JP2008029329A - 酵母及びl−乳酸の製造方法 - Google Patents

酵母及びl−乳酸の製造方法 Download PDF

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【課題】従来のウシ由来L−ldh遺伝子が導入された酵母よりも高い対糖収率でL−乳酸を製造可能なL−ldh遺伝子が導入された酵母を提供する。更には、該酵母を培養することを含むL−乳酸の製造方法を提供する。
【解決手段】カエル由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することにより、従来より高い対糖収率でL−乳酸の製造ができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、L−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母及び該酵母を培養することを含むL−乳酸の製造方法に関するものである。
最近、資源循環型社会の構築に向け、植物を原料としたポリマーに注目が集まっている。その中でも、ポリ乳酸(以下、PLAと略すことがある。)が、植物原料のポリマーとして優れた性質を有することが明らかになってきている。
PLAの原料である乳酸は、従来ラクトバチラス(Lactobacillus)属やラクトコッカス(Lactococcus)属に代表される、いわゆる乳酸菌と総称される微生物を培養することにより製造されている。これらの乳酸菌は、糖からの乳酸の収率には優れているものの酸に対する耐性が低いことから、酸性物質である乳酸を多量に蓄積させるためには、炭酸カルシウムや水酸化アンモニウム、あるいは水酸化ナトリウムなどのアルカリで中和をしながら、培養を行わなければならない。
しかしながら、この手段ではアルカリによる中和操作により、乳酸ナトリウムや乳酸カルシウムなどの乳酸塩が生じるため、その後の精製工程において乳酸塩を乳酸に戻す操作が必要になり、その処理にコストがかかっている。
そこで中和コスト低減を目的として、酸に耐性のある酵母に乳酸を生産させる試みが報告されている(特許文献1〜5、非特許文献1〜3)。酵母は本来乳酸生産能を持たないことから、酵母による乳酸生産を可能にするためには、ピルビン酸をL−乳酸に変換する酵素であるL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子(以下、L−ldh遺伝子と略すことがある。)を遺伝子組み換え技術を用い酵母に導入しなければならない。
酵母に導入するL−ldh遺伝子としては、従来よりウシ由来のL−ldh遺伝子が検討されており(特許文献3、特許文献5及び非特許文献1〜3)、乳酸菌由来のL−ldh遺伝子よりも適していることが報告されている(非特許文献3)。
特開2001−204464号公報 特開2001−204468号公報 特表2001−516584号公報 特開2003−93060号公報 特開2003−259878号公報 ダニロ・ポロ(Danilo Porro)ら:「バイオテクノロジー プログレス(Biotechnol.Prog)」, 11 : p294-298 (1995) ダニロ・ポロ(Danilo Porro)ら:「アプライド アンド エンバイオロンメンタル マイクロバイオロジー(Applied and Environmental Microbiology)」, 65(9) : p4211-4215(1999) サトシ・サイトウ(Satoshi Saitoh)ら:「アプライド アンド エンバイオロンメンタル マイクロバイオロジー(Applied and Environmental Microbiology )」,71(5) : p2789-2792 (2005)
従来のウシ由来L−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することによるL−乳酸の製造においては、例えばグルコースなどの原料糖からL−乳酸への変換効率、例えば対糖収率は、乳酸菌を培養して得られるL−乳酸の対糖収率よりも低く、低コストでL−乳酸を製造可能にするためには対糖収率を上昇させる必要があった。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母を培養することにより、従来のウシ由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母を培養することよりも高い対糖収率でL−乳酸を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母を提供するものである。カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母は、好ましくはゼノプス・レービス(Xenopus laevis)由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母であり、より好ましくは、配列番号1に示す核酸配列を有する遺伝子が導入された酵母である。
本発明の別の好ましい態様によれば、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母は、サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母であり、さらに好ましくはサッカロミセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)である。
本発明の別の好ましい態様によれば、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が染色体上のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子(PDC1遺伝子)のプロモーターの下流に発現可能な状態で導入された酵母である。
また、本発明は、上記カエル由来のL−乳酸脱水素酵素が導入された酵母を培養することを含む、L−乳酸の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母を培養することにより、従来のウシ由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母を培養することよりも高い対糖収率でL−乳酸を製造することができる。
本発明のカエル由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を既知の方法により改良し、該酵母を培養することにより更に高い対糖収率でL−乳酸を製造することが可能である。
本発明は、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子(L−ldh遺伝子)が導入された酵母である。
本発明において、L−ldh遺伝子とは、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とピルビン酸をL−乳酸と酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)に変換する活性を持つL−乳酸脱水素酵素をコードしている遺伝子である。
本発明で使用するL−ldh遺伝子としては、カエル由来であれば特に限定されるわけではないが、アオガエル科(Rhacophoridae)、アカガエル科(Ranidae)、アマガエル科(Hylidae)、ジムグリガエル科(Microhylidae)、ヒキガエル科(Bufonidae)、クサガエル科(Hyperoliidae)、スキアシガエル科(Pelobatinae)、スズガエル科(Discoglossidae)、コモリガエル科(Pipidae)に属するカエル由来のL−ldh遺伝子が挙げられる。これらの中でもコモリガエル科(Pipidae)に属するカエル由来のL−ldh遺伝子を用いることが好ましく、コモリガエル科に属するカエルの中でも、入手が容易であるゼノプス・レービス由来のL−ldh遺伝子であることが好ましい。
具体的には、本発明で使用するカエル由来のL−ldh遺伝子は、好ましくは、配列番号1に示す核酸配列を有するL−ldh遺伝子である。
本発明で使用するカエル由来のL−ldh遺伝子には、遺伝的多型性や、変異誘発などによる変異型の遺伝子も含まれる。ここでいう遺伝的多型性とは、遺伝子上の自然突然変異により遺伝子の塩基配列が一部変化しているものである。また、変異誘発とは、人工的に遺伝子に変異を導入することをいい、例えば、部位特異的変異導入用キット(Mutan-K(タカラバイオ社製))を用いる方法や、ランダム変異導入用キット(BD Diversify PCR Random Mutagenesis(CLONTECH社製))を用いる方法などがある。
本発明で使用する酵母は、カエル由来のL−ldh遺伝子を導入しうる酵母であれば制限はないが、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、クリベロミセス(Kluyveromyces)属又はカンジダ(Candida)属に属する酵母が挙げられる。好ましくは、サッカロミセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)であって、具体的には、NBRC10505株、NBRC10506株が好ましい。
本発明のカエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を酵母に導入する方法としては、例えば、カエル由来のL−ldh遺伝子をクローニングし、クローニングした該遺伝子を組み込んだ発現ベクターを酵母に形質転換する方法、クローニングした該遺伝子を染色体上の目的箇所に相同組換えで挿入する方法等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
本発明で使用するカエル由来のL−ldh遺伝子をクローニングする方法としては特に制限はなく、既知の手法を用いることができる。例えば、既知の遺伝子情報に基づき、PCR(Polymerase Chain Reaction)法を用いて必要な遺伝領域を増幅取得する方法や、ゲノムライブラリーやcDNAライブラリーより相同性や酵素活性を指標としてクローニングする方法などが挙げられる。また、既知のタンパク質情報に基づき化学合成的又は遺伝子工学的に合成する方法も可能である。
クローニングしたカエル由来のL−ldh遺伝子を組み込む発現ベクターとしては、酵母で汎用的に利用される発現ベクターを用いることができる。酵母で汎用的に利用される発現ベクターとは、酵母細胞内での自立的複製に必要な配列、大腸菌細胞内での自立的複製に必要な配列、酵母選択マーカー及び大腸菌選択マーカーを有しており、また、組み込んだカエル由来のL−ldh遺伝子を発現させるために、その発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミネーター又はエンハンサー等のいわゆる調節配列をも有していることが望ましい。
ここで、酵母細胞内での自立的複製に必要な配列とは、例えば、酵母の自立複製開始点(ARS1)とセントロメア配列の対もしくは酵母の2μmプラスミドの複製開始点であり、大腸菌内での自立的複製に必要な配列とは、例えば、大腸菌のColE1複製開始点である。また、酵母選択マーカーとしては、URA3又はTRP1等の栄養要求性相補的遺伝子もしくはG418耐性遺伝子又はネオマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられ、大腸菌の選択マーカーとしては、アンピシリン耐性遺伝子又はカナマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
調節配列としては、カエル由来のL−ldh遺伝子を発現可能なものであれば特に制限はないが、一例として酸性フォスファターゼ遺伝子(PHO5)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH1,2,3)、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH1,2,3,4,5,6,7)遺伝子、ガラクトース代謝系遺伝子(GAL1,7,10)、シトクロムc遺伝子(CYC1)、トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(TPI1)、ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK1)、ホスホフルクトースキナーゼ遺伝子(PFK1)、ピルビンデカルボキシラーゼ遺伝子(PDC1,5,6)などのプロモーター配列及びTDH3遺伝子などのターミネーター配列が挙げられる。
上記発現ベクターのプロモーター下流にカエル由来のL−ldh遺伝子を導入することにより、該遺伝子を発現可能なベクターが得られる。得られたカエル由来のL−ldh遺伝子発現ベクターを、後述する方法により酵母に形質転換することにより、カエル由来のL−ldh遺伝子を酵母に導入することができる。
また、カエル由来のL−ldh遺伝子を染色体上に挿入することで、カエル由来のL−ldh遺伝子を酵母に導入することができる。カエル由来のL−ldh遺伝子を染色体中に挿入する方法に特に制限はないが、カエル由来のL−ldh遺伝子を含むDNAを後述する方法により酵母に形質転換し、カエル由来のL−ldh遺伝子を非相同組み換えによって染色体中のランダムな位置に挿入する方法や、カエル由来のL−ldh遺伝子を含むDNAを相同組み換えにより目的とする箇所に挿入する方法などを用いることができる。好ましくは、相同組み換えによる方法である。
カエル由来のL−ldh遺伝子を含むDNAを染色体中の目的箇所に、好ましくはPDC1遺伝子のプロモーターの下流に相同組み換えで挿入する方法としては、カエル由来のL−ldh遺伝子を含むDNAの上流及び下流に、導入目的箇所に相同的な部分を付加するようにデザインしたプライマーを用いてPCRを行い、得られたPCR断片を後述する方法により酵母に形質転換する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、形質転換株の選択を容易にするために、上記PCR断片には酵母選択マーカーが含まれることが好ましい。
ここで用いるPCR断片の調製は、例えば、下記(1)〜(3)のステップ1〜3の工程により行うことができる。その概略を図1に示す。
(1)ステップ1:カエル由来のL−ldh遺伝子の下流にターミネーターがつながったプラスミドを鋳型とし、プライマー1,2をセットとしてカエル由来のL−ldh遺伝子及びターミネーターを含む断片をPCRで増幅する。プライマー1は、導入目的箇所の上流側に相同的な配列40bp以上を付加するようデザインし、プライマー2は、ターミネーターより下流のプラスミド由来の配列をもとにデザインする。好ましくは、プライマー1に付加する導入目的箇所の上流側に相当する配列は、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子(PDC1遺伝子)の上流に相当する配列である。
(2)ステップ2:酵母選択マーカーを持つプラスミド、例えばpRS424、pRS426等を鋳型として、プライマー3,4をセットとして酵母選択マーカーを含む断片をPCRで増幅する。プライマー3は、ステップ1のPCR断片のターミネーターより下流の配列と相同性のある配列が30bp以上を付加するようにデザインし、プライマー4には、導入目的箇所の下流側に相当する配列40bp以上を付加するようデザインする。好ましくは、プライマー4に付加する導入目的箇所の下流側に相当する配列は、PDC1遺伝子の下流に相当する配列である。
(3)ステップ3:ステップ1,2で得られたPCR断片を混合したものを鋳型とし、プライマー1,4をセットとしてPCRを行うことにより、両末端に導入目的箇所の上流側及び下流側に相当する配列が付加された、カエル由来L−ldh遺伝子、ターミネーター及び酵母選択マーカーを含むPCR断片が得られる。好ましくは、前記PCR断片は、両末端にPDC1遺伝子の上流及び下流に相当する配列が付加された、カエル由来のL−ldh遺伝子、ターミネーター及びマーカー遺伝子を含むPCR断片である。
上記で得られたカエル由来のL−ldh遺伝子発現ベクターまたはPCR断片を酵母に導入するには、形質転換、形質導入、トランスフェクション、コトランスフェクションまたはエレクトロポレーション等の方法を用いることができる。具体的には、例えば、酢酸リチウムを用いる方法やプロトプラスト法等がある。
得られた形質転換株の培養方法としては、例えば、「M.D. Rose et al.,"Methods In Yeast Genetics", Cold Spring Harbor Laboratory Press (1990)」等に記載されている既知の方法を用いることができる。カエル由来のL−ldh遺伝子発現ベクター又はPCR断片が導入された酵母は、発現ベクター又はPCR断片が有する酵母選択マーカーによって、栄養非添加培地又は薬剤添加培地で培養することにより選択することができる。
本発明のカエル由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することにより、培地中にL−乳酸を製造することができる。
本発明のL−乳酸の製造方法で使用する乳酸生産培地は、酵母が資化し得る炭素源、窒素源および無機塩類等を含有し、酵母の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地および合成培地のいずれを用いても良い。
培地に含有される炭素源は、シュクロース、フラクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース等の糖類、これら糖類を含有するデンプン、及び、デンプン加水分解物、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、ハイテストモラセス、ケーンジュース、ケーンジュース抽出物または濃縮液、ケーンジュースからの精製または結晶化された原料糖、ケーンジュースからの精製または結晶化された精製糖、更には酢酸等の有機酸、エタノールなどのアルコール類、グリセリン等の糖の原料、またはこれらから選ばれる少なくとも1種類を含むものが好ましい。
前記の炭素源は、培養開始時に一括して添加してもよいし、培養中分割してあるいは連続的に添加することもできる。
本発明のL−乳酸の製造方法において、炭素源の濃度は、好ましくは、1L培養液に10g以上1000g以下であり、より好ましくは、1L培養液に50g以上300g以下であり、特に好ましくは、1L培養液に50g以上200g以下である。炭素源の濃度が、1L培養液に10g以上1000g以下であると、乳酸合成能力を有する酵母が正常に生育し、酵母の乳酸生産が効率的であるので、好ましい。
本発明のL−乳酸の製造方法では、使用する乳酸生産培地が、シュクロース、フラクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトースから選ばれる少なくとも1種類を含む乳酸生産培地であることが、より好ましい。また、乳酸の製造方法で使用する乳酸生産培地が、デンプン、及び、デンプン加水分解物、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、ハイテストモラセス、ケーンジュース、ケーンジュース抽出物または濃縮液、ケーンジュースからの精製または結晶化された原料糖、ケーンジュースからの精製または結晶化された精製糖、酢酸等の有機酸、エタノールなどのアルコール類、グリセリンから選ばれる少なくとも1種類を含む乳酸生産培地であることが、より好ましい。本発明では、これら発酵原料を必要に応じて希釈して用いることができる。
また、発酵原料に含有される窒素源は、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩類、尿素、硝酸塩類、その他補助的に使用される有機窒素源、例えば油粕類、大豆加水分解液、カゼイン分解物、その他のアミノ酸、ビタミン類、コーンスティープリカー、酵母または酵母エキス、肉エキス、ペプトン等のペプチド類、各種発酵菌体およびその加水分解物などが好ましく使用される。
また、発酵原料に含有される無機塩として、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等を適宜添加することができる。
本発明のL−乳酸の製造方法で使用する乳酸生産培地は、必要に応じて、ポリエーテル系、アルコール系又はシリコン系等の消泡剤を使用することができる。
導入する発現ベクターを酵母内に保持させるのであれば、選択マーカーによる選択圧をかけた培地を用いることが好ましい。培地としては、例えば、ベクターの持つ選択マーカーに符号するアミノ酸を除去した合成培地などが挙げられる。特に好ましい培地は、炭素源としてグルコースを1〜10%、窒素源として「Yeast Nitrogen Base without amino acid」(DIFCO社製)を0.67%含有し、適切なアミノ酸を添加した合成培地である。
L−乳酸の製造に際しては、まず、本発明の酵母を前培養し、前培養液を新しい培地に移して本培養することにより、培養液中にL−乳酸を製造することができる。培養温度は、菌株の増殖が実質的に阻害されず乳酸を生産し得る範囲であれば特に制限されるものでないが、好ましくは20〜40℃の範囲の温度であり、より好ましくは25〜35℃の範囲の温度であり、さらに好ましくは30℃である。培養には、静置、撹拌または振とうのいずれの方法も採用し得る。
上記のような条件で本発明の酵母を培養することにより、培養液中にL−乳酸が得られる。得られたL−乳酸の測定法に特に制限はないが、例えば、HPLCを用いる方法や、F−キット(ロシュ社製)を用いる方法などがある。
本発明において、L−乳酸脱水素酵素活性とは、ピルビン酸とNADHをL−乳酸とNAD+に変換する活性を示す。また限定されるわけではないが、L−乳酸脱水素酵素活性は比活性を指標として比較できる。すなわち、L−ldh遺伝子導入方法及び遺伝的バックグラウンドが同じ酵母を同条件で培養し、培養菌体から抽出したタンパク質を用いてNADHの減少に伴う340nmにおける吸光度の変化を測定する。その際に、室温において1分間当たりに1μmolのNADHを減少させる酵素量を1単位(Unit)と定義する事により、L−乳酸脱水素酵素の比活性は式(1)であらわせる。ここで、Δ340は1分間あたりの340nmの吸光度の減少量、6.22はNADHのミリモル分子吸光係数である。
Figure 2008029329
以下、実施例をもって本発明の実施の態様を説明するが、これらは例示であり、本発明を何等制限するものではない。
(実施例1: カエル由来のL−ldh遺伝子発現ベクターの作製)
本発明では、カエル由来のL−ldh遺伝子として、配列番号1に示す核酸配列を有するゼノプス・レービス(Xenopus laevis)由来のL−ldh遺伝子を使用した。カエル由来のL−ldh遺伝子のクローニングはPCR法により行った。PCRには、ゼノプス・レービスの腎臓由来cDNAライブラリー(STRATAGENE社製)より付属のプロトコールに従い調製したファージミドDNAを鋳型とした。
PCR増幅反応には、KOD-Plus polymerase(東洋紡社製)を用い、反応バッファー、dNTPmixなどは付属のものを使用した。上記のように付属のプロトコールに従い調整したファージミドDNAを50ng/サンプル、プライマーを50pmol/サンプル、及びKOD-Plus polymeraseを1ユニット/サンプルになるように50μlの反応系に調製した。反応溶液をPCR増幅装置iCycler(BIO−RAD社製)により94℃の温度で5分熱変成させた後、94℃(熱変成):30秒、55℃(プライマーのアニール):30秒、68℃(相補鎖の伸張):1分を1サイクルとして30サイクル行い、その後4℃の温度に冷却した。なお、遺伝子増幅用プライマー(配列番号3,4)には、5末端側にはSalI認識配列、3末端側にはNotI認識配列がそれぞれ付加されるようにして作製した。
PCR増幅断片を精製し、末端をT4 polynucleotide Kinase(タカラバイオ社製)によりリン酸化後、pUC118ベクター(制限酵素HincIIで切断し、切断面を脱リン酸化処理したもの)にライゲーションした。ライゲーションは、DNA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ社製)を用いて行った。ライゲーション溶液を大腸菌DH5αのコンピテント細胞(タカラバイオ社製)に形質転換し、抗生物質アンピシリンを50μg/mLを含むLBプレートに蒔いて一晩培養した。生育したコロニーについて、ミニプレップでプラスミドDNAを回収し、制限酵素SalI及びNotIで切断し、カエル由来のL−ldh遺伝子が挿入されているプラスミドを選抜した。これら一連の操作は、全て付属のプロトコールに従い行った。
上記カエル由来のL−ldh遺伝子が挿入されたpUC118ベクターを制限酵素SalI及びNotIで切断し、DNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、定法に従いカエル由来のL−ldh遺伝子を含む断片を精製した。得られたL−ldh遺伝子を含む断片を、図2に示す発現ベクターpTRS11のXhoI/NotI切断部位にライゲーションし、上記と同様な方法でプラスミドDNAを回収し、制限酵素XhoI及びNotIで切断することにより、カエル由来のL−ldh遺伝子が挿入された発現ベクターを選抜した。以後、このようにして作製したカエル由来のL−ldh遺伝子を組み込んだ発現ベクターをpTRS102とする。
(比較例1: ウシ由来L−ldh遺伝子発現ベクターの作製)
比較例として、ウシ由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を作成した。
ウシ由来L−ldh遺伝子(配列番号2)のクローニングはPCR法にて行った。PCRには、ウシの骨格筋由来cDNAライブラリー(STRATAGENE社製)より付属のプロトコールに従い調製したファージミドDNAを鋳型とし、実施例1と同条件の増幅反応を行った。なお、遺伝子増幅用プライマー(配列番号5,6)には、5末端側にはXhoI認識配列、3末端側にはNotI認識配列がそれぞれ付加されるようにして作製した。
以下、実施例1で制限酵素SalIを用いる箇所において制限酵素XhoIを用いることを除き、実施例1と同様な方法でウシ由来のL−ldh遺伝子が挿入された発現ベクターを作製した。以後、このようにして作製したウシ由来のL−ldh遺伝子を組み込んだ発現ベクターをpTRS49とする。
(実施例2:カエル由来のL−ldh遺伝子発現ベクターの酵母への導入)
実施例1のようにして得られたpTRS102を酵母サッカロミセス・セレビセNBRC10505株のpdc1遺伝子を破壊した株(以下、29−1B株と示す。)に形質転換した。形質転換は、YEASTMAKER YEAST Transformation System(CLONTECH社製)を用いた酢酸リチウム法により行い、詳細は付属のプロトコールに従った。宿主とする29−1B株はウラシル合成能を欠損した株であり、pTRS102の持つURA3遺伝子の働きにより、ウラシル非添加培地上でpTRS102の導入された形質転換株の選択が可能である。このようにして得られた形質転換株へのカエル由来のL−ldh遺伝子発現ベクター導入の確認は、形質転換株から、ゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)によりプラスミドDNAを含むゲノムDNAを抽出し、これを鋳型としてPremix Taq(タカラバイオ社製)を用いたPCRにより行った。確認用プライマーには、カエル由来のL−ldh遺伝子をクローニングした際に用いたプライマー(配列番号3,4)を使用した。その結果、pTRS102を形質転換した株において、カエル由来L−ldh遺伝子が導入されていることを確認した。以下、上記pTRS102が導入された形質転換株を29−1B/pTRS102株とする。
(比較例2:ウシ由来のL−ldh遺伝子発現ベクターの酵母への導入)
比較例1のようにして得られたpTRS49を、実施例2と同様な方法で29−1Bに形質転換した。また、ウシ由来のL−ldh遺伝子導入の確認も実施例2と同様な方法で行い、プライマーとして配列番号5,6に示すオリゴヌクレオチドを用いた。以下、上記pTRS49が導入された形質転換株を29−1B/pTRS49株とする。
(実施例3:カエル由来のL−ldh遺伝子のPDC1遺伝子座への導入)
実施例1で得られたpTRS102を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号7,8)をプライマーセットとしたPCRにより、カエル由来のL−ldh遺伝子及びTDH3ターミネーター配列を含む1.3kbのPCR断片を増幅した(図1のステップ1に相当)。ここで配列番号7は、PDC1遺伝子の開始コドンから上流65bpに相当する配列が付加されるようデザインした。
次に、プラスミドpRS424を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号10,11)をプライマーセットとしたPCRにより、酵母選択マーカーであるTRP1遺伝子を含む1.2kbのPCR断片を増幅した(図1のステップ2に相当)。ここで、配列番号11は、PDC1遺伝子の終始コドンから下流65bpに相当する配列が付加されるようデザインした。
それぞれのDNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製した。ここで得られた各1.3kb断片、1.2kb断片を混合したものを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号7,11)をプライマーセットとしたPCR法によって、カエル由来のL−ldh遺伝子、TDH3ターミネーター及びTRP1遺伝子が連結された約2.5kbのPCR断片を増幅した(図1のステップ3に相当)。
上記のPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製後、酵母サッカロミセス・セレビセNBRC10505株に形質転換し、トリプトファン非添加培地で培養することにより、カエル由来のL−ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入されている形質転換株を選択した。
上記のようにして得られた形質転換株が、カエル由来のL−ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入されている酵母であることの確認は下記のように行った。まず、形質転換株のゲノムDNAをゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)により調製し、これを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号11,12)をプライマーセットとしたPCRにより、約2.8kbの増幅DNA断片が得られることで確認した。なお、非形質転換株では、上記PCRによって約2.1kbの増幅DNA断片が得られる。以下、上記カエル由来のL−ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入された形質転換株を、B2株とする。なお、PDC1遺伝子の上流及び下流配列は、Saccharomyces Genome Database(URL: http://www.yeastgenome.org/)より取得することができる。
(比較例3:ウシ由来L−ldh遺伝子のPDC1遺伝子座への導入)
比較例1で得られたpTRS49を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号8,9)をプライマーセットとしたPCRにより、ウシ由来のL−ldh遺伝子及びTDH3ターミネーターを含む1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで配列番号9は、配列番号7と同様にPDC1遺伝子の開始コドンから上流65bpに相当する配列が付加されるようデザインした。
上記のPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製し、実施例3で得られたTRP1遺伝子を含む1.2kbのPCR断片と混合し、オリゴヌクレオチド(配列番号9,11)をプライマーセットとしたPCR法によって、ウシ由来のL−ldh遺伝子、TDH3ターミネーター及びTRP1遺伝子が連結された約2.5kbのPCR断片を増幅した。
上記のPCR断片を実施例3と同様な方法でNBRC10505株に形質転換し、トリプトファン非添加培地で培養することにより、ウシ由来L−ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入されている形質転換株を選択した。
上記のようにして得られた形質転換株が、ウシ由来のL−ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入されている酵母であることの確認は、実施例3と同様の方法で行った。以下、上記ウシ由来のL−ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入された形質転換株を、L5株とする。
(実施例4、比較例4:L−乳酸生産性テスト1)
実施例2、比較例2のようにして得られた29−1B/pTRS102株及び29−1B/pTRS49株を用いてL−乳酸生産性テストを行った。
表1に示した組成の培地(以下、SC3−Ura培地と略す。)10mLを試験管に取り、そこに少量の29−1B/pTRS102株及び29−1B/pTRS49株を植菌し、30℃で一晩培養した(前々培養)。次に、SC3−Ura培地100mLを500ml容三角フラスコにいれ、各前々培養液をそれぞれ全量植菌し、30℃で24時間振とう培養した(前培養)。続いて、SC3−Ura培地を1L投入したミニジャーファメンター(丸菱バイオエンジ社製、容量5L)に、前培養開始から24時間後の前培養液をそれぞれ全量植菌し、攪拌速度(120rpm)、通気量(0.1L/min)、温度(30℃)、pH(pH5)を一定にして培養を行った(本培養)。本培養開始後40時間の培養液を遠心分離し、得られた上清を膜濾過した後、下記に示す条件でHPLCによりL−乳酸量を測定した。
カラム:Shim−Pack SPR−H(島津社製)
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/min)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/min)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃。
測定結果から算出したL−乳酸の対糖収率を表2に示す。
Figure 2008029329
Figure 2008029329
(実施例5、比較例5:L−乳酸生産性テスト2)
実施例3、比較例3のようにして得られたB2株及びL5株を用いて、実施例4と同様な方法でL−乳酸生産性テストを行った。培地として、表1に示したものに152mg/Lのウラシルを追加した培地(以下、SC3培地と略す。)を用いた。
SC3培地10mLを試験管に取り、そこに少量のB2株及びL5株を植菌し、30℃で一晩培養した(前々培養)。次に、SC3培地100mLを500ml容三角フラスコにいれ、各前々培養液を全量植菌し、30℃で24時間振とう培養した(前培養)。続いて、SC3培地を1L投入したミニジャーファメンター(丸菱バイオエンジ社製、容量5L)に、前培養開始から24時間後の前培養液を全量植菌し、攪拌速度(120rpm)、通気量(0.1L/min)、温度(30℃)、pH(pH5)を一定にして培養を行った(本培養)。本培養開始後30時間の培養液を遠心分離し、得られた上清を膜濾過した後、実施例4と同様な条件でHPLCによりL−乳酸量を測定した。測定結果から算出したL−乳酸の対糖収率を表3に示す。
Figure 2008029329
表2及び表3の結果から、カエル由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することにより、ウシ由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することよりも高い対糖収率でL−乳酸を製造することができた。
(実施例6:カエル由来のL−ldh遺伝子のTDH3遺伝子座への導入)
染色体中に挿入するカエル由来のL−ldh遺伝子をTDH3プロモーターの下流に導入することで乳酸生産性の向上が可能であるか検討を行った。
実施例3と同様な方法でカエル由来のL−ldh遺伝子をTDH3遺伝子座に導入するために、pTRS102のTDH3ターミネーターをADH1ターミネーターに変更したプラスミドを作製した。
まず、NBRC10505株からゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)によりゲノムDNAを抽出し、抽出したゲノムDNAを鋳型として、ADH1ターミネーターのクローニングをPCR法により行った。PCR増幅反応には、KOD-Plus polymerase(東洋紡社製)を用い、反応バッファー、dNTPmixなどは付属のものを使用した。上記のように付属のプロトコールに従い調整したゲノムDNAを50ng/サンプル、プライマーを50pmol/サンプル、及びKOD-Plus polymeraseを1ユニット/サンプルになるように50μlの反応系に調製した。反応溶液をPCR増幅装置iCycler(BIO−RAD社製)により94℃の温度で5分熱変成させた後、94℃(熱変成):30秒、60℃(プライマーのアニール):30秒、68℃(相補鎖の伸張):1分を1サイクルとして30サイクル行い、その後4℃の温度に冷却した。なお、遺伝子増幅用プライマー(配列番号13,14)には、5末端側にはNotI認識配列、3末端側にはHindIII認識配列がそれぞれ付加されるようにして作製した。
PCR増幅断片を精製し、末端をT4 polynucleotide Kinase(タカラバイオ社製)によりリン酸化後、pUC118ベクター(制限酵素HincIIで切断し、切断面を脱リン酸化処理したもの)にライゲーションした。ライゲーションは、DNA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ社製)を用いて行った。ライゲーション溶液を大腸菌DH5αのコンピテント細胞(タカラバイオ社製)に形質転換し、抗生物質アンピシリンを50μg/mLを含むLBプレートに蒔いて一晩培養した。生育したコロニーについて、ミニプレップでプラスミドDNAを回収し、制限酵素NotI及びHindIIIで切断し、ADH1ターミネーターが挿入されているプラスミドを選抜した。これら一連の操作は、全て付属のプロトコールに従い行った。作製したプラスミドをpUC118−ADH1tとする。
次にpUC118−ADH1tを制限酵素NotI及びHindIIIで切断し、DNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、定法に従いADH1ターミネーターを含む断片を精製した。得られたADH1ターミネーターを含む断片を、pTRS102のNotI/HindIII切断部位にライゲーションし、上記と同様な方法でプラスミドDNAを回収し、制限酵素NotI及びHindIIIで切断することにより、TDH3ターミネーターがADH1ターミネーターに変更されたプラスミドを選抜した。以後、このようにして作製したプラスミドをpTRS150とする。
このpTRS150を鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号8,15)をプライマーセットとしたPCRにより、カエル由来のL−ldh遺伝子及びADH1ターミネーター配列を含む1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで配列番号15のプライマーは、TDH3遺伝子の開始コドンから上流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。
次に、プラスミドpRS426を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号10,16)をプライマーセットとしたPCRにより、酵母選択マーカーであるURA3遺伝子を含む1.2kbのPCR断片を増幅した。ここで、配列番号16のプライマーは、TDH3遺伝子の終始コドンから下流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。
それぞれのPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製した。ここで得られた各1.3kb断片、1.2kb断片を混合したものを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号15,16)をプライマーセットとしたPCR法によって、カエル由来のL−ldh遺伝子、ADH1ターミネーター及びURA3遺伝子が連結された約2.5kbのPCR断片を増幅した。
上記のPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製後、カエル由来のL−ldh遺伝子がpdc1遺伝子座に導入されたB2株に形質転換し、ウラシル非添加培地で培養することにより、カエル由来のL−ldh遺伝子が染色体上のTDH3遺伝子プロモーターの下流に導入されている形質転換株を選択した。
上記のようにして得られた形質転換株が、カエル由来のL−ldh遺伝子が染色体上のTDH3遺伝子プロモーターの下流に導入されている酵母であることの確認は下記のように行った。まず、形質転換株のゲノムDNAをゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)により調製し、これを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号17,18)をプライマーセットとしたPCRにより、約2.8kbの増幅DNA断片が得られることで確認した。なお、非形質転換株では、上記PCRによって約2.1kbの増幅DNA断片が得られる。以下、上記カエル由来のL−ldh遺伝子が染色体上のTDH3遺伝子プロモーターの下流に導入された形質転換株をB3株とする。なお、TDH3遺伝子座の上流及び下流配列は、Saccharomyces Genome Database(URL:http://www.yeastgenome.org/)より取得することができる。
(実施例7:L−乳酸生産性テスト3)
実施例6のようにして得られたB3株を用いて、実施例4,5と同様な方法でL−乳酸生産性テストを行った。培地として、実施例5と同様SC3培地を用いた。
SC3培地10mLを試験管に取り、そこに少量のB3株を植菌し、30℃で一晩培養した(前々培養)。次に、SC3培地100mLを500ml容三角フラスコにいれ、各前々培養液を全量植菌し、30℃で24時間振とう培養した(前培養)。続いて、SC3培地を1L投入したミニジャーファメンター(丸菱バイオエンジ社製、容量5L)に、前培養開始から24時間後の前培養液を全量植菌し、攪拌速度(120rpm)、通気量(0.1L/min)、温度(30℃)、pH(pH5)を一定にして培養を行った(本培養)。本培養開始後30時間の培養液を遠心分離し、得られた上清を膜濾過した後、実施例4と同様な条件でHPLCによりL−乳酸量を測定した。測定結果から算出したL−乳酸の対糖収率及び実施例5で得られたB2株の対糖収率を表4に示す。
Figure 2008029329
表4の結果から、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子のプロモーターの下流に発現可能な状態で導入された酵母を改良することにより、より高い対糖収率でL−乳酸を製造可能な酵母が作出できた。
また、本発明のカエル由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を既知の方法で更に改良し、該酵母を培養することでより高い対糖収率でL−乳酸を製造することが可能である。
(実施例8、比較例6:L−乳酸脱水素酵素の活性)
実施例2、比較例2で得られた29−1B/pTRS102株及び29−1B/pTRS49株を用いて、pH5〜7におけるカエル由来のL−乳酸脱水素酵素活性及びウシ由来のL−乳酸脱水素酵素活性を比較した。
(a)菌体からのタンパク質抽出
SC−Ura培地10mLを試験管に入れ、そこに少量の29−1B/pTRS102株及び29−1B/pTRS49株を植菌し、30℃で一晩培養した(前培養)。次に、SC−Ura培地20mLを100mL容坂口フラスコに入れ、そこに前培養液を2%植菌し、24時間振とう培養した(本培養)。本培養液10mLを遠心により集菌、10mLのリン酸バッファーで洗浄後、1mLのリン酸バッファーに懸濁した。上記菌体懸濁液をエッペンドルフチューブに移し、さらに等量のガラスビーズ(SIGMA社製、直径0.6mm)を加え、Micro Tube Mixer(TOMY社製)を用い4℃で菌体を破砕した。上記のようにして菌体を破砕した後、遠心して得られる上清をL−乳酸脱水素酵素液(以下、L−LDH酵素液と略す。)とした。
(b)L−乳酸脱水素酵素活性測定
(a)で得られたL−LDH酵素液の濃度を、ウシIgG(1.38mg/mL、BIO−RAD社製)をスタンダードとして作製した検量線をもとにBCA Protein Assay Kit(PIERCE社製)により測定し、各L−LDH酵素液が0.5mg/mLになるように滅菌水で希釈した。次に、表5に示した割合の6水準の混合液(L−LDH酵素液及びNADHを除く)をセミミクロキュベットに分注し、測定を始める直前にL−LDH酵素液及びNADHを加え混合した。ここで、2xBRバッファーとは、0.08M酢酸、リン酸、ホウ酸溶液を5NNaOHでpH5,6,7にそれぞれ調節した緩衝バッファーである。
Figure 2008029329
各水準での340nmにおける吸光度の減少を分光光度計(Ultrospec3300Pro アマシャム社製)で測定し、得られたΔ340の値を式(1)にあてはめ、それぞれ比活性を算出した。測定はpH5,6,7の3水準で行った。上記測定において、比較対象とするL−乳酸脱水素酵素の比活性がウシ由来のL−乳酸脱水素酵素の比活性よりも、pH3水準のうち2水準以上で高い場合、その比較対象とするL−乳酸脱水素酵素は、pH5〜7においてウシ由来のL−乳酸脱水素酵素活性よりも高い活性を持つとする。算出結果を表6に示す。
Figure 2008029329
この結果から、pH5〜7において、カエル由来のL−乳酸脱水素酵素活性は、ウシ由来のL−乳酸脱水素酵素の活性よりも高いことがわかった。また、表2及び表3の結果から、本発明のカエル由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することにより、ウシ由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することよりも高い対糖収率でL−乳酸を製造することができることがわかった。
表2、表3及び表6に示す結果から、pH5〜7におけるL−乳酸脱水素酵素活性がウシ由来のL−乳酸脱水素酵素活性よりも高いL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母を培養することにより、ウシ由来のL−ldh遺伝子が導入された酵母を培養することよりも高い対糖収率でL−乳酸を製造することができる。
図1は、PDC1遺伝子プロモーター下流にL−ldh遺伝子を導入する方法を説明する概略図である。 図2は、本発明で用いられる酵母発現ベクターpTRS11のフィジカルマップを示す図である。

Claims (8)

  1. カエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が導入された酵母。
  2. 前記L−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が、ゼノプス・レービス(Xenopus laevis)由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子であることを特徴とする、請求項1に記載の酵母。
  3. 前記L−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が、配列番号1に示す核酸配列を有する遺伝子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の酵母。
  4. 前記酵母がサッカロミセス(Saccharomyces)属に属することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の酵母。
  5. 前記酵母がサッカロミセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の酵母。
  6. 前記L−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が、該遺伝子の発現を可能とするプロモーターの下流に導入されたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の酵母。
  7. 前記L−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が、染色体上のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子(PDC1遺伝子)のプロモーターの下流に発現可能な状態で導入されたことを特徴とする、請求項1〜6いずれかの項に記載の酵母。
  8. 請求項1〜7のいずれかの項に記載の酵母を培養することを含む、L−乳酸の製造方法。
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