JP2008013552A - ポリアセン化合物及び有機半導体薄膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成したシリコン基板上に、2−ヘキシルペンタセンのトルエン溶液をキャストすることにより、2−ヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
【選択図】なし
Description
有機半導体材料としては、ポリフェニレンビニレン,ポリピロール,ポリチオフェン等の共役系高分子化合物やそのオリゴマーとともに、アントラセン,テトラセン,ペンタセン等のポリアセン化合物を中心とする芳香族化合物が研究されている。特に、ポリアセン化合物は分子間凝集力が強いため高い結晶性を有していて、これによって高いキャリア移動度と、それによる優れた半導体デバイス特性とを発現することが報告されている。
また、蒸着法以外の方法でポリアセン化合物の薄膜を形成する方法として、ポリアセン化合物の一種であるペンタセンの前駆体の溶液を基板上に塗布し、加熱処理してペンタセン薄膜を形成する方法が報告されている(非特許文献4を参照)。この方法は、ポリアセン化合物は溶媒に対する溶解性が低いため、溶解性の高い前駆体の溶液を用いて薄膜を形成し、熱により前駆体をポリアセン化合物に変換するというものである。
なお、ペンタセンを超える移動度を有する有機半導体材料は、現在のところ知られていない。
さらに、本発明に係る請求項3のポリアセン化合物は、請求項1に記載のポリアセン化合物において、R1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基等の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、エステル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、水酸基、アミノ基、イミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、又はこれらのうちの2以上の基を含む複合官能基であり、他方は水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5のポリアセン化合物は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセン化合物において、R1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が3以上6以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項7のインクは、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセン化合物を含有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項8の有機半導体薄膜は、下記の化学式(I)で表されるような構造を有するポリアセン化合物で構成され、結晶性を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項10の有機半導体薄膜は、請求項8に記載の有機半導体薄膜において、R1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基等の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、エステル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、水酸基、アミノ基、イミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、又はこれらのうちの2以上の基を含む複合官能基であり、他方は水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項12の有機半導体薄膜は、請求項8〜11のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜において、R1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が2以上6以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項13の有機半導体薄膜は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜において、基板上に形成された結晶性の有機半導体薄膜であって、前記ポリアセン化合物の分子の長軸が前記基板の表面に対して垂直方向に配向していることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項15のトランジスタは、ゲート電極,誘電体層,ソース電極,ドレイン電極,及び半導体層を備えるトランジスタにおいて、前記半導体層を請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜で構成したことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項17のディスプレイ装置は、請求項16に記載のディスプレイ装置において、前記有機半導体素子又は前記トランジスタが備える電極,誘電体層,及び半導体層を、請求項6に記載の溶液又は請求項7に記載のインクの印刷又は塗布によって形成したことを特徴とする。
ポリアセン骨格の長軸方向端部に官能基を有する本発明のペンタセン化合物は、分子同士のスタッキング時に官能基が障害(立体障害)となるため、分子間の共役面の重なりが阻害されることがある。したがって、端部の官能基又はハロゲン基の数は少ない方が好ましい。また、耐酸化性を向上させる効果が見込まれるハロゲン基の中では、ファンデルワールス半径の最も小さいフッ素原子が好ましい。
また、複合官能基の例としては、2−ヒドロキシ−1−プロペニル基,ヒドロキシエトキシエチル基,ヒドロキシエチルチオエチル基,ジメチルアミノカルボニル基があげられる。
なお、長軸方向の端部の官能基(R1 ,R2 )は、上に示した基を2つ以上組み合わせた複合官能基でもよい。
さらに、ポリアセン骨格の縮環数に関しては、前述の化学式(I)中のnが1又は2であることが好ましい。一般に、縮環数が増えていくと有機溶剤への溶解性は低下し、酸素への反応性の向上、つまり耐酸化性が低下する。一方で、縮環数が増加するに従い、HOMO−LUMOギャップが減少することから高い移動度の発現が見込まれる。これら溶解性,安定性,及び半導体特性を勘案すると、nが1(すなわち縮環数が5)のペンタセンと、nが2(すなわち縮環数が6)のヘキサセンが好ましい。
(1)フタルアルデヒド誘導体及び1,4−ジヒドロキシアントラセンとを塩基性条件下でアルドール縮合して環化する方法(ブレタン・ド・ラ・ソサエテ・キミケ・ド・フランス,5−6巻パート2,539ページ(1977年))。
(2)チエン−2,3−ジアルデヒドと1,4−ジヒドロキシアントラセンとを塩基性条件下で環化縮合する方法(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,第57巻,6192ページ(1992年))。
(3)ナフタレン−2,3−ジカルボキシアルデヒドと1,4−ジヒドロキシナフタレン誘導体とを塩基性条件下で環化縮合する方法(シンセシス,第20巻,3505ページ(2005年))。
本発明のポリアセン化合物は結晶性を有し、この結晶構造はヘリンボン型で、分子が配列した構造を示す。このヘリンボン構造の結晶構造においては、細長い分子が矢筈状にスタックされた格子構造をとる。これら結晶構造は、前述のように精製し、高純度化した結晶を用いて、X線回折により構造決定することができる。
さらに、本発明のポリアセン化合物は、分子の共役面がスタックした面の分子間距離(a軸及びb軸格子定数に対応する)が、無置換のポリアセン化合物と比較して同等又は縮小した構造を示す。このことは分子間のπ電子の重なりが大きく、キャリアが容易に分子間を移動できることにつながり、高い移動度を示す原因と考えられる。また。c軸格子定数はポリアセン化合物の長軸方向の分子長に対応して変化し、ほぼ分子長と同等又は若干小さい値を示す。
本発明の有機半導体薄膜の形成方法としては、公知の方法を採用することが可能であり、例えば、真空蒸着,MBE法(Molecular Beam Epitaxy),スパッタリング法,レーザー蒸着法,気相輸送成長法等があげられる。そして、このような方法により、基板表面に薄膜を形成することができる。
本発明で用いるポリアセン化合物は昇華性を示すので、前述の方法で薄膜を形成することが可能である。MBE法,真空蒸着法,及び気相輸送成長法は、ポリアセン化合物を加熱して昇華した蒸気を、高真空,真空,低真空又は常圧で基板表面に輸送して薄膜を形成するものである。また、スパッタリング法は、ポリアセン化合物をプラズマ中でイオン化させて、ポリアセン化合物の分子を基板上に堆積して薄膜を形成する方法である。また、レーザー蒸着法は、レーザー照射によりポリアセン化合物を加熱して蒸気を生成させ、ポリアセン化合物の分子を基板上に堆積して薄膜を形成する方法である。前述の製法のうちMBE法,真空蒸着法,及び気相輸送成長法は、生成する薄膜の平坦性及び結晶性に優れるので好ましい。
また、本発明のポリアセン化合物は、薄膜成長速度が高い場合でも結晶性の良好な薄膜を形成しやすく、高速成膜が可能である。成長速度は、0.1nm/min以上1μm/sec以下の範囲とすることが好ましい。0.1nm/min未満では結晶性が低下しやすく、1μm/secを超えると薄膜の表面平滑性が低下する。
このような操作は、通常の大気下又は窒素,アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。ただし、一部のポリアセン化合物の溶液は酸化されやすい場合もあるため、溶液の作製,保存及び有機半導体薄膜の作製は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
さらに、有機半導体薄膜の安定性,半導体特性の点から、有機半導体薄膜中に残存する溶媒の量は低いことが好ましい。よって、通常は、有機半導体薄膜を形成した後に再度加熱処理及び/又は減圧処理を施して、有機半導体薄膜中に残存する溶媒をほぼ完全に除去することが好ましい。
このように、ドライプロセス又はウェットプロセスによりポリアセン化合物からなる有機半導体薄膜が形成できる。
さらに、通常の無機半導体薄膜は、その結晶性がベースの材料の結晶性,面方位の影響を受けるが、本発明の有機半導体薄膜は、ベースの材料の結晶性,面方位に関係なく高結晶性の薄膜となる。よって、ベースの材料には、結晶性,非晶性に関係なく種々の材料を用いることが可能である。
本発明の有機半導体薄膜はキャリア移動度が高いことが特徴であり、1×10-4cm2 /V・s以上であることが好ましい。より好ましくは1×10-3cm2 /V・s以上であり、最も好ましくは1×10-2cm2 /V・s以上である。
このような有機半導体薄膜を用いることにより、エレクトロニクス,フォトニクス,バイオエレクトロニクス等の分野において有益な半導体素子を製造することができる。このような半導体素子の例としては、ダイオード,トランジスタ,薄膜トランジスタ,メモリ,フォトダイオード,発光ダイオード,発光トランジスタ,センサ等があげられる。
半導体素子における有機半導体薄膜内部又は有機半導体薄膜表面と電極との接合面の少なくとも一部は、ショットキー接合及び/又はトンネル接合とすることができる。このような接合構造を有する半導体素子は、単純な構成でダイオードやトランジスタを作製することができるので好ましい。さらに、このような接合構造を有する有機半導体素子を複数接合して、インバータ,オスシレータ,メモリ,センサ等の素子を形成することもできる。
また、本発明の有機半導体素子は、ICカード,スマートカード,及び電子タグにおける演算素子,記憶素子としても利用することができる。その場合、これらが接触型であっても非接触型であっても、問題なく適用可能である。このICカード,スマートカード,及び電子タグは、メモリ,パルスジェネレータ,信号分割器,コントローラ,キャパシタ等で構成されており、さらにアンテナ,バッテリを備えていてもよい。
〔実施例1:2−ヘキシルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.56gと4−ヘキシルフタルアルデヒド2.25gをピリジン40mlに溶解し、29時間還流させた。生成した黒色の沈殿を濾取し、水とエタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ヘキシルペンタセンキノン1.65gを得た。この反応における収率は41%であった。
得られた2−ヘキシルペンタセンキノンについて質量分析(大気圧化学イオン化法)を行った。結果は以下の通りである。
APCI−MS:m/z=393
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,3H)、1.32〜1.40(m,6H)、1.75(quin,2H)、2.84(t,2H)、7.55(d,1H)、7.70(d,1H)、7.70(d,1H)、7.88(s,1H)、8.03(d,1H)、8.12(d,1H)、8.12(d,1H)、8.87(s,1H)、8.90(s,1H)、8.96(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−ヘキシルペンタセンキノン0.39gとアルミニウムトリイソプロポキシド4.10gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、8時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、エタノール、アセトン、クロロホルムで洗浄した後に真空乾燥して、2−ヘキシルペンタセン16.1mgを得た。この反応における収率は4%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.95(t,3H)、1.32〜1.40(m,6H)、1.79(quin,2H)、2.81(t,2H)、7.23(d,1H)、7.34(s,2H)、7.70(s,1H)、7.89(d,1H)、7.95(s,2H)、8.59(s,1H)、8.63(s,1H)、8.67(s,2H)、8.95(s,2H)
前述のようにして合成した2−ヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中でトルエンに100℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は115℃又は100℃)にスピンコートによりキャストして、膜厚約200nmの2−ヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度115℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.15cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は3×103 であった。また、基板温度100℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.033cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は3×104 であった。
〔中間体の合成方法について〕
2,3−ジクロロ−6,9−ジヒドロキシアントラセン1.40gと4−ヘキシルフタルアルデヒド1.09gをピリジン30mlに溶解し、8時間還流させた。反応溶液をクロロホルム中に注いで得られた褐色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンキノン1.12gを得た。この反応における収率は48%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.87(t,3H)、1.07〜1.40(m,6H)、1.70(quin,2H)、2.75(t,2H)、7.41(d,1H)、7.72(s,1H)、7.84(d,1H)、7.90(s,2H)、8.65( s,2H) 、8.77(s,1H)、8,79(s,1H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンキノン47.3mgとアルミニウムトリイソプロポキシド0.41gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセン30.0mgを得た。この反応における収率は68%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.88(t,3H)、1.07〜1.44(m,6H)、1.74(quin,2H)、2.76(t,2H)、7.10〜7.20(m,1H)、7.61(s,1H)、7.77(d,1H)、7.84(s,2H)、8.32(s,2H)、8.42(s,1H)、8.45(s,1H)、8.73(s,2H)
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに100℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中でシリコン基板上(基板温度120℃)にキャストし成膜して、膜厚120nmの2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン279mgと4,5−ジプロピルフタルアルデヒド218mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。生成した茶褐色の沈殿を濾取してクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン283mgを得た。この反応における収率は61%であった。
MALDI−TOF/MS(DHBA):m/z=461
また、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.02(t,6H)、1.68(m,4H)、2.69(t,4H)、7.67(s,2H)、7.85(s,2H)、8.66(s,2H)、8.79(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン231mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセン132mgを得た。この反応における収率は62%であった。
MALDI−TOF/MS(DHBA):m/z=430
また、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.06(t,6H)、1.77(m,4H)、2.74(t,4H)、7.63(s,2H)、7.83(s,2H)、8.31(s,2H)、8.42(s,2H)、8.74(s,2H)
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに140℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度150℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン279mgと4,5−ジヘキシルフタルアルデヒド302mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。生成した淡緑色の沈殿を濾取してアセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン237mgを得た。この反応における収率は43%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,6H)、1.34(m,8H)、1.47(m,4H)、1.73(m,4H)、2.82(t,4H)、7.76(s,2H)、7.90(s,2H)、8.66(s,2H)、8.79(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン218mgとアルミニウムトリイソプロポキシド817mgとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン67mgを得た。この反応における収率は33%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,6H)、1.37(m,8H)、1.50(m,4H)、1.78(m,4H)、2.81(t,4H)、7.68(s,2H)、7.84(s,2H)、8.32(s,2H)、8.44(s,2H)、8.74(s,2H)
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに100℃で溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(120℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン279mgと4,5−ビス(ヘキシロキシ)フタルアルデヒド334mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。生成した黄土色の沈殿を濾取してアセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンキノン358mgを得た。この反応における収率は62%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.94(t,6H)、1.40(m,8H)、1.56(m,4H)、1.93(m,4H)、4.19(t,4H)、7.31(s,2H)、8.20(s,2H)、8.69(s,2H)、8.79(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンキノン289mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセン139mgを得た。この反応における収率は50%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,6H)、1.35(m,8H)、1.54(m,4H)、1.87(m,4H)、4.11(t,4H)、7.08(s,2H)、7.85(s,2H)、8.30(s,2H)、8.32(s,2H)、8.68(s,2H)
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度120℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は5μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
〔中間体の合成方法について〕
6−クロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン245mgと4,5−ジプロピルフタルアルデヒド218mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した茶褐色の沈殿を濾取し、真空乾燥して2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン285mgを得た。この反応における収率は67%であった。
1H−NMR(ppm):δ1.08(t,6H)、1.77(m,4H)、2.82(t,4H)、7.63(dd,1H)、7.87(s,2H)、8.06(d,1H)、8.09(s,1H)、8.84(s,3H)、8.91(s,1H)
次に、上記の反応により得られた2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン213mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセン101mgを得た。この反応における収率は50%であった。
1H−NMR(ppm):δ1.06(t,6H)、1.76(m,4H)、2.74(t,4H)、7.08(dd,1H)、7.63(s,2H)、7.68(d,1H)、7.73(s,1H)、8.33(s,1H)、8.42(s,3H)、8.75(s,2H)
前述のようにして合成した2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに115℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度170℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
〔中間体の合成方法について〕
6−クロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン245mgと4,5−ジヘキシルフタルアルデヒド302mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄緑色の沈殿を濾取し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥して2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン363mgを得た。この反応における収率は71%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.92(t,6H)、1.37(m,8H)、1.47(m,4H)、1.72(m,4H)、2.83(t,4H)、7.63(dd,1H)、7.87(s,2H)、8.06(d,1H)、8.09(s,1H)、8.83(s,3H)、8.91(s,1H)
次に、上記の反応により得られた2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン256mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン20mgを得た。この反応における収率は8%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,6H)、1.37(m,8H)、1.50(m,4H)、1.77(m,4H)、2.80(t,4H)、6.98(d,1H)、7.68(s,2H)、7.68(d,1H)、7.71(d,1H)、8.33(s,1H)、8.42(s,1H)、8.44(s,2H)、8.75(s,2H)
前述のようにして合成した2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中でトルエンに100℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度100℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmの素子構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.09gと4−プロピルフタルアルデヒド0.76gをピリジン20mlに溶解し、5時間還流させた。生成した黒色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−プロピルペンタセンキノン0.70gを得た。この反応における収率は46%であった。
1H−NMR(ppm):δ1.01(t,3H)、1.78(sex,2H)、2.81(t,2H)、7.53(d,1H)、7.67(d,1H)、7.68(d,1H)、7.85(s,1H)、8.01(d,1H)、8.08(d,1H)、8.09(d,1H)、8.83(s,1H)、8.87(s,1H)、8.90(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−プロピルペンタセンキノン0.17gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.03gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、エタノール、アセトン、クロロホルムで洗浄した後に真空乾燥して、2−プロピルペンタセン83.8mgを得た。この反応における収率は52%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.99(t,3H)、1.74(sex,2H)、2.68(t,2H)、7.09(d,1H)、7.19〜7.20(m,2H)、7.57(s,1H)、7.74−7.76(m,3H)、8.42〜8.47(m,4H)、8.76(s,2H)
前述のようにして合成した2−プロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−プロピルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−プロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.07cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は6×106 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.49gと4−ドデシルフタルアルデヒド2.32gをピリジン20mlに溶解し、10時間還流させた。生成した黒色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ドデシルペンタセンキノン1.78gを得た。この反応における収率は64%であった。
得られた2−ドデシルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果を以下に示す。
1H−NMR(ppm):δ0.86(t,3H)、1.25〜1.36(m,18H)、1.74(quin,2H)、2.83(t,2H)、7.54(d,1H)、7.69(d,1H)、7.70(d,1H)、7.87(s,1H)、8.03(d,1H)、8.10(d,1H)、8.11(d,1H)、8.86(s,1H)、8.89(s,1H)、8.93(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−ドデシルペンタセンキノン0.96gとアルミニウムトリイソプロポキシド4.11gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、5時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、エタノール、アセトン、クロロホルムで洗浄した後に真空乾燥して、2−ドデシルペンタセン0.57gを得た。この反応における収率は64%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.86(t,3H)、1.14〜1.26(m,18H)、1.77(quin,2H)、2.74(t,2H)、7.13〜7.20(m,3H)、7.61(s,1H)、7.76〜7.78(m,3H)、8.44〜8.47(m,4H)、8.77(s,2H)
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン2.35gと4,5−ジブチルフタルアルデヒド2.76gをピリジン22mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジブチルペンタセンキノン2.63gを得た。この反応における収率は56%であった。
得られた2,3−ジブチルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.01(t,6H)、1.51(m,4H)、1.71(m,4H)、2.84(t,4H)、7.70(dd,2H)、7.87(s,2H)、8.12(dd,2H)、8.84(s,2H)、8.93(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジブチルペンタセンキノン0.42gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.04gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、5時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2,3−ジブチルペンタセン107mgを得た。この反応における収率は27%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.99(t,6H)、1.48(m,4H)、1.73(m,4H)、2.78(t,4H)、7.17(dd,2H)、7.65(s,2H)、7.78(dd,2H)、8.44(s,2H)、8.48(s,2H)、8.78(s,2H)
前述のようにして合成した2,3−ジブチルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに100℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は105℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジブチルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2,3−ジブチルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度105℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.05cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は2×106 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4−ブトキシフタルアルデヒド0.41gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ブトキシペンタセンキノン0.36gを得た。この反応における収率は47%であった。
得られた2−ブトキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.03(t,3H)、1.58(m,2H)、1.88(m,2H)、4.15(t,2H)、7.31(d,1H)、7.34(s,1H)、7.69(dd,2H)、7.99(d,1H)、8.11(dd,2H)、8.76(s,1H)、8.84(s,1H)、8.91(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−ブトキシペンタセンキノン0.19gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、3時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ブトキシペンタセン0.11gを得た。この反応における収率は64%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.97(t,3H)、1.52(m,2H)、1.80(m,2H)、4.07(t,2H)、7.02(d,1H)、7.04(s,1H)、7.18(m,2H)、7.71(d,1H)、7.79(m,2H)、8.34(s,1H)、8.42(s,1H)、8.47(s,2H)、8.72(s,1H)、8.75(s,1H)
前述のようにして合成した2−ブトキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに135℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−ブトキシペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−ブトキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.06cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は3×105 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.50gと4−イソペンチロキシフタルアルデヒド0.53gをピリジン4.8mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−イソペンチロキシペンタセンキノン0.17gを得た。この反応における収率は18%であった。
1H−NMR(ppm):δ1.02(d,6H)、1.79(dt,2H)、1.92(m,1H)、4.18(t,2H)、7.33(d,1H)、7.36(s,1H)、7.70(dd,2H)、7.99(d,1H)、8.11(dd,2H)、8.78(s,1H)、8.85(s,1H)、8.92(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−イソペンチロキシペンタセンキノン0.31gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.61gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−イソペンチロキシペンタセン0.15gを得た。この反応における収率は51%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.96(d,6H)、1.73(dt,2H)、1.86(m,1H)、4.12(t,2H)、7.02(d,1H)、7.06(s,1H)、7.19(m,2H)、7.71(d,1H)、7.78(m,2H)、8.34(s,1H)、8.42(s,1H)、8.47(s,2H)、8.72(s,1H)、8.75(s,1H)
前述のようにして合成した2−イソペンチロキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は115℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−イソペンチロキシペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−イソペンチロキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度115℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.031cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は9×103 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4−ヘキシロキシフタルアルデヒド0.47gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した深緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ヘキシロキシペンタセンキノン0.49gを得た。この反応における収率は61%であった。
得られた2−ヘキシロキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.94(t,3H)、1.39(m,4H)、1.55(m,2H)、1.88(m,2H)、4.13(t,2H)、7.31(d,1H)、7.33(s,1H)、7.68(dd,2H)、7.98(d,1H)、8.10(dd,2H)、8.75(s,1H)、8.83(s,1H)、8.90(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−ヘキシロキシペンタセンキノン0.41gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.04gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ヘキシロキシペンタセン0.27gを得た。この反応における収率は72%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,3H)、1.34(m,4H)、1.50(m,2H)、1.83(m,2H)、4.08(t,2H)、7.03(d,1H)、7.06(s,1H)、7.17(m,2H)、7.71(d,1H)、7.78(m,2H)、8.35(s,1H)、8.42(s,1H)、8.47(s,2H)、8.72(s,1H)、8.75(s,1H)
前述のようにして合成した2−ヘキシロキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−ヘキシロキシペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−ヘキシロキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.006cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は6×105 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4−オクチロキシフタルアルデヒド0.52gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−オクチロキシペンタセンキノン0.44gを得た。この反応における収率は50%であった。
得られた2−オクチロキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,3H)、1.37(m,8H)、1.55(m,2H)、1.89(m,2H)、4.15(t,2H)、7.33(d,1H)、7.35(s,1H)、7.70(dd,2H)、8.00(d,1H)、8.12(dd,2H)、8.78(s,1H)、8.85(s,1H)、8.92(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−オクチロキシペンタセンキノン0.22gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−オクチロキシペンタセン0.14gを得た。この反応における収率は70%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.88(t,3H)、1.27(m,8H)、1.50(m,2H)、1.85(m,2H)、4.08(t,2H)、7.03(d,1H)、7.06(s,1H)、7.20(m,2H)、7.73(d,1H)、7.80(m,2H)、8.36(s,1H)、8.43(s,1H)、8.48(s,2H)、8.73(s,1H)、8.75(s,1H)
前述のようにして合成した2−オクチロキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は115℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−オクチロキシペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−オクチロキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度115℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.035cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は7×100 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4,5−ジブトキシフタルアルデヒド0.56gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジブトキシペンタセンキノン0.59gを得た。この反応における収率は65%であった。
得られた2,3−ジブトキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.04(t,6H)、1.58(m,4H)、1.93(m,4H)、4.20(t,4H)、7.33(s,2H)、7.69(dd,2H)、8.11(dd,2H)、8.72(s,2H)、8.91(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジブトキシペンタセンキノン0.23gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2,3−ジブトキシペンタセン0.16gを得た。この反応における収率は76%であった。
1H−NMR(ppm):δ1.04(t,6H)、1.59(m,4H)、1.93(m,4H)、4.17(t,4H)、7.08(s,2H)、7.29(dd,2H)、7.91(dd,2H)、8.38(s,2H)、8.62(s,2H)、8.82(s,2H)
前述のようにして合成した2,3−ジブトキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は100℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジブトキシペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2,3−ジブトキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度100℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.050cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は1.5×104 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン3.13gと4−ブチルチオフタルアルデヒド3.31gをピリジン30mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ブチルチオペンタセンキノン3.77gを得た。この反応における収率は64%であった。
得られた2−ブチルチオペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.00(t,3H)、1.56(m,2H)、1.77(m,2H)、3.10(t,2H)、7.51(d,1H)、7.69(dd,2H)、7.80(s,1H)、7.94(d,1H)、8.09(dd,2H)、8.74(s,1H)、8.81(s,1H)、8.89(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2−ブチルチオペンタセンキノン0.40gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.04gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ブチルチオペンタセン0.21gを得た。この反応における収率は56%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,3H)、1.47(m,2H)、1.71(m,2H)、3.01(t,2H)、7.16(d,1H)、7.20(dd,2H)、7.70(s,1H)、7.70(d,1H)、7.79(dd,2H)、8.35(s,1H)、8.41(s,1H)、8.47(s,2H)、8.74(s,2H)
前述のようにして合成した2−ブチルチオペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに135℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−ブチルチオペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−ブチルチオペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.0057cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は5×104 であった。
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.67gと4−ノナフルオロヘキシロキシフタルアルデヒド1.30gをピリジン6.5mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンキノン0.97gを得た。この反応における収率は54%であった。
得られた2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ2.75(m,2H)、4.47(t,2H)、7.34(d,2H)、7.37(s,1H)、7.70(dd,2H)、8.03(d,1H)、8.12(dd,2H)、8.80(s,1H)、8.87(s,1H)、8.92(s,1H)
次に、上記の反応により得られた2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンキノン0.29gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセン0.17gを得た。この反応における収率は64%であった。
1H−NMR(ppm):δ2.64(m,2H)、4.36(t,2H)、7.00(d,1H)、7.02(s,1H)、7.20(m,2H)、7.72(d,1H)、7.79(m,2H)、8.35(s,1H)、8.43(s,1H)、8.48(s,2H)、8.72(s,1H)、8.73(s,1H)
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.26gと4,5−ジプロピルフタルアルデヒド1.31gをピリジン14mlに溶解し、窒素雰囲気下で18時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄緑色の沈殿を濾取し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジプロピルペンタセンキノン1.80gを得た。この反応における収率は77%であった。
得られた2,3−ジプロピルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.06(t,6H)、1.70〜1.79(m,4H)、2.79(t,4H)、7.68(dd,2H)、7.85(s,2H)、8.10(dd,2H)、8.82(s,2H)、8.91(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジプロピルペンタセンキノン1.6gとアルミニウムトリイソプロポキシド8.2gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジプロピルペンタセン500mgを得た。この反応における収率は34%であった。
1H−NMR(ppm):δ1.07(t,6H)、1.78(m,4H)、2.76(t,4H)、7.22(m,2H)、7.65(s,2H)、7.79(dd,2H)、8.45(s,2H)、8.49(s,2H)、8.79(s,2H)
前述のようにして合成した2,3−ジプロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1, 2, 4−トリクロロベンゼンに120℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度120℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジプロピルペンタセン薄膜を形成した。
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmの素子構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジプロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
基板温度120℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.82cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は2×108 であった。
〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン0.66gと4−ヘキシルフタルアルデヒド0.75gをエタノール50mlで溶解して得た混合溶液を0℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを添加して2時間反応させた。生成した黄緑色の沈殿を濾取し、エタノールとアセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンキノン1.1gを得た。この反応における収率は85%であった。
1H−NMR(ppm):δ0.92(t,3H)、1.32 1.42(m,6H)、1.74(quin,2H)、2.85(t,2H)、7.60(d,1H)、7.84(m,2H)、7.90(s,1H)、8.04(d,1H), 8.86( s, 2H ), 8.90( s, 2H )
次に、上記の反応により得られた2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンキノン0.32gとアルミニウムトリイソプロポキシド3.0gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、1時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン、クロロホルム及びテトラクロロエタンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセン21mgを得た。この反応における収率は7%であった。
得られた2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンについて、質量分析(電子イオン化法)を行った。結果は以下の通りである。
EI−MS:m/z=398
1H−NMR(ppm):δ0.98(t,3H)、1.40〜1.52(m,6H)、1.84(quin,2H)、2.92(t,2H)、7.10(d,1H)、7.39(m,2H)、7.63(s,1H)、7.90(d,1H)、8.59(s,2H)、8.63(s,2H)、8.91(s,2H)
6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン0.14gと4,5−メチレンジオキシフタルアルデヒド0.2gをエタノール20mlで溶解して得た混合溶液を0℃に冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液を0.3ml添加して2時間反応させた。生成した黄緑色の沈殿を濾取し、エタノールとアセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジフルオロ−9, 10−メチレンジオキシペンタセンキノン0.23gを得た。この反応における収率は75%であった。
得られた2,3−ジフルオロ−9, 10−メチレンジオキシペンタセンキノンについて、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ6.16(s,2H)、7.37(s,2H)、7.85(m,2H)、8.67(s,2H)、8.80(s,2H)
次に、上記の反応により得られた2,3−ジフルオロ−9,10−メチレンジオキシペンタセンキノン0.22gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.3gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、2時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン、クロロホルム、及びテトラクロロエタンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジフルオロ−9,10−メチレンジオキシペンタセン71mgを得た。この反応における収率は35%であった。
EI−MS:m/z=358
また、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は130℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ6.04(s,2H)、7.17(s,2H)、7.62(m,2H)、8.41(s,2H)、8.56(s,2H)、8.79(s,2H)
実施例1〜20において合成した各ペンタセン誘導体の溶媒に対する溶解性を調べた。室温においてペンタセン誘導体を1,2,4−トリクロロベンゼンに加えて(ペンタセン誘導体の添加量は、1,2,4−トリクロロベンゼンの0.1質量%である)、その溶解性を評価したところ、2−ヘキシルペンタセンなど12種のペンタセン誘導体は溶解性が高いため、室温でも均一溶液となった(図1を参照)。
この結果から、官能基の種類についてはプロピル基よりもヘキシル基の方が溶解性を向上させる効果が高いことが分かった。また、ポリアセン骨格の長軸方向に非対称である構造の化合物の方が、対称構造の化合物と比較して溶解性が高いことが明らかとなった。さらに、ハロゲン基は溶解性を低下させる作用があることが示唆された。
Claims (17)
- 下記の化学式(I)で表されるような構造を有することを特徴とするポリアセン化合物。
- R3 ,R4 の少なくとも一方はハロゲン基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセン化合物。
- R1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基等の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、エステル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、水酸基、アミノ基、イミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、又はこれらのうちの2以上の基を含む複合官能基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセン化合物。
- R3 ,R4 が水素原子であることを特徴とする請求項3に記載のポリアセン化合物。
- R1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が3以上6以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセン化合物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセン化合物を含有することを特徴とする溶液。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセン化合物を含有することを特徴とするインク。
- 下記の化学式(I)で表されるような構造を有するポリアセン化合物で構成され、結晶性を有することを特徴とする有機半導体薄膜。
- R3 ,R4 の少なくとも一方はハロゲン基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項8に記載の有機半導体薄膜。
- R1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基等の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、エステル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、水酸基、アミノ基、イミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、又はこれらのうちの2以上の基を含む複合官能基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項8に記載の有機半導体薄膜。
- R3 ,R4 が水素原子であることを特徴とする請求項10に記載の有機半導体薄膜。
- R1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が2以上6以下であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜。
- 基板上に形成された結晶性の有機半導体薄膜であって、前記ポリアセン化合物の分子の長軸が前記基板の表面に対して垂直方向に配向していることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜。
- 請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜で少なくとも一部を構成したことを特徴とする有機半導体素子。
- ゲート電極,誘電体層,ソース電極,ドレイン電極,及び半導体層を備えるトランジスタにおいて、前記半導体層を請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜で構成したことを特徴とするトランジスタ。
- 多数の画素からなる画素面を備えるディスプレイ装置において、前記各画素は、請求項14に記載の有機半導体素子又は請求項15に記載のトランジスタを備えることを特徴とするディスプレイ装置。
- 前記有機半導体素子又は前記トランジスタが備える電極,誘電体層,及び半導体層を、請求項6に記載の溶液又は請求項7に記載のインクの印刷又は塗布によって形成したことを特徴とする請求項16に記載のディスプレイ装置。
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