JP2008026099A - 共振振動子質量検出装置 - Google Patents

共振振動子質量検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、無線無電極の共振振動子質量検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の共振振動子質量検出装置は、少なくとも、振動電場を付与すると圧電効果により振動する圧電振動子102と、圧電振動子の表面に試料物質を供給する試料供給手段110、112と、圧電振動子の近傍に配設され、圧電振動子に電極による接続を要しないで振動電場を付与する電場供給手段104とを備えている。また、この装置の電場供給手段104は少なくとも、電圧を入力する入力手段104aと、圧電振動子の振動を受信する受信手段104cとを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電体で形成された振動子に目的物質が付着したときに変化する圧電体の周波数から付着物質の質量を検出する共振振動子質量検出装置に関し、とりわけ無電極で振動子に振動電場を付与する共振振動子質量検出装置に関するものである。
水晶振動子に代表される振動子の表面や、それに付着して形成された電極表面に何らかの物質が付着すると、その質量の変化によって振動子の共振周波数が変化することは、既によく知られている。従来より、この性質を利用して、極めて微量な物質の付着を検出し計測するセンサが実現されており、水晶を振動子とする場合にはQCMセンサ(水晶振動子センサ)と呼ばれている。また、このような振動子センサでは振動子の表面に物質の付着特性に選択性のある膜が成膜され、特定の物質の検出や計測を行うことも行われている。さらに、振動子の周波数特性の変化は、振動子に電場を付与して振動を励起し、その振動を検出することで検出する。
従来一般に、このような振動子センサでは、上記振動子への電場付与に際し、振動子の表面の膜上に金属電極が成膜され、発信器と電気的に接続する配線、すなわち振動子に対して有線有電極の配線が必要であった。しかしながら、この方法によれば配線の存在により測定可能な環境が限定され、例えば高温での測定が困難になるという欠点があった。また、金属電極の存在は振動子の振動が拘束し振動のエネルギを損失させてしまうので、QCMセンサを高感度化させるために必要な高周波数域での振動測定が困難になるという問題もあった。
また、詳細には後述するが学究的には振動子の底面近傍に平面コイルを配設し、該平面コイルに電流を流すことによって生成される電磁場により、振動子を振動させる方法も開示されている。その意味では、振動子に対して有線であるが無電極の配線を構成する振動子センサも存在する。しかしながら、この振動子センサの開示によれば、振動子の振動は、平面コイル電流が放射する磁場が作る電場、すなわち電磁場の影響により付与されるものと考えられており、平面コイルに電流が流れていることが必須要件であり、さらに振動子と平面コイルとの距離も小さく、実質的には配線から孤立した振動子を提供することは不可能であった。
特開2005−189133号公報 特開2005−189076号公報 The Analyst, 2003年第128版第1048頁〜第1055頁
以上の事情に鑑みて本発明は提供されたものであり、無線無電極で圧電振動子を振動させ、さらに該圧電振動子を完全孤立状態で振動させることが可能な共振振動子質量検出装置を提供することを目的とする。
本発明の共振振動子質量検出装置によれば、少なくとも、振動電場を付与すると圧電効果により振動する圧電振動子(例えば、実施形態における振動子102)と、圧電振動子の表面に試料物質を供給する試料供給手段(例えば、実施形態における液体106や、管状部材110、112)と、圧電振動子から離間して配設され、圧電振動子に電極による接続を要しないで準静的な電場を付与する電場供給手段(例えば、実施形態における直線アンテナ104)とを備えている。また、電場供給手段は少なくとも、電圧を入力する入力手段(例えば、実施形態における入力アンテナ104a)と、圧電振動子の振動を受信する受信手段(例えば、実施形態における受信アンテナ104c)とを有しており、受信手段から得た圧電振動子の振動の周波数変化から圧電振動子に付着した物質を検出する。
好ましくは、圧電振動子は薄板部材で形成され、電場供給手段は、電圧を入力する入力アンテナと、圧電振動子の振動を受信する受信アンテナと、端部がアースを形成するアースアンテナとのそれぞれが、互いに圧電振動子の底面の下方又は頂面の上方で略並列された直線アンテナで構成されている。また、この入力アンテナとアースアンテナとは、入力アンテナに入力される電圧と互いの軸線間距離とに基づいて圧電振動子に付与する準静的な電場を発生させ、受信アンテナとアースアンテナとは、振動電場と互いの軸線間距離とに基づいて誘導電圧を発生させる機能を有している。
本共振振動子質量検出装置の詳細な構成としては、上述する構成に加え、内部に液状体(例えば、水)を封入した容器を備えており、圧電振動子は液状体内で上下方向に移動自在に配置され、試料供給手段は少なくとも容器の外部から内部に液状体を流入させるための管状部を設けており、電場供給手段は容器の底外部に配設されていることが好ましい。また、圧電振動子の表面には、目的物質分子と相互作用する分子成分を含有する薄膜で被覆され、例えば、試料液体内に目的分子が含まれている場合には、この分子と薄膜内分子が相互作用し、圧電振動子に目的分子(目的物質)が付着する。さらに、液状体は水を主成分にすることができ、目的分子を含む水溶液内の目的物質の質量を検出できる。この場合、圧電振動子は概ね水晶で構成されることが好ましい。
本発明の共振振動子質量検出装置によれば、圧電振動子に電極を接続せず振動電場を付与することにより該圧電振動子を振動させるため、電極としての金属薄膜を圧電振動子に成膜する必要がない。従って、金属薄膜による圧電振動子への拘束がなく、高周波での検出も可能となるため、検出感度を大幅に高くすることができる。また、本共振振動子質量検出装置を開発するにあたって圧電振動子の振動発生に影響を与えるのは、電流の流れを要さず単なる電位差が作る電場、すなわち準静的な電場が影響していることを知得したため、圧電振動子から離間した位置に配設され電流が流されない直線アンテナ(例えば、実施形態における入力アンテナ104a)に電圧入力し、並列してアースアンテナ(例えば、実施形態におけるアースアンテナ104b)を配設するだけで圧電振動子を振動させることが可能となる。また、ここに言う準静的な電場の強度は、電位差に比例するが、逆に電位差が生じる配線間の距離(例えば、並列する入力アンテナ104aとアースアンテナ104bとの軸線間距離)に反比例するため小さなスペースで強い電場を発生させることができ、互いの配線間距離さえ小さくしておけば圧電振動子から大きく離間させても十分な振動を得ることができる。これにより、本共振振動子質量検出装置では圧電振動子を完全に孤立させた状態、すなわち無線状態で維持することが可能となり、生体内に振動子を埋め込んだ検出、例えば、抗体・抗原反応のモニタリングも可能となる。さらに、振動子への電極接続も不要とするため振動子表面に成膜する物質を選ぶ必要がなく、製造工程を大幅にカットすることができ、さらに有機膜等、振動子の表面のあらゆる改質を可能とする。従って、従来、導電性がないために振動子表面に使用不能であった材料、例えば、導電性がないが生体親和性の高いダイアモンド膜等を使用することができ、本共振振動子質量検出装置を所謂バイオセンサーとして利用することも可能としている。
まず、本発明の実施形態を説明する前提として従来の共振振動子質量検出装置を概説する。図7は、従来の共振振動子質量検出装置10の略示図である。この図からも判るように従来の共振振動子質量検出装置10は概ね、圧電振動子11と、圧電振動子11の表面に金属成膜された電極としての金属薄膜12と、電源14と、電源14と金属薄膜12とを電気的に接続する導線16(接続点として符号16a参照)とで構成されている。このような構成により圧電振動子11に振動電場が付与され、圧電振動子11は振動を開始する。ここで従来の共振振動子質量検出装置10において質量検出する原理について説明する。振動子は表面に物質が付着するとその質量が増加するため共振周波数が変化する性質を有する。従って、質量と共振周波数との相関を予め検出しておけば、振動子の共振周波数の変化を検出すれば、振動子への付着物質の質量が検出可能となる。この原理を利用したものがここで言う共振振動子質量検出装置10であり、圧電振動子11を目的物質を含む環境外気中や液体中で振動させてやれば圧電振動子の共振周波数が変化し、付着物質の定量・定性検出を実行することが可能となる。なお、圧電振動子11は概ね、振動電場を付与することにより振動開始する所謂圧電効果を奏する材料、例えば、水晶、ランガサイト等で構成されており、金属薄膜12は導電性を有する金属材料、例えば、Au、Ag等で構成されている。
しかしながら、従来の共振振動子質量検出装置10では次の問題を包摂している。
1)圧電振動子11への直接配線と電極としての金属薄膜12とが必要であり、これらが付属されることで振動が拘束されエネルギ損失を生ぜしめるため高周波振動域での検出が困難であり、高感度に検出することができない。
2)金属薄膜12による質量変化を小さくするために該薄膜12を薄くしようとすると逆に電気抵抗は増加するため、結果、金属薄膜12を薄くすることも困難である。
3)圧電振動子11への直接配線が必要であるため、物体内部における質量検出が難しい。
4)圧電振動子11に金属薄膜(金属電極)12を成膜することが必須であり圧電振動子11の表面に生体親和性の高い物質(例えば、ダイアモンド等の有機膜)を付与することができない。
このような問題点は、全て金属薄膜12と配線(導線)16とを構成必須とするために生じるものである。従って、上述するように本発明の共振振動子質量検出装置では、電極(金属薄膜)および配線を用いない共振振動子質量検出装置の提供を企図し、開発成功するに至ったものである。
まず、本発明の詳細な実施形態を説明する前に本発明の共振振動子質量検出装置の実施形態の基本構成を概説する。図1は本発明の共振振動子質量検出装置の略示図である。この図からも理解されるように共振振動子質量検出装置100は概ね、振動子102と、アンテナ104と、液体106と、容器108とで構成されている。振動子102は、圧電性を有する材料で構成されており、ここでは水晶が用いられているが、圧電性を有する材料であれば良くランガサイトのごときに代替可能である。また、振動子102は密閉可能な容器108の内部に配置されており、容器108内には液体106が封入されており、その液体106中に力学的振動を受けることなく振動子102が載置されている。なお、ここでは液体106として質量検出の目的物質を含む水が例示される。
また、容器108の底面(外部)には直線アンテナ104が配設される。直線アンテナ104は、3つの導線104a、104b、104cが並列載置された構成であり、ここではそれぞれ入力アンテナ104a、アースアンテナ104b、受信アンテナ104cと称される。直線アンテナ104の詳細な実施形態は後述するが、まず、入力アンテナ104aは一端が図示しない外部電源に接続され電圧入力されており、他端自由となっている。また、アースアンテナ104bは、一端がアースとして形成され、他端自由となっている。従って、入力アンテナ104aへの入力電圧がVであり、入力アンテナ104aとアースアンテナ104bの軸線間距離がLである場合には、容器108の底部に入力電圧Vに比例し、軸線間距離Lに反比例する振動電場E、すなわち V/L に依存する振動電場E が付与される 。この振動電場は、電流の流れを要さず入力アンテナ104aとアースアンテナ104bの間の電位差により作られる所謂、準静的な電場であり、容器108を介して振動子102に付与される。従って、振動子102はこの準静的な電場を受けてその圧電効果により振動が開始される。
このように振動子102が液体106中を振動開始された場合、液体106中に振動子102の表面に対して付着性を有する物質を包摂していれば該物質が振動子106表面に付着することでその質量が付着物質分だけ増加する。このとき、振動子102の共振周波数は振動子102の質量に対する付着物質質量の割合に比例して変化(減少)する。具体的な共振周波数fの変化数Δfは、
Δf = f・Δm/m
(m:振動子質量、Δm:振動子質量の変化量=付着物質質量)… (1)
従って、振動子102の共振周波数の変化量Δfを検出すれば振動子102への付着物質質量Δmを検出することが可能である。従って、液体102に目的物質が存在するか否か検出したい場合は、振動子102の表面に予め該目的物質に対して親和性の高い物質を成膜しておくだけで共振周波数の変化をもって目的物質の存在を検出することができる。また、逆に、振動子102の表面に所望の物質を成膜し、該物質に対してどんな物質が親和性を有するかを検出することも可能である。例えば、検出を所望する物質を振動子102表面に成膜しておき、任意の物質を包摂する液体106ごとに振動子102を振動させた場合、液体106中に親和性の高い物質が包摂されていれば振動子102の共振周波数の変化の検出することとなる。
また、上記(1)の式からも明白なように共振周波数の変化量Δfは、振動子質量mが小さいほど、振動子固有の共振周波数fが大きいほど、増大するものである。すなわち、共振振動子質量検出装置では、振動子質量mが小さいほど、振動子固有の共振周波数fが大きいほど、その検出感度が高くなる性質を有している。従って、上述するように本共振振動子質量検出装置100では振動子102へ直接導線を配線していないため電極としての金属薄膜の付与が不要であり、その分、軽くなるので振動子質量mが小さくなり共振周波数の変化量の大きい周波数域での検出を可能となり、高感度検出装置を提供することができる。具体的には後述するが従来の有線式の共振振動子質量検出装置では30MHz以下程度での周波数域での検出しかできなかったが、本共振振動子質量検出装置100では理論上、無限域で検出可能であり、少なくとも80MHzまでの帯域で検出可能であることが実証されている。
次に、本共振振動子質量検出装置100において振動子102の共振周波数の変化の検出構成を概説する。上述するようにアンテナ104では、アースアンテナ104bと受信アンテナ104cとが並列載置されている。アースアンテナ104bは前述した通りであるが、受信アンテナ104cは一端が自由であり容器108の底部に位置決めされている。前述したように振動子102は入力アンテナ104aに電圧入力されることにより振動するが、この振動により形成される振動電場は、受信アンテナ104cに誘導電圧を発生させる。この誘導電圧V´は、振動電場E´、受信アンテナ104cとアースアンテナ104bの軸線間距離がL´である場合には、受信アンテナ104cにELに依存する誘導電圧V´を出力する 。図1には図示しないがこの誘導電圧V´の電波信号を解析することで共振周波数の変化を検出して、付着質量を検出することが可能となる。以下、さらに本共振振動子質量検出装置100の詳細について説明する。
図2は、本共振振動子質量検出装置100を用いた分析システム200(フローセルシステムとも称する)を示している。図からも明らかなようにここでは、本共振振動子質量検出装置100は圧電振動子102として水晶を用いたQCM(水晶振動子センサ)として構成されている。まず、所定容器202に貯留された液体106がマイクロポンプ204により温度制御ボックス208に配送される。ここで配送される液体106は本フローセルシステム200で分析を所望する目的物質が水に包摂された試料溶液(以下、液体106を試料溶液106とも称する)である。ここでは本システム200を免疫センサとして利用した実証が行われ、免疫抗体と特異的相互作用を持つ物質を振動子102に固定化し、免疫抗体を選択的に振動子102に付着させる。そして、共振周波数の変化より免疫抗体の濃度(質量濃度)を測定した。従って、試料溶液106に包摂された目的物質は、免疫抗体、具体的には体内に最も多く存在する免疫グロブリンIgGを含んだ試料溶液106とした。
次に、マイクロポンプ204から温度制御ボックス208に配送された試料溶液106は、まず該ボックス208内の流路に配設されるステンレス製の螺旋チューブ206に注入される。温度制御ボックス208は、試料溶液208の温度を制御するために内部環境を所望温度に維持し得るように構成されており、例えば、ここでは免疫抗体と後述するタンパク質との相互作用に適正な温度条件に制御している。従って、ステンレス製の螺旋チューブ206に注入された試料溶液106は、螺旋チューブ206内の螺旋流路を通過するに従って螺旋流路長さとステンレスの熱伝導性とが相まって螺旋チューブ206から放出されるまでに温度制御ボックス208内の環境温度と同温度に制御される。
また、螺旋チューブ206から放出された試料溶液106は上述する本共振振動子質量検出装置100に注入され図1に示す容器108内の液体106を構成する。ここで本共振振動子質量検出装置100については図1を参照しつつ概説したが、図3ではその詳細な実施形態が示されている。図3の上図は図1の詳細構成を示す本共振振動子質量検出装置100の断面図であり、図3の下図はその平面図である。従って、図1と同一の参照番号は同一の構成要素を示しており、重複する説明は省略する。この図からも明らかなように本共振振動子質量検出装置100において振動子102を内封する容器は底部が閉鎖され上方に開放する円筒管部材108aとこの上方の開放部を密閉する蓋部材108bとで構成されている。また、この容器108では、内部に試料溶液106を流出入させながら振動子102を振動させるため、試料溶液106の漏出を防止すべく蓋部材108bと円筒管部材108aとをオーリング(図3では「O-ring」として記載)116を挟んでネジ114で結合している。また、直線アンテナ104が、入力アンテナ104aとアースアンテナ104bと受信アンテナ104cとで構成されている点は既述の通りであるが、それぞれ図3下図に示すように容器108の底面の直径全域に亙って並列載置されている。また、螺旋チューブ206から放出された試料溶液106は、容器108内部まで貫通する管状部材110により容器108内に注入され(図3中「flow in」参照)、試料溶液106中の目的物質が振動子102表面の薄膜物質(図示せず)に付着させた後に容器108の外部まで貫通する管状部材112により放出される(図3中「flow out」参照)。なお、図3において入力アンテナ104a、受信アンテナ104cに併記する「rf tone bursts」、「received signals」は、図1において説明した「入力電圧」、「受信電圧」と同意義とここでは考えてよい。
ここで、図3の共振振動子質量検出装置100における実際の検証例として前述した、試料溶液106内にIgGを包摂させた場合についての振動子102(At-cut水晶板)表面の成膜について言及する。本共振振動子質量検出装置100の振動子102の表面には試料溶液106中のIgGと特異的に結合するプロテインAを成膜して振動子102に固定化した。これにより、試料溶液106中のIgGをレセプター、振動子102表面のプロテインAをリガンドとした分子間相互作用が生じ、IgGがプロテインAの薄膜上に付着される。なお、連続的な検出を行うためにIgGとプロテインAとの解離にはグリシンー塩酸緩衝液(glycine-HCl)を容器202の一部により注入使用する。また、解離後のキャリア流体としてはリン酸緩衝液(PBS)を容器202の一部により注入使用する。
次に、試料溶液106中の目的物質が付着することによる振動子102質量増加検出について説明する。再び図2を参照すれば、コンピュータ212により制御される電子合成増幅器210に創出された電気信号(バースト波信号)が受信アンテナ104aに入力され、振動子102に目的物質が付着することで変化された周波数の電気信号が受信アンテナ104cから出力される。この出力された電気信号は、受信機(スーパーヘテロダイン受信機)214により受信され、前記コンピュータ212にデータ出力される。
図4は図3のシステム200で振動子102として0.3mmのATカット水晶板を使用した際の共振スペクトル結果を示したものであり、図4の上図(a)では溶器内部の液体106を空気とした場合、図4の下図(b)では容器内部の液体106を水とした場合を示している。この図から明らかなように水中で振動子102を振動させた場合は空気中振動の場合と異なり面外変位成分を有する準縦波(fql)および準横波(fqs)が振動エネルギが水に漏洩するためにこれらの定在波が発生せず、純粋なせん断モード(fs)のみ生じていることが判る。また、70MHz以上の高周波数域でも明確な共振ピーク(fs13)が得られている。従って、本共振振動子質量検出装置100では高周波域における高感度の質量検出が可能であることが理解される。
また、図5では図2のシステム200で試料溶液106中の目的物質をIgGとし、振動子102表面の薄膜をプロテインAとし、解離溶液をグリシンー塩酸緩衝液(glycine-HCl)とし、解離後のキャリア流体をリン酸緩衝液(PBS)とした場合の各工程における共振周波数の変化(上図)と振幅(下図)とを時系列的に示している。ここでの共振ピークは図4において得られた70MHzの高周波数域のピーク(fs13)である。また、図5上図中、下矢印で示すI、P、Gはそれぞれ、試料溶液(IgG溶液)の注入時、キャリア流体をリン酸緩衝液(PBS)の注入時、解離溶液をグリシンー塩酸緩衝液(glycine-HCl)の注入時を示している。この図からも理解されるように共振周波数71.719MHzの共振周波数が最初にIgGを注入時Iの後に減少していき、リン酸緩衝液注入時Pの前でピークを得ており、リン酸緩衝液注入時Pの後、少しずつ共振周波数が回復し、グリシンー塩酸緩衝液注入時Gの前後に亙って急激に増加していることがわかる。このことから、IgG溶液106を注入後、IgGが振動子102表面のプロテインAに付着して固定化し、リン酸緩衝液注入により強固に固定していないIgGが解離し始め、グリシンー塩酸緩衝液注入をもって一気に解離し、再度リン酸緩衝液注入後再び元の共振周波数に戻っていることが判る。また、この実証では上記工程を5回連続して繰り返しており、その度に元の共振周波数より減少したピークが明確に現れていることがわかる。従って、本共振振動子質量検出装置100を用いた場合、高周波数域での質量分析が可能となるのみならず、反復した分析を実行することも容易であることが理解される。
以上、本発明の共振振動子質量検出装置100の実施形態およびこれを用いた質量検出システム200を実証例を踏まえつつ説明してきたが、本発明の共振振動子質量検出装置100は、図1、図3の構成に限定されるものではなく、準静的な電場を作るための電場供給手段が圧電振動子から離間した位置に配設される構成であれば良く、電場供給手段としては直線アンテナに限定されるものではない。ここで、従来の学究的技術として前述した平面コイルを使用した共振振動子質量検出装置について説明しておく。図6を参照すれば、直線アンテナ104の代替の電場供給手段としての平面コイル300が示されており、この平面コイル300を使用して振動子102に振動電場を付与している。前述するように従来もこのような平面コイル300を電場供給手段として使用すれば、圧電振動子を振動せしめることが判っていた。しかしながら、従来はその振動原理として平面コイル導線に流れる電流(図6におけるX方向の電流)が放出する電磁場が大きく影響していると考えられていた。これに対して、本発明の発明者は、平面コイル300におけるY方向の電位差が作る準静的な電場が影響していることを知得し、電流を流さずとも一端に電圧を入力し、他端をアース端とするだけで圧電振動子が振動し、良好な出力信号を得ることが実証されている。具体的には、平面コイル300を2本の導線302、304を平行に巻いて構成し、一方の導線302はその一端から電圧入力され、他端はアース端として構成され、他方の導線304はその一端から誘導電圧が出力され、他端はアース端として構成し、高周波域での高感度分析が可能であることが実証された。このように、本発明は従来考えられていた圧電振動子の振動原理と異なる原理を知得、実証し、新たに知得した振動原理(準静的な電場付与)に基づいて構成されたものであり、従来原理では不可能と考えられていた電流を流せない直線アンテナのごとき電場供給手段の採用をも可能としている。
このように本発明の共振振動子質量検出装置によれば、圧電振動子に電極を接続せず振動電場を直線アンテナのごとき電場供給手段を用いて該圧電振動子を振動させるため、電極としての金属薄膜を圧電振動子に成膜する必要がない。従って、金属薄膜による圧電振動子への拘束、これによるエネルギロスがなく、高周波での検出も可能となるため、検出感度を大幅に高くすることができる。また、本共振振動子質量検出装置では圧電振動子への配線が不要であるため、生体内に振動子を埋め込んだ検出、例えば抗体・抗原反応のモニタリングも可能となる。さらに、振動子への電極を不要とするため振動子表面に成膜する物質を選ぶ必要がなく、製造工程を大幅にカットすることができ、さらに有機膜等、振動子の表面のあらゆる改質を可能とする。従って、従来、導電性がないために振動子表面に使用不能であった材料、例えば、導電性がないが生体親和性の高いダイアモンド膜等を使用することができ、本共振振動子質量検出装置を所謂バイオセンサーとして利用することも可能としている。
本発明の共振振動子質量検出装置の一例の略断面図である。 本発明の共振振動子質量検出装置を用いた質量検出システムのブロック図である。 図1に示す本発明の共振振動子質量検出装置の詳細な実施形態の一例を示した平面図、断面図である。 本発明の共振振動子質量検出装置で測定した共振スペクトルを示すグラフ図である。 図2の質量検出システムを反復使用した際の共振周波数の変化を示したグラフ図である。 電場供給手段の代替として考えられる平面コイルの平面図である。 従来の共振振動子質量検出装置を示した略断面図である。
符号の説明
100…共振振動子質量検出装置
102…圧電振動子(振動子)
104a…入力アンテナ
104b…アースアンテナ
104c…受信アンテナ
106…液体(試料溶液)
108…容器

Claims (5)

  1. 少なくとも、振動電場を付与すると圧電効果により振動する圧電振動子と、
    前記圧電振動子の表面に試料物質を供給する試料供給手段と、
    前記圧電振動子から離間して配設され、該圧電振動子に電極による接続を要しないで準静的な電場を付与する電場供給手段とを備え、
    前記電場供給手段は少なくとも、電圧を入力する入力手段と、前記圧電振動子の振動を受信する受信手段とを有する、共振振動子質量検出装置。
  2. 前記圧電振動子は、薄板部材で形成され、
    前記電場供給手段は、電圧を入力する入力アンテナと、前記圧電振動子の振動を受信する受信アンテナと、端部がアースを形成するアースアンテナとのそれぞれが、互いに前記圧電振動子の底面の下方又は頂面の上方で略並列された直線アンテナで構成され、
    前記入力アンテナと前記アースアンテナとは、前記入力アンテナに入力される電圧と互いの軸線間距離とに基づいて前記圧電振動子に付与する準静的な振動電場を発生させ、前記受信アンテナと前記アースアンテナとは、前記振動電場と互いの軸線間距離とに基づいて誘導電圧を発生させる、ことを特徴とする請求項1に記載の共振振動子質量検出装置。
  3. 内部に液状体を封入した容器を備え、
    前記圧電振動子は前記液状体内で上下方向に移動自在に配置され、前記試料供給手段は少なくとも前記容器の外部から内部に液状体を流入させるための管状部を設け、前記電場供給手段は容器の底外部に配設された、ことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の共振振動子質量検出装置。
  4. 前記圧電振動子の表面には、目的物質分子と相互作用する分子成分を含有する薄膜で被覆される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の共振振動子質量検出装置。
  5. 前記液状体は水を主成分とし、前記圧電振動子は水晶で構成される、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の共振振動子質量検出装置。
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