JP2008027223A - 視触覚融合提示装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】映像情報と、それにより提示される映像の各位置の映像に対応した触覚情報とを組にして、各種映像・触覚情報を記憶する知覚情報記憶部100と、映像情報を選択する選択部200と、選択された映像情報により映像を提示する映像提示部300と、ステージ410上に搭載されて人間の部位によってなぞられる対象物500と、上記部位の映像上の位置を検出する部位位置検出部600と、映像情報と組の触覚情報と上記部位の位置とに基づき、知覚させる触覚を決定し、その触覚を知覚させるためにステージ410の移動を制御するパラメータを生成するパラメータ生成部700と、そのパラメータによりステージ410の移動を制御する制御部800とを有する。
【選択図】図1
Description
安藤,仲谷,渡邊,前田,舘、「なぞり動作を利用した触形状提示手法の検討」、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol.11,No.1,2006
この発明の目的は任意の凸面の長さ(幅)や有限長さの直線や曲線の触覚、表面粗さの触覚、粘性や弾性の触覚に加え、その触覚を生起させている対象を視覚によって同一の空間位置に知覚させることを可能とする視触覚融合提示装置及びその方法を提供することにある。
また、映像提示部が触覚提示のためのステージ上に搭載されてステージと共に移動する構成の視触覚融合提示装置において、この発明による視触覚融合提示方法を適用することにより、視覚に対して映像による仮想物体が静止しているように知覚させることができる。
図1はこの発明による視触覚融合提示装置の一構成例を示したものであり、この例では視触覚融合提示装置は知覚情報記憶部100と選択部200と映像提示部300とステージ装置400と対象物500と部位位置検出部600とパラメータ生成部700と制御部800とを備えている。
知覚情報記憶部100は映像情報と、その映像情報に基づいて提示される映像の各位置の映像に対応した触覚情報とを組にして、各種映像情報と触覚情報とを記憶している。触覚情報として記憶されている触覚はこの例では長さ、表面粗さ、粘性及び弾性とされる。
映像提示部300は選択部200によつて選択された映像情報に基づき、情報提示対象者(人間)の視覚に対して映像を提示する。
ステージ装置400はステージ410を備え、ステージ410は2次元(直交2方向)に移動される。
対象物500は人間の部位によってなぞられるものであり、この例では方形板状とされ、ステージ410上に搭載されて視覚によって知覚される空間に位置される。人間の部位は図1中に示したように、この例では人間の指10とされる。なお、人間の部位は指に限らず、例えば足などでもよい。
パラメータ生成部700は選択部200によって選択された映像情報と組の触覚情報と、部位位置検出部600によって検出された指10の位置とに基づき、指10に知覚させる触覚を決定し、その触覚を知覚させるためにステージ410の移動を制御するパラメータを生成する。
上記のような構成を有する視触覚融合提示装置によれば、映像提示部300によって映像が提示され、その映像空間に位置する対象物500を指10で触れ、なぞることにより、その部分の映像に対応する触覚を指10を通じて人間に知覚させることができる。
図2はパラメータ生成部700の構成を示したものであり、選択部200によつて所望の映像情報を選択することにより、判断部710にはその選択された映像情報と組の触覚情報が選択部200から入力され、一方部位位置検出部600からは指10の位置(x,y座標)が入力される。判断部710は入力された触覚情報と指10の位置から知覚させるべき触覚を決定する。以下、長さの触覚、表面粗さの触覚、粘性の触覚及び弾性の触覚を指10に与える場合の方法、構成について説明する。
長さの触覚は指10が対象物500を、その一端から他端までなぞつている際に、対象物500を移動させることによって対象物500の幅を錯覚させることにより提示することができる。つまり、指10の移動方向と同じ方向に対象物500を移動させれば対象物500の長さ(幅)を実際の長さよりも長く感じることになり、また指10の移動方向と逆方向に対象物500を移動させれば対象物500の長さを実際の長さよりも短く感じることになる。
知覚させる触覚が長さの場合、判断部710よりその長さLが長さ比計算部720に入力される。レジスタ730には標準長さとして対象物500の長さLTが予め設定・格納されており、長さ比計算部720は判断部710より入力された長さLとレジスタ730に設定されている長さLTとの比L/LTを計算する。
図4はステージ装置400の構成及び知覚させる触覚が長さの場合の制御部800の構成を示したものであり、ステージ装置400はこの例ではモータ駆動部420、モータ430、ステージ位置検出部440、運動変換部450及びステージ410によって構成されている。モータ430の回転運動は運動変換部450で直線運動に変換され、これによりステージ410が移動される。
更新速度計算部811は求めた速度VSでステージ410を移動させる速度指令を生成し、この速度指令がモータ駆動部420に入力される。ステージ410は速度指令に基づき移動され、つまり更新された速度VSで移動され、これにより知覚させるべき長さLの触覚を指10に与えることができる。
表面粗さの触覚は指10が対象物500をなぞっている際に、対象物500の速度と指10の速度とが等しい場合と対象物500の速度が0の場合とを交互に繰り返し、つまり指10の移動に対して対象物500が追従、停止を断続的に繰り返すようにし、指10と対象物500表面との間にスティック・スリップを生じさせることによって提示することができる。
知覚させる触覚が表面粗さの場合、判断部710から表面粗さの度合いとしてピッチPがテーブル750に入力される。テーブル750にはピッチPと、指10の移動に対して対象物500が断続的に追従、停止を繰り返す周期Tとの関係が格納されており、ピッチPでテーブル750を参照することにより周期Tがパラメータとして読み出されて生成される。
ピッチPは表面に凹凸が一定のピッチで一方向に配列形成されている試験片における凹凸の配列ピッチを表し、ピッチPの値が大きい時はざらざらした触覚となり、ピッチPの値が小さい時はつるつるとした触覚となる。
各種ピッチPの試験片を用意し、指でなぞり動作を行う。この時の指の速度をVFDとする。一方、凹凸のないなめらかな標準片(対象物500に相当するもの)を用意し、指でなぞり動作を行う。このとき、指10の速度は試験片をなぞる場合と同様、VFDとし、また標準片が指10の速度VFDと速度0とで指10の移動に対して追従、停止を断続的に繰り返すように操作する。この繰り返し周期を調整することにより、試験片をなぞった時の触覚と標準片をなぞった時の触覚が一致する周期を各試験片に対して求め、これによってピッチPと周期Tとの関係を求める。テーブル750にはこのピッチPと周期Tとの関係をグラフ化したものが格納されている。
パラメータ生成部700で生成された周期Tは制御部800の補正部821に入力される。一方、部位位置検出部600によって検出される指10の位置は部位速度計算部812に入力され、部位速度計算部812は指10の速度VFを求める。レジスタ822には上述のピッチPと周期Tとの関係を求めた際の指10の速度VFDが基準速度として予め設定・格納されており、補正係数生成部823はレジスタ822に設定されている基準速度VFDを部位速度計算部812から入力された速度VFで除算して補正係数g=VFD/VFを生成する。
周期T′は方形波生成部824に入力され、周期T′、デューティ50%の方形波信号が生成される。この方形波信号によってスイッチ825が制御される。即ち、方形波信号の“1”レベルで部位速度計算部812からの指10の速度VFが速度指令としてモータ駆動部420に入力され、方形波信号の“0”レベルで速度0部826より速度0(ゼロ)指令がモータ駆動部420に入力される。これら交互の速度指令に基づき、ステージ410は移動され、これによりピッチPと対応する表面粗さの触覚が指10に与えられる。
粘性の触覚は指10が対象物500をなぞっている際に、対象物500がFTの力を指10に与えるものとし、指の速度をVFとして、FTがFT=DVFを満たす時、粘性係数Dの粘性のある物体をなぞっている触覚が知覚されるという錯覚現象を利用することによって提示される。
知覚させる触覚が粘性の場合、判断部710から粘性Wがテーブル760に入力される。粘性とは例えばSAE(米国自動車技術者協会)で定められているオイル粘度分類などを示すものである。テーブル760には粘性Wと粘性係数Dとの関係が格納されており、粘性Wでテーブル760を参照することにより粘性係数Dがパラメータとして読み出されて生成される。
パラメータ生成部700で生成された粘性係数Dは制御部800の粘力計算部831に入力される。指10は対象物500から離れないものとし、指10が対象物500をなぞり始めた際、それに伴いステージ410が動き、ステージ位置検出部440によりステージ410の位置が検出される。ステージ位置検出部440は例えばエンコーダのようなもので構成される。
粘力計算部831は速度VSに粘性係数Dを乗算して粘力FD=DVSを計算し、この粘力FDを推力としてステージ410を移動させる推力指令を生成し、この推力指令がモータ駆動部420に入力される。ステージ410は推力(=粘力FD)を指10に与えるよう移動制御され、これにより知覚させるべき粘性Wの触覚を指10に与えることができる。
弾性の触覚は指10が対象物500をなぞっている際に、対象物500がFTの力を指10に与えるものとし、指10の初期位置をP0、移動したときの指10の位置をP1として、FTがFT=K(P0−P1)を満たす時、弾性係数Kの弾性のある物体をなぞっている触覚が知覚されるという錯覚現象を利用することによって提示される。
知覚させる触覚が弾性の場合、判断部710から弾性Hがテーブル770に入力される。弾性とは例えばJIS K6253で定められているゴム硬度などを示すものである。テーブル770には弾性Hと弾性係数Kとの関係が格納されており、弾性Hでテーブル770を参照することにより弾性係数Kがパラメータとして読み出されて生成される。
パラメータ生成部700で生成された弾性係数Kは制御部800の弾力計算部841に入力される。指10は対象物500から離れないものとし、指10が対象物500をなぞり始めた際、それに伴い、ステージ410が動き、ステージ位置検出部440によりステージ410の位置P1が検出される。
弾力計算部841は初期位置P0と位置P1との差に弾性係数Kを乗算して弾力FK=K(P0−P1)を計算し、この弾力FKを推力としてステージ410を移動させる推力指令を生成し、この推力指令がモータ駆動部420に入力される。ステージ410は推力(=弾力FK)を指10に与えるよう移動制御され、これにより知覚させるべき弾力Hの触覚を指10に与えることができる。
図8は映像提示部にシースルー型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)310を用いる例を示したものであり、図8中、311はディスプレイを示し、312はハーフミラーを示す。ディスプレイ311は例えば液晶ディスプレイと(LCD)される。この例では情報提示対象者(人間)はシースルー型ヘッドマウントディスプレイ310を装着することにより映像(視覚情報)を得ることができ、その映像空間に対象物500が位置される。
図10は映像提示部を、ディスプレイ(図示せず)と、そのディスプレイの映像を対象物500の指10によってなぞられる表面に投射するプロジェクタ331とによって構成する例を示したものであり、プロジェクタ331は図10に示したようにステージ410の上方に位置される。この例では良好な映像品質が得られるよう、対象物500の表面にスクリーンを配置するのが好ましく、またステージ410上にもスクリーンを配置するのが好ましい。
前述の図8乃至10に示した各構成では映像提示部が指10より目に近い位置関係にあるため、本来指下にあるべき仮想物体が指10よりも手前に知覚されてしまい、指10の上に映像がのるといった状況になるが、この図11に示した構成では常に指下に物体があるように知覚させることができ、その点で指10と仮想物体との良好な奥行き関係を得ることができ、また指10の上に映像がのり、指10によって映像が隠蔽されるといった問題を解消することができる。
図12は映像提示部をディスプレイ350としてステージ410′の対象物搭載面と反対面側に配置し、つまりステージ410′の下方にディスプレイ350が位置するようにした例を示したものである。このような構成を採用すれば、図11の場合と異なり、ディスプレイ350は移動せず、ディスプレイ350上を、対象物500′を搭載したステージ410′が移動することになる。なお、この例ではステージ410′及び対象物500′は共に透明とされる。
以上説明したように、映像提示部300には各種構成を採用することができる。
映像情報制御部900には選択部200から映像情報が入力され、またステージ装置400のステージ位置検出部440からステージ410の位置が入力される。映像情報制御部900は入力されるステージ410の位置をもとにステージ410の移動方向と逆方向に映像を移動制御して映像提示部300に表示させる。これにより、映像提示部300がステージ410と共に移動しても映像による仮想物体は静止しているように見せることができる。
Claims (12)
- 映像情報と、その映像情報に基づいて提示される映像の各位置の映像に対応した触覚情報とを組にして、各種映像情報と触覚情報とを記憶する知覚情報記憶部と、
その知覚情報記憶部に記憶されている映像情報を選択する選択部と、
その選択部によって選択された映像情報に基づき、視覚に対して映像を提示する映像提示部と、
ステージ上に搭載されて視覚によって知覚される空間に位置し、人間の部位によってなぞられる対象物と、
その対象物上に位置する上記部位の、上記映像上の位置を検出する部位位置検出部と、
上記選択された映像情報と組の触覚情報と、上記部位位置検出部によって検出された上記部位の位置とに基づき、上記部位に知覚させる触覚を決定し、その触覚を知覚させるために上記ステージの移動を制御するパラメータを生成するパラメータ生成部と、
そのパラメータ生成部により生成されたパラメータにより、上記ステージの移動を制御する制御部とを有することを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1記載の視触覚融合提示装置において、
上記映像提示部はディスプレイとハーフミラーとを具備するシースルー型ディスプレイとされ、
上記対象物は上記部位によってなぞられる表面が白色無地とされていることを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項2記載の視触覚融合提示装置において、
上記シースルー型ディスプレイがシースルー型ヘッドマウントディスプレイとされていることを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1記載の視触覚融合提示装置において、
上記映像提示部はディスプレイと、そのディスプレイの映像を上記対象物の上記部位によってなぞられる表面に投射するプロジェクタとよりなり、
上記対象物は上記表面にスクリーンを備えていることを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1記載の視触覚融合提示装置において、
上記映像提示部は平板ディスプレイとされて上記ステージ上に搭載され、
上記対象物は透明とされて上記平板ディスプレイ上に搭載されており、
上記映像を視覚に対して静止させるべく、上記ステージの移動方向と逆方向に上記映像を移動制御する映像情報制御部を具備することを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1記載の視触覚融合提示装置において、
上記映像提示部がディスプレイとされ、
上記対象物及びステージが透明とされ、
上記ステージの、上記対象物搭載面と反対面側に上記ディスプレイが配されていることを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1記載の視触覚融合提示装置において、
上記対象物が透明とされ、
上記ステージは光を拡散透過するものとされ、
上記映像提示部はディスプレイと、そのディスプレイの映像を上記ステージに、その上記対象物搭載面と反対面側から投射するプロジェクタとよりなるものとされていることを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1乃至7記載のいずれかの視触覚融合提示装置において、
上記部位に知覚させる触覚が長さの場合、
上記パラメータ生成部は上記知覚させる長さと予め設定された標準長さとに基づいて速度比を生成し、
上記制御部は上記部位位置検出部が検出する位置をもとに上記部位の速度を求め、その速度と上記速度比とから上記ステージの更新速度を計算し、その更新速度で上記ステージを移動させる速度指令を生成することを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1乃至7記載のいずれかの視触覚融合提示装置において、
上記部位に知覚させる触覚が表面粗さの場合、
上記パラメータ生成部は上記知覚させる表面粗さに基づいて周期を生成し、
上記制御部は上記部位位置検出部が検出する位置をもとに上記部位の速度を求め、予め設定された基準速度を上記部位の速度で除算して補正係数を生成し、その補正係数と上記周期を乗算して上記周期を補正し、その補正された周期の方形波を生成して、その方形波によりスイッチを切替えることにより上記部位の速度及び速度ゼロで上記ステージを移動させる速度指令を生成することを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1乃至7記載のいずれかの視触覚融合提示装置において、
上記部位に知覚させる触覚が粘性の場合、
上記パラメータ生成部は上記粘性から粘性係数を生成し、
上記制御部は上記ステージに設けられたステージ位置検出部が検出するステージ位置をもとにステージの速度を求め、その速度に上記粘性係数を乗算して粘力を計算し、その粘力を推力として上記ステージを移動させる推力指令を生成することを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 請求項1乃至7記載のいずれかの視触覚融合提示装置において、
上記部位に知覚させる触覚が弾性の場合、
上記パラメータ生成部は上記弾性から弾性係数を生成し、
上記制御部は上記ステージに設けられたステージ位置検出部が検出するステージ位置と、ステージの初期の位置との差に上記弾性係数を乗算して弾力を計算し、その弾力を推力として上記ステージを移動させる推力指令を生成することを特徴とする視触覚融合提示装置。 - 映像情報と、その映像情報に基づいて提示される映像の各位置の映像に対応した触覚情報とを組にして、各種映像情報と触覚情報とを記憶する知覚情報記憶部と、
ステージ上に搭載された映像提示部と、
その映像提示部上に搭載され、人間の部位によってなぞられる透明な対象物と、
その対象物上に位置する上記部位の位置を検出する部位位置検出部とを備える視触覚融合提示装置における視触覚融合提示方法であって、
上記知覚情報記憶部に記憶されている映像情報を選択部により選択する過程と、
その選択された映像情報に基づき、上記映像提示部に映像を表示する過程と、
上記選択された映像情報と組の触覚情報と、上記部位位置検出部によって検出された上記部位の位置とに基づき、上記部位に知覚させる触覚を決定し、その触覚を知覚させるために上記ステージの移動を制御するパラメータをパラメータ生成部により生成する過程と、
上記生成されたパラメータに基づき、上記ステージの移動を制御部により制御する過程と、
上記映像を視覚に対して静止させるべく、上記ステージの移動方向と逆方向に上記映像を映像情報制御部によって移動制御する過程とを有することを特徴とする視触覚融合提示方法。
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