JP2007103031A - 固体電解質型燃料電池スタック、固体電解質型燃料電池モジュール、及び固体電解質型燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池スタック1では、第1燃料電池セル17と第2燃料電池セル19の間に、両燃料電池セル17、19を分離する様にセラミック製インターコネクタ21が配置され、それらが積層方向に一体となる様に接合されている。インターコネクタ21は、隔壁35と第1セパレータ37と第2セパレータ39を備える。隔壁35は上板部41と下板部43の間にヒータ45を配置したものである。つまり、ヒータ45は、隔壁35の内部にて隔壁35の長手方向(即ち燃料ガス流路)に沿って伸びる様に配置されている。
【選択図】図2
Description
このSOFCは、例えば板状の固体電解質体の各面に燃料極と空気極とを備えた燃料電池セルを、多数積層してスタックを形成し、燃料極に燃料ガスを供給するとともに、空気極に空気を供給し、燃料及び空気中の酸素を固体電解質体を介して化学反応させることによって電力を発生させるものである。
そのため、SOFCシステムの起動時には、例えばスタックの周囲に配置したヒータを用いて加熱するために大量の電力を必要としたり、スタックを周囲から加熱するために多くの加熱ガスが必要であり、しかも、通常は、その加熱に5時間以上かかるという問題があった。
従って、ヒータを、スタック内部において加熱に最適な箇所、即ち燃料電池セルに近接した箇所に配置できる。また、ヒータの形成は、インターコネクタの形成時に行うことができるので、その製造が容易である。
(3)請求項3の発明は、前記インターコネクタの内部(例えば隔壁の内部)に、前記ヒータを備えたことを特徴とする。
従って、ヒータを備えたスタックを、少ない電力で速やかに加熱して発電可能な状態にすることが可能である。よって、例えばこのスタックから排出される高温の燃料排ガスを利用して他のスタックを加熱することができる。また、他のスタックにもヒータを備えている場合には、このスタックによって発電された電力を他のヒータに供給して、他のスタックを加熱することができる。
本発明では、燃料ガスの供給を各スタック独立して調整可能である。従って、例えばヒータにより加熱されたスタックから排出される燃料排ガスを、他のスタックに供給して加熱するように調節することができる。
(8)請求項8の発明は、前記複数の固体電解質型燃料電池スタックを、1つの断熱容器内に配置したことを特徴とする。
・燃料極の材料としては、例えば、Ni及びFe等の金属と、Sc、Y等の希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のZrO2系セラミック、CeO2系セラミック及び酸化マンガン等のセラミックのうちの少なくとも1種との混合物などが挙げられる。また、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni及びFe等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。更に、これらの金属及び/又は合金と、上記セラミックの各々の少なくとも1種との混合物(サーメットを含む)が挙げられる。また、Ni及びFe等の金属の酸化物と、上記セラミックの各々の少なくとも1種との混合物などが挙げられる。
・SOFCスタック等を用いて発電させる場合、燃料極側には燃料ガスを導入し、空気極側には支燃性ガスを導入する。燃料ガスとしては、水素、還元剤となる炭化水素、水素と炭化水素との混合ガス、及びこれらのガスを所定温度の水中を通過させ加湿した燃料ガス、これらのガスに水蒸気を混合させた燃料ガス等が挙げられる。炭化水素は特に限定されず、例えば、天然ガス、ナフサ、石炭ガス化ガス等が挙げられる。この燃料ガスとしては水素が好ましい。これらの燃料ガスは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、50体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスを含有していてもよい。
図1に示す様に、燃料電池スタック1は、直方体形状であり、長尺の長方形で板状(短冊状)の燃料電池セル3等を、その厚み方向に多数積層したものである。
燃料電池スタック1の製造方法は、以下に述べる様に、未焼成燃料電池セル用積層シート作製工程、未焼成セラミックインターコネクタ用積層シート作製工程、未焼成ユニットセル用複合シート作製工程、複合体形成工程、圧着体形成工程、未焼成燃料電池スタック作製工程、及び燃料電池スタック作製工程、を備える。
(A)未焼成燃料電池セル用積層シートの作製
a)未焼成固体電解質シートの形成
固体電解質として8YSZ(8モル%のY2O3により安定化されたZrO2)粉末100質量部(以下、「部」という。)、アルミナ粉末1部、有機バインダとしてポリビニルアルコール、及び有機溶媒としてブチルカルビトールを混合し、未焼成固体電解質シート用スラリーを調製した。その後、このスラリーを用いてドクターブレード法によりポリエステルフィルムの表面に、各々110mm×100mm×150μm(厚さ)の寸法の未焼成固体電解質シート71を形成した(図6参照)。
酸化ニッケル(NiO)粉末80部、上記8YSZ粉末20部、分散剤としてジエチルアミン、及び有機溶媒としてトルエンとメチルエチルケトン、を混合し、その後、可塑剤としてジブチルフタレート、有機バインダとしてポリビニルアルコールを更に配合し、混合して未焼成燃料極用スラリーを調製した。次いで、このスラリーを、上記a)において形成した未焼成固体電解質シート71のそれぞれの一面にスクリーン印刷し、12mm×90mm×10μm(厚さ)の寸法の未焼成燃料極用帯状シート73を各々5本並行に形成した。尚、それぞれの帯状の未焼成シートの間隔は6mmとした。
平均粒径2μmの市販のLa0.6Sr0.4(Co0.2Fe0.8)O3(以下、「LSCF」と表記する。)粉末100部に、バインダとしてポリビニルアルコール13部及び有機溶媒としてブチルカルビトール35部を混合して未焼成空気極用スラリーを調製した。その後、このスラリーを、上記a)において形成した未焼成固体電解質シート71の他面にスクリーン印刷し、12mm×90mm×10μm(厚さ)の寸法の未焼成空気極用帯状シート75を各々5本並行に形成した。
(B)未焼成セラミックインターコネクタ用積層シートの作製
a)未焼成積層シートの形成
アルミナ粉末100部、上記8YSZ粉末20部、マグネシア粉末2部及びシリカ粉末2部を混合し、ボールミルにより10時間湿式粉砕し、その後、脱水し、乾燥した。次いで、この混合粉末と、有機バインダとしてメタクリル酸イソブチルエステル及びニトロセルロース、並びに可塑剤としてジオクチルフタレート、更に有機溶媒としてトリクロールエチレン及びn−ブタノールを配合し、ボールミルにより混合して未焼成インターコネクタ用スラリーを調製した。このスラリーを減圧脱泡させ、その後、流延させてシートとし、次いで、有機溶媒を揮発させ、110mm×100mm×50μm(厚さ)の寸法の1対の未焼成セラミックシート79、81(図7参照)を形成した。
具体的には、白金スポンジ75重量部、白金ブラック20重量部、アルミナ5重量部の合計100重量部に対して、有機バインダーとしてニトロセルロース、溶媒としてn−ブタノールを加え、スクリーン印刷用に粘度を適切に調整した導電ペーストを作成し、この導電ペーストを用いてスクリーン印刷してヒータパターン83を形成した。つまり、同図の左右方向に、後に形成される各インターコネクタ21に対応する様に、5列のヒータパターン83を形成した。
上記のようにして形成された未焼成積層シート、即ち、未焼成セラミックシート85と未焼成第1及び第2セラミック開口シート87、89とが重なっている部分の所定箇所に、パンチングにより表面における開口径が500μmの(電池ビア導体部用の)ビアホール60を穿設した。その後、導電粉末として80質量%の白金粉末を含有する導体ペーストを、穴埋め印刷によりビアホール60内に充填した。次いで、120℃で30分間乾燥してペーストに含有される有機溶媒を除去することで、未焼成電池ビア導体部91を形成した。
(C)未焼成ユニットセル用複合シートの作製
3個の未焼成燃料電池用積層シート77と、2個の未焼成セラミックインターコネクタ用積層シート95とを交互に積層した。
(D)複合体の形成
上記(C)で作製した30個の未焼成ユニットセル用複合シートを積層し、仮圧着して複合体とした。各々の未焼成ユニットセル用複合シートは、それぞれ3層の未焼成燃料電池セル用積層シート77を有するため、この複合体は、合計90層の未焼成燃料電池セル用積層シート77を備えることになる。
(E)圧着体形成工程
上記(D)で形成した複合体を、シリコンゴム製の型枠内に配置し、その後、85℃に昇温させ、減圧下、積層方向に98MPaの圧力で圧着し、直方体形状の圧着体97を形成した(図9参照)。尚、図10に圧着体の断面を示す様に、未焼成燃料電池セル用積層シート77と未焼成セラミックインターコネクタ用積層シート95とは、アルミナとジルコニアとを含有する中間セラミック層98を介して接合されている。
(F)未焼成燃料電池スタックの作製
上記(E)で形成した圧着体97を、前記図9に示す様に、平面形状が長方形(短冊状)の燃料電池スタック1の形状に合わせて、圧着方向(同図下方)に、短冊状に切断して未焼成燃料電池スタック99を作製した。
(G)燃料電池スタックの作製
上記(F)で作製した未焼成燃料電池スタック99を、焼成炉に収容し、大気雰囲気下、260℃で5時間保持して有機バインダを除去し、引き続いて、炉内の温度を1430℃まで昇温させ、この温度で2時間保持して焼成を行い、燃料電池スタック1を作製した。
本実施例の燃料電池システムは、図11に示す様に、(複数の燃料電池スタック101、103からなる)燃料電池モジュールの各燃料電池スタック101、103を順次起動させるものである。
本実施例では、燃料電池スタック101、103が複数個配置され、それらが電気的に直列に接続されて、所定の出力250Vが得られる燃料電池モジュールが構成されている。尚、以下では、説明を簡易化するために2個の燃料電池スタック101、103について説明する。
従って、第1三方向切替弁117により、第1燃料電池スタック101から排出される排ガスの流路を、外部への排出経路133と第5パイプ131への経路とに切り換えることができる。また、第2三方向切替弁125により、燃料ガスの原料供給経路135から第3燃料供給ジョイント119に到る経路(燃料ガスを第2燃料電池スタック103に供給する経路)と、第4パイプ131から第3燃料供給ジョイント119に到る経路(排ガスを第2燃料電池スタック103に供給する経路)とを切り換えることができる。
本実施例の燃料電池システムは、図12に示す様に、電子制御装置141により制御される。
図13のフローチャートに示す様に、まず、ステップ(S)100にて、第1燃料電池スタック101を加熱するために、第1ヒータ制御部157を駆動して、第1燃料電池スタック101内の各セルのヒータ45に通電する。
S180では、燃料ガスを供給してからの時間tが所定時間t0経過したか否かを判定し、経過しない場合は前記S120に戻る。
S200では、燃料ガスを供給してからの時間tが所定時間t0経過したか否かを判定し、経過しない場合は前記S170に戻る。
[4]次に、本実施例の効果について説明する。
例えば前記実施例では、第1燃料電池スタックにて発電された電力及び燃料排ガスを、第2燃料電池スタックに供給しているが、電力及び燃料排ガスの一方のみを第2燃料電池スタックに供給してもよい。また、第2燃料電池スタックには、ヒータを配置しなくてもよい。
9、11、107、113、119、125…燃料供給ジョイント
17、19…固体電解質型燃料電池セル
23、29…固体電解質体
25、31…燃料極
27、33…空気極
35…インターコネクタ
45…ヒータ
111、123…開閉弁
117、123、129…三方向切替弁
141…電子制御装置
147、149…温度検出部
Claims (11)
- 燃料ガスに接する燃料極及び支燃性ガスに接する空気極を有する固体電解質体を備えた燃料電池セルが、複数個積層された固体電解質型燃料電池スタックにおいて、
前記スタックの内部に、ヒータを配置したことを特徴とする固体電解質型燃料電池スタック。 - 前記各燃料電池セル間に、セラミック製のインターコネクタを備えた固体電解質型燃料電池スタックであって、
前記インターコネクタは、第1燃料電池セルの燃料極に供給する燃料ガスの流路と第2燃料電池セルの空気極に供給する支燃性ガスの流路とを分離する構成と、前記第1燃料電池セルの燃料極と第2燃料電池セルの空気極とを電気的に接続する導通部とを備えるとともに、前記ヒータを備えたことを特徴とする前記請求項1に記載の固体電解質型燃料電池スタック。 - 前記インターコネクタの内部に、前記ヒータを備えたことを特徴とする前記請求項2に記載の固体電解質型燃料電池スタック。
- 燃料ガスに接する燃料極及び支燃性ガスに接する空気極を有する固体電解質体を備えた燃料電池セルが、複数個積層された固体電解質型燃料電池スタックを、複数個備えた固体電解質型燃料電池モジュールにおいて、
前記複数の固体電解質型燃料電池スタックのうち、少なくとも1個のスタックを、前記請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池スタックとしたことを特徴とする固体電解質型燃料電池モジュール。 - 前記各固体電解質型燃料電池スタックにおいて、少なくとも燃料ガスの供給を、前記各スタック独立して調節可能な構成としたことを特徴とする前記請求項4に記載の固体電解質型燃料電池モジュール。
- 第1固体電解質型燃料電池スタックから排出される燃料排ガスを、第2固体電解質型燃料電池スタックに供給可能な構成としたことを特徴とする前記請求項4又は5に記載の固体電解質型燃料電池モジュール。
- 前記第1固体電解質型燃料電池スタックの燃料排ガスの排気路を、第2固体電解質型燃料電池スタックの燃料ガスの供給路に接続するとともに、前記燃料排ガスを第2固体電解質型燃料電池スタックに供給する経路に、当該経路の開閉を制御する制御弁を備えたことを特徴とする前記請求項6に記載の固体電解質型燃料電池モジュール。
- 前記複数の固体電解質型燃料電池スタックを、1つの断熱容器内に配置したことを特徴とする前記請求項4〜7のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池モジュール。
- 前記請求項4〜8のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池モジュールの駆動を制御する制御手段を備えたことを特徴とする固体電解質型燃料電池システム。
- 前記固体電解質型燃料電池システムの起動時に、前記ヒータを備えた第1固体電解質型燃料電池スタックのヒータに通電する通電制御手段と、
前記第1固体電解質型燃料電池スタックの温度を検知する温度検知手段と、
前記検知手段によって検知された温度が所定の温度に達した場合に、前記第1固体電解質型燃料電池スタックが発電可能なように、前記燃料ガス及び支燃性ガスの供給状態を制御するガス供給制御手段と、
前記燃料ガスの供給に伴って前記第1固体電解質型燃料電池スタックから排出される高温の燃料排ガスを、第2固体電解質型燃料電池スタックに供給する排ガス供給制御手段と、
を備えたことを特徴とする前記請求項9に記載の固体電解質型燃料電池システム。 - 前記固体電解質型燃料電池システムの起動時に、前記ヒータを備えた第1固体電解質型燃料電池スタックのヒータに通電する通電制御手段と、
前記第1固体電解質型燃料電池スタックの温度を検知する温度検知手段と、
前記検知手段によって検知された温度が所定の温度に達した場合に、前記第1固体電解質型燃料電池スタックが発電可能なように、前記燃料ガス及び支燃性ガスの供給状態を制御するガス供給制御手段と、
前記第1固体電解質型燃料電池スタックの作動によって発電された電力を、前記ヒータを備えた前記第2固体電解質型燃料電池スタックのヒータに供給するヒータ電力供給制御手段と、
を備えたことを特徴とする前記請求項9又は10に記載の固体電解質型燃料電池システム。
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