JP2014002014A - 振動検出素子およびそれを用いた検出素子 - Google Patents

振動検出素子およびそれを用いた検出素子 Download PDF

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Abstract

【課題】振動子から受信する受信信号の振幅を増大可能な振動検出素子を提供する。
【解決手段】振動検出素子10は、接地電位に接続されたアンテナを用いずに振動子を振動させるとともに振動子の振動を検出する振動検出素子であって、カバー部材1〜3と、振動子4と、アンテナ5,6と、振動空間7と、微小空間8とを備える。振動空間7および微小空間8は、カバー部材1〜3中に形成される。微小空間8は、振動空間7に対して開口している。振動子4は、縁部が微小空間8内に挿入されるように振動空間7に配置される。アンテナ5は、電磁場を振動子4に印加する。アンテナ6は、振動子4の振動信号からなる受信信号を受信する。
【選択図】図2

Description

この発明は、振動子を用いた振動検出素子およびそれを用いた検出素子に関するものである。
従来、電極を用いずに無線によって圧電振動子の共振周波数の変化を検出して検出対象物を検知する検出素子が知られている(特許文献1)。
この検出素子は、振動子と、3本のアンテナA,B,Cとを備える。アンテナAは、接地電位に接続される。そして、アンテナAは、振動子の一方側に配置される。アンテナB,Cは、振動子に対してアンテナAと反対側に配置される。
アンテナBは、アンテナAと協働して電磁場を振動子に印加し、アンテナCは、振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号をアンテナAと協働して振動子から受信する。
国際公開第2011/121859号パンフレット
しかし、従来の検出素子は、接地電位に接続されたアンテナを用いているために、振動子から受信する受信信号の振幅が小さいという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、振動子から受信する受信信号の振幅を増大可能な振動検出素子を提供することである。
また、この発明の別の目的は、振動子から受信する受信信号の振幅を増大可能な振動検出素子を備えた検出素子を提供することである。
この発明の実施の形態によれば、振動検出素子は、接地電位に接続されたアンテナを用いずに振動子を振動させるとともに振動子の振動を検出する振動検出素子であって、振動子と、第1および第2のアンテナとを備える。第1のアンテナは、電磁場を振動子に印加する。第2のアンテナは、振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を振動子から受信する。
また、この発明の実施の形態によれば、検出素子は、接地電位に接続されたアンテナを用いずに検出対象物を検出する検出素子であって、カバー部材と、導入経路と、排出経路と、振動子と、第1および第2のアンテナとを備える。カバー部材は、検査対象の液体が導入される検査空間と、検査空間に対して開口した微小空間とを内部に有する。導入経路は、カバー部材に設けられ、液体を検査空間へ導入する。排出経路は、カバー部材に設けられ、液体を検査空間から排出する。振動子は、検査空間に配置されるとともに、検査空間のサイズよりも大きいサイズを有し、微小空間内に挿入された縁部を有する。第1のアンテナは、電磁場を振動子に印加する。第2のアンテナは、振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を振動子から受信する。
更に、この発明の実施の形態によれば、検出素子は、接地電位に接続されたアンテナを用いずに検出対象物を検出する検出素子であって、複数のユニット素子と、第1および第2のアンテナとを備える。第1のアンテナは、電磁場を複数のユニット素子に含まれる複数の振動子に印加する。第2のアンテナは、振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を複数の振動子から受信する。複数のユニット素子の各々は、カバー部材と、導入経路と、排出経路と、振動子とを含む。カバー部材は、検査対象の液体が導入される検査空間と、検査空間に対して開口した微小空間とを内部に有する。導入経路は、カバー部材に設けられ、液体を検査空間へ導入する。排出経路は、カバー部材に設けられ、液体を検査空間から排出する。振動子は、検査空間に配置されるとともに、検査空間のサイズよりも大きいサイズを有し、微小空間内に挿入された縁部を有する。
この発明の実施の形態による振動検出素子においては、接地電位に接続されたアンテナを用いずに、第1のアンテナによって電磁場を振動子に印加し、第2のアンテナによって振動子の振動を受信する。その結果、接地電位に接続されたアンテナを用いた場合に比べ、振動子の振動の振幅が10倍程度大きくなる。
従って、振動子の振動の振幅を増大できる。
また、この発明の実施の形態による検出素子においては、振動子は、縁部が微小空間内に挿入され、接地電位に接続されたアンテナを用いずに、第1のアンテナによって電磁場を振動子に印加し、第2のアンテナによって振動子の振動を受信する。その結果、振動子は、自由に振動し、接地電位に接続されたアンテナを用いた場合に比べ、振動子の振動の振幅が10倍程度大きくなる。
従って、振動子の安定な振動を確保して振動子の振動の振幅を増大できる。
この発明の実施の形態による振動検出素子の平面図である。 図1に示す線II−II間における振動検出素子の断面図である。 図1に示す線III−III間における振動検出素子の断面図である。 図2に示す振動空間および微小空間の拡大図である。 図2に示す振動空間および微小空間の具体的な寸法を示す図である。 図2に示す3個のカバー部材の斜視図および断面図である。 図1から図3に示す振動検出素子の製造方法を示す工程図である。 従来の振動検出素子の断面図である。 振動子の振動試験の結果を示す図である。 この発明の実施の形態による他の振動検出素子の断面図である。 この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の断面図である。 この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の断面図である。 図12に示す振動空間および微小空間の拡大図である。 図12および図13に示す振動検出素子の製造方法を示す工程図である。 図12に示す振動空間および微小空間の他の拡大図である。 図12に示す振動空間および微小空間の他の拡大図である。 図12に示す振動空間および微小空間の他の拡大図である。 この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の概略図である。 図18に示すA方向から見た振動空間および微小空間の平面図である。 図18および図19に示す振動検出素子の製造方法を示す工程図である。 この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の断面図である。 図21に示すA方向から見た振動空間および微小空間の平面図である。 図21および図22に示す振動検出素子の製造方法を示す工程図である。 図12および図13に示す振動検出素子の他の製造方法を示す工程図である。 他の振動子を示す図である。 この発明の実施の形態による振動検出素子を用いた検出素子の平面図である。 図26に示す線XXVII−XXVII間における検出素子の断面図である。 図26に示す線XXVIII−XXVIII間における検出素子の断面図である。 図28に示す導入経路、排出経路、および検査空間の拡大図である。 図27に示す3個のカバー部材の斜視図および断面図である。 図26から図28に示す検出素子の製造方法を示す工程図である。 入力電圧Vinおよび受信信号Rのタイミングチャートである。 共振周波数のタイミングチャートである。 この発明の実施の形態による振動検出素子を用いた他の検出素子の概略図である。 図34に示す検出素子の具体例を示す図である。 図35に示すカバー部材の構成図である。 図34に示す検出素子の他の具体例を示す図である。 図37に示すカバー部材の構成図である。 この発明の実施の形態による振動検出素子を用いた更に他の検出素子の平面図である。 図39に示す線XXXX−XXXX間における検出素子の断面図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による振動検出素子の平面図である。また、図2は、図1に示す線II−II間における振動検出素子の断面図である。更に、図3は、図1に示す線III−III間における振動検出素子の断面図である。
図1から図3を参照して、この発明の実施の形態による振動検出素子10は、カバー部材1〜3と、振動子4と、アンテナ5,6と、振動空間7と、微小空間8とを備える。
カバー部材1は、例えば、ガラスからなり、四角形の平面形状を有する。そして、カバー部材1の厚みは、例えば、200μmである。
カバー部材2は、例えば、シリコン(Si)からなり、四角形の平面形状を有する。そして、カバー部材2の厚みは、例えば、50μmである。
カバー部材3は、例えば、ガラスからなり、四角形の平面形状を有する。そして、カバー部材3の厚みは、例えば、300μmである。
カバー部材2は、カバー部材1,3に接して配置され、カバー部材3は、カバー部材2に接して配置される。この場合、カバー部材2は、陽極接合によってカバー部材1と接合され、カバー部材3は、陽極接合によってカバー部材2に接合される。その結果、カバー部材1〜3は、振動空間7と微小空間8とを内部に構成する。
ここで、振動空間7は、振動子4が振動する空間である。そして、微小空間8は、振動空間7に対して開口している。
振動子4は、例えば、水晶からなり、略四角形の平面形状を有する。また、振動子4の厚みは、例えば、10μmであり、振動子4の大きさは、例えば、3mm角である。そして、振動子4は、振動空間7に配置され、その縁部が微小空間8内に挿入されている。
アンテナ5,6の各々は、例えば、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。アンテナ5は、カバー部材1の表面に沿って配置される。そして、アンテナ5は、その一方端側が振動子4の上側に配置され、他方端側が振動検出素子10の外部へ引き出される。アンテナ6は、カバー部材3の裏面に沿って配置される。そして、アンテナ6は、その一方端側が振動子4の下側に配置され、他方端側が振動検出素子10の外部へ引き出される。
このように、アンテナ6は、振動子4に対してアンテナ5と反対側に配置される。
振動子4は、アンテナ5によって電磁場が印加されると、振動する。
アンテナ5は、電磁場を振動子4に印加する。アンテナ6は、電磁場が印加されたことによって振動子4が振動したときの振動信号からなる受信信号を受信する。
このように、振動検出素子10は、接地電位に接続されたアンテナを用いずに振動子4を振動させるとともに振動子4の振動を非接触で検出する。
なお、アンテナ5,6は、相互に対向するように配置される必要はなく、振動子4に対向するように配置されていればよい。例えば、アンテナ5が、図2の紙面上、振動子4の幅方向の中心よりも左側に配置され、アンテナ6が、図2の紙面上、振動子4の幅方向の中心よりも右側に配置されていてもよく、また、その逆であってもよい。
図4は、図2に示す振動空間7および微小空間8の拡大図である。図4を参照して、振動空間7は、幅W1および高さH1を有する。幅W1は、例えば、2.98mmである。高さH1は、例えば、120〜130μmである。
高さH1は、H1=H2+H3+H4を満たす。高さH2,H4の各々は、例えば、50μmである。高さH3は、例えば、20〜30μmである。
微小空間8は、幅W2および高さH3を有する。幅W2は、例えば、15μmである。
従って、振動空間7および微小空間8の全体の幅W3は、W3=W1+2×W2であるので、3.01mmである。
図5は、図2に示す振動空間7および微小空間8の具体的な寸法を示す図である。振動子4の一辺の長さは、上述したように、3mmである。従って、振動子4が振動空間7の中央部に配置されている場合、振動子4の一方側の縁部41が10μmだけ一方の微小空間8内へ挿入され、振動子4の他方側の縁部42も10μmだけ他方の微小空間8内へ挿入される。そして、縁部41と微小空間8の側壁8Aとの距離は、5μmであり、縁部42と微小空間8の側壁8Bとの距離は、5μmである。また、点Aと点Cとの間の距離L1は、((2.98)2+(0.02)2)1/2〜((2.98)2+(0.03)2)1/2=2.98006mm〜2.98015mmの範囲である。そして、点Bと点Dとの距離L2は、点Aと点Cとの距離L1に等しい。そうすると、距離L1,L2の各々は、振動子4の一辺の長さ(=3mm)よりも短いので、振動子4の縁部41,42は、微小空間8内に挿入されたままである(図5の(a)参照)。
一方、振動子4の一方端が微小空間8の側壁8Aに接触した場合、振動子4の他方端と微小空間8の側壁8Bとの距離は、10μmとなる。そして、振動子4が反時計回りに回転しても、点線で示すように、振動子4の縁部41,42は、微小空間8内へ挿入されたままである。また、振動子4が時計回りに回転した場合も、同様に、振動子4の縁部41,42は、微小空間8内へ挿入されたままである(図5の(b)参照)。
このように、振動子4は、振動空間7および微小空間8内で移動しても、振動子4の縁部41,42は、微小空間8内に挿入されたままである。つまり、振動子4が微小空間8からはみ出すことはない。
図6は、図2に示す3個のカバー部材1〜3の斜視図および断面図である。なお、図6は、カバー部材1とカバー部材3との配置関係を上下方向に逆転して示す。また、図6の(d)〜(f)に示す断面図は、図1に示す線II−II間における断面図であり、図6の(g)〜(i)に示す断面図は、図1に示す線III−III間における断面図である。
図6を参照して、カバー部材1は、凹部101,102を有する。凹部101は、略U字形の断面形状を有する。また、凹部101は、略正方形の平面形状を有する。この場合、正方形の一辺の長さは、上述した幅W1(=2.98mm)に等しい。更に、凹部101は、上述した高さH2(=50μm)に等しい深さを有する。
凹部102は、凹部101の縁部に連続して設けられ、略L字形の断面形状を有する。また、凹部102は、上述した幅W2(=15μm)に等しい幅および高さH3(=20〜30μm)に等しい深さを有する。そして、凹部102は、凹部101の周囲に設けられる。
カバー部材2は、貫通孔201を有する。貫通孔201は、カバー部材1の凹部101と同じ形状および同じ大きさを有する。
貫通孔201が凹部101に向かい合い、かつ、貫通孔201以外の部分202がカバー部材1の一主面1Aに接するようにカバー部材2を配置すると、微小空間8が形成される。そして、カバー部材2のカバー部材1に接する面と反対側の面に接してカバー部材3を配置すると、振動空間7が形成される。
そして、カバー部材1とカバー部材2との接合は、200℃の温度下で400Vの電圧を印加した陽極接合によって行われる。また、カバー部材2とカバー部材3との接合も、200℃の温度下で400Vの電圧を印加した陽極接合によって行われる。
上述したように、振動検出素子10においては、振動子4の縁部が微小空間8内へ挿入された構造になっている。その結果、振動子4は、カバー部材1〜3によって保持されることはなく、アンテナ5によって電磁場が印加されると、自由に振動する。
従って、振動子4の安定した振動を確保できる。
図7は、図1から図3に示す振動検出素子10の製造方法を示す工程図である。図7を参照して、振動検出素子10の製造が開始されると、半導体技術におけるフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材1を構成するガラスの一主面に凹部101,102を形成する(ステップS1)。この場合、凹部101,102は、相互に深さが異なるので、レジストの塗布、レジストのパターンニングおよびエッチングを浅い順に繰返し行ない、凹部101,102を形成する。また、この発明の実施の形態においては、エッチングとは、ドライエッチングとウェットエッチングの両方を含む(以下、同じ)。
その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材2を構成するシリコンに貫通孔201を形成する(ステップS2)。
そして、エッチングまたは機械研磨を用いて、所望のサイズおよび厚みを有する振動子4を形成する(ステップS3)。
引き続いて、縁部がカバー部材1の凹部102上に配置されるように振動子4をカバー部材1に配置する(ステップS4)。
そうすると、貫通孔201が凹部101に向かい合うようにカバー部材2をカバー部材1に接触させ、上述した陽極接合によってカバー部材2をカバー部材1に接合する(ステップS5)。これによって、微小空間8が形成される。
その後、カバー部材2のカバー部材1に接する面と反対側の面に接してカバー部材3を配置し、上述した陽極接合によってカバー部材3をカバー部材2に接合する(ステップS6)。これによって、振動空間7が形成される。
そして、アンテナ5,6を形成する(ステップS7)。これによって、振動検出素子10が完成する。
図8は、従来の振動検出素子の断面図である。図8を参照して、従来の振動検出素子400は、図1から図3に示す振動検出素子10のアンテナ5,6をアンテナ15〜17に代えたものであり、その他は、振動検出素子10と同じである。
アンテナ15〜17の各々は、アンテナ5,6と同じ材料からなり、アンテナ5,6と同じ直径を有する。
アンテナ15,16は、カバー部材1の表面に沿って配置され、アンテナ17は、カバー部材3の裏面に沿って配置される。このように、アンテナ15,16は、振動子4に対してアンテナ17と反対側に配置される。
アンテナ15は、アンテナ17と協働して電磁場を振動子4に印加する。アンテナ16は、電磁場が印加されたことによって振動子4が振動したときの振動信号からなる受信信号をアンテナ17と協働して検出する。
アンテナ17は、接地電位に接続される。
このように、振動検出素子400は、接地電位に接続されたアンテナ17を用いて、振動子4を振動させるとともに振動子4の振動を検出する。
振動子4の振動試験について説明する。振動検出素子10において、振動子4の振動試験を行う場合、印加回路(図示せず)は、周波数を変えながら電磁場を、一定期間、アンテナ5に印加し、一定期間が経過すると、電磁場のアンテナ5への印加を停止する。そうすると、アンテナ5は、印加回路から印加された電磁場を振動子4に印加し、振動子4は、振動する。その後、アンテナ6は、振動子4の振動信号からなる受信信号を受信する。
また、振動検出素子400において、振動子4の振動試験を行う場合、印加回路(図示せず)は、周波数を変えながら電磁場を、一定期間、アンテナ15に印加し、一定期間が経過すると、電磁場のアンテナ15への印加を停止する。そうすると、アンテナ15は、アンテナ17と協働して、印加回路から印加された電磁場を振動子4に印加し、振動子4は、振動する。その後、アンテナ16は、アンテナ17と協働して、振動子4の振動信号からなる受信信号を受信する。
図9は、振動子の振動試験の結果を示す図である。図9において、縦軸は、振幅を表し、横軸は、周波数を表す。そして、曲線k1は、図1から図3に示す振動検出素子10における振動子4の水中における振動試験の結果を示す。また、曲線k2は、図8に示す振動検出素子400における振動子4の水中における振動試験の結果を示す。なお、図9に示す振幅は、振動検出素子10における振動子4が振動したときの最大の振幅によって規格化された振幅である。また、振動検出素子10,400において振動子4を振動させる条件は、同じである。
図9を参照して、接地電位に接続されたアンテナを備えない振動検出素子10における振動子4の振幅は、接地電位に接続されたアンテナ17を備える振動検出素子400における振動子4の振幅よりも10倍程度大きい(曲線k1,k2参照)。
従って、接地電位に接続されたアンテナを用いないことによって、振動子4の振幅を飛躍的に大きくできることが実験的に実証された。
このように、接地電位に接続されたアンテナを用いない場合、振動子4の振動の振幅は、図9に示すように、接地電位に接続されたアンテナを用いる場合に比べ、飛躍的に大きくなるが、この振幅の増大は、振動検出素子10によって初めて実現されたものである。
なお、振動検出素子10においては、アンテナ5がカバー部材3の裏面に沿って配置され、アンテナ6がカバー部材1の表面に沿って配置されていてもよい。
図10は、この発明の実施の形態による他の振動検出素子の断面図である。この発明の実施の形態による振動検出素子は、図10に示す振動検出素子10Aであってもよい。
図10を参照して、振動検出素子10Aは、振動検出素子10と同じ構成要素からなり、アンテナ5,6の配置位置が振動検出素子10と異なるだけである。
アンテナ5,6は、カバー部材1の表面に沿って配置される。このように、振動検出素子10Aにおいては、2つのアンテナ5,6は、振動子4の一方側に配置される。
なお、振動検出素子10Aにおいては、2つのアンテナ5,6は、カバー部材3の裏面に沿って配置されていてもよい。
振動検出素子10Aについてのその他の説明は、振動検出素子10についての説明と同じである。
図11は、この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の断面図である。この発明の実施の形態による振動検出素子は、図11に示す振動検出素子10Bであってもよい。
図11を参照して、振動検出素子10Bは、振動検出素子10のアンテナ5,6をアンテナ11に代えたものであり、その他は、振動検出素子10と同じである。
アンテナ11は、カバー部材1の表面に沿って配置される。アンテナ11は、印加回路(図示せず)から電磁場が印加されると、その印加された電磁場を、一定期間、振動子4に印加し、一定期間が経過すると、電磁場の振動子4への印加を停止する。その後、アンテナ11は、電磁場が印加されたことによって振動子4が振動したときの振動信号からなる受信信号を受信する。そして、アンテナ11によって検出された受信信号は、検出回路(図示せず)へ出力される。
振動検出素子10Bの振動子4を振動させるとともに振動子4の振動を検出する場合、印加回路は、スイッチAを介してアンテナ11に接続され、検出回路は、スイッチBを介してアンテナ11に接続される。
そして、電磁場をアンテナ11を介して振動子4に印加する場合、スイッチAがオンされ、スイッチBがオフされ、印加回路は、スイッチAおよびアンテナ11を介して電磁場を、一定期間、振動子4に印加する。その後、一定期間が経過すると、スイッチAがオフされ、スイッチBがオンされ、アンテナ11は、電磁場が印加されたことによって振動子4が振動したときの振動信号からなる受信信号を検出し、その検出した受信信号をスイッチBを介して検出回路へ出力する。
このように、振動検出素子10Bにおいては、アンテナ11は、振動検出素子10,10Aの2本のアンテナ5,6の機能を併せ持つ。従って、アンテナ11は、2本のアンテナが一体化された1つの導体(銅線)からなる。
上述したように、振動検出素子10Bは、1本のアンテナ11を用いて振動子4を振動させるとともに振動子4の振動を検出することを特徴とする。
なお、アンテナ11は、カバー部材3の裏面に沿って配置されていてもよい。
振動検出素子10Bについてのその他の説明は、振動検出素子10についての説明と同じである。
振動検出素子10A,10Bにおいては、2つのカバー部材1,3のうちのいずれか一方の表面(または裏面)側には、何も配置されないので、何も配置されないカバー部材(カバー部材1,3のいずれか一方)側に共焦点顕微鏡または全反射顕微鏡を配置することによって、振動検出素子10A,10Bと共焦点顕微鏡または全反射顕微鏡とを組み合わせることができる。
図12は、この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の断面図である。また、図13は、図12に示す振動空間7および微小空間8の拡大図である。なお、図13においては、振動空間7および微小空間8を形成するカバー部材1のうち、微小空間8の側壁8A,8Bを形成する部分のみが図示されている。
この発明の実施の形態による振動検出素子は、図12および図13に示す振動検出素子10Cであってもよい。図12および図13を参照して、振動検出素子10Cは、図1から図3に示す振動検出素子10のカバー部材2をカバー部材2Aに代えたものであり、その他は、振動検出素子10と同じである。
カバー部材2Aは、カバー部材1,3の両方に接してカバー部材1とカバー部材3との間に配置される。そして、カバー部材2Aは、カバー部材2と同じ材料からなる。
振動検出素子10Cにおいては、微小空間8の高さH3は、70〜80μmである。その結果、振動検出素子10Cにおいては、振動空間7の高さH1は、170〜180μmである。
カバー部材2Aは、図2に示すカバー部材2に突起物21〜24を追加したものであり、その他は、カバー部材2と同じである。
突起物21〜24の各々は、例えば、円柱形状からなり、50μmφの直径と、50μmの高さとを有する。そして、突起物21〜24は、微小空間8の底面8Cに配置される。この場合、突起物21〜24は、振動空間7の四角形と相似な四角形の4つの頂点に位置するように配置される。そして、カバー部材2Aは、突起物21〜24を有するように一体的に形成される。
振動検出素子10Cにおいては、振動子4は、突起物21〜24上に配置される。その結果、振動検出素子10Cにおいて、振動子4は、縁部が4個の突起物21〜24のみと接触し、振動検出素子10Cにおける振動子4とカバー部材2Aとの接触面積が振動検出素子10における振動子4とカバー部材2との接触面積よりも小さくなり、振動子4は、振動検出素子10の場合よりも更に自由に振動する。従って、振動子の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
なお、突起物21〜24の各々は、その先端部(振動子4との接触部分)が半球状、三角錐、および四角錐等の尖った形状であってもよい。突起物21〜24の先端部が半球状、三角錐、および四角錐等の尖った形状からなる場合、振動子4は、突起物21〜24と点接触するので、振動子4と突起物21〜24との接触面積が更に小さくなる。その結果、振動子4は、更に自由に振動する。従って、振動子の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
図14は、図12および図13に示す振動検出素子10Cの製造方法を示す工程図である。図14を参照して、振動検出素子10Cの製造が開始されると、半導体技術におけるフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材1を構成するガラスの一主面に凹部101,102を形成する(ステップS11)。この場合、凹部101,102は、相互に深さが異なるので、レジストの塗布、レジストのパターンニングおよびエッチングを浅い順に繰返し行ない、凹部101,102を形成する。
その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材2Aを構成するシリコンに突起物21〜24および貫通孔201を形成する(ステップS12)。この場合、レジストの塗布、レジストのパターンニングおよびエッチングを繰返し行ない、突起物21〜24を形成した後に貫通孔201を形成する。
そして、エッチングまたは機械研磨を用いて、所望のサイズおよび厚みを有する振動子4を形成する(ステップS13)。
引き続いて、カバー部材2Aの突起物21〜24が上側になるようにカバー部材2Aをカバー部材3に接触させ、上述した陽極接合によってカバー部材2Aをカバー部材3に接合する(ステップS14)。
そして、カバー部材2Aの突起物21〜24上に振動子4を配置する(ステップS15)。
そうすると、カバー部材1の凹部101がカバー部材2Aの貫通孔201に向かい合うようにカバー部材1をカバー部材2Aに接触させ、上述した陽極接合によってカバー部材1をカバー部材2Aに接合する(ステップS16)。これによって、振動空間7および微小空間8が形成される。
そして、アンテナ5,6を形成する(ステップS17)。これによって、振動検出素子10Cが完成する。
図15は、図12に示す振動空間7および微小空間8の他の拡大図である。なお、図15においても、振動空間7および微小空間8を形成するカバー部材1のうち、微小空間8の側壁8A,8Bを形成する部分のみが図示されている。
振動検出素子10Cにおいては、カバー部材2Aは、1つの突起物21のみを有していてもよい。そして、振動子4は、縁部が1つの突起物21上に位置するように振動空間7および微小空間8内に配置される。その結果、振動子4と微小空間8の底面8Cとの接触面積は、突起物21が無い場合よりも小さくなり、振動子4は、突起物21が無い場合よりも自由に振動する。従って、振動子4の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
図16は、図12に示す振動空間7および微小空間8の他の拡大図である。なお、図16においても、振動空間7および微小空間8を形成するカバー部材1のうち、微小空間8の側壁8A,8Bを形成する部分のみが図示されている。
振動検出素子10Cにおいては、カバー部材2Aは、2個の突起物21,24を有していてもよい。そして、振動子4は、縁部が2個の突起物21,24上に位置するように振動空間7および微小空間8内に配置される。その結果、振動子4と微小空間8の底面8Cとの接触面積は、突起物21,24が無い場合よりも小さくなり、振動子4は、突起物21,24が無い場合よりも自由に振動する。従って、振動子4の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
なお、カバー部材2Aは、2個の突起物21,24に限らず、2個の突起物21,22、2個の突起物22,23、2個の突起物21,23、2個の突起物22,24および2個の突起物23,24のいずれかを有していてもよい。この場合、振動子4と微小空間8の底面8Cとの接触面積が小さくなり、振動子4は、突起物21,22等が無い場合よりも自由に振動する。従って、振動子4の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
また、カバー部材2Aが2個の突起物を有する場合、2個の突起物は、図16に示す配置位置および間隔に限らず、微小空間8の底面8Cの任意の場所に任意の間隔で配置される。
図17は、図12に示す振動空間7および微小空間8の他の拡大図である。なお、図17においても、振動空間7および微小空間8を形成するカバー部材1のうち、微小空間8の側壁8A,8Bを形成する部分のみが図示されている。
振動検出素子10Cにおいては、カバー部材2Aは、3個の突起物21〜23を有していてもよい。そして、振動子4は、縁部が3個の突起物21〜23上に位置するように振動空間7および微小空間8内に配置される。その結果、振動子4と微小空間8の底面8Cとの接触面積は、突起物21〜23が無い場合よりも小さくなり、振動子4は、突起物21〜23が無い場合よりも自由に振動する。従って、振動子4の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
なお、カバー部材2Aは、3個の突起物21〜23に限らず、3個の突起物22〜24、3個の突起物21,22,24および3個の突起物21,23,24のいずれかを有していてもよい。この場合、振動子4と微小空間8の底面8Cとの接触面積が小さくなり、振動子4は、突起物22〜24等が無い場合よりも自由に振動する。従って、振動子4の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
また、カバー部材2Aが3個の突起物を有する場合、3個の突起物は、図17に示す配置位置および間隔に限らず、微小空間8の底面8Cの任意の場所に任意の間隔で配置される。
なお、振動検出素子10Cにおいて、カバー部材2Aは、5個以上の突起物を有していてもよく、一般的には、m(mは正の整数)個の突起物を有していればよい。そして、カバー部材2Aが3個以上の突起物を有する場合、3個以上の突起物は、振動子4を水平に支持することが可能である。
また、この発明の実施の形態による振動検出素子は、振動検出素子10から振動検出素子10Aへの変更、または振動検出素子10から振動検出素子10Bへの変更と同じ変更が振動検出素子10Cに適用されたものであってもよい。
図18は、この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の概略図である。また、図19は、図18に示すA方向から見た振動空間7および微小空間8の平面図である。なお、図19においては、振動空間7および微小空間8を形成するカバー部材1Aのうち、微小空間8の側壁8A,8Bを形成する部分のみが図示されている。
この発明の実施の形態による振動検出素子は、図18および図19に示す振動検出素子10Dであってもよい。図18および図19を参照して、振動検出素子10Dは、図12および図13に示す振動検出素子10Cのカバー部材1をカバー部材1Aに代えたものであり、その他は、振動検出素子10Cと同じである。
カバー部材1Aは、カバー部材2Aに接してカバー部材2Aに接合される。そして、カバー部材1Aは、上述したカバー部材1と同じ材料からなる。
カバー部材1Aは、上述したカバー部材1に支持部25〜32を追加したものであり、その他は、カバー部材1と同じである。
支持部25〜32は、微小空間8から振動空間7の方向へ突出するように微小空間8の側壁8A,8B,8D,8Eに設けられる。より具体的には、支持部25,32は、微小空間8の側壁8Aに設けられ、支持部26,27は、微小空間8の側壁8Dに設けられ、支持部28,29は、微小空間8の側壁8Bに設けられ、支持部30,31は、微小空間8の側壁8Eに設けられる。そして、支持部25〜32は、振動空間7の四隅の近傍に配置される。
支持部25〜32の各々は、半円状の断面形状を有する。そして、カバー部材1Aは、支持部25〜32を有するように一体的に形成される。
振動子4(図19において点線で示す)は、縁部が突起物21〜24上に位置し、かつ、側面が支持部25〜32に接するように配置される。この場合、振動子4は、支持部25〜32と点接触する。
その結果、振動子4とカバー部材1A,2Aとの接触面積は、振動検出素子10における振動子4とカバー部材2との接触面積よりも小さくなり、振動子4は、振動検出素子10の場合よりも自由に振動する。従って、振動子4の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
なお、振動検出素子10Dにおいては、支持部25〜32は、振動空間7の四隅の近傍に限らず、微小空間8の側壁8A,8B,8D,8Eの任意の場所に任意の間隔で設けられてもよい。
図20は、図18および図19に示す振動検出素子10Dの製造方法を示す工程図である。図20に示す工程図は、図14に示す工程図のステップS11をステップS11Aに代えたものであり、その他は、図14に示す工程図と同じである。
図20を参照して、振動検出素子10Dの製造が開始されると、半導体技術におけるフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材1Aを構成するガラスの一主面に支持部25〜32、および凹部101,102を形成する(ステップS11A)。この場合、支持部25〜32、および凹部101,102は、相互に深さが異なるので、レジストの塗布、レジストのパターンニングおよびエッチングを浅い順に繰返し行ない、支持部25〜32、および凹部101,102を形成する。また、支持部25〜32を形成する場合、図19に示す微小空間8の側壁8A,8B,8D,8Eによって形成される形状を有するマスクを用いてレジストをパターンニングする。
ステップS11Aの後、上述したステップS12〜ステップS17が順次実行され、振動検出素子10Dが完成する。
なお、振動検出素子10Dにおいても、カバー部材2Aは、上述したように、m個の突起物を有していればよい。そして、m個の突起物の配置位置および間隔は、任意である。
また、この発明の実施の形態による振動検出素子は、振動検出素子10から振動検出素子10Aへの変更、または振動検出素子10から振動検出素子10Bへの変更と同じ変更が振動検出素子10Dに適用されたものであってもよい。
図21は、この発明の実施の形態による更に他の振動検出素子の断面図である。また、図22は、図21に示すA方向から見た振動空間7および微小空間8の平面図である。なお、図22においては、振動空間7および微小空間8を形成するカバー部材2Bのうち、微小空間8の側壁8A,8Bを形成する部分のみが図示されている。
この発明の実施の形態による振動検出素子は、図21および図22に示す振動検出素子10Eであってもよい。図21および図22を参照して、振動検出素子10Eは、図12に示す振動検出素子10Cのカバー部材2Aをカバー部材2Bに代えたものであり、その他は、振動検出素子10Cと同じである。
カバー部材2Bは、カバー部材1,3の両方に接してカバー部材1とカバー部材3との間に配置される。そして、カバー部材2Bは、上述したカバー部材2と同じ材料からなる。
カバー部材2Bは、上述したカバー部材2Aに支持部33〜36を追加したものであり、その他は、カバー部材2Aと同じである。
支持部33〜36は、微小空間8の底面8Cにおいて、それぞれ、突起物21〜24よりも微小空間8の角部側に設けられる。より具体的には、支持部33は、突起物21よりも微小空間8の角部側に設けられ、支持部34は、突起物22よりも微小空間8の角部側に設けられ、支持部35は、突起物23よりも微小空間8の角部側に設けられ、支持部36は、突起物24よりも微小空間8の角部側に設けられる。
支持部33〜36の各々は、四角形の断面形状を有する。そして、カバー部材2Bは、突起物21〜24および支持部33〜36を有するように一体的に形成される。
振動子4(図22において点線で示す)は、縁部が突起物21〜24上に位置し、かつ、4個の角部がそれぞれ支持部33〜36に接するように配置される。この場合、振動子4は、支持部33〜36と点接触する。
その結果、振動子4とカバー部材2Bとの接触面積は、振動検出素子10における振動子4とカバー部材2との接触面積よりも小さくなり、振動子4は、振動検出素子10の場合よりも自由に振動する。従って、振動子4の自由な振動を確保でき、振動子4の振動の振幅を更に大きくできる。
図23は、図21および図22に示す振動検出素子10Eの製造方法を示す工程図である。図23に示す工程図は、図14に示す工程図のステップS12をステップS12Aに代えたものであり、その他は、図14に示す工程図と同じである。
図23を参照して、振動検出素子10Eの製造が開始されると、上述したステップS11が実行され、カバー部材1が作製される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングによって、カバー部材2Bを構成するシリコンに突起物21〜24、支持部33〜36および貫通孔201を形成する(ステップS12A)。これによって、カバー部材2Bが作製される。
そして、上述したステップS13〜ステップS17が順次実行され、振動検出素子10Eが完成する。
なお、振動検出素子10Eにおいても、カバー部材2Bは、上述したように、m個の突起物を有していればよい。そして、m個の突起物の配置位置および間隔は、任意である。
また、この発明の実施の形態による振動検出素子は、振動検出素子10から振動検出素子10Aへの変更、または振動検出素子10から振動検出素子10Bへの変更と同じ変更が振動検出素子10Eに適用されたものであってもよい。
図24は、図12および図13に示す振動検出素子10Cの他の製造方法を示す工程図である。図24を参照して、振動検出素子10Cの製造が開始されると、半導体技術におけるフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材1を構成するガラスの一主面に凹部101,102を形成する(ステップS21)。この場合、凹部101,102は、相互に深さが異なるので、レジストの塗布、レジストのパターンニングおよびエッチングを浅い順に繰返し行ない、凹部101,102を形成する。
その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材2Aを構成するシリコンに突起物21〜24および貫通孔201を形成する(ステップS22)。この場合、レジストの塗布、レジストのパターンニングおよびエッチングを繰返し行ない、突起物21〜24を形成した後に貫通孔201を形成する。
そして、カバー部材2Aの突起物21〜24が上側に位置するように陽極接合によってカバー部材2Aをカバー部材3に接合する(ステップS23)。
引き続いて、犠牲層をカバー部材2A上に塗布する(ステップS24)。この犠牲層は、例えば、商品名がHD−3007(HD Micro Systems)であるポリイミドからなる。
その後、水晶板を犠牲層に接合する(ステップS25)。そして、カバー部材3/カバー部材2A/犠牲層/水晶板からなる一体化物を水晶板が下側に位置するように裏返し、水晶板を所望の厚みに研磨する(ステップS26)。引き続いて、研磨後の水晶板をエッチングして振動子4を作製する(ステップS27)。
そうすると、カバー部材1の凹部101がカバー部材2Aの貫通孔201に向かい合うようにカバー部材1をカバー部材2Aに接触させ、上述した陽極接合によってカバー部材1をカバー部材2Aに接合する(ステップS28)。これによって、振動空間7が形成される。
そして、犠牲層の除去溶液を振動空間7に流して犠牲層を除去する(ステップS29)。これによって、微小空間8が形成され、振動子4の縁部が微小空間8内の突起物21〜24に接触する。なお、犠牲層の除去溶液は、例えば、EKC865(Dupont EKC Technology)からなる。
その後、アンテナ5,6を形成する(ステップS30)。これによって、振動検出素子10Cが完成する。
なお、上述したステップS24,S25に代えて、犠牲層を水晶板に塗布し、その塗布した犠牲層によって水晶板をカバー部材2A上に接合する工程を実行してもよい。
このように、図24に示す工程図においては、カバー部材3/カバー部材2A/犠牲層/水晶板からなる一体化物を形成した後に、水晶板を所望の厚みまで研磨するので(ステップS26参照)、水晶板を研磨して振動子4を作製する場合よりも、振動子4の厚みを更に薄くできる。その結果、検出対象物を検出する検出感度を向上できる。
なお、上述した振動検出素子10,10A,10B,10D,10Eの各々も、図24に示す工程図に従って製造されてもよい。
図25は、他の振動子を示す図である。振動子4は、振動子4Aであってもよい(図25の(a)参照)。振動子4Aは、略正方形の形状を有し、突出部41A,42Aを有する。突出部41A,42Aは、正方形の対向する2つの辺にそれぞれ配置される。そして、振動子4Aは、2つの突出部41A,42Aが微小空間8内に挿入される。
振動子4Aが用いられる場合、振動子4Aの突出部41A,42Aのみがカバー部材2,2A,2Bに接触するので、振動子4Aは、振動子4よりも安定して振動する。
なお、振動子4Aにおいては、正方形の4辺に突出部を設けてもよい。
また、振動子4は、振動子4Bであってもよい(図25の(b)参照)。振動子4Bは、略円形の形状を有する。そして、直交する2つの直径方向に存在する4個の縁部41B,42B,43B,44Bのうち、少なくとも対向する2つの縁部41B,43B(または42B,44B)が微小空間8内に挿入されればよい。
振動子4は、図25に示す以外に、三角形、四角形、五角形、および六角形等の多角形の形状からなっていてもよい。振動子4が多角形からなる場合、振動子4の対向する2つの縁部が少なくとも微小空間8内に挿入される。
そして、振動子4A,4Bを含む各種の振動子4が振動検出素子10,10A,10B,10C,10D,10Eに適用される。
なお、上記においては、振動検出素子10,10A,10B,10C,10D,10Eは、振動空間7および微小空間8を備え、振動子4の縁部が微小空間8に挿入されると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、振動検出素子10,10A,10B,10C,10D,10Eは、微小空間8を備えず、振動子4の縁部がカバー部材2に固定されていてもよい。
従って、この発明の実施の形態による振動検出素子は、接地電位に接続されたアンテナを用いずに振動子4を振動させるとともに振動子4の振動を検出する振動検出素子であって、振動子4と、電磁場を振動子4に印加するアンテナ5と、振動子4が振動したときの振動信号からなる受信信号を振動子4から受信するアンテナ6とを備えていればよい。
接地電位に接続されたアンテナを用いずにアンテナ5によって電磁場を振動子4に印加すれば、接地電位に接続されたアンテナを用いて電磁場を振動子4に印加した場合に比べ、振動子4の振動の振幅が飛躍的に大きくなるからである。
以下、振動検出素子を用いた検出素子について説明する。
図26は、この発明の実施の形態による振動検出素子を用いた検出素子の平面図である。また、図27は、図26に示す線XXVII−XXVII間における検出素子の断面図である。更に、図28は、図26に示す線XXVIII−XXVIII間における検出素子の断面図である。
図26から図28を参照して、この発明の実施の形態による検出素子100は、カバー部材111〜113と、振動子114と、導入口115と、導入経路116と、排出経路117と、排出口118と、アンテナ119,120とを備える。
カバー部材111は、例えば、ガラスからなり、四角形の平面形状を有する。そして、カバー部材111の厚みは、例えば、200μmである。
カバー部材112は、例えば、シリコン(Si)からなり、四角形の平面形状を有する。そして、カバー部材112の厚みは、例えば、50μmである。
カバー部材113は、例えば、ガラスからなり、四角形の平面形状を有する。そして、カバー部材113の厚みは、例えば、300μmである。
カバー部材112は、カバー部材111に接して配置され、カバー部材113は、カバー部材112に接して配置される。この場合、カバー部材112は、陽極接合によってカバー部材111と接合され、カバー部材113は、陽極接合によってカバー部材112に接合される。その結果、カバー部材111〜113は、検査空間121と微小空間122とを内部に構成する。
ここで、検査空間121は、検査対象の液体が導入される空間である。そして、微小空間122は、検査空間121に対して開口している。
振動子114は、上述した振動子4と同じ材料からなり、振動子4と同じ平面形状、大きさおよび厚みを有する。そして、振動子114は、検査空間121に配置され、その縁部が微小空間122内に挿入されている。
導入口115は、カバー部材111,112に設けられる。そして、導入口115は、検査対象の液体を外部から検出素子100へ導入するための口である。導入経路116は、カバー部材111,112に設けられる。そして、導入経路116は、一方端が導入口115に接続され、他方端が検査空間121および微小空間122に接続される。また、導入経路116は、導入経路116a,116bからなる。導入経路116aは、蛇行しており、一方端が導入口115に接続され、他方端が導入経路116bに接続される。導入経路116bは、一方端が導入経路116aに接続され、他方端が検査空間121に接続される。導入経路116aが蛇行しているのは、検査対象の液体の流れを安定化させるためである。
排出経路117は、一方端が検査空間121に接続され、他方端が排出口118に接続される。排出口118は、カバー部材111,112に設けられる。そして、排出口118は、検査対象の液体を検査素子100から外部へ排出するための口である。
アンテナ119,120の各々は、上述したアンテナ5,6と同じ材料からなり、アンテナ5,6と同じ直径を有する。アンテナ119は、カバー部材111の表面に沿って配置される。そして、アンテナ119は、その一方端側が振動子114の上側に配置され、他方端側が検出素子100の外部へ引き出される。アンテナ120は、カバー部材113の裏面に沿って配置される。そして、アンテナ120は、その一方端側が振動子114の下側に配置され、他方端側が検出素子100の外部へ引き出される。
このように、アンテナ120は、振動子114に対してアンテナ119と反対側に配置される。
振動子114は、アンテナ119によって電磁場が印加されると、振動する。導入経路116は、導入口115から導入された液体を検査空間121へ導く。排出経路117は、検査空間121内の液体を排出口118へ導く。
アンテナ119は、電磁場を振動子114に印加する。アンテナ120は、電磁場が印加されたことによって振動子114が振動したときの振動信号からなる受信信号を受信する。
このように、検出素子100は、振動子114の振動を非接触で検出して検査対象の液体から検出対象物を検出する。
また、振動子114およびアンテナ119,120は、それぞれ、振動検出素子10の振動子4およびアンテナ5,6に相当し、検査空間121は、振動検出素子10の振動空間7に相当し、微小空間122は、振動検出素子10の微小空間8に相当する。従って、検出素子100は、図1から図3に示す振動検出素子10を備える検出素子である。
検査空間121および微小空間122の寸法は、それぞれ、図4,5に示す振動空間7および微小空間8の寸法と同じである。
図29は、図28に示す導入経路116、排出経路117、および検査空間121の拡大図である。
図29を参照して、検査空間121は、上述した寸法を有する。そして、導入経路116および排出経路117の高さH5は、例えば、80μmであり、上述した高さH4よりも高い。その結果、検査対象の液体は、導入経路116から振動子114の両側に導入される。
導入経路116および排出経路117の幅(図29の紙面に垂直な方向の長さ)は、振動子114の一辺の長さよりも狭いので、図26に示す線XXVIII−XXVIII間の断面においても、振動子114は、微小空間122から導入経路116側または排出経路117側へはみ出すことはない。
このように、検出素子100においては、振動子114は、その周囲において、微小空間122からはみ出さない構造になっている。
図30は、図27に示す3個のカバー部材111〜113の斜視図および断面図である。なお、図30は、カバー部材111とカバー部材113との配置関係を上下方向に逆転して示す。また、図30の(d)〜(f)に示す断面図は、図26に示す線XXVII−XXVII間における断面図であり、図30の(g)〜(i)に示す断面図は、図26に示す線XXVIII−XXVIII間における断面図である。
図30を参照して、カバー部材111は、凹部101,102,104,105および貫通孔103,106を有する。凹部101は、略U字形の断面形状を有する。また、凹部101は、略正方形の平面形状を有する。この場合、正方形の一辺の長さは、上述した幅W1(=2.98mm)に等しい。更に、凹部101は、上述した高さH2(=50μm)に等しい深さを有する。
凹部102は、凹部101の縁部に連続して設けられ、略L字形の断面形状を有する。また、凹部102は、上述した幅W2(=15μm)に等しい幅および高さH3(=20〜30μm)に等しい深さを有する。そして、凹部102は、凹部101の周囲に設けられる。
貫通孔103は、カバー部材111を貫通する。凹部104は、凹部102と貫通孔103との間に設けられる。そして、凹部104は、上述した高さH5(=80μm)に等しい深さを有する。
凹部105は、凹部102と貫通孔106との間に設けられる。そして、凹部105は、上述した高さH5(=80μm)に等しい深さを有する。貫通孔106は、カバー部材111を貫通する。
カバー部材112は、貫通孔201,203〜206を有する。貫通孔201は、カバー部材111の凹部101と同じ形状および同じ大きさを有する。
貫通孔201,203〜206がそれぞれ凹部101、貫通孔103、凹部104,105、および貫通孔106に向かい合い、かつ、貫通孔201,203〜206以外の部分202がカバー部材111の一主面111Aに接するようにカバー部材112を配置すると、導入口115、導入経路116、排出経路117、排出口118および微小空間122が形成される。そして、カバー部材112のカバー部材111に接する面と反対側の面に接してカバー部材113を配置すると、検査空間121が形成される。
そして、カバー部材111とカバー部材112との接合は、200℃の温度下で400Vの電圧を印加した陽極接合によって行われる。また、カバー部材112とカバー部材113との接合も、200℃の温度下で400Vの電圧を印加した陽極接合によって行われる。
上述したように、検出素子100においては、振動子114の縁部が微小空間122内へ挿入された構造になっている。その結果、振動子114は、カバー部材111〜113によって保持されることはなく、アンテナ119によって電磁場が印加されると、自由に振動する。
従って、振動子114の安定した振動を確保でき、振動子114の振動の振幅を大きくできる。
図31は、図26から図28に示す検出素子100の製造方法を示す工程図である。図31を参照して、検出素子100の製造が開始されると、半導体技術におけるフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材111を構成するガラスの一主面に凹部101,102,104,105および貫通孔103,106を形成する(ステップS21)。この場合、凹部101,102,104,105および貫通孔103,106は、相互に深さが異なるので、レジストの塗布、レジストのパターンニングおよびエッチングを浅い順に繰返し行ない、凹部101,102,104,105および貫通孔103,106を形成する。
その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、カバー部材112を構成するシリコンに貫通孔201,203〜206を形成する(ステップS22)。
そして、エッチングまたは機械研磨を用いて、所望のサイズおよび厚みを有する振動子114を形成する(ステップS23)。
引き続いて、縁部がカバー部材111の凹部102上に配置されるように振動子114をカバー部材111に配置する(ステップS24)。
そうすると、貫通孔201,203〜206が凹部101,104,105および貫通孔103,106に向かい合うようにカバー部材112をカバー部材111に接触させ、上述した陽極接合によってカバー部材112をカバー部材111に接合する(ステップS25)。これによって、導入口115、導入経路116、排出経路117、排出口118および微小空間122が形成される。
その後、カバー部材112のカバー部材111に接する面と反対側の面に接してカバー部材113を配置し、上述した陽極接合によってカバー部材113をカバー部材112に接合する(ステップS26)。これによって、検査空間121が形成される。
そして、アンテナ119,120を形成する(ステップS27)。これによって、検出素子100が完成する。
図32は、入力電圧Vinおよび受信信号Rのタイミングチャートである。また、図33は、共振周波数のタイミングチャートである。
図32および図33を参照して、検出素子100における検出対象物の検出方法について説明する。検出対象物を検出する場合、印加回路(図示せず)は、タイミングt1からタイミングt2までの間、振動波形からなる入力電圧Vinをアンテナ119に印加する。そして、印加回路は、タイミングt2以降、入力電圧Vinのアンテナ119への印加を停止する。
そうすると、アンテナ119は、タイミングt1からタイミングt2までの間、入力電圧Vinに基づいて生成される振動電場Eを振動子114に印加する。
振動子114は、振動電場Eが印加されると、逆圧電効果によって共振し、表面に電位分布が発生する。
そうすると、アンテナ120は、振動子114の表面に発生した電位分布を振動波形からなる受信信号Rとして受信する。この場合、アンテナ120は、検出対象物が振動子114に付着していなければ、振動波形からなる受信信号R0を受信し、検出対象物が振動子114に付着していれば、振動波形からなる受信信号R1を受信する。そして、アンテナ120は、その受信した受信信号R0,R1を検出回路(図示せず)へ出力する。
検出回路は、アンテナ120から受信信号R0を受信すると、その受信した受信信号R0の共振周波数f0を検出する。また、検出回路は、アンテナ120から受信信号R1を受信すると、その受信した受信信号R1の共振周波数f1(<f0)を検出する。そして、検出回路は、共振周波数の変化量Δf=f0−f1を検出し、検出対象物が振動子114に付着したことを検知する。
検出対象物が振動子114に付着すると、振動子114の質量が大きくなるので、振動子114の共振周波数f1は、検出対象物が振動子114に付着しない場合に比べ、低下する。
従って、検出回路は、入力電圧Vinがアンテナ119へ印加された後、受信信号Rをアンテナ120から受信し、検出対象物が振動子114に付着していないとき、受信信号Rから共振周波数f0を検出し、検出対象物が振動子114に付着すると、共振周波数f1まで徐々に変化する共振周波数fを検出する(図33参照)。そして、検出回路は、共振周波数fの変化量Δf=f0−f1を検出し、検出対象物が振動子114に付着したことを検知する。
振動子114の共振周波数をfとし、振動子114の質量をmとし、振動子114の質量の変化量(=検出対象物の質量)をΔmとした場合、振動子114の共振周波数の変化量Δfは、次式によって表される。
Δf=f・Δm/m・・・(1)
このように、共振周波数の変化量Δfは、振動子114の質量の変化量Δm、すなわち、検出対象物の質量に比例し、振動子114の質量mに反比例する。したがって、検出対象物の質量が大きくなる程、または振動子4の質量(=厚み)が小さくなる程、共振周波数fの変化量Δfが大きくなり、検出対象物の振動子114への付着を検知し易くなる。
検出素子100においては、導入口115および導入経路116を介して検査対象の液体を検査空間121に導入し、排出経路117および排出口118を介して検査空間122から検査対象の液体を排出しながら、即ち、検査対象の液体を循環させながら、上述した方法によって検出対象物の検出が行なわれる。
この場合、振動子114は、上述したように、カバー部材111〜113によって挟まれていないので、アンテナ119によって電磁場が印加されると、自由に振動する。従って、振動子114の安定な振動を確保して検出対象物を検出できる。
また、検出素子100は、接地電位に接続されたアンテナを備えていないので、図9に示すように振動子114の振動が接地電位に接続されたアンテナを備えている場合よりも10倍程度大きくなる。従って、検出対象物を高感度で検出できる。
そして、検出対象物の検出が終了すると、濃硫酸と過酸化水素とを濃硫酸:過酸化水素=7:3の比で混合した強酸を作成し、その作成した強酸を導入口115、導入経路116、検査空間121、微小空間122、排出経路117および排出口118を介して循環させ、振動子114を洗浄する。
なお、振動子114を強酸で洗浄することによって振動子114を構成する水晶の表面がOH基で覆われ、タンパク質が振動子114に吸着し易くなる。この場合、シランカップリング剤および自己組織化単分子膜(SAM)試薬等を用いなくても、タンパク質が振動子114に吸着し易くなる。
その後、超純水を導入口115、導入経路116、検査空間121、微小空間122、排出経路117および排出口118を介して循環させ、振動子114を洗浄する。
そして、振動子114の洗浄後、レセプター(=タンパク質)を導入口115、導入経路116、検査空間121、微小空間122、排出経路117および排出口118を介して流し、レセプター(=タンパク質)を振動子114に吸着させる。その後、上述した方法によって、検出対象物を検出する。
以降、上述した動作を繰返し実行し、検出対象物を検出する。
従って、一旦、検出素子100を作製すると、検出素子100を半永久的に用いることができる。
図34は、この発明の実施の形態による振動検出素子を用いた他の検出素子の概略図である。この発明の実施の形態による検出素子は、図34に示す検出素子200であってもよい。
図34を参照して、検出素子200は、ユニット素子91〜9n(nは2以上の整数)と、アンテナ130,131とを備える。
ユニット素子91〜9nの各々は、上述した検出素子100のカバー部材111〜113、振動子114、導入口115、導入経路116、排出経路117、排出口118、検査空間121および微小空間122からなる。そして、ユニット素子91〜9nは、例えば、導入口115と排出口118とを結ぶ直線が平行になるように一列に配列される。
アンテナ130,131は、それぞれ、検出素子100のアンテナ119,120に相当する。アンテナ130は、ユニット素子91〜9nの一方側において、ユニット素子91〜9nに含まれるn個の振動子114の上側に配置される。アンテナ131は、ユニット素子91〜9nの他方側において、ユニット素子91〜9nに含まれるn個の振動子114の下側に配置される。
このように、検出素子200においては、アンテナ130,131は、n個のユニット素子91〜9nに対して共通に配置される。
アンテナ130は、ユニット素子91〜9nのn個の振動子114に電磁場を印加する。アンテナ131は、ユニット素子91〜9nのn個の振動子114が振動したときの振動信号からなる受信信号を受信する。
検出素子200においては、ユニット素子91〜9nのn個の振動子114は、相互に同じ厚みを有していてもよいし、相互に異なる厚みを有していてもよい。
ユニット素子91〜9nのn個の振動子114が相互に同じ厚みを有する場合、検出素子200は、ユニット素子91〜9nによって同じ種類の検出対象物を検出する。
一方、ユニット素子91〜9nのn個の振動子114が相互に異なる厚みを有する場合、検出素子200は、ユニット素子91〜9nによって異なる種類の検出対象物を検出する。
図35は、図34に示す検出素子200の具体例を示す図である。なお、図35の(a)は、平面図であり、図35の(b)は、側面図である。
図35を参照して、検出素子200Aは、検出素子200にカバー部材140を追加した構成からなる。カバー部材140は、ユニット素子91〜9n上に配置される。そして、カバー部材140は、補助経路141〜14n+1と、孔151〜15(2n)とを含む。また、カバー部材140は、例えば、ガラスからなる。
補助経路141は、一方端がカバー部材140の端面に位置し、他方端が孔151に接続される。補助経路142は、一方端が孔152に接続され、他方端が孔153に接続される。補助経路143は、一方端が孔154に接続される。以下、同様にして、補助経路14nは、他方端が孔15(2n−1)に接続され、補助経路14n+1は、一方端が孔15(2n)に接続される。
孔151は、ユニット素子91の導入口115に接続される。孔152は、ユニット素子91の排出口118に接続される。孔153は、ユニット素子92の排出口118に接続される。孔154は、ユニット素子92の導入口115に接続される。以下、同様にして、孔15(2n−1)は、ユニット素子9nの導入口115に接続され、孔15(2n)は、ユニット素子9nの排出口118に接続される。
検査対象の液体は、補助経路141から検出装置200Aに導入され、ユニット素子91,92,・・・,9nを順次流れ、補助経路14n+1から外部へ排出される。この場合、液体は、排出口118からユニット素子92内へ導入され、導入口115から排出される。
このように、カバー部材140は、n個のユニット素子91〜9nを直列に接続する。
検出素子200Aにおいては、n個のユニット素子91〜9nに含まれるn個の振動子114は、相互に同じ厚みを有する。
図36は、図35に示すカバー部材140の構成図である。図36を参照して、カバー部材140は、カバー部材1410,1420からなる。カバー部材1410,1420の各々は、ガラスからなる。
カバー部材1410は、溝1411〜141n+1を一主面1410Aに含む。溝1411は、一方端がカバー部材1410の端面に位置する。溝141n+1は、他方端がカバー部材1410の端面に位置する。
カバー部材1420は、貫通孔1421〜14(2n)を含む。貫通孔1421〜14(2n)の各々は、溝1411〜141n+1の幅に略等しい直径を有する。
カバー部材1410の一主面1410Aがカバー部材1420の一主面1420Aに接するようにカバー部材1410を上述した陽極接合によってカバー部材1420に接合する。
その結果、貫通孔1421は、溝1411の他方端と接続され、貫通孔1422は、溝1412の一方端と接続され、貫通孔142(2n)は、溝141n+1の一方端と接続される。そして、溝1411〜141n+1は、カバー部材1410の一主面1410Aにおける開口部がカバー部材1420の一主面1420Aによって塞がれることによって、それぞれ、補助経路141〜14n+1を構成する。また、貫通孔1421〜14(2n)は、それぞれ、孔151〜15(2n)を構成する。
検出素子200Aは、次の方法によって作製される。まず、図31に示すステップS21〜ステップS26の工程をn回繰り返すことによってn個のユニット素子91〜9nを作製する。
そして、n個のユニット素子91〜9nを図34に示す態様で一列に配列するとともに、アンテナ130,131を配置して検出素子200を作製する。
その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて溝1411〜141n+1を一主面1410Aに形成し、カバー部材1410を作製する。また、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて貫通孔1421〜14(2n)を形成し、カバー部材1420を作製する。
そして、カバー部材1410の一主面1410Aがカバー部材1420の一主面1420Aに接するようにカバー部材1410とカバー部材1420とを陽極接合によって接合する。これによって、カバー部材140が作製される。
そして、カバー部材140の孔151〜15(2n)が導入口115または排出口118に接続されるようにカバー部材140をn個のユニット素子91〜9n上に配置する。
これによって、検出素子200Aが完成する。
検出素子200Aにおける検出対象物の検出方法について説明する。検査対象の液体を補助経路141から検出素子200Aへ導入し、補助経路14n+1から液体を排出することによって、液体をn個のユニット素子91〜9nに直列に循環させる。
そして、アンテナ130によって電磁場をn個のユニット素子91〜9nのn個の振動子114に印加する。その後、アンテナ131によって、n個の振動子114の振動信号からなる受信信号を受信する。そして、振動信号の共振周波数の変化量Δfを検出し、検出対象物を検出する。
検出対象物の検出が終了すると、検査対象の液体と同様にして、上述した強酸をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に流し、n個の振動子114を洗浄する。
そして、検査対象の液体と同様にして、超純水をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に流し、n個の振動子114を洗浄する。
その後、検査対象の液体と同様にして、レセプター(=タンパク質)をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に流し、レセプター(=タンパク質)をn個の振動子114に吸着させる。そして、上述した方法によって検出対象物を検出する。
以降、上述した動作を繰返し行ない、検出素子200Aを半永久的に使用して検出対象物を検出する。
図37は、図34に示す検出素子200の他の具体例を示す図である。なお、図37の(a)は、平面図であり、図37の(b)は、側面図である。
図37を参照して、検出素子200Bは、検出素子200にカバー部材160を追加した構成からなる。カバー部材160は、ユニット素子91〜9n上に配置される。そして、カバー部材160は、補助経路161〜16(2n)を含む。また、カバー部材160は、例えば、ガラスからなる。
補助経路161は、一方端がカバー部材160の端面に位置し、他方端がユニット素子91の導入口115に接続される。補助経路162は、一方端がユニット素子91の排出口118に接続され、他方端がカバー部材160の端面に位置する。
補助経路163は、一方端がカバー部材160の端面に位置し、他方端がユニット素子92の導入口115に接続される。補助経路164は、一方端がユニット素子92の排出口118に接続され、他方端がカバー部材160の端面に位置する。
以下、同様にして、補助経路16(2n−1)は、一方端がカバー部材160の端面に位置し、他方端がユニット素子9nの導入口115に接続される。補助経路16(2n)は、一方端がユニット素子9nの排出口118に接続され、他方端がカバー部材160の端面に位置する。
検出素子200Bにおいては、検査対象の液体は、補助経路161,163,・・・,16(2n−1)からそれぞれユニット素子91〜9n内へ導入され、補助経路162,164,・・・,16(2n)から外部へ排出される。
このように、検出素子200Bにおいては、検査対象の液体は、カバー部材160によってユニット素子91〜9nへ並列に流される。
また、検出素子200Bにおいては、n個のユニット素子91〜9nに含まれるn個の振動子114は、相互に同じ厚みを有していてもよいし、相互に異なる厚みを有していてもよい。
図38は、図37に示すカバー部材160の構成図である。図38を参照して、カバー部材160は、カバー部材1610,1620からなる。カバー部材1610,1620の各々は、ガラスからなる。
カバー部材1610は、溝1611〜161(2n)を一主面1610Aに含む。溝1611は、一方端がカバー部材1610の端面1610Bに位置する。溝1612は、一方端がカバー部材1610の端面1610Cに位置する。
溝1613は、一方端がカバー部材1610の端面1610Bに位置する。溝1614は、一方端がカバー部材1610の端面1610Cに位置する。
以下、同様にして、溝161(2n−1)は、一方端がカバー部材1610の端面1610Bに位置し、溝161(2n)は、一方端がカバー部材1610の端面1610Cに位置する。
カバー部材1620は、貫通孔1621〜16(2n)を含む。貫通孔1621〜16(2n)の各々は、溝1611〜161(2n)の幅に略等しい直径を有する。
カバー部材1610の一主面1610Aがカバー部材1620の一主面1620Aに接するようにカバー部材1610を上述した陽極接合によってカバー部材1620に接合する。
その結果、貫通孔1621は、溝1611の他方端と接続され、貫通孔1622は、溝1612の他方端と接続され、貫通孔1623は、溝1613の他方端と接続され、貫通孔1624は、溝1614の他方端と接続され、以下、同様にして、貫通孔162(2n)は、溝161(2n−1)の他方端と接続され、貫通孔162(2n)は、溝161(2n)と接続される。そして、溝1611〜161(2n)の一主面1610Aにおける開口部がカバー部材1620の一主面1620Aによって塞がれることによって、溝1611〜161(2n)および貫通孔1621〜16(2n)は、それぞれ、補助経路161〜16(2n)を構成する。
検出素子200Bは、次の方法によって作製される。まず、図31に示すステップS21〜ステップS26の工程をn回繰り返すことによってn個のユニット素子91〜9nを作製する。
そして、n個のユニット素子91〜9nを図34に示す態様で一列に配列するとともに、アンテナ130,131を配置して検出素子200を作製する。
その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて溝1611〜161(2n)を一主面1610Aに形成し、カバー部材1610を作製する。また、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて貫通孔1621〜16(2n)を形成し、カバー部材1620を作製する。
そして、カバー部材1610の一主面1610Aがカバー部材1620の一主面1620Aに接するようにカバー部材1610とカバー部材1620とを陽極接合によって接合する。これによって、カバー部材160が作製される。
そして、カバー部材160の補助経路161,162;163,164;・・・;16(2n−1),16(2n)がそれぞれ導入口115および排出口118に接続されるようにカバー部材160をn個のユニット素子91〜9n上に配置する。
これによって、検出素子200Bが完成する。
検出素子200Bにおける検出対象物の検出方法について説明する。n個のユニット素子91〜9nに含まれるn個の振動子114が相互に同じ厚みを有する場合、検査対象である同種類の液体を補助経路161,163,・・・,16(2n−1)から並列に検出素子200Bへ導入し、補助経路162,164,・・・,16(2n)から液体を並列に排出することによって、液体をn個のユニット素子91〜9nに並列に循環させる。
そして、アンテナ130によって電磁場をn個のユニット素子91〜9nのn個の振動子114に印加する。その後、アンテナ131によって、n個の振動子114の振動信号からなる受信信号を受信する。そして、振動信号の共振周波数の変化量Δfを検出し、検出対象物を検出する。
検出対象物の検出が終了すると、検査対象の液体と同様にして、上述した強酸をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に並列に流し、n個の振動子114を洗浄する。
そして、検査対象の液体と同様にして、超純水をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に並列に流し、n個の振動子114を洗浄する。
その後、検査対象の液体と同様にして、レセプター(=タンパク質)をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に並列に流し、レセプター(=タンパク質)をn個の振動子114に吸着させる。そして、上述した方法によって検出対象物を検出する。
以降、上述した動作を繰返し行ない、検出素子200Bを半永久的に使用して検出対象物を検出する。
一方、n個のユニット素子91〜9nに含まれるn個の振動子114が相互に異なる厚みを有する場合、相互に異なるn種類の液体を補助経路161,163,・・・,16(2n−1)から並列に検出素子200Bへ導入し、補助経路162,164,・・・,16(2n)から液体を並列に排出することによって、n種類の液体をn個のユニット素子91〜9nに並列に循環させる。
そして、アンテナ130によって電磁場をn個のユニット素子91〜9nのn個の振動子114に印加する。その後、アンテナ131によって、n個の振動子114の振動信号からなる受信信号を受信する。そして、振動信号の共振周波数の変化量Δfを検出し、検出対象物を検出する。この場合、n個の振動子114は、相互に厚みが異なるので、n個の振動子114から受信した受信信号(=振動信号)のn個の共振周波数は、相互に異なる。従って、n種類の液体中の検出対象物を検出できる。
検出対象物の検出が終了すると、検査対象の液体と同様にして、上述した強酸をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に並列に流し、n個の振動子114を洗浄する。
そして、検査対象の液体と同様にして、超純水をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に並列に流し、n個の振動子114を洗浄する。
その後、検査対象の液体と同様にして、レセプター(=タンパク質)をn個のユニット素子91〜9nのn個の検査空間121に並列に流し、レセプター(=タンパク質)をn個の振動子114に吸着させる。そして、上述した方法によって検出対象物を検出する。
以降、上述した動作を繰返し行ない、検出素子200Bを半永久的に使用して検出対象物を検出する。
なお、検出素子200Bにおいては、n個のユニット素子91〜9nの一部に液体を循環して検出対象物を検出するようにしてもよい。
このように、検出素子200Bは、振動子114の厚みを同じ厚みまたは異なる厚みに設定し、同種類の液体またはn種類の液体中の検出対象物を検出する。
図39は、この発明の実施の形態による振動検出素子を用いた更に他の検出素子の平面図である。また、図40は、図39に示す線XXXX−XXXX間における検出素子300の断面図である。
この発明の実施の形態による検出素子は、図39および図40に示す検出素子300であってもよい。
図39および図40を参照して、検出素子300は、カバー部材310と、素子301〜30nと、アンテナ130,131とを備える。
カバー部材310は、カバー部材311〜313からなる。カバー部材311,313の各々は、例えば、ガラスからなる。カバー部材312は、例えば、Siからなる。そして、カバー部材311〜313は、それぞれ、上述したカバー部材111〜113と同じ厚みを有する。
素子301〜30nの各々は、上述した振動子114、導入口115、導入経路116、排出経路117、排出口118、検査空間121および微小空間122からなる。そして、n個の素子301〜30nは、導入口115と排出口118とを結ぶ直線が平行になるようにカバー部材310中に一列に形成される。
アンテナ130は、n個の素子301〜30nに含まれるn個の振動子114の上側に位置するようにカバー部材311の上面311Aに配置される。
アンテナ131は、n個の素子301〜30nに含まれるn個の振動子114の下側に位置するようにカバー部材313の下面313Aに配置される。
検出素子300は、図31に示す工程に従って製造される。この場合、カバー部材111〜113をそれぞれカバー部材311〜313と読み替え、アンテナ119,120をそれぞれアンテナ130,131と読み替える。
そして、ステップS21において、凹部101,102,104,105のn個の組および貫通孔103,106のn個の組をカバー部材311に形成する。また、ステップS22において、n個の貫通孔201,203〜206をカバー部材312に形成する。
更に、ステップS23において、n個の振動子114を形成する。更に、ステップS24において、n個の振動子114をそれぞれn個の凹部102に配置する。更に、ステップS25において、n個の貫通孔201,203〜206がn個の凹部102,104,105およびn個の貫通孔103,106に向かい合うようにカバー部材312をカバー部材311に接触させ、陽極接合によってカバー部材312をカバー部材311に接合する。
更に、ステップS26において、カバー部材312のカバー部材311に接する面と反対側の面に接してカバー部材313を配置し、陽極接合によってカバー部材313をカバー部材312に接合する。
更に、ステップS27において、n個の素子301〜30nに含まれるn個の振動子114の上側に位置するようにカバー部材311の上面311Aにアンテナ130を配置し、n個の素子301〜30nに含まれるn個の振動子114の下側に位置するようにカバー部材313の下面313Aにアンテナ131を配置する。これによって、検出素子300が完成する。
検出素子300の具体例Aは、検出素子300にカバー部材140を追加した構成からなる。この場合、n個の素子301〜30nは、カバー部材140によって直列に接続される。また、n個の素子301〜30nに含まれるn個の振動子114は、相互に同じ厚みを有する。
そして、検出素子300の具体例Aは、上述した検出素子200Aにおける検出方法と同じ方法によって、検出対象物を検出するとともに、半永久的に使用される。
また、検出素子300の具体例Bは、検出素子300にカバー部材160を追加した構成からなる。この場合、n個の素子301〜30nに含まれるn個の振動子114は、相互に同じ厚み、または相互に異なる厚みを有する。
そして、検出素子300の具体例Bは、上述した検出素子200Bにおける検出方法と同じ方法によって、検出対象物を検出するとともに、半永久的に使用される。
このように、検出素子200または検出素子300に追加するカバー部材をカバー部材140またはカバー部材160に切換えることによって、n個の検査空間121は、直列または並列に接続される。
その結果、検出素子200,300は、1種類の液体またはn種類の液体中から1種類またはn種類の検出対象物を検出できる。
また、検出素子200,300においては、n個の振動子114は、検出素子100の場合と同様に、カバー部材111〜113またはカバー部材311〜313によって挟まれていないので、電磁場が印加されると、自由に振動する。
従って、検出素子200,300においても、振動子114の安定な振動を確保できる。
また、検出素子200,300の各々は、接地電位に接続されたアンテナを備えていないので、図9に示すように振動子114の振動が接地電位に接続されたアンテナを備えている場合よりも10倍程度大きくなる。従って、検出対象物を高感度で検出できる。
なお、この発明の実施の形態においては、アンテナ119は、カバー部材113の下面に沿って配置され、アンテナ120は、カバー部材111の上面に沿って配置されていてもよい。
また、この発明の実施の形態においては、アンテナ130は、ユニット素子91〜9nの下側に配置され、アンテナ131は、ユニット素子91〜9nの上側に配置されてもよい。
更に、この発明の実施の形態においては、アンテナ130は、カバー部材313の下面313Aに配置され、アンテナ131は、カバー部材311の上面311Aに配置されてもよい。
更に、この発明の実施の形態においては、振動検出素子10A,10B,10C,10D,10Eのいずれかを検出素子100,200,300に用いてもよい。
振動検出素子10Cを検出素子100,200,300に用いた場合、突起物21〜24は、振動子114を水平に支持する。その結果、振動検出素子10Cを用いた検出素子100,200,300において、検査対象の液体を循環させながら検出対象物を検出する場合、検査対象の液体は、振動空間7(=検査空間121)をスムーズに流れる。従って、検査対象の液体を循環させながら検出対象物を正確に検出できる。
また、振動検出素子10Dを検出素子100,200,300に用いた場合、振動子114は、カバー部材1A,2A,3の平面方向において支持部25〜32によって支持される。その結果、振動子114は、振動検出素子10Dを用いた検出素子100,200,300において、検査対象の液体が振動空間7(=検査空間121)および微小空間8(=微小空間122)を循環しても、カバー部材1A,2A,3の面内方向に移動し難くなる。従って、検査対象の液体を循環しても検査対象物を正確に検出できる。
この場合、検査対象の液体が微小空間8(=微小空間122)の側壁8Aから側壁8Bの方向へ流れる場合、カバー部材1Aは、支持部25〜32のうち、支持部27〜30を有するようにしてもよく、検査対象の液体が微小空間8(=微小空間122)の側壁8Bから側壁8Aの方向へ流れる場合、カバー部材1Aは、支持部25〜32のうち、支持部25,26,31,32を有するようにしてもよい。検査対象の液体が振動空間7(=検査空間121)を流れるときの下流側に支持部があれば、振動子114を移動し難くできるからである。
更に、振動検出素子10Eを検出素子100,200,300に用いた場合、振動子114は、カバー部材1,2B,3の平面方向において支持部33〜36によって支持される。その結果、振動子114は、振動検出素子10Eを用いた検出素子100,200,300において、検査対象の液体が振動空間7(=検査空間121)および微小空間8(微小空間122)を循環しても、カバー部材1,2B,3の面内方向に移動し難くなる。従って、検査対象の液体を循環しても検査対象物を正確に検出できる。
この場合、振動検出素子10Eを用いた検出素子100,200,300において、検査対象の液体が微小空間8(=微小空間122)の側壁8Aから側壁8Bの方向へ流れる場合、カバー部材2Bは、支持部33〜36のうち、支持部34,36を有するようにしてもよく、検査対象の液体が微小空間8(=微小空間122)の側壁8Bから側壁8Aの方向へ流れる場合、カバー部材1Aは、支持部33〜36のうち、支持部33,35を有するようにしてもよい。検査対象の液体が振動空間7(=検査空間121)を流れるときの下流側に支持部があれば、振動子114を移動し難くできるからである。
更に、上述した振動検出素子10A,10Bを用いた検出素子100においては、2つのカバー部材111,113のうちのいずれか一方の表面(または裏面)側には、何も配置されないので、何も配置されないカバー部材(カバー部材111,113のいずれか一方)側に共焦点顕微鏡または全反射顕微鏡を配置することによって、振動検出素子10A,10Bと共焦点顕微鏡または全反射顕微鏡とを組み合わせ、検査対象物を更に詳細に分析できる。
更に、この発明の実施の形態においては、検出素子200,200A,200B,300は、図24に示す工程図を用いて製造されてもよい。
更に、上記においては、カバー部材2,112,312は、シリコンからなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、カバー部材2,112,312は、ガラスからなっていてもよい。この場合、カバー部材2は、拡散接合および加熱加圧接合のいずれかによってカバー部材1,3に接合される。また、カバー部材112は、拡散接合および加熱加圧接合のいずれかによってカバー部材111,113に接合される。更に、カバー部材312は、拡散接合および加熱加圧接合のいずれかによってカバー部材311,313に接合される。
更に、この発明の実施の形態においては、検出素子100は、導入経路116bのみからなる導入経路116を備えていてもよい。また、ユニット素子91〜9nの各々も、導入経路116bのみからなる導入経路116を備えていてもよい。この場合、導入経路116bは、その他方端が導入口115に接続される。
更に、振動子4,114は、空気中でも十分に振動することが実験的に確認できているので、検出素子100,200,300をガスセンサーとして用いてもよい。
更に、振動検出素子10Eにおいては、カバー部材2Bは、2個の支持部(支持部34,36または支持部33,35)を有していればよいので、この発明の実施の形態による検出素子のカバー部材は、k(kは2以上の整数)個の支持部を有していればよい。
更に、この発明の実施の形態においては、アンテナ5,119,130の各々は、「第1のアンテナ」を構成し、アンテナ6,120,131の各々は、「第2のアンテナ」を構成する。
更に、この発明の実施の形態においては、カバー部材1,111の各々は、「第1のカバー部材」を構成し、カバー部材2,112の各々は、「第2のカバー部材」を構成し、カバー部材3,113の各々は、「第3のカバー部材」を構成する。
更に、この発明の実施の形態においては、カバー部材140またはカバー部材160は、「補助カバー部材」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、振動子を用いた振動検出素子およびそれを用いた検出素子に適用される。
1〜3,111〜113,140,160,310〜313,1410,1420,1610,1620 カバー部材、4,4A,4B,114 振動子、5,6,119,120,130,131 アンテナ、7 振動空間、8,122 微小空間、10,10A,10B,10C,10D,10E 振動検出素子、100,200,300 検出素子、41,42,41B,42B,43B,44B 縁部、41A,42A 突出部、91〜9n ユニット素子、101,102,104,105 凹部、103,106,201,203〜206,1421〜142(2n),1621〜162(2n) 貫通孔、115 導入口、116 導入経路、117 排出経路、118 排出口、121 検査空間、141〜14n+1,161〜16(2n) 補助経路、151〜15(2n) 孔、301〜30n 素子、1411〜141n+1,1611〜161(2n) 溝。

Claims (6)

  1. 接地電位に接続されたアンテナを用いずに振動子を振動させるとともに前記振動子の振動を検出する振動検出素子であって、
    振動子と、
    電磁場を前記振動子に印加する第1のアンテナと、
    前記振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を前記振動子から受信する第2のアンテナとを備える振動検出素子。
  2. 前記第1のアンテナは、前記振動子に対して前記第2のアンテナと反対側に配置される、請求項1に記載の振動検出素子。
  3. 前記第1および第2のアンテナは、前記振動子の前記平面形状の同じ表面側に配置される、請求項1に記載の振動検出素子。
  4. 前記第1および第2のアンテナは、前記振動子の前記平面形状の一方の表面側に配置され、一体化された1つの導体からなる、請求項1に記載の振動検出素子。
  5. 接地電位に接続されたアンテナを用いずに検出対象物を検出する検出素子であって、
    検査対象の液体が導入される検査空間と、前記検査空間に対して開口した微小空間とを内部に有するカバー部材と、
    前記カバー部材に設けられ、前記液体を前記検査空間へ導入する導入経路と、
    前記カバー部材に設けられ、前記液体を前記検査空間から排出する排出経路と、
    前記検査空間に配置されるとともに、前記検査空間のサイズよりも大きいサイズを有し、前記微小空間内に挿入された縁部を有する振動子と、
    電磁場を前記振動子に印加する第1のアンテナと、
    前記振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を前記振動子から受信する第2のアンテナとを備える検出素子。
  6. 接地電位に接続されたアンテナを用いずに検出対象物を検出する検出素子であって、
    複数のユニット素子と、
    電磁場を前記複数のユニット素子に含まれる複数の振動子に印加する第1のアンテナと、
    前記振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を前記複数の振動子から受信する第2のアンテナとを備え、
    前記複数のユニット素子の各々は、
    検査対象の液体が導入される検査空間と、前記検査空間に対して開口した微小空間とを内部に有するカバー部材と、
    前記カバー部材に設けられ、前記液体を前記検査空間へ導入する導入経路と、
    前記カバー部材に設けられ、前記液体を前記検査空間から排出する排出経路と、
    前記検査空間に配置されるとともに、前記検査空間のサイズよりも大きいサイズを有し、前記微小空間内に挿入された縁部を有する振動子とを含む、検出素子。
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