JP2008024191A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】1層構造のカーカスプライにて耐サイドカット性能を大幅に向上させ、これまでになく軽量化と耐カット性とを高度に両立させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】1枚のカーカスプライ5からなるカーカス層と、ベルト層6とを備え、カーカスプライ5が有機繊維コードと該有機繊維コードを被覆してなるコーティングゴムとからなる空気入りタイヤにおいて、有機繊維コードがポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、該ポリケトン繊維の単糸繊度が0.5〜2dtex、結晶化度が70〜95%、結晶配向度が90%以上、密度が1.25g/cm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ(以下単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、走行耐久性を損なうことなく軽量化と耐カット性を高度に両立することを実現した空気入りタイヤに関する。
近年のタイヤは、軽量化、低扁平化により、縁石や路面のホールとタイヤが挟み込まれ、サイド部のプライが切断されてしまい、最悪の場合、エア漏れ、バーストに至る場合もある、サイドカット現象によるトラブルが増加してきた。従来、かかるサイドカット現象によるトラブルを防止するために、カーカスプライを、ビードコアの周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返されて、その折返し端がベルト層とカーカスのクラウン部との間に位置する、いわゆるエンベロープ構造とすることや、2層構造とすることにより、サイド部のプライ枚数を増加させ、タイヤサイド部の破断を防ぐ方法が主に取られてきた。
また、特許文献1では、道路の縁石や悪路走行時におけるタイヤのサイドウォール部の耐カット性、オゾンクラックなどに対する耐候性を改善し、タイヤの軽量化を達成することを目的として、カーカスプライコードの繊維材質として高強度・高弾性率のヘトロ環含有芳香族ポリマー繊維を使用することが報告されている。
特開平6−305303号公報(特許請求の範囲等)
タイヤの軽量化による低転がり抵抗が望まれる昨今にあり、カーカスプライをエンベロープ構造や2層構造とすることは重量増加による転がり抵抗の増加につながり、他の方法が求められている。また、上記特許文献1に開示されたヘトロ環含有芳香族ポリマー繊維のカーカスプライへの適用により、タイヤの軽量化が可能となったが、今日ではより一層の軽量化に伴う性能向上が望まれている。
そこで本発明の目的は、タイヤサイド部において1層構造のカーカスプライにて耐サイドカット性能を大幅に向上させ、これまでになく軽量化と耐カット性とを高度に両立させた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定の物性値を満足する有機繊維コードをカーカス層に使用することにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に延在する1枚のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのクラウン部径方向外側に配置され、少なくとも1枚のベルトプライからなるベルト層とを備え、前記カーカスプライが有機繊維コードと該有機繊維コードを被覆してなるコーティングゴムとからなる空気入りタイヤにおいて、
前記有機繊維コードがポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、該ポリケトン繊維の単糸繊度が0.5〜2dtex、結晶化度が70〜95%、結晶配向度が90%以上、密度が1.25g/cm以上であることを特徴とするものである。
本発明においては、前記ポリケトン繊維において、原糸の引っ張り強度が、好ましくは10cN/dtex以上であり、また、弾性率が、好ましくは200cN/dtex以上である。また、前記ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含む前記有機繊維コードの最大熱収縮応力は、好ましくは0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率は、好ましくは1%〜5%の範囲にある。
本発明によれば、タイヤサイド部において1層構造のカーカスプライにて耐サイドカット性能を大幅に向上させ、これまでになく軽量化と耐カット性とを高度に両立させた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき具体的に説明する。
図1に、本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤの一例の概略断面図を示す。図示する本発明のタイヤ10は、トレッド部1と、その両端からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部2と、その内方端に位置する一対のビード部3とを備え、1枚のカーカスプライ5からなるカーカス層をビード部3に埋設された一対のビードコア4間にトロイド状に延在させて有する。ここで、符号8はビードフィラーである。また、タイヤ10は、カーカス層のクラウン部径方向外側に配置され、少なくとも1枚のベルトプライ(図示例では2枚)からなるベルト層6と、該ベルト層6のタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1枚(図示例では1枚)のベルト保護層7とを有する。なお、図示するタイヤにおいてはベルト保護層7が配置されているが、本実施形態ではベルト保護層7は必要に応じて適宜配置すればよく、なくともよい。
カーカスプライ5は、繊維コードと該繊維コードを被覆するコーティングゴムとからなる。すなわち、繊維に一定の撚りを加え、2〜3本撚り合せ、これを経糸として多本数引き揃え、それに細く弱い緯糸を荒く打ち込み、スダレ状とし、更にゴムとの接着を行なう為の接着剤処理を行う。しかる後、一定厚さのトッピングゴムを被覆し、ゴム被覆コードとする。
本発明においては、カーカスプライ5のコードは、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは100質量%含むことが望ましい。50質量%未満だと、タイヤとしての強度、耐熱性、ゴムとの接着性のいずれかの性能が不十分となる。
また、本発明においては、所望の効果を得る上で、かかるポリケトン繊維の単糸繊度が0.5〜2dtex、結晶化度が70〜95%、結晶配向度が90%以上、密度が1.25g/cm以上であることが肝要である。
即ち、ポリケトン繊維の単糸繊度が0.5dtex未満であると耐サイドカット性が十分ではなく、一方、2dtexを超えるとポリケトン繊維の製造が困難となる。好ましくは、1.0〜1.5dtexの範囲内である。また、結晶化度が70%未満であると繊維の構造形成が不十分であって十分な強度が得られないばかりか加熱時の収縮特性や寸法安定性も不安定となるおそれがあり、一方、95%を超えても所望の効果が得られなくなる。さらに、本発明の所望の効果を得る上で、結晶配向度が90%以上で、かつ密度が1.25g/cm以上であることを要する。
また、カーカスプライ5のコードの最大熱収縮応力は、0.1〜1.8cN/dtex、好ましくは0.4〜1.6cN/dtex、より好ましくは0.6〜1.4cN/dtexの範囲にあることが望ましい。最大熱収縮応力が0.1cN/dtex未満の場合には、耐サイドカット性を十分に向上させることができない。一方、最大熱収縮応力が1.8cN/dtexを超える場合には、タイヤ製造時の加熱によりコードが著しく収縮するため、出来上がりのタイヤ形状が悪化する懸念がある。
さらに、カーカスプライ5のコードに含まれるポリケトン繊維として、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲、好ましくは2%〜4%の範囲である。150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%未満の場合には、タイヤ製造時の加熱による引き揃え効率が著しく低下し、タイヤとしての強度が不十分となる。一方、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が5%を超える場合には、タイヤ製造時の加熱によりコードが著しく収縮するため、出来上がりのタイヤ形状が悪化する懸念がある。
さらにまた、カーカスプライ5のコードに含まれるポリケトン繊維として、引っ張り強度は、好ましくは10cN/dtex以上、より好ましくは15cN/dtex以上である。この引っ張り強度が10cN/dtex未満の場合、タイヤとしての強度が不十分となる。
さらにまた、カーカスプライ5のコードに含まれるポリケトン繊維として、弾性率は、好ましくは200cN/dtex以上、より好ましくは250cN/dtex以上である。この弾性率が200cN/dtex未満の場合、耐サイドカット性を十分に向上させることができない。
次に、カーカスプライ5のコードの、下記式(I)、
Figure 2008024191
(nは撚り数(回/10cm)、Dはトータル表示デシテックス数、ρは繊維の比重(g/cm)である)で定義される撚り係数Nが下記式(II)、
0.6 ≦ N ≦ 0.9 ・・・ (II)
を満たすことが好ましく、さらには下記式(III)、
0.7 ≦ N ≦ 0.85 ・・・ (III)
を満たすことがより好ましい。この上撚り係数が0.6未満の場合にはカーカスプライコードに要求される耐疲労性が低下し、結果としてタイヤ耐久性が低下するという問題が生じる。一方、0.9より大きい場合には撚糸の撚り戻りが大きく、作業性が著しく悪化する。
次に、本発明に使用し得る、ポリケトン繊維(以下「PK繊維」と略記する)を少なくとも50質量%以上含む繊維について詳述する。
本発明に使用し得るPK繊維以外の繊維は、ナイロン、エステル、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、ビニロン等を挙げることができる。
なお、本発明におけるPK繊維の乾熱収縮率は、オーブン中で150℃、30分の乾熱処理を行ない、熱処理前後の繊維長を、1/30(cN/dtex)の荷重をかけて計測して下式により求められる値である。
乾熱収縮率(%)=(Lb−La)/Lb×100
但し、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。また、PK繊維における引張強度および引張弾性率は、JIS−L−1013に準じて測定することにより得られる値であり、引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値である。
本発明に使用し得るカーカスプライコードは、具体的には、以下に詳述するPK繊維コードが好適である。即ち、コード1本あたりの総デシテックスが1000〜20000デシテックスであるマルチフィラメント撚りのPK繊維である。1本あたりの総デシテックスが1000〜20000デシテックスの範囲内であるコードであれば、高剛性で、かつ、有機繊維のメリットであるスチールコード対比の軽量化が達成できる。総デシテックスが1000デシテックス未満ではカーカスプライとして十分な高剛性を得ることができず、一方、20000デシテックスを超えると、プライのゲージが厚くなってしまい、タイヤ質量増加やタイヤ品質の劣化を招いてしまう。
また、かかるコードの最大熱収縮応力は、一般的なディップ処理を施した加硫前のPK繊維コードの、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する最大応力(単位:cN/dtex)である。
上記PK繊維の原料のポリケトンとしては、下記一般式(IV)、
Figure 2008024191
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH−CH−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
かかるポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基とが交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(IV)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン、ブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、アセチレン、アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセノール、6−クロロヘキセン、N−ビニルピロリドン、スルニルホスホン酸のジエチルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドンおよび塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
さらに、上記ポリケトンの重合度としては、下記式(V)、
Figure 2008024191
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度および倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)または(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載されているようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載されているような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、さらに脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩またはハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、さらに、かかる未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲内が好ましく、総延伸倍率は、好適には10倍以上とする。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留は大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
また、PK繊維コードの高い熱収縮特性を最も効果的に活用するには、加工時の処理温度や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応力を示す温度(最大熱収縮温度)と近い温度であることが望ましい。具体的には、必要に応じて行われる接着剤処理におけるRFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰り返し使用や高速回転によってタイヤ材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなることなどから、最大熱収縮温度は、好ましくは100〜250℃の範囲内、より好ましくは150〜240℃範囲内である。
本発明に係るカーカスプライコードを被覆するコーティングゴムは、種々の形状からなることができる。代表的には、被膜、シート等である。また、コーティングゴムは、既知のゴム組成物を適宜採用することができ、特に制限されるべきものではない。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
(PK繊維の調製例)
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8重量%のドープを得た。
このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5重量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
引き続き凝固糸条を濃度2重量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。
この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。
仕上剤は以下の組成のものを用いた。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(重量%比)。
得られた未延伸糸を1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目の延伸を行った後に、引き続き5段目に200℃で1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段延伸を行い、巻取機にて巻取った。未延伸糸から5段延伸糸までの全延伸倍率は17.1倍であった。
以下の実施例及び比較例では、上記製造例におけるPK繊維の熱処理条件の他、コードの撚り条件並びにディップ処理条件を常法に従い適宜調整することにより下記の表1に示すコード物性を有するPK繊維を得た。各空気入りラジアルタイヤ(サイズ:215/45ZR17)を、下記表1に示すカーカスプライコードの各種条件に従い、常法により試作した。
得られた各供試タイヤにつき、下記評価方法に従い評価を行った。
(転がり抵抗)
外径1708mmのドラム上に内圧196kPaに調整した供試タイヤを設置し、2000年度のJATMAで定める最大負荷能力を負荷させた後、80km/hで30分間予備走行させて空気圧を再調整し、200km/hの速度までドラム回転速度を上昇させた後、ドラムを惰行させ、185km/hから20km/hまでドラム回転速度が低下するまでの慣性モーメントから次式、
タイヤの転がり抵抗=ds/dt(ID/RD +It/Rt)−ドラム単体の抵抗
に従い算出した。なお、式中IDはドラムの慣性モーメント、Itはタイヤの慣性モーメント、RDはドラム半径、Rtはタイヤ半径である。
上式にて求めた50km/hのときの転がり抵抗を代表値として求め、従来例のタイヤを100として指数表示した。ここで、転がり抵抗の値が小さい方が指数として大きくなるようにしたので、指数は大きい値であるほど低燃費性が良好であることを示している。
(耐サイドカット性)
耐サイドカット性は、実車に装着した供試タイヤを特定の角鋼材(110mm×110mm×1000mm)に進入速度10km/h、進入角度25°で衝突させ、タイヤ内圧を徐々に低下させて、カットによる空気漏れが生じる内圧を測定し、従来例のタイヤを100として指数表示した。なお、指数は大きい値であるほど耐カット性が良好であることを示している。得られた結果を下記の表1に示す。
Figure 2008024191
上記表1に示す試験結果より以下のことが確かめられた。
(従来例)
原糸強度1.5cN/dtex、結晶化度50%のレーヨン繊維カーカスプライ(1層構造)の場合、耐サイドカット性は十分とはいえず、現在の低扁平化、軽量化の傾向に耐えることが困難である。
(実施例1)
単糸繊度1.2dtex、結晶化度90%、結晶配向度91%、密度1.33g/cmであり、原糸強度15cN/dtex、弾性率360cN/dtex以上のポリケトン繊維(1670dtex/2)からなるコードをカーカスプライに適用し、サイド部のカーカスプライ1枚にて、耐サイドカット性を評価した結果、2層構造のレーヨン繊維カーカスプライおよび1層のエンベロープ構造のカーカスプライ対比、良好な耐サイドカット性を確保することができた。また、軽量化による転がり抵抗の軽減にも成功した。
(実施例2)
単糸繊度0.8dtex、結晶化度90%、結晶配向度89%、密度1.30g/cmであり、原糸強度10.5cN/dtex、弾性率175cN/dtexのポリケトン繊維(1670dtex/2)からなるコードをカーカスプライに適用し、サイド部のカーカスプライ1枚にて、耐サイドカット性を評価した結果、2層構造のレーヨン繊維カーカスプライおよび1層のエンベロープ構造のカーカスプライ対比、良好な耐サイドカット性を確保することができた。また、軽量化による転がり抵抗の軽減にも成功した。
(実施例3)
単糸繊度1.2dtex、結晶化度90%、結晶配向度91%、密度1.33g/cmであり、原糸強度15cN/dtex、弾性率360cN/dtexのポリケトン繊維(1100dtex/2)からなるコードをカーカスプライに適用し、サイド部のカーカスプライ1枚にて、耐サイドカット性を評価した結果、2層構造のレーヨン繊維カーカスプライおよび1層のエンベロープ構造のカーカスプライ対比、良好な耐サイドカット性を確保することができた。また、軽量化による転がり抵抗の軽減にも成功した。
(実施例4)
単糸繊度0.8dtex、結晶化度90%、結晶配向度89%、密度1.30g/cmであり、原糸強度10.5cN/dtex、弾性率175cN/dtexのポリケトン繊維(1100dtex/2)からなるコードをカーカスプライに適用し、サイド部のカーカスプライ1枚にて、耐サイドカット性を評価した結果、2層構造のレーヨン繊維カーカスプライおよび1層のエンベロープ構造のカーカスプライ対比、良好な耐サイドカット性を確保することができた。また、軽量化による転がり抵抗の軽減にも成功した。
(比較例1)
原糸強度5.0cN/dtexを3本撚りにすることで、強度を増強したレーヨン繊維プライを(1層構造)で用いた場合、従来例よりは耐サイドカット性は上がるものの、十分とはいえず、現在の低扁平化、軽量化に耐えることが困難である。また、プライ質量増加により、転がり抵抗も増加した。
(比較例2)
原糸強度5.0cN/dtexのレーヨン繊維コード(1840dtex/2)をカーカスプライに用いて(2層構造)、サイド部のカーカスプライ枚数を2枚にして耐サイドカット性を向上させた場合、従来例よりは耐サイドカット性は上がるものの、十分とはいえず、現在の低扁平化、軽量化に耐えることが困難である。また、プライ質量増加により、転がり抵抗も増加した。
(比較例3)
原糸強度5.0cN/dtexのレーヨン繊維コード(1840dtex/3)プライを(1層のエンベロープ構造)で用いて、サイド部のプライ枚数を2枚にして耐サイドカット性を向上させた場合、従来例よりは耐サイドカット性は上がるものの、十分とはいえず、現在の低扁平化、軽量化に耐えることが困難である。また、プライ質量増加により、転がり抵抗も増加した。
(比較例4)
原糸強度7.0cN/dtexのポリエチレンテレフタレート(PET)(1670dtex/2)プライを(1層構造)で用いた場合、従来例よりは耐サイドカット性は上がるものの、十分とはいえず、現在の低扁平化、軽量化に耐えることが困難である。また、転がり抵抗は従来例対比、ほぼ大差なかった。
本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤの幅方向断面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス層
6 ベルト層
7 ベルト保護層
8 ビードフィラー
10 空気入りタイヤ

Claims (3)

  1. 一対のビードコア間にトロイド状に延在する1枚のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのクラウン部径方向外側に配置され、少なくとも1枚のベルトプライからなるベルト層とを備え、前記カーカスプライが有機繊維コードと該有機繊維コードを被覆してなるコーティングゴムとからなる空気入りタイヤにおいて、
    前記有機繊維コードがポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、該ポリケトン繊維の単糸繊度が0.5〜2dtex、結晶化度が70〜95%、結晶配向度が90%以上、密度が1.25g/cm以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ポリケトン繊維において、原糸の引っ張り強度が10cN/dtex以上で、かつ弾性率が200cN/dtex以上である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含む前記有機繊維コードの最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲にある請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
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