JP6111667B2 - 乳酸生産酵母変異株および乳酸の製造方法 - Google Patents

乳酸生産酵母変異株および乳酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、乳酸の製造に好適に用いられる乳酸生産酵母、さらには該酵母株を用いた乳酸の製造方法に関するものである。
生分解性ポリマーであるポリ乳酸は、大気中に二酸化炭素の排出問題やエネルギー問題の顕在化と共にサスティナビリティー(持続可能性)およびライフサイクルアセスメント(LCA)対応型製品として強い注目を浴びている。現在主に生産されているポリ乳酸はL−乳酸ポリマーであり、ポリマー原料としての光学純度の高いL−乳酸が量産化されつつある。
また、高い耐熱性を有するポリ乳酸として、ステレオコンプレックスポリ乳酸(Sc−PLA)が注目されており、Sc−PLAの原料には、L−乳酸以外にもL−乳酸の光学異性体であるD−乳酸を必要とするため、光学純度の高いD−乳酸の製造方法の開発が進められている。
前述の通り、ポリマー原料用の乳酸は高い光学純度が求められるため、該乳酸の製造方法としては現時点では微生物培養による乳酸発酵に限定されるが、その場合、微生物にとって乳酸生産に最適なpH(以下、乳酸発酵至適pHという。)に保持されながら微生物を培養する必要がある。例えば、乳酸発酵至適pHが4.5付近にある乳酸生産酵母を培養して乳酸を製造する場合、乳酸生産酵母の乳酸生産性を維持するためにアルカリ中和により培養液のpHを乳酸発酵至適pHに維持する必要があるが(特許文献1参照。)、そのために乳酸生産酵母培養液をアルカリ性物質で中和すると、添加するアルカリ性物質の量によっては後続する乳酸の分離・精製工程で石膏等の副産物が生じる場合があり、それによって乳酸の分離・精製工程が煩雑になってしまい、その結果、乳酸製造コスト高の要因になってしまっている。また、これまでに低pH耐性を有する乳酸生産酵母を利用して、該乳酸生産酵母の乳酸発酵至適pHよりも低いpH領域であるpH3で乳酸を製造した例はあるものの、乳酸発酵至適pHよりも低いpH領域での乳酸生産性は、乳酸発酵至適pHに調整した場合と比較して乳酸生産性が低下してしまうという問題がある(特許文献2参照。)。
特開2009−171879号公報 特表2009−517045号公報
本発明は、乳酸生産酵母の培養による乳酸生産に伴って生じる培養液の低pH状態に耐性を有し、かつ低pH状態での乳酸生産能が乳酸発酵至適pHでの乳酸生産能と同等以上である乳酸生産酵母変異株、および該変異株を用いた乳酸の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、乳酸生産酵母に突然変異を付与することで、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の(1)〜(8)で構成される。
(1)乳酸脱水素酵素遺伝子を導入して乳酸生産能を付与した酵母の変異株であって、該変異株の培地pH3での乳酸生産能が該変異株の親株の乳酸発酵至適pHにおける乳酸生産能と同等以上であることを特徴とする、乳酸生産酵母変異株。
(2)前記乳酸脱水素酵素遺伝子がD−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子またはL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子であることを特徴とする、(1)に記載の乳酸生産酵母変異株。
(3)前記乳酸脱水素酵素遺伝子がアメリカカブトガニ由来のD−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の乳酸生産酵母変異株。
(4)前記乳酸脱水素酵素遺伝子がアフリカツメガエル由来のL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の乳酸生産酵母変異株。
(5)前記酵母がサッカロマイセス(Saccharomyces)属に属することを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の乳酸生産酵母変異株。
(6)前記酵母がサッカロマイセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)であることを特徴とする、(1)から(5)のいずれかに記載の乳酸生産酵母変異株。
(7)受託番号がNITE BP−1087、NITE BP−1088、NITE BP−1089、NITE BP−1189またはNITE BP−1190として寄託されている酵母であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の乳酸生産酵母変異株。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載の乳酸生産酵母変異株を培養することを特徴とする、乳酸の製造方法。
(9)前記乳酸生産酵母変異株の培養液をpH3以下に維持することを特徴とする、(8)に記載の乳酸の製造方法。
(10)前記乳酸生産酵母変異株の培養液をアルカリ中和せずに培養することを特徴とする、(8)に記載の乳酸の製造方法。
本発明によれば、乳酸による低pH状態でも乳酸生産酵母の乳酸生産能を維持することができるため、乳酸製造プロセスの簡略化および乳酸生産の低コスト化が可能となる。
D−乳酸生産酵母の親株であるSU042株およびD−乳酸生産酵母変異株のD−乳酸生産能の比較を示す図である。 D−乳酸生産酵母の親株であるSU042株およびD−乳酸生産酵母変異株の各pHでの乳酸生産能の比較を示す図である。 D−乳酸生産酵母の親株であるSU042株およびD−乳酸生産酵母変異株のアルカリ中和しない培養での乳酸生産能の比較を示す図である。 L−乳酸生産酵母の親株であるHI003株およびL−乳酸生産酵母変異株のL−乳酸生産能の比較を示す図である。 L−乳酸生産酵母の親株であるHI003株およびL−乳酸生産酵母変異株の各pHでの乳酸生産能の比較を示す図である。 L−乳酸生産酵母の親株であるHI003株およびL−乳酸生産酵母変異株のアルカリ中和しない培養での乳酸生産能の比較を示す図である。
本発明の乳酸生産酵母変異株は、公知の手法によって乳酸脱水素酵素遺伝子を導入して乳酸生産能を付与した酵母について、さらに変異処理を施すことによって得られた変異株のことをいう。以下、本発明の乳酸生産酵母変異株について詳細に説明する。
酵母としては、サッカロマイセス属(Genus Saccharomyces)、クルベロマイセス属(Genus Kluyveromyces)、シゾサッカロミセス属(Genus Schizosaccharomyces)、トルロプシス属(Genus Toluropusis)、カンジダ属(Genus Candida)、ピキア属(Genus Pichia)、ヤロウィア属(Genus Yarrowia)、ハンゼヌラ属(Genus Hansenula)、イサケンキア属(Genus Issachenkia)、トリコスポロン(Genus Trichosporon)、ヤマダザイマ(Genus Yamadazyma)に属する酵母を挙げることができる。具体的には、サッカロマイセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・コプシス(Saccharomyces copsis)、サッカロマイセス・ソノレンシス(Saccharomyces sonorensis)、サッカロマイセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)、カンジダ・ソノレンシス(Candida sonorensis)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・メタネソルボサ(Candida methanesorbosa)、カンジダ・エタノリカ(Candida ethanolica)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、ピキア・クドリアヴゼビー(Pichia kudriavzevii)、ピキア・ガレイホルミス(Pichia galeiformis)、ピキア・デセルチコラ(Pichia deserticola)、ピキア・メンブラニファシエンス(Pichia membranifaciens)、ピキア・ファメンタンス(Pichia fermentans)、トルロプシス・グラブラータ(Toluropusis glabrata)、トルラスポラ・プレトリエンシス(Torulaspora pretoriensis)、クルベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルベロマイセス・サモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、シゾサッカロミセス・ブルデリ(Schizosaccharomyces bulderi)、イサケンキア・オリエンタリス(Issachenkia orientalis)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤマダザイマ・スティプチック(Yamadazyma styptic)等の酵母である。なお、本発明で用いられる酵母として好ましいのはサッカロマイセス属に属する酵母であり、より好ましいのはサッカロマイセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)である。
多くの酵母は本来酵素活性の高い乳酸脱水素酵素活性を発現せず、乳酸を高生産することはできない。したがって、乳酸生産酵母を得るためには、酵母に乳酸脱水素酵素遺伝子を導入することによって乳酸脱水素酵素活性を付与する必要がある。酵母に乳酸脱水素酵素遺伝子を導入して乳酸脱水素活性を付与する方法は公知であり、例えば、WO2010/140602号またはWO2009/099044号に開示される方法が挙げられる。
本発明で酵母に導入される乳酸脱水素酵素遺伝子は、乳酸脱水素酵素活性、すなわち還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とピルビン酸を、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)と乳酸に変換する活性を持つタンパク質をコードしていれば特に限定はないが、L−乳酸を製造する場合には、ピルビン酸をL−乳酸に変換するL−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を用いることが好ましく、また、D−乳酸を製造する場合には、ピルビン酸をD−乳酸に変換するD−乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を用いることが好ましい。
前記乳酸脱水素酵素遺伝子は、酵母において活性のある乳酸脱水素酵素を発現しうる遺伝子であれば特に限定されないが、酵母において高い乳酸脱水素酵素活性を発現しうる乳酸脱水素酵素遺伝子としては、L−乳酸脱水素酵素遺伝子としてアフリカツメガエル(Xenopus laevis)由来のもの(特開2008−29329号公報、WO2009/099044号参照。)、D−乳酸脱水素酵素遺伝子としてアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)由来のもの(WO2010/140602号参照。)が知られており、本発明においてもそれらの遺伝子を好ましく使用することができる。
前記乳酸生産酵母(以下、親株という。)から、本発明の乳酸生産酵母変異株を取得する方法としては、親株の乳酸発酵至適pH条件下またはそれより低いpH値で培養しながら親株に突然変異を誘発し、引き続き乳酸発酵至適pH値よりも0.5以上低く、かつ乳酸を0.5〜10%(w/v)含む選抜培地で培養することによって好ましく取得することができる。なお、本明細書でいう乳酸発酵至適pHとは、pH4.0、4.5、5.0、5.5、6.0の各pH条件下において親株を一定時間回分培養した結果の乳酸生産性を培地中の乳酸濃度で定量した場合に乳酸生産性がピークとなるpH条件のことであり、乳酸生産性がピークとなるpHに数値幅が見られる場合は、その下限値のpHを乳酸発酵至適pHと見なす。酵母の乳酸発酵至適pHは、使用する酵母の種に依存するものであり、例えば、乳酸生産酵母がサッカロマイセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)である場合、特開2009−171879号公報の参考例2の結果から、乳酸発酵至適pHはpH4.5であると判断することができる。
酵母に突然変異を誘発する方法としては、変異誘発剤、例えば、紫外線、放射線または変異誘発化合物によりランダムに変異を誘発する方法や、ケモスタットを用いた酸に馴化させることにより得られる自然変異導入方法、特定の遺伝的形質に変異を誘発させる位置指向性突然変異誘発法(site directed mutagenesis)を用いることができるが、本発明の乳酸生産酵母変異株を得る場合、変異誘発剤を用いてランダムに変異を誘発する方法であることが好ましく取得される。変異誘発剤を用いて変異を誘発して乳酸生産酵母変異株を取得する方法としては、例えば、野生型酵母に、変異操作、例えば化学的変異誘発剤であるN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)(微生物実験マニュアル、1986年、131頁、講談社サイエンティフィック社)、メタンスルホン酸エチル(EMS:Ethyl methanesulfonate)、硫酸ジエチル(Diethyl sulfate)または1−メチル−ニトロニトロソグアニジン(MNNG:1−Methyl−nitronitrosoguanidine)を用いる方法(酵母遺伝子実験マニュアル、2002年、9−17項、丸善株式会社)、あるいは不均衡変異誘導プラスミド(特表2006−521113号公報参照。)を用いる方法が挙げられる。なお、乳酸産生酵母変異株の作製の過程で、乳酸脱水素酵素活性が低下した変異株については、WO2010/140602号公報に開示される方法を用いた乳酸脱水素酵素遺伝子の再導入により乳酸脱水素酵素活性を復元することができる。
乳酸生産酵母に突然変異を誘発する際の培地の培地組成に特に限定はないが、本発明においては合成最少培地であるSD培地が好ましく用いられる。また、乳酸生産酵母変異株を選抜するための選抜培地の培地組成としては、乳酸を一定量含む以外は特に制限はないが、合成最少培地であるSD培地が好ましく用いられ、また、乳酸生産酵母変異株のコロニーを選抜可能な固形培地であることが好ましい。
前記乳酸生産酵母変異株の選抜培地に含まれる乳酸は特に限定されないが、L−乳酸生産酵母変異株を選択する場合はL−乳酸であることが好ましく、D−乳酸生産酵母変異株を選択する場合はD−乳酸であることが好ましい。なお、L−乳酸またはD−乳酸の光学純度は、90〜99.9%e.e.であることが好ましく、99〜99.9%e.e.であることがより好ましい。
また、乳酸脱水素酵素遺伝子が導入されていない酵母に突然変異を誘発して低pH耐性の酵母を取得し、該酵母に前記乳酸脱水素酵素遺伝子を導入することによっても本願発明の乳酸発酵酵母変異株を取得することができる。その場合の低pH耐性酵母を取得する方法は、前述の方法に準じて乳酸脱水素酵素遺伝子が導入されていない酵母に突然変異を誘発させればよい。
前記手法によって選抜された酵母株が、本発明の乳酸生産酵母変異株であるかどうかについては、変異株の培地pH3の条件下での乳酸生産能と、変異株または親株の乳酸発酵至適pHの条件下での乳酸生産能を培地中の乳酸濃度で定量比較した場合に、培地pH3の条件下での乳酸生産能が乳酸発酵至適pHでの乳酸生産能と同等以上であることを確認することによって判断することができる。また、変異株の中、変異株の培地pH3の条件下での乳酸生産能と、変異株または親株の乳酸発酵至適pHの条件下での乳酸生産能を培地中の乳酸濃度で定量比較し、培地pH3の条件下での乳酸生産能が乳酸発酵至適pHでの乳酸生産能より劣ったとしても、原因が乳酸脱水素酵素遺伝子に変異が入り、乳酸脱水素酵素活性の低下に起因する場合、前述の通り損傷した乳酸脱水素酵素遺伝子を復元することにより本発明の乳酸生産酵母変異株を得ることができる。ここで、培地pH3での乳酸生産性を判断基準とした根拠としては、特開2009−171879号公報の参考例3において、乳酸生産酵母をアルカリ中和しないで回分培養した場合の培地pHが2.8であったことが開示されており、乳酸生産酵母をアルカリ中和しないで回分培養して乳酸を製造する場合の培地pHは3付近で推移すると推定したことによる。乳酸生産能を比較するために使用される培地に特に制限はないが、合成完全培地であるSC培地または粗糖を用いた天然培地(特開2009−142210または特開2009−171879参照。)が好ましく用いられる。
前記手法によって得られた本発明の乳酸生産酵母変異株の具体例としては、WO2010/140602号公報に記載のアメリカカブトガニ由来のD−乳酸脱水素酵素遺伝子を導入したD−乳酸生産性酵母の変異株であって、受託番号がNITE BP−1087、NITE BP−1088またはNITE BP−1089や、WO2009/099044号に記載のアフリカツメガエル由来のL−乳酸脱水素酵素遺伝子を導入したL−乳酸生産性酵母の変異株であって、受託番号がNITE BP−1189またはNITE BP−1190として独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託されている乳酸生産酵母変異株が挙げられる。
次に、本発明の乳酸生産酵母変異株(以下、変異株という。)を利用した乳酸の製造方法について説明する。なお、本明細書でいう乳酸とは、フリー体、乳酸塩および誘導体を包含するものとする。
変異株を培養する培地としては、該変異株が資化可能な炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該酵母の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれも使用することができる。具体的には、炭素源としては、グルコース、フルクトース、スクロース、ガラクトース、マルトース、ラフィノース、トレハロース、ソルボース、セロビオース、ラクトース、メリビオース、メレジトース、イヌリン、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコサミン、エリスリトール、リビトール、マンニトール、グルシトール、サリシン、スターチ、デンプン等の炭水化物またはその加水分解物、バイオマス由来のセルロースなどからの糖化液、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコールを用いることができる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の含窒素化合物の他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等を用いることができる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどを用いることができる。これら炭素源、窒素源、無機塩類等は、培養開始時に一括して添加しても良いし、培養中分割して、または連続的に添加するもできる。
変異株の培養は、通常、振とう培養または通気攪拌培養等の好気条件下から、通気を実施しないような嫌気条件下までの範囲で、乳酸の生産性が良い条件を設定することができるが、微好気から嫌気の条件下で培養することが好ましい。また、培養温度は変異株が乳酸を生産できるような温度条件であれば特に制限はないが、25〜37℃が好ましく、28〜35℃がより好ましい。
変異株培養時の培養液のpHは、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、アンモニアガスなどのアルカリ性物質、乳酸、酢酸、コハク酸、ピルビン酸、イタコン酸、クエン酸などの有機酸、あるいは塩酸、硫酸などの鉱酸によって適宜調整されてもよく、また、培養液のpHが一定の範囲内に保たれるように緩衝されてもよいが、後述の通り、培養液へのアルカリ性物質の添加量によっては後続の乳酸の分離・精製工程で石膏が生じる原因となってしまう場合があることから、培養液pHをpH3以下に維持することが好ましい。なお、培養液pHを目的のpH値に維持するとは、培養液pHを目的のpH値になるように制御することをいい、培養工程に該制御操作が含まれていれば、培養期間中に一時的に培養液pHが目的のpH値を上回ることは許容される。また、培養前の培地pHが目的のpH値を上回っていたとしても、培養により生産される乳酸によって培養液pHが目的のpH値以下になる場合についても、培養液pHを目的のpH値に維持する操作であると見なすものとする。
変異株の培養方法としては、目的とする乳酸を発酵生産しうる形態であれば特に制限はなく、例えば、バッチ培養、フェドバッチ培養、ケモスタット培養、連続培養などを採用できるが、バッチ培養またはWO2007/097260に記載されている膜利用連続培養を好ましく採用することができる。
前記変異株の培養液に含まれる乳酸は、当業者にとって公知の手法、例えば、晶析、有機溶媒による抽出、イオン交換、エステル化蒸留、WO2009/004922に開示されるナノ濾過膜による精製と蒸留を組み合わせた分離・精製方法、あるいはそれらの組み合わせによって分離・精製することができる。なお、乳酸発酵酵母を乳酸発酵至適pHに調整して培養する場合、培養工程でのアルカリ中和により培養液中の乳酸が乳酸塩として存在することになるが、該培養液からのフリー体の乳酸を分離・精製する場合、乳酸塩の解塩工程が必要で、乳酸塩の解塩工程では硫酸などの酸成分が必要となり、また、それに伴って生じる石膏などの副生物を除去する工程を伴うことになる。本発明の変異株の特徴を利用すれば、変異株の培養工程でのアルカリ中和のアルカリ添加量を少量にする、あるいはアルカリ中和しないことで培養液のpHをpH3以下に維持しながら乳酸を生産することが可能になり、その結果、フリー体の乳酸の分離・精製工程での解塩工程を省略または簡略化することができるため、本発明の乳酸の製造方法は、フリー体の乳酸を製造する場合に好ましく適用される。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
(参考例1)アメリカカブトガニ由来のD−乳酸脱水素酵素遺伝子を導入した酵母
本発明の乳酸生産酵母変異株を得るための親株として、WO2010/140602号に記載されるアメリカカブトガニ由来のD−乳酸脱水素酵素遺伝子を酵母(サッカロマイセス・セレビセ)に導入したSU042株を使用した。
(参考例2)アフリカツメガエル由来のL−乳酸脱水素酵素遺伝子を導入した酵母
本発明の乳酸生産酵母変異株を得るための親株として、WO2009/099044号に記載されるアフリカツメガエル由来のL−乳酸脱水素酵素遺伝子を酵母(サッカロマイセス・セレビセ)に導入したHI003株を使用した。
(参考例3)乳酸濃度および光学純度のHPLCによる分析方法
乳酸の濃度は、以下の条件でHPLC法により測定した。
カラム:Shim−Pack SPR−H(株式会社島津製作所製)
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/分)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/分)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃。
また、乳酸の光学純度は、以下の条件でHPLC法により測定したL−乳酸およびD−乳酸濃度の測定結果から、次式に基づいて計算した。
カラム:TSK−gel Enantio L1(東ソー株式会社製)
移動相:1mM 硫酸銅水溶液
流速:1.0ml/分
検出方法:UV254nm
温度:30℃
D−乳酸光学純度(%e.e.)=100×(D−L)/(L+D)
L−乳酸光学純度(%e.e.)=100×(L−D)/(L+D)
ここで、LはL−乳酸の濃度であり、DはD−乳酸の濃度を表す。
(比較例1)乳酸生産酵母の乳酸生産能評価
参考例1に記載のSU042株を、表1の発酵培地に2%(w/v)D−乳酸(>99.9e.e.)を加えた培地5ml(pH3、水酸化カルシウムでpH調整。)、サッカロマイセス・セレビセの乳酸発酵至適pH(特開2009−171879号公報の実施例に記載の乳酸発酵酵母の乳酸生産性からpH4.5が乳酸発酵至適pHであると判断した。)になるよう調整した表1の発酵培地5ml(pH4.5)でそれぞれ30℃、72時間振とう培養した。乳酸生産酵母変異株の親株となるSU042株について、培地pH3での乳酸生産能と乳酸発酵至適pH条件下(pH4.5)での乳酸生産能を酵母の乳酸生産量で比較した結果、図1に見られるとおり培地pH3での乳酸生産能は、乳酸発酵至適pH条件下での乳酸生産性より約55%まで低下することが確認できた。なお、本乳酸生産能評価結果は3回以上再現性を得た結果である。
Figure 0006111667
(実施例1)乳酸生産酵母変異株の作製および乳酸生産能評価
参考例1に記載のSU042株にEMS(シグマ−アルドリッチ社製)による変異処理を行った。SU042株をサッカロマイセス・セレビセの乳酸発酵至適pH(pH4.5)に調整されたSD培地2mlで24時間培養し、さらに該培養液の0.5%を同様のSD培地に植菌して24時間培養しつつ、EMSを添加して乳酸生産酵母に突然変異を誘発させ、その後、突然変異誘発のための培養液の5%を2%(w/v)D−乳酸(>99.9e.e.)含有SD培地2ml(pH2.8、水酸化カルシウムでpH調整。)に植菌して24時間培養した。
突然変異処理した培養液について、水酸化カルシウムでpH2.8、pH3.0になるよう調整した2%(w/v)D−乳酸(>99.9e.e.)含有SD寒天培地、pH4.5のSD寒天培地でそれぞれ72時間培養し、pH2.8の寒天培地から1株(KS52)、pH3.0の寒天培地から1株(KS78)、pH4.5のSD寒天培地から1株(KS45)を選抜した。
選抜した3株について、それぞれ表1に2%(w/v)D−乳酸(>99.9e.e.)を加えた発酵培地5ml(pH3、水酸化カルシウムでpH調整。)での乳酸生産能の評価結果を親株の乳酸発酵至適pH(pH4.5)条件下で72時間培養した結果を図1に示す。選抜した株の乳酸生産能は、いずれも親株の乳酸発酵至適pHでの乳酸生産能と同等以上であり、また、親株のpH3での乳酸生産能の約1.8倍であることを確認した。この結果から、選抜した3株は、いずれも乳酸による低pH状態において耐性を有する乳酸生産酵母変異株であると判断し、独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託した(KS45株の受託番号:NITE BP−1087、KS52株の受託番号:NITE BP−1088、KS78株の受託番号:NITE BP−1089)。なお、本乳酸生産能評価結果は3回以上再現性を得た結果である。
(実施例2〜4、比較例2)乳酸生産酵母変異株のバッチ発酵での乳酸生産能評価
乳酸生産酵母変異株KS45株(実施例2)、KS52株(実施例3)、KS78株(実施例4)と、親株であるSU042株(比較例2)について、それぞれ表2に示す乳酸発酵培地を用いてバッチ発酵によりD−乳酸を製造した。なお、培地組成である粗糖には“沖縄の優糖精”(ムソー株式会社)を用い、該培地は高圧蒸気滅菌(121℃、15分)して用いた。
乳酸生産能評価のための運転条件を以下に示す。
反応槽容量(乳酸発酵培地量):2L(1L)、温度調整:30℃、反応槽通気量:0.2L/min、反応槽攪拌速度:400rpm、pH調整:5N 水酸化カルシウム懸濁液により適宜調整。
まず、変異株3株をそれぞれ試験管で5mlの表1の乳酸発酵培地で一晩振とう培養した(前々培養)。前々培養液を新鮮な前々培養と同様な発酵培地50mlに植菌し500ml容の坂口フラスコで24時間振とう培養した(前培養)。前培養液の全量を植菌してから本培養を行った。本培養はpHを5、4.5、4、3、2.8にそれぞれ調整しながら72時間培養した。それぞれのバッチ培養の結果を図2に示す。その結果、変異株3株はいずれもpH3以下の低pH状態であっても親株の乳酸発酵至適pH(pH4.5)と同等以上の乳酸生産能を示し、99.9e.e.以上の高い光学純度のD−乳酸を生産した。一方、親株はpH3以下の低pH状態では乳酸発酵至適pHと比較して乳酸生産能が大きく減少した。
Figure 0006111667
(実施例5、比較例3)乳酸生産酵母変異株をアルカリ中和せずに培養した場合の乳酸生産能評価
乳酸生産酵母変異株KS78株(実施例5)と、その親株であるSU042株(比較例3)をそれぞれ表2の乳酸発酵培地5ml(pH5)に植菌し、30℃、72時間の条件で振とう培養した場合の乳酸生産能を図3に示す。アルカリ中和せずに培養をしたことによって、それぞれの培養液のpHはpH2.5まで低下したにも関わらず、変異株は親株の約9倍の乳酸生産能を示し、本発明の変異株を利用すれば培養工程でアルカリ中和せずに乳酸を高生産できることが確認できた。
(比較例4)乳酸生産酵母の乳酸生産能評価
参考例2に記載のHI003株を、表1の発酵培地に2%(w/v)L−乳酸(>99.9e.e.)を加えた培地5ml(pH3、水酸化カルシウムでpH調整。)、サッカロマイセス・セレビセの乳酸発酵至適pHになるよう調整した表1の発酵培地5ml(pH4.5)でそれぞれ30℃、72時間振とう培養した。乳酸生産酵母変異株の親株となるHI003株について、培地pH3での乳酸生産能と乳酸発酵至適pH条件下(pH4.5)での乳酸生産能を酵母の乳酸生産量で比較した結果、図4に見られるとおり培地pH3での乳酸生産能は、乳酸発酵至適pH条件下での乳酸生産性より約70%まで低下することが確認できた。なお、本乳酸生産能評価結果は3回以上再現性を得た結果である。
(実施例6)乳酸生産酵母変異株の作製および乳酸生産能評価
参考例2に記載のHI003株にEMS(シグマ−アルドリッチ社製)による変異処理を行った。HI003株をサッカロマイセス・セレビセの乳酸発酵至適pH(pH4.5)に調整されたSD培地2mlで24時間培養し、さらに該培養液の0.5%を同様のSD培地に植菌して24時間培養しつつ、EMSを添加して乳酸生産酵母に突然変異を誘発させ、その後、突然変異誘発のための培養液の5%を2%(w/v)L−乳酸(>99.9e.e.)含有SD培地2ml(pH2.8、水酸化カルシウムでpH調整。)に植菌して24時間培養した。
突然変異処理した培養液について、水酸化カルシウムでpH2.8になるよう調整した2%(w/v)L−乳酸(>99.9e.e.)含有SD寒天培地、pH4.5のSD寒天培地でそれぞれ72時間培養し、pH2.8の寒天培地から1株(KS24)、pH4.5のSD寒天培地から1株(KS30)を選抜した。
選抜した2株について、それぞれ表1に2%(w/v)L−乳酸(>99.9e.e.)を加えた発酵培地5ml(pH3、水酸化カルシウムでpH調整。)での乳酸生産能の評価結果を親株の乳酸発酵至適pH(pH4.5)条件下で72時間培養した結果を図4に示す。選抜した株の乳酸生産能は、いずれも親株の乳酸発酵至適pHでの乳酸生産能と同等以上であり、また、親株のpH3での乳酸生産能の約1.7倍であることを確認した。この結果から、選抜した2株は、いずれも乳酸による低pH状態において耐性を有する乳酸生産酵母変異株であると判断し、独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託した(KS24株の受託番号:NITE BP−1189、KS30株の受託番号:NITE BP−1190)。なお、本乳酸生産能評価結果は3回以上再現性を得た結果である。
(実施例7〜8、比較例5)乳酸生産酵母変異株のバッチ発酵での乳酸生産能評価
乳酸生産酵母変異株KS24株(実施例7)、KS30株(実施例8)と、親株であるHI003株(比較例5)について、それぞれ表2に示す乳酸発酵培地を用いてバッチ発酵によりL−乳酸を製造した。培地及び培養条件などは前記実施例2〜4と比較例2と同様である。その結果、変異株2株はいずれもpH3以下の低pH状態であっても親株の乳酸発酵至適pH(pH4.5)と同等以上の乳酸生産能を示し、99.9e.e.以上の高い光学純度のL−乳酸を生産した。一方、親株はpH3以下の低pH状態では乳酸発酵至適pHと比較して乳酸生産能が大きく減少した。
(実施例9、比較例6)乳酸生産酵母変異株をアルカリ中和せずに培養した場合の乳酸生産能評価
乳酸生産酵母変異株KS24株(実施例7)と、その親株であるHI003株(比較例5)をそれぞれ表2の乳酸発酵培地5ml(pH5)に植菌し、30℃、72時間の条件で振とう培養した場合の乳酸生産能を図6に示す。アルカリ中和せずに培養をしたことによって、それぞれの培養液のpHはpH2.5まで低下したにも関わらず、変異株は親株の約3倍の乳酸生産能を示し、本発明の変異株を利用すれば培養工程でアルカリ中和せずに乳酸を高生産できることが確認できた。
本発明の乳酸生産酵母変異株は、食品用途や医薬用途で使用され、また、生分解性ポリマーの原料となる乳酸の製造に利用することができる。
NITE BP−1087(寄託機関の名称:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)、寄託機関のあて名:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、寄託日:2011年4月25日)
NITE BP−1088(寄託機関の名称:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)、寄託機関のあて名:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、寄託日:2011年4月25日)
NITE BP−1089(寄託機関の名称:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)、寄託機関のあて名:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、寄託日:2011年4月25日)
NITE BP−1189(寄託機関の名称:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)、寄託機関のあて名:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、寄託日:2011年12月22日)
NITE BP−1190(寄託機関の名称:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)、寄託機関のあて名:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、寄託日:2011年12月22日)

Claims (4)

  1. 受託番号がNITE BP−1087、NITE BP−1088、NITE BP−1089、NITE BP−1189またはNITE BP−1190として寄託されている酵母であることを特徴とする、乳酸生産酵母変異株。
  2. 請求項に記載の乳酸生産酵母変異株を培養することを特徴とする、乳酸の製造方法。
  3. 前記乳酸生産酵母変異株の培養液をpH3以下に維持することを特徴とする、請求項に記載の乳酸の製造方法。
  4. 前記乳酸生産酵母変異株の培養液をアルカリ中和せずに培養することを特徴とする、請求項に記載の乳酸の製造方法。
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