JP2008028419A - ワーク搬送システム - Google Patents

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Yasunari Hirata
耕也 平田
Takenori Hirakawa
武則 平川
Akemichi Yamamoto
明道 山本
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Abstract

【課題】クリーンルーム内においてワークを搬送するための移動装置の内部で発生した塵埃が移動装置からクリーンルーム内に漏れ出てクリーンルーム内が汚染されにくくする。
【解決手段】クリーンルーム内には、2本の固定ガイドレール21を配設し、固定ガイドレール21間には走行ガイドレール22を走行自在に架設する。固定ガイドレール21は、走行ガイドレール22の端部に設けたスライダ35を走行させるための走行用空間34と、側面開口31と、前記走行用空間34内の塵埃を吸引してクリーンルームの外部へ排出するための吸引貫通路49とを備えている。走行ガイドレール22の端部には、吸気装置51を備えた排気結合用アダプタ56が設けられており、吸気装置51の一端は走行ガイドレール22の内部に形成された吸引貫通路54に連通し、他端が固定ガイドレール21の側面開口31を通過して吸引貫通路49の開口に臨んでいる。
【選択図】図10

Description

本発明はクリーンルーム用のワーク搬送装置に関する。特に、半導体部品、液晶表示パネル、医薬品、薬品、加工食品等のクリーンルーム内生産ラインにおいて、各処理室間でワークを移送させるためのワーク搬送システムに関する。
半導体集積回路、液晶表示パネル等では、塵埃の付着により歩留りが低下する。また、医薬品、薬品、加工食品等では、無菌の衛生的な環境において生産することが望ましい。そのため、これらの生産部門を含む広い分野においてクリーンルーム内生産ラインが稼動しており、クリーンルーム内に設置される各種処理室、搬送システム等に関して種々の技術開発が図られている。
(第1の従来例)
図1は従来より提案されているクリーンルーム内生産設備の一例を示す斜視図である。1はクリーンルーム内の床面を表わしており、クリーンルーム内には複数台の処理室2が整然と設置され、処理室2にワークを搬入出するためのインターフェイス装置3が各処理室2に隣接して設置されている。クリーンルーム床面1には、各インターフェイス装置3の正面を通過するように誘導路(軌道)4が敷設されており、誘導路4に沿って無人走行搬送車(AGV)5が床面走行している。
このクリーンルーム内では、ワークは、無人走行搬送車5によって各処理室2のインターフェイス装置3から別な処理室2のインターフェイス装置3へ運ばれる。インターフェイス装置(ワーク受け渡し装置)3は、処理室2内部とクリーンルームとを遮断した構造となっている。インターフェイス装置3を通して処理室2内に搬入されたワークは、処理室2の目的に応じた所定の処理を実行される。処理室2内で処理されたワークは、インターフェイス装置3を通して処理室2から取り出され、無人走行搬送車5へ移載される。こうして処理室2における処理工程の終了したワークは、次工程の処理室2へ運ばれ、インターフェイス装置3を通して次工程の処理室2内に搬入され、所定の処理を実行される。このようにしてワークは、クリーンルーム内において順次所定の処理が実行されてゆく。
しかし、このような構成のワーク搬送システムを用いた場合には、クリーンルーム内には各処理室2及びインターフェイス装置3の設置エリア以外にも、無人走行搬送車5を処理室2やインターフェイス装置3、メンテナンス要員等と干渉させることなく安全に走行させることができる十分な広さの搬送エリアを確保する必要がある。言い換えると、クリーンルーム内生産ラインで不具合率を低くして連続運転できるようにするためには、各処理室2やインターフェイス装置3を始めとする各種装置のメンテナンス作業等が必要であるため、無人走行搬送車5と衝突事故を起こすことなく安全にメンテナンス作業を行なえるようようにするための十分なエリアが必要となる。
このため図1に示したようなワーク搬送システムを用いたクリーンルームでは、大きな床占有面積を占めることになり、クリーンルームの単位容積当たりの設備コスト及び運用コストが高価であるため、クリーンルーム全体のコストが非常に高価になる。
(第2の従来例)
図2は従来の別なクリーンルーム内設備を示す斜視図である。このクリーンルーム内設備にあっては、天井走行式の無人走行搬送車7を使用している。すなわち、クリーンルーム内の天井下に空中レール6を配設し、空中レール6に沿ってモノレール型の無人走行搬送車7が走行するようにしてあり、無人走行搬送車7は各インターフェイス装置3の正面に沿ってその上方空間を走行する。
このクリーンルーム内設備では、床面1の上方で人の身長よりも十分に高い位置を無人走行搬送車7が通過するようにしているので、無人走行搬送車7とメンテナンス要員等との衝突事故の可能性は皆無となる。そのため、無人走行搬送車7が走行する空間の下のエリアを処理室2等のメンテナンスやワークの検査等を行なうためのエリアとして使用することができ、クリーンルームの床面積を小さくでき、クリーンルームの設備コスト及び運用コストを低廉にすることができる。この種のクリーンルームとしては、例えば特開平9−312322号公報に開示されたものがある。
(第3の従来例)
また、特開平10−250836号公報には、クリーンルームの上部空間に配設された無人走行搬送車がインターフェイス装置の上方を走行するようにしたものが開示されている。このような構成によれば、インターフェイス装置を付設された各処理室の中間には、メンテナンス作業を行なうためのメンテナンスエリアだけを確保すればよい。無人走行搬送車を走行させるためのエリアとメンテナンスエリアとを比較すると、メンテナンスエリアの方が占有床面積が小さいので、無人走行搬送車がインターフェイス装置の上方を走行するようにし、各処理室間にはメンテナンスエリアだけを確保するようにすれば、図2に示したクリーンルーム内設備よりも必要な床面積を小さくでき、クリーンルームのコストをより安価にすることができる。
特開平10−270530号公報 特開平10−199959号公報 特開昭62−88658号公報
しかしながら、上記のような従来のクリーンルーム内設備に用いられているワーク搬送システムは、いずれも搬送経路が固定されている。ワーク搬送システムの搬送経路が固定されていると、処理室やインターフェイス装置の設置位置は搬送経路によって制約を受け、必ずしも処理室やインターフェイス装置をクリーンルーム内で最適に配置することができなかった。すなわち、処理室に隣接するインターフェイス装置は、クリーンルーム内に設置された搬送経路の真下またはその近傍にしか設置することができず、また処理室の位置や向きもインターフェイス装置の位置に依存し、あまり自由に変更できない。新たな処理室を追加する場合も、各処理室やそのインターフェイス装置の配置を自由に設計することができず、設置位置の変更を余儀なくされる可能性もある。特に、高価なクリーンルーム内においては、最初からスペースに余裕を持たせることができないため、その設置位置の設計はますます窮屈なものとなる。
また、半導体装置や液晶表示パネル等の分野では、新しい方式や構造の出現によって製品のライフサイクルが年々縮まっているため、たびたび工場設備のリファインを進める必要がある。このような工場設備のリファインは、できるだけ低コストで行なうことが望まれる。しかし、実際には、既設のワーク搬送システムによってインターフェイス装置の設置位置などが制限されるので、依然として工程変更に伴う処理室やインターフェイス装置の入替え、配置の変更、増設などに対してはかなりの制約があり、それに伴ってコストも高くついていた。
本発明の目的とするところは、ワークを搬送するための移動装置の内部で発生した塵埃が移動装置からクリーンルーム内に漏れ出にくくし、クリーンルーム内が汚染されにくくすることのできるクリーンルーム用のワーク搬送システムを提供することにある。
請求項1に記載のワーク搬送システムは、ワークを保持するワーク保持部と前記ワーク保持部を移動させる移動手段とを備え、クリーンルーム内でワークを搬送するための搬送システムであって、前記移動手段は、クリーンルーム内に固定された第1の部材と、前記第1の部材に沿って移動する第2の部材と、前記ワーク保持部を支持すると共に前記第2の部材に沿って移動する第3の部材とからなり、前記第1の部材は、前記第2の部材の端部に設けたスライダを走行させるための走行用空間と、側面開口と、前記走行用空間内の塵埃を吸引してクリーンルームの外部へ排出するための吸引貫通路とを備え、前記第2の部材の端部には、一端が第2の部材の内部に形成された吸引貫通路に連通し、他端が前記第1の部材の側面開口を通過して前記吸引貫通路の開口に臨む吸気装置が設けられたことを特徴としている。
請求項1に記載のワーク搬送システムにあっては、第1の部材の走行用空間内の塵埃を吸引してクリーンルームの外部へ排出するための吸引貫通路が第1の部材に設けられているので、スライダの走行などによって第1の部材内に発生した塵埃は第1の部材の吸引貫通路に吸引されてクリーンルームの外部へ排出される。また、第2の部材の端部に吸気装置が設けられ、吸気装置の一端が第2の部材の内部に形成された吸引貫通路に連通し、吸気装置の他端が前記第1の部材の側面開口を通過して前記吸引貫通路の開口に臨んでいるので、第1の部材に対して第2の部材が移動しているにも拘わらず、第2の部材の内部で発生した塵埃は、第1の部材の吸引貫通路の吸引力によって第2の部材の吸引貫通路から吸引装置を通って第1の部材の吸引貫通路へ吸引され、クリーンルームの外部へ排出される。従って、このワーク搬送システムによれば、第1の部材や第2の部材の内部で発生した塵埃は、第1の部材や第2の部材からクリーンルームへ漏れ出にくくなり、クリーンルーム内のクリーン度が維持される。
請求項2に記載の実施態様における前記吸気装置は、前記第2の部材の吸引貫通路内の空気を吸引して前記第1の部材の吸引貫通路へ排気させるための排気用ファンを備えていることを特徴としている。
請求項2に記載の実施態様にあっては、第2の部材の吸引貫通路内の空気を吸引して第1の部材の吸引貫通路へ排気させるための排気用ファンを吸引装置に設けているので、第2の吸引貫通路内の塵埃は、第1の部材の吸引貫通路の吸引力と排気用ファンの吸引力とによって強制的に第1の吸引貫通路へ吸引されることになり、第2の部材で発生した塵埃をクリーンルームの外部へ排出する効果が高まる。
請求項3に記載の実施態様における前記吸気装置は、前記第1の部材と非接触となるように配置されていることを特徴としている。
請求項3に記載の実施態様にあっては、吸気装置が第1の部材と非接触となるように配置されているので、吸気装置が第1の部材と擦れて塵埃を発生することがない。
請求項4に記載の実施態様においては、前記スライダはジグザグに屈曲した連結部材を介して前記第2の部材の端部に設けられ、前記第1の部材の側面開口の一方の縁部の外面と他方の縁部の内面にそれぞれ遮蔽板を固定され、各遮蔽板は前記連結部材が屈曲することによって生じた溝部分に非接触で入り込むことにより、前記第1の部材の側面方向から見たときに前記側面開口から前記走行用空間が見えないように遮蔽板どうしが部分的に重なりあっており、前記吸気装置は、前記側面開口において前記遮蔽板間に形成された屈曲した空間に沿って配設されていることを特徴としている。
請求項4に記載の実施態様にあって、第1の部材の側面開口の一方の縁部の外面と他方の縁部の内面にそれぞれ遮蔽板を固定し、第1の部材の側面方向から見たときに前記側面開口から前記走行用空間が見えないように遮蔽板どうしが部分的に重なりあっており、前記吸気装置は、前記側面開口において前記遮蔽板間に形成された屈曲した空間に沿って配設されているので、第2の部材の内部の吸引貫通路と第1の部材の内部の吸引貫通路を吸気装置でつないだにも拘わらず、第2の部材のスライダと第1の部材の摩擦によって発生する塵埃が第1の部材から外部へ放出されにくくなる。
(第1の実施形態)
図3は本発明の第1の実施形態によるワーク搬送システムを用いたクリーンルームの内部のようすを示す全体斜視図である。クリーンルーム内の床面(フロアー)11には複数の処理室12とワーク待機部14が設置され、各処理室12にはインターフェイス装置13が付設されている。各処理室12は、順次ワークの製造をするための設備であって、それぞれ異なる処理を実施するものであるが、ワーク処理のタクトタイムのバランス等を考慮して同一処理室が複数含まれていてもよい。このような処理室12としては、例えば半導体ウエハのレジスト塗布、露光、現像、イオン打込み、アニール、スパタッリング等の処理を行なうための半導体ウエハ処理装置がある。以下の説明においても、半導体ウエハに対する処理を念頭において説明する。インターフェイス装置13は、処理室12内部とクリーンルームとを遮断するためのバッファ空間を構成するものであって、処理室12におけるワークの受け渡しはインターフェイス装置13を介して実行され、インターフェイス装置13のワーク搬入出口15はワークの搬入出を行なう場合以外は密閉されている。
処理室12及びインターフェイス装置13は、メンテナンス要員やオペレータ要員が作業するための最低限のメンテナンスエリアを隔てて整列配置されており、クリーンルームの床面積をできるだけ小さくしてクリーンルームの最大活用を図っている。ただし、各処理室12は、特に一列に並んでいる必要もないし、また前面(インターフェイス装置13の設けられている面)の向きも規定されておらず、ある程度のランダム配置が許される。
このクリーンルームの上部空間には、ワークを納めた密閉コンテナ16を各処理室12に処理順序に従って搬送するためのワーク搬送システムが設けられている。ワークは、特別にクリーン度を保つため、密閉コンテナ16内に密閉した状態で搬送される。ワークを搬送するための搬送システムは、ワークを納めた密閉コンテナ16を保持するワーク保持部17と、ワーク保持部17を3次元空間内で任意の方向に移動させることができる3次元移動機構18とから構成されている。3次元移動機構18は、ワーク保持部17をほぼ水平面内で移動させるための水平移動機構19と、ワーク保持部17を上下に昇降させるワーク昇降装置20とから構成されている。
この実施形態においては、図3に示すように、処理室12よりも高い空間において、クリーンルーム内には一対の水平な固定ガイドレール21が平行に配設されている。さらに、固定ガイドレール21間には、水平な走行ガイドレール22が1本ないし複数本架設されており、固定ガイドレール21に沿って走行できるようになっている。走行ガイドレール22には、走行ガイドレール22に沿って走行する走行体23が設けられており、走行体23にはワーク保持部17を昇降させることができるワーク昇降装置20が設けられている。しかして、固定ガイドレール21、走行ガイドレール22および走行体23によって水平移動機構19が構成されており、これにワーク昇降装置20を加えて3次元移動機構18が構成されている。
上記ワーク搬送システムの構造を詳細に説明すると以下に述べる通りである。固定ガイドレール21は、クリーンルーム内の上部空間において、対向する両側の壁面近くに設置されている。固定ガイドレール21は、クリーンルームの天井から吊り下げられるか、クリーンルームの床面11に立てた柱で支持される。この固定ガイドレール21の断面は図5〜図8に示されている。固定ガイドレール21には断面略C形をした中空のアルミフレーム引抜き材が使用されており、固定ガイドレール21の一方側面には全長にわたる側面開口31を有し、他方の内側面には固定ガイドレール21の全長にわたって電力供給用の給電レール32が配設されている。給電レール32は、固定ガイドレール21の端部において商用電源に接続されている。
図4は固定ガイドレール21に連結された走行部33を示す断面図、図5〜図8はそれぞれ図4のX1−X1線断面図、X2−X2線断面図、X3−X3線断面図およびX4−X4線断面図である。走行ガイドレール22は両端に走行部33を備えており、走行部33を固定ガイドレール21に走行自在に連結することによって走行ガイドレール22が固定ガイドレール21間に架設されている。走行部33は、固定ガイドレール21の走行用空間34内に納められたスライダ35と、スライダ35及び走行ガイドレール22の端部間をつなぐ連結部材36によって構成されている。
固定ガイドレール21内に納められているスライダ35にあっては、スライダ本体37のほぼ中央部にサーボモータ、パルスステップモータ等の走行駆動用のモータ38が取り付けられており、モータ38の出力軸には駆動ローラ39が取り付けられている。駆動ローラ39の外周面は、図5に示すように、側面開口31の下方において固定ガイドレール21の内側面に圧接している。
スライダ本体37の、モータ38を挟んで対称な位置には、それぞれベアリング付きの従動横ローラ40a、40bが設けられている。従動横ローラ40a、40bは、図6に示すように、スライダ本体37の上面と下面において、それぞれ軸芯41によって回動自在に軸支されている。スライダ本体37の上面に設けられている従動横ローラ40aは、側面開口31の上方において固定ガイドレール21の内側面に圧接し、スライダ本体37の下面に設けられている従動横ローラ40bは、側面開口31と反対側に位置する内側面に圧接している。このように、上の従動横ローラ40aが側面開口31側で固定ガイドレール21の内側面に接し、下の従動横ローラ40bが側面開口31と反対側で固定ガイドレール21の内側面に接しているのは、側面開口31側においてスライダ35の側面に連結部材36及び走行ガイドレール22を接続したとき、連結部材36及び走行ガイドレール22の重量によってスライダ35に発生する回転モーメントを受けるようにしたものである。また、側面開口31と反対側で下の従動横ローラ40bを固定ガイドレール21に圧接させることにより、その反力で上の従動横ローラ40aと駆動ローラ39を側面開口31側で固定ガイドレール21に圧接させ、駆動ローラ39による走行推進力を得ると共にスライダ35を水平方向にがたつかせることなく滑らかに走行させられるようにしている。
また、スライダ本体37の、モータ38を挟んで対称な位置には、それぞれベアリング付きの従動縦ローラ42a、42bが設けられている。従動縦ローラ42a、42bは、図7に示すように、スライダ本体37の上部と下部において、それぞれ軸芯43によって回動自在に軸支されている。スライダ本体37の上部に設けられている従動縦ローラ42aは固定ガイドレール21内の天面に圧接し、スライダ本体37の下部に設けられている従動縦ローラ42bは固定ガイドレール21内の底面に圧接している。このように従動縦ローラ42a、42bを固定ガイドレール21内の天面及び底面に圧接させることによりスライダ35を上下方向にがたつかせることなく滑らかに走行させるようにしている。なお、固定ガイドレール21内の、従動縦ローラ42a、42bが接触して走行する天面及び底面には全長にわたって薄い走行板44を配設し、固定ガイドレール21の摩耗を防止すると共に走行板44が摩耗した場合には、走行板44のみを簡単に交換できるようにしている。
また、従動縦ローラ42a、42bをモータ38の両側に設けることにより、ワーク昇降装置20によって走行ガイドレール22の軸心回りに発生する回転モーメントを受け止めることができる。
スライダ本体37の端部には集電子(ブラシ)45が設けられており、図8に示すように、集電子45は固定ガイドレール21の内面に設けられた給電レール32と摺接しており、スライダ本体37に搭載されたモータ38は給電レール32及び集電子45を通して電力供給を受け、駆動ローラ39を回転させることによってスライダ35を固定ガイドレール21内で走行させる。
集電子45が給電レール32から受けた電力は、ケーブル(図示せず)を通してモータ38へ供給される。また、モータ38のオン、オフ制御は、無線通信手段や光通信手段を用いて行なってもよく、給電レール32及び集電子45の一部をモータ38の制御信号伝送用に用いてもよい。
上記スライダ35と走行ガイドレール22をつなぐ連結部材36は、固定ガイドレール21の側面開口31を通過し、固定ガイドレール21内においてスライダ35と連結されており、固定ガイドレール21の外部で走行ガイドレール22の端部に連結されている。この連結部材36は、図5〜図8に示されているように、ジグザグに屈曲した断面形状(迷路状)を有している。一方、固定ガイドレール21の側面開口31付近においては、固定ガイドレール21の全長にわたって薄板状をした2枚の遮蔽板46、47がビス等で取り付けられており、当該遮蔽板46、47は、連結部材36に接触しないようにして、連結部材36の溝状部分(スリット)48内へ深く挿入されている。2枚の遮蔽板46、47は側面開口31の両側に取り付けられており、側面開口31に対して垂直な方向から見たときに互いに重なり合うようになっており、固定ガイドレール21の側面開口31は遮蔽板46、47によって覆われている。
上記のように、走行ガイドレール22の両端部に設けられた走行部33が固定ガイドレール21に沿って走行するが、走行部33の可動部分であるスライダ35は固定ガイドレール21の走行用空間34内に納められているので、可動部分(スライダ35)から発生する塵埃は固定ガイドレール21の外部へ放出されにくく、しかも、固定ガイドレール21の側面開口31を遮蔽板46、47で覆っているので、塵埃が固定ガイドレール21の外へより一層に放出されにくくなっている。さらに、固定ガイドレール21の内部と外部を連通させる、連結部材36と固定ガイドレール21及び遮蔽板46、47との間の隙間がジグザグとなっているから、駆動ローラ39や従動横ローラ40a、40b、従動縦ローラ42a、42bと固定ガイドレール21との接触により発生する塵埃が連結部材36と固定ガイドレール21との隙間を通って外部へ漏れにくくなっている。よって、固定ガイドレール21内で発生した塵埃によるクリーンルーム内部の汚染を最小限に留めることが可能となる。
また、固定ガイドレール21内には、スライダ35を納めた走行用空間34に隣接して塵埃を吸引するための吸引貫通路49が全長にわたって2本設けられている。2本の吸引貫通路49と走行用空間34との間には、固定ガイドレール21の全長にわたって、あるいは所定間隔毎にスリット状または孔状の集塵用開口50があけられており、集塵用開口50を介して吸引貫通路49と走行用空間34とが互いに連通させられている。吸引貫通路49内は、固定ガイドレール21の一方端部又は両端部において、例えばホース(図示せず)等を介してクリーンルーム外に設置された真空ポンプ等の吸引装置に接続され、固定ガイドレール21の他方端部はキャップ等により塞がれており、走行用空間34内で発生した塵埃は集塵用開口50を介して吸引貫通路49内に吸引され、クリーンルーム外へ排出される。
上記のようにして固定ガイドレール21内で発生した塵埃を固定ガイドレール21内に閉じ込める構成としていても、ワーク搬送システムを稼働しているうちに固定ガイドレール21内の塵埃密度は次第に高くなり、固定ガイドレール21内を走行するスライダ35によって塵埃が散乱させられる。そこで、固定ガイドレール21に吸引貫通路49を設けて吸引貫通路49の端からエア強制吸引を行なうことにより、固定ガイドレール21内に閉じ込めた塵埃を吸引貫通路49へ吸引し、さらにクリーンルーム外へ排出することができる。よって、固定ガイドレール21内で発生した塵埃によってクリーンルーム内が汚染される恐れをより少なくできる。また、走行用空間34と吸引貫通路49を仕切り、その間にスリット状または孔状の集塵用開口50をあけているので、集塵力を高めることができる。
固定ガイドレール21間に架設されている走行ガイドレール22も、図示しないが、固定ガイドレール21とほぼ同一の構造を有している。違いは、走行ガイドレール22の給電レールには、走行部33に設けられた集電子45を介して固定ガイドレール21の給電レール32から電力を供給されている点である。
また、走行ガイドレール22の端部と走行部33との間には、図10に示すように排気結合用アダプタ56が設けられており、排気結合用アダプタ56の空所57内には、図9に示すような吸気装置51が納められている。この吸気装置51は、端部開口がスリット状に薄くなった排気ダクト53を保形性を有するフレキシブルチューブ55を介して排気用ファン52の排気側に接続したものである。排気用ファン52は、排気結合用アダプタ56の空所57内に固定されており、フレキシブルチューブ55は遮蔽板46、47間の隙間を通って固定ガイドレール21の走行用空間34内に導かれ、排気ダクト53はその先端が集塵用開口50と対向するようにしてスライダ35に固定されている。また、走行ガイドレール22に設けられている2本の吸引貫通路54は、走行ガイドレール22の端部において排気結合用アダプタ56の空所57(あるいは、排気用ファン52)と連通している。
しかして、この排気用ファン52は、スライダ35から電力供給を受けて回転し、走行ガイドレール22の吸引貫通路54内の空気を吸引し、フレキシブルチューブ55及び排気ダクト53を介して固定ガイドレール21の吸引貫通孔49へ強制排気する。従って、走行ガイドレール22内で発生した塵埃は、吸引貫通路54及び吸気装置51を通じて固定ガイドレール21の吸引貫通路49へ排出され、さらにクリーンルーム外へ排気される。図10の図示例では、排気ダクト53の先端が集塵用開口50に臨ませられており、排気用ファン52の排気力と集塵用開口50における吸引力との双方で走行ガイドレール22の吸引貫通路54内の空気を固定ガイドレール21の吸引貫通路49へ直接に、かつ強力に排気できる構造としているが、排気ダクト53の先端を固定ガイドレール21の走行用空間34内の集塵用開口50から離れた箇所に位置させ、排気用ファン52により走行ガイドレール22の吸引貫通路54内の空気を固定ガイドレール21の走行用空間34へ排気し、さらに吸引貫通路49からクリーンルーム外へ排気する構造としてもよい。
なお、ここで述べたような吸気装置51は排気用ファン52を備えているが、排気用ファンを有しない吸気装置を用いてもよい。すなわち、固定ガイドレール21の吸引貫通路49と走行ガイドレール22の吸引貫通路54とを排気ダクト53及びフレキシブルダクト55のみでつなぎ、固定ガイドレール21の吸引貫通路49の吸引力によって走行ガイドレール22の吸引貫通路54内も強制排気するようにしてもよい。
走行ガイドレール22に沿って走行するようになった走行体23も、図示しないが、固定ガイドレール21の走行部33とほぼ同一の構造を有しており、集電子を通して走行ガイドレール22の給電レールから受け取った電力でモータを駆動することにより走行ガイドレール22に沿って走行する。
走行体23に設けられたワーク昇降装置20は、クリーンルームの床面11と垂直に直線昇降を行うリンク式アーム構造となっている。図11に示すワーク昇降装置20は、3本のアーム61、62、63を連結して構成されており、各アーム61、62、63間は互いに連通し、ワーク昇降装置20全体としては密閉した構造となっている。ワーク昇降装置20の一方は走行体23に回動自在に連結され、他方にはワーク保持部17を取り付けられている。図12(b)または図13(b)に示すように、第1アーム61の基端側関節は、走行体23に固定された減速機64の出力部に取り付けられており、走行体23内に設置されたモータ65に取り付けたタイミングプーリ66と減速機64の入力側に取り付けたタイミングプーリ67の間にタイミングベルト68を掛け回している。同様に、第2アーム62の基端側関節は、第1アーム61の先端側関節に固定された減速機69の出力部に取り付けられており、第1アーム61内に設置されたモータ70に取り付けたタイミングプーリ71と減速機69の入力側に取り付けたタイミングプーリ72の間にタイミングベルト73を掛け回している。また、第3アーム63の基端側関節は、第2アーム62の先端側関節に固定された減速機74の出力部に取り付けられており、第2アーム62内に設置されたモータ75に取り付けたタイミングプーリ76と減速機74の入力側に取り付けたタイミングプーリ77の間にタイミングベルト78を掛け回している。ワーク保持部17は、第3アーム63の先端側関節に気密的に固定された減速機79の出力部に把持ユニット(チャック)81を取り付け、第3アーム63内に設置されたモータ80で減速機79を介して把持ユニット81を開閉駆動するようにしたものである。
しかして、このワーク昇降装置20にあっては、走行体23及び第1、第2アーム61、62に内蔵されたモータ65、70、75の回転力を各タイミングプーリ及びタイミングベルトで各減速機64、69、74に伝え、各減速機64、69、74の出力軸に固定された各アーム61、62、63を回転させることによってワーク昇降装置20を駆動することができる。すなわち、図12(a)(b)に示すように、各アーム61、62、63を畳むように曲げることでワーク保持部17を上昇させ、図13(a)(b)に示すように、各アーム61、62、63を伸ばすことでワーク保持部17を下降させることができる。このように多アーム式の構造においては、3つのアーム61、62、63が最大に伸びた状態と折り畳まれて収縮した状態での昇降方向の収縮率が大きくなり、処理室12からクリーンルームの天井までの間隔(空間高さ)を短くでき、クリーンルームの設備コスト及び維持コストを低く抑えることができる。
また、ワーク昇降装置20に用いられている各関節の各軸間の減速比を1:2:1としておけば、同じ入力回転数を与え、各アーム61、62、63を同時に動かしたとき第3アーム63は垂直方向に直線的に動くことになり、第3アーム63の下端に取付けられたワーク保持部17が垂直直線昇降を行う。また、各モータ65、70、75の駆動(回転角)を互いに関連付けて電子制御することにより、ワーク保持部17が床面11に対して垂直な直線に沿ってのみ昇降するように直線動作させるようにもできる。もちろん、ワーク保持部17をある位置から別な位置へ移動させるようにポイント・トゥ・ポイント(point to point)で各モータ65、70、75を制御することも可能である。
また、ワーク昇降装置20の各関節部分に設けられている減速機64、69、74の出力軸は回転中空軸となっていて各減速機64、69、74には空洞が貫通しており、走行体23及び第1アーム61、第1及び第2アーム61、62、第2及び第3アーム62、63の間はそれぞれ減速機64、69、74の空洞を介して連通している。一方、走行体23及び各アーム61、62、63間の関節部分は、外部に対しては塵埃が漏れない程度の気密性を保っている。例えば、各減速機64、69、74の回転部分には、磁性流体等を用いたシール部を取り付けてあり、関節部分から外部へ塵埃が流出するのを防止している。従って、このワーク昇降装置20では、可動部分を内部に密閉でき、外部へ可動部分の塵埃が放出されるのを防止できる。また、各アーム61、62、63の内部空間は関節部分の中空軸(減速機)を介して互いに連通しており、さらに第1アーム61は減速機64を介して走行体23内部と連通し、走行体23内部は走行ガイドレール22内部と連通している(走行体23にも、図9に示したような吸気装置51と同様な吸気手段が設けられている)ので、各アーム61、62、63内で発生した塵埃は走行体23を介して走行ガイドレール22の吸引貫通路54へ吸引され、さらに固定ガイドレール21の吸引貫通路49を介してクリーンルーム外部へ排出される。このようにしてワーク昇降装置20でも、ワーク保持部17の昇降動作に伴うクリーンルーム内の汚染を最小限に留めることが可能となる。なお、各モータ65、70、75の駆動用電源ケーブルなどは、減速機64、69、74の空洞を介して走行体23へ導くことができ、走行体23の集電子45から各モータ65、70、75へ給電することが可能になる。
ワーク保持部17は、モータ80及び減速機79により把持ユニット81を回転させるようになっており、これによりワークの姿勢を変えることができる。また、把持ユニット81は内蔵の電気的もしくは空電的な駆動源により爪81aを開閉することができ、爪81aで密閉コンテナ16の上面に設けられた取っ手92をつかむことができる。
ワーク搬送システムは、上記の様な構造を有しているので、ワーク保持部17によって密閉コンテナ16をつかんで搬送することができ、走行ガイドレール22を固定ガイドレール21に沿って走行させることにより密閉コンテナ16を固定ガイドレール21と平行に水平搬送することができ、走行体23を走行ガイドレール22に沿って走行させることにより密閉コンテナ16を走行ガイドレール22と平行に水平搬送することができ、ワーク昇降装置20を駆動することにより密閉コンテナ16を上下方向に昇降させることができ、これらの動作を同時に組み合わせることによって密閉コンテナ16を3次元空間内における任意の方向に搬送することができる。
しかして、このワーク搬送システムにおいては、走行ガイドレール22及び走行体23を駆動することによってワーク保持部17を任意の位置へ水平移動させることができ、ワーク昇降装置20によってワークを垂直に昇降させることができるので、処理室12上空の3次元空間でワーク保持部17を自由に移動させることができ、任意の位置に設置された各処理室12に付設のインターフェイス装置13やワーク待機部14に対してアクセスが可能となる。
無人走行搬送車が床面を走行する従来のワーク搬送システムと比較すると、本発明のワーク搬送システムでは、処理室やインターフェイス装置どうしの間にあったワーク搬送エリアが不要になるので、クリーンルーム内のスペースを効率的に使用できるようになる。すなわち、従来床面に必要であったワーク搬送エリアを無くすことができるので、クリーンルームの必要面積を小さくでき、その設置及び運用コストを大幅に削減できる。また、クリーンルーム内上空の空間を搬送経路として使用できるので、床面に設置された他の工場内設備との干渉を無くし、ワーク搬送によるトラブル発生を極力押さえることができる。さらに、床面にはワーク搬送に必要な装置や設備がないので、メンテナンス要員による処理室のメンテナンス作業を妨げることがない。
また、本発明に係るワーク搬送システムにあっては、クリーンルーム内上空の任意の空間をワークの搬送経路として使用できるので、ワーク搬送経路を選択する際、処理室12等の設置位置などの制約を受けることなく搬送経路を決定することができる。逆に、各処理室12等を床面11上へ配置するに際しては、ワーク搬送経路に依存することなく独立して配置を決めることができる。
さらに、本発明に係るワーク搬送システムにおいては、ワーク保持部17を任意の位置へ移動させることができ、任意の搬送経路を自由に選択することができる。特に、処理室12等がどの位置に設置されていても、インターフェイス装置13の位置をクリーンルーム内のXY座標で表わすことができるので、固定ガイドレール21に沿った走行部33の位置をX座標に対応させ、走行ガイドレール22に沿った走行体23の位置をY座標に対応させることにより、ワーク搬送位置を簡単に制御することができる。また、ワーク昇降装置20におけるワークの保持位置もZ座標と対応させることができる。従って、処理室12等は特に整列させて配置する必要はなく、障害物を避けてランダムに配置することも可能となり、処理室12等の設置位置等に対する制約を緩和することができる。
また、各処理室12等を一度配置した後も、クリーンルーム内部のリニューアルのために配置替えをしたり、新たな処理室12等を追加したりしても、ワーク搬送システムのハード部分は殆ど変更する必要がなく、ワーク搬送システムを稼働させるためのソフトを変更するだけでワーク搬送経路を変更して対応することができる。従って、ライフサイクルの短い製品の工場設備にとって、処理工程の変更を必要とする場合でも、既存設備を有効利用でき、追加コストを極力抑えることができる。
また、ワーク保持部17を処理室12上空の空間で直線的に最短距離で移動させることも可能になるので、ワークの処理時間に対する搬送所要時間の割合を少なくでき、クリーンルーム内全体でのワーク処理時間(タクトタイム)を短縮することができる。
(密閉コンテナ)
図14及び図15に密閉コンテナ16の構造を示す。密閉コンテナ16はワーク91をクリーンな環境で搬送できるようにするものであり、密閉コンテナ16はコンテナ本体94aと密閉扉94bとからなり、コンテナ本体94aの上面には、ワーク保持部17の把持ユニット81で保持するための取っ手92が設けられており、ここを把持ユニット81でつかんで処理室12から別な処理室12へ運ぶことができる。密閉コンテナ16は、内部を気密的に密閉できるようになっており、ワーク搬送システムによる高速搬送にも耐えられるような構造となっている。コンテナ本体94aの内部には多段のラック棚93が設けられており、ラック棚93にはそれぞれ板状の基板やウエハ等のワーク91を水平に載置することができる。密閉コンテナ16の前面には密閉扉94bが設けられており、密閉扉94bを開くことによってワーク91を出し入れでき、密閉扉94bを閉じることにより内部を気密的に密閉できるようになっている。
また、コンテナ本体94aは開口部の周囲をインターフェイス装置13のワーク搬入出口15の周囲と気密的に連結できる構造を有しており、密閉扉94bはコンテナ本体94aの開口部周囲をワーク搬入出口15の周囲に気密的に連結している時にのみ開かれる。しかして、図16(a)に示すように密閉コンテナ16をインターフェイス装置13のワーク載置台95に置き、ワーク載置台95によって密閉コンテナ16をワーク搬入出口15へ運ぶと、コンテナ本体94aの開口部周囲とワーク搬入出口15の周囲とが気密を保った状態で連結される。ついで、図16(b)に示すように、インターフェイス装置13の開閉シャッター96が開くと、インターフェイス装置13の扉保持装置(図示せず)が密閉コンテナ16の密閉扉94bをつかんで開き、インターフェイス装置13の内部と密閉コンテナ16の内部とを連通させる。なお、扉保持装置は、機械的手段、吸着手段、磁気的手段などによって密閉扉94bをつかむものである。
従って、この密閉コンテナ16は、その内部空間と外部大気(クリーンルーム内の大気)との接触を絶つことができ、クリーンルーム内(処理室12等の外部)のクリーン度が多少低くてもワーク91に接触する雰囲気のクリーン度を一定に保ったままでワーク91を搬送できる仕組みとなっている。
このようにしてワーク91を露出させたままで搬送することなく、密閉コンテナ16内に密閉した状態で搬送することにより、処理室12やインターフェイス装置13、密閉コンテナ16以外のクリーンルーム内空間を低いクリーン度で満足させることができ、クリーンルームの設備コスト及び運用コストを安価にできる。クリーン度の要求水準を緩和することによってクリーンルームのコストを安価にできれば、クリーンルームとしてある程度広いエリアを確保することも可能となり、拡張性を見込んだクリーンルーム設計も可能になる。例えば、クリーンルームの建設当初は処理室12の数も少ないが、後からだんだん増設したり、高性能な大型処理室12と入れ替えたりする場合も、本発明の柔軟性の高いワーク搬送システムと密閉コンテナ16を組み合わせて使用することにより、多大な拡張性を実現することができる。また、複雑で高度な新規工程を必要とする仕様のワークに対しても、クリーンルームを建設し直すことなく拡張でき、設備投資を最小限に抑えることができ、コスト競争力のある製品(ワーク)の製造に貢献することができる。
(クリーンルーム内での処理)
上記のようなワーク搬送システムは、ワーク91を納められた密閉コンテナ16をワーク保持部17によって保持し、処理室12から別な処理室12へ、あるいは処理室12とワーク待機部14との間で搬送され、各処理室12において順次所定の処理を施される。そのためワーク搬送システムには、あらかじめ各インターフェイス装置13の設置位置や搬送順序がデータ入力されており、図17に示すように、ワーク搬送システムは、各処理室12以外のエリア上空の経路を自動選択する制御装置101を備えている。
クリーンルーム内に各処理室12及びインターフェイス装置13が設置された後、ワーク搬送システムを制御する制御装置101の記憶装置102には、キーボードやコンソール等の入力装置103から各処理室12の工程内容情報とインターフェイス装置13の配置情報が入力される。制御装置101は、これらの情報と予め設定されたワーク搬送に関する種々の情報(例えば、ダウンフローエアーを乱さないための条件)等に基づき、定められた手順により自動的に搬送経路を演算し自動選択する。制御装置101が選択する搬送経路は、一般的には、各処理室12の真上の空間ではなく、各処理室12間の中間エリア(メンテナンスエリア等)上の空間となっている。
制御装置101によって搬送経路が選定されると、ワーク搬送システムは、その経路に沿ってワーク91を搬送する。これによりクリーンルーム内におけるクリーン度の撹乱を最小限に抑えたワーク搬送が可能となる。例えば、クリーンルームの中央付近ではなく、周辺付近の経路を最適条件として設定してあれば、処理室12の大きさや配置等の物理的条件、その都度発生する特殊事情を考慮した人為的判断の条件なども含めて制御装置101が自動的に最適搬送経路を算出し、ワーク搬送システムを制御してワーク搬送を行う。この結果、シビアなクリーンルーム環境保全を考慮した自由な最適搬送経路選択が可能となる。
こうして密閉コンテナ16がワーク搬送システムによってインターフェイス装置13へ搬送されると、図16(a)に示すように、ワーク昇降部によってインターフェイス装置13前面のワーク載置台95の上に置かれる。密閉コンテナ16がワーク載置台95の上に載ると、ワーク搬送システムは、ワーク保持部17から密閉コンテナ16を解放する。これによってワーク搬送システムも当該密閉コンテナ16から解放される。密閉コンテナ16が置かれると、ワーク載置台95は密閉コンテナ16を搬送して密閉コンテナ16の密閉扉94bの周囲をインターフェイス装置13のワーク搬入出口15の周囲へ密着させる。密閉コンテナ16の密閉扉94bの周囲がワーク搬入出口15の周囲に接触すると、密閉扉94bの周囲はワーク搬入出口15の周囲と気密的に連結する。
ついで、図16(b)に示すように、インターフェイス装置13の開閉シャッター96を開くと、扉保持装置によって密閉コンテナ16の密閉扉94bも開かれ、外部に対しては気密性を保ったままで、インターフェイス装置13と密閉コンテナ16の内部とが連通させられる。そして、インターフェイス装置13のワーク受け渡し装置97により、密閉コンテナ16から半導体ウエハ等のワーク91を取り出して処理室12へ送り込む。また、処理室12内で処理の完了したワーク91は、ワーク受け渡し装置97により空の密閉コンテナ16内の元の位置へ戻される。
こうして処理済みの全てのワーク91が密閉コンテナ16に戻されると、インターフェイス装置13の開閉シャッター96を閉じ、扉保持装置によって密閉コンテナ16の密閉扉94bを閉じる。こうして処理済みのワーク91が元のように密閉コンテナ16に密閉されると、再びワーク搬送システムによって密閉コンテナ16がつかまれ、次工程の処理室12へ搬送される。
また、クリーンルーム内の処理室12から離れた場所には、図1に示すようにワーク待機部14が設けられており、処理室12から処理室12へ密閉コンテナ16を移動させる際、一時的にワーク待機部14に密閉コンテナ16を保管できるようにしている。このようにワーク待機部14を設けておけば、ある工程の処理室12から別の工程の処理室12へ密閉コンテナ16を搬送する際、搬送先の処理室12が稼働中である場合にはワーク待機部14へ密閉コンテナ16を置いて一時的に待機させることができる。このようなワーク待機部14を設けておくことにより、次工程の処理室12が受入れ許可となるまでの待ち時間の間、別の処理室12への対応や別の密閉コンテナ16の搬送を行なうことができ、ワーク処理のタイミングを調整したり、バッファの役目をさせたりすることによりワーク搬送システムの稼働効率を向上させることができる。なお、このワーク待機部14のワーク載置面の高さを、ワーク搬送時におけるワーク保持位置に近くしてあれば、ワーク待機部14に密閉コンテナ16を置いたり、取り上げたりする際の昇降動作時間を短くでき、いっそう作業効率をアップすることができる。
また、ワーク待機部14と同様な理由から、各インターフェイス装置13の前面には、ワーク搬入出口15とワーク載置台95を複数組設けてあり、複数の密閉コンテナ16を待ち時間なく効率よく処理できるようにしている。
このようにしてワーク搬送システムによって処理室12から処理室12へ搬送され、各処理室12で順次所定の処理を実行され、全処理工程が実行されるとクリーンルーム内における処理が終了する。
(別なワーク昇降装置)
上記実施形態ではアーム式のワーク昇降装置20を説明したが、ワーク昇降装置20としては、図18に示すようなスライド構造(テレスコピック構造)によって下端のワーク保持部17を垂直直線昇降させるようにしてもよい。
図19及び図20は、図18のY−Y線断面図であって、ワーク保持部17を下降させた状態と上昇させた状態を示している。110は走行ガイドレール22に対して走行する走行体23に取り付けられる取付け部であって、このワーク昇降装置20は取付け部110側から、第1フレーム111、第2フレーム112、第3フレーム113となっている。第1フレーム111内に納められたスライダ114は、第1フレーム111に固定されたガイドレール115に摺動自在に取付けられ、また取付け部110に固定されている。第1フレーム111内において回転自在に支持されたボールネジ116は、スライダ114と螺合し、第1フレーム111内に設置されたモータ117に連結されている。従って、モータ117を駆動してボールネジ116を回転させると、スライダ114がガイドレール115に沿って相対的に移動するが、スライダ114が取付け部110に固定されている結果、第1フレーム111が取付け部110に対して昇降する。
第2フレーム112内に納められたスライダ118は、第2フレーム112に固定されたガイドレール119に摺動自在に取付けられており、また第1フレーム111に固定されている。スライダ118にはタイミングプーリ120が回転自在に取付けられており、第2フレーム112内に固定されたボールネジ121がタイミングプーリ120と螺合している。第1フレーム111のボールネジ116の端部にはタイミングプーリ122が固定されており、第2フレーム112内のタイミングプーリ120との間にはタイミングベルト123が掛け回されている。従って、第1フレーム111内のモータ117によってボールネジ116が回転させられると、タイミングプーリ122及びタイミングベルト123を介してタイミングプーリ120が回転し、それによってスライダ118がボールネジ121に沿って移動する。この結果、第2フレーム112が第1フレーム111に沿って昇降するようになっている。ここで、モータ117を駆動したときの第1フレーム111の移動方向と第2フレーム112の移動方向は同じ向きとなっており、移動量も等しくしている。従って、取付け部110に対しては、第2フレーム112は第1フレーム111の2倍の距離移動する。
第3フレーム113は第2フレーム112に隣接して設けられている。第3フレーム113内には、ボールネジナット124とスプラインナット125が上下に配置されており、両ナット124、125には1本のボールネジスプライン126(ボールネジに複数本のスプライン溝を設けたもの)が螺合させられている。モータ127に取付けたタイミングプーリ128とボールネジナット124に設けたタイミングプーリ129との間にはタイミングベルト130が掛け回されている。また、モータ131で駆動される減速機132に取付けたタイミングプーリ133とスプラインナット125に設けたタイミングプーリ134との間にもタイミングベルト135が掛け回されている。3本のボールネジスプライン126の下端には密閉コンテナ16をつかむためのワーク保持部17が設けられている。しかして、モータ127、131を駆動してボールネジナット124及びスプラインナット125を回転させることにより、ワーク保持部17を昇降及び回転させることができる。
以上のような構造のワーク昇降装置20によれば、各フレーム111、112、113が最大に伸びた場合と、収縮した場合の昇降方向の収縮率が大きくなり、ワーク昇降装置20をロングストローク化できる。特に、フレーム111、112、113を多段にすることにより、昇降方向の収縮率をいっそう大きくできる。その結果、処理室12からクリーンルームの天井までの間の空間高さを短くでき、クリーンルームの設備コスト及び維持コストを低く抑えることができる。
また、詳細は省略するが、このワーク昇降装置20でも、全体が密閉構造となっており、各フレーム111、112、113どうしは互いに内部が連通しており、また、ワーク昇降装置20の内部は走行体23の内部と連通している。
(第2の実施形態)
図21は、本発明の別な実施形態によるワーク搬送システムを備えたクリーンルームの内部を示す斜視図である。ここに示されているワーク搬送システムは、固定ガイドレール21に沿って走行する走行ガイドレール22と、走行ガイドレール22に沿って走行する走行体23によって水平移動機構19が構成されている。第1の実施形態と異なり、走行体23は、ワーク昇降装置20を備えていない。従って、ワーク保持部17は、走行体23に直接取付けられている。このようなワーク搬送システムにおいては、密閉コンテナ16を保持して水平面内でしか搬送することができないが、密閉コンテナ16の保持位置を処理室12及びインターフェイス装置13の高さよりもわずかに上方とすることにより、処理室12やインターフェイス装置13と干渉することなく処理室12上方の2次元空間を自由に移動できる。
一方、このワーク搬送システムにおいては、ワーク載置台95を昇降させることによってワーク(密閉コンテナ16)を昇降させるためのワーク昇降装置141をインターフェイス装置13に設けている(あるいは、インターフェイス装置13に隣接してワーク昇降装置141を設けてもよい)。インターフェイス装置13の前面には、複数のワーク搬入出口15が水平方向に隣接して設けられており、ワーク昇降装置141はその前面において水平移動部142の上に設けられており、ワーク昇降装置141は水平移動部142によりワーク搬入出口15の配列方向に沿って水平に移動できるようになっている。また、ワーク昇降装置141は、ワーク載置台95を処理室12及びインターフェイス装置13の高さよりも高い位置まで上昇させることができ、ワーク搬入出口15の下までワーク載置台95を下降させることができる。
しかして、このワーク搬送システムにおいては、ワーク載置台95は複数のワーク搬入出口15のうちの特定位置に待機しており、ワーク昇降装置141は、ワーク保持部17が密閉コンテナ16を搬送して到着する直前に、密閉コンテナ16が搬送されてくる高さ(処理室12よりも高い位置)までワーク載置台95を上昇させ待機させる。そして、ワーク保持部17に搬送された密閉コンテナ16がワーク載置台95のところにくると、ワーク載置台95が密閉コンテナ16を受け取り、ワーク保持部17は密閉コンテナ16を解放する。ワーク昇降装置141がワーク載置台95をワーク搬入出口15まで下降させると、ワーク載置台95は密閉コンテナ16をインターフェイス装置13のワーク搬入出口15まで水平移動させる。このとき、各ワーク搬入出口15のうちのいずれかがワーク搬入可能にワーク受け渡し装置97の準備できているので、ワーク昇降装置141はそのワーク搬入出口15へ水平移動することになる。そして、インターフェイス装置13と密閉コンテナ16とが連結された後、各ワーク搬入出口15と処理室12との間でワークの受け渡しを行うためのワーク受け渡し装置97が密閉コンテナ16内のワークを受け取る。
このようなワーク搬送システムによれば、インターフェイス装置13にワーク昇降装置141を設けているので、ワーク保持部17は昇降動作することなく、密閉コンテナ16をインターフェイス装置13に渡すとすぐ、別なワーク搬送動作へ移行することができる。これによりワーク搬送作業をスピードアップでき、他の処理室12の待ち時間を短くして生産効率を向上させることができる。
また、このインターフェイス装置13には、複数のワーク搬入出口15が設けられているので、ワーク載置台95に密閉コンテナ16を載せられたワーク昇降装置141は、直ぐ下のワーク搬入出口15が空いていなければ他のワーク搬入出口15を探し、複数のワーク搬入出口15を密閉コンテナ16で満たすことができる。従って、インターフェイス装置13内のワーク受け渡し装置97自体のワークの待ち時間を無くすことができ、処理室12の稼働効率を向上させることができる。
また、このワーク搬送システムによれば、ワーク保持部17側に昇降のための高さが不要となるので、クリーンルーム内における処理室12上方の空間高さを低くすることができ、クリーンルームの設置コスト及び運用コストを大幅に削減できる。
つぎに、この実施形態においては、固定ガイドレール21に連結された走行部33の走行用駆動力として、非接触で走行する下記のような磁気浮上式のリニアモータを使用している。図22に示すように、固定ガイドレール21には、上面で開口した走行用空間146が設けられている。走行用空間146の両側面及び底面には、固定ガイドレール21の全長にわたって、極性(N極、S極)を交互に反転させて永久磁石147、148を配列している。走行部33は、固定ガイドレール21を包むように形成された筒状部149の天面中央部からスライダ35が垂下されている。スライダ35は、固定ガイドレール21の上面開口150から走行用空間146内に納められている。走行用空間146に納められたスライダ35は、走行用空間146の両側面の永久磁石147と対向する両側面において、走行方向に沿って永久磁石147と同じ間隔で電磁コイル151が配列されている。この電磁コイル151は、極性が交互に反転するように励磁される。同様に、スライダ35下面の永久磁石148と対向する面には、走行方向に沿って永久磁石148と同じ間隔で電磁コイル152が配列されている。この電磁コイル152も、極性が交互に反転するように励磁される。
しかして、これらの電磁コイル151、152は、スライダ35が走行して移動するにつれ、励磁電流を変化させることにより相対向する永久磁石147、148と逆極性となるように制御される。従って、スライダ35は永久磁石148と電磁コイル152の磁気的反発力によって走行用空間146内で浮上し、また永久磁石147と電磁コイル151の磁気的反発力によって左右両側面を固定ガイドレール21から離間させる。さらに、磁気的な反発力と極性の位相変化により、固定ガイドレール21の長さ方向において永久磁石147、148と電磁コイル151、152との間に磁気的反発力と磁気的吸引力を発生させ、これによってスライダ35の推進力を発生させる。よって、固定ガイドレール21内でスライダ35を浮上させたまま非接触でスライダ35を走行させることができる。走行部33は非接触のままで走行するので、クリーンルーム内のクリーンな状態を撹乱させることなく、走行部33をスムーズに走行させることができる。
また、図22に示すように、スライダ35の両側面及び下面には、それぞれ転動自在な車輪153、154を設けている。スライダ35の走行時にはこれらの車輪153、154は固定ガイドレール21に接触しないが、スライダ35の走行停止時に電磁コイル151、152の励磁電流をオフにすると、スライダ35の両側面及び下面に設けた車輪153、154が固定ガイドレール21に接触し、スライダ35が車輪153、154により支えられる。スライダ35の停止時には、電磁コイル151、152の励磁電流をオフにして省電力を図ることができると共に、スライダ35を車輪153、154で支えることによって走行部33を固定することができる。
さらに、固定ガイドレール21の側面には、高周波交流電流の流れる2本の送電線155が全長にわたって配線されており、筒状部149の内側面にはE形コア156が設けられ、E形コア156にピックアップコイル157が巻かれており、送電線155はE形コア156の凹部内に近接させた状態となっている。しかして、一次側送電線155から発生する交番磁界とE形コア156に巻かれたピックアップコイル157の交叉により、ピックアップコイル157を二次側として誘導起電力が生じ、非接触で送電線155から走行部33へ電力を供給することができる。このような非接触給電方式を用いれば、可動式の給電ケーブルや接触式の給電方式を用いる場合に比べると、それに伴う可動部や接触部がなく、塵埃の発生を極力抑えることができる。これにより、クリーンルーム内のクリーンな状態を撹乱させることなく、クリーン度を高精度に維持できる。
図示しないが、走行ガイドレール22と走行体23の間の構造も、ここで説明した固定ガイドレール21と走行ガイドレール22の走行部33の構造と同様な構造となっている。
(第3の実施形態)
図23は本発明のさらに別な実施形態によるワーク搬送システムを用いたクリーンルーム内のようすを示す全体斜視図である。このワーク搬送システムでは、ワーク保持部17側にもインターフェイス装置13側にもワーク昇降装置が設けられていない。ワーク保持部17は、固定ガイドレール21に沿って走行する走行ガイドレール22と、走行ガイドレール22に沿って走行する走行体23とにより水平移動機構19が構成され、2次元空間(水平面内)を自由に走行できるようになっている。また、ワーク保持部17は、インターフェイス装置13のワーク載置台95の上面(ワーク搬入出口15)と同じ高さに保持されており、制御部によって処理室12及びインターフェイス装置13と干渉しないよう、それらの間の空間を走行するように制御される。ただし、各インターフェイス装置13のワーク搬入出口15の高さが、誤差等により受け渡しに支障をきたす高さの違いがあれば、インターフェイス装置13とワークの受け渡しをする際、その都度ワーク保持部17が微小昇降して高さ調整されるようにしてある。よって、この高さ補正により段差なくワークの受け渡しをスムーズに、短時間で行なうことができる。
ワーク保持部17の走行経路は、予めティーチングによって制御装置に記憶させておく方式でもよく、処理室12やインターフェイス装置13の設置位置データの入力によって制御装置が自動的に判断する方式でもよいが、図23に示すように床面11に貼った反射テープ161をワーク保持部17が光学的に検出しながら移動する方式としてもよい。
このようにワーク搬送システムからワーク昇降機能を除けば、機構が簡単になって据え付け工数の削減などを図ることができ、またワーク搬送システムの制御も簡単にすることができるので、製品コストを安価にすることができる。また、処理室12の増設や配置変更に対しても制御ソフトの設定変更などにより柔軟に対処できる。
図24に示すように、ワーク保持部17はラック式コンテナとなっており、筒状の保持アーム162によって走行体23から垂下されている。保持アーム162は走行体23に対して50mm程度昇降するようになっており、それによってワーク保持部17を上記のように微小高さ調整できるようにしている。このワーク保持部17は、昇降動作しない(保持アームの微小伸縮によってワーク保持部17が前記のように微小昇降する場合を除く)が、回転することができる。このワーク保持部17(ワーク搭載コンテナ)の内部には、インターフェイス装置13との間でワークの受け渡しをスムーズに行なえるよう、コンベア装置163が設けられている。ワーク保持部17内のコンベア装置163上にはワーク搭載用のラック164が置かれ、このラック164単独でインターフェイス装置13とワークの受け渡しをすることができる。
ワーク保持部17の左右両側面には、接触センサ(図示せず)付きバンパー165が設けられており、バンパー165が処理室12やインターフェイス装置13に接触すると、接触センサがこれを検知してワーク保持部17の移動を停止させたり、迂回走行を行なわせたりする。従って、ワーク保持部17が処理室12やインターフェイス装置13に衝突してワーク搬送システムや処理室12、インターフェイス装置13などの破損事故を防止でき、他障害物との接触により停止して自他共に多大な損害を与えることのないようにできる。
(第4の実施形態)
図25(a)は本発明のさらに別な実施形態による固定ガイドレール21と走行部33を示す正面図である。また、図25(b)はスライダ35の内部構造を省略して示す固定ガイドレール21の断面図である。また、図26及び図27は固定ガイドレール21の断面図である。この実施形態にあっては、固定ガイドレール21の側面開口31の上縁及び下縁から側面開口31へ突出させるようにしてそれぞれ平板状の遮蔽板46、47を設けている。固定ガイドレール21の内部には、遮蔽板46、47間の隙間を塞ぐようにして、固定ガイドレール21の全長にわたりベルト状をした可撓性シールド材171が張られており、可撓性シールド材171の両端は固定ガイドレール21の両端に固定されている。
スライダ35の前面も遮蔽板46、47の隙間に近接して遮蔽板46、47間の隙間を塞いでいる。スライダ35の両端部にはローラ172が設けられており、ローラ172間の部分においてスライダ35には、可撓性シールド材171を挿通させるための貫通孔173が設けられている。固定ガイドレール21内に配設されている可撓性シールド材171はローラ172を経てスライダ35の貫通孔173に挿通されている。
従って、この実施形態にあっては、可撓性シールド材171によって遮蔽板46、47の間の隙間を覆うことにより、固定ガイドレール21内で発生した塵埃をクリーンルーム内へ放出するのを抑制することができる。しかも、スライダ35は、可撓性シールド材171によるシールドを妨げることなく、また可撓性シールド材171に妨げられることなく固定ガイドレール21内を移動することができる。
従来のクリーンルーム用のワーク搬送システムを示す斜視図である。 従来の別なクリーンルーム用のワーク搬送システムを示す斜視図である。 本発明の一実施形態によるワーク搬送システムを備えたクリーンルーム内部のようすを示す斜視図である。 固定ガイドレール内に納められた走行部の構造を示す縦断面図である。 図4のX1−X1線断面図である。 図4のX2−X2線断面図である。 図4のX3−X3線断面図である。 図4のX4−X4線断面図である。 吸気装置を示す斜視図である。 図9の吸気装置を走行ガイドレールの端部に装着した状態を示す断面図である。 ワーク昇降装置の斜視図である。 (a)はワーク把持部を最上点まで上昇させたワーク昇降装置を示す正面図、(b)はその構造を説明するための断面図である。 (a)はワーク把持部を最下点まで下降させたワーク昇降装置を示す正面図、(b)はその構造を説明するための断面図である。 密閉扉を開いた密閉コンテナの斜視図である。 密閉扉を閉じた密閉コンテナの斜視図である。 (a)はインターフェイス装置のワーク載置台に置かれた密閉コンテナを示す断面図、(b)はインターフェイス装置の開閉シャッターと密閉コンテナの昇降扉を開いてインターフェイス装置と密閉コンテナを連通させた状態を示す断面図である。 同上のワーク搬送システムを制御するための構成を示す概略ブロック図である。 別な構造のワーク昇降装置を示す斜視図である。 ワーク保持部を上昇させた状態において、ワーク昇降装置を図18のY−Y線に相当する面で断面した概略図である。 ワーク保持部を下降させた状態において、ワーク昇降装置を図18のY−Y線に相当する面で断面した概略図である。 本発明の別な実施形態によるワーク搬送システムを備えたクリーンルームの内部を示す斜視図である。 同上のワーク搬送システムに用いられている固定ガイドレールと走行部の構造を示す断面図である。 本発明のさらに別な実施形態によるワーク搬送システムを備えたクリーンルームの内部を示す斜視図である。 同上のワーク搬送システムに用いられているワーク保持部を示す斜視図である。 (a)は本発明のさらに別な実施形態によるワーク搬送システムで用いられている固定ガイドレール及び走行部の構造を示す正面図、(b)はスライダの内部構造を省略して示す固定ガイドレールの断面図である。 スライダを納めた固定ガイドレールの断面図である。 スライダを納めた固定ガイドレールの別な断面図である。
符号の説明
12 処理室
13 インターフェイス装置
14 ワーク待機部
16 密閉コンテナ
17 ワーク保持部
18 3次元移動機構
19 水平移動機構
20 ワーク昇降装置
21 固定ガイドレール
22 走行ガイドレール
23 走行体
32 給電レール
33 走行部
35 スライダ
36 連結部材
45 集電子
46、47 遮蔽板
49 固定ガイドレールの吸引貫通路
51 吸気装置
52 排気用ファン
53 排気ダクト
54 走行ガイドレールの吸引貫通路
55 フレキシブルダクト
56 排気結合用アダプタ
141 ワーク昇降装置
147、148 永久磁石
151、152 電磁コイル
155 送電線
157 ピックアップコイル
165 バンパー

Claims (4)

  1. ワークを保持するワーク保持部と前記ワーク保持部を移動させる移動手段とを備え、クリーンルーム内でワークを搬送するための搬送システムであって、
    前記移動手段は、クリーンルーム内に固定された第1の部材と、前記第1の部材に沿って移動する第2の部材と、前記ワーク保持部を支持すると共に前記第2の部材に沿って移動する第3の部材とからなり、
    前記第1の部材は、前記第2の部材の端部に設けたスライダを走行させるための走行用空間と、側面開口と、前記走行用空間内の塵埃を吸引してクリーンルームの外部へ排出するための吸引貫通路とを備え、
    前記第2の部材の端部には、一端が第2の部材の内部に形成された吸引貫通路に連通し、他端が前記第1の部材の側面開口を通過して前記吸引貫通路の開口に臨む吸気装置が設けられたことを特徴とするワーク搬送システム。
  2. 前記吸気装置は、前記第2の部材の吸引貫通路内の空気を吸引して前記第1の部材の吸引貫通路へ排気させるための排気用ファンを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のワーク搬送システム。
  3. 前記吸気装置は、前記第1の部材と非接触となるように配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のワーク搬送システム。
  4. 前記スライダはジグザグに屈曲した連結部材を介して前記第2の部材の端部に設けられ、
    前記第1の部材の側面開口の一方の縁部の外面と他方の縁部の内面にそれぞれ遮蔽板を固定され、
    各遮蔽板は前記連結部材が屈曲することによって生じた溝部分に非接触で入り込むことにより、前記第1の部材の側面方向から見たときに前記側面開口から前記走行用空間が見えないように遮蔽板どうしが部分的に重なりあっており、
    前記吸気装置は、前記側面開口において前記遮蔽板間に形成された屈曲した空間に沿って配設されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
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