JP2008024124A - 車両用電源の制御装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電池ECUのCPU52aは、許容劣化量算出部53b、SOC算出部55、劣化量算出部56(56A、56B、56C、56D)、移動平均算出部57(57A、57B、57C、57D)、劣化因子制御部58、温度制御部59を含んでおり、二次電池の電圧値、電流値、温度値をサンプリングする。劣化量算出部は、所定の周期で入力された劣化因子の状態量(SOC、電圧値、電流値、温度値)に対する劣化量を算出し、移動平均算出部に入力し、移動平均値を算出する。劣化因子制御部は、各劣化因子の劣化量の移動平均値を合算して総合劣化量を得、許容劣化量算出部から得られた許容劣化量を超えているか否かを判定して、その判定結果にもとづいて、各劣化因子の状態量の使用範囲を設定する使用制限の閾値を補正する。
【選択図】図5
Description
抵抗増加=Λ・{exp(−ΔE/kT)}・S1α・S2β ・・・(1)
ここで、Λ、ΔE、k、α、βは定数である。
そして、各劣化因子としては、一般的な電池使用条件より厳しい、例えば、高温・高SOC連続使用、高温・高出力連続使用等の最悪条件を用いて、図15に示すように24万km(150kmile)走行時点の電池容量の保証をしている。
本発明は、前記課題に鑑み、電池の劣化抑制と電池の劣化因子の状態量の使用範囲の拡大という、相反する要請を満たす車両用電源の制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
請求項8に記載の本発明によれば、電池の劣化抑制と電池の劣化因子の状態量の使用範囲の拡大という、相反する要請を満たすことができる。
図1は、本実施の形態の車両用電源の制御装置を適用したハイブリッド車両の構成の概略を示す構成図である。
(ハイブリッド車両の構成)
本実施の形態におけるハイブリッド車両20は、図示するように、エンジン22と、このエンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にフライホイル28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、この動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1(走行駆動モータ)と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギア軸32aに取り付けられた減速ギア35と、この減速ギア35に接続された発電可能なモータMG2(走行駆動モータ)と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、ハイブリッド用ECUと称する)70とを備える。
モータMG1が発電機として機能するときには、キャリア34から入力されるエンジン22の動力をサンギア31側とリングギア32側にそのギア比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22の動力とサンギア31から入力されるモータMG1の動力を統合してリングギア32側に出力する。
また、モータMG2が電動機として機能するときには、その動力は減速機35を介してリングギア軸32aに伝えられる。リングギア32に出力されたエンジン22またはモータMG1の動力は、リングギア軸32aでモータMG2からの動力と合わさり、ギア機構60およびデファレンシャルギア62を介して、最終的には車両の駆動輪63a、63bに出力される。
モータECU40は、ハイブリッド用ECU70と通信回線で通信しており、ハイブリッド用ECU70からの制御信号によってモータMG1、MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1、MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用ECU70に出力する。
また、二次電池50には、劣化因子の内の1つに含まれる電池温度TB1が使用範囲の上限である使用制限の閾値の温度より高い場合に冷却する冷却ファン91が設けられている。この冷却ファン91は、外気温度そのものが高温の場合にも二次電池50の温度を下げることができるように、ハイブリッド車両20の図示しないエアコンディショナにより冷却された車室内の空気を二次電池50に当てて、二次電池50を冷却するようになっている。
次に、ハイブリッド用ECU70のハイブリッド車両20としての一般的な構成と機能を説明する。ハイブリッド用ECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用ECU70には、イグニッションスイッチ(図中IGと表示)80からのイグニッションスイッチ信号、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用ECU70には、そのほかブレーキペダル85の踏み込み量を検出する図示しないマスタシリンダの油圧センサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速Vw等が入力ポートを介して入力されている。
ハイブリッド用ECU70は、前記したように、エンジンECU24、モータECU40、電池ECU52、AUXECU98と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24、モータECU40、電池ECU52と、AUXECU98と、各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
次に、図2から図6を参照しながら電池ECU52の詳細な構成と機能を説明する。
電池ECU52は、図2に示すように電池ECU52全体を制御するCPU52aと、クロック52bと、プログラムおよび各種データを記憶するROM52cと、演算結果を記憶するフラッシュメモリ52dと、図示しないRAMと、入出力インターフェース52eと、内部バス52fとを含む。CPU52aは、入出力インターフェース52e、内部バス52fを介して温度センサ51a、電圧センサ51b、電流センサ51c、ハイブリッド用ECU70および冷却ファン91に接続されている。
請求項1の状態量取得手段は、CPU52aと入出力インターフェース52eにより構成されている。
なお、劣化量は、各因子に対して同一の単位、例えば、単位時間当たりの劣化量で表されている。また、劣化量は、例えば、電池の出力または電池の内部抵抗で評価されたものである。以下に、劣化因子毎の劣化データテーブルを説明する。
なお、SOCによる劣化データテーブルには、図3の(a)に示すように0%側の禁止領域(III)と使用可能領域との境界値S1、100%側の禁止領域(III)と使用可能領域との境界値S2、および、100%側の禁止領域(III)より低い側に設けられた制限領域(II)と通常領域(I)との境界値S3も予めROM52cに記憶されている。
ここで、禁止領域(III)は、二次電池50の設計上、電池の急速な劣化を防止して、所定の走行距離、24万km(150kmile)走行時点における所定の電池容量を保証する観点から、使用を禁止するSOCの値の領域である。
制限領域(II)は、前記24万km(150kmile)走行時点における所定の電池容量を保証できる範囲で、適宜、一時的に使用しても良い領域である。通常領域(I)は、随時使用しても良い領域である。
なお、閾値TS、使用範囲(S1〜TS)については後記する。この点、図3、図4とも同じである。
なお、電圧による劣化データテーブルには、図3の(b)に示す低電圧側の使用可能領域(II)の下限V0、高電圧側の禁止領域(III)と使用可能領域との境界値V1、低電圧側に設けられた制限領域(II)と通常領域(I)との境界値V2、および、高電圧側の禁止領域(III)より低い側に設けられた制限領域(II)と通常領域(I)との境界値V3も予めROM52cに記憶されている。
ここで、禁止領域(III)、制限領域(II)、通常領域(I)は、SOCの場合と同様の目的の定義である。
なお、電流による劣化データテーブルには、図4の(a)に示す充電側の禁止領域(III)と使用可能領域との境界値C1、放電側の禁止領域(III)と使用可能領域との境界値C2、充電側の禁止領域(III)より小さい充電電流値側に設けられた制限領域(II)と通常領域(I)との境界値C3および放電側の禁止領域(III)より小さい放電電流値側に設けられた制限領域(II)と通常領域(I)との境界値C4も予めROM52cに記憶されている。
ここで、禁止領域(III)、制限領域(II)、通常領域(I)は、SOCの場合と同様の目的の定義である。
なお、温度による劣化データテーブルには、図4の(b)に示す高温側の禁止領域(III)と使用可能領域との境界値T1および高温側の禁止領域(III)より低い側に設けられた制限領域(II)と通常領域(I)との境界値T2も予めROM52cに記憶されている。
ここで、禁止領域(III)、制限領域(II)、通常領域(I)は、SOCの場合と同様の目的の定義である。
CPU52aは、クロック52b(図2参照)により計測されるクロック信号に従った所定の周期で、例えば、100msecの周期で二次電池50の電圧値V、電流値I、温度値TB1をサンプリングする。
許容劣化量算出部53bは、現在までの二次電池50の累積走行距離における後記する単位走行距離当たりの二次電池50の許容劣化量を、予め記憶されている走行距離依存のテーブルデータにもとづいて算出し、劣化因子制御部58に入力する。
SOC算出部55は、電圧センサ51bからの電圧値Vと電流センサ51cからの電流値Iにもとづいて前記所定の周期で二次電池50のSOCを算出し、劣化量算出部56Aに入力する。
なお、電圧値、電流値にもとづくSOCの算出方法は、例えば、特開2006−71635号公報(段落[0021]、[0022]および図3参照)に記載されている。
CPU52aは、前記所定の周期で二次電池50の劣化因子の状態量であるSOC、電圧値V、電流値I、電池温度TB1を、通信回線を介してハイブリッド用ECU70に出力する。
前記移動平均値は、例えば、一次遅れフィルタ係数λを用いて、次式(2)のようにフィルタ値算出により行うものとする。
(フィルタ値)=(今回周期にサンプリングした劣化量)×λ+(前回周期に算出したフィルタ値)×(1−λ) ・・・(2)
劣化量算出部56Cは前記所定の周期でサンプリングされた電流値Iに対する劣化量を前記電流による劣化データテーブル(図4の(a)参照)にもとづいて算出し、移動平均算出部57Cに入力する。
劣化量算出部56Dは、前記所定の周期でサンプリングされた電池温度TB1に対する劣化量を前記温度による劣化データテーブル(図4の(b)参照)にもとづいて算出し、移動平均算出部57Dに入力する。
移動平均算出部57B、57C、57Dは、劣化因子、電圧、電流、温度に対する劣化量の移動平均値を移動平均算出部57Aと同様に算出する。
劣化因子制御部58は、所定の累積走行距離毎に劣化因子の状態量を読み込み、現在の累積走行距離における二次電池50の出力状態を算出し、必要に応じて許容劣化量を補正する。
次に、ハイブリッド用ECU70における本発明に係る特徴である二次電池50の劣化制御の構成と機能を説明する。
CPU72は、ROM74に記憶されたプログラムを読み出して実行する機能構成として、図6に示すように劣化因子チェック部73とハイブリッド制御部75を含んでいる。
劣化因子チェック部73は、所定の周期で、例えば、100msecの周期で各劣化因子の状態量(SOC、電圧値V、電流値I、温度値TB1)を、通信回線を介して読み込むとともに、劣化因子制御部58から入力される図3、図4で説明したところの使用制限の閾値TS、TV1、TV2、TC1、TC2、TT1と、禁止領域(III)と使用可能領域との境界値S1、S2、V0、V1、C1、C2、T1を読み込み、ハイブリッド制御部75に入力する。
また、二次電池50のそのときの各劣化因子の状態量に応じて、モータMG1またはモータMG2を発電機として機能させ、二次電池50のSOC、電圧値V、電流値Iが使用範囲内にとどまるようにモータECU40を介してインバータ41、42を制御し、そのために必要に応じて駆動輪63a、63bの駆動力として必要な要求トルクに、モータMG1の発電に必要な要求トルクを加えたトルクを出力するようにエンジンECU24を介してエンジン22の出力を制御する。
次に、二次電池50の個別の劣化因子による劣化量算出の制御の流れを説明する。
図7は、劣化量算出の制御の流れを示すフローチャートである。この制御は、電池ECU52におけるCPU52aにおいてプログラム処理として所定の周期、例えば、100msecの周期で行われる。
ステップS101では、CPU52aは、通信回線を通じてハイブリッド用ECU70からの信号をチェックし、イグニッションスイッチ(イグニッションSW)80がオン状態か否かをチェックする。
続いて、ステップS104では、移動平均算出部57A、57B、57C、57Dが、劣化量算出部56A、56B、56C、56Dで算出された個別の劣化因子の劣化量に対して、前記のように1時間分の移動平均値を算出する。
ステップS105では、移動平均算出部57A、57B、57C、57Dは、算出した個別の劣化因子の劣化量の移動平均値を劣化因子制御部58に出力する。
次に、二次電池50の個別の劣化因子による劣化量にもとづく劣化の制御のための使用制限の閾値補正の制御の流れを説明する。
図8から図10は、使用制限の閾値補正の制御の流れを示すフローチャートである。この制御は、電池ECU52のCPU52aにおいて、プログラム処理により図5に示す劣化因子制御部58の機能として、所定の周期、例えば、100msecの周期で行われる。
ステップS111では、イグニッションスイッチ(イグニッションSW)がオフからオンに変わったか否かをチェックする。オフからオンに変わった場合(Yes)は、ステップS112へ進み、そうでない場合(No)、つまり、既にオンになっていた場合は、ステップS113へ進む。
各劣化因子の制限領域(II)に対する使用制限の閾値の初期設定は、例えば、劣化因子制御部58がROM52c(図2参照)に記憶されている図3、図4に示す各劣化因子の劣化データテーブルにおける通常領域(I)と制限領域(II)との境界値を読み出してそれに等しい値を設定する。
また、IFLAGA、IFLAGBは、後記する使用制限の閾値を初期設定された閾値以外の値に補正した場合に、閾値が補正された状態か否かを判定するためのフラグである。このフラグに関連する後記するタイマTA、TBもこのフラグの初期設定のときにリセットされる。
算出された総合劣化量は、単位走行距離当たりの二次電池50の劣化量に対応している。
以下では、許容劣化量A0は累積走行距離に対して一定の値の場合の例で説明するが、これに限定されるものではない。
ステップS117では、現在の二次電池50の電流値、電圧値、温度にもとづいて二次電池50の内部抵抗、回路電圧を算出し、図11の縦軸の値に対応する二次電池の容量(出力状態)を算出する。この出力状態の算出方法は、特開2000−2758号公報等に記載された公知の方法である。
ステップS120では許容劣化量A0に比Kを乗じて許容劣化量A*とし、ステップS121では算出された許容劣化量A*をフラッシュメモリ52dに記憶する。
ここで、絶対値|1−K|が所定値以上の場合に比Kを算出して、許容劣化量A0に対して補正して新たな許容劣化量A*としたのは、ステップS117で算出した二次電池50の容量(出力状態)、つまり、劣化状態の評価にはある程度の評価誤差が見込まれるので、目標劣化ラインの出力値との差が有意の差、例えば、10%以上の差があった場合に補正するものである。従って、この所定値は、劣化状態の評価の精度に応じて設定することが望ましい。
ステップS127では、A1−(総合劣化量)の値が所定値D1以上か否かをチェックする。A1−(総合劣化量)が所定値D1以上というのは、図12に示すように現時点の総合劣化量が許容劣化量A1に対して所定値D1以上の余裕があることであり、二次電池50の目標劣化ラインに沿って劣化することを想定して一定値に決めた許容劣化量A1であることから、現時点での実際の劣化度合いは目標劣化ラインに対して余裕があることを意味する。所定値D1以上の場合(Yes)はステップS128へ進み、そうでない場合(No)はジャンプ先番号(3)に従いステップS140へ進む。
ステップS128ではIFLAGA=1、かつ、タイマTA≦t1か否かをチェックする。IFLAGA=1、かつ、タイマTA≦t1の意味は、ステップS129およびS130のところで後記する。IFLAGA=1、かつ、タイマTA≦t1の場合(Yes)はジャンプ先番号(5)に従いステップS136へ進み、そうでない場合(No)はジャンプ先番号(6)に従いステップS129へ進み。
ここで、所定の劣化因子としては、あらかじめ、A1−(総合劣化量)の値に応じて、補正の対象の劣化因子を決め、例えば、A1−(総合劣化量)の値がD1の1.2倍までの範囲では電圧、電流の劣化因子を対象とし、A1−(総合劣化量)の値がD1の1.2倍を超える場合は電圧、電流に加えてSOC、温度の劣化因子も対象とする。また、使用範囲を広くする方向に所定値だけ閾値を補正する方法は、例えば、当該の劣化因子の劣化データテーブルにもとづいて、通常領域(I)と制限領域(II)との境界値と同じ値に設定された初期閾値の場合から[A1−(総合劣化量)]/(総合劣化量)倍だけ劣化量が増えるように閾値を補正する。ただし、使用範囲を拡大する方向の閾値の最大値または最小値は、図3、図4に示す使用可能領域と禁止領域(III)の境界値までである。
図4の(a)に示す電流の劣化データテーブルを例にとると、閾値TC1はC1≦TC1≦C3の間で補正可能であり、閾値TC2はC4≦TC2≦C2の間で補正可能である。他の劣化因子の場合も同様である。
なお、所定値D2を設定して判断しているのは、総合劣化量の算出結果には評価誤差がありうるので、総合劣化量と許容劣化量A1との有意な差が生じた場合に後記する使用制限の閾値の補正をするようにしたものである。
従って、二次電池50の目標劣化ラインに沿って劣化することを想定して一定値に決めた許容劣化量A1より有意に大きい総合劣化量であるということは、現時点での実際の劣化度合いは目標劣化ラインを超えている可能性があることを意味する。
所定値D2より大きい場合(Yes)はステップS132へ進み、そうでない場合(No)はジャンプ先番号(4)に従いステップS140へ進む。
ここで、制限領域(II)に入っている当該劣化因子の内の所定の劣化因子とは、例えば、(総合劣化量)−A1の分だけ劣化量を低減するのに効果の大きい閾値の因子とし、(総合劣化量)−A1の分だけ劣化量を低減できれば、残りの劣化因子の補正はしない。従って、制限領域(II)に入っている当該劣化因子の一つだけが使用制限の閾値を補正される場合もあれば、当該劣化因子の内の複数または当該のすべての劣化因子の使用制限の閾値が使用範囲を狭める方向に補正される場合もある。ただし、使用範囲を狭める方向の補正される閾値の補正の最大は、通常領域(I)と制限領域(II)との境界値までである。
ここでは、劣化因子SOCに依存する劣化量は、例えば、高SOCで一定値とし、評価上除外して、残りの劣化因子の電流値、電圧値、温度値に対してのみのグラフとしてある。電流値、電圧値、温度値のそれぞれの時間変化を示すグラフの斜線領域は、前記制限領域(II)を示し、電流の使用制限の閾値TC1、TC2、電圧の使用制限の閾値TV1、TV2、温度の使用制限の閾値TT1をこの斜線領域の範囲で補正できる。
ステップS136では、IFLAGA=1、かつ、TA≧t1か否かをチェックする。
ステップS136においてIFLAGA=1、かつ、TA≧t1ではない場合(No)は、ステップS137へ進む。
ステップS137ではIFLAGB=1、かつ、TB≧t2か否かをチェックする。IFLAGB=1、かつ、TB≧t2の場合(Yes)はステップS138へ進み、IFLAGB=0、タイマTB=0とリセットし、補正された使用制限の閾値を初期値にリセットする。そして、ステップS140へ進む。
ステップS137においてIFLAGB=1、かつ、TB≧t2ではない場合(No)は、そのままステップS140へ進む。
ステップS140では、各劣化因子の制限領域(II)の使用制限の閾値を決定し、ハイブリッド用ECU70へ出力するとともに、電池温度の制限領域(II)の使用制限の閾値を温度制御部59に出力する。この使用制限の閾値の決定のとき、劣化因子制御部58は、補正された使用制限の閾値のある場合は、それを優先して使用制限の閾値とする。
ただし、劣化因子の状態量の使用範囲を広くするように補正されても、その後所定の時間t1以内に(総合劣化量)−A1>D2ならば、使用範囲を狭くするように使用制限の閾値が補正される。また、一旦使用範囲を広げる方向に使用制限の閾値を補正されると、さらに使用範囲を広げる閾値補正は所定の時間t1を超えるまで受け付けない制御となっている。
さらに、ジャンプ先番号(8)に従いステップS135に進み、ステップS135において使用範囲を狭める使用制限の閾値補正を受けた場合は、時間制限による閾値のリセットを行なわずに、ステップS140へ進む。。このステップS135の場合は、制限領域の設定が、許容劣化量A1を満たすためには矛盾している可能性があるため、継続して補正された使用制限の閾値を保持するようにしたものである。
また、それに応じてハイブリッド制御部75は、エンジンECU24への要求トルクを変え、必要に応じてエンジン22を起動するように指令する(図6中のハイブリッド制御部75からの「エンジン駆動要求」に対応)。
さらに、CPU52aの温度制御部59は、温度センサ51aからの温度値TB1が閾値TT1を超えている場合は、温度値TB1が閾値TT1を下回るように冷却ファン91を駆動制御する(図6中の「冷却ファン運転要求」に対応)。
この制御は、イグニッションスイッチがオフされたとき、終了する。
ちなみに、従来技術における各劣化因子の状態量の制御は、図13の例では電流値に対しては境界値C3、C4、電圧値に対してはV2、V3、温度値に対してはT2が対応し、二次電池50の運用中常に一定である。
逆に、目標劣化ラインよりも劣化の進み具合に余裕のある場合には、24万km(150kmile)走行時点での二次電池50の出力保証値を大きく上回る余裕を生じさせるよりも、実際の走行性能を向上させるほうに余裕を回ことができる。
また、ステップS133、S135において使用制限の閾値を制限領域(II)の範囲で補正することとしたがそれに限定されるものではない。使用制限の閾値を通常領域(I)と制限領域(II)の境界値まで設定しても、総合劣化量の許容劣化量A1を上回る超過量を解消できない場合は、通常領域(I)よりも使用範囲が狭くなるように設定するものとしても良い。
なお、この模式図では電流は充放電とも同じ劣化特性として電流値の絶対値で劣化量を表している。
本実施の形態では、二次電池50をニッケル水素電池としたがそれに限定されるものでは無い。次に本実施の形態の変形例を説明する。本変形例では、二次電池50はニッケル水素電池の代わりにリチウムイオン電池であり、車両の走行中における個別の劣化因子の状態量による劣化量の算出、その劣化因子の状態量の使用範囲を設定する使用制限の閾値補正の制御、および二次電池50の劣化制御は前記の実施の形態と同じであり、説明は省略する。本変形例で新たに追加される放置中の劣化量評価および劣化制御についてのみ説明する。
そのため、本変形例においては、CPU52aは図5に破線枠で示すようにROM52cに記憶されたプログラムを読み出して実行する機能構成として、さらに破線枠で示す劣化量算出部56Eを含む構成である。劣化量算出部56Eは、ハイブリッド車両20が停止中の二次電池50の劣化量を算出する機能部分であり、二次電池50の温度検出、SOC検出、放置経過時間算出を行い、放置中の劣化量(以下、放置劣化量と称する)を算出する。そして、算出した結果を劣化因子制御部58に出力する。また、ROM52cには、放置中の二次電池50の温度およびSOCをパラメータとした単位時間当たりの、例えば、30分当りの放置劣化量データテーブルが記憶されている。
そして、次に前回と今回(30分後)に検出した温度およびSOCにもとづいて、その間の30分間の平均の温度およびSOCを算出する。次いで、劣化量算出部56Eは前記放置劣化量データテーブルにもとづいて、30分間の放置劣化量を算出し、劣化因子制御部58に出力する。
劣化因子制御部58は、30分間の放置劣化量が予め設定された放置劣化許容値を越えている場合は、超えている量に応じて放置劣化量データテーブルを参照して放置許容劣化量になる閾値温度を設定し、温度制御部59を制御して冷却ファン91により閾値温度以下に二次電池50の温度を低下させる。
以上、本変形例によれば、リチウムイオン電池を二次電池50に用いたハイブリッド車両20であっても、夏場に炎天下に放置された場合に、自動的に電池ECU52が二次電池50の劣化を抑制するので、走行距離24万km(150kmile)時点で保証すべき電池容量(出力)を確保できる。
22 エンジン
24 エンジン用電子制御ユニット
26 クランクシャフト
28 フライホイル
30 動力分配統合機構
31 サンギア
32 リングギア
32a リングギア軸
33 ピニオンギア
34 キャリア
35 減速ギア
40 モータ用電子制御ユニット
41、42 インバータ
43、44 回転位置検出センサ
50 二次電池
51a 温度センサ(状態量検出手段)
51b 電圧センサ(状態量検出手段)
51c 電流センサ(状態量検出手段)
52 電池用電子制御ユニット
54 電力ライン
52a CPU(状態量取得手段)
52b クロック
52c ROM
52d フラッシュメモリ
52f 内部バス
52e 入出力インターフェース(状態量取得手段)
53a 走行距離算出部
53b 許容劣化量算出部
55 SOC算出部
56A、56B、56C、56D 劣化量算出部(劣化量算出手段)
56E 劣化量算出部
57A、57B、57C、57D 移動平均算出部
58 劣化因子制御部
59 温度制御部
60 ギア機構
62 デファレンシャルギア
63a、63b 駆動輪
70 ハイブリッド用電子制御ユニット
72 CPU
73 劣化因子チェック部
74 ROM
75 ハイブリッド制御部
76 RAM
80 イグニッションスイッチ
81 シフトレバー
82 シフトポジションセンサ
83 アクセルペダル
84 アクセルペダルポジションセンサ
85 ブレーキペダル
86 油圧センサ
88 車速センサ
91 冷却ファン
MG1、MG2 モータ
Claims (8)
- 走行駆動モータに二次電池から電力を供給して車両を走行させる車両用電源の制御装置であって、
前記二次電池を劣化させる起因となる複数の劣化因子の状態量を検出する状態量検出手段を介して前記複数の劣化因子の状態量を取得する状態量取得手段と、
車両が前記走行駆動モータを用いた走行状態において、前記各劣化因子の状態量が予め決められた所定の使用範囲内にあるか否かを判定する第1判定手段と、
前記各劣化因子の状態量に対応した劣化量を算出し、それらを積算した総合劣化量を算出する劣化量算出手段と、
前記総合劣化量が予め設定された許容劣化量を超えているか否かを判定する第2判定手段と、
前記第1判定手段と前記第2判定手段の判定結果にもとづいて、所定の劣化因子の状態量の使用範囲を定める使用制限の閾値を補正する閾値補正手段と、を備え、
前記補正された使用制限の閾値にもとづいて前記二次電池の充放電を制御することを特徴とする車両用電源の制御装置。 - 前記閾値補正手段は、前記第2判定手段によって前記総合劣化量が前記許容劣化量を超えたと判定された場合に、前記第1判定手段によって前記劣化因子の状態量が第1の所定値を超えていると判定された当該劣化因子に対して、前記使用範囲が狭くなるように前記使用制限の閾値を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用電源の制御装置。
- 前記閾値補正手段は、前記第1の所定値を超えている前記当該劣化因子に対して、その状態量の使用範囲幅の変化に対応した劣化量の減少の合算が、前記総合劣化量が前記許容劣化量を超えた超過量に対応するように前記使用制限の閾値を補正することを特徴とする請求項2に記載の車両用電源の制御装置。
- 前記閾値補正手段は、前記第2判定手段によって前記総合劣化量が前記許容劣化量を超えていないと判定された場合に、前記第1判定手段によって前記劣化因子の状態量が第2の所定値を超えていないと判定された当該劣化因子に対して、前記使用制限の閾値を使用範囲が広くなるように補正することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用電源の制御装置。
- 前記各劣化因子の状態量に対し、予め通常領域、該通常領域より外側に設けられた制限領域、さらに外側に設けられた禁止領域が設定され、
前記第1の所定値は前記制限領域と通常領域との境界値、前記第2の所定値は前記制限領域と禁止領域との境界値、であり、
前記閾値補正手段は、前記制限領域の範囲内において前記使用制限の閾値を補正することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の車両用電源の制御装置。 - さらに、前記二次電池の出力状態を検出する出力状態検出手段と、
前記許容劣化量を、前記二次電池の出力状態と車両の走行距離とにもとづいて補正する許容劣化量補正手段と、を備え、
前記第2判定手段は、前記補正された許容劣化量にもとづいて判定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用電源の制御装置。 - 前記劣化因子は、二次電池の電流、電圧、温度、充電状態量の内の少なくとも2つを含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用電源の制御装置。
- 走行駆動モータに二次電池から電力を供給して車両を走行させる車両用電源の制御装置における制御方法であって、
前記二次電池を劣化させる起因となる複数の劣化因子の状態量を検出する状態量検出手段を介して前記複数の劣化因子の状態量を取得し、
車両が前記走行駆動モータを用いた走行状態において、前記各劣化因子の状態量が予め決められた所定の使用範囲内にあるか否かを第1判定手段により判定し、
前記各劣化因子の状態量に対応した劣化量を算出し、それらを積算した総合劣化量を算出し、
前記総合劣化量が予め設定された許容劣化量を超えているか否かを第2判定手段により判定し、
前記第1判定手段と前記第2判定手段の判定結果にもとづいて、所定の劣化因子の状態量の使用範囲を定める使用制限の閾値を補正し、
前記補正された使用制限の閾値にもとづいて前記二次電池の充放電を制御することを特徴とする車両用電源の制御装置における制御方法。
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