JP2008021597A - 固体電解質形燃料電池及び燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解質形燃料電池において、燃料電池セルを劣化させることなく、燃料電池セルを短時間で効率よく加熱できるようにする。
【解決手段】燃料電池スタック10を構成している複数の燃料電池セルの燃料極に燃焼触媒を形成する。発電開始時には、燃料ガスと空気との混合ガスをバーナ53に供給して燃焼させ、その燃焼ガスを、燃料ガス導入口11から燃料電池スタック10に供給することにより、内部の燃料電池セル20を加熱させ、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度に達した時点で、燃焼ガスに空気を混合させる。すると、燃焼ガスに含まれる未燃焼燃料ガスと空気中の酸素とが燃料電池セルの燃料極に形成された燃焼触媒にて燃焼して、燃料電池セルが直接加熱され、燃料電池セルが発電可能温度にまで急上昇し、発電可能となる。そして、燃料電池セルの加熱は、燃料極側から行うので、セルの劣化も抑制できる。
【選択図】図1
【解決手段】燃料電池スタック10を構成している複数の燃料電池セルの燃料極に燃焼触媒を形成する。発電開始時には、燃料ガスと空気との混合ガスをバーナ53に供給して燃焼させ、その燃焼ガスを、燃料ガス導入口11から燃料電池スタック10に供給することにより、内部の燃料電池セル20を加熱させ、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度に達した時点で、燃焼ガスに空気を混合させる。すると、燃焼ガスに含まれる未燃焼燃料ガスと空気中の酸素とが燃料電池セルの燃料極に形成された燃焼触媒にて燃焼して、燃料電池セルが直接加熱され、燃料電池セルが発電可能温度にまで急上昇し、発電可能となる。そして、燃料電池セルの加熱は、燃料極側から行うので、セルの劣化も抑制できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体電解質体からなる燃料電池セルを備えた固体電解質形燃料電池、及びこの燃料電池を用いて発電を行う燃料電池システムに関する。
従来より、固体電解質体からなる燃料電池セル(所謂SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)を備えた固体電解質形燃料電池(固体酸化物形燃料電池とも呼ばれる)においては、燃料電池セルを所定温度以上に加熱しないと発電できないことから、燃料電池セルの周囲に電気ヒータを設けて、燃料電池セルを周囲から加熱するとか、燃料電池セルに燃料ガスや酸化剤ガスを供給する供給ラインに加熱装置を設けて、燃料電池セルへ供給するガスを加熱することにより、燃料電池セルをガスを介して加熱する、といったことが行われている。
また、こうした加熱方法では、燃料電池セルをその内部で直接加熱することができず、加熱効率が悪いことから、燃料電池セルの空気極に燃焼触媒を設け、発電開始時には、酸化剤ガスに燃料ガスを混合した混合ガスを空気極に供給することにより、その混合ガスを燃焼触媒にて燃焼させ、その燃焼により燃料電池セルを直接加熱する、といったことも提案されている(例えば、特許文献1,2等参照)。
特開2004−119298号公報
特開2004−281300号公報
しかしながら、上記提案の燃料電池システムでは、燃焼触媒が空気極に形成されていることから、燃料電池セルが、空気極を構成する多孔質電極基材に固体電解質を形成した空気極支持膜型であれば、燃料電池セルを良好に加熱することができるが、燃料電池セルが、燃料極を構成する多孔質電極基材に固体電解質体を形成した燃料極支持膜型、若しくは、固体電解質体の基材に燃料極及び前記空気極を形成した自立膜型である場合には、燃料電池セルを良好に加熱することができず、燃料電池セルを劣化させてしまうことがあった。
つまり、燃料電池セルの燃料極に供給される燃料ガスには、炭素析出を防止するために、通常、水蒸気が添加される。このため、燃料電池セルの温度が上昇すると、燃料極側で水蒸気改質が開始され、その反応は吸熱反応であるため、セルの温度が低下する。
従って、上記提案の燃料電池システムのように、空気極に設けた触媒により混合ガスを燃焼させるようにした場合、その燃焼と同時に、燃料極側で吸熱反応が起こると、空気極側と燃料極側とに温度差が生じることになる。
またこのように温度差が生じても、空気極支持膜型の燃料電池セルでは、燃料極や固体電解質体に比べて空気極の熱容量が大きく、空気極側から燃料極を加熱できるので、特に問題とはならない。
しかし、燃料極支持膜型の燃料電池セルや、自立膜型の燃料電池セルでは、燃料極や固体電解質体の熱容量が空気極に比べて大きくなるので、上記のように、空気極側での混合ガスの燃焼と同時に、燃料極側で吸熱反応が起こると、空気極側と燃料極側との間に大きな温度差が生じ、その温度差により燃料電池セルが破損することがある。
一方、燃料電池セルにおいて、空気極側での酸化剤ガスのガス流量は、通常、燃料極側での燃料ガスのガス流量の5〜10倍に設定されていることから、空気極側では、燃料極に比べて、流れるガスによって熱が奪われ易い。
このため、上記提案の燃料電池システムのように空気極側で混合ガスを燃焼させた際には、燃焼による熱が酸化剤ガスの流れによって奪われ、燃料電池セルの加熱効率が悪いという問題もある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、固体電解質形燃料電池において、燃料電池セルを劣化させることなく、燃料電池セルを短時間で効率よく加熱できるようにすることを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、燃料極に供給された燃料ガスと空気極に供給された酸化剤ガスとを固体電解質体を介して化学反応させることにより電力を発生する燃料電池セルと、該燃料電池セルの燃料極及び空気極にそれぞれ接続され、これら各電極から電力を取り出す集電体と、を備えた固体電解質形燃料電池であって、前記燃料電池セルは、燃料極となる多孔質電極基材に固体電解質体及び空気極を形成してなる燃料極支持膜型、又は、前記固体電解質体となる基材に燃料極及び空気極を形成してなる自立膜型であり、前記燃料極には、前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの混合ガスを燃焼させる燃焼触媒が設けられていることを特徴とする。
このように、本発明の固体電解質形燃料電池においては、燃料電池セルが、燃料極支持膜型又は自立膜型の燃料電池セルにて構成されており、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスを燃焼させる燃焼触媒は、燃料極側に設けられている。
このため、発電のために、燃料電池セルを発電可能温度まで上昇させる際には、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスを燃料極側に供給すればよく、この混合ガスの供給によって燃料電池セルが劣化することもない。
つまり、燃料極に供給された燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスが燃焼触媒にて燃焼した際、燃料極側では、燃料ガスに混入された水蒸気による吸熱反応も起こるが、この吸熱反応による温度低下は燃焼触媒での混合ガスの燃焼による温度上昇により相殺される。
また、空気極の熱容量は、燃料極や固体電解質体の熱容量に比べて小さいことから、燃料極側の温度が上昇すると、固体電解質体を介して伝達される熱によって空気極も速やかに温度上昇する。
このため、本発明によれば、従来のように燃料極と空気極との温度差が大きくなって、燃料電池セルが劣化するようなことはなく、燃料極に供給した混合ガスによって燃料電池セルを短時間で効率よく加熱することができるようになる。
また特に、燃料電池セルに燃料極支持膜型のものを使用するようにすれば、空気極に燃焼触媒を形成した従来のものに比べて、低コストで実現できる。
つまり、空気極に燃焼触媒を形成する際には、燃料電池セルを空気極支持膜型にすればよいが、通常、燃料極はNi、YSZ、空気極はLa,Sr,MnやLa,Sr,Co,Feのペロブスカイト型酸化物にて構成されることから、燃料電池セルを燃料極支持膜型にすれば、空気極支持膜型のものよりも材料コストを抑えることができる。
つまり、空気極に燃焼触媒を形成する際には、燃料電池セルを空気極支持膜型にすればよいが、通常、燃料極はNi、YSZ、空気極はLa,Sr,MnやLa,Sr,Co,Feのペロブスカイト型酸化物にて構成されることから、燃料電池セルを燃料極支持膜型にすれば、空気極支持膜型のものよりも材料コストを抑えることができる。
また、燃料極よりも空気極材料の方が焼成温度が低いため、空気極と固体電解質体とを同じ温度で焼成することが難しい。また、空気極材料と電解質材料は反応性が高く、空気極と固体電解質体とを同時に焼成することは困難である。従って、空気極支持膜型の燃料電池セルを製造する際には、焼成した空気極上にPVDなどの方法で固体電解質体を形成していることが多い。これに対し、燃料極支持膜型の燃料電池セルでは、基材となる燃料極と固体電解質体とを同時に焼成できるので、空気極支持膜型のものに比べて、製造コストを抑えることができる。
一方、燃料電池セルの加熱に要する時間をより短くするには、請求項2に記載のように、燃料極に加えて空気極にも燃焼触媒を設けるようにしてもよい。
つまり、燃料電池セルをこのように構成すれば、発電を開始する際、燃料極と空気極の両方に、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスを供給して、各電極側の燃焼触媒にて混合ガスを燃焼させる、といったことが可能となり、その燃焼により燃料電池セルをより短時間で発電可能温度まで上昇させることができる。
つまり、燃料電池セルをこのように構成すれば、発電を開始する際、燃料極と空気極の両方に、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスを供給して、各電極側の燃焼触媒にて混合ガスを燃焼させる、といったことが可能となり、その燃焼により燃料電池セルをより短時間で発電可能温度まで上昇させることができる。
またこの場合、燃料電池セルを、燃料極と空気極との両方から加熱することができるので、加熱によって生じる温度差をより小さくすることができ、その温度差により生じる燃料電池セルの劣化をより確実に防止することができる。
ここで、燃焼触媒は、混合ガスを燃焼させて燃料電池セルを直接加熱できればよいことから、請求項3に記載のように、対象となる電極(つまり、燃料極、又は、燃料極と空気極)の表面に触媒層として設けるようにしてもよく、或いは、請求項5に記載のように、その電極内に形成してもよい。
なお、燃焼触媒を電極の表面に形成する場合には、請求項4に記載のように、燃料電池セルとしての発電機能を妨げることのないよう、燃焼触媒を、電極の表面に網目状に形成することが望ましく、電極上に複数の集電体が分散して配置されている場合には、各集電体同士を電気的に接続するように形成することで、集電抵抗も低減できる。
また、請求項6に記載のように、燃焼触媒は、対象となる電極(燃料極、又は、燃料極と空気極)に接続される集電体として機能するよう構成してもよい。なお、このように燃焼触媒を集電体として機能させるには、例えば、上記のように電極表面に形成した燃焼触媒を集電体として利用するようにしてもよく、或いは、電極とは別体で構成される集電体に触媒を形成することで、これら両機能を有する部材を作製し、これを電極に設けるようにしてもよい。
次に、請求項7に記載の発明は、本発明(請求項1〜請求項6の何れか)の固体電解質形燃料電池を用いて発電を行う燃料電池システムに関する発明であり、この燃料電池システムには、燃料電池セルの温度を検出する温度検出手段が備えられている。
そして、この燃料電池システムでは、制御手段が、燃料電池セルにおいて燃焼触媒が形成された電極に燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスを供給することにより、その混合ガスを燃焼触媒にて燃焼させ、その後、温度検出手段による検出温度が発電可能温度になると、燃料極及び空気極にそれぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給して、通常発電に移行させる。
従って、この燃料電池システムによれば、本発明(請求項1〜請求項6)の固体電解質形燃料電池を用いて発電を開始する際、燃料電池セルを発電可能温度まで速やかに加熱して、発電を開始させることができ、起動時間が短く、使い勝手のよい燃料電池システムを実現できることになる。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明が適用された燃料電池システムの構成を模式的に表す説明図である。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10に接続された多数の配管と、これらの配管に設けられた多数の装置とから構成されている。
図1は本発明が適用された燃料電池システムの構成を模式的に表す説明図である。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10に接続された多数の配管と、これらの配管に設けられた多数の装置とから構成されている。
そこで、まず、燃料電池スタック10について説明する。
燃料電池スタック10は、図2に示すように、燃料極21と空気極22とを有する固体電解質体23からなる平板状の燃料電池セル20を、インターコネクタ30を挟んで複数積層したものであり、本発明の固体酸化物形燃料電池に相当する。
燃料電池スタック10は、図2に示すように、燃料極21と空気極22とを有する固体電解質体23からなる平板状の燃料電池セル20を、インターコネクタ30を挟んで複数積層したものであり、本発明の固体酸化物形燃料電池に相当する。
また、燃料電池セル20は、燃料極21となる多孔質基板上に、固体電解質体23を形成し、更に、固体電解質体23の上に空気極22を形成した、燃料極支持膜型のものである。
そして、本実施形態では、燃料電池セル20の燃料極21及び空気極22の表面(つまり固体電解質体23とは反対側の面)に、それぞれ、燃焼触媒24及び25を形成することで、これら各電極21、22に燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスが供給された際に、その混合ガスを燃焼触媒24、25で燃焼できるようにされている。
なお、燃焼触媒24、25は、発電時に各電極21、22への燃料ガス又は酸化剤ガスの拡散が妨げられないために、図3に示すようにメッシュ状(網目状)に形成されている。
また、燃料電池セル20には、燃料極21に積層された固体電解質体23の周囲を囲むように、金属製のセパレータ35が接合されている。そして、このセパレータ35の周囲は、金属製の燃料極フレーム37と、金属製の空気極フレーム38とで挟まれており、更に、これら各フレーム37、38の上下には、金属プレートであるインターコネクタ30が配置されている。
このため、燃料電池セル20の各電極21、22側には、セパレータ35と、燃料極フレーム37又は空気極フレーム38と、インターコネクタ30とで囲まれた燃料ガス流路28及び酸化剤ガス流路29がそれぞれ形成されることになる。
なお、燃料電池セル20の上下に配置されるインターコネクタ30間を絶縁するために、空気極フレーム38とセパレータ35との間には、セラミックス製の絶縁フレーム36が設けられている。
また、燃料電池セル20の各電極21、22は、上下のインターコネクタ30と対向することになるが、これらの間には、各電極21、22とインターコネクタ30とを電気的に接続するために、多孔質で導電性を有する集電体26、27が配置されている。
次に、燃料電池スタック10は、上記のように2枚のインターコネクタ30に挟まれた燃料電池セル20を、インターコネクタ30を共用させて、順に積層することにより作製されるが、その積層された複数の燃料電池セル20を収納する燃料電池スタック10のケースには、図1に示すように、各燃料電池セル20の燃料極21に燃料ガスを供給するための燃料ガス導入口11と、燃料極21に供給した燃料ガスを排出するための燃料ガス排出口12と、燃料電池セル20の空気極22に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス導入口13と、空気極22に供給した酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出口14とが設けられている。
そして、燃料電池スタック10内で燃料電池セル20を支持するセパレータ35、絶縁フレーム36、燃料極フレーム37、空気極フレーム38、及びインターコネクタ30には、燃料ガス導入口11、燃料ガス排出口12、酸化剤ガス導入口13、及び酸化剤ガス排出口14にそれぞれ連通したマニホールド31、32、33、34を形成する孔が穿設されており(図3参照)、燃料電池セル20の燃料ガス流路28は、マニホールド31、32を介して、燃料ガス導入口11及び燃料ガス排出口12と連通し、燃料電池セル20の酸化剤ガス流路29は、マニホールド33、34を介して、酸化剤ガス導入口13及び酸化剤ガス排出口14と連通している。
従って、本実施形態の燃料電池スタック10においては、燃料ガス導入口11から燃料ガスを供給すれば、燃料電池スタック10内の複数の燃料電池セル20の燃料極21に燃料ガスを供給でき、酸化剤ガス導入口13から酸化剤ガスを供給すれば、燃料電池スタック10内の複数の燃料電池セル20の空気極22に酸化剤ガスを供給できる。
なお、図2は、燃料電池スタック10内に積層された燃料電池セル20の断面図であり、図3は、燃料電池スタック10を図2に示すA−A線で切断して、燃料電池セル20を燃料極21側から見た状態を表す断面図である。そして、図2には、2つの燃料電池セル20を記載しているが、燃料電池スタック10内には、実際にはより多く(例えば10個)の燃料電池セル20が組み込まれる。また、図2は、各部の構成を解りやすく記載したものであるため、各部の寸法(大きさ)は実際のものとは異なる。
次に、本実施形態の燃料電池セル20の製造手順について説明する。
(1)燃料極グリーン基板の作成
酸化ニッケル(NiO)粉末60重量部と、イットリアを8モル%固溶させたジルコニア(8YSZ)粉末40重量部とを混合して成分原料とし、気孔形成材として人造黒鉛粉を30重量部加えた。
(1)燃料極グリーン基板の作成
酸化ニッケル(NiO)粉末60重量部と、イットリアを8モル%固溶させたジルコニア(8YSZ)粉末40重量部とを混合して成分原料とし、気孔形成材として人造黒鉛粉を30重量部加えた。
次に、分散剤1重量部、及び、有機溶媒としてトルエンとメチルエチルケトン(MEK)を2:3の割合で混合した溶液35重量部をそれぞれ加え、アルミナ製ポットミルを用いて24時間混合した。
その後、可塑剤としてDBPを7重量部、バインダーとしてポリビニルアルコール16重量部加えて、更に3時間混合し、スラリーとした。
そのスラリーをドクターブレード法にて、厚さ200μmのグリーンシートを得た。
そのスラリーをドクターブレード法にて、厚さ200μmのグリーンシートを得た。
このグリーンシート7枚を積層圧着し、150mm×150mmに切断して、厚さ1300μmの燃料極グリーン基板を得た。
(2)電解質層及びセリア系酸化物層(反応防止層)の形成
電解質層には8YSZ粉末を用いた。
(2)電解質層及びセリア系酸化物層(反応防止層)の形成
電解質層には8YSZ粉末を用いた。
この8YSZ粉末100重量部に、バインダーとしてポリビニルアルコール13重量部及びブチルカルビトール35重量部をそれぞれ混合して、固体電解質のスラリーを調製し、これを燃料極グリーン基板の一方の面に、厚さ25μmとなるようにスクリーン印刷した。
セリア系酸化物層(反応防止層)には、サマリアをドープしたセリア(Sm0.2Ce0.8O1.9以下SDC)を用いた。
原料粉末には、酸化サマリウム、酸化セリウムを用い、それぞれを所定量秤量し、エタノールを溶媒として湿式混合後、1400°C、6時間の条件で仮焼し、SDC粉末を得た。
原料粉末には、酸化サマリウム、酸化セリウムを用い、それぞれを所定量秤量し、エタノールを溶媒として湿式混合後、1400°C、6時間の条件で仮焼し、SDC粉末を得た。
その後、エタノール溶媒を加え湿式粉砕して、平均粒径を0.53μmのSDC粉末を得た。
このSDC粉末100重量部に、バインダーとしてポリビニルアルコール13重量部 及びブチルカルビトール35重量部をそれぞれ混合して、反応防止層スラリーを調整し、これを電解質層上に、厚さが10μm、120mm×120mmのサイズとなるようにスクリーン印刷し、燃料極基板、電解質層、反応防止層の三成分積層体の成形体を得た。
このSDC粉末100重量部に、バインダーとしてポリビニルアルコール13重量部 及びブチルカルビトール35重量部をそれぞれ混合して、反応防止層スラリーを調整し、これを電解質層上に、厚さが10μm、120mm×120mmのサイズとなるようにスクリーン印刷し、燃料極基板、電解質層、反応防止層の三成分積層体の成形体を得た。
そして、この三成分積層体の成形体は、1400°C、1時間の条件で同時焼成を行い、三成分積層体の焼結体を得た。
(3)空気極とセパレータの形成
空気極材料には、平均粒径2μmの市販のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8Ox(以下LSCFと表記)粉末と、上記SDC粉末と同様の手法により任意の粒径に調整したSDC粉末を用いた。
(3)空気極とセパレータの形成
空気極材料には、平均粒径2μmの市販のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8Ox(以下LSCFと表記)粉末と、上記SDC粉末と同様の手法により任意の粒径に調整したSDC粉末を用いた。
上記LSCF粉末とSDC粉末の混合粉100重量部に、バインダーとしてポリビニルアルコール13重量部及びブチルカルビトール35重量部をそれぞれ混合して空気極スラリーを調整し、これを上記電解質層上に100mm×100mmのサイズで、30μm厚となるように印刷した。そして、1200°C、1時間の条件で焼き付けた。
(4)燃焼触媒の形成
上述した(1)〜(3)の手順で作製した燃料極支持膜型燃料電池セル20の燃料極21と空気極22の表面に、平均粒径9μmからなる白金粉末を空気極材料と同様の手法にてペースト状に調整し、これを、図3のようなパターンにてメッシュ状にスクリーン印刷し、1000°Cで焼き付けた。
(4)燃焼触媒の形成
上述した(1)〜(3)の手順で作製した燃料極支持膜型燃料電池セル20の燃料極21と空気極22の表面に、平均粒径9μmからなる白金粉末を空気極材料と同様の手法にてペースト状に調整し、これを、図3のようなパターンにてメッシュ状にスクリーン印刷し、1000°Cで焼き付けた。
この結果、燃料極21及び空気極22の表面にメッシュ状の燃焼触媒24及び25を形成してなる本実施形態の燃料電池セル20が完成した。
次に、図1に戻り、本実施形態の燃料電池スタック10のケースには、上述した複数の燃料電池セル20の積層方向両端に位置するインターコネクタ30から電力を取り出すための正極端子15及び負極端子16が設けられており、これら各端子15、16には、燃料電池スタック10にて発電された電力を電気負荷に供給するための給電線17が接続されている。
次に、図1に戻り、本実施形態の燃料電池スタック10のケースには、上述した複数の燃料電池セル20の積層方向両端に位置するインターコネクタ30から電力を取り出すための正極端子15及び負極端子16が設けられており、これら各端子15、16には、燃料電池スタック10にて発電された電力を電気負荷に供給するための給電線17が接続されている。
そして、この給電線17のうち、負極端子16に接続された給電線には、電気負荷への給電経路を導通/遮断するための燃料電池スイッチ18が設けられている。また、燃料電池スタック10には、燃料電池セル20の温度を検出するセル温度センサ19が設けられている。
また、燃料電池スタック10の燃料ガス導入口11には、燃料電池セル20の燃料極21に燃料ガスとしての炭化水素化合物(例えばメタン)および水蒸気を供給するための燃料供給管41が接続され、酸化剤ガス導入口13には、燃料電池セル20の空気極22に酸化剤ガスとしての空気を供給するための空気供給管42が接続されている。
そして、この燃料供給管41及び空気供給管42には、それぞれ、これら各管の開度を調整して燃料電池スタック10に供給されるガスの流量を制御するための燃料供給バルブ51及び空気供給バルブ52が設けられている。
また、この2つのバルブ51、52の内、燃料供給バルブ51は、制御信号により燃料供給管41の開度を調整可能な電磁弁にて構成されており、空気供給バルブ52は、制御信号に応じて空気供給管42の開度を調整できるだけでなく、空気の通過経路を酸化剤ガス導入口13から燃料供給管41側へと切換可能な方向制御弁にて構成されている。
つまり、本実施形態では、燃料供給管41の燃料供給バルブ51よりも下流側には、空気供給バルブ52を介して空気供給管42から空気を導入するための空気導入管43が連結されており、空気供給バルブ52での空気の通過経路を切り換えることで、外部から空気供給管42に供給された空気を各燃料電池セル20の空気極22に供給するか燃料極21に供給するかを切り換えることができるようにされている。
また、燃料供給管41において、空気導入管43との連結部よりも更に下流には、燃料ガスを燃焼させるためのバーナ53が設けられており、そのバーナ53よりも更に下流には、第2の空気供給管44が連結されている。そして、この第2の空気供給管44には、その開度を調整可能な電磁弁からなる空気混合バルブ54が設けられている。
従って、燃料供給管41では、燃料供給バルブ51を介して外部から供給された燃料ガスに対して、バーナ53の上流側及び下流側でそれぞれ空気を混合させることができる。このため、例えば、バーナ53の上流側で燃料ガスと空気とを混合させて、バーナ53を点火すれば、その混合ガスをバーナ53にて燃料させ、その燃焼により高温となったガスを燃料電池スタック10に供給して、燃料電池セル20を加熱することができる。
また、例えば、バーナ53の下流側で燃料ガスと空気とを混合させ、その混合ガスを燃料電池スタック10に供給すれば、その混合ガスを、燃料電池セル20の燃料極21に形成された燃焼触媒24にて燃料させ、その燃焼により燃料電池セル20を直接加熱することができる。
なお、バーナ53は、例えば、外部から供給される別の燃料を燃焼させることにより種火を生成し、燃料供給管41の上流側から流入した燃料ガスと空気との混合ガスに引火させることにより、この混合ガスを燃焼させるものである。
次に、燃料電池スタック10の燃料ガス排出口12には、複数の燃料電池セル20の燃料極21を通過したガスを排出するための燃料排出管45が接続され、酸化剤ガス排出口14には、複数の燃料電池セル20の空気極22を通過したガスを排出するための空気排出管46が接続されている。そして、これら各排出管45、46は、各排出口12、14から排出されたガスを混合して外部に排出する共通の排気管47に連結されている。
また、この排気管47には、排気中の燃料ガス成分を燃焼させて、排気を浄化するための触媒55が設けられており、その触媒55よりも上流側には、排気の温度を検出する排気温度センサ56、及び、排気中の酸素濃度(換言すれば空気過剰率λ)を検出するための全領域空燃比センサ57が設けられている。なお、触媒55は、例えば、公知の三元触媒として構成されている。
次に、図4は、本実施形態の燃料電池システム1の制御系の構成を表すブロック図である。
図4に示すように、燃料電池システム1の制御系は、マイクロコンピュータからなる制御部60を中心に構成されている。また、この制御部60には、燃料電池スタック10からの出力(電圧や電流)をモニタする電圧測定部62および発電電力量測定部64としての測定回路が内蔵されている。
図4に示すように、燃料電池システム1の制御系は、マイクロコンピュータからなる制御部60を中心に構成されている。また、この制御部60には、燃料電池スタック10からの出力(電圧や電流)をモニタする電圧測定部62および発電電力量測定部64としての測定回路が内蔵されている。
そして、この制御部60は、使用者により操作される指令入力部61を介して、燃料電池スタック10による発電開始指令が入力されると、上述したセル温度センサ19、排気温度センサ56、全領域空燃比センサ57からの検出信号に基づいて、燃料供給バルブ51、空気供給バルブ52、空気混合バルブ54、及び、バーナ53を制御することにより、燃料電池スタック10を発電可能な状態(温度)に制御し、その後、燃料電池スイッチ18をオンして、燃料電池スタック10から電気負荷への電源供給を開始させる。
以下、このように制御部60にて実行される燃料電池制御処理について、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
図5に示すように、この燃料電池制御処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、空気供給バルブ52の空気の通過経路を空気導入管43側に切り換えると共に、空気供給バルブ52と燃料供給バルブ51とを予め設定された第1基準量だけ開くことにより、燃料供給管41に設けられたバーナ53に、燃料ガスと空気との混合ガスを供給し、続くS120にて、バーナ53を点火させる。
図5に示すように、この燃料電池制御処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、空気供給バルブ52の空気の通過経路を空気導入管43側に切り換えると共に、空気供給バルブ52と燃料供給バルブ51とを予め設定された第1基準量だけ開くことにより、燃料供給管41に設けられたバーナ53に、燃料ガスと空気との混合ガスを供給し、続くS120にて、バーナ53を点火させる。
そして、続くS130では、排気温度センサ56からの検出信号に基づき、バーナ53の点火後、排気温度が上昇しているか否かを判断する。
つまり、燃料ガスと空気との混合ガスをバーナ53に供給して、バーナ53を点火すれば、バーナ53にて混合ガスが燃焼し、その燃焼ガスが、燃料ガス導入口11から燃料電池スタック10内に流入して、各燃料電池セル20の燃料ガス流路28を通過し、燃料ガス排出口12から排出されることから、S130では、バーナ53点火後の排気温度の変化から、バーナ53にて混合ガスが正常に燃焼しているか否かを判断するのである。
つまり、燃料ガスと空気との混合ガスをバーナ53に供給して、バーナ53を点火すれば、バーナ53にて混合ガスが燃焼し、その燃焼ガスが、燃料ガス導入口11から燃料電池スタック10内に流入して、各燃料電池セル20の燃料ガス流路28を通過し、燃料ガス排出口12から排出されることから、S130では、バーナ53点火後の排気温度の変化から、バーナ53にて混合ガスが正常に燃焼しているか否かを判断するのである。
そして、S130にて、排気温度は上昇していないと判断された場合(つまりバーナ53にて混合ガスが正常に燃焼していない場合)には、S140にて、燃料供給バルブ51及び空気供給バルブ52を閉じ、バーナ53を消化して、当該燃料電池制御処理を終了する。
一方、S130にて、排気温度は正常に上昇していると判断された場合(つまりバーナ53にて混合ガスが正常に燃焼している場合)には、S150に移行して、全領域空燃比センサ57からの検出信号に基づき、バーナ53に供給された混合ガスの空燃比は予め設定された第1目標空燃比(例えば、空気過剰率λ:0.8±0.1)に制御できているか否かを判断する。
そして、S150にて、混合ガスの空燃比は第1目標空燃比に制御されていないと判断されると、S160にて、空燃比が第1目標空燃比になるように、燃料供給バルブ51又は空気供給バルブ52の開度(若しくはこれら両バルブの開度)を調整し、再度S130に移行する。
この結果、S130、S150、S160の処理は、バーナ53に供給される混合ガスの空燃比が第1目標空燃比になるまで繰り返し実行されることになる。
一方、S150にて、混合ガスの空燃比は第1目標空燃比に制御されていると判断されると、S170に移行し、セル温度センサ19からの検出信号に基づき、燃料電池セル20の温度が、燃料電池セル20の電極21、22に形成された燃焼触媒24、25にて混合ガスが燃焼可能な温度(触媒接触燃焼温度:例えば、300°C)以上であるか否かを判断する。
一方、S150にて、混合ガスの空燃比は第1目標空燃比に制御されていると判断されると、S170に移行し、セル温度センサ19からの検出信号に基づき、燃料電池セル20の温度が、燃料電池セル20の電極21、22に形成された燃焼触媒24、25にて混合ガスが燃焼可能な温度(触媒接触燃焼温度:例えば、300°C)以上であるか否かを判断する。
つまり、S170では、バーナ53からの燃焼ガスが燃料電池スタック10内を通過することによって、燃料電池セル20が、触媒接触燃焼温度まで加熱されたか否かを判断するのである。
そして、S170にて、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度に達していないと判断されると、再度このS170の判定処理を実行することにより、燃料電池セル20の温度が触媒接触燃焼温度まで上昇するのを待ち、S170にて、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度以上になったと判断されると、S180に移行して、空気混合バルブ54を開き、バーナ53を通過した燃焼ガス(詳しくはリッチ空燃比の混合ガスを燃焼させることによって生成された未燃焼燃料を含む燃焼ガス)に空気を混合させ、続くS190に移行する。
なお、S180では、燃焼ガス中に含まれる未燃焼燃料(つまり燃料ガス)を燃焼触媒(ここでは燃料極21に形成された燃焼触媒24)にて燃焼させるのに必要な量の空気が通過するように、予め設定されたデューティ比にて空気混合バルブ54を周期的に開弁させる。
そして、このようにS180にて空気混合バルブ54が開弁され、空気混合バルブ54を通過した空気が燃焼ガスに混合されると、燃料電池セル20の燃料極21に形成された燃焼触媒24にて、燃焼ガス中の未燃焼燃料(燃料ガス)と空気中の酸素とが反応して燃焼し、その燃焼により燃料電池セル20が直接加熱されて、燃料電池セル20がより急速に温度上昇することになる。
そこで、続くS190では、セル温度センサ19からの検出信号に基づき、燃料電池セル20が予め設定された変化速度以上で正常に温度上昇しているか否かを判断する。そして、S190にて、燃料電池セル20が正常に温度上昇していないと判断されると、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度にまで充分加熱されていないと判断して、S200に移行し、S200にて空気混合バルブ54を閉じた後、再度S170に移行する。
一方、S190にて、燃料電池セル20が正常に温度上昇していると判断されると、今度は、S210に移行して、セル温度センサ19からの検出信号に基づき、燃料電池セル20は、予め設定された発電可能温度(例えば、700°C)以上であるか否かを判断する。
そして、S210にて、燃料電池セル20が発電可能温度に達していないと判断されると、再度このS210の判定処理を実行することにより、燃料電池セル20の温度が発電可能温度まで上昇するのを待ち、S210にて、燃料電池セル20が発電可能温度以上になったと判断されると、S220に移行して、空気混合バルブ54を閉じ、続くS230に移行する。
S230では、燃料電池セル20による発電を開始させために、空気供給バルブ52の空気の通過経路を空気導入管43側から酸化剤ガス導入口13側に切り換え、空気供給バルブ52と燃料供給バルブ51とを予め設定された第2基準量だけ開くことにより、燃料電池スタック10に対し、酸化剤ガス導入口13から空気を供給させ、燃料ガス導入口11から燃料を供給させる。
すると、燃料電池スタック10内では、各燃料電池セル20が発電を開始することになるので、続くS240では、電圧測定部62を介して燃料電池スタック10からの出力電圧をモニタリングし、出力電圧が正常であるか否かを判定することにより、出力電圧が正常になるのを待つ。
次に、S240にて、燃料電池スタック10からの出力電圧が正常であると判断されると、S250にて、全領域空燃比センサ57からの検出信号に基づき、燃料電池スタック10に供給された空気と燃料ガスとの比(空燃比)は予め設定された第2目標空燃比(例えば、空気過剰率λ:1.0)に制御できているか否かを判断する。
そして、S250にて、空燃比は第2目標空燃比に制御されていないと判断されると、S260にて、空燃比が第2目標空燃比になるように、燃料供給バルブ51又は空気供給バルブ52の開度(若しくはこれら両バルブの開度)を調整し、再度S250に移行する。
一方、S250にて、空燃比は第2目標空燃比に制御されていると判断されると、S270に移行して、燃料電池スイッチ18を遮断状態から通電状態に切り替える。つまり、燃料電池スイッチ18は、当該燃料電池制御処理の開始時には、遮断状態に切り換えられており、上記の処理により、燃料電池スタック10が発電可能状態となって、燃料電池スタック10からの出力電圧が正常になった時点で、通電状態(つまりON状態)に切り換えられるのである。
そして、このように、燃料電池スイッチ18がONされ、燃料電池スタック10に電気負荷が接続されると、S280に移行し、電気負荷での電力消費量に応じて、燃料供給バルブ51及び空気供給バルブ52の開度を制御する発電制御処理を実行する。
なお、この発電制御処理は、発電電力量測定部64にて測定した発電電力量(つまり電気負荷側での電力消費量)に基づき、燃料電池スタック10での発電に必要な燃料量を算出し、燃料供給バルブ51からの燃料供給量がこの算出結果と一致するよう、燃料供給バルブ51の開度を制御すると共に、全領域空燃比センサ57からの検出信号に基づき、燃料電池スタック10に供給された空気と燃料ガスとの比(空燃比)が空気過剰率λ:1の目標空燃比となるように、空気供給バルブ52の開度を制御する、といった手順で実行される。
また、この発電制御処理の実行中に、指令入力部61から発電停止指令が入力されると、制御部60は、燃料供給バルブ51及び空気供給バルブ52を閉じて、燃料電池スイッチ18を遮断状態に切り換える。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム1においては、燃料電池スタック10を構成している複数の燃料電池セル20の燃料極21と空気極22とに、それぞれ、燃焼触媒24、25が形成されている。
そして、この燃料電池スタック10を使用する際には、まず、燃料ガスと空気との混合ガスをバーナ53に供給して燃焼させ、その燃焼ガスを、燃料ガス導入口11から燃料電池スタック10に供給することにより、内部の燃料電池セル20を加熱させ、その後、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度に達した時点で、燃焼ガスに空気を混合させる。
また、この燃焼ガスは、空燃比リッチの混合ガスを燃焼させたものであり、未燃焼燃料が含まれていることから、燃料ガス導入口11から燃料電池スタック10内に供給されると、燃料電池セル20の燃料ガス流路28を通過する際に、燃焼触媒24にて、未燃焼燃料と空気中の酸素とが反応して燃焼し、その燃焼により燃料電池セル20が直接加熱されて、その温度が急上昇する。
従って、本実施形態の燃料電池システムによれば、燃料電池スタック10による発電の開始指令を受けてから、実際に発電を開始するのに要する、燃料電池セル20の加熱時間を、従来システムに比べて、短くすることができる。
また、本実施形態では、燃料電池スタック10を、空気極22や固体電解質体23に比べて燃料極21の熱容量が大きい燃料極支持膜型の燃料電池セル20にて構成し、しかも、発電のために燃料電池セル20を温度上昇させる際には、この燃料電池セル20の燃料極21側にバーナ53からの燃焼ガス(未燃焼燃料を含む)と空気との混合ガスを供給して、燃料電池セル20を燃料極21側から加熱するようにしている。
このため、例えば、燃料電池セル20の空気極22側にバーナ53からの燃焼ガス(未燃焼燃料を含む)と空気との混合ガスを供給して、燃料電池セル20を空気極22側から加熱するようにした場合に比べて、燃料電池セル20に熱応力を発生させることなく、効率よく加熱することができる。
なお、本実施形態においては、セル温度センサ19が、本発明の温度検出手段に相当し、マイクロコンピュータにて構成された制御部60が、本発明の制御手段に相当する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にで、種々の態様をとることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にで、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、燃料電池スタック10において、燃料電池セル20には、燃料極21と空気極22の両方に燃焼触媒24、25が形成されているものとして説明したが、上記実施形態の燃料電池システム1では、燃料電池セル20を加熱する際、燃料電池セル20の燃料極21側にだけ、未燃焼燃料を含む燃焼ガスと空気との混合ガスを供給するようにしているので、空気極22に燃焼触媒25が形成されていない燃料電池セルを用いても、上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態のように、燃料極21と空気極22の両方に燃焼触媒24、25が形成された燃料電池セル20からなる燃料電池スタック10を用いる場合、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度に達した際には、燃料ガス導入口11及び酸化剤ガス導入口13の両方から、燃料ガスに空気を混合させた混合ガス(若しくは上記実施形態のように未燃焼燃料を含む燃焼ガスに空気を混合させた混合ガス)を供給して、その混合ガスを、燃料電池セル20の燃料極21側燃焼触媒24と空気極22側燃焼触媒25との両方で燃焼させ、燃料電池セル20を各電極21、22側から同時に加熱するようにしてもよい。そしてこのようにすれば、燃料電池セル20をより早く発電可能温度まで上昇させることができ、燃料電池スタック10による発電開始をより速めることができる。
また次に、上記実施形態では、燃料電池セル20の電極表面(燃料極21、空気極22の表面)に、燃焼触媒24、25を形成するものとして説明したが、燃焼触媒は、その電極内に形成するようにしてもよい。
なお、このように電極(燃料極21、空気極22)内に燃焼触媒を形成するには、例えば、上述した(4)の工程に変えて、上述した(1)〜(3)の工程にて作製した燃料電池セル20の燃料極21と空気極22に対し、塩化白金酸水溶液をエタノールで希釈し白金濃度を5g/Lとしたものを滴下塗布して乾燥させる工程を、2回繰り返し行うことで、各電極21、22に白金を担持させるようにすればよい。
また、上記実施形態のように、燃料電池セル20の電極表面(燃料極21、空気極22の表面)に、燃焼触媒24、25を形成する場合、この燃焼触媒24,25を集電体として機能させてもよく、或いは、上記実施形態の集電体26、27に燃焼触媒を形成することで、燃焼触媒と集電体との機能を有する部材(図示せず)を作製し、これを燃料電池セル20の電極(燃料極21、空気極22)とインターコネクタ30との間に設けるようにしてもよい。
そして、このように各集電体26、27に燃焼触媒を形成することで、燃焼触媒と集電体との機能を有する部材(図示せず)を作製する際には、次のようにすればよい。
つまり、例えば、燃料極21とインターコネクタ30との間に設けられる集電体26は、ニッケルフェルト等にて構成され、空気極22とインターコネクタ30との間に設けられる集電体27は、LSCFの導電性セラミック多孔体や金属フェルト等にて構成されるが、これら各集電体26、27に燃焼触媒を形成する際には、上記各電極21、22に白金を担持させるのと同様の手順で、塩化白金酸水溶液をエタノールで希釈し白金濃度を5g/Lとしたものを滴下塗布して乾燥させる工程を、2回繰り返し行い、各集電体26、27に白金を担持させればよい。
つまり、例えば、燃料極21とインターコネクタ30との間に設けられる集電体26は、ニッケルフェルト等にて構成され、空気極22とインターコネクタ30との間に設けられる集電体27は、LSCFの導電性セラミック多孔体や金属フェルト等にて構成されるが、これら各集電体26、27に燃焼触媒を形成する際には、上記各電極21、22に白金を担持させるのと同様の手順で、塩化白金酸水溶液をエタノールで希釈し白金濃度を5g/Lとしたものを滴下塗布して乾燥させる工程を、2回繰り返し行い、各集電体26、27に白金を担持させればよい。
また、例えば、ニッケルフェルトからなる集電体26(燃料極21側)に燃焼触媒を形成する際には、平均粒径9μmからなる白金粉末を1g、フェルト内にまぶし、LSCFの導電性セラミックからなる集電体27(空気極22側)に燃焼触媒を形成する際には、平均粒径9μmからなる白金粉末を1g、LSCF粉末と混合して、1200°Cで焼成するようにしてもよい。
なお、燃焼触媒の材料としては、上述した白金(Pt)に限らず、Pd、Rh、Ir、Au、Ag、Re等の他の貴金属系触媒を使用することができる。また、燃料電池セル20は、燃料極支持膜型に限らず、自立膜型のものであっても、上記と同様に燃焼触媒を形成することで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
一方、上記実施形態では、燃料極21に形成された燃焼触媒24にて燃料ガスと空気を供給して触媒燃焼させる前に、バーナ53にて混合ガスを燃焼させた高温の燃焼ガスを燃料電池スタック10に供給することで、燃料電池セル20を、燃焼触媒24が混合ガスを燃焼させることのできる温度(触媒接触燃焼温度)まで加熱するようにしているが、これは、燃料電池スタック10が発電を停止しているときに、燃料電池セル20の温度が触媒接触燃焼温度よりも低下することを想定しているためであり、燃料電池セル20が触媒接触燃焼温度よりも低下することのない使用条件下で使用される場合には、このような予備加熱は不要である。
また、このような予備加熱を行う場合には、必ずしも上記実施形態のようなバーナ53を使用する必要はなく、燃料電池スタック10の周囲に設けた電気ヒータにて燃料電池セル20を加熱するようにしてもよい。
また次に、上記実施形態では、燃料電池スイッチ18を導通状態(ON状態)にして、燃料電池スタック10から電気負荷への給電を開始した後は、発電制御処理により、燃料電池スタック10に供給する燃料ガスや空気の量を、電気負荷の消費電力量や排気中の酸素濃度に応じて制御するものとして説明したが、発電開始後、燃料電池セル20が発生するジュール熱では温度維持が困難な場合や、負荷変動により燃料電池セル20を加熱する必要がある場合には、空気混合バルブ54を一時的に開いて、燃料極21に空気を供給し、燃焼触媒24にて接触燃焼を行い、更に、その空気量を調整することで、燃料電池セル20を、発電に適した目標温度に制御するようにしてもよい。
1…燃料電池システム、10…燃料電池スタック、11…燃料ガス導入口、12…燃料ガス排出口、13…酸化剤ガス導入口、14…酸化剤ガス排出口、15…正極端子、16…負極端子、17…給電線、18…燃料電池スイッチ、19…セル温度センサ、20…燃料電池セル、21…燃料極(電極)、22…空気極(電極)、23…固体電解質体、24,25…燃焼触媒、26,27…集電体、28…燃料ガス流路、29…酸化剤ガス流路、30…インターコネクタ、31〜34…マニホールド、35…セパレータ、36…絶縁フレーム、37…燃料極フレーム、38…空気極フレーム、41…燃料供給管、42…空気供給管、43…空気導入管、44…第2の空気供給管、45…燃料排出管、46…空気排出管、47…排気管、51…燃料供給バルブ、52…空気供給バルブ、53…バーナ、54…空気混合バルブ、55…触媒(三元触媒)、56…排気温度センサ、57…全領域空燃比センサ、60…制御部、61…指令入力部、62…電圧測定部、64…発電電力量測定部。
Claims (7)
- 燃料極に供給された燃料ガスと空気極に供給された酸化剤ガスとを固体電解質体を介して化学反応させることにより電力を発生する燃料電池セルと、
該燃料電池セルの燃料極及び空気極にそれぞれ接続され、これら各電極から電力を取り出す集電体と、
を備えた固体電解質形燃料電池であって、
前記燃料電池セルは、燃料極となる多孔質電極基材に固体電解質体及び空気極を形成してなる燃料極支持膜型、又は、前記固体電解質体となる基材に燃料極及び空気極を形成してなる自立膜型であり、
前記燃料極には、前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの混合ガスを燃焼させる燃焼触媒が設けられていることを特徴とする固体電解質形燃料電池。 - 前記燃料極に加えて前記空気極にも前記燃焼触媒が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質形燃料電池。
- 前記燃焼触媒は、設置対象となる電極の表面に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解質形燃料電池。
- 前記燃焼触媒は、設置対象となる電極の表面に網目状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の固体電解質形燃料電池。
- 前記燃焼触媒は、設置対象となる電極内に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解質形燃料電池。
- 前記燃焼触媒は、設置対象となる電極に接続される集電体として機能することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の固体電解質形燃料電池。
- 請求項1〜請求項6の何れかに記載の固体電解質形燃料電池と、
該固体電解質形燃料電池の燃料電池セルの温度を検出する温度検出手段と、
前記固体電解質形燃料電池において前記燃焼触媒が形成された電極に燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスを供給し、その後、前記温度検出手段による検出温度が発電可能温度になると、前記燃料極及び前記空気極にそれぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給して、通常発電に移行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2006
- 2006-07-14 JP JP2006194246A patent/JP2008021597A/ja active Pending
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