクラッチ解除時間を設定したものはない。
そして、低温時にクラッチ解除に要する時間が長くなることから、単に低温時を考慮して前記クラッチ解除の逆方向の通電駆動時間を設定すると、常温時等に設定時間が長くなり過ぎて前記クラッチ解除の騒音が発生し、装置の静粛性を向上することができない問題がある。
本発明は、第一には、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたか否かを判別することなく、簡単かつ確実な制御でクラッチ解除の騒音を低減し、装置の静粛性を向上することを目的とする。第二には、モータの雰囲気温度に依存したクラッチ解除に要する時間の増減変化を考慮し、低温時だけでなく常温時等にもクラッチ解除の騒音を低減してモータの雰囲気温に対する装置の静粛性を向上することを目的とする。第三には、簡単かつ確実な制御で、しかも、モータの雰囲気温度も考慮してクラッチ解除を行なうようにして、クラッチ解除の騒音を著しく低減して装置の静粛性を飛躍的に向上することを目的とする。
上記した第一の目的を達成するために、本発明の車両のシートベルト装置は、フィードバック制御により通電駆動されるモータを備え、緊急時は前記モータを巻き取り方向に通電駆動し、クラッチ機構を介してシートベルトを乗員拘束状態に巻き取ってロックし、緊急状態解消時は前記モータを巻き取り方向に瞬時通電駆動して前記ロックを解除した後、前記モータを巻き取り方向と逆方向に設定されたクラッチ解除時間だけ通電駆動して前記クラッチ機構を係脱し、前記シートベルトを引き出し自在にして巻き取り状態を解除する車両のシートベルト装置であって、前記モータの駆動制御部に、前記モータを巻き取り方向と逆方向に通電駆動して前記クラッチ機構を係脱するときのフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に固定し、前記クラッチ解除時間を短縮設定するようにしたクラッチ解除制御設定手段を備えたことを特徴としている(請求項1)。
上記した第二の目的を達成するために、本発明の車両のシートベルト装置は、フィードバック制御により通電駆動されるモータを備え、緊急時は前記モータを巻き取り方向に通電駆動し、クラッチ機構を介してシートベルトを乗員拘束状態に巻き取ってロックし、緊急状態解消時は前記モータを巻き取り方向に瞬時通電駆動して前記ロックを解除した後、前記モータを巻き取り方向と逆方向にクラッチ解除時間だけ通電駆動して前記クラッチ機構を係脱し、前記シートベルトを引き出し自在にして巻き取り状態を解除する車両のシートベルト装置であって、前記モータの雰囲気温度を監視する温度センサを備え、かつ、前記モータの駆動制御部に、前記クラッチ解除時間を前記温度センサの検出温度に比例して短縮設定するクラッチ解除制御設定手段を備えたことを特徴としている(請求項2)。
上記した第三の目的を達成するために、本発明の車両のシートベルト装置は、フィードバック制御により通電駆動されるモータを備え、緊急時は前記モータを巻き取り方向に通電駆動し、クラッチ機構を介してシートベルトを乗員拘束状態に巻き取ってロックし、緊急状態解消時は前記モータを巻き取り方向に瞬時通電駆動して前記ロックを解除した後、前記モータを巻き取り方向と逆方向に設定されたクラッチ解除時間だけ通電駆動して前記クラッチ機構を係脱し、前記シートベルトを引き出し自在にして巻き取り状態を解除する車両のシートベルト装置であって、前記モータの雰囲気温度を監視する温度センサを備え、かつ、前記モータの駆動制御部に、前記クラッチ解除時間の前記フィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に固定して前記クラッチ解除時間を短縮設定する主設定機能と、前記主設定機能が設定した前記クラッチ解除時間を前記温度センサの検出温度に比例して短縮補正する補助設定機能とを有するクラッチ解除制御設定手段を備えたことを特徴としている(請求項3)。
請求項1の発明によれば、駆動制御部のクラッチ解除制御設定手段が、クラッチ解除のフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に設定するため、モータを巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱する際のクラッチ解除時間を極めて短い時間に設定して極めて短時間にクラッチ解除を終了することができる。
そして、クラッチ解除時間が著しく短くなるため、前記騒音の発生時間を極めて短くすることができる。
そして、設定されたクラッチ解除時間だけモータを許容される最大電流で通電駆動してクラッチ機構を係脱してクラッチ解除を行なう構成であるため、クラッチ解除時間を短くすることができ、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたか否かを判別することなく、簡単かつ確実な制御でクラッチ解除の騒音を大幅に低減し、装置の静粛性を向上することができる。
請求項2の発明によれば、温度センサにより監視しているモータの雰囲気温度に基づき、駆動制御部のクラッチ解除制御設定手段により、モータの雰囲気温度に比例してクラッチ解除時間を自動的に短くすることができる。
そのため、モータの雰囲気温度を考慮してクラッチ解除時間を騒音の発生が少ない適切な時簡に自動調整し、その時間だけモータを巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱することができ、モータの雰囲気温度に関わらずクラッチ解除の騒音を低減して装置の静粛性を向上することができる。
請求項3の発明によれば、駆動制御部のクラッチ解除制御設定手段の主設定機能がクラッチ解除のフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に設定し、さらに、前記クラッチ解除制御設定手段の補助設定機能がそのクラッチ解除時間を温度センサの検出温度に比例して短縮補正する。
そして、クラッチ解除のフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に設定することにより、モータを巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱する際のクラッチ解除時間を短い時間に設定することができるだけでなく、クラッチ解除時間を雰囲気温度に比例してさらに短縮補正するため、モータの雰囲気温度を考慮して極めて短時間にクラッチ解除を終了し、クラッチ解除の際の騒音を極力少なくすることができる。
したがって、クラッチ解除の際の騒音を著しく低減して装置の静粛性を飛躍的に向上することができる。
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、その実施形態について、図1〜図8にしたがって詳述する。
(第1の実施形態)
まず、請求項1の発明に対応する第1の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
まず、請求項1の発明に対応する第1の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は車両のシートベルト装置1aの回路ブロック図、図2は図1のFB制御の説明図、図3は緊急時のシートベルトの巻き取りロックから緊急状態解消によるクラッチ解除までのモータ電流指令値の変化の説明図、図4はクラッチ解除のモータ電流指令値及びモータ電流の波形図である。
そして、プリクラッシュシートベルト装置ともよばれる図1のシートベルト装置1aは座席のシートベルト毎に設けられ、同図において、2はシートベルト装置1aのモータであり、ブラシ付またはブラシレスの直流モータからなり、シートベルト巻き取り機構(図示せず)に組み込まれている。前記シートベルト巻き取り機構は、前記特許文献1にも記載されているように、概略、シートベルトの巻き取り時にモータ2につながってシートベルトの引き出しを禁止するクラッチ機構と、巻き取ったシートベルトを引き出されないようにロックするロック機構とを備える。
図1の3はモータ2の駆動制御部(駆動制御ECU)であり、CPU構成の制御ユニット4aと、この制御ユニット4aにより動作制御される駆動ユニット5を有し、この駆動ユニット5は例えば電力用FETのブリッジインバータとそのインバータ出力を平滑するリアクトルからなり、制御ユニット4aのFB制御(動作制御)により、後述の電流指令値に応じた極性、大きさの直流のモータ電流をモータ2に給電する。6はシートベルトスイッチであり、例えば、車両に搭載されたプリクラッシュセンサ(図示せず)の前方探査に基づき衝突被害軽減の判別部(図示せず)が自車前方の物標との衝突可能性があると判断したときに、その出力によってオンする。
そして、制御ユニット4aは緊急時にシートベルトスイッチ6がオンすることでシートベルトの巻き取りが指令され、この指令に基づいてROM、EEPROM等の不揮発性のメモリ7aに保持されたシートベルト巻取りのプログラムを実行し、メモリ7aに巻き取り制御情報として設定された巻き取りの指令電流値(制御目標値)の信号、すなわち、図3に示す正レベルの巻き取り指令電流値Iaの信号Saを設定された巻き取りの時間Ta発生する。
また、図示省略した電圧センサ、電流センサによりモータ2の端子間電圧、モータ電流が常時監視されて検出され、これらの検出結果が制御ユニット4aにフィードバック入力される。なお、モータ2の端子間電圧=モータ電流(通電電流)×モータ電機子抵抗+誘起電圧係数×モータ回転数の関係があり、モータ2のモータ電流Ixはその端子間電圧に比例して増減変する。
そして、前記端子間電圧又はモータ電流Ixの検出結果が帰還入力される制御ユニット4a及び駆動ユニット5は図2に示すようにモータ2に給電するモータ電流のFB制御のループを構成し、同図の制御ユニット4aの指令器41aが前記の巻き取り指令電流値Iaの信号Saを巻き取りの時間Taに連続出力し、その後段の減算器41bが巻き取り指令電流値Iaと実際のモータ電流値Ixとの誤差を演算する。
さらに、この誤差の信号Δiが制御ユニット4aのPID制御器41cを介して駆動ユニット5に制御出力として供給され、駆動ユニット5が前記誤差に比例してモータ電流Ixを増減する。
このFB制御によってモータ電流Ixは巻き取り指令電流値Iaに制御され、この巻き取り指令電流値Iaの略定格の正極のモータ電流Ixの通流により、モータ2がシートベルトの巻き取り方向に高速回転し、クラッチ機構のラチェット動作により引き出しを防止してシートベルトを迅速に巻き取って乗員を保護し、さらに、巻き取ったシートベルトをロック機構により車両が衝突等しても引き出されないようにロックして保護を確実にする。
つぎに、例えば前記衝突被害軽減の判別部がブレーキペダルの踏み込みが緩められたりすることから衝突が回避されたと判断し、スイッチ6をオフして緊急状態解消時になると、スイッチ6のオフによって制御ユニット4aにシートベルトの巻き取り解除が指令され、この指令に基づいてメモリ7aに保持されたシートベルト巻取り解除のプログラムを実行しする。
このとき、メモリ7aに再巻き取り制御情報として設定された再巻き取りの指令電流値(制御目標値)の信号Sb、例えば図3に示す巻き取り指令電流値Iaと同じ極性、大きさの信号Sbが設定された再巻き取りの瞬時Tb発生し、信号Saが発生したときと同様の略定格の正極のモータ電流Ixの通流により、モータ2がシートベルトの巻き取り方向に少し回転する。
この瞬時の再巻き取りが終了すると、制御ユニット4aにソフトウエア処理によって備えられたクラッチ解除制御設定手段が動作する。このクラッチ解除制御設定手段は、モータ2を巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱し、そのときのFB制御の指令電流値を許容される最大値に固定して設定されたクラッチ解除時間Tcを従来より短縮する。
すなわち、前記クラッチ解除制御設定手段は、メモリ7aにクラッチ解除の制御情報として設定されたクラッチ解除の指令電流値(制御目標値)の信号Scを、信号Sbに続けて発生する。
このとき、信号Scは図3に示すようにクラッチ解除の負の指令電流値Ibの信号であり、設定されたクラッチ解除設定時間Tcに連続的に出力される。
そして、クラッチ解除の負の指令電流値Ibはクラッチのギア部等の機構やモ−タ2の仕様を満たすように設定された許容される最大値に設定され、前記のFB制御によりモータ電流Ixは指令電流値Ibに等しくなる。
この指令電流値Ibの大きなモータ電流Ixの通流によりモータ2がシートベルトの巻き取り方向と逆方向に回転し、この回転でクラッチ機構の爪をラチェットから外し、ラチェット動作を解除してシートベルトを引き出し自在の通常の(本来の)状態に戻す。
ところで、前記クラッチ解除設定時間Tcは、クラッチ解除を確実に行なうため、詳細には図4に示すように、実際にクラッチ解除に要する実時間T1と余裕代時間T2とからなる。
そして、クラッチ機構がモータ2から係脱するまではモータ2は有負荷状態であり、FB制御によってモータ電流Ixは指令電流値Ibに制御されるが、クラッチ機構が係脱すると、モータ2は無負荷状態になり、このとき、図4の破線ixに示すようにモータ電流(実電流)Ixは減少変化して図中の無負荷の電流I0以下になる。
このモータ電流Ixの減少変化に対するFB制御により、前記余裕代時間T2には、前記したモータ端子問電圧=モータ電流×モータ電機子抵抗+誘起電圧係数×モータ回転数の関係に基づき、モータ2の端子間電圧が上昇してモータ2が高速回転し、これが騒音の発生原因となる。
したがって、クラッチ解除の実際の終了からクラッチ解除設定時間Tcが終了するまでの略前記余裕代時間T2が長ければ長い程、騒音は大きくなって乗員に不快感を与える。
そこで、この実施形態においては、クラッチ解除制御設定手段の設定に基づいてクラッチ解除時間Tcにモータ電流Ixを許容される最大値にFB制御することで、クラッチ解除の実時間T1を極力短くし、それに伴って裕代時間T2も極力短くし、クラッチ解除時間Tcを短縮設定する。なお、実時間T1は例えば数十ミリ秒であり、裕代時間T2はその数倍の時間である。
この場合、クラッチ解除時間Tcが極めて短い時間に設定されて極めて短時間にクラッチ解除を終了することができ、その結果、前記余裕代時間T2が著しく短くなってクラッチ解除に伴う騒音の発生時間が極めて短くなる。
そして、設定されたクラッチ解除時間Tc、モータ2を許容される最大電流にFB制御してクラッチ機構を係脱し、短い時間でクラッチ解除を行なう構成であるため、クラッチ機構が係脱してクラッチが外れたか否かを判別することなく、クラッチ解除時間Tcの設定を短くし、簡単かつ確実な制御でクラッチ解除の騒音を大幅に低減して装置の静粛性を向上することができる。
(第2の実施形態)
つぎに、請求項2の発明に対応する第2の実施形態について、図5、図6を参照して説明する。
つぎに、請求項2の発明に対応する第2の実施形態について、図5、図6を参照して説明する。
図5は車両のシートベルト装置1bの回路ブロック図、図6は図5のクラッチ解除設定時間Tcの温度補正の説明図である。
図5のシートベルト装置1bにおいて、図1のシートベルト装置1aと同一符号は同一若しくは相当するものを示し、異なる点は、駆動制御部3に、モータ2の雰囲気温度としてこの装置1bが設けられた車室内の温度を監視する温度センサ8を設け、図1の制御ユニット4aに代えて、つぎに説明するクラッチ解除制御設定手段を備えた制御ユニット4bを設け、さらに、図1のメモリ7aに代えて図6のクラッチ解除時間Tc(θ)の温度θの補正データを保持した不揮発性のメモリ7bを設けた点である。
そして、この実施形態のクラッチ解除制御設定手段はクラッチ解除時間Tc(θ)を温度センサ8の検出温度に比例して短縮する。
すなわち、この実施形態においては、クラッチ解除に要する時間(上述の実時間T1)が雰囲気温度に依存したモータ2の内部のグリスの粘性等によって変化することに着目し、クラッチ解除のときに、クラッチ解除制御設定手段によって、クラッチ解除時間Tc(θ)を、車室内の温度から検出されたモータ2の雰囲気温度の図6に示す設定した上限温度θ1と下限温度θ2との間で、雰囲気温度に比例して高温側の最短時間Tc(θ1)〜低温側の最長時間Tc(θ2)に短縮する。
具体的には、例えばクラッチ解除時間Tc(θ)を最長時間Tc(θ2)に初期設定し、メモリ7bの補正データに基づき、クラッチ解除を行なうときの温度センサ8の検出温度に応じて、メモリ7bの補正データに基づき、クラッチ解除時間Tc(θ)をその温度θの最適な時間に短縮する。
ところで、上限温度θ1、下限温度θ2や最短時間Tc(θ1)、最長時間Tc(θ2)、その変化特性は、実験等によって騒音が低減されるようにあらかじめ設定される。
したがって、この実施形態の場合は、モータを巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱する際のクラッチ解除時間Tc(θ)を雰囲気温度に比例して短縮することで、雰囲気温度に関わらず短時間にクラッチ解除を終了してクラッチ解除の騒音を低減することができる。
換言すれば、モータ2の雰囲気温度を考慮してクラッチ解除時間Tc(θ)を騒音の発生が少ない適切な時簡に自動調整し、その時間Tc(θ)だけモータを巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱することができ、モータ2の雰囲気温度に関わらずクラッチ解除の騒音を低減して装置1bの静粛性を向上することができる。
なお、メモリ7bにはメモリ7aのシートベルト巻取りのプログラムと同様のシートベルト巻取りのプログラムが保持され、シートベルトスイッチ6のオン、オフにしたがってそのプロクラムを実行することで、制御ユニット4bも、前記第1の実施形態の制御ユニット4aのように緊急時はシートベルトを巻き取ってロックし、緊急状態解除時はシートべルトを再巻取りしてクラッチ解除時間Tc(θ)のクラッチ解除を行なう。
このとき、シートベルトの巻き取りや再巻取り、クラッチ解除のモータ電流は制御ユニット4bによってFB制御されるが、それらのモータ電流値はどのようであってよく、従来装置と同じ電流値であってもよい。
(第3の実施形態)
つぎに、請求項3の発明に対応する第3の実施形態について、図7、図8を参照して説明する。
つぎに、請求項3の発明に対応する第3の実施形態について、図7、図8を参照して説明する。
図7は車両のシートベルト装置1cの回路ブロック図、図8は図1のFB制御の説明図である。
図7のシートベルト装置1cにおいて、図1、図5のシートベルト装置1a、1bと同一符号は同一若しくは相当するものを示し、異なる点は、駆動制御部3に、モータ2の雰囲気温度としてこの装置1bが設けられた車室内の温度を監視する温度センサ8を設け、図1の制御ユニット4a、図5の制御ユニット4bに代えて、つぎに説明するクラッチ解除制御設定手段を備えた制御ユニット4cを設け、さらに、図1のメモリ7a、図5のメモリ7bに代えて、両メモリ7a、7bのデータを保持した不揮発性のメモリ7bを設けた点である。
そして、この実施形態のクラッチ解除制御設定手段は、クラッチ解除時間Tcのフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値Ibに固定してクラッチ解除時間Tcを短縮設定する第1の実施形態のクラッチ解除制御設定手段の内容の主設定機能と、この主設定機能が設定したクラッチ解除時間Tcを周囲温度に依存したクラッチ解除時間Tc(θ)とし、クラッチ解除時間Tc(θ)を温度センサ8の検出温度θに比例して短縮補正する第2の実施形態のクラッチ解除制御設定手段の内容の補助設定機能とを有する。
この場合、スイッチ6をオフして緊急状態解消時になると、図3の再巻き取りの瞬時Tbに第1の実施形態と同様にしてシートベルトの再巻き取りを行なった後、クラッチ解除の制御に移行すると、主設定機能により、メモリ7cにクラッチ解除の制御情報として設定されたクラッチ解除の指令電流値(制御目標値)の信号Scを、信号Sbに続けて発生する。
さらに、信号Scに基づくクラッチ解除時間Tcをクラッチ解除時間Tc(θ)とし、補助設定機能により、第2の実施形態と同様に、そのクラッチ解除時間Tc(θ)を車室内の温度から検出されたモータ2の雰囲気温度に応じて、例えば図6の特性で高温側の最短時間Tc(θ1)〜低温側の最長時間Tc(θ2)に可変する。
具体的には、制御ユニット4c及び駆動ユニット5により、図2のFB制御のループに相当する図8のモータ電流IxのFB制御のループを構成し、主設定機能が形成する指令器42aにより、第1の実施形態と同様に信号Sa、Sb、Scを発生する。
さらに、信号Scにつき、補助設定機能が形成する補正器42bにより温度センサ8の検出温度に応じた時間短縮の1より小さい補正係数データを発生し、この補正係数データによって信号Scのクラッチ解除時間Tcをモータ2の雰囲気温度に比例して最適なクラッチ解除時間Tc(θ)に短縮補正し、信号Sc*に変換する。
そして、信号Sc*を図2の加算器41bに相当するFB制御の加算器42cに送り、その出力を図2の制御器41cに相当する制御器42dを介して駆動ユニット5に供給し、前記最適なクラッチ解除時間Tc(θ)、モータ2を許容される最大値のモータ電流Ixで逆方向に駆動してクラッチ解除を行なう。
したがって、この実施形態の場合は、前記第1、第2の実施形態の構成を組合わせた構成により、モータ2を巻き取り方向と逆方向に通電駆動してクラッチ機構を係脱する際に、モータ電流Ixを許容される最大値の電流にしてクラッチ解除時間Tc(θ)を短縮して極めて短時間にクラッチ解除を終了することができるだけでなく、モータ2の雰囲気温度を考慮してそのクラッチ解除時間を雰囲気温度に応じてさらに短縮補正することにより、モータ2の雰囲気温度に応じた一層短い時間でクラッチ解除の騒音を極力少なくすることができる。
そのため、モータの雰囲気温度に関わらず、クラッチ解除の際の騒音を著しく低減して装置の静粛性を飛躍的に向上することができる。
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、温度センサ8は、駆動制御部3のECU内に設けたものでなくてもよく、車内の他の制御のECU等に設けられて車両の外気温或いは内気温を測定する温度センサであってもよい。また、制御ユニット4a〜4c等の構成、処理手順等は、どのようであってもよい。
そして、本発明は、種々の車両のこの種のシートベルト装置に適用することができる。
1a〜1c シートベルト装置
2 モータ
3 駆動制御部
4a〜4c 制御ユニット
5 駆動ユニット
7a〜7c メモリ
8 温度センサ
2 モータ
3 駆動制御部
4a〜4c 制御ユニット
5 駆動ユニット
7a〜7c メモリ
8 温度センサ
Claims (3)
- フィードバック制御により通電駆動されるモータを備え、緊急時は前記モータを巻き取り方向に通電駆動し、クラッチ機構を介してシートベルトを乗員拘束状態に巻き取ってロックし、緊急状態解消時は前記モータを巻き取り方向に瞬時通電駆動して前記ロックを解除した後、前記モータを巻き取り方向と逆方向に設定されたクラッチ解除時間だけ通電駆動して前記クラッチ機構を係脱し、前記シートベルトを引き出し自在にして巻き取り状態を解除する車両のシートベルト装置であって、
前記モータの駆動制御部に、前記モータを巻き取り方向と逆方向に通電駆動して前記クラッチ機構を係脱するときのフィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に固定し、前記クラッチ解除時間を短縮設定するようにしたクラッチ解除制御設定手段を備えたことを特徴とする車両のシートベルト装置。 - フィードバック制御により通電駆動されるモータを備え、緊急時は前記モータを巻き取り方向に通電駆動し、クラッチ機構を介してシートベルトを乗員拘束状態に巻き取ってロックし、緊急状態解消時は前記モータを巻き取り方向に瞬時通電駆動して前記ロックを解除した後、前記モータを巻き取り方向と逆方向にクラッチ解除時間だけ通電駆動して前記クラッチ機構を係脱し、前記シートベルトを引き出し自在にして巻き取り状態を解除する車両のシートベルト装置であって、
前記モータの雰囲気温度を監視する温度センサを備え、かつ、前記モータの駆動制御部に、前記クラッチ解除時間を前記温度センサの検出温度に比例して短縮設定するクラッチ解除制御設定手段を備えたことを特徴とする車両のシートベルト装置。 - フィードバック制御により通電駆動されるモータを備え、緊急時は前記モータを巻き取り方向に通電駆動し、クラッチ機構を介してシートベルトを乗員拘束状態に巻き取ってロックし、緊急状態解消時は前記モータを巻き取り方向に瞬時通電駆動して前記ロックを解除した後、前記モータを巻き取り方向と逆方向に設定されたクラッチ解除時間だけ通電駆動して前記クラッチ機構を係脱し、前記シートベルトを引き出し自在にして巻き取り状態を解除する車両のシートベルト装置であって、
前記モータの雰囲気温度を監視する温度センサを備え、
かつ、前記モータの駆動制御部に、
前記クラッチ解除時間の前記フィードバック制御の指令電流値を許容される最大値に固定して前記クラッチ解除時間を短縮設定する主設定機能と、前記主設定機能が設定した前記クラッチ解除時間を前記温度センサの検出温度に比例して短縮補正する補助設定機能とを有するクラッチ解除制御設定手段を備えたことを特徴とする車両のシートベルト装置。
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