JP2015115631A - 静電容量型トランスデューサ、及びその製造方法 - Google Patents

静電容量型トランスデューサ、及びその製造方法 Download PDF

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加藤 和彦
Kazuhiko Kato
和彦 加藤
冨吉 俊夫
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Abstract

【課題】広帯域化、性能や信頼性の向上を実現することができる静電容量型トランスデューサ、その製造方法などを提供する。【解決手段】第1の電極3と、第1の電極と間隙8を隔てて形成された第2の電極7を含む振動膜17と、を備えたセル10を有する静電容量型トランスデューサの製造方法は、次の工程を含む。第1の電極上に犠牲層12を形成する工程、犠牲層上にメンブレン5を形成する工程、メンブレンにエッチングホール13を形成する工程、エッチングホールを介して犠牲層をエッチングする工程を含む。第1の膜形成条件で絶縁膜6を形成し、第2の膜形成条件で絶縁膜6を形成することでエッチングホールを封止する。第1の膜形成条件は、水平方向の成膜速度に対して垂直方向の成膜速度が高速である異方性のある条件である。第2の膜形成条件は、水平方向の成膜速度に対する垂直方向の成膜速度の比率が第1の膜形成条件より小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、超音波変換素子、力分布センサー、圧力センサーなどとして用いられる静電容量型トランスデューサ、その製造方法等に関する。
近年、微細加工技術の発展に伴い、マイクロメータオーダの精度で加工された様々な微小機械素子が実現されている。このような技術を用いて、静電容量型超音波トランスデューサ(CMUT:Capasitive Micromachined Ultrasonic Transducer)の開発が盛んとなっている。CMUTは、軽量の振動膜を振動させて音響波(以下、超音波で代表することもある)を送信、受信する超音波デバイスであり、液中および空気中でも優れた広帯域特性を持つものが容易に得られる。従って、CMUTを医療用途として利用すると、従来から使用されている圧電素子からなる超音波デバイスよりも、高精度な診断が可能となるため、その代替品として注目を集めている。尚、本明細書において、音響波とは、音波、超音波、光音響波と呼ばれるものを含む。例えば、被検体内部に可視光線や赤外線等の光(電磁波)を照射して被検体内部で発生する光音響波を含む。
静電容量型トランスデューサは、複数のセル構造を備える。セル構造は、例えば、Siなどの基板上に配置された第1の電極と、第1の電極と対向して配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極の間に形成される空隙と、第2の電極を含み空隙上に形成されたメンブレンからなる振動膜と、振動膜支持部で構成される。前記メンブレンは空隙ないし間隙(キャビティ)を封止する構造を有する。
静電容量型トランスデューサは、その作製方法の一つとして、Siなどの基板上に材料を積層させて形成する。空隙構造は、予め空隙となる部分に犠牲層材料を堆積させ、振動膜の一部に設けた開口部(エッチングホール)から犠牲層を犠牲層エッチングにより除去することで形成する。静電容量型トランスデューサは、水中や油中などの液体中で使用されることがあり、空隙内にそれらの液体が浸入すると振動膜の振動特性に劣化が生じるため、空隙を形成するために設けたエッチングホールは封止して使用する必要がある。非特許文献1に記載の静電容量型トランスデューサでは、エッチングホールから振動膜下部の空隙部に繋がる流路部に、LP−CVD(Low−Pressure−Chemical−Vapor−Deposition)で成膜される窒化シリコン物を堆積させていくことで空隙部の封止を行っている。LP−CVDでは、装置の性質上、エッチングホールから流路を通って空隙部までほぼ均一な厚さで窒化シリコン膜が堆積され、流路の厚さ分、堆積されることで空隙部は封止される。しかし、この方法では流路を通じて空隙内部まで堆積する可能性があり、振動膜の振動特性に影響を及ぼしてしまうことがある。
特許文献1に記載の静電容量型トランスデューサでは、非特許文献1と同様にエッチングホールから犠牲層を除去することで空隙を形成する。更にそのエッチングホールにPlasma Enhanced Chemical Vapor Deposition(PE−CVD)で膜を堆積させることで空隙部の封止を行っている。PE−CVDでは、LP−CVDのようには空隙や流路の内部に膜は侵入していかず、エッチングホール上に堆積されるように膜が形成される。従って、空隙を封止するためには、空隙の厚さに対して十分に厚い封止膜を堆積させる必要がある。
米国特許5982709号
Arif Sanli Ergun et al.IEEE Transactions on Ultrasonics,Vol52,No.12,DECEMBER 2005,2242−2257
静電容量型トランスデューサの空隙部を封止するための封止厚は、その空隙部の厚さ(高さ)の約3倍程度の厚さの膜が必要である。従って、空隙部の厚さが大きくなればなるほど、必要な封止厚は厚くなるが、広帯域化などの性能向上のためにメンブレンを薄化する要求があり、封止膜厚を小さくできる構成が求められている。
上記課題に鑑み、本発明の静電容量型トランスデューサの製造方法は、第1の電極と、前記第1の電極と間隙(空隙など)を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜と、を備えたセルを有する静電容量型トランスデューサの製造方法であって、次の工程を含む。第1の電極上に犠牲層を形成する工程。前記犠牲層上にメンブレンを形成する工程。前記メンブレンにエッチングホールを形成する工程。前記エッチングホールを介して前記犠牲層をエッチングする工程。第1の膜形成条件で絶縁膜を形成し、続いて第2の膜形成条件で絶縁膜を形成することで前記エッチングホールを封止する工程。そして、前記第1の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対して、前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度が、高速である異方性のある膜形成条件であり、前記第2の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対する前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度の比率が、前記第1の膜形成条件より小さい膜形成条件である。
また、上記課題に鑑み、本発明の静電容量型トランスデューサは、第1の電極と、前記第1の電極と間隙を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜と、を備えたセルを有する静電容量型トランスデューサであって、次の特徴を有する。犠牲層エッチングにより前記間隙を形成するために設けられたエッチング開口部が、第1の膜形成条件で形成された絶縁膜と第2の膜形成条件で形成された絶縁膜により封止されており、前記第1の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対して、前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度が、高速である異方性のある膜形成条件であり、前記第2の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対する前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度の比率が、前記第1の膜形成条件より小さい膜形成条件である。
本発明では、上記の如き第1の膜形成条件と第2の膜形成条件でエッチングホールの封止膜を形成するので、封止膜厚を小さくすることができて、静電容量型トランスデューサの広帯域化、性能や信頼性の向上を実現することができる。
本発明の静電容量型トランスデューサの一例を説明するための図。 本発明の静電容量型トランスデューサの他の例を説明するための図。 エッチングホールの封止過程を説明するための断面図。 本発明の作製方法の一例を説明するための断面図。 本発明の作製方法の一例を説明するための断面図。 本発明の静電容量型トランスデューサを用いた情報取得装置の例を説明する図。
本発明では、犠牲層エッチングによりセルの間隙を形成するために設けられたエッチング開口部が、第1の膜形成条件と第2の膜形成条件で形成された絶縁膜により封止される。第1の膜形成条件は、セルの第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対して、第1の電極の面と垂直方向の成膜速度が、高速である異方性のある膜形成条件である。第2の膜形成条件は、前者の成膜速度に対する後者の成膜速度の比率が第1の膜形成条件より小さい膜形成条件である。例えば、間隙(キャビティ)ないし空隙は、予め間隙となる部分に設けた犠牲層を、第1のメンブレンに設けたエッチングホールから除去することで形成される。更に前記間隙は第2のメンブレンによってエッチングホールで封止される。この際に、第2のメンブレンの成膜の異方性を制御する。第1段階として、異方性が比較的強い状態で成膜する。第2段階として、成膜によって完全に封止される前に、異方性が比較的弱い(すなわち等方性が強い)状態で成膜する。これにより、エッチングホールの封止を完遂しつつ第2のメンブレンの成膜厚さを薄くすることができる。封止過程の例を説明すると、犠牲層エッチング後に、異方性の比較的強い状態の成膜によって、エッチングホール底面から成長する膜とエッチングホール壁から成長する膜が接触する直前まで成膜する。この状態から、等方性が強い状態の成膜を行うことで、先に作った隙間に成膜を行うことで十分な封止膜厚を保ちかつ第2のメンブレンの成膜厚を薄くすることができる。従来と同じ振動膜部での間隙厚さを有する構造でも、間隙の封止に必要な封止膜厚さを薄くすることができる。こうして、従来よりも薄い膜厚で間隙の封止が可能となり、広帯域化などの性能向上のためにメンブレンの薄化が可能となる。
以下に本発明の実施の形態について、図1などを用いて説明する。図1(a)は本実施形態の静電容量型トランスデューサのA−B断面図であり、図1(b)は図1(a)の上面図である。図1(a)及び図1(b)は1つのセル構造10のみを示しているが、図1(c)のように静電容量型トランスデューサ内のセル構造10の個数は幾つであっても構わない。また、セルの配列は、図1(c)に示す以外に、どのような配列であっても構わない。図1(a)−(c)に示すように、本静電容量型トランスデューサの振動膜の形状は円形であるが、形状は四角形でも六角形などでも構わない。
本静電容量型トランスデューサの構成について説明する。静電容量型トランスデューサは、Siなどの基板1、基板1上に形成された絶縁膜2、絶縁膜2上に形成された第1の電極3、第1の電極3上の絶縁膜4を有する。絶縁膜4上には、振動部の空隙ないし間隙(キャビティ)8を介して第1のメンブレン5と第2のメンブレン6と第2の電極7を含む振動膜17を有し、第1のメンブレン5は、振動膜支持部16で支持されている。基板1がガラス基板などの絶縁体の場合は、絶縁膜2はなくてもよい。図1では第2の電極7は第2のメンブレン6上に形成されているが、第2の電極は図2のように第1のメンブレン5と第2のメンブレン6の間に配置されていても構わない。図2に示す構成にすることで、第1の電極3と第2の電極7の間の距離を小さく形成することができ、静電容量型トランスデューサの静電容量が大きくなり、性能を向上することができる。
また、第1の電極3と第2の電極7との間に電圧を印加する電圧印加手段を有しており、第1の電極3と第2の電極7間に電圧を印加することで振動膜17を振動させて超音波を送信することができる。また、電極間にバイアス電圧を印加した状態で超音波を受けることで超音波を受信できる。
静電容量型トランスデューサの間隙は、間隙となる部分に予め犠牲層を配置しておき、それをメンブレンに開けたエッチングホールからエッチングして犠牲層を除去するという犠牲層エッチングの手法によって形成することができる。具体的には、振動部間隙8が形成される部分とエッチングホール部間隙9が形成される部分に犠牲層12(図4−1参照)を形成する。犠牲層12には、エッチングホール部間隙9の部分と振動膜間隙8の部分とを繋ぐ流路18の部分が含まれる。犠牲層12上に第1のメンブレン5と振動膜支持部16を形成した後、エッチングホール部間隙9の部分上の第1のメンブレン5に、犠牲層12を除去するためのエッチングホール13を形成する。そして、エッチングホール13から犠牲層12を犠牲層エッチングにより除去することで間隙8を形成する。間隙を形成した後、エッチングホール13上に第2のメンブレン6を兼ねる封止膜11を堆積させることで、エッチングホール13を封止する。
静電容量型トランスデューサを構成する材料で、特に間隙部を形成する材料は、振動膜が振動した際に振動膜が間隙の下面に接触しないように、表面粗さが小さいことが望ましい。第1の電極3には、チタンやアルミニウム、モリブデンンなどの材料を使用することができる。特にチタンは、プロセス中に加わる熱の影響での粗さ変化などが小さく、更には、犠牲層材料や振動膜を形成する材料とのエッチング選択性も高いため望ましい。絶縁膜4には、酸化シリコン膜などを使用することができる。特にPE−CVD装置で形成する酸化シリコン膜は、表面粗さが小さく、更に400℃以下の低温で形成することができるため、他の構成材料に対しても熱の影響を小さく形成することができる。
振動膜17の第1のメンブレン5と第2のメンブレン6、振動膜支持部16は絶縁膜である。特にPE−CVD装置で形成する窒化シリコン膜は、400℃以下の低温で形成することができるため、他の構成材料に対して熱の影響を小さくすることができる。また、300MPa以下の低引張応力で膜の形成を行えるため、メンブレンの残留応力による振動膜の大きな変形を防止することができる。またさらに、第2のメンブレン6は、振動膜としての機能以外に、エッチングホール13上に堆積して間隙を封止する必要がある。間隙を封止する材料としては、エッチングホール13に堆積することで封止するためにカバレッジ性が高いことに加えて、エッチングホール13から流路18を通じて振動部間隙8内に封止膜が侵入していかないことが望まれる。振動部間隙8内に封止膜が侵入すると、性能に影響する振動部間隙8の厚さ(高さ)が変わってしまうためである。例えば、LP−CVDで形成される窒化シリコン膜では、流路を通じて間隙の内部にも膜が侵入していくため、間隙部の厚さが変化してしまう。これらの封止膜の条件を満たす材料としては、PE−CVDで形成する窒化シリコン膜が望ましい。
間隙8を形成するための犠牲層12の材料は、犠牲層エッチング工程において比較的容易に除去が可能であり、他の構成材料に対してエッチング選択比が十分に高い材料を選択することが望ましい。更にはメンブレンを形成する際の熱工程に対しても、粗さなどへの影響が小さい材料を選択することが望ましい。これらの要件を満たす材料としては、例えばクロムやモリブデンなどの金属材料や、アモルファスシリコンなどを選択することができる。特にクロムは、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸の混合溶液で容易にエッチングが可能である。更に、犠牲層エッチング工程での構成材料である第1の電極3の材料であるチタン、絶縁膜4の材料である酸化シリコン、メンブレンの材料である窒化シリコン膜とのエッチング選択比が十分に高い。よって、犠牲層エッチング工程において、犠牲層以外の材料に対するダメージを小さく間隙を形成することが可能である。
また、犠牲層は、振動膜が振動する部分の間隙の振動部間隙8の部分と犠牲層エッチングを行う際に犠牲層を除去する溶液が侵入していくエッチングホール部間隙9の部分とそれらを繋ぐ流路18の部分で形成される。それぞれの厚さは、振動部間隙8に関しては、振動膜が振動する部分に相当するため、設計仕様に応じて設定される。エッチングホール部間隙と流路は、犠牲層エッチング工程にて、犠牲層を除去するための溶液が間隙内に浸入する必要があり、犠牲層エッチングが可能である膜厚によって厚さの下限値が決まる。この下限値は、犠牲層の材料や犠牲層を除去する溶剤によって値が異なる。そのため、一つの値には決まらないが、犠牲層がクロムで硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸からなる溶液にて犠牲層エッチングを行う場合には、犠牲層厚さは100nm以下でも可能である。
第2の電極7は、振動膜17の一部を構成する材料であるため、比較的応力の小さい材料である必要がある。例えばチタンやアルミニウムなどを使用することができる。
犠牲層エッチングにて間隙を形成した後に、エッチングホール13上に封止膜を堆積させて間隙を封止する工程について図3を用いて説明する。図3は、犠牲層エッチングによって犠牲層12を除去した後のエッチングホール13上に、第2のメンブレン6からなる封止膜を堆積して間隙8を封止する過程を示している。エッチングホール13上に異方性のPE−CVD成膜条件で膜を形成させていくと、エッチングホールの底部と、エッチングホール13が開口された第1のメンブレン5の側面及び上面とに膜が堆積されていく(図3(a)−(b))。エッチングホールの底部に堆積される膜と第1のメンブレン5の側面に堆積される膜が繋がり、連続した膜となることでエッチングホールは封止されるが、完全に連続する直前で隙間が残っている状態で、PE−CVDの成膜条件を等方性にする。このことで隙間の奥まで膜を堆積させることができる(図3(c))。さらに必要な膜厚まで成膜する(図3(d))。成膜条件を異方性のまま成膜を続けると、前記隙間の上端が塞がった後、隙間の奥まで成膜されず、隙間が亀裂の様に残ってしまう。このため、封止するために必要な膜厚が大きくなってしまう。
本実施形態の静電容量型トランスデューサの製法は、前記隙間の部分を埋めて成膜するため、性能に影響する振動部間隙8の厚さを変えずに、間隙部を封止するために必要な封止膜厚さを小さくすることが可能となり、封止の信頼性が向上する。ここで、異方性と等方性とは、成膜過程におけるプラズマ中のラジカルとイオンの数の比率のことをいっている。イオンの数の比率が大きくなれば、異方性が強くなる。この数の比率について等方的であれば、トレンチなどの構造物のどの表面に対しても粒子の入射方向は等方的であり、いわゆるコンフォーマル性の高い膜形成が実現される。一方、数の比率について異方性が強ければ、基板に飛来する粒子の入射方向は異方性を持ち、そのためステップなど基板表面の幾何的な構造により、膜形成は影響を受け、側壁等には付着しにくくなる。
図3に示すようにエッチングホールに膜を充填させるためには、極力、流路18側に膜が侵入せずに膜堆積を行うことが必要である。この場合、粒子の飛来方向が基板に垂直な方向になるような異方性のある成膜条件で行うことが好ましい。しかし、エッチングホールに膜が図3(b)に示すように堆積された後は、コンフォーマル性の高い膜形成条件が好ましい。狭隘な亀裂部に粒子が侵入していくために、飛来粒子が等方的であることが好ましく、少ない膜厚で亀裂部を塞ぐことが可能となる。
異方性、等方性となる成膜条件は、装置やガス種等にも依存するため、一概に言うことはできない。しかし、トレンチ形状を基板に作りこみ、その膜被覆性を観察することにより、成膜条件による等方性、異方性の程度を評価することができる。例えば、PE−CVD装置を用いるとき、NH、SiH、Nの混合ガスにより窒化シリコン膜を形成する場合、その流量を変えることにより、等方性、異方性を変えることができる。NH、SiH、Nの流量比を変えずに全体の流量を増加させて、トレンチ形状に形成された窒化シリコン膜のカバレッジ性をトレンチの底の膜厚とトレンチの上部の膜厚の比で評価するとする。このとき、全体の流量の多い方がトレンチ底部への被覆性がよく、コンフォーマル性が高いことが観察された。このように、装置により成膜条件は変わっても、その等方性、異方性の比較を被覆性(カバレッジ性)から確認することができる。
前記実施形態では、異方性条件の第1の膜形成条件で成膜する絶縁膜と等方性条件の第2の膜形成条件で成膜する絶縁膜は両方とも窒化シリコン膜であるが、両方のうち少なくとも一方を窒化シリコン膜とすることもできる。第1の膜形成条件で成膜する絶縁膜と第2の膜形成条件で成膜する絶縁膜のうち少なくとも一方を酸化シリコン膜とすることもできる。また、前記実施形態はで、第1の膜形成条件で成膜する絶縁膜と第2の膜形成条件で成膜する絶縁膜とを同じ材料としたが、異なる材料とすることもできる。
より具体的な実施例を説明する。
(実施例1)
図4−1と図4−2に本発明による静電容量型トランスデューサの製造方法の実施例1を示す。図4−1(a)−(f)と図4−2(g)−(k)の断面図は、本実施例のプロセスフローを図示している。本実施例では、セル構造10を1つだけ有した静電容量型トランスデューサについて示しているが、セル構造10は幾つであっても構わない。また、1つのセル構造10に対して1つのエッチングホール部を有した構造を図示しているが、1つのセル構造10に対するエッチングホールの数は幾つであっても構わない。
本実施例の静電容量型トランスデューサは、厚さ300μmのシリコン基板1、シリコン基板1上に形成された熱酸化膜の絶縁膜2、絶縁膜2上に形成されたチタンの第1の電極3、第1の電極3上に形成されたシリコン酸化膜の絶縁膜4を有する。さらに、第1の電極3と第2の電極7の間に形成される間隙と、間隙上に形成される振動膜17と、振動膜17を支持する振動膜支持部16で構成されるセル構造10を有する。振動膜17は、間隙上に形成された第1のメンブレン5と、間隙を封止するための第2のメンブレン6と、第2の電極7を含む。また、第1の電極3と第2の電極7の間に電圧を印加する電圧印加手段が備えられる。
本実施例における静電容量型トランスデューサの間隙部は、図4−1(d)−(f)と図4−2(g)−(h)に示す犠牲層エッチング工程を行うことで形成する。まず、シリコン基板1上に、熱酸化膜からなる絶縁膜2、チタンからなる第1の電極3、シリコン酸化膜からなる絶縁膜4を形成する。次に、絶縁膜4上に厚さ200nmの犠牲層材料であるクロム12を成膜する。フォトリソグラフィとClガスを用いたドライエッチングによって、犠牲層12を除去するためのエッチングホールを形成する部分のエッチングを行い、80nmの厚さにする(図4−1(e))。次に、エッチングホール部となるエッチングホール部犠牲層15と振動部となる振動部犠牲層14を残して、フォトリソグラフィとClガスを用いたドライエッチングでパターニングを行う(図4−1(f))。この工程までで、エッチングホール部と振動部で犠牲層12の厚さが異なる構造を形成することができる。ただし、図4−1(e)と図4−1(f)において犠牲層12の厚さの異なりは図示していない。
次に、犠牲層12上にPE−CVD装置にて、第1のメンブレン5と振動膜支持部16となる窒化シリコン膜を400nm形成する(図4−2(g))。次に、第1のメンブレンにフォトリソグラフィとCF4ガスによるドライエッチングでパターニングを行い、エッチングホール13を形成する(図4−2(h))。次にエッチングホール13から、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸からなる溶液を導入し、犠牲層12を除去することで、振動部間隙8とエッチングホール部間隙9からなる間隙を形成する(図4−2(i))。そして、エッチングホール13上に、PE−CVD装置によって第2のメンブレン6となる窒化シリコン膜を成膜する。この工程によって、間隙部はエッチングホール13で封止される(図4−2(j))。最後に第2のメンブレン6上に第2の電極7を形成する(図4−2(k))。
本実施例では、犠牲層12の厚さがエッチングホール部と振動部で異なり、エッチングホール部で80nm、振動部で200nmである。間隙を封止するために必要な膜の厚さは、従来の構成では間隙厚さの約3倍が必要であるため、膜厚は約240nmである。しかし、本構成では図3(b)の前記隙間にも窒化シリコン膜を堆積することで、間隙8の封止に必要な封止膜の厚さを小さくすることができ、間隙の封止性能が向上する。
成膜条件は、異方性条件を高周波パワー360W、シラン(SiH)ガス流量24sccm、アンモニア(NH)ガス流量19sccm、窒素(N)ガス流量377sccm、圧力213Paとする。他方、等方性条件を、高周波パワー480W、シランガス流量50sccm、アンモニアガス流量40sccm、窒素ガス流量623sccm、圧力213Paとする。まず異方性条件で膜厚80nmまで成膜する。この状態では図3(b)の状態と考えられる。ここで成膜条件を等方性条件に切り替え、さらに膜厚80nm成膜する。これにより図3(d)の状態になる。こうして第2のメンブレン6の総膜厚は160nmとなり、従来の構成で必要とされた240nmよりも薄くすることができ、かつ十分に封止できる。
(実施例3)
図5(a)は、光音響効果を利用した被検体情報取得装置の実施例を示したものである。光源2010から発振したパルス光は、レンズ、ミラー、光ファイバー等の光学部材2012を介して、被検体2014に照射される。被検体2014の内部にある光吸収体2016は、パルス光のエネルギーを吸収し、音響波である光音響波2018を発生する。プローブ(探触子)2022内の本発明の静電容量型トランスデューサ2020は、光音響波2018を受信して電気信号に変換し、信号処理部2024に出力する。信号処理部2024は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2026へ出力する。データ処理部2026は、入力された信号を用いて被検体情報(光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでは、信号処理部2024とデータ処理部2026を含めて、処理部という。表示部2028は、データ処理部2026から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明の静電容量型のトランスデューサと、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、該トランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、電気信号を出力する。
図5(b)は、音響波の反射を利用した超音波エコー診断装置等の被検体情報取得装置を示したものである。プローブ(探触子)2122内の本発明の静電容量型トランスデューサ2120から被検体2114へ送信された音響波は、反射体2116により反射される。トランスデューサ2120は、反射された音響波(反射波)2118を受信して電気信号に変換し、信号処理部2124に出力する。信号処理部2124は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2126へ出力する。データ処理部2126は、入力された信号を用いて被検体情報(音響インピーダンスの違いを反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでも、信号処理部2124とデータ処理部2126を含めて、処理部という。表示部2128は、データ処理部2126から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明の静電容量型のトランスデューサと、光源と、データ処理装置と、を有する。そして、該トランスデューサは、光源から発振した光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信して電気信号に変換し、データ処理装置は、電気信号を用いて被検体の情報を取得する。
なお、プローブは、機械的に走査するものであっても、医師や技師等のユーザが被検体に対して移動させるもの(ハンドヘルド型)であってもよい。また、図5(b)のように反射波を用いる装置の場合、音響波を送信するプローブは受信するプローブと別に設けてもよい。さらに、図5(a)と図5(b)の装置の機能をどちらも兼ね備えた装置とし、被検体の光学特性値を反映した被検体情報と、音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報と、をどちらも取得するようにしてもよい。この場合、図5(a)のトランスデューサ2020が光音響波の受信だけでなく、音響波の送信と反射波の受信を行うようにしてもよい。
1:基板、3:第1の電極、5:第1のメンブレン(メンブレン)、6:第2のメンブレン(絶縁膜)、7:第2の電極、8:振動部間隙(キャビティ、間隙)、9:エッチングホール部間隙、10:セル構造(セル)、12:犠牲層、13:エッチングホール、14:振動部犠牲層、15:エッチングホール部犠牲層、17:振動膜

Claims (11)

  1. 第1の電極と、前記第1の電極と間隙を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜と、を備えたセルを有する静電容量型トランスデューサの製造方法であって、
    第1の電極の上に犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層の上にメンブレンを形成する工程と、
    前記メンブレンにエッチングホールを形成する工程と、
    前記エッチングホールを介して前記犠牲層をエッチングする工程と、
    第1の膜形成条件で絶縁膜を形成し、続いて第2の膜形成条件で絶縁膜を形成することで前記エッチングホールを封止する工程と、
    を有し、
    前記第1の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対して、前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度が、高速である異方性のある膜形成条件であり、
    前記第2の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対する前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度の比率が、前記第1の膜形成条件より小さい膜形成条件であることを特徴とする静電容量型トランスデューサの製造方法。
  2. 前記第1の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜と前記第2の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜のうち少なくとも一方は窒化シリコン膜であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型トランスデューサの製造方法。
  3. 前記窒化シリコン膜の形成方法が、PE−CVDであることを特徴とする請求項2に記載の静電容量型トランスデューサの製造方法。
  4. 前記第1の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜と前記第2の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜のうち少なくとも一方は酸化シリコン膜であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型トランスデューサの製造方法。
  5. 前記第1の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜と前記第2の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜とは同じ材料であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の静電容量型トランスデューサの製造方法。
  6. 前記第1の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜と前記第2の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜とは異なる材料であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の静電容量型トランスデューサの製造方法。
  7. 前記第2の膜形成条件は等方性の膜形成条件であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の静電容量型トランスデューサの製造方法。
  8. 第1の電極と、前記第1の電極と間隙を隔てて形成された第2の電極を含む振動膜と、を備えたセルを有する静電容量型トランスデューサであって、
    犠牲層エッチングにより前記間隙を形成するために設けられたエッチングホールが、第1の膜形成条件で形成された絶縁膜と第2の膜形成条件で形成された絶縁膜により封止されており、
    前記第1の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対して、前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度が、高速である異方性のある膜形成条件であり、
    前記第2の膜形成条件は、前記第1の電極の面と水平方向の成膜速度に対する前記第1の電極の面と垂直方向の成膜速度の比率が、前記第1の膜形成条件より小さい膜形成条件であること特徴とする静電容量型トランスデューサ。
  9. 前記第1の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜と前記第2の膜形成条件で成膜する前記絶縁膜は、それぞれ窒化シリコン膜または酸化シリコン膜であり、同じ材料または異なる材料からなることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型トランスデューサ。
  10. 請求項8または9に記載の静電容量型トランスデューサと、該静電容量型トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、
    前記静電容量型トランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、前記電気信号を出力することを特徴とする被検体情報取得装置。
  11. 光源をさらに有し、
    前記静電容量型トランスデューサは、前記光源から発振した光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信して電気信号に変換し、
    前記処理部は、前記電気信号を用いて被検体の情報を取得することを特徴とする請求項10に記載の被検体情報取得装置。
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