JP2006179703A - 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機TFTにおいて、ゲート絶縁膜上に形成する有機薄膜のキャリア移動特性を向上することを課題とする。
【解決手段】基体上の有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とゲート絶縁膜との間に、有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜とを備えたことを特徴とする有機TFTにより上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ゲート絶縁膜上にアンカー膜を介して形成された有機薄膜を備えた有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
近年、有機半導体を利用したトランジスタを使用するIC技術が提案されている。上記技術の主な利点は、簡単な製造方法及び柔軟な基板との互換性である。これらの利点は、このトランジスタをスマート・カード、電子タグ及びディスプレイのような用途に適する、コストの安いIC技術に使用することが期待される。
ここで、有機半導体で薄膜トランジスタ(TFT)を形成する際に用いる成膜方法として真空蒸着法や塗布法等が知られている。これら成膜方法によれば、コストアップを抑えつつ素子の大型化が実現可能になり、成膜時に必要となるプロセス温度を比較的低温にすることができる。このため、有機半導体を用いたTFT(以下、有機TFTと呼ぶ)では、基板に用いる材料の制限が少ないといった利点がある。
有機TFTの例が、特開2003−258265号公報(特許文献1)等に記載されている。この公報に記載された有機TFTの構造を図3に示す。図3には、基板1上に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、ソース/ドレイン電極(5、7)及び半導体層(有機薄膜)6を有するTFTが記載されている。このTFTは、基板1上の一部にゲート電極2を設け、ゲート電極2及び基板1をゲート絶縁膜3により覆い、ゲート絶縁膜3上であってゲート電極2に対応する領域を挟むようにソース/ドレイン電極(5、7)を設け、ソース/ドレイン電極(5、7)及びゲート絶縁膜3を半導体層6により覆うことで得られている。
ここで用いられる半導体層用の材料としては、p型の半導体層用の材料としてペンタセン、テトラセン、チオフェン、フタロシアニン及びこれらの末端が置換された誘導体並びにポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン及びこれらの末端もしくはその側鎖が置換された誘導体のポリマーの中から選択された材料が挙げられる。また、n型の半導体層用の材料としては、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、フッ素化フタロシアニン及びこれらの末端が置換された誘導体の中から選択された材料が挙げられる。
一般的に、有機TFTの動作は次のように考えられている。
ゲート電極に電圧を印加した場合、ゲート電圧によるゲート電極のフェルミ準位変化を通じて、ゲート絶縁膜の界面側の半導体層にバンドの曲がりが引き起こされる。このバンドの曲がりは、ソース/ドレイン電極から多数のキャリアである正電荷の注入を引き起こし、ゲート絶縁膜界面側の半導体層に高い表面電荷密度領域、すなわちキャリアの蓄積層が形成される。
一方、ゲート電極への逆バイアス印加によって、ゲート絶縁膜界面側の半導体層に電荷を排除した空乏層が形成される。
有機TFTは、こうしたゲート電圧によるチャネルのコンダクタンス制御によって、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流値を変化させることにより動作させる。
また、半導体層内におけるキャリアの移動形態は、グレイン間ではキャリアの移動が抑制されるが、グレイン内においては、その結晶性、すなわち周期構造を形成していることにより、隣接する分子間をホッピングしながら速やかに伝導する。
しかしながら、実際の有機TFTを作製/評価している例では、SiO2のような無機酸化物をゲート絶縁膜として用い、そのゲート絶縁膜上にペンタセンのような有機半導体材料を蒸着することで半導体層を形成している場合が多い。
ペンタセンのような材料は、ゲート絶縁膜を構成する無機酸化物からの強い作用を受け、有機物特有のスタッキングが妨げられるため、ゲート絶縁膜界面近傍、つまりはキャリアの蓄積層における半導体層の結晶性が大きく低下するという問題があった。
また、無機酸化物からなるゲート絶縁膜の表面エネルギーは大きく、これにより薄膜成長過程における、基板上の分子の拡散が抑制される。そのため、吸着サイトが多く生じ、結果としてグレインサイズの小さい結晶性の低い膜しか得られなかった。
半導体層の結晶性の低下は、デバイス特性に大きな影響を及ぼす要因となっている。
結晶性の低下を抑制するため、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)でゲート絶縁膜を処理して、ゲート絶縁膜の表面エネルギーを調整することで、大きなグレインサイズの半導体層が作製されたとの報告がある(IEEE Electron Device Lett.,18,606,1997:非特許文献1)。
特開2003−258265号公報 IEEE Electron Device Lett.,18,606,1997
有機TFTは、ゲート絶縁膜に直接半導体層が形成されているため、ゲート絶縁膜界面側の半導体層の均一性は移動度に大きな影響を及ぼす要因となることはある程度示唆されていた。しかしながら、半導体層用の適切な材料、その材料を使用して形成された半導体層の均一性の程度については報告されていなかった。
また、上記報告に記載の例は、あくまで絶縁膜の影響を抑制しただけのものであり、絶縁膜界面での結晶性及び電気的性質まで制御したものではなかった。
更に、ゲート絶縁膜上に蒸着、塗布・焼成等の方法により形成された半導体層は、界面の均一性が考慮されていなかったために、本来半導体層が有するキャリア移動特性を十分に発揮できていないという課題があった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、実効的にトランジスタ特性を左右する有機薄膜中のキャリア蓄積層の結晶性及び電気的性質を大きく向上させる方法を見出すことで本発明に至った。
すなわち、本発明は、ゲート絶縁膜に接する有機薄膜のキャリア移動特性を向上でき、その有機薄膜の半導体特性を最大限に発揮できる構造を提供することを目的とする。加えて、この構造に用いる材料、界面条件を制御する方法を提供することを目的とする。
かくして本発明によれば、有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とゲート絶縁膜との間に、有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜とを備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタが提供される。
また、本発明によれば、ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上に有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜を形成する工程と、該アンカー膜上に有機薄膜を形成する工程と、該有機薄膜を形成する前に前記アンカー膜上にソース/ドレイン電極を形成するか又は前記有機薄膜上にソース/ドレイン電極を形成する工程とを含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法が提供される。
本発明の有機TFTは、ゲート絶縁膜と有機薄膜との間に有機シラン化合物からなる単分子膜からなるアンカー膜を有しており、キャリアがアンカー膜と有機薄膜の双方で輸送されることから、キャリア輸送が効率化され、高いデバイス特性が得られる。
本発明の有機TFTは、アンカー膜を構成する有機シラン化合物の主骨格部のπ電子共役系を最適化することにより、有機薄膜の結晶成長を制御できる。そのため、大きなグレインサイズの有機薄膜を得ることができるので、有機薄膜の結晶性を向上できる。
さらに、本発明のTFTは、有機薄膜の製造方法に影響されることなく、アンカー膜の主骨格部のπ電子共役系との相互作用により、有機薄膜の結晶性を制御できる。すなわち、従来の有機TFTのように、基板との相互作用の影響により有機薄膜のグレインサイズが変化することがない。そのため、本発明では、常に安定した特性の有機薄膜、さらには安定な特性の有機TFTを得ることができる。
(1)構成及び駆動原理
本発明の有機薄膜トランジスタ(有機TFT)を図に従って説明する。
図1は本発明の有機TFTの一例の概念図である。図1の有機TFTはボトムゲート及びボトムコンタクト型の構造である。図1に示すように、ゲート絶縁膜3上にアンカー膜4を介して有機薄膜6が形成されることが本発明の有機TFTの特徴である。図1中、1は基板、2はゲート電極、3はゲート絶縁膜、5及び7はソース/ドレイン電極を意味する。また、図2は、図1のゲート絶縁膜/アンカー膜/有機薄膜部分の拡大図を示している。なお、図1は、有機薄膜の下面を一表面とし、一表面側にソース/ドレイン電極が形成された例である。
なお、有機TFTの構造は、ゲート絶縁膜/アンカー膜/有機薄膜がこの順で接する構成を有していさえすれば、図1の構造に限定されない。他の構造としては、例えば、
(1)基板上に有機薄膜とソース/ドレイン電極をこの順で備え、ソース/ドレイン電極間の有機薄膜上にアンカー膜、ゲート絶縁膜及びゲート電極をこの順で備えた構成(有機薄膜の上面を一表面とし、一表面側にソース/ドレイン電極が形成された例)
(2)基板上にゲート電極、ゲート絶縁膜、アンカー膜、有機薄膜及びソース/ドレイン電極をこの順で備えた構成(有機薄膜の下面を一表面とし、有機薄膜の上面である他表面側にソース/ドレイン電極が形成された例)
(3)基板上にソース/ドレイン電極を備え、ソース/ドレイン電極をを覆うように有機薄膜、アンカー膜及びゲート絶縁膜をこの順で備え、ゲート絶縁膜上にゲート電極を備えた構成(有機薄膜の上面を一表面とし、有機薄膜の下面である他表面側にソース/ドレイン電極が形成された例)
が挙げられる。
ここで、これらの構成における最大のポイントは、ゲート絶縁膜と有機薄膜との間に、有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜(膜厚が分子1個の大きさに相当する薄膜)からなるアンカー膜を形成したことである。このアンカー膜は、有機薄膜の結晶性を制御する機能、有機薄膜のデバイス特性(キャリア移動度、オン/オフ比等)を向上する機能等を有している。なお、前者の機能は、ゲート絶縁膜、アンカー膜及び有機薄膜をこの順で形成した場合に奏される機能である。後者の機能は、アンカー膜を備えさえすれば奏される機能である。
有機薄膜の結晶性を制御する機能は、アンカー膜が、ゲート絶縁膜の表面エネルギーを調整することから奏される。言い換えると、アンカー膜を介在させることにより、グレインサイズが大きく、結晶性が向上した有機薄膜を形成できる。より具体的には、アンカー膜は、有機シラン化合物の末端の化学吸着基に由来するSi−O−Siネットワークによりゲート絶縁膜と化学結合した膜とすることができ、更には、前記ネットワーク上のπ電子共役系分子同士の相互作用すなわち分子間力によりゲート絶縁膜上に周期構造を有する膜を形成すると共に、ゲート絶縁膜に対して強固に固定できる。その結果、有機薄膜が形成される側のアンカー膜表面でも有機シラン単分子膜を構成する主骨格部のπ電子共役系からの相互作用により、アンカー膜上に形成する有機薄膜の結晶性を向上できる。
有機薄膜のデバイス特性を向上する機能は、アンカー膜自体がキャリア輸送機能を有することから奏される。即ち、有機TFTでは、実際にキャリアが蓄積される領域が、ゲート絶縁膜から十数nm程度までの領域であることに発明者等は着目した。つまり、この領域においてキャリア移動度を向上できれば、有機TFT全体のデバイス特性を向上できることに気付いた。そこで、発明者等は、アンカー膜による有機薄膜の結晶性の向上に加えて、アンカー膜自体がキャリア輸送機能を有することで、上記実際にキャリアが輸送される領域のキャリア移動度を向上できることを見い出している。
このキャリア輸送機能は、アンカー膜がπ電子共役系分子を含む有機シラン化合物から形成されていることに由来する。
また、アンカー膜自体のπ電子共役系分子がキャリア輸送機能を有するため、有機薄膜とアンカー膜界面でのキャリア移動障壁は比較的小さい。そのため、図2中、矢印11にて示す界面をはさんだキャリアの移動も可能である。従って、例えばグレイン間の電流移動のようなキャリア移動が従来困難であった部分でも、界面を横断した移動を利用できる。
更に、アンカー膜は、有機薄膜の界面付近での結晶性を調整できる。特に、アンカー膜が、有機薄膜より結晶性が高いことが好ましい。これは、キャリアが輸送される領域が十数nmであることを考慮して、アンカー膜自体の結晶性を高めることで、キャリア移動度を向上でき、より多くの電流を流すことができるからである。
また、アンカー膜は、有機シラン化合物に由来するSi−O−Siネットワークをゲート絶縁膜側に形成することができるから、ネットワークのない膜より、有機シラン化合物に由来する有機基をゲート絶縁膜上に規則正しく並べることができる。その結果、高い結晶性のアンカー膜が得られる。
なお、本発明の発明者等は、アンカー膜の結晶性の高さを、X線回折及び電子線回折により評価を行い、結晶性に起因する数次の回折ピークを確認している。また、高い結晶性のアンカー膜が、主骨格にπ電子共役系を有する有機シラン化合物により作製されており、Si−O−Siネットワークによる絶縁膜との結合及びπ電子共役系同士の相互作用により得られたものであると考えている。
アンカー膜は単分子膜になるように形成される。その膜厚は、有機シラン化合物の種類により異なる。具体的には、0.5nm〜3nmであることが好ましく、1nm〜2.5nmであることがより好ましい。ここで、0.5nm未満では高い結晶性を有するアンカー膜を形成することが困難であるため好ましくない。また、有機薄膜を形成する化合物の構造を考慮すれば、アンカー膜に用いる有機シラン化合物の主骨格部を形成するπ電子共役系も、ほぼ同様の構造であることが好ましい。従って、3nmより厚い場合では、これまでに述べた効果が顕著に現れないこと、またアンカー膜を形成する有機シラン化合物の溶解性が低下することから、これを回避するため、末端もしくは側鎖に可溶性の置換基、例えばアルキル基等を導入しなければならず、アンカー膜と有機薄膜間のキャリアの移動が抑制されることやアンカー膜自身の結晶性が低下するため好ましくない。
アンカー膜に結晶性が高い膜を使用すれば、有機薄膜の結晶性はアンカー膜ほど高くなくてもよい。すなわち、結晶性の高いアンカー膜を形成すれば、結晶性の低い有機薄膜を用いた場合でも、アンカー膜の存在によりキャリアが移動する領域のキャリア移動度を向上できるので、有機TFTのデバイス特性を向上させることも期待できることになる。従って、有機薄膜の原料の選択性が向上し、比較的安価な材料や製造方法を選択することができるので、工業的に大変有用である。加えて、アンカー膜の結晶性を高くすることで、その上に形成される有機薄膜の結晶性もアンカー膜の結晶性に影響されて向上するという効果も奏する。
以下、本発明の有機TFTの構成要素を具体的に説明する。
(ゲート、ソース/ドレイン電極)
ゲート、ソース/ドレイン電極材料は、特に限定されず、当該分野で公知の材料をいずれも使用できる。具体的には、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属;チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属;高融点金属とのシリサイド、ポリサイド等;p型又はn型ハイドープシリコン;ITO、NESA等の導電性金属酸化物;PEDOTのような導電性高分子が挙げられる。
膜厚は、特に限定されるものではなく、通常トランジスタに使用される膜厚(例えば 30〜60nm)に適宜調整することができる。
これら電極の製造方法は、電極材料に応じて適宜選択できる。例えば、蒸着、スパッタ、塗布等が挙げられる。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜は、特に限定されず、当該分野で公知の膜をいずれも使用できる。具体的には、シリコン酸化膜(熱酸化膜、低温酸化膜:LTO膜等、高温酸化膜:HTO膜)、シリコン窒化膜、SOG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜等の絶縁膜;PZT、PLZT、強誘電体又は反強誘電体膜;SiOF系膜、SiOC系膜もしくはCF系膜又は塗布で形成するHSQ(hydrogen silsesquioxane)系膜(無機系)、MSQ(methyl silsesquioxane)系膜、PAE(polyarylene ether)系膜、BCB系膜、ポーラス系膜もしくはCF系膜又は多孔質膜等の低誘電体膜等が挙げられる。
膜厚は、特に限定されるものではなく、通常トランジスタに使用される膜厚(例えば 100〜500nm)に適宜調整することができる。
ゲート絶縁膜の製造方法は、その種類に応じて適宜選択できる。例えば、蒸着、スパッタ、塗布等が挙げられる。
(アンカー膜)
アンカー膜材料としては、成膜後にキャリア輸送機能を有する有機シラン化合物であれば特に限定されない。有機シラン化合物の具体例を下記する。
有機シラン化合物としては、式(1)
1−SiZ123・・・(1)
にて表される化合物が使用できる。
式中、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(構造異性体を含む)、ブトキシ基(構造異性体を含む)、ペントキシ基(構造異性体を含む)が挙げられる。
1は、π電子共役系の化合物に由来するπ電子共役系分子を含む有機基であることが好ましい。この有機基は、導電性を制御可能な基(ユニット)を少なくとも1つ含むことが好ましい。例えば、単環の芳香族化合物、縮合芳香族化合物、単環の複素環化合物、縮合複素環化合物に由来する基から選択された基が挙げられる。
単環の芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン等が挙げられる。縮合芳香族化合物としては、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、オクタセン、ノナセン、アズレン、フルオレン、ピレン、アセナフテン、ペリレン、アントラキノン等が挙げられる。単環の複素環化合物としては、フラン、チオフェン、ピリジン、ピリミジン等が挙げられる。縮合複素環化合物としては、インドール、キノリン、アクリジン、ベンゾフラン等が挙げられる。
まず、単環の芳香族化合物、単環の複素環化合物としては、ベンゼン及び/又はチオフェンに由来するユニットからなる化合物が好ましい。このユニットは、2〜8個結合して化合物を構成することが好ましい。上記ユニットは、結合している場合、収率、経済性、量産化を考慮すると、2〜6個結合していることがより好ましい。
これらユニットは、複数個、分岐状に結合していてもよいが、直線状に結合していることが好ましい。また、化合物は、同じユニットが結合していてもよいし、すべて異なるユニットが結合していてもよいし、複数種類のユニットが規則的に又はランダムな順序で結合していてもよい。また、結合の位置は、ユニットの構成分子がチオフェンの場合には、2,5−位、3,4−位、2,3−位、2,4−位等のいずれでもよいが、なかでも、2,5−位が好ましい。ベンゼンの場合には、1,4−位、1,2−位、1,3−位等のいずれでもよいが、なかでも、1,4−位が好ましい。
例えば、非縮合系芳香族化合物として、下記一般式(2);
Figure 2006179703
(式中、mは1〜8、好ましくは1〜6の整数である)で表されるベンゼン化合物が挙げられる。フェニレン基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
また、非縮合系芳香族複素環式化合物として、下記一般式(3);
Figure 2006179703
(式中、nは1〜8、好ましくは1〜6の整数である)で表されるチオフェン化合物が挙げられる。チオフェンジイル基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
より具体的には、単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物の具体例として、ビフェニル、ビチオフェニル、ターフェニル(式1の化合物)、ターチエニル(式2の化合物)、クォーターフェニル、クォーターチオフェン、クィンケフェニル、クィンケチオフェン、ヘキシフェニル、ヘキシチオフェン、チエニル−オリゴフェニレン(式3の化合物参照)、フェニル−オリゴオリゴチエニレン(式4の化合物参照)、ブロックコオリゴマー(式5又は6の化合物参照)、ビ(ジチオフェニルビニル)フェニル(式7の化合物参照)に由来の基が挙げられる。
Figure 2006179703
(式中、nは1〜6、mは1〜3、a+bは2〜6である。)
更に、縮合芳香族化合物としては、下記式8〜10
Figure 2006179703
から選択される化合物(nは0〜4)が挙げられる。式8は、アセン骨格を含む化合物であり、式9は、アセナフテン骨格を含む化合物であり、式10は、ペリレン骨格を含む化合物である。
上記式8のアセン骨格を含む化合物を構成するベンゼン環の数は2〜8個であることが好ましい。特に、合成の工程数や生成物の収率を考慮すると、ベンゼン環の数が2〜6であるナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセンが特に好ましい。なお、上記式8では、ベンゼン環が直線状に縮合している化合物を形式上示しているが、例えば、フェナントレン、クリセン、ピセン、ペンタフェン、ヘキサフェン、ヘプタフェン、ベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、アントラナフタセン等のように非直線状に縮合している分子も式8の化合物に含まれる。
また、縮合複素環化合物としては、下記式11〜16
Figure 2006179703
から選択される化合物が挙げられる。
式11中、X1は炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、X2は炭素原子又は窒素原子である(ただし、X1及びX2が同時に炭素原子の場合は除く);n1は0〜4の整数である。
式12中、X3は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である;n2及びn3は0≦n2+n3≦2を満たす整数である。
式13中、X4及びX5はそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子である(ただし、X4及びX5が同時に炭素原子の場合は除く);n4は0〜4の整数である。
式14中、X6及びX7はそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子である(ただし、X6及びX7が同時に炭素原子の場合は除く);n5は0〜4の整数である。
式15中、X8及びX9はそれぞれ独立して炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である(ただし、X8及びX9が同時に炭素原子の場合は除く);n6及びn7は0≦n6+n7≦2を満たす整数である。
式16中、X10及びX11はそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子である(ただし、X10及びX11が同時に炭素原子の場合は除く);n8及びn9は0≦n8+n9≦2を満たす整数である。
特に好ましい有機基R1は、単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物又はアセン骨格を含む化合物に由来する基である。
更に、ユニット間には、ビニレン基が位置していてもよい。ビニレン基を与える炭化水素としては、アルケン、アルカジエン、アルカトリエン等が挙げられる。アルケンとしては、炭素数2〜4の化合物、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。なかでも、エチレンが好ましい。アルカジエンとしては、炭素数4〜6の化合物、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等が挙げられる。アルカトリエンとしては、炭素数6〜8の化合物、例えば、ヘキサトリエン、ヘプタトリエン、オクタトリエン等が挙げられる。
更に、有機基R1を得るための化合物は、縮合芳香族化合物に由来するユニットが2以上結合した化合物であってもよく、縮合芳香族化合物に由来するユニットと単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環式化合物に由来するユニットとが結合した化合物であってもよい。
これら有機基は、末端に官能基を有していてもよい。具体的な官能基としては、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、又は、カルボキシル基、エステル基、トリアルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基のなかでも、立体障害により有機薄膜の結晶化を阻害しないという観点から、炭素数1〜30の直鎖アルキル基が特に好ましく、炭素数1〜3の直鎖アルキル基が更に好ましい。
また、官能基は、5員環及び/又は6員環で構成される縮合環数2〜8の縮合複素環化合物に由来する1価の基であってもよい。縮合複素環化合物としては、以下の一般式(a)〜(f)の化合物が挙げられる。
一般式(a);
Figure 2006179703
(式中、X1、X2、n1は同上)
一般式(b);
Figure 2006179703
(式中、X3、n2、n3は同上)
一般式(c);
Figure 2006179703
(式中、X4、X5、n4は同上)
一般式(d);
Figure 2006179703
(式中、X6、X7、n5は同上)
一般式(e);
Figure 2006179703
(式中、X8、X9、n6、n7は同上)
一般式(f);
Figure 2006179703
(式中、X10、X11、n8、n9は同上)
また、有機基R1は、側鎖を有していてもよい。ここで側鎖としては、隣接分子と反応しなければどのような基であってもかまわない。側鎖としては、置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ジアリールアミノ基、ジ又はトリアリールアルキル基、アルコキシ基、オキシアリール基、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、フェニル基、アセン基が挙げられる。中でも、有機薄膜材料として使用することを考え、隣接分子との分子間相互作用を大きく作用させることを考慮すると、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基でシリル基を置換したトリアルキルシリル基、炭素数1〜4のアルキル基を有する2級及び3級炭化水素、ベンゼン環数が1〜4のフェニル基、ナフタレン及びアントラセン、炭素数1〜4のアルキル基を含む3級アミノ基等が好ましい。
有機基R1に対するシリル基(SiZ123)の結合位置は、特に限定されず、結合することができる限りどこの位置でもよい。
有機シラン化合物の特に好適な例を下記する。
Figure 2006179703
Figure 2006179703
Figure 2006179703
Figure 2006179703
Figure 2006179703
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Figure 2006179703
以下に有機シラン化合物の合成方法を説明する。
有機シラン化合物は上記の有機基R1を含有する分子にシリル基を導入することによって合成可能である。シリル基の導入部位は得られる単分子膜が、分子が規則的に配列される分子結晶性を確保できる限り特に制限されない。
有機基R1含有分子のシリル化は、種々の公知の手法によって達成可能である。例えば、(1)対応する臭素や、塩素、又はヨウ素等のハロゲン原子を有する化合物から得られるグリニヤール試薬やリチウム試薬とハロゲンやアルコキシを有する有機シラン化合物との反応、(2)対応する炭素−炭素多重結合を有する化合物と少なくとも一つの水素をケイ素原子上に有する有機シラン化合物とを塩化白金酸等の触媒存在下で加熱攪拌することによるハイドロサイレーション反応、(3)パラジウム触媒を用い、対応するビニルホウ素化合物と有機ハロゲン化シラン化合物をクロスカップリングさせて、置換オレフィンを合成する反応を利用できる。
より具体的には(1)の方法としての以下の方法を利用できる。
(式) R1−MgX (2)
(式中、R1は上記参照、Xはハロゲン原子である)で示される化合物と、
(式) Y1−SiZ123 (3)
(式中、Y1はハロゲン原子であり、Z1〜Z3は上記と同じ)で示される化合物(例えば、テトラクロロシラン、トリエトキシハロゲノシラン)とを反応させて、
(式) R1−SiZ123(4)
有機シラン化合物を得る方法が挙げられる。上記方法中、ハロゲン原子とは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記合成時の反応温度は、例えば、−100〜150℃が好ましく、より好ましくは−20〜100℃である。反応時間は、工程毎に、例えば、0.1〜48時間程度である。反応は、通常、無水条件下、反応に影響のない有機溶媒中で行われる。反応に悪影響のない有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン等脂肪族又は芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系炭化水素等が挙げられ、これらは単独で又は混合液として用いることができる。なかでも、ジエチルエーテルとTHFが好適である。反応は、任意に触媒を用いてもよい。触媒としては、白金触媒、パラジウム触媒、ニッケル触媒等、触媒として公知のものを用いることができる。
次に、有機基R1の前駆体として好適な、単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物又はアセン骨格を含む化合物の合成方法の一例を記載する。
(1)単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物
単環の芳香族化合物であるベンゼン又は複素環化合物であるチオフェンに由来するユニットから構成される化合物の合成方法としては、まず、ベンゼン又はチオフェンの反応部位をハロゲン化させた後に、グリニヤール反応を利用する方法が有効である。この方法を使用すれば、ベンゼン又はチオフェンの数を制御した化合物を合成することができる。また、グリニヤール試薬を適用する方法以外にも、適当な金属触媒(Cu、Al、Zn、Zr、Sn等)を利用したカップリングによっても合成することができる。
更に、チオフェンについては、グリニヤール試薬を利用する方法以外に、下記合成方法を利用することができる。
すなわち、まず、チオフェンの2位又は5位をハロゲン化(例えば、ブロモ化、クロロ化)させる。ハロゲン化させる方法としては、例えば、1当量のN−クロロスクシンイミド(N−Chlorosuccinimide:NCS)又はN−ブロモスクシンイミド(N−Bromosuccinimide:NBS)処理や、オキシ塩化燐(phosphorus oxychloride:POCl3)処理が挙げられる。このときの溶媒としては、例えばクロロホルム・酢酸(AcOH)混合液、DMF、四塩化炭素が使用できる。又はハロゲン化したチオフェン同士を、DMF溶媒中でトリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(tris(triphenylphosphine)Nickel:(PPh3)3Ni)を触媒として反応させることによって、結果的にハロゲン化さ
せた部分でチオフェン同士を直接結合できる。
更に、ハロゲン化したチオフェンに対して、ジビニルスルホンを加え、カップリングさせることにより1,4−ジケトン体を形成させる。続いて、乾燥トルエン溶液中で、ローウェッソン剤(Lawesson Regent:LR)又はP410を加え、前者の場合一晩、後者の場合3時間程度還流させることによって、閉環反応を起こさせる。その結果、カップリングしたチオフェンの合計数よりもひとつチオフェンの数が多い化合物を合成できる。
チオフェンの上記反応を利用して、チオフェン環の数を増加させることができる。
なお、上記化合物は、その合成に使用した原料と同じく、末端をハロゲン化させることができる。そのため、化合物をハロゲン化させた後、例えばSiCl4と反応させることによって、末端にシリル基を有し、かつベンゼン又はチオフェンに由来するユニットのみからなる有機残基を備えたシラン化合物(単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物)を得ることができる。
更に、ベンゼン又はチオフェンのみからなる化合物(A)〜(C)の合成例を以下に示す。なお、下記チオフェンのみからなる化合物(A)と(B)の合成例では、チオフェンの3量体から6又は7量体への反応のみを示した。しかし、ユニット数の異なるチオフェンと反応させれば、前記6又は7量体以外の化合物を形成できる。例えば、2−クロロチオフェンをカップリングした後にNCSによりクロロ化させた2−クロロビチオフェンに下記と同様の反応をさせることによって、チオフェン4又は5量体を形成できる。更に、チオフェン4量体をNCSによりクロロ化させれば更にチオフェン8又は9量体も形成することができる。
Figure 2006179703
所定数のチオフェンとベンゼン由来のユニットがそれぞれ結合した単位を直接結合することにより、ブロック型の化合物を得る方法としては、例えば、グリニヤール反応を使用する方法がある。この場合の合成例としては、以下の方法が適用できる。
まず、単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物の所定位置をハロゲン化(例えば、ブロモ化)した後に、n−BuLi、B(O−iPr)3を付与することによって脱ブロモ化及びホウ素化できる。このときの溶媒は、エーテルが好ましい。また、ホウ素化させる場合の反応は、2段階であり、初期は反応を安定化させるために、1段階目は−78℃で行い、2段階目は−78℃から室温に徐々に温度を上昇させることが好ましい。一方で、両端にハロゲン基(例えば、ブロモ基)を有するベンゼン又はチオフェンを用いてグリニヤール反応からブロック型化合物の中間体を作製しておく。
この状態で、未反応のブロモ基と上記のホウ素化された化合物を、例えばトルエン溶媒中に展開させ、Pd(PPh34、Na2CO3の存在下、85℃の反応温度にて、反応を完全に進行させれば、カップリングを起こさせることが可能である。結果的に、ブロック型の化合物を合成することができる。
このような反応を用いた化合物(D)及び(E)の合成例を以下に示す。
Figure 2006179703
ベンゼン又はチオフェンに由来するユニットとビニル基が交互に結合される化合物の合成方法としては、例えば以下の方法が適用できる。すなわち、ベンゼン又はチオフェンの反応部位にメチル基を有する原料を準備した後に、その両端を2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及びNBSを用いてブロモ化させる。この後、ブロモ体にPO(OEt)3を反応させ、中間体を形成させる。つづいて、末端にアルデヒド基を有する化合物と、中間体とを、例えばDMF溶媒中でNaHを用いて反応させることによって、上記の化合物は形成できる。なお、得られた化合物は、末端にメチル基を有するため、例えばこのメチル基を更にブロモ化させ、上記合成ルートを再度適用すれば、更にユニット数の多い化合物を形成できる。
このような反応を用いて長さの異なる化合物(F)〜(H)の合成例を以下に示す。
Figure 2006179703
いずれの化合物についても、所定の位置に側鎖(例えばアルキル基)を有する原料を用いることもできる。すなわち、例えば、原料として2−オクタデシルターチオフェンを用いれば、上記の合成ルートにより化合物(A)として2−オクタデシルセクシチオフェンを得ることができる。同様に、所定の位置にあらかじめ可能基や側鎖を有する原料を用いれば、上記(A)〜(H)のいずれの化合物でかつ、官能基や側鎖を有する化合物を得ることができる。
また、上記合成例で使用した原料は、汎用の試薬であり、試薬メーカーより入手、利用できる。以下の表1に原料のCASナンバー、及び、試薬メーカーとして例えばキシダ化学より入手した場合の試薬の純度を示しておく。
Figure 2006179703
なお、上記単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物の合成方法に準じて、縮合芳香族化合物及び縮合複素環化合物も、単環の芳香族化合物、単環の複素環化合物、縮合芳香族化合物及び縮合複素環化合物と結合させることができる。
(2)アセン骨格、アセナフテン骨格、ペリレン骨格を含む化合物
アセン骨格を含む化合物の合成方法としては、例えば(1)原料化合物の所定位置の2つの炭素原子に結合する水素原子をエチニル基で置換した後に、エチニル基同士を閉環反応させ工程を繰り返す方法、(2)原料化合物の所定位置の炭素原子に結合する水素原子をトリフラート基で置換し、フラン又はその誘導体と反応させ、続いて酸化させる工程を繰り返す方法等が挙げられる。これらの方法を用いたアセン骨格を有する化合物(I)〜(J)の合成例を以下に示す。
方法(1)
Figure 2006179703
方法(2)
Figure 2006179703
また、上記方法(2)では、アセン骨格のベンゼン環を一つずつ増やす方法であるため、例えば原料化合物の所定部分に反応性の小さな側鎖又は保護基が含まれていても同様にアセン骨格を含む化合物(K)を合成できる。この場合の合成例を以下に示す。
Figure 2006179703
なお、Ra、Rbは、炭化水素基やエーテル基等の反応性の小さな側鎖又は保護基であることが好ましい。
また、上記方法(2)の反応式中、2つのアセトニトリル基及びトリメチルシリル基を有する出発化合物を、これら基が全てトリメチルシリル基である化合物に変更してもよい。また、上記反応式中、フラン誘導体を使用した反応後、反応物をヨウ化リチウム及びDBU(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)下で、還流させることで、出発化合物よりベンゼン環数が1つ多く、かつヒドロキシル基が2つ置換した化合物を得ることができる。
アセナフテン骨格及びペリレン骨格を有する化合物(L)〜(M)は、例えば以下のように合成できる。
Figure 2006179703
また、側鎖として、窒素原子が2個の芳香族環基で置換された2級アミノ基をペリレン骨格に挿入する手法としては、あらかじめ側鎖の挿入部分をハロゲン化させた後に、金属触媒存在下で上記2級アミノ基をカップリングさせる手法が挙げられる。例えば上記ペリレン分子の場合、例えば以下の手法により2級アミノ基を挿入できる。
Figure 2006179703
また、上記合成例で使用した原料は、汎用の試薬であり、試薬メーカーより入手、利用できる。例えばテトラセンは東京化成より純度97%以上で入手できる。
有機シラン化合物は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等により反応溶液から単離、精製することができる。
アンカー膜の形成方法は、単分子膜を形成することができさえすれば特に限定されない。アンカー膜表面の均一性を考慮すると、LB法、浸漬法、CVD法の順に均一性の高い膜を形成することができる。また、蒸着法を用いてもよい。
例えば、有機シラン化合物をヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素等の無水の有機溶媒に溶解する。得られた溶液(例えば、1mM〜100mM程度の濃度)中に、薄膜を形成しようとする基板を浸漬して、引き上げる。又は、得られた溶液を基板表面に塗布してもよい。その後、非水系有機溶媒で洗浄し、水洗し、放置するか加熱することにより乾燥して、有機薄膜を定着させる。この薄膜は、そのまま有機薄膜として用いてもよいし、更に電解重合等の処理を施して用いてもよい。
有機シラン化合物がシラノール結合を介して結合するためには、シリル基に結合する官能基が脱離して水酸基又はプロトンに置換される必要がある。置換されたシリル基は、ゲート絶縁膜表面の水酸基(又はカルボキシル基)と反応し、シラノール結合が形成される。
また、隣り合う式(1)におけるSiがそのまま、又は酸素原子を介して架橋する場合には、例えば、Si−O−Siネットワークに制御されて、隣り合うユニット間距離が小さく、かつより高度に結晶化される。特に、ユニットが、直鎖に配置されている場合には、隣り合うユニット同士は結合せずに、隣り合うユニット間距離を最小限にして、高度に結晶化された材料を得ることができる。このようなユニットの配向により、基板の表面方向にキャリア輸送機能を示すアンカー膜を得ることができる。言い換えると、基板表面に対して、垂直方向と表面方向で、電気特性が異なる電気的異方性を有するアンカー膜を得ることができる。
アンカー膜を形成した後は、非水系溶媒を用いてアンカー膜から未反応の有機シラン化合物を洗浄除去することが好ましい。
(有機薄膜)
有機薄膜の材料は、当該分野で公知の材料や上記有機シラン化合物からシリル基を除いた化合物を使用できる。有機薄膜材料としては、トランジスタ駆動又は材料供給を考慮すると以下の低分子化合物ならびに高分子化合物が好ましい。
低分子化合物としては、分子量1,000未満の化合物が好ましく、具体的には、3〜10個のベンゼン環を縮合させたアセン、チオフェンを3〜10個繰り返したオリゴチオフェン、ベンゼンを3〜10個繰り返したオリゴフェニレン、ベンゼン及びビニレンを1〜10個繰り返したオリゴフェニレンビニレン、ベンゼン及びチオフェンを1〜10個繰り返したオリゴフェニレンチオフェンが挙げられる。
高分子化合物としては、数平均分子量1,000以上の化合物が好ましく、繰り返しユニットが、チオフェン系、フェニレンビニレン系、アセン系である化合物が挙げられる。中でもナフタセン、ペンタセン、ペリレン、ルブレン、クインケチオフェン(α−5T)、セクシチオフェン(α−6T)、セクシフェニレン、ユニット数3のオリゴフェニレンビニレン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリフェニレンビニレン(PPV)及びそれらの誘導体が特に好ましい。
更に、フラーレン(C60)、C60−フューズド ピロリジン−メタ−C12フェニル(C60MC12)、[6、6]−フェニルC61−ブタン酸メチルエステル(PCBM)等のフラーレン系化合物も使用できる。
また、単独で形成した場合、アンカー膜に比べ、結晶性が低い有機薄膜を用いることができる。アンカー膜の結晶性が高ければ、有機薄膜はアンカー膜が有している結晶性の影響を受け、容易に結晶化され、電子移動度の高い有機薄膜トランジスタを得ることができる。
有機薄膜の製造方法としては、SAM法(例えば、LB法、蒸着、ディプ、浸漬、キャスト、CVD法等)のような有機薄膜を形成しうる一般的な手法がすべて適用できるが、材料・量産のコストを勘案して適宜設定される。
なお、本明細書における、SAM法、LB法、蒸着、ディップ、浸漬、キャスト、CVD法の定義を下記する。
SAM法は、Self−Assembled Monolayerの略であり、自己組織化可能な材料を用いて膜を形成する手法を指しており、LB法/浸漬法(ディップ法)/キャスト法/CVD法いずれの方法も含まれる。
LB法は、Langmuir−Blodgett法の略であり、水面上に疎水基と親水基のバランスのとれた両親媒性の物質を水面上に展開し、単分子膜といわれる分子一層の膜を作製、さらにそれを基板に転写する手法である。
蒸着法は、原料を加熱することにより蒸気とし、それを所望の領域に堆積させる方法であり、例えば有機半導体材料の場合には、抵抗加熱による蒸着法が使用できる。
浸漬法(ディップ法)は、ある溶液に対して、基板を漬け、次いで引上げることで膜を形成する方法であり、結晶性を有する材料の場合、特有の構造の結晶を成長させることができる。
キャスト法は、所望の領域に対して原料を含む溶液を滴下、乾燥することにより膜を形成する方法を意味し、インクジェットも含まれる。
CVD法は、密閉容器や密閉空間内で、溶液を加熱/蒸発させ、気化された分子を基板表面に気相で吸着させる方法を意味する。
なお、有機TFTの製造方法としては、例えば、
(1)基板上にゲート電極を形成する工程と、該ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上に有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜を形成する工程と、該アンカー膜上に有機薄膜を形成する工程と、該有機薄膜を形成する前に前記アンカー膜上にソース/ドレイン電極を形成するか又は前記有機薄膜上にソース/ドレイン電極を形成する工程とを含む
(2)基板上にソース/ドレイン電極を形成する工程と、該ソース/ドレイン電極上に有機薄膜を形成する工程と、該有機薄膜上に有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜を形成する工程と、該アンカー膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程とを含む
(3)基板上に有機薄膜を形成する工程と、該有機薄膜上にソース/ドレイン電極を形成する工程と、該ソース/ドレイン電極間の有機薄膜上に有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜を形成する工程と、該アンカー膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程とを含む
方法が挙げられる。上記方法の内、アンカー膜による有機薄膜の結晶性の調整が容易である方法(1)が好ましい。
実施例1
図1に示す有機薄膜トランジスタを作製するために、まず、シリコンからなる基板1上にクロムを蒸着し、ゲート電極2を形成した。
次に、プラズマCVD法によりチッ化シリコン膜からなるゲート絶縁膜3を堆積した後、クロム、金の順に蒸着を行い、通常のリソグラフィー技術によりソース/ドレイン電極(5、7)を形成した。
続いて、得られた基板を、過酸化水素と濃硫酸の混合溶液(混合比3:7)中において1時間浸漬し、ゲート絶縁膜3表面を親水化処理した。その後、得られた基板を嫌気条件において、ペンタセントリエトキシシランを非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解した20mM溶液に5分間浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、アンカー膜4を形成した。続いて、上記基板を真空中に導入し、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でペンタセン薄膜を100nm蒸着して有機薄膜6を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で形成した有機薄膜について、原子間力顕微鏡観察による形状確認を行ったところ、ペンタセン蒸着膜に起因するΦ4μmの樹枝状グレインが確認できた。
また、上記で得られた有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が2.2×10-1cm2/Vsで、オン/オフ比が約6桁であり、良好な性能が得られた。
比較例1
実施例1と同様に基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース及びドレイン電極を形成した。この後、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でペンタセンを100nm蒸着して有機薄膜を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で形成した有機薄膜について、原子間力顕微鏡観察による形状確認を行ったところ、ペンタセン蒸着膜に起因するΦ1μmの樹枝状グレインが確認できた。
上記で得られた有機薄膜トランジスタは電界効果移動度が1.0×10-1cm2/Vsで、オン/オフ比が約5桁であった。
比較例2
実施例1と同様に基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース及びドレイン電極を形成した。続いて、得られた基板を、過酸化水素と濃硫酸の混合溶液(混合比3:7)中において1時間浸漬し、絶縁膜表面を親水化処理した。その後、得られた基板を嫌気条件において、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)を非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解した2mM溶液に5分間浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、OTS膜を形成した。さらに続いて、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でペンタセン薄膜を100nm蒸着して有機薄膜を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で形成した有機薄膜について、原子間力顕微鏡観察による形状確認を行ったところ、ペンタセン蒸着膜に起因するΦ2.5μmの樹枝状グレインが確認できた。
上記で得られた有機薄膜トランジスタは電界効果移動度が1.5×10-2cm2/Vsで、オン/オフ比が約5桁であった。
実施例2〜18及び比較例3〜9
表2に示したようにアンカー膜及び有機薄膜の原料及び両膜の形成方法を変更すること以外は、実施例1と同様にして有機TFTを得た。得られた有機TFTの移動度及びオン/オフ比を実施例1と同様にして測定し、結果を表2に示した。
Figure 2006179703
表2中の有機薄膜の原料(1)〜(13)を下記する。また、これら原料の製造方法は、実施例の最後に合成例としてまとめて記載する。なお、Etはエチル、Meはメチルを意味する。
Figure 2006179703
表2中、同じ有機薄膜を使用する実施例と比較例において、アンカー膜を使用しない比較例に対する実施例の移動度及びオン/オフ比の向上割合をまとめて表3に示す。また、比較例1に対する比較例2の移動度及びオン/オフ比の向上割合も表3に示す。
Figure 2006179703
表2中、同じ有機薄膜を使用しアンカー膜を使用しない比較例に対する実施例の移動度及びオン/オフ比の向上割合を、アンカー膜の形成方法が同じ実施例毎にまとめて表4に示す。
Figure 2006179703
表2中、同じ有機薄膜を使用しアンカー膜を使用しない比較例に対する実施例の移動度及びオン/オフ比の向上割合を、有機薄膜の形成方法が同じ実施例毎にまとめて表5に示す(アンカー膜の形成方法が浸漬法の実施例のみ)。
Figure 2006179703
表2〜5から、実施例及び比較例により、キャリア輸送機能を有するアンカー膜を挿入した場合に、デバイス特性(移動度、オン/オフ比)が高くなること、有機薄膜のグレインサイズを大きくできることがわかる。
より具体的には、表2から、キャリア輸送機能のないOTSからなる単分子膜をアンカー膜として備えた比較例2の有機TFTの移動度は、アンカー膜のない比較例1の有機TFTの1.5倍であることがわかる。これに対して、実施例の有機TFTの移動度は、平均値で、比較例1の有機TFTの1.9倍〜6.7倍である。よって、キャリア輸送機能を有する単分子膜をアンカー層として備えた実施例の有機TFTは、いずれの有機薄膜種においてもデバイス特性の向上効果が高いことがわかった。
更に、表4から、アンカー膜の製造方法は、CVD法、浸積法、LB法の順に移動度及びオン/オフ比が向上することがわかる。なお、量産を考慮すると、LB法より浸積法の方が、製造工程が簡略でかかる時間も短縮できるため、最も良好な方法であるといえる。
また、有機薄膜の形成方法が溶液塗布法(平均5.1倍)である場合の方が、蒸着法(平均2.9倍)である場合に比べて良好な結果となった。加えて、溶液塗布法は、蒸着法より簡単に有機薄膜が得られるという効果も有する。よって、溶液塗布法は、有機薄膜の形成方法として、最も良好な手段といえる。
合成例1:グリニヤール法によるターチオフェントリクロロシランの合成(原料(1))
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、ターチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモターチオフェンを得た。続いて、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにSiCl4(テトラクロロシラン)1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った(グリニヤール反応)。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応のテトラクロロシランをストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を55%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1060cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
また、化合物を含む溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長360nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるターチオフェン分子のπ→π*遷移に起因しており、化合物がターチオフェン分子を含むことが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。この化合物は、直接NMR測定することが、化合物の反応性が高いことより不可能であるため、化合物をエタノールと反応させ(塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に交換した後に測定を行った。
7.50ppm〜7.00ppm(m) (7H チオフェン環由来)
2.20ppm(m) (3H エトキシ基由来)
これらの結果から、この化合物が式(2)で示されるターチオフェントリクロロシランであることを確認した。
合成例2:クォーターチオフェントリクロロシランの合成(原料(2))
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、クオーターチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモクオーターチオフェンを得た。続いて、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモクオーターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにSiCl4(テトラクロロシラン)1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応のテトラクロロシランをストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を45%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1060cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
また、化合物を含む溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長390nmに吸収が観測された。更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。この化合物は、直接NMR測定することが、化合物の反応性が高いことより不可能であるため、化合物をエタノールと反応させ(塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に交換した後に測定を行った。
7.30ppm(m) (1H チオフェン環由来)
7.20ppm〜7.00ppm(m) (8H チオフェン環由来)
2.20ppm(m) (3H エトキシ基由来)
これらの結果から、この化合物がクオーターチオフェントリクロロシランであることを確認した。
合成例3:クゥインケチオフェントリエトキシシランの合成(原料(3))
まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、ビチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモビチオフェンを得た。
続いて、合成例1の中間体であるブロモターチオフェン0.5モルを合成し、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。さらに前記ブロモビチオフェン0.5モルを加え、50℃4時間反応させることで、クゥインケチオフェンを合成した。続いて、前記クゥインケチオフェン0.2モルをAIBN存在下でNBSと反応させることでブロモクゥインケチオフェンを合成した後、金属マグネシウムと反応させ、グリニヤール試薬を合成し、さらに、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにトリエトキシクロロシラン1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応物をストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を45%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1050cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.3ppm(m) (2H チオフェン環由来)
6.6ppm(m) (8H チオフェン環由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
1.2ppm(m)(9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例4:2−エチルクゥインケチオフェントリエトキシシランの合成(原料(4))
まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、2−エチルビチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、2−エチル−5’’−ブロモビチオフェンを得た。
続いて、合成例1の中間体であるブロモターチオフェン0.5モルを合成し、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。さらに前記2−エチル−5’’−ブロモビチオフェン0.5モルを加え、50℃4時間反応させることで、2−エチルクゥインケチオフェンを合成した。続いて、前記クゥインケチオフェン0.2モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−エチル−5’’’’’−ブロモクゥインケチオフェンを合成した後、金属マグネシウムと反応させ、グリニヤール試薬を合成し、さらに、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにトリエトキシクロロシラン1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応物をストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を45%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1050cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.3ppm(m) (2H チオフェン環由来)
7.2ppm(m) (8H チオフェン環由来)
3.8ppm(m) (2H エチル基メチレン基由来)
3.5ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
2.6ppm(m) (3H エチル基メチル基由来)
1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例5:2−メチルゼクシチオフェントリメトキシシランの合成(原料(5))
まず、合成例1の中間体であるブロモターチオフェン1.5モルを合成した。続いて、前記ブロモターチオフェン1.0モルを、ブロモメタン1.0モルと60℃、3時間反応させることで、メチルターチオフェンを合成した。続いて、前記メチルターチオフェン0.7モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−メチル−5’’−ブロモターチオフェンを合成した。
一方、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
続いて、前記2−メチル−5’’−ブロモターチオフェンをさらに加え、60℃、4時間反応させることで、2−メチルゼクシチオフェンを合成した。さらに、前記2−メチルゼクシチオフェン0.2モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−メチル−5’’’’’’−ブロモゼクシチオフェンを合成した後、金属マグネシウムと反応させ、グリニヤール試薬を合成し、さらに、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにトリエトキシクロロシラン1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応物をストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1050cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.3ppm(m) (2H チオフェン環由来)
7.1ppm(m) (10H チオフェン環由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
2.6ppm(m) (3H メチル基由来)
1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例6:クゥインケフェニルトリクロロシランの合成(原料(6))
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、クゥインケフェニル0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコに、SiCl4(テトラクロロシラン)1.0モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後、30℃にて1時間成熟を行った(グリニヤール反応)。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液からトルエンおよび未反応のテトラクロロシランをストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を50%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1080cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
さらに化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。得られた化合物を直接NMR測定することは、化合物の反応性が高いことより不可能であるため、化合物をエタノールと反応させ(塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に変換した後、測定を行った。
7.95ppm〜7.35ppm(m) (21H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、得られた化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例7:ゼクシフェニルトリクロロシランの合成(原料(7))
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、ゼクシフェニル0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコに、SiCl4(テトラクロロシラン)1.0モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後、30℃にて1時間成熟を行った(グリニヤール反応)。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液からトルエンおよび未反応のテトラクロロシランをストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を45%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1070cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
さらに化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。得られた化合物を直接NMR測定することは、化合物の反応性が高いことより不可能であるため、化合物をエタノールと反応させ(塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に変換した後、測定を行った。
7.95ppm〜7.35ppm(m) (25H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、得られた化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例8:トリエトキシシラニルアントラセンの合成(原料(8))
トリエトキシシラニルアントラセンは以下の手法により合成した。まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに四塩化炭素50mLに溶解させたアントラセン1mM及びNBSを加え、AIBN存在下で1.5時間反応させた。未反応物及びHBrをろ過により除去した後、カラムクロマトグラフを用いて、1箇所のみがブロモ化された貯留物を取り出すことにより、9−ブロモアントラセンを得た。続いて、金属マグネシウムと反応させグリニヤール試薬を形成した後、クロロトリエトキシシランの四塩化炭素溶液中に溶解、60℃2時間反応させることにより、標記の化合物を合成した(収率15%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.60ppm(m)
(9H 芳香族由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.5ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例9 トリエトキシシラニルテトラセンの合成(原料(9))
トリエトキシシラニルテトラセンは以下の手法により合成した。まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに四塩化炭素50mLに溶解させたテトラセン1mM及びNBSを加え、AIBN存在下で1.5時間反応させた。未反応物及びHBrをろ過により除去した後、カラムクロマトグラフを用いて、1箇所のみがブロモ化された貯留物を取り出すことにより、9−ブロモテトラセンを得た。続いて、金属マグネシウムと反応させグリニヤール試薬を形成した後、H−Si(OC253のクロロホルム溶液中に溶解、60℃2時間反応させることにより、標記の化合物を合成した(収率10%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。化合物を含むクロロホルム溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長481nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるテトラセン骨格のπ→π*遷移に起因しており、化合物がテトラセン骨格を含むことが確認できた。
更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.30ppm(m)
(11H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例10 トリエトキシシラニルペンタセンの合成(原料(10))
トリエトキシシラニルペンタセンは以下の手法により合成した。まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに四塩化炭素50mLに溶解させたペンタセン1mM及びNBSを加え、AIBN存在下で1.5時間反応させた。未反応物及びHBrをろ過により除去した後、カラムクロマトグラフを用いて、1箇所のみがブロモ化された貯留物を取り出すことにより、9−ブロモペンタセンを得た。続いて、金属マグネシウムと反応させグリニヤール試薬を形成した後、H−Si(OC253のクロロホルム溶液中に溶解、60℃2時間反応させることにより、標記の化合物を合成した(収率10%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。
更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.30ppm(m)(13H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例11:2−メチル10−トリエトキシシラニルペンタセンの合成(原料(11))
2−メチル10−トリエトキシシラニルペンタセンは、以下の手法により合成した。
まず、ブロモメタンを含む、例えばクロロホルム溶液中に、マグネシウムを加えることによって、グリニヤール試薬を形成させた。続いて、前記合成例1の10−ブロモペンタセンのクロロホルム溶液をゆっくりと加えることによって、10−メチルペンタセンを形成した。つづいて、例えばNBSを用いて前記中間体をブロモ化した後に、2位以外がブロモ化された化合物を抽出により除去することによって、2−ブロモ−10−メチルペンタセンを得た。更に、H−Si(OC253をクロロホルム中に溶解させ、その溶液を、前記3−ブロモ−9−オクタデシルテトラセンを含むクロロホルム溶液に加えることによって反応させ、標記の化合物を合成した(収率12%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。
更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.30ppm(m)(13H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
2.8ppm(m) (3H メチル基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例12:トリクロロ−(4−{2−[4−(2−p−トリル−エチル)−フェニル]−エチル}−フェニル)シランの合成(原料(12))
前記化合物については、以下の手法により合成を行った。
まず、200mlナスフラスコに、α―ブロモキシレン(50mM)とトリエチルホスファイト(60mM)を仕込み、攪拌しながら、140℃まで温度を上昇させることにより反応を進行させた。更に180℃まで温度を上げ、トリエチルホスファイトの残存物を破壊した後、冷却することによって4−(メチル−ベンジル)−フォスホン酸を形成した。続いて、攪拌器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに水酸化ナトリウム10mMをアルゴン雰囲気中で乾燥DMFに加え、溶液温度を0℃とした後に、前記4−(メチル−ベンジル)−フォスホン酸(8mM)とトランス−4−スチルベンカルボキシアルデヒド(7mM)のDMF溶液(50ml)をゆっくりと加え、24時間攪拌し、反応を進行させた。反応終了後、生成物をエタノールで抽出することにより、4−[(E)−2−[4−{(E)−2−フェニルビニル}−フェニル]−ビニル]−フェニルメタンを合成した。更に、前記化合物Gを四塩化炭素に溶解させた後、NBSを加え、AIBNを加え、2時間攪拌したのち、減圧濾過し、下記構造式にて示される中間体4を合成した。
Figure 2006179703
更に続いて、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに中間体4を仕込み、1.0モルのテトラクロロシラン及びトルエン200mlを仕込み、氷冷し、内温10℃にて、前記中間体4を1時間かけて加え、滴下後、1時間成熟させることより、上記構造式で示される化合物を合成した。
形成した目的化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1070cm-1にSiC由来の吸収が確認され、化合物がSiC結合が含まれることが確認できた。更に、化合物の核磁気共鳴測定を行った。この化合物は反応性が高く、直接NMR測定できないため、エタノールと反応させ、末端の塩素をエトキシ基に交換した後に測定を行った。
7.4ppm〜7.2ppm(m) (12H フェニル骨格由来)
7.1ppm〜7.0ppm(m) (4H ビニル基骨格由来)
3.8ppm〜3.7ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
2.5ppm〜2.4ppm(m) (3H メチル基由来)
1.4ppm〜1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果からこの化合物が、上記構造式にて表される化合物であることが確認できた。
合成例13:トリエトキシ−[2,2’;6’,2”]テルナフタレン−6−イル−シランの合成(原料(13))
まず、2−ブロモナフタレン(CASno.90−11−9)を50mM含む四塩化炭素溶液中に100mM NBS及びAIBNを加え、N2雰囲気下で60℃2時間反応させることで、2,6−ジブロモナフタレンを合成した。続いて、2−ブロモナフタレン40mMをTHFに溶解させ、金属マグネシウムを加えN2雰囲気下60℃1時間反応させることでグリニヤール試薬を合成した後、前記2,6−ジブロモナフタレン20mMを含むTHF溶液に前記グリニヤール試薬を加え、20℃9時間反応させることで、[2,2’;6’,2’’]Ternaphthaleneを合成した。その後、前記[2,2’;6’,2’’]テルナフタレンを10mM含む四塩化炭素溶液中に20mM NBS及びAIBNを加え、N2雰囲気下で60℃2時間反応させることで、6−ブロモ−[2,2’;6’,2’’]テルナフタレンを形成した後、金属マグネシウムを加えN2雰囲気下60℃1時間反応させることでグリニヤール試薬を合成し、さらに、クロロトリエトキシシラン10mMを加え60℃2時間反応させることで標記の化合物を収率40%で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1090cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.9ppm(m) (4H 芳香族)
7.6ppm(m) (8H 芳香族)
7.5ppm(m) (4H 芳香族)
7.3ppm(m) (3H 芳香族)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基)
1.5ppm(m) (9H エトキシ基メチル基)
この結果から、得られた化合物がトリエトキシ−[2,2’;6’,2”]テルナフタレン−6−イル−シランであることを確認した。
本発明の有機薄膜トランジスタの概略構成図である。 図1の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁膜、アンカー膜及び有機薄膜部分の拡大図である。 従来の有機薄膜トランジスタの概略構成図である。
符号の説明
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 アンカー膜
5、7 ソース/ドレイン電極
6 有機薄膜
10 キャリア移動方向を示す矢印
11 アンカー膜/有機薄膜界面を横断したキャリア移動を示す矢印

Claims (12)

  1. 有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とゲート絶縁膜との間に、有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜とを備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記アンカー膜は、結晶性を有することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記アンカー膜が、0.5nm〜3nmの厚さであることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記有機シラン化合物が、π電子共役系分子を含むことを特徴とする請求項1記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123・・・(1)
    (R1は、ベンゼンを2〜6個繰り返した1価の基、チオフェンを2〜6個繰り返した1価の基、2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基、及びそれらの組み合わせから選択されたπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項1の記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123・・・(1)
    (R1は、チオフェンを2〜6個繰り返した1価の基からなるπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項1の記載の有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123・・・(1)
    (R1は、2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基からなるπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項1の記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123 ・・・(1)
    (R1は、ベンゼンを2〜6個繰り返した1価の基、チオフェンを2〜6個繰り返した1価の基及び2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基から選択される基を少なくとも2種以上含むπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項1の記載の有機薄膜トランジスタ。
  9. 前記有機薄膜が、低分子化合物又は高分子化合物を成膜してなる膜であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  10. ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上に有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する単分子膜からなるアンカー膜を形成する工程と、該アンカー膜上に有機薄膜を形成する工程と、該有機薄膜を形成する前に前記アンカー膜上にソース/ドレイン電極を形成するか又は前記有機薄膜上にソース/ドレイン電極を形成する工程とを含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  11. 前記アンカー膜が、浸漬法又はLB法により形成されることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  12. 前記有機薄膜が、溶液塗布法により形成されることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
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