本発明による内燃機関の回転角センサ診断装置の実施形態を、図を参照して説明する。
図1は、本発明による回転角センサ診断装置が適用される内燃機関の構成例を示す。
エンジン3は、複数の気筒を有し、各気筒の燃焼室101cに空気と燃料とによる混合気を導入する。燃焼室101cに導入される空気は、エアクリーナ102の入口部102aから取り入れられ、エアフローセンサ(吸入空気量センサ)25を通り、吸入空気量を制御するスロットル弁140aが収容されたスロットルボディ140を通ってコレクタ106に入る。スロットル弁140aの開度はエンジンコントロールユニット13によって制御される。
コレクタ106に入った空気は、エンジン3の各燃焼室101cに接続された吸気管107に分配された後、ピストン101a、シリンダブロック101b等によって形成される燃焼室101cに吸入される。
シリンダブロック101bには機関冷却水温度を計測する水温センサ28が取り付けられており、水温センサ28のセンサ信号はエンジンコントロールユニット13に入力される。エアフローセンサ25は、吸入空気量を計測し、吸入空気量を表す信号をエンジンコントロールユニット13に出力する。スロットルボディ140にはスロットル弁140aの開度を計測するスロットルセンサ27が取り付けられており、スロットルセンサ27のセンサ信号はエンジンコントロールユニット13に入力される。吸気管107には吸気管内の圧力を計測する吸気管内圧センサ29が取り付けられており、吸気管内圧センサ29のセンサ信号はエンジンコントロールユニット13に入力される。
ガソリン等の燃料は、燃料タンク50から燃料ポンプ51により加圧されて燃料配管57に供給され、燃料フィルタ58を通過した後、燃料配管59を通って各燃焼室101c毎に設けられているインジェクタ54から燃焼室101cに向けて噴射される。燃焼室101cに噴射された燃料は、点火コイル108によって高電圧化された点火信号により点火プラグ109で着火される。
エンジン3のクランク軸部分にはクランク角センサ2が取り付けられている。クランク角センサ2は、クランク軸101dに取り付けられた回転体1と、固定配置の磁気ピックアップ2aとにより構成され、クランク軸101dの回転位置を表す回転位置信号(クランク角センサ信号)をエンジンコントロールユニット13に出力する。
また、排気弁120のカム軸部分にはカム角センサ117が取り付けられている。カム角センサ117は、排気弁120のカム軸100に取り付けられた回転体118と、固定配置の磁気ピックアップ117aとにより構成され、カム軸100の回転位置を表す角度信号(カム角センサ信号)をエンジンコントロールユニット13に出力する。
排気管209には、排気ガス中の酸素濃度を検出してその検出信号をエンジンコントロールユニット13に出力する空燃比センサ208、排気ガス浄化用触媒210等が設けられている。
次に、エンジンコントロールユニット13の構成を、図2を用いて説明する。
エンジンコントロールユニット13は、コンピュータ式のものであり、主要部は、MPU203、EP−ROM202、RAM204、A/D変換器を含むLSIによるI/O回路201等で構成される。I/O回路201には外部通信機器90がデータ通信可能に接続される。
エンジンコントロールユニット13は、クランク角センサ2、カム角センサ117、水温センサ28、吸気管内圧センサ29、アクセルペダル24aの踏込み量(アクセル開度)を検出するアクセルペダルセンサ24を含む各種のセンサ等からの信号を入力として取り込み、所定の演算処理を実行し、演算結果として算定された各種の制御信号を出力し、アクチュエータである燃料ポンプ51、各インジェクタ54および点火コイル108等に所定の制御信号を供給して燃料ポンプ吐出量制御、燃料噴射量制御および点火時期制御等のエンジン制御を実行する。
また、エンジンコントロールユニット13は、上述した各種センサ等からの信号を入力として取り込むと共に、各種センサが正常に機能して否かの故障診断を行い、診断結果にて、センサ故障が検知された場合には、インジケータ内に設置されているMIL(Malfunction Indicator Lamp)205を点灯することで、運転者に故障を通知する。
このとき、フェイルセイフとして、燃料噴射量や点火時期の制限および故障したセンサにより影響を及ぼす制御の実行を禁止する等の制御を行うことにより、走行に制限を設けている。
図3は、本発明による内燃機関の回転角センサ診断装置が適用されるハイブリッド車両のハイブリッドシステム300を示す構成例である。図3において、太い実線は機械力の伝達経路を、太い破線は電力線を、細い破線は各ユニット間の通信手段を、細い実線は制御線を各々示す。
ハイブリッドシステム300は、走行用の駆動トルクを出力する動力装置として、エンジン3と車両駆動用電動機(電動モータ)303を有する。エンジン3のクランク軸101dと車両駆動用電動機303の駆動軸308とは、断続機(クラッチ)307によって機械的且つ選択的に連結することができ、エンジン3と車両駆動用電動機303のどちらか一方からの駆動トルクの出力あるいは両方より同時に駆動トルクを車輪側に出力し、合成することが可能である。
エンジン3は、伝動ベルト301によって発電用電動機302を駆動連結され、発電用電動機302によってクランキングを行うことで始動される。エンジン3および車両駆動用電動機303より出力された駆動トルクは、駆動軸308によって無段変速機(減速機)309に入力される。無段変速機309に伝達された駆動トルクは、減速比を調整された後に、減速機306、デファレンシャルギア311に伝達され、デファレンシャルギア311で最終減速比に減速され、車軸312に伝達されることで、車軸312の両端に設置されている車輪(タイヤ)313を回転する。
無段変速機309の車軸312側には車速センサ310が設置されている。車速センサ310は、無段変速機309の出力軸回転数に対応するパルス信号をハイブリットコントロールユニット320、エンジンコントロールユニット13に送信する。ハイブリットコントロールユニット320は、車速センサ310よりのパルス信号の入力パルス周期と、車両より定まる係数より、車速を演算する。
発電用電動機302は、主としてエンジン3の始動と発電のために用いられる。車両駆動用電動機303は、主として車両の駆動と、制動時の電力回生(発電)のために用いられる。バッテリ316に蓄電されている直流電力は、電力変換機314にて、交流電力に変換され、発電用電動機302および車両駆動用電動機303へ供給され、エンジン始動および車両駆動時の電動機の駆動電力として用いられる。
車両制動による車両駆動用電動機303の回生制御時や発電用電動機302の発電時に発電された交流電力は、電力変換機314によって直流電力に変換されてバッテリ316に蓄電される。バッテリ316の電力残量(バッテリ残量)は、バッテリ残量検出装置317によって、充電電流および放電電流の積算値と、バッテリ電圧より演算される。
ここで、バッテリ残量や運転状態に応じて電力変換機314の入出力をモータコントロールユニット315にて、制御することで、車両駆動用電動機303の駆動および回生制御と、発電用電動機302の始動および発電制御を実施することができる。
モータコントロールユニット315は、発電用電動機用回転センサ304、車両駆動用電動機用回転センサ305からの入力信号より求められる発電用電動機302の回転位置と、車両駆動用電動機303の回転位置より、一定時間内に各々の回転位置がどれだけ変化するかによって、発電用電動機302の回転数、車両駆動用電動機303の回転数を演算する。
尚、発電制御は、バッテリ残量検出装置317によって検出されたバッテリ残量に応じて目標発電量を求め、エンジン3で目標発電量に応じた発電トルクを走行トルクに上乗せすることで、断続機307によって機械的に連結されたエンジン3と車両駆動用電動機303の駆動トルクによって走行しながら、発電用電動機302によって発電する図4に示す走行発電と、本来エンジン自動停止する運転領域において、バッテリ残量の低下によりエンジン自動停止を禁止する場合や、エンジン3またはバッテリ316の暖機のためエンジン自動停止しない場合に、断続機307によって車両駆動用電動機303と切り離されたエンジン3を駆動することで、発電用電動機302によって目標発電量に応じた発電を実現し、車両走行は車両駆動用電動機303によって行う図5に示すシリーズ発電の二つの制御がある。
図6は、クランク角センサ2のピックアップ2aと回転体1のギア歯1aとの位置関係を示している。回転体1は、外周縁部に、外周360度のうち150度の回転角範囲に回転角10度相当のピッチでギヤ歯1aを15個備え、続く外周30度の回転角範囲にはギヤ歯が存在しない欠歯部1bがあり、対向する残りの180度の回転角範囲も、軸対称で、同様の構成となっている。
この回転体1がクランク軸101dの1回転に対し1回転することで、クランク角センサ2(ピックアップ2a)はギア歯1a毎にパルス信号を出力するため、180度毎に欠歯部1bを検出し、クランク角センサ2の出力電圧は、図7に示すように変化する。
図8は、カム角センサ117のピックアップ117aと回転体118のギア歯118a〜118dとの位置関係を示している。回転体118は、外周縁部に、118a、118b、118c、118dの順に、90度(180度CA)間隔で、先頭ギア歯を配置され、ギア歯118b〜118dは、回転角14度(28度CA)相当のピッチで、次のギア歯が存在する。
回転体118がクランク軸101dの2回転につき1回転することで、カム角センサ117は、クランク角度720度CA中180度CA毎に気筒番号数と同数のパルスを出力する。このカム角センサ117の出力電圧は、図9に示すように変化する。
図10は、4気筒の4サイクルエンジンにおけるクランク角センサ2の出力電圧と、カム角センサ117の出力電圧と、各気筒の行程を示している。
クランク角センサ2の出力電圧は180度CA毎に欠歯部1bによる不等間隔信号部(30度CA)を有し、カム角センサ117の出力電圧は180度CA毎にギア歯118a〜118dに対応する電圧信号部を有する。
クランク角センサ2からの出力信号とカム角センサ117からの出力信号との位置構成は、クランク角センサ2の出力信号で180度CA毎に繰返される欠歯部1bに対し、カム角センサ117の出力信号で180度CA毎に出力されるギア歯118a〜118dに対応する出力信号を、クランク角センサ2の欠歯部1bにカム角センサのギア歯118a〜118dに対応する信号の最初のパルス信号が位置するようになっている。
但し、バルブ開閉タイミングを変更する可変バルブ機構を有する車両では、クランク角度に対しカム角度が変化するため、カム角センサ117からの出力信号の位相が変化する。
図11は、本発明による回転角センサ診断装置の基本的構成を示すブロック構成図である。
本実施形態の回転角センサ診断装置は、基準クランク角度毎にパルス信号を出力するクランク角センサ2と、機関動弁系のカム軸100と同期して各気筒の基準位置毎にパルス信号を出力するカム角センサ117の故障診断を、エンジンコントロールユニット13の回転角センサ診断手段13eによって行う。
クランク角センサ2からの出力信号に基づいてエンジン回転数を演算するエンジン回転数演算手段13aは、クランク角センサ2からの出力信号に基づいて、(今回信号入力時のタイマ値−前回信号入力時のタイマ値)より演算されるクランク角センサ2の信号周期をTREF10とすると、エンジン回転数NEは下記の数式(1)のように表すことができる。
NE×K = TREF10×k …(1)
数式(1)で用いた係数Kおよびkは、エンジン回転数NEを演算するために予め設定した定数である。
エンジンコントロールユニット13は、エンジン停止判定手段13cを具備し、回転角センサ診断手段13eは、故障診断動作、つまり回転角センサ診断の実行を選択的に禁止する回転角センサ診断禁止手段13dを有する。
エンジン停止判定手段13cは、クランク角センサ2およびカム角センサ117の信号以外のエンジン3の状態を示す信号、エンジン3以外の装置の状態を示す信号、あるいはエンジン3の状態を示す信号とエンジン3以外の装置の状態を示す信号の組合せにより、エンジン停止中であるか否かを判定する。
回転角センサ診断禁止手段13dは、回転角センサ診断許可条件に“エンジン停止中ではないこと”を追加し、エンジン停止判定手段13cにおいて、エンジン停止中と判定された場合には、回転角センサ診断を許可しない。
これにより、回転角センサ診断手段13eは、エンジン停止判定手段13cにて、判定されたエンジン停止判定結果に基づいて、回転角センサ診断禁止手段13dにより、エンジン停止中は、回転角センサ診断動作を禁止される。
エンジン回転数演算手段13a、エンジン停止判定手段13c、回転角センサ診断手段13e、回転角センサ診断禁止手段13dは、図12に示す処理フローを実現するコンピュータプログラムをエンジンコントロールユニット13が実行することにより、具現化される。
次に、エンジンコントロールユニット13による回転角センサ診断処理を、図12のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1で、クランク角センサ2、カム角センサ117等のセンサ信号や、これらセンサに電力を供給する電源の電圧を示す信号、その他、エンジン停止判定に用いる信号を入力する。
次に、ステップS2では、クランク角センサ2からのセンサ信号を入力したか否かを判定する。
ステップS2でクランク角センサ2からのセンサ信号を入力したと判定された時には、ステップS3へ進み、クランク角センサ2からのセンサ信号によってエンジン回転数演算手段13aによりエンジン回転数を演算する。
ステップS2において、クランク角センサ117からのセンサ信号入力がないと判定された時には、ステップS8へ進み、回転角センサ診断禁止手段13dにより、回転角センサ診断をキャンセルする。
ステップS4では、エンジン回転数演算手段13aによって演算されたエンジン回転数が、回転角センサ診断許可条件にて、設定される所定値(例えば、600rpm)以上か否かを判定する。
ステップS4でエンジン回転数が所定値以上と判定された時には、ステップS5へ進み、当該診断を続行する。これに対し、エンジン回転数が所定値未満と判定された時には、ステップS8へ進み、回転角センサ診断禁止手段13dにより、当該診断をキャンセルする。
ステップS5では、センサ用の電源電圧が、クランク角センサ2、カム角センサ117の故障診断において必要となるセンサ信号出力を、正常時に信号を検出可能なレベルで出力し得る保障下限電圧(例えば6V)以上あるか否かを判定する。
センサ用の電源電圧が保障下限電圧未満と判定された時には、正常な診断が行えないと判断してステップS8へ進み、回転角センサ診断禁止手段13dにより、当該診断をキャンセルする。
電源電圧が保証下限電圧以上と判定された時には、ステップS6へ進み、当該診断を続行する。ステップS6では、エンジン停止判定手段13cにより、エンジン停止中か否かを判定し、その後、ステップS7へ進む。
ステップS7では、エンジン停止判定手段13cの判定結果が、エンジン停止中ではない場合には、エンジン3が実際に回転しているため、ステップS9へ進み、当該診断を続行する。これに対し、エンジン停止判定手段13cの判定結果が、エンジン停止中であれば、エンジン3が実際には回転していないため、ステップS8に進み、回転角センサ診断禁止手段13dにより、当該診断をキャンセルする。
ステップS9では、カム角センサ117からのセンサ信号を入力したか否かを判定する。ステップS9でカム角センサ117からの信号を入力したと判定された時には、ステップS10へ進み、カム角センサ117は正常と判定する。これに対し、ステップS9においてカム角センサ117からの信号入力がないと判定された時には、ステップS11へ進む。
ステップS11では、前回のカム角センサ117からの信号入力時から信号を入力していない状態が所定時間(例えば200ms)継続したか否かを判定する。そして、所定時間以上継続した時には、ステップS12でカム角センサ117が異常との診断を下し、NG判定フラグをセットする。
図13は、本発明による回転角センサ診断装置におけるエンジン停止判定の具体的な実施形態1を示している。
エンジンコントロールユニット13は、吸入空気量演算手段13bを有している。吸入空気量演算手段13bはエアフローセンサ25の出力電圧(吸気通路を流れる空気流量に応じた電圧信号)に基づいて吸入空気量を演算する。
エンジン停止判定手段13cは、エアフローセンサ25の出力電圧と、吸入空気量演算手段13bによって演算された吸入空気量を示す信号を入力する。
エンジン停止判定手段13cは、エアフローセンサ25の出力電圧あるいは当該出力電圧より演算した吸入空気量が所定値以下の場合には、エンジン停止と判定する。
図14は、実施形態1のエンジン停止判定処理のフローチャートであり、図12のステップS6のエンジン停止判定ルーチンである。
まず、ステップS20にて、吸気管を流れる空気流量に応じて電圧信号を出力するエアフローセンサ25の出力電圧をエンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS21では、吸入空気量演算手段13bによって、図16に示すようなエアフローセンサ25の電圧−吸入空気量特性に基づいて、予め設定してある吸入空気量変換テーブルによりエアフローセンサ25の電圧値を吸入空気量に変換し、吸入空気量を演算する。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中のエアフローセンサ25の出力電圧に基づいて求めた空気量を予め所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS22にて、吸入空気量演算手段13bによって演算した吸入空気量と所定値を比較し、吸入空気量が所定値以下の場合には、ステップS23に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、吸入空気量が所定値より大きな場合には、ステップS24に進み、エンジン回転中と判定する(方法1)。
また、別の方法(方法2)では、まず、ステップS20にて、エアフローセンサ25の出力電圧をエンジンコントロールユニット13で受信する。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中のエアフローセンサ25の出力電圧に基づいた電圧値を予め所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS22’にて、エアフローセンサ電圧と所定値を比較し、エアフローセンサの出力電圧が所定値以下の場合には、ステップS23’に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、エアフローセンサ電圧が所定値より大きい場合には、ステップS25’に進み、エンジン回転中と判定する。
ここで、エンジン停止判定手段13cは、方法1または方法2を任意に選択することが可能であり、エンジン停止判定手段13cによりエンジン停止中と判定された場合には、回転角センサ診断を禁止することを、回転角センサ診断禁止手段13dにおける回転角センサ診断禁止の一条件とすることで、回転角センサ診断手段13eはエンジン停止中の誤診断を未然に回避する。
図16は、実施形態1による回転角センサ診断のタイムチャートである。
図17は、本発明による回転角センサ診断装置におけるエンジン停止判定の具体的な実施形態2を示している。
エンジン停止判定手段13cは、吸気管内の空気圧に応じて電圧信号を出力する吸気管内圧センサ29の出力電圧と、スロットル開度に応じて電圧信号を出力するスロットルセンサ27の出力電圧を入力する。
エンジンコントロールユニット13は、吸気管内圧演算手段13fと、スロットル開度算手段13gとを有している。吸気管内圧演算手段13fは吸気管内圧センサ29の出力電圧(吸気管内の空気圧に応じた電圧信号)に基づいて吸気管内圧を演算する。スロットル開度算手段13gはスロットルセンサ27の出力電圧(吸気管内の空気圧に応じた電圧信号)に基づいてスロットル開度を演算する。
エンジン停止判定手段13cは、吸気管内圧センサ29の出力電圧と、スロットルセンサ27の出力電圧と、吸気管内圧演算手段13fによって演算された吸気管内圧を示す信号と、スロットル開度算手段13gによって演算されたスロットル開度を示す信号を入力する。
エンジン停止判定手段13cは、吸気管内圧センサ29の出力電圧あるいは当該出力電圧より演算した吸気管内圧が所定値以上で、且つスロットルセンサ27の出力電圧あるいは当該出力電圧より演算したスロットル開度が所定値以下である場合には、エンジン停止と判定する。
図18は、実施形態2のエンジン停止判定処理のフローチャートであり、これも、図12のステップS6のエンジン停止判定ルーチンである。
まず、ステップS30にて、スロットル開度に応じて電圧信号を出力するスロットルセンサ27の出力電圧をエンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS31にて、吸気管内圧演算手段13fにより吸気管内圧センサ29の出力電圧Vpに基づいて吸気管内圧Pを演算し、スロットル開度算手段13gによってスロットルセンサ27の出力電圧Vtに基づいてスロットル開度Tを演算する。
吸気管内圧センサ29の出力電圧Vpと吸気管内圧Pには下記の数式(2)に示す関係が、スロットルセンサ27の出力電圧Vtとスロットル開度Tには下記の数式(3)に示す関係が成立するから、吸気管内圧演算手段13f、スロットル開度算手段13gは、数式(2)、数式(3)に従い、センサ特性より定まる係数Kp、Ktと、センサの出力電圧Vp、Vtと、オフセット電圧α、βより、吸気管内圧P、スロットル開度Tを演算する。
P = Kp×(Vp−α) …(2)
T = Kt×(Vt−β) …(3)
スロットル開度Tと吸気管内の空気圧(吸気管内圧P)と吸入空気量には、図19に示すような関係が成り立つため、スロットル開度Tに対する吸気管内の空気圧より、エンジン停止判定手段13cは、エンジン3が実際に空気を吸入しているか、つまりエンジン3が回転しているかを判断することができる。
この時、スロットル開度Tを参照する目的は、吸気管内の圧力だけでは、エンジン停止時にスロットルが閉じている状態で、吸気管内が大気圧と同等となっているのか、エンジン回転により吸気が行われても、スロットル全開状態のため、スロットルでの絞りによる圧力変動が起きず大気圧と同等となっているのかを判断できないためである。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中の吸気管内圧センサ29の出力電圧から演算した吸気管内圧Pと、エンジン停止中のスロットルセンサ27の出力電圧から演算したスロットル開度Tを、予め各々の所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS32にて、吸気管内圧センサ29の出力電圧から演算した吸気管内圧Pと所定値を比較し、吸気管内圧Pが所定値以上の場合には、ステップS33に進み、処理を続行する。これに対し、吸気管内圧Pが所定値未満の時には、ステップS35に進み、エンジン回転中と判定する。
ステップS33では、スロットルセンサ27の出力電圧から演算したスロットル開度Tと所定値を比較し、スロットル開度Tが所定値以下の場合には、ステップS34に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、スロットル開度Tが所定値より大きな場合には、ステップS35に進み、エンジン回転中と判定する(方法3)。
また、別の方法(方法4)では、まず、ステップS30にて、前記吸気管内圧センサ29の出力電圧と、スロットルセンサ27の出力信号をエンジンコントロールユニット13で受信する。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中の吸気管内圧センサ29の出力電圧と、エンジン停止中のスロットルセンサ27の出力電圧が、予め各々の所定値として設定してあるため、ステップS32’にて、吸気管内圧センサ電圧と所定値を比較し、吸気管内圧センサ29の出力電圧が所定値以上の場合には、ステップS33’に進み、処理を続行する。これに対し、吸気管内圧センサ29の出力電圧が所定値未満の場合には、ステップS35’に進み、エンジン回転中と判定する。
ステップS33’では、スロットルセンサ電圧と所定値を比較し、スロットルセンサ27の出力電圧が所定値以下の場合には、ステップS34’に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、スロットルセンサ27の出力電圧が所定値より大きな場合には、ステップS35’に進み、エンジン回転中と判定する。
ここで、エンジン停止判定手段13cは、方法3または方法4を任意に選択することが可能であり、エンジン停止判定手段13cによりエンジン停止中と判定された場合には、回転角センサ診断を禁止することを、回転角センサ診断禁止手段13dにおける回転角センサ診断禁止の一条件とすることで、回転角センサ診断手段13eはエンジン停止中の誤診断を未然に回避する。
図20は、実施形態2による回転角センサ診断のタイムチャートである。
図21は、本発明による回転角センサ診断装置におけるエンジン停止判定の具体的な実施形態3を示している。
エンジンコントロールユニット13は、吸気管内圧演算手段13fと、アクセル開度演算手段13hと、アイドル判定手段13iとを有している。吸気管内圧演算手段13fは吸気管内圧センサ29の出力電圧(吸気管内の空気圧に応じた電圧信号)に基づいて吸気管内圧を演算する。アクセル開度演算手段13hはアクセルペダルセンサ24の出力電圧(アクセル開度に応じた電圧信号)に基づいてアクセル開度を演算する。アイドル判定手段13iはアクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値以下である時にはアイドル状態と判定し、アイドル状態を示すアイドル信号を生成する。
エンジン停止判定手段13cは、吸気管内圧センサ29の出力電圧と、アクセルペダルセンサ24の出力電圧と、吸気管内圧演算手段13fによって演算された吸気管内圧を示す信号と、アクセル開度演算手段13hによって演算されたアクセル開度を示す信号と、アイドル判定手段13iによって生成されたアイドル信号を入力する。
エンジン停止判定手段13cは、吸気管内圧センサ29の出力電圧または当該出力電圧より演算した吸気管内圧が所定値以上で、且つアクセルペダルセンサ24の出力電圧または当該出力電圧より演算したアクセル開度が所定値以下である場合、もしくは吸気管内圧センサ29の出力電圧または当該出力電圧より演算した吸気管内圧が所定値以上で、且つアイドル状態であることを示すアイドル信号が出力されている場合のいずれかの条件が成立する場合に、エンジン停止中と判定する。
図22は、実施形態3のエンジン停止判定処理のフローチャートであり、図12のステップS6のエンジン停止判定ルーチンである。
まず、ステップS40にて、吸気管内の空気圧に応じて電圧信号を出力する吸気管内圧センサ29の出力電圧と、アクセル開度に応じて電圧信号を出力するアクセルペダルセンサ24の出力電圧をエンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS41として、実施形態2と同様に吸気管圧演算手段13fによって吸気管内圧センサ29の出力電圧より吸気管内圧Pを演算すると共に、アクセル開度演算手段13hによってアクセルペダルセンサ24の出力電圧Vaよりアクセル開度Aを演算する。
アクセルペダルセンサ24の出力電圧Vaとアクセル開度Aには下記の数式(4)に示す関係が成立するから、アクセル開度演算手段13hは、数式(4)に従い、センサ特性より定まる係数Kaと、センサの出力電圧Vaと、オフセット電圧γより、アクセル開度Aを演算する。
A = Ka×(Va−γ) …(4)
通常、スロットル弁140aはアクセルペダル24aに連動して作動するため、図19に示したスロットル開度Tと吸気管内の空気圧と吸入空気量の関係を、アクセル開度Aと吸気管内の空気圧と吸入空気量の関係に置換え、アクセル開度Aに対する吸気管内の空気圧より、エンジン3が空気を吸入しているか、つまりエンジン3が回転しているかを判断してもよい。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中の吸気管内圧センサ29の出力電圧から演算した吸気管内圧Pと、エンジン停止中のアクセルペダルセンサ24の出力電圧から演算したアクセル開度Aが、予め各々の所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS42にて、吸気管内圧センサ29の出力電圧から演算した吸気管内圧Pと所定値を比較し、吸気管内圧Pが所定値以上の場合にはステップS43に進み処理を続行する。これに対し、吸気管内圧Pが所定値未満の場合には、ステップS45に進み、エンジン回転中と判定する。
ステップS43では、アクセルペダルセンサ24の出力電圧から演算したアクセル開度Aと所定値を比較し、アクセル開度Aが所定値以下の場合には、ステップS44に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、アクセル開度Aが所定値より大きな場合には、ステップS45に進み、エンジン回転中と判定する(方法5)。
また、別の方法(方法6)では、まず、ステップS40にて、吸気管内の空気圧に応じて電圧信号を出力する吸気管内圧センサ29の出力電圧と、アクセル開度に応じて電圧信号を出力するアクセルペダルセンサ24の出力電圧をエンジンコントロールユニット13で受信する。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中の吸気管内圧センサ29の出力電圧と、エンジン停止中のアクセルペダルセンサ24の出力電圧が予め所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS42’にて、吸気管内圧センサ電圧と所定値を比較し、吸気管内圧センサ29の出力電圧が所定値以上の場合には、ステップS43’に進み、処理を続行する。これに対し、吸気管内圧センサ29の出力電圧が所定値未満の場合には、ステップS45’へ進み、エンジン回転中と判定する。
ステップS43’では、アクセルペダルセンサ24の出力電圧と所定値を比較し、アクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値以下の場合には、ステップS44’に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、アクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値より大きな場合には、ステップS45’に進み、エンジン回転中と判定する。
図23は、実施形態3の他のエンジン停止判定処理のフローチャートであり、図12のステップS6のエンジン停止判定ルーチンである。
まず、ステップS50にて、吸気管内の空気圧に応じて電圧信号を出力する吸気管内圧センサ29の出力電圧と、アクセル開度に応じて電圧信号を出力するアクセルペダルセンサ24の出力電圧をエンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS51として、実施形態2と同様に、吸気管圧演算手段13fによって吸気管内圧センサ29の出力電圧より吸気管内圧Pを演算すると共に、アイドル判定手段13iによってアクセルペダルセンサ24の出力電圧よりアイドル状態を示すアイドル信号の生成処理を行う。アイドル判定手段13iは、アクセルペダルセンサ24の出力電圧と、エンジン停止中のアクセルペダルセンサ24の出力電圧に設定した所定値とを比較し、アクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値以下である時にはアイドル状態と判定し、所定の電圧Vi(例えば1V)によるアイドル信号を出力し、これ以外の場合には、電圧ゼロを出力する。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中の吸気管内圧センサ29の出力電圧から演算した吸気管内圧Pが予め所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS52にて、吸気管内圧センサ29の出力電圧から演算した吸気管内圧Pと所定値を比較し、吸気管内圧Pが所定値以上の場合には、ステップS53に進み、処理を続行する。これに対し、吸気管内圧Pが所定値未満の場合には、ステップS55に進み、エンジン回転中と判定する。
エンジン停止判定手段13cには、アイドル信号電圧値Vi以下で、ゼロより大きな値が、予め所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS53にて、アイドル信号電圧と所定値を比較し、アイドル信号電圧が所定値以上の場合には、ステップS54に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、アイドル信号電圧が所定値未満の場合には、ステップS55に進み、エンジン回転中と判定する。
また、別の方法(方法8)では、まず、ステップS50にて、吸気管内の空気圧に応じて電圧信号を出力する吸気管内圧センサ29の出力電圧と、アクセル開度に応じて電圧信号を出力するアクセルペダルセンサ24の出力電圧をエンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS51’にて、吸気管圧演算手段13fによってアクセルペダルセンサ24の出力電圧よりアイドル状態を示すアイドル信号の生成処理を行う。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中の吸気管内圧センサ29の出力電圧が予め所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS52’にて、吸気管内圧センサ電圧と所定値を比較し、吸気管内圧センサ29の出力電圧が所定値以上の場合には、ステップS53’に進み、処理を続行する。これに対し、吸気管内圧センサ29の出力電圧が所定値未満の場合には、ステップS55’へ進み、エンジン回転中と判定する。
エンジン停止判定手段13cには、アイドル信号電圧値Vi以下で、ゼロより大きな値が、予め所定値として設定してあるため、エンジン停止判定手段13cは、ステップS53’にて、アイドル信号電圧と所定値を比較し、アイドル信号電圧が所定値以上の場合には、ステップS54’に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、アイドル信号電圧が所定値未満の場合には、ステップS55に進み、エンジン回転中と判定する。
ここで、エンジン停止判定手段13cは、方法5〜方法8のいずれかを任意に選択することが可能であり、エンジン停止判定手段13cによりエンジン停止中と判定された場合は、回転角センサ診断を禁止することを、回転角センサ診断禁止手段13dにおける回転角センサ診断禁止の一条件とすることで、回転角センサ診断手段13eはエンジン停止中の誤診断を未然に回避する。
図24は、実施形態3における回転角センサ診断のタイムチャートである。
図25は、本発明による回転角センサ診断装置におけるエンジン停止判定の具体的な実施形態4を示している。
エンジンコントロールユニット13は、ニュートラル判定手段13jと、車速演算手段13kと、フューエルカット判定手段13nとを有している。ニュートラル判定手段13jは、トランスミッションコントロールユニット400が出力するレンジ信号(変速機のギア位置を電圧値で示す信号)の電圧とNレンジまたはPレンジを示す電圧(例えば0V)を比較し、ニュートラル信号の生成を行う。車速演算手段13kは車速センサ310の出力パルスに基づいて車速を演算する。フューエルカット判定手段13nはエンジントルク不要時にフューエルカット信号(F/C信号)を生成する。
エンジン停止判定手段13cは、車速センサ310からの出力パルスと、トランスミッションコントロールユニット400より出力されるレンジ信号と、発電電力を蓄電する補機バッテリ401の電圧を示す信号と、ハイブリッドコントロールユニット320からのエンジン停止要求として出力されるフューエルカット信号(F/C信号)と、ニュートラル判定手段13jが出力するニュートラル信号と、車速演算手段13kによって演算された車速を示す信号と、フューエルカット判定手段13nが出力するフューエルカット信号を入力する。
ハイブリッドコントロールユニット320からのフューエルカット信号は、フューエルカット条件が成立する場合には所定の電圧Vf(例えば1V)の電圧信号で、条件成立以外の場合には電圧ゼロの信号である。
エンジン停止判定手段13cは、ハイブリッドコントロールユニット320あるいはフューエルカット判定手段13nから出力されるフューエルカット信号と、車速センサ310の入力パルス周期または当該入力パルス周期より演算した車速が所定の条件を満たす状態、もしくは前記フューエルカット信号と補機バッテリ401の電圧が所定の条件を満たす状態、もしくは前記フューエルカット信号とトランスミッションコントロールユニットより出力されるギア位置を示すレンジ信号が所定の条件を満たす状態、もしくは前記フューエルカット信号とニュートラル判定手段13jによるニュートラル状態を示すニュートラル信号が所定の条件を満たす状態のいずれかが成立した場合に、エンジン停止中と判定する。
図26は、実施形態4のエンジン停止判定処理のフローチャートであり、図12のステップS6のエンジン停止判定ルーチンである。
まず、ステップS60にて、ハイブリッドコントロールユニット320からのエンジン停止要求として出力されるフューエルカット信号と、車速センサ310からの出力パルスと、補機バッテリ401の電圧と、トランスミッションコントロールユニット400より出力されるレンジ信号をエンジンコントロールユニット13に受信する。
次に、ステップS61にて、エンジントルク不要時にエンジンコントロールユニット13において独自にフューエルカット信号を生成する処理をフューエルカット判定手段13nによって行う。フューエルカット判定手段13nが生成するフューエルカット信号は、ハイブリッドコントロールユニット320からのフューエルカット信号と同様に、フューエルカット条件が成立する場合には所定の電圧Vf(例えば1V)の電圧信号で、条件成立以外の場合には電圧ゼロの信号である。
次に、ステップS62にて、車速センサ310からの入力パルス周期Sptより車速SPを演算する。車速センサ310からの入力パルス周期Sptと車速SPをには下記の数式(5)に示す関係が成立するから、車速演算手段13kは、数式(5)に従い、車速センサ310からの入力パルス周期Sptと、車両特性によって定まる係数Ksより、車速SPを演算する。
SP = Ks/Spt …(5)
次に、ステップS63にて、ニュートラル判定手段13jにより、レンジ信号の電圧とNレンジまたはPレンジを示す電圧(例えば0V)を比較し、ニュートラル信号の生成処理を行う。ニュートラル判定手段13jは、ニュートラル信号として、、レンジ信号電圧がNレンジまたはPレンジを示す電圧以下の場合には所定の電圧Vn(例えば1V)を出力し、これ以外の場合には電圧ゼロを出力する。
フューエルカット時にエンジン3が停止している状態とは、フューエルカットによりエンジン3自体が回転を維持するためのトルクを発生することがないと同時に、惰性走行時の車輪313の回転が、変速機309、及び断続機307を介してエンジン3に逆伝達されることがなく、エンジン3が外部からの入力によって回転されることがない状態である。
エンジン3が外部からの入力によって回転されることがない状態とは、車両が停止しているため、車輪313が回転していない状態、あるいはギア位置がNレンジまたはPレンジが選択されていることにより、エンジン3と車軸312が切り離された状態にある状態のいずれかの状態であり、フューエルカット信号と車速SP、もしくはフューエルカット信号と車速センサからの入力パルス周期、もしくはフューエルカット信号とレンジ信号、もしくはフューエルカット信号とレンジ信号より生成されるニュートラル信号のいずれかによってエンジン停止時を判定する。
また、補機類用のバッテリ401と補機バッテリ401を充電するための発電機を備えた車両では、エンジン回転時には、エンジン3に連結された発電機によって発電が行われることにより、エンジン停止時よりも補機バッテリ401の出力電圧が高いため、フューエルカット信号とバッテリ電圧によってもエンジン停止時を判定することが可能である。
以上のことにより、ステップS64にて、エンジンコントロールユニット13とハイブリッドコントロールユニット320のいずれかのコントロールユニットにて、生成されたフューエルカット信号の電圧と、フューエルカット信号電圧値Vf以下で、ゼロより大きな値に設定した所定値を比較し、フューエルカット信号電圧が所定値以上の場合には、方法9ではステップS65に進み、方法10ではステップS66に進み、ステップ方法11ではS67に進み、方法12ではステップS68に進み、方法13ではステップS69に進み、各々処理を続行する。これに対し、フューエルカット信号電圧が所定値未満の場合には、ステップS72に進み、エンジン回転中と判定する。
エンジン停止判定手段13cは、エンジン停止判定に関して方法9から方法13のいずれかを、任意に選択することが可能である。
方法9では、停止状態の車速SPがエンジン停止判定手段13cに予め所定値が設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS65にて、車速SPと所定値を比較し、車速SPが所定値以下の場合には、ステップS70に進み、処理を続行する。これに対し、車速SPが所定値よりも高い場合には、ステップS72に進み、エンジン回転中と判定する。
方法10では、停止状態における車速センサ310からの入力パルス周期Sptがエンジン停止判定手段13cに予め所定値として設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS66にて、車速センサ310からの入力パルス周期Sptと所定値を判定し、入力パルス周期Sptが所定値以上の場合にはS70に進み、処理を続行する。これに対し、入力パルス周期Sptが所定値未満の場合はS72に進みエンジン回転中と判定する。
方法11では、エンジン停止時の補機バッテリ電圧がエンジン停止判定手段13cに予め所定値が設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS67にて、補機バッテリ電圧と所定値を比較し、補機バッテリ電圧が所定値以下の場合には、ステップS70へ進み、処理を続行する。これに対し、補機バッテリ電圧が所定値より大きな場合には、ステップS72へ進み、エンジン回転中と判定する。
方法12では、レンジ信号がNレンジまたはPレンジの時の電圧がエンジン停止判定手段13cに予め所定値として設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS68にて、レンジ信号の電圧と所定値を比較し、レンジ信号電圧が所定値以下の場合には、ステップS70へ進み、処理を続行する。これに対し、レンジ信号電圧が所定値より大きな場合には、ステップS72へ進み、エンジン回転中と判定する。
方法13では、ニュートラル信号電圧値Vnがエンジン停止判定手段13cに予め所定値が設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS69にて、ニュートラル信号電圧と所定値を比較し、ニュートラル信号が所定値以上の場合には、ステップS70へ進み、処理を続行する。これに対し、ニュートラル信号が所定値未満の場合には、ステップS72へ進み、エンジン回転中と判定する。
ステップS70では、フューエルカット信号電圧が所定値以上の状態で、且つステップS65からS69に示すいずれかの条件が成立してから所定時間経過したかをタイマにより判定する。所定時間経過済みの場合には、ステップS71へ進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、所定時間経過前の場合には、ステップS72へ進み、エンジン回転中と判定する。
このようにして、エンジン停止判定手段13cによりエンジン停止中と判定された場合には、回転角センサ診断を禁止することを、回転角センサ診断禁止手段13dにおける回転角センサ診断禁止の一条件とすることで、回転角センサ診断手段13eはエンジン停止中の誤診断を未然に回避する。
図27は、実施形態4における回転角センサ診断のタイムチャートである。
以上、実施形態4について詳述したが、フューエルカット信号の生成方法は、ソフトウエアの処理として、フューエルカット条件成立時にはデジタル信号の1を出力し、それ以外の場合にはデジタル信号のゼロを出力するようなフラグとしてもよい。また、ニュートラル信号の生成方法も、ソフトウエアの処理として、レンジ信号がNレンジまたはPレンジの場合はデジタル信号の1を出力し、それ以外の場合にはデジタル信号のゼロを出力するようなフラグとしてもよい。また、トランスミッションコントロールユニット400より送信されるレンジ信号は、ソフトウエア処理として生成されるデジタル信号であってもよい。
図28は、本発明による回転角センサ診断装置におけるエンジン停止判定の具体的な実施形態5を示している。実施形態5は、所定条件が成立した場合にエンジン3を自動的に停止するエンジン自動停止対応のものに適応する。
エンジンコントロールユニット13は、アクセル開度演算手段13hと、アイドル判定手段13iと、水温演算手段13mを有している。アクセル開度演算手段13hはアクセルペダルセンサ24の出力電圧(アクセル開度に応じた電圧信号)に基づいてアクセル開度を演算する。アイドル判定手段13iはアクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値以下である時にはアイドル状態と判定し、アイドル状態を示すアイドル信号を生成する。水温演算手段13mは、水温センサ28の電圧値を温度に変換し、エンジン冷却水温を演算する。
エンジン停止判定手段13cは、アクセルペダルセンサ24の出力電圧と、アクセル開度演算手段13hによって演算されたアクセル開度を示す信号と、アイドル判定手段13iによって生成されたアイドル信号と、発電電力を蓄電するバッテリの残量を計測するバッテリ残量検出手段317からバッテリ残量を示す信号を入力する。
バッテリ残量検出手段317はバッテリ残量容量計のことであり、バッテリ残量容量計は、バッテリ電圧と、バッテリ316と電力変換機314間で入出力される電流の積算値より、バッテリ電力積算値を求めることでバッテリ残量を演算する。
エンジン停止判定手段13cは、バッテリ残量検出手段317により計測されたバッテリ残量または水温センサ28により計測されるエンジン3の冷却水温によるエンジン3の始動要求がエンジンコントロールユニット13より出力されていない状態で、アクセルペダルセンサ24の出力電圧または当該出力電圧より演算したアクセル開度が、各々の所定値以下である場合、もしくは前記始動要求が出力されていない状態で、アイドル状態であることを示す制御信号が出力されている場合のいずれかの条件が成立した時に、エンジン停止中と判定する。
図29は、実施形態5のエンジン停止判定処理のフローチャートであり、図12のステップS6のエンジン停止判定ルーチンである。
まず、ステップS80にて、アクセル開度に応じて電圧信号を出力するアクセルペダルセンサ24の出力電圧と、バッテリ残量検出手段317からバッテリ残量を示す信号と、エンジン冷却水の水温を計測するエンジン水温センサ28の出力電圧を、エンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS81にて、実施形態3と同様に、アクセル開度演算手段13hによってアクセル開度Aを演算すると共に、アイドル判定手段13iによってアイドル状態を示すアイドル信号を生成し、水温演算手段13mによって水温センサ28の出力電圧よりエンジン冷却水温を演算する。水温センサ28の出力電圧と冷却水温には、図30に示すような電圧−温度特性があるため、水温演算手段13mは、この電圧−温度特性に基づき、予め設定してある水温変換テーブルにより水温センサ28の電圧値を温度に変換し、エンジン冷却水温を演算する。
エンジン自動停止対応車両は、通常、運転者からのエンジン始動要求がない場合には、自動でエンジン3を停止するが、走行や補機類の使用によりバッテリ電力を消費することでバッテリ残量が低下し、エンジン3を用いて発電用電動機302を駆動することで発電を行う必要が生じた場合と、エンジン3の冷却水温が低いことにより、暖機の目的でエンジン3を駆動する場合は、エンジン3の自動停止を行わない。
従って、エンジン停止判定手段13cは、バッテリ残量が発電を必要とする所定値より大きく、かつエンジン冷却水の水温が暖機を必要とする所定値より大きいときに、アクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値以下か、もしくはバッテリ残量が発電を必要とする所定値より大きく、かつエンジン冷却水の水温が暖機を必要とする所定値より大きなときに、アクセルペダルセンサ24の出力電圧から演算されるアクセル開度Aが所定値以下か、もしくはバッテリ残量が発電を必要とする所定値より大きく、かつエンジン冷却水の水温が暖機を必要とする所定値より大きなときに、アイドル判定手段13iにより生成したアイドル信号の電圧が所定値以上か、のいずれかの条件より運転者からのエンジン始動要求がなく、発電や暖機のためのエンジン始動も行われないと判断する。
エンジン停止判定手段13cには、発電を必要とするバッテリ残量の最大値が予め所定値に設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS82にて、バッテリ残量と所定値を比較し、バッテリ残量が所定値より大きな場合には、ステップS83に進み、処理を続行する。これに対し、バッテリ残量が所定値以下の場合には、ステップS88に進み、エンジン回転中と判定する。
また、エンジン停止判定手段13cには、暖機を必要とする冷却水温の最大値が予め所定値に設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS83にて、冷却水の水温と所定値を比較し、冷却水の水温が所定値より大きな場合には、方法14、15、16のいずれかに応じてステップS85、S86あるいはS87に進み、各処理を続行する。これに対し、冷却水の水温が所定値以下の場合には、ステップS88に進み、エンジン回転中と判定する。
エンジン停止判定手段13cは、方法14〜方法16のいずれかを、任意に選択することが可能である。
方法14では、エンジン停止判定手段13cにエンジン停止中のアクセルペダルセンサ24の出力電圧から演算したアクセル開度Aが予め所定値として設定されていることにより、ステップS84にて、アクセル開度Aと所定値を比較し、アクセル開度Aが所定値以下の場合には、ステップS87に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、アクセル開度Aが所定値より大きな場合には、ステップS88へ進み、エンジン回転中と判定する。
方法15では、エンジン停止判定手段13cにエンジン停止中のアクセルペダルセンサ24の出力電圧値が予め所定値として設定されていることから、ステップS85にて、アクセルペダルセンサ24の出力電圧と所定値を比較し、アクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値以下の場合はステップS87に進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、アクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値より大きな場合には、ステップS88へ進み、エンジン回転中と判定する。
方法16では、エンジン停止判定手段13cにアイドル信号電圧値Vi以下でゼロより大きな値が、予め所定値として設定設定されていることから、ステップS86にて、アイドル信号電圧と所定値を比較し、アイドル信号電圧が所定値以上の場合には、ステップS87へ進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、アイドル信号電圧が所定値未満の場合には、ステップS88へ進み、エンジン回転中と判定する。
ここで、エンジン停止判定手段13cは、エンジン停止判定手段13cによりエンジン停止中と判定された場合には、回転角センサ診断を禁止することを、回転角センサ診断禁止手段13dにおける回転角センサ診断禁止の一条件とすることで、回転角センサ診断手段13eはエンジン停止中の誤診断を未然に回避する。
図31は、実施形態5における回転角センサ診断のタイムチャートである。
なお、実施形態5でも、アイドル信号の生成は、実施形態3に示すように、ソフトウエアの処理として、アクセルペダルセンサ24の出力電圧が所定値以下である時には、アイドル状態と判定してデジタル信号の1を出力し、これ以外の場合には、デジタル信号のゼロを出力するようなフラグとしてもよい。
図32は、本発明による回転角センサ診断装置におけるエンジン停止判定の具体的な実施形態6を示している。
エンジン停止判定手段13cは、モータコントロールユニット315より、発電用電動機302の回転数及びトルクを示す信号と、車両駆動用電動機303の回転数及びトルクを示す信号を各々入力し、クラッチコントロールユニット318より断続機307の接続/切断状態を示す信号を入力する。
エンジン停止判定手段13cは、断続機307の接続/切断を示す信号と発電用電動機の回転数が所定の条件を満たす状態、もしくは断続機307の接続/切断を示す信号と発電用電動機302の回転数と車両駆動用電動機303の回転数が所定の条件を満たす状態、もしくは断続機307の接続/切断を示す信号と発電用電動機302のトルク値と車両駆動用電動機303のトルク値が所定の条件を満たす状態が一つでも成立した場合に、エンジン停止中と判定する。
発電用電動機302のトルク値Thm、車両駆動用電動機303のトルク値Tmmは、モータコントロールユニット315において、電動機の特性式と、電力変換機314より送信される電力変換機314と発電用電動機302間で入出力する電流値Ihと、電力変換機314と車両駆動用電動機303間で入出力する電流値Imから、以下の数式(6)、数式(7)の様に示すことができる。
Thm = Khc×Ih×ステップSinθ …(6)
Tmm = Kmc×Im×ステップSinθ …(7)
数式(6)のKhcは発電用電動機302の構成より定まる磁束の係数、数式(7)のKmcは車両駆動用電動機303の構成より定まる磁束の係数、ステップSinθは電流軸に対する界磁軸の遅れ(負荷角)を示す。
モータコントロールユニット315は、発電用電動機用回転センサ304、および車両駆動用電動機用回転センサ305からの入力信号より求められる発電用電動機302の回転位置と、車両駆動用電動機303の回転位置より、一定時間内に各々の回転位置がどれだけ変化するかによって、発電用電動機302の回転数Rhm、および車両駆動用電動機303の回転数Rmmを演算する。
このとき、モータコントロールユニット315は、発電用電動機用回転センサ304、および車両駆動用電動機用回転センサ305への入力電流に対する出力電流の位相遅れより負荷角θを求める。
尚、角度θが90度より大きな場合には、電流軸と界磁軸の同期が取れないため、回転を維持できずに発電用電動機302または車両駆動用電動機303は停止する。
次に、本実施形態におけるエンジン停止中判定について詳しく説明する。エンジン3は、走行のために使用するエンジントルクが不要であり、断続機307を介してエンジントルクを駆動軸308に伝達しない場合で、かつバッテリ残量の低下によりエンジン自動停止制御が禁止される等のシリーズ発電状態ではない時にはエンジン停止となる。
従って、エンジン停止判定手段13cは、断続機307に接続されたクラッチコントロールユニット318より出力される断続機状態を示す信号と、モータコントロールユニット315より出力される発電用電動機302の回転数Rhmを用いて、エンジン停止を判定することが可能である。
他の例では、エンジン停止判定手段13cは、エンジン停止を判定するために、断続機307に接続されたクラッチコントロールユニット318より出力される断続機状態を示す信号と、モータコントロールユニット315より出力される発電用電動機302の回転数Rhm、および車両駆動用電動機303の回転数Rmmを用いて、エンジン停止を判定することが可能である。
また、他の例では、エンジン停止判定手段13cは、断続機307に接続されたクラッチコントロールユニット318より出力される断続機状態を示す信号と、モータコントロールユニット315より出力される発電用電動機302のトルク値Thm、および車両駆動用電動機303の回転数Rmmを用いて、エンジン停止を判定することが可能である。
以上の処理手順について説明すると、まず、モータコントロールユニット315より出力される発電用電動機302の回転数Rhm、および駆動用電動機303の回転数Rmm、および発電用電動機302のトルク値Thm、および駆動用電動機303のトルク値Tmmを、エンジンコントロールユニット13で受信する。同様に、クラッチコントロールユニット318より出力される、断続機307の接続/切断状態を示す信号を、エンジンコントロールユニット13で受信する。
エンジン停止判定手段13cには、断続機307の接続/切断状態を示す信号が切断状態を示す時の電圧値を設定値Vcとし、エンジン停止中の発電用電動機302の回転数Rhmを設定値Rhmsとし、エンジン停止中の車両駆動用電動機303の回転数Rmmを設定値Rmmsとし、エンジン停止中の発電用電動機302のトルク値Thmを設定値Thmsとし、エンジン停止中の車両駆動用電動機303のトルク値Tmmを設定値Tmmsとして、予め所定値が設定されており、エンジン停止判定手段13cは、図33に示す組合せ表に従い、エンジン停止中を示す条件とエンジン回転中を示す条件を、少なくとも一つずつ組み合わせることにより、以下の条件1〜7をもって、エンジン停止中かエンジン回転中かを判定する。
条件1:断続機307の接続/切断状態を示す信号電圧≦Vc(切断)で、且つRhm≦Rhmsの場合は、エンジン停止中。
条件2:断続機307の接続/切断状態を示す信号電圧≦Vc(切断)で、且つRhm>設定値Rhmsの場合は、エンジン回転中。
条件3:断続機307の接続/切断状態を示す信号電圧≦Vc(切断)で、且つ|Thm|>|Thms|の場合は、エンジン回転中。
条件4:断続機307の接続/切断状態を示す信号電圧>Vc(接続)で、且つRhm≦Rhms、且つRmm≦Rmmsの場合は、エンジン停止中。
条件5:断続機307の接続/切断状態を示す信号電圧>Vc(接続)で、且つRhm>Rhms、且つRmm>Rmmsの場合は、エンジン回転中。
条件6:断続機307の接続/切断状態を示す信号電圧>Vc(接続)で、且つ|Thm|≦|Thms|、且つRmm≦Rmmsの場合は、エンジン停止中。
条件7:断続機307の接続/切断状態を示す信号電圧>Vc(接続)で、且つ|Thm|>|Thms|、且つ|Tmm|>|Tmms|の場合は、エンジン回転中。
ここで、エンジン停止判定手段13cによりエンジン停止中と判定された場合には、回転角センサ診断を禁止することを、回転角センサ診断禁止手段13dにおける回転角センサ診断禁止の一条件とすることで、回転角センサ診断手段13eはエンジン停止中の誤診断を未然に回避する。
図34は、実施形態6における回転角センサ診断のタイムチャートである。
以上、実施形態6について詳述したが、クラッチコントロールユニット318より送信される断続機307の接続/切断状態を示す信号が、ソフトウエア処理として生成されるデジタル信号であってもよい。
図35は、本発明による回転角センサ診断装置におけるエンジン停止判定の具体的な実施形態7を示している。
エンジン停止判定手段13cは、ハイブリッドコントロールユニット320からのエンジン停止要求として出力されるフューエルカット信号(F/C信号)と、フューエルカット判定手段13nが出力するフューエルカット信号(F/C信号)と、モータコントロールユニット315より発電用電動機302のトルクを示す信号と、クラッチコントロールユニット318より断続機307の接続/切断状態を示す信号を入力する。
エンジン停止判定手段13cは、ハイブリッドコントロールユニット320からフューエルカット信号あるいはフューエルカット判定手段13nが出力するフューエルカット信号と発電用電動機302のトルク値と断続機307の接続/切断状態を示す信号により、エンジン停止中を判定する。
図36は、実施形態7のエンジン停止判定処理のフローチャートであり、図12のステップS6のエンジン停止判定ルーチンである。
まず、ステップS100にて、モータコントロールユニット315より出力される発電用電動機302のトルク値Thmと、ハイブリッドコントロールユニット320より出力されるフューエルカット信号を、エンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS101にて、クラッチコントロールユニット318より出力される断続機307の接続/切断状態を示す信号を、エンジンコントロールユニット13で受信する。
次に、ステップS102にて、フューエルカット判定手段13nにより、実施形態4と同様に、エンジントルク不要時に、エンジンコントロールユニット13においる独自のフューエルカット信号の生成処理を行う。フューエルカット信号は、フューエルカット条件が成立する場合には、所定の電圧Vf(例えば1V)を出力し、条件成立以外の場合には、電圧ゼロを出力するよう生成される。
次に、ステップS103にて、エンジンコントロールユニット13あるいはハイブリッドコントロールユニット320にて、生成されたフューエルカット信号の電圧と、フューエルカット信号電圧値Vf以下でゼロより大きな値に設定した所定値とを比較し、フューエルカット信号電圧が所定値以上の場合には、ステップS104に進み、処理を続行する。これに対し、フューエルカット信号の電圧が所定値未満の場合には、ステップS108に進み、エンジン回転中と判定する。
エンジン停止判定手段13cには、断続機307の接続/切断状態を示す信号が切断状態を示す時の電圧値が予め所定値として設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS104にて、断続機307の接続/切断状態を示す信号の電圧と所定値を比較し、前記信号が所定値以下の場合には、切断状態と判断してステップS105へ進み、処理を続行する。これに対し、前記信号が所定値より大きな場合には、ステップS108へ進み、エンジン回転中と判定する。
エンジン停止判定手段13cには、エンジン停止中の発電用電動機302のトルク値ThmをThmsとして、予め所定値が設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS105にて、発電用電動機302のトルク値Thmと所定範囲Thmsを比較し、|Thm|≦Thmsの場合には、ステップS106へ、進み処理を続行する。これに対し、|Thm|>ThmステップSの場合には、ステップS108へ進み、エンジン回転中と判定する。
エンジン停止判定手段13cには、断続機307の接続/切断状態を示す信号が切断状態を示してから、エンジン停止するまでの時間が予め所定値に設定されており、エンジン停止判定手段13cは、ステップS106にて、断続機307の接続/切断状態を示す信号が切断状態を示してから所定時間経過したかをタイマにより判定し、所定時間経過済みの場合には、ステップS107へ進み、エンジン停止中と判定する。これに対し、所定時間経過前の場合には、ステップS108へ進み、エンジン回転中と判定する。
ここで、エンジン停止判定手段13cによりエンジン停止中と判定された場合には、回転角センサ診断を禁止することを、回転角センサ診断禁止手段13dにおける回転角センサ診断禁止の一条件とすることで、回転角センサ診断手段13eはエンジン停止中の誤診断を未然に回避する。
図37は、実施形態7における回転角センサ診断のタイムチャートである。
以上、実施形態7について詳述したが、フューエルカット信号の生成方法は、実施形態4でも示したように、ソフトウエアの処理として、フューエルカット条件成立時はデジタル信号の1を出力し、前記以外の場合には、デジタル信号のゼロを出力するようなフラグであってもよく、また、クラッチコントロールユニット318より送信される断続機307の接続/切断状態を示す信号が、ソフトウエア処理として生成されるデジタル信号であってもよい。
上述したように、エンジン停止中を判定することで、内燃機関の制御装置は、エンジン停止中の診断動作を禁止し、車両の振動や、磁気的または電気的ノイズが発生する場合に起こる、回転角センサ診断またはカム角センサ診断の誤診断について防止することができ、診断精度を向上することができる。
通常、故障診断において、センサ故障と判定した場合、該当するセンサの出力結果を参照する制御において、該センサの故障が他の機器の故障に繋がること等を防ぐ目的で、該制御の実行禁止や、点火時期または燃料噴射量等の制限を行うことで、車両の走行を制限する。したがって、誤診断を防止し診断精度を向上することは、エンジン自動停止を実施する内燃機関の制御装置等にとっては、従来の故障診断機能を維持しつつ、誤診断によってその後の走行に制限を受けることが防止できるため、運転者に不満感を与えることなく走行を継続することが可能であり、重要な信頼性向上となる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなく、設計において種々の変更ができるものである。
例えば、上述の実施形態では、エンジン3を4ストロークエンジンとしているが、これはディーゼルエンジンにも適用できることは明らかであり、また、回転体1、および回転体118の形状変更、並びに可変動弁機構によるカム角センサ117の信号入力タイミング変更や、エンジンコントロールユニット13とハイブリッドコントロールユニット320等のユニットを一つのユニットに統合したシステムにおいても適用できることが明らかである。