JP2015103821A - 静電容量型トランスデューサ及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】補強部を設けることで、犠牲層エッチングの時間を大幅に変えずに、振動膜の振動の不安定性を抑えることが可能な静電容量型トランスデューサを提供する。
【解決手段】静電容量型トランスデューサは、第1の電極102と間隙109を隔てて形成された第2の電極106を含む振動膜を含むセル101を備える。間隙はエッチング穴107を介して犠牲層をエッチングして形成される。第1の電極が形成された面への正射影において、間隙109とエッチング穴を繋ぐ流路110の幅がエッチング穴の幅より大きく、エッチング穴は流路の範囲内にある。エッチング穴より間隙の側の位置に振動膜を支持する補強部108が設けられている。エッチング穴の任意の点と、流路と間隙の外周とが接する線上の任意の点と、を直線で結んだ場合に、補強部108と重ならない直線が存在するよう、補強部は設けられている。
【選択図】図1−2
【解決手段】静電容量型トランスデューサは、第1の電極102と間隙109を隔てて形成された第2の電極106を含む振動膜を含むセル101を備える。間隙はエッチング穴107を介して犠牲層をエッチングして形成される。第1の電極が形成された面への正射影において、間隙109とエッチング穴を繋ぐ流路110の幅がエッチング穴の幅より大きく、エッチング穴は流路の範囲内にある。エッチング穴より間隙の側の位置に振動膜を支持する補強部108が設けられている。エッチング穴の任意の点と、流路と間隙の外周とが接する線上の任意の点と、を直線で結んだ場合に、補強部108と重ならない直線が存在するよう、補強部は設けられている。
【選択図】図1−2
Description
本発明は、半導体プロセスを用いて作製される静電容量型の超音波トランスデューサなどの静電容量型トランスデューサ、その作製方法などに関する。
従来の超音波トランスデューサでは、圧電材料を用いたものが使用されてきた。しかし、近年では、半導体プロセスを用いて製造される静電容量型超音波トランスデューサ(CMUT:Capacitive-Micromachined-Ultrasonic-Transducer)が注目されている。静電容量型トランスデューサは、例えば、間隙(キャビティ)を隔てて対向する2つの平行平板電極をセル構造とし、一方の振動可能な電極板の振動により超音波などの音響波(以下、超音波で代表することもある)の送受信が可能である。尚、本明細書において、音響波とは、音波、超音波、光音響波と呼ばれるものを含む。例えば、被検体内部に可視光線や赤外線等の光(電磁波)を照射して被検体内部で発生する光音響波を含む。このトランスデューサのセンサ部の作製方法は、大まかに言って、接合型と犠牲層型に分けられる。接合型は、例えば、SOI(Silicon-On-Insulator)基板のデバイス層のシリコンを振動板として、凹部を形成したシリコン基板とSOI基板を接合してセル構造を作製する方法である。一方、犠牲層型は、犠牲層となる第1の膜を形成し、第1の膜上に第2の膜を覆い被せるように形成したのち、エッチング穴を介して第1の膜を除去してキャビティを形成する方法である。エッチング穴はキャビティ形成後に封止される。
非特許文献1には、犠牲層型のトランスデューサの構成が開示されている。エッチング穴とキャビティを接続する流路の中間に封止用の隘路を設け、封止を行っている。しかし、このような隘路は、犠牲層をエッチングするための時間を増大させる。また、流路とキャビティが接続する流路出口での振動膜の支持構造がないために振動膜に歪みをもたらすことがあり、振動膜の振動特性にバラツキをもたらしやすい。
特許文献1は、振動膜の支持部の中にエッチング穴を配置する構成を開示している。ここではエッチング穴がキャビティの近くにある。故に、封止時のキャビティへの膜堆積を抑制するために、流路を細くして、蛇行させている。しかし、このような流路の構成は、犠牲層のエッチング時間を著しく増大させる。また、流路出口では、蛇行させた複数の流路を合流させるので振動膜の支持構造が弱くなりやすい。
IEEE TRANSACTIONS ON ULTRASONICS pp2242〜pp2257,VOL.52, No.12, DECEMBER 2005
前述したように、犠牲層エッチングを用いた従来の静電容量型トランスデューサは、次の如き点が指摘される。即ち、流路に隘路を設けたり、流路を蛇行させたりするために、犠牲層エッチングに時間を要することになりやすい。また、流路出口での振動膜の支持が弱化するために、その振動特性にバラツキをもたらしやすい。
上記課題に鑑み、本発明の静電容量型トランスデューサは、第1の電極と、前記第1の電極と間隙を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜と、を含むセルを備え、前記間隙はエッチング穴を介して犠牲層をエッチングすることにより形成されている。そして、前記第1の電極が形成された面への正射影において、前記第1及び第2の電極間の間隙と前記エッチング穴とを繋ぐ流路の幅が前記エッチング穴の幅より大きく、前記エッチング穴は前記流路の範囲内にある。また、前記エッチング穴より前記間隙の側の、前記流路の位置に前記振動膜を支持する補強部が設けられている。さらに、前記エッチング穴の点と、前記流路と前記間隙の外周とが接する線上の点と、を直線で結んだ場合に、前記補強部と重ならない直線が存在するよう、前記補強部は設けられている。
また、上記課題に鑑み、本発明の静電容量型トランスデューサの作製方法は、前記第一の電極の上に犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層の上に前記振動膜の少なくとも一部をなすメンブレンを形成する工程と、エッチング穴を形成して前記犠牲層を除去する工程と、前記エッチング穴を封止するための封止層を形成する工程と、前記第二の電極を形成する工程と、を有し、前記補強部を、前記流路の出口の付近となる前記犠牲層の部分に穴を形成し、前記メンブレンを成膜するときに、前記穴を埋めることによって形成する。
本発明によれば、犠牲層エッチングを容易にし、かつ振動膜の振動特性を向上させることができる。
本発明では、第1の電極が形成された面への正射影において、間隙とエッチング穴とを繋ぐ流路の幅がエッチング穴の幅より大きくエッチング穴は流路の範囲内にあり、エッチング穴より間隙の側の、流路の位置に振動膜を支持する補強部が設けられている。そして、エッチング穴の任意の点と、流路と間隙の外周とが接する線上の任意の点と、を直線で結んだ場合に、補強部と重ならない直線が存在するよう、補強部は設けられている。典型的には、補強部は、第1の電極が形成された面への正射影において、流路と間隙の外周とが接する線の延長線にかかって設けられているが、振動膜の支持の弱化を抑制できるのであれば、この延長線より若干エッチング穴の側の位置に設けられてもよい。また、上記効果を達成できるのであれば、補強部の形状も問わない。第1の電極と間隙を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜を含むセルを備える本発明の静電容量型トランスデューサは次の如き作製方法で作製することができる。即ち、第一の電極の上に犠牲層を形成し、犠牲層の上に振動膜の少なくとも一部をなすメンブレンを形成し、エッチング穴を形成して犠牲層を除去し、エッチング穴を封止するための封止層を形成し、第二の電極を形成する。ここにおいて、補強部を、流路の出口の付近となる犠牲層の部分に穴を形成し、メンブレンを成膜するときに、穴を埋めることによって形成する。
本発明の一実施形態の静電容量型トランスデューサについて図1−1(a)、(b)、図1−2(c)を用いて説明する。図1−1(a)は、本実施形態のトランスデューサの上面図を示しており、図1−1(b)は、図1−1(a)中の線A−A’における断面図を示している。図1−2(c)は、本実施形態のトランスデューサの一部(流路部)のセル上面から基板への正射影である。本実施形態の構造は、図1−1(a)で示すように、エレメント100を有し、エレメント100は4個のセル101を有する。セル101は複数であれば幾つであってもよく、エレメント101の数も幾つであってもよい。
セル101は、図1−1(b)で示すように、第1の電極102と、第1の電極102とキャビティ(間隙)109を隔てて形成された第2の電極106を含む振動膜と、を備える。振動膜は、第2の電極106と第1のメンブレン104と第2のメンブレン105とを備え、振動可能に支持されている。第1のメンブレン104上に第2のメンブレン105が形成されているが、この限りではなく、第1のメンブレン104と第2のメンブレン105の間に、第2の電極106が形成されていてもよい。第1のメンブレン104と第2のメンブレン105は、シリコン窒化膜によって形成されている。第2の電極106は、チタン、アルミニウム等の電極として用いられる材料で形成されている。第1の電極102は、シリコン基板を用いているが、シリコン基板を電極として用いずに、シリコン基板上に別の電極を形成しても良い。本実施形態では、第1の電極102上に絶縁膜103が設けられている。
さらに、セル101はエッチング穴107と流路110を有しており、キャビティ109とエッチング穴107とが流路110によって繋がっている。エッチング穴107は、犠牲層除去後に第2のメンブレン105で封止され、キャビティ109内に液体や外気が浸入するのを防いでいる。本実施形態では、流路110の幅がエッチング穴107よりも広い構成になっている。その理由は、流路の幅がエッチング穴よりも小さい場合には、エッチング穴の入口の流路の側壁と天井との角の部分で、封止する膜の付き方が悪くなり、封止性が悪化するからである。流路幅がエッチング穴より広い場合には、角の部分が生じないため、流路の幅がエッチング穴よりも狭い場合と比較して、エッチング穴を封止する膜の膜厚を薄くすることができる。振動膜を薄くすることによって広帯域の静電容量型トランスデューサを作製することができる。より詳細には、エッチング穴近傍の構造の断面形状(キャビティの厚さないし高さの方向と垂直な面における断面形状)を図1−2(c)の如く回転対称(例えば円)な形状にすると、封止を安定的で容易に実現することができ、歩留まりを向上することができる。つまり、回転対称な形状にするためには、流路の幅をエッチング穴の開口径よりも大きくする必要がある。このように流路幅を大きくすることにより、流路幅がエッチング穴の入口(開口部)の径以下である場合と比べて、CVD等のガスやエッチング液の流入条件がエッチング穴の周りで均一になり、封止条件やエッチング条件が方向に依らず均一になるため、封止不良が発生し難い。
図1−1(a)の静電容量型トランスデューサでは、エッチング穴107が1個に対してセル101が1個であるが、セルの数は複数であっても良く、1個のセルに対して複数のエッチング穴と流路があっても良い。キャビティの形状は、円形だけでなく、多角形などであっても良い。また、セルやエレメントの配置位置はどのようなものであっても良い。超音波の送信や受信の感度を向上させるためには、より密に配置されているのがより好ましい。
本実施形態の特徴は、別の観点から言えば、図1−2(c)に示す様に、エッチング穴の外縁と流路の出口の外縁を直線で結んだ時に、エッチング穴と流路の出口との間の領域に補強部のある領域と補強部のない領域があるように補強部を設けていることである。こうした構成において、エッチング穴と流路の出口との間に補強部のある領域とない領域があるという意味は、キャビティを含む面内において、エッチング穴の任意の点からキャビティを見た時に流路の出口においてキャビティの内部を直接見られる領域と、補強部が邪魔してキャビティを見られない領域があるということである。つまり、補強部は、前述した様に、エッチング穴の任意の点と流路と間隙の外周とが接する線上の任意の点とを直線で結んだ場合に、補強部と重ならない直線が存在するよう、設けられている。
本実施形態の特徴である補強部について、図1−2(c)の本実施形態のトランスデューサの一部のセル上面から基板への正射影を用いて更に説明する。補強部108は、エッチング穴107と流路の出口111を直線で結んだ時に、流路の出口111に補強部のある領域とない領域があるように設ける。つまり、エッチング穴107の外周線を含めた領域内の任意の点Bと流路の出口111上の点を直線で結んだ時に、補強部のある領域の点Dとの線分BDと、補強部の無い領域の点Cとの線分BCという2種の線分が必ず形成される。このように補強部108を流路の出口111に設ける。流路の出口111とは、流路110とキャビティ109の外周線との2交点E、Fの間のキャビティの外周上で、支持部すなわち補強部の無い領域のことである。ここでは、補強部108は、2つの円弧で画された扇形であるが、円形、三角形、四角形、多角形などでもよい。
このように、本実施形態の静電容量型トランスデューサでは、補強部を形成しても流路が蛇行せず、補強部の有無によってエッチング穴と流路の出口との距離が殆ど変わらないため、犠牲層エッチングの時間が大幅に増えるのを抑制できる。さらに、流路の出口に支持部すなわち補強部を形成することによって流路の出口が中空構造にならない。こうして、振動膜を支持する領域を設けることができ、不要な振動モードによる振動膜の振動の不安定性を抑制できる。
本実施形態の駆動原理を説明する。第1の電極102あるいは第2の電極106は、バイアス電圧を印加する電極あるいは電気信号を加えるか電気信号を取り出すための電極として用いる。図1−1(b)では、バイアス電圧を印加する電極として、第1の電極を用いており、信号取り出し電極として第2の電極を用いているが、逆にしてもよい。静電容量型トランスデューサで超音波を受信する場合、電圧印加手段(図示せず)で、直流電圧を第1の電極102に印加しておく。超音波を受信すると、振動膜が変形するため、第2の電極106と第1の電極102との間の間隙の距離が変わり、静電容量が変化する。この静電容量変化によって、引き出し配線に電流が流れ、電流−電圧変換素子(図示せず)によって電圧として超音波を受信することができる。他方、第一の電極もしくは第二の電極に交流電圧を印加して振動膜を振動させることで、超音波を送信することができる。
本実施形態によれば、流路の出口の全領域が中空構造にならず、振動膜を支持する領域を設けることができ、不要な振動モードによる振動膜の振動の不安定性を抑制することができる。さらに、補強部を形成しても流路が蛇行せず、補強部の形成前と比して、エッチング穴と流路の出口との距離が殆ど変わらないため、犠牲層エッチングの時間が大幅に増えるのを抑制できる。したがって、振動膜の振動が安定した静電容量型トランスデューサを容易に作製することができる。
以下、より具体的な実施例を説明する。
(実施例1)(1個のセルに1個のエッチング穴)
図2(a)、(b)を用いて、本発明の実施例1を説明する。図2(a)は、本実施例のトランスデューサの上面図を示し、図2(b)は、図2(a)中の線A−A’における断面図を示している。図2において、図1の構造とほぼ同様な構造が示されており、図1の部分と対応した部分が2百番台の数字で示されている。
(実施例1)(1個のセルに1個のエッチング穴)
図2(a)、(b)を用いて、本発明の実施例1を説明する。図2(a)は、本実施例のトランスデューサの上面図を示し、図2(b)は、図2(a)中の線A−A’における断面図を示している。図2において、図1の構造とほぼ同様な構造が示されており、図1の部分と対応した部分が2百番台の数字で示されている。
本実施例では、第1の電極202をバイアス電圧を印加する電極とし、第2の電極206を信号取り出し電極としている。第1の電極202は、電極として用いるため低抵抗のシリコン基板であることが望ましく、抵抗率は0.1Ωcm以下が良い。第1の電極202上の絶縁膜203は、熱酸化によって形成した厚さ1μmのシリコン酸化膜である。第1のメンブレン204と第2のメンブレン205は、Plasma−Enhanced−Chemical−Vapor−Deposition(PE−CVD)で成膜されたシリコン窒化膜であり、150MPa以下の引張り応力になるように形成されている。第1のメンブレン204と第2のメンブレン205の厚さは、それぞれ0.4μm、0.7μmである。キャビティ209の直径は31μmで、高さ(厚さ)は0.2μmである。第2の電極206の直径は27μmで、厚さが0.1μmのチタンで形成されている。セル201は、エッチング穴207と流路210を有しており、キャビティ209とエッチング穴207とが流路210によって繋がっている。エッチング穴207の直径は4μmであり、流路210の幅は、エッチング穴の付近では9μmで、流路の出口211では6μmである。エッチング穴210の外周とキャビティ209の外周との距離は、2.5μmである。キャビティの形状は、実施例1では円形であるが、形状は多角形でもよい。
エッチング穴207は、犠牲層をエッチングで除去した後に封止層である第2のメンブレン205で封止され、キャビティ209内に液体や外気が浸入するのを防いでいる。第2のメンブレン205は、PE−CVDのシリコン窒化膜で形成されているため、Low−Pressure−Chemical−Vapor−Deposition(LP−CVD)で形成された場合と比較して、成膜の均一性が低い。また、エッチング穴の極近傍でしか成膜されず、本実施例の構成ではキャビティ内に封止材料が浸入することはほとんどない。補強部208は、流路の出口211の中央付近に形成されて補強部の両側が中空部になっており、上から見た平面形状は、一辺が2μmの三角形である。この形状は図1の実施形態のもの(2つの円弧で画された扇形)と異なる。補強部208は、実施例1では三角形であるが、前述した様に、扇形、四角形、多角形などでもよい。
実施例1の静電容量型トランスデューサでは、補強部を形成しても流路が蛇行せず、補強部の有無によってエッチング穴と流路の出口との距離が殆ど変わらない。実施例1の構成では、犠牲層エッチングのエッチングレートが0.347μm/minであるとき、補強部がない場合には犠牲層のエッチング終了までの時間が96.5minである。補強部を形成した場合には、無い場合と比較して、犠牲層エッチング終了までの時間が0.6min増加するだけである。エッチング時間の増加分は0.6%程度であり、補強部を形成しても犠牲層エッチングの時間が大幅に増加することはない。さらに、支持部(補強部)208を形成することによって流路の出口の全領域が中空構造にならない。振動膜を支持する領域を設けることができ、不要な振動モードによる振動膜の振動の不安定性を抑制できる。
(実施例2)(3個のセルで構成されるセル群)
図3を用いて、本発明の実施例2を説明する。図3において、図2の部分と対応した部分が3百番台の数字で示されている。図3は、実施例2のトランスデューサの上面図を示しており、3個のセル301で構成されるセル群312を3個有している。図3では、3個のセル群312の部分のみを示しているが、1つのエレメントは複数のセル群312で構成され、エレメントの数は幾つであっても良い。実施例2のセルの構成は、実施例1とほぼ同様の構成で、1個のエッチング穴307に対して3つのセルが設けられている点が異なる。補強部308は、セル群312のセル301のそれぞれの流路の出口311の中央付近に設けており、一辺が2μmの三角形である。補強部308は、図3では三角形であるが、扇形、四角形、多角形などでも良い。
図3を用いて、本発明の実施例2を説明する。図3において、図2の部分と対応した部分が3百番台の数字で示されている。図3は、実施例2のトランスデューサの上面図を示しており、3個のセル301で構成されるセル群312を3個有している。図3では、3個のセル群312の部分のみを示しているが、1つのエレメントは複数のセル群312で構成され、エレメントの数は幾つであっても良い。実施例2のセルの構成は、実施例1とほぼ同様の構成で、1個のエッチング穴307に対して3つのセルが設けられている点が異なる。補強部308は、セル群312のセル301のそれぞれの流路の出口311の中央付近に設けており、一辺が2μmの三角形である。補強部308は、図3では三角形であるが、扇形、四角形、多角形などでも良い。
実施例2の静電容量型トランスデューサでは、実施例1と同様に、補強部を形成しても流路が蛇行せず、補強部の有無によってエッチング穴と流路の出口との距離が殆ど変わらない。実施例2の構成で、補強部がない場合には、犠牲層のエッチング終了までの時間は、実施例1と同様に96.5minである。補強部を形成した場合には、無い場合と比較して、犠牲層エッチング終了までの時間が0.6min増加するだけである。本実施例でも、エッチング時間の増加分は0.6%程度であり、補強部を形成しても犠牲層エッチングの時間が大幅に増加することはない。さらに、支持部を形成することによって流路の出口の全領域が中空構造にならず、振動膜を支持する領域を設けることができ、不要な振動モードによる振動膜の振動の不安定性を抑制できる。
(実施例3)
図4(a)は、光音響効果を利用した被検体情報取得装置の実施例を示したものである。光源2010から発振したパルス光は、レンズ、ミラー、光ファイバー等の光学部材2012を介して、被検体2014に照射される。被検体2014の内部にある光吸収体2016は、パルス光のエネルギーを吸収し、音響波である光音響波2018を発生する。プローブ(探触子)2022内の本発明の静電容量型トランスデューサ2020は、光音響波2018を受信して電気信号に変換し、信号処理部2024に出力する。信号処理部2024は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2026へ出力する。データ処理部2026は、入力された信号を用いて被検体情報(光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでは、信号処理部2024とデータ処理部2026を含めて、処理部という。表示部2028は、データ処理部2026から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明の静電容量型のトランスデューサと、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、トランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、電気信号を出力する。
図4(a)は、光音響効果を利用した被検体情報取得装置の実施例を示したものである。光源2010から発振したパルス光は、レンズ、ミラー、光ファイバー等の光学部材2012を介して、被検体2014に照射される。被検体2014の内部にある光吸収体2016は、パルス光のエネルギーを吸収し、音響波である光音響波2018を発生する。プローブ(探触子)2022内の本発明の静電容量型トランスデューサ2020は、光音響波2018を受信して電気信号に変換し、信号処理部2024に出力する。信号処理部2024は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2026へ出力する。データ処理部2026は、入力された信号を用いて被検体情報(光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでは、信号処理部2024とデータ処理部2026を含めて、処理部という。表示部2028は、データ処理部2026から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明の静電容量型のトランスデューサと、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、トランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、電気信号を出力する。
図4(b)は、音響波の反射を利用した超音波エコー診断装置等の被検体情報取得装置を示したものである。プローブ(探触子)2122内の本発明の静電容量型トランスデューサ2120から被検体2114へ送信された音響波は、反射体2116により反射される。トランスデューサ2120は、反射された音響波(反射波)2118を受信して電気信号に変換し、信号処理部2124に出力する。信号処理部2124は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2126へ出力する。データ処理部2126は、入力された信号を用いて被検体情報(音響インピーダンスの違いを反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでも、信号処理部2124とデータ処理部2126を含めて、処理部という。表示部2128は、データ処理部2126から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明の静電容量型のトランスデューサと、光源と、データ処理装置と、を有する。そして、トランスデューサは、光源から発振した光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信して電気信号に変換し、データ処理装置は、電気信号を用いて被検体の情報を取得する。
なお、プローブは、機械的に走査するものであっても、医師や技師等のユーザが被検体に対して移動させるもの(ハンドヘルド型)であってもよい。また、図4(b)のように反射波を用いる装置の場合、音響波を送信するプローブは受信するプローブと別に設けても良い。さらに、図4(a)と図4(b)の装置の機能をどちらも兼ね備えた装置とし、被検体の光学特性値を反映した被検体情報と、音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報と、をどちらも取得するようにしてもよい。この場合、図4(a)のトランスデューサ2020が光音響波の受信だけでなく、音響波の送信と反射波の受信を行うようにしてもよい。
100・・エレメント、101・・セル、102・・第1の電極、104・・メンブレン(第一のメンブレン)、106・・第2の電極、107・・エッチング穴、108・・補強部(支持部)、109・・間隙(キャビティ)、110・・流路、111・・流路の出口
Claims (11)
- 第1の電極と、前記第1の電極と間隙を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜と、を含むセルを備え、前記間隙がエッチング穴を介して犠牲層をエッチングすることにより形成された静電容量型トランスデューサであって、
前記第1の電極が形成された面への正射影において、前記第1及び第2の電極の間の間隙と前記エッチング穴とを繋ぐ流路の幅が前記エッチング穴の幅より大きく、前記エッチング穴は前記流路の範囲内にあり、
前記エッチング穴より前記間隙の側の、前記流路の位置に前記振動膜を支持する補強部が設けられており、
前記エッチング穴の点と、前記流路と前記間隙の外周とが接する線上の点と、を直線で結んだ場合に、前記補強部と重ならない直線が存在するよう、前記補強部は設けられている、
ことを特徴とする静電容量型トランスデューサ。 - 前記補強部は、前記第1の電極が形成された面への正射影において、前記流路と前記間隙の外周とが接する線の延長線にかかって設けられていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型トランスデューサ。
- 前記補強部は、前記第1の電極が形成された面への正射影において、前記流路と前記間隙の外周とが接する線の延長線の上に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の静電容量型トランスデューサ。
- 前記補強部は、前記振動膜の前記間隙の側のメンブレンと同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
- 前記第1の電極が形成された面への正射影において、前記流路と前記間隙の外周とが接する位置にある前記流路の出口が、前記補強部を挟んで両側に存在することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
- 前記補強部は、前記流路の出口の付近となる前記犠牲層の部分に穴を形成し、前記メンブレンを成膜するときに、前記穴を埋めることによって形成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
- 第1の電極と、前記第1の電極と間隙を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜と、を含むセルを備え、前記間隙がエッチング穴を介して犠牲層をエッチングすることにより形成され、前記第1の電極が形成された面への正射影において、前記第1と第2の電極の間の間隙と前記エッチング穴とを繋ぐ流路の幅が前記エッチング穴の幅より大きく、前記エッチング穴は前記流路の範囲内にあり、前記エッチング穴より前記間隙の側の、前記流路の位置に前記振動膜を支持する補強部が設けられている静電容量型トランスデューサの作製方法であって、
前記第一の電極の上に犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層の上に前記振動膜の少なくとも一部をなすメンブレンを形成する工程と、
エッチング穴を形成して前記犠牲層を除去する工程と、
前記エッチング穴を封止するための封止層を形成する工程と、
前記第二の電極を形成する工程と、
を有し、
前記補強部を、前記流路の出口の付近となる前記犠牲層の部分に穴を形成し、前記メンブレンを成膜するときに、前記穴を埋めることによって形成する、
ことを特徴とする作製方法。 - 前記補強部は、前記第1の電極が形成された面への正射影において、前記流路と前記間隙の外周とが接する線の延長線にかかって設けることを特徴とする請求項7に記載の作製方法。
- 前記封止層はシリコン窒化膜で形成することを特徴とする請求項7または8に記載の静電容量型トランスデューサの製造方法。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の静電容量型トランスデューサと、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、
前記トランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、前記電気信号に変換することを特徴とする被検体情報取得装置。 - 光源をさらに有し、
前記トランスデューサは、前記光源から発振した光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信して電気信号に変換し、
前記処理部は、前記電気信号を用いて被検体の情報を取得することを特徴とする請求項10に記載の被検体情報取得装置。
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