JP2008012013A - 洗浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属イオンを繊維構造体に短時間で効率よく、一様に付与することのできる洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗濯機は、内部に繊維構造体を収容する洗濯槽と、洗濯槽に水を供給する水供給部とを備え、洗濯槽の内部に収容された繊維構造体に含まれた水分を除去する脱水工程S204と、脱水工程で水分を除去された繊維構造体に水供給部が金属イオンを含む水を接触させることにより、金属イオンを繊維構造体に付着させる金属イオン付着工程S400Aと、金属イオンが付着された繊維構造体に水供給部から水を供給し、その水で繊維構造体を撹拌することにより繊維構造体に付着した金属イオンを水に分散させる金属イオン分散工程S400−2とを行う。
【選択図】図10

Description

この発明は、一般的には洗浄装置に関し、特定的には、繊維構造体に金属イオンを付与することが可能な洗浄装置に関する。
繊維構造体の洗浄装置として、たとえば、洗濯機で洗濯を行う際、水、特にすすぎ水に仕上物質を加えることがよく行われる。一般的な仕上物質としては、柔軟剤、のり剤等を挙げることができる。近年、上記の仕上物質に加えて、洗濯物である繊維構造体に抗菌性を付与するために、仕上物質として金属イオン(例えば、銀イオン)を繊維構造体に付与することが可能な洗濯機がある。そこで、これらの複数の仕上物質を併用して洗濯物の仕上げを行う洗濯機が提案されている。
そのような洗濯機では、洗濯物に対して抗菌効果を最大限に引き出すため、いかにして多くの金属イオンを洗濯物に残すかが重要である。また、すべての洗濯物に抗菌効果を付与するために、いかにして金属イオンをばらつきなく一様に洗濯物に付与できるかが重要である。
たとえば、特開2004−166940号公報(特許文献1)に記載の洗濯機においては、繊維構造体を金属イオン水に浸漬させる時間をコントロールして、短時間で多くの金属イオンを繊維構造体に一様に付与する工夫がなされている。
特開2005−87712号公報(特許文献2)に記載の洗濯機においては、金属イオンを含む水をシャワー状にして、金属イオンを繊維構造体に付与する。このようにすることにより、金属イオンを含む水の液滴径を小さくし、空気との接触面積を大きくして水分が乾燥しやすい状態になるので、金属イオンが結晶化しやすい状態で繊維構造体に付与される。また、通常の繊維構造体はもちろん、水分が浸透しにくい疎水性の繊維構造体にも、結晶化した抗菌物質(金属イオン)を確実に付与できる。特開2005−87712号公報(特許文献2)には、繊維構造体のためすすぎの際や、脱水中、あるいは乾燥時に温風を供給しながら、銀イオンをシャワー状にして付与する方法が記載されている。
これらの洗濯機においては、金属イオンを含む水を洗濯物である繊維構造体内部に染み込ませる。金属イオンが水とともに洗濯物に染み込んだ状態で洗濯物を乾燥させて水を蒸発させることにより、金属イオンが洗濯物の繊維構造体内部にてメタルとなって析出し、洗濯物の抗菌が可能となる。
特開2004―166940号公報 特開2005―87712号公報
しかしながら、特開2004−166940号公報(特許文献1)に記載の洗濯機においては、金属イオン水に繊維構造体を浸漬させるために、比較的多量の水が必要である。そのため、水を溜める時間がかかり、その分洗濯機の運転時間が長くなり、電力消費量が多くなる。また、金属イオンを繊維構造体に付着させて除菌効果を与えるためには、繊維構造体を浸漬する水に一定以上の濃度の金属イオンを溶解させる必要があるため、溶媒である水が多量であると、金属イオンの発生源となる金属電極の消費も多量となり、金属電極の寿命が短くなってしまう。金属電極の寿命を延長するには、金属電極の質量を大きくすることが考えられるが、これはコストがかかり、地球資源の浪費にもつながる。
一方、特開2005−87712号公報(特許文献2)の構成によれば、シャワーの当たった繊維構造体には確実に金属イオンが残り、抗菌効果を付与することができるので、特に洗濯物が少量で金属イオン水のシャワーが洗濯物の全体に当たる場合には十分な効果を発揮する。しかし、洗濯物が大量にある場合、シャワーから発生した金属イオンを含む液滴は洗濯物に浸透する前に蒸発してしまうため、その液滴に溶解していた金属イオンが繊維構造体の外で析出してしまう。そのため、洗濯物全体に効率よく均等に金属イオンを付着させることが難しい。
また、特開2005−87712号公報(特許文献2)に記載されている洗濯機においては、金属イオンを含む水に洗濯物を浸漬することで金属イオンを付与するよりも、金属イオンを含む水をシャワー状にして洗濯物に金属イオンを付与する方が、効果的な抗菌性が得られることが記載されている。つまり、洗濯物を浸漬させて金属イオンを付与するのみでは、十分な抗菌の効果を得ることができない。
そこで、この発明の目的は、金属イオンを繊維構造体に短時間で効率よく、一様に付与することのできる洗浄装置を提供することである。
この発明に従った洗浄装置は、内部に繊維構造体を収容する洗浄槽と、洗浄槽に水を供給する水供給部とを備えた洗浄装置において、洗浄槽の内部に収容された繊維構造体に含まれた水分を除去する脱水工程と、脱水工程で水分を除去された繊維構造体に水供給部が金属イオンを含む水を接触させることにより、金属イオンを繊維構造体に付着させる金属イオン付着工程と、金属イオンが付着された繊維構造体に水供給部から水を供給し、水で繊維構造体を撹拌することにより繊維構造体に付着した金属イオンを水に分散させる金属イオン分散工程とを行うことを特徴とする。
金属イオン付着工程に先立って脱水工程で繊維構造体から水分を除去することにより、繊維構造体が水分を吸収しやすい状態になる。繊維構造体が水分を吸収しやすい状態にすることによって、金属イオン付着工程において高濃度の金属イオン水を繊維構造体に付与するときに、洗浄槽内に供給された水分中に含まれる金属イオンが繊維構造体に浸透しやすくなる。
金属イオンが繊維構造体内部に浸透しやすくなるので、金属イオンを含む水の量や、水に含ませる金属イオンの量を多くする必要がない。従って、水の消費量と金属電極の消費量を抑えることができる。また、脱水工程を経て水分を吸収しやすい繊維構造体に金属イオン水を吸収させるので、短時間に効率よく金属イオンを繊維構造体に付着させることができるため、洗浄装置の運転に要する電力の消費も抑えられる。
このようにすることにより、金属イオンを少ない水量でかつ高濃度で繊維構造体に付与することができ、金属イオンを繊維構造体に付着させた後に、たとえば、すすぎを行っても、金属イオンが繊維構造体に残留しやすくなる。また、金属イオンを繊維構造体に付着させるために、繊維構造体が水に浸るまで金属イオンを含む水を貯留する必要がないので、節水することができる。さらに、金属イオンを含む水に繊維構造体を浸漬する必要がないので、金属イオン付着工程に要する時間を短縮することができる。
金属イオン付着工程において繊維構造体に金属イオンを付与した後、金属イオン分散工程において繊維構造体を水中で攪拌することにより、一旦繊維構造体に付着した金属イオンの一部が水中に再分散する。洗浄槽内の水は金属イオンが分散した水となり、水中で攪拌されている繊維構造体は金属イオンが分散された水に再接触するので、繊維構造体全体に一様に金属イオンが再び付着する。
このようにすることにより、繊維構造体における金属イオン付着量のばらつきを抑制し、繊維構造体全体に満遍なく金属イオンを付着させることができる。
以上のようにして、短時間に必要最小限の金属イオンで、繊維構造体に満遍なく金属イオンを付与し、結果として繊維構造体に優れた抗菌効果を付与することが可能となる。このようにして、金属イオンを繊維構造体に短時間で効率よく、一様に付与することのできる洗浄装置を提供することができる。
この発明に従った洗浄装置は、金属イオン付着工程において、洗浄槽を回転させることが好ましい。
このようにすることにより、金属イオン付着工程において金属イオン水を繊維構造体に付与するときに、繊維構造体のある一面にのみに偏らず、全体に金属イオン水を行き渡らせることができる。
この発明に従った洗浄装置は、金属イオン付着工程において、洗浄槽内に収容された繊維構造体を洗浄槽内で移動させることが好ましい。
このようにすることにより、金属イオン付着工程において金属イオン水を繊維構造体に付与するときに、繊維構造体のある一面にのみに偏らず、全体に金属イオン水を行き渡らせることができる。
この発明に従った洗浄装置は、金属イオン分散工程において、金属イオンと異なる別の物質を含む水を供給することが好ましい。
金属イオン分散工程においては、一旦繊維構造体に付着した金属イオンが再分散し、繊維構造体全体に付着する。この金属イオン分散工程において、金属イオンと異なる別の物質を含む水が繊維構造体に付与されると、金属イオンと異なる別の物質が、すでに金属イオンを付与された繊維構造体をコーティングするので、先に繊維構造体に付与した金属イオンは、金属イオンと異なる別の物質に遮られ、繊維構造体から必要以上に流出しなくなる。
このようにすることにより、繊維構造体に金属イオンによる抗菌効果を確実に残すことができるとともに、金属イオンと異なる別の物質の効果も付与することができる。
以上のように、この発明によれば、金属イオンを繊維構造体に短時間で効率よく、一様に付与することのできる洗浄装置を提供することができる。
以下に本発明の実施形態について説明する前に、先ず、本発明の明細書に用いられる各種用語について順次説明する。
金属イオンとしては、銀、銅、亜鉛などの金属、または、銀、銅、亜鉛などの少なくとも2種類の金属を含む合金であってもよく、金属イオンを生成する物質であればよい。
また、金属イオンと異なる別の物質とは、主に有機物から成り、柔軟剤、のり剤、香料物質、有機物を主成分とする抗菌剤などの物質である。なお、有機物とは炭素原子を構成の骨格に持つ化合物のことである。
なお、本発明にかかる実施形態においては、金属イオンと異なる別の物質としては、金属イオンよりも分子量(ここでは原子量を含む概念で用いる)が大きいものを選択している。
<第一の実施形態>
(洗濯機の構成)
次に、本発明の第1の実施形態である、繊維構造体を洗浄可能な洗浄装置として、たとえば、洗濯機の実施の形態を図に基づいて説明する。
まず、本実施形態の洗濯機の構成について説明する。
図1は、洗濯機の全体構成を示す垂直断面図である。
図1に示すように、洗濯機1は、全自動型のものであり、外箱10を備えている。外箱10は、直方体形状で、金属または合成樹脂により成形され、その上面および底面は開口部となっている。外箱10の上面開口部には、合成樹脂製の上面板11が重ねられ、この上面板11が外箱10にネジで固定されている。
図1において、左側が洗濯機1の正面、右側が背面とすると、洗濯機1の背面側に位置する上面板11の上面には、合成樹脂製のバックパネル12が重ねられ、このバックパネル12が外箱10または上面板11にネジで固定されている。外箱10の底面開口部には、合成樹脂製のベース13が重ねられ、このベース13が外箱10にネジで固定されている。なお、図1では、これまでに述べてきたいずれのネジの図示をも省略している。
ベース13の四隅には、外箱10を床の上に支えるための脚部14a、14bが設けられている。正面側の脚部14aは、高さ可変のネジ脚であり、これを回して洗濯機1のレベル出しを行う。背面側の脚部14bは、ベース13に一体成型した固定脚である。
上面板11には、後述する洗浄槽としての洗濯槽30に洗濯物を投入するための洗濯物投入口15が形設されている。蓋16は、上面板11にヒンジ部17で結合され、垂直面内で回動するとともに、洗濯物投入口15を上から覆う。
外箱10の内部には、水槽20と、脱水槽を兼ねる洗濯槽30とが配置されている。洗濯槽30が、繊維構造体を収容して洗浄する洗浄槽に相当する。水槽20および洗濯槽30は、両者ともに、上面が開口した円筒形のカップの形状を呈しており、各々の軸線が鉛直方向となり、かつ、水槽20が外側、洗濯槽30が内側となるように同心状に配置されている。
水槽20は、サスペンション部材21によって吊り下げられている。サスペンション部材21は、水槽20の外面下部と外箱10の内面コーナー部とを連結する形で計4箇所に配備され、水槽20を水平面内で揺動できるように支持している。
洗濯槽30は、上方に向かうにつれて緩やかに広がるテーパー形状の周壁を有している。この周壁には、その最上部に環状に配置した複数個の脱水孔31を除き、液体を通すための開口部はない。すなわち、洗濯槽30は、いわゆる「穴なし」タイプである。洗濯槽30の上部開口部の縁には、環状のバランサ32が装着されている。バランサ32は、洗濯物の脱水のため、洗濯槽30を高速回転させたときに、その振動を抑制する働きを有している。洗濯槽30の内部底面には、槽内で洗濯水あるいはすすぎ水の流動を生じさせるためのパルセータ33が配置されている。
水槽20の下面には、駆動ユニット40が装着されている。駆動ユニット40は、モータ41、クラッチ機構42およびブレーキ機構43を含んでおり、その中心部から、脱水軸44とパルセータ軸45とが上向きに突出している。脱水軸44とパルセータ軸45とは、脱水軸44を外側、パルセータ軸45を内側とする二重軸構造となっている。脱水軸44は、下方から上方に向かって水槽20の中に入り込んだ後、洗濯槽30に連結し、これを支えている。パルセータ軸45は、下方から上方に向かって水槽20を貫いてさらに洗濯槽30の中に入り込み、パルセータ33に連結し、これを支えている。脱水軸44と水槽20との間、および、脱水軸44とパルセータ軸45の間には、各々、水もれを防ぐためのシール部材が配置されている。
バックパネル12の下の空間には、電磁的に開閉する給水弁50が配置されている。給水弁50は、バックパネル12を貫通して上方に突きだす接続管51を有している。接続管51には、水道水などの上水を供給する給水ホース(図示せず)が接続されている。また、給水弁50は、容器状の給水口53に接続されている。給水口53は、洗濯槽30の内部に臨む位置にあり、図2に示す構造を有している。
図2は、給水口53の模式的な垂直断面図であり、正面側から見た図である。
図2に示すように、給水口53は、正面側が開口しており、その開口部から引き出し53a(投入ケース)が挿入される。引き出し53aの内部は、複数(本実施形態では左右2個)に区画されている。左側の区画は、洗剤を入れておく準備空間となる洗剤室54である。右側の区画は、洗濯用の仕上剤である柔軟剤等を入れておく準備空間となる仕上剤室55である。洗剤室54の底部には、給水口53の内部に向かって開口する注水口54aが設けられている。仕上剤室55には、サイホン部57が設けられている。給水口53は、引き出し53aの下の箇所にて洗濯槽30に注水する注水口56を有する。
サイホン部57は、仕上剤室55の底面から垂直に立ち上がる内管57aと、内管57aにかぶせられるキャップ状の外管57bとからなる。内管57aと外管57bとの間には、水の通る隙間が形成されている。内管57aの底部は、給水口53の底部に向かって開口している。外管57bの下端は、仕上剤室55の底面と所定の隙間を保ち、ここが水の入口になる。内管57aの上端を超えるレベルまで仕上剤室55に水が注ぎ込まれると、サイホンの作用が起こり、水はサイホン部57を通って仕上剤室55から吸い出され、給水口53の底部に向かい、そこから注水口56を通じて洗濯槽30へと落下する。
給水弁50は、メイン給水弁50aと、サブ給水弁50bと、シャワー用給水弁50cとからなり、これら3つの給水弁に接続管51が枝分かれして接続されている。接続管51の入水側は、ホース等を介して水道の蛇口に接続される。
メイン給水弁50aは、メイン給水管52aを通じて給水口53の天井部の開口に接続される。この開口は、洗剤室54に向かって開いている。したがって、メイン給水弁50aから流れ出す水は、メイン給水管52aから洗剤室54に注ぎ込まれる。
サブ給水弁50bは、サブ給水管52bを通じて給水口53の天井部の開口に接続される。この開口は、仕上剤室55に向かって開いている。したがって、サブ給水弁50bから流れ出す水は、サブ給水管52bから仕上剤室55に注ぎ込まれる。すなわち、メイン給水弁50aから洗剤室54を通って洗濯槽30に注ぐ経路と、サブ給水弁50bから仕上剤室55を通って洗濯槽30に注ぐ経路とは別系統である。
シャワー用給水弁50cは、シャワー給水管52cを介して、後述する給水装置300に接続される。メイン給水管52a、サブ給水管52bおよびシャワー給水管52cの3つの給水管から給水管52は構成されている。
なお、接続管51の中には、図示しないストレーナが配置されている。ストレーナは、給水弁50の中および給水装置300に異物が入り込まないようにするためのものである。
図1に示すように、水槽20の底部には、水槽20および洗濯槽30の中の水を外箱10の外に排出する排水ホース60が取り付けられている。排水ホース60には、排水管61および排水管62から水が流れ込む。排水管61は、水槽20の底面の外周寄りの箇所に接続されている。一方、排水管62は、水槽20の底面の中心寄りの箇所に接続されている。
水槽20の内部底面には、排水管62の接続箇所を内側に囲い込むように環状の隔壁63が固定されている。隔壁63の上部には、環状のシール部材64が取り付けられている。このシール部材64が洗濯槽30の底部外面に固定したディスク65の外周面に接触することにより、水槽20と洗濯槽30との間に独立した排水空間66が形成されている。排水空間66は、洗濯槽30の底部に形成された排水口67を介して洗濯槽30の内部に連通している。
排水管62には、電磁的に開閉する排水弁68が設けられている。排水管62の排水弁68の上流側にあたる箇所には、エアトラップ69が設けられており、エアトラップ69からは導圧管70が延び出している。導圧管70の上端には、洗濯槽30または水槽20の水量検知手段である水位スイッチ71が接続されている。
外箱10の正面側には、制御部80が配置されている。制御部80は、上面板11の下に置かれており、上面板11の上面に設けられた操作/表示部81を通じて使用者からの操作指令を受け、駆動ユニット40、給水弁50および排水弁68などに動作指令を発する。また、制御部80は、操作/表示部81に表示指令を発する。なお、操作/表示部81にて、後述するように、銀イオン水で洗濯を行う通常コースと、通常コースよりも銀イオン濃度の高い銀イオン水で洗濯を行う強濃度コースとを使用者が選択することができるようになっている。
メイン給水弁50aよりも給水経路下流側には、流量検知手段185が配置されている。流量検知手段185は、周知の流量計により構成することができる。流量検知手段185は、図1では、給水弁50に付属しているように描かれているが、配置場所はここに限定されず、後述するイオン溶出ユニット100のところに設けられてもよいし、給水口53のところに設けられてもよい。また、流量検知は、水位スイッチ71によって検知される単位時間当たりの水量変化や、単位水量の変化に要する時間などから演算して求めるという手法で行うこともできる。また、流量検知を行わず、一般的な給水水圧では、ある範囲の流量しか流れない弁を用いて、流量をある範囲内に設定する構成であってもよい。
次に、図3〜図6を参照して、洗濯機1の基本的な動作の説明を行う。
図3は、洗濯機1の洗濯工程全体のフローチャートである。
図3に示すように、ステップS201では、設定した時刻に洗濯を開始する、予約運転の選択がなされているかどうかを確認する。なお、この時点までに、使用者により金属イオンとして銀イオンを含む銀イオン水で洗濯を行う通常コースと、通常コースよりも銀イオン濃度の高い銀イオン水で洗濯を行う強濃度コースのどちらを実施するかは選択されている。予約運転が選択されていればステップS206に進む。選択されていなければステップS202に進む。
ステップS206に進んだ場合は運転開始時刻になったかどうかの確認が行われる。運転開始時刻になったらステップS202に進む。
ステップS202では洗い工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択がなされていればステップS300に進む。ステップS300の洗い工程の内容は別途図4のフローチャートで説明する。洗い工程終了後、ステップS203に進む。洗い工程の選択がなされていなければステップS202から直ちにステップS203に進む。
ステップS203ではすすぎ工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていればステップS400に進む。ステップS400のすすぎ工程の内容は別途図5のフローチャートで説明する。なお、すすぎ工程は1回または複数回にわたるものである。図3ではすすぎ工程を3回にわたって実施することとし、各回のステップ番号には「ステップS400−1」「ステップS400−2」「ステップS400−3」と枝番号を付して表記している。この場合、「ステップS400−3」は最終すすぎ工程となる。なお、すすぎ工程の回数は使用者が任意に設定できるものであってもよい。
すすぎ工程終了後、ステップS204に進む。すすぎ工程の選択がなされていなければステップS203から直ちにステップS204に進む。
ステップS204では脱水工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていればステップS500に進む。ステップS500の脱水工程の内容は別途図6のフローチャートで説明する。脱水工程終了後、ステップS205に進む。脱水工程の選択がなされていなければステップS204から直ちにステップS205に進む。
ステップS205では制御部80、特にその中に含まれる演算装置(マイクロコンピュータ)の終了処理が手順に従って自動的に進められる。また、洗濯工程が完了したことを終了音で報知する。すべてが終了した後、洗濯機1は次の洗濯工程に備えて待機状態に戻る。
次に、上述した洗い工程、すすぎ工程、脱水工程の各個別工程の詳細について、図4、図5、図6に基づいて説明する。
図4は、洗濯機1の洗い工程における動作の流れを示すフローチャートである。なお、以下の工程においても、所定の判断を行う主体は、制御部80である。
図4に示すように、ステップS301では、水位スイッチ71によって検知されている洗濯槽30内の水位データのとり込みが行われる。ステップS302では、容量センシングの選択がなされているかどうかを確認する。容量センシングが選択されていれば、ステップS308に進み、選択されていなければ、そのままステップS303に進む。
ステップS308では、パルセータ33の回転負荷により、洗濯物の量を測定する。容量センシング後、ステップS303に進む。
ステップS303では、メイン給水弁50aが開き、メイン給水管52aおよび給水口53を通じて洗濯槽30に水が注がれる。このとき、給水口53の洗剤室54に装填された洗剤も、水に混じって洗濯槽30に投入される。なお、この時点では、排水弁68は閉じている。水位スイッチ71が設定水位を検知すると、メイン給水弁50aが閉じ、ステップS304に進む。
ステップS304では、なじませ運転を行う。すなわち、パルセータ33が反転回転し、洗濯物と水とを攪拌して、洗濯物を水になじませる。これにより、洗濯物に水を十分に吸収させることができる。また、洗濯物の各所にとらわれていた空気を逃がすこともできる。なじませ運転の結果、水位スイッチ71の検知する水位が当初より下がったときは、ステップS305で、メイン給水弁50aを開いて水を補給し、設定水位を回復させる。
このとき、「布質センシング」を行う洗濯コースを選択していれば、なじませ運転と共に布質センシングが実施される。なじませ運転を行った後、設定水位からの水位変化を検出し、水位が規定値以上に低下していれば、吸水性の高い布質であると判断する。
ステップS305で、所定の設定水位が得られると、ステップS306に進む。ステップS306では、使用者の設定に従い、モータ41がパルセータ33を所定のパターンで回転させ、洗濯槽30の中に洗濯のための主水流を形成する。この主水流により、洗濯物の洗濯が行われる。脱水軸44にはブレーキ装置43によりブレーキがかかっており、洗濯水および洗濯物が動いても、洗濯槽30は回転しない。
主水流の期間が経過した後、ステップS307に進む。ステップS307では、パルセータ33が小刻みに反転して洗濯物をほぐし、洗濯槽30の中に洗濯物がバランス良く配分されるようにする。これは、洗濯槽30の脱水回転に備えるためである。
図5は、洗濯機1のすすぎ工程における動作の流れを示すフローチャートである。なお、このすすぎ工程は、溜めすすぎを行うものであり、以下の工程においても、所定の判断を行う主体は、制御部80である。
図5に示すように、最初に、ステップS500にて脱水工程が行われるが、これについては後述の図6のフローチャートで説明する。この脱水工程後は、ステップS401に進む。ステップS401では、メイン給水弁50aが開き、設定水位まで給水が行われる。なお、仕上剤(柔軟剤など)の投入も選択されていれば、サブ給水弁50bも開き、給水が行われ、サイホン部57を通り、注水口56を通じて、洗濯槽30に仕上剤が注ぎ込まれる。
給水後、ステップS402に進む。ステップS402では、なじませ運転が行われる。このなじませ運転では、ステップS500(脱水工程)で洗濯槽30に貼り付いた洗濯物を剥離し、水になじませ、洗濯物に水を十分に吸収させる。
なじませ運転の後、ステップS403に進む。なじませ運転の結果、水位スイッチ71の検知する水位が設定水位より下がっていたときは、メイン給水弁50aを開いて水を補給し、設定水位を回復させる。
ステップS403で設定水位を回復した後は、ステップS404に進む。ステップS404では、使用者の設定に従い、モータ41がパルセータ33を所定のパターンで回転させ、洗濯槽30の中にすすぎのための主水流を形成する。この主水流により洗濯物を攪拌し、洗濯物のすすぎが行われる。脱水軸44にはブレーキ装置43によりブレーキがかかっており、すすぎ水および洗濯物が動いても、洗濯槽30は回転しない。
主水流(攪拌)の期間が経過した後、ステップS406に移る。ステップS406では、パルセータ33が小刻みに反転して洗濯物をほぐす。これにより、洗濯槽30の中に洗濯物がバランス良く配分されるようにし、脱水工程に備える。
なお、以上の説明では、洗濯槽30の中にすすぎ水をためておいてすすぎを行う「溜めすすぎ」を実行するものとしたが、常に新しい水を補給する「注水すすぎ」、あるいは洗濯槽30を低速回転(後述する脱水工程における洗濯槽30の回転速度と比較して低速回転である)させながら給水口53より洗濯物に水を注ぎかける「シャワーすすぎ」を行うこととしてもよい。
図6は、洗濯機1の脱水工程における動作の流れを示すフローチャートである。なお、以下の工程においても、所定の判断を行う主体は、制御部80である。
図6に示すように、まず、ステップS501では、排水弁68を開く。これにより、洗濯槽30の中の洗濯水は、排水空間66を通じて排水される。排水弁68は、脱水工程中は開いたままである。
そして、ステップS502にて、比較的低速の脱水運転(後述の高速脱水運転よりも低速の脱水運転)を行った後、ステップS503にて、高速の脱水運転(前述の低速脱水運転よりも高速の脱水運転)を行う。ステップS504では、モータ41への通電を断ち、ブレーキをかける等の停止処理を行う。
ステップS502およびステップS503の脱水運転では、以下の動作が行われる。洗濯槽30および洗濯物から大部分の洗濯水が抜けたところで、クラッチ装置42およびブレーキ装置43が切り替わる。クラッチ装置42およびブレーキ装置43の切り替えタイミングは、排水開始前または排水と同時でよい。そして、今度は、モータ41が脱水軸44を回転させる。これにより、洗濯槽30が脱水回転を行う。このとき、パルセータ33も洗濯槽30とともに回転する。
洗濯槽30が回転すると、洗濯物は、遠心力で洗濯槽30の内周壁に押しつけられる。そして、洗濯物に含まれていた洗濯水も、洗濯槽30の周壁内面に集まってくる。このとき、前述の通り、洗濯槽30はテーパー状に上方に広がっているので、遠心力を受けた洗濯水は、洗濯槽30の内面を上昇する。洗濯水は、洗濯槽30の上端にたどりついたところで脱水孔31から放出される。脱水孔31から放出された洗濯水は、水槽20の内面にたたきつけられ、水槽20の内面を伝って水槽20の底部に流れ落ちる。そして、上記洗濯水は、排水管61と、それに続く排水ホース60とを通って外箱10の外に排出される。
次に、銀イオンを含む銀イオン水をシャワー状にして噴射する給水装置300について説明する。図7は、給水装置300を取り付けた洗濯機1を斜め上方から見たときの洗濯機1の斜視図を示している。また、図8は、給水装置300の模式的な側面図を示している。
図7と図8に示すように、給水装置300は、給水対象としての洗濯物に水を供給する装置であり、イオン溶出ユニット100と、シャワー噴射部200とを有している。イオン溶出ユニット100とシャワー噴射部200とは、連結管250を介して連結されている。
イオン溶出ユニット100は、シャワー給水管52cから給水対象である洗濯物に供給される水に銀イオンを投入する投入部であり、また、金属イオンである銀イオンを溶出し、内部を通過する水に投入する銀イオン溶出部でもある。イオン溶出ユニット100は、筐体110と、流入口111と、流出口112と、電極113、114と、端子部115、116(図9参照)とを有している。
筐体110は、電極113、114を収容するものであり、合成樹脂、シリコン、ゴムなど絶縁材料で構成されている。筐体110は、上側筐体110aと下側筐体110bとをビス117で数箇所ネジ止めされて構成されている。
筐体110は、その一断面が円形となっており、全体として略円柱形状で構成されている。筐体110をこのような形状にすることにより、イオン溶出ユニット100を耐圧構造にすることができる。つまり、後述するシャワー噴射部200にてシャワー噴射を行うために、その噴射口が絞られることによって、イオン溶出ユニット100の筐体110の内部には、高い内圧が加えられる。しかし、筐体110が略円柱形状であれば、そのような内圧が周方向に均等に分散されるので、そのような内圧にも耐え得るようにすることができ、イオン溶出ユニット100の上記内圧による破壊を防止することができる。
なお、筐体110の形状は、上記の略円柱形状に限定されず、楕円形状や球形、回転楕円体であっても、耐圧構造を容易に実現することができる。
流入口111は、シャワー給水管52cから筐体110内に供給される水の流入口であり、この流入口111を介して筐体110の内部に水が流入する。
流出口112は、筐体110からシャワー噴射部200への水の流出口である。筐体110内の水は、流出口112および連結管250を介して、シャワー噴射部200に供給される。また、筐体110内の残水を排出するために、流出口112は複数設けられることが望ましく、本実施形態では、2個の流出口112a、112bが設けられている。
電極113、114は、金属イオンである銀イオンを溶出するものである。図9は、イオン溶出ユニット100の外観および内部構造を模式的に示す斜視図である。なお、説明の便宜上、図中、流入口111および流出口112の図示を省略している。図9に示すように、電極113、114は、平板状で構成されており、筐体110内で所定間隔をおいて平行に配置されている。後述する端子部115、116を介して、この2枚の電極113、114間に電圧を印加することにより、たとえば、陽極の電極にて電極の構成金属である銀イオンが溶出し、筐体110内の水に添加されることになる。
電極113、114を構成する金属としては、銀以外では、銅、亜鉛の金属、または、銀、銅、亜鉛の合金であってもよい。銀電極から溶出する銀イオン、亜鉛電極から溶出する亜鉛イオンは、殺菌効果に優れ、銅電極から溶出する銅イオンは、防カビ性に優れている。また、これらの合金からは、成分金属のイオンを同時に溶出させることができるので、優れた殺菌効果および防カビ効果を得ることができる。
ここで、電極113、114を銀電極とした場合の抗菌メカニズムについて、具体的に説明する。
たとえば、汗をかいたとき、衣類が臭うのは、菌の繁殖が原因である。汗は、本来無臭であり、脂肪酸とグリセリンとからなるグリセリドをその成分の一つとして含んでいるが、菌がそのグリセリドを分解することによって、グリセリドから分解された脂肪酸が臭いを放つ。
しかし、電極113、114が銀電極の場合、これらの電極に電圧を印加することによって、陽極側の電極においてAg→Ag+eの反応が起こり、水中に銀イオンが溶出する。この銀イオンが臭いの原因となる菌に作用することにより、菌が不活化されるので、汗成分(グリセリド)が分解されず、臭いの発生が抑えられるということである。なお、上記の不活化とは、殺菌、除菌、滅菌、分解、除去などの作用が施されることをいう。
端子部115、116は、電極113、114に電圧を印加するためのものである。電極113と端子部115とは、同じ金属(銀電極であれば銀、亜鉛電極であれば亜鉛)で構成されており、電極114と端子部116とは、同じ金属(銀電極であれば銀、亜鉛電極であれば亜鉛)で構成されている。端子部115、116は、筐体110の外部から筐体110を貫通して電極113、114と電気的に接続されている。筐体110の外部の端子部115、116は、制御部80に接続される。
制御部80は、イオン溶出ユニット100内の電極113、114への電圧印加を制御することによって、電極113、114から溶出される金属イオンである銀イオンの、筐体110内の水への投入/非投入を制御することができる。また、制御部80は、銀イオンを含む水と、銀イオンを含まない水とのうちの一方がシャワー噴射部200から給水対象(洗濯物)に噴射されるように、イオン溶出ユニット100における銀イオンの水への投入を制御する制御手段として機能することができる。そして、制御部80は、電極113、114に流す電流や電圧印加時間を制御することにより、銀イオンの溶出量、言い換えれば、銀イオン水における銀イオン濃度を制御することができる。
したがって、たとえば、ゼオライトなどの金属イオン担持体から金属イオンを溶出させる方式に比べ、金属イオンを投入するかどうかの選択や、金属イオンの濃度の調節をすべて電気的に行うことができるので使い勝手がよい。さらに、制御部80は、給水弁50(シャワー用給水弁50c)の開閉量を調節してイオン溶出ユニット100に供給される水の単位時間あたりの量(給水流量、給水速度)を変化させることにより、金属イオン水の金属イオン濃度を制御することも可能である。
次に、シャワー噴射部200について説明する。図7および図8に示すように、シャワー噴射部200は、イオン溶出ユニット100を介して得られる水をシャワー状にして給水対象に噴射するものである。
ここで、シャワー状の水とは、洗濯槽30内の給水対象である洗濯物に断続的に降り注がれる小径粒子の水(液滴)をいう。このようなシャワー水は、シャワー噴射部200の噴射口を小さく絞り、所定時間内に所定量以上の水を空気と混ぜて噴射口に供給することにより、上記噴射口から噴射させることが可能である。
なお、シャワー水の水滴の径(大きさ)については、特に制限はない。水滴は、小さくなればなるほど霧状(ミスト状、スプレー状)となる。しかし、水道水の水圧は一定なので、噴射口を絞ってシャワー水の水滴を小さくすればするほど、同一量の水を給水(噴射)する場合における給水時間(噴射時間)は長くなる。したがって、シャワー水の水滴の大きさ(または噴射口の大きさ)は、給水時間との兼ね合いで適宜設定されればよい。シャワー水は、例えばスプリンクラー等で噴射してもよい。
このようなシャワー水を噴射するシャワー噴射部200は、上記した複数の流出口112に対応して複数設けられている。つまり、流出口112aに対応してシャワー噴射部200aが設けられており、流出口112bに対応してシャワー噴射部200bが設けられている。これらシャワー噴射部200a、200bは、洗濯槽30の上方に位置しており、洗濯槽30の内部に向かってシャワー状の水を噴射するようになっている。
上述したように構成される洗濯機において、本実施形態においては、次のような制御動作を行う。たとえば、すすぎ工程の1回目に、本発明の金属イオン付着工程として、金属イオンをシャワー状にして投入し、すすぎ工程の2回目で金属イオンと異なる別の物質を洗濯槽に溜めて洗濯物をすすぐといった制御動作を行う。金属イオンとしては銀イオンを使用する。金属イオンと異なる別の物質としては、柔軟剤を使用する。金属イオンと異なる別の物質としての柔軟剤は、必ずしも投入される必要はない。
この実施の形態では、金属イオンとして銀イオンを含む水である銀イオン水を使用する銀イオンシャワー工程と、金属イオン分散工程としての柔軟剤すすぎ工程は、すすぎ工程が行われる際に実行されるものとして説明する。
図10は金属イオンである銀イオンと金属イオンと異なる別の物質としての柔軟剤とを投入する第1の実施形態に係るフローチャートである。このフローチャートは、図3の洗濯工程全体のフローチャートの中で、ステップS203からステップS204までの間の部分を取り出したものである。すすぎ工程の回数は2回で、1回目のすすぎ工程であるステップS400−1と2回目のすすぎ工程であるステップS400−2の間には銀イオン投入の確認ステップS407と柔軟剤投入の確認ステップS408が挿入されている。なお、ステップS400−1とステップS400−2では図5のすすぎ工程が実行され、ステップS400−1により脱水工程が行われる。
図10に示すように、ステップS203にて、すすぎ工程ありが選択されていれば、ステップS400−1に進む。すすぎ工程ありが選択されていなければ、ステップS204に進む。1回目のすすぎ工程であるステップS400−1の実行後、ステップS407にて、銀イオン投入の選択がなされているかどうかを確認する。銀イオンの投入が選択されていればステップS400Aに進む。ステップS400Aは、銀イオン水をシャワー状にして繊維構造体に噴射する銀イオンシャワー工程であり、その内容は図11のフローチャートを用いて後述する。銀イオン投入が選択されていなければステップS408に進む。
ステップS408では柔軟剤投入の選択がなされているかどうかを確認する。柔軟剤の投入が選択されていればステップS400Bに進む。ステップS400Bは柔軟剤すすぎ工程であり、その内容は図12のフローチャートにより後述する。柔軟剤投入が選択されていなければステップS400−2に進む。2回目のすすぎ工程としてステップS400BまたはステップS400−2を実行した後、ステップS204に進む。
柔軟剤すすぎ工程とは、洗濯槽に水を溜めて柔軟剤を投入し、繊維構造体をすすぐことによって柔軟剤を繊維構造体に付着させる工程であるが、これは銀イオンを繊維構造体から水中へ再分散させ、繊維構造体へ再付着させるために行う本発明の金属イオン分散工程でもある。したがって、同様の効果が得られるのであれば、柔軟剤すすぎ工程では、水の撹拌は、洗濯槽を回転させることや、繊維構造体を洗濯槽内で移動させるためにパルセータを回転させることによってもよいし、超音波振動によってもよい。
図10のフローチャートにおいて、金属イオンである銀イオンの投入と仕上剤である柔軟剤の投入とが共に選択されていれば、柔軟剤が投入されるのは最終すすぎ工程であり、銀イオンが投入されるのは最終すすぎ工程の直前のすすぎ工程であることになる。なお、図10のフローチャートにおいては、すすぎ工程を2回にわたって実行することになっているが、その回数は任意であり、たとえば、すすぎ工程が3回であれば、2回目のすすぎ工程で銀イオンシャワー工程を実行し、3回目のすすぎ工程で柔軟剤を投入することにすればよい。
以下、図10のフローチャートにおいて、銀イオンの投入と柔軟剤の投入とが共に選択されている場合について説明する。
図11は銀イオンシャワー工程を示すフローチャートである。
図11に示すように、最初に本発明の脱水工程として、ステップS500の脱水工程が行われる。ステップS500の脱水工程終了後、ステップS401Aに進む。
ステップS401Aでは、シャワー用給水弁50cを開き、イオン溶出ユニット100に所定流量の水を流す。同時に制御部80が電極113、114の間に電圧を印加し、金属イオンである銀イオンを水中に溶出させ、銀イオン水(たとえば、銀イオン濃度は600ppbが好ましい。これは、後に脱水工程やすすぎ工程が行われると、洗濯物に付着した銀イオンの一部がすすぎ水に流れ出し、洗濯物に残留する銀イオンの量が減少してしまうので、予め多くの銀イオンを洗濯物に付着させておくことが好ましいからである。)を生成する。なお、電極間を流れる電流は直流である。銀イオン水は、シャワー給水管52cを通り、シャワー噴射部200から噴射される。このステップS401Aが、銀イオンを投入した銀イオン水を使用し、銀イオン水を繊維構造体である洗濯物に付着させる本発明の金属イオン付着工程である。
このとき、制御手段である制御部80は、シャワー噴霧部からシャワーを噴射する制御を行うと同時に、所定期間(たとえば5分間)排水が停止されるように、洗濯槽30内の水を排水するための排水弁68を制御し、その所定期間の間、洗濯槽30を回転させる制御を行っている。この洗濯槽30が回転することにより、洗濯槽30内の洗濯物も円運動するように移動することになる。この洗濯槽30の回転は、ステップS500の脱水工程における回転に比べて回転速度が遅い。これは、洗濯槽30をステップS500の脱水工程における回転よりゆっくり回転させることにより、洗濯槽にたまっていく銀イオン水を遠心力により内周壁面にそって上昇させ、内周壁面に接触している洗濯物にも銀イオン水を接触させ、できるだけ、多くの銀イオンを洗濯物に付着させるためである。
これにより、ステップS401Aにおいて洗濯槽30内の洗濯物は、洗濯槽30の回転運動(円運動)に合わせて移動し、洗濯槽30の底部にある洗濯物の表面はシャワー噴射部から散布される銀イオン水と接触し、また、洗濯槽30の内周壁面と接している洗濯物は、遠心力により洗濯槽30の内周壁面にそって上昇した銀イオン水と接触するので、銀イオン水と接触する洗濯物の面がある一面に偏ることなく、より多くの洗濯物が銀イオン水に接触することが可能である。なお、本発明の第1の実施形態においては、洗濯物の移動手段を洗濯槽の回転としているが、パルセータを動かすなどの撹拌手段で洗濯物を移動させてもよい。
図12は柔軟剤すすぎ工程のフローチャートである。
図12に示すように、最初に、ステップS500の脱水工程が行われる。なお、ステップS500の脱水工程とは「繊維構造体を素手で絞っても水が滴らなくなるまで水分を取り除く」ことであり、一般に広く認識されている洗濯機で行われる脱水工程程度を想定している。ステップS500の脱水工程終了後、ステップS401Bに進む。
ステップS401Bにおいて、金属イオンと異なる別の物質としての柔軟剤を水に投入する。このステップS401BからステップS406までが、柔軟剤を投入した水である柔軟剤含有水を使用し、柔軟剤含有水を繊維構造体である洗濯物に接触させる工程である。まず、メイン給水弁50aとサブ給水弁50bの両方が開き、サブ給水弁50bから流れ出す水は、メイン給水弁50aから流れ出す水よりも少量であり、サブ給水管52bを通じて仕上剤室55に注ぎ込まれる。仕上剤室55に柔軟剤が入れられていれば、柔軟剤はサイホン部57から水と共に洗濯槽30に投入される。仕上剤室55の中の水位が所定高さに達してはじめてサイホン効果が生じるので、時期が来て水が仕上剤室55に注入されるまで、液体の柔軟剤を仕上剤室55に保持しておくことができる。
所定量(サイホン部57にサイホン作用を起こさせるに足る量か、それ以上)の水を仕上剤室55に注入した時点でサブ給水弁50bは閉じられる。なお、この水の注入工程、すなわち、柔軟剤投入動作は、柔軟剤が仕上剤室55に入れられているかどうかに関わりなく、「柔軟剤の投入」が選択されていれば自動的に実行される。
柔軟剤投入終了時点で洗濯槽30の内部の水位がすすぎに必要な水位に達していない場合は、所定水位に到達するまで、柔軟剤を含まない普通の水を給水する。この給水はメイン給水弁50aから行うことができる。所定水位が得られた後、ステップS402に進み、ステップS402にて柔軟剤を含む水(柔軟剤含有水)に洗濯物をなじませる。これにより、洗濯物に柔軟剤含有水を十分に吸収させることができる。また、洗濯物の各所にとらわれていた空気を逃がすこともできる。ステップS405Bに進み、パルセータ33を回転させて、柔軟剤含有水による洗濯物の攪拌を行う。
主水流(攪拌)の期間が経過した後、ステップS406に移る。ステップS406では、パルセータ33が小刻みに反転して洗濯物をほぐす。これにより、洗濯槽30の中に洗濯物がバランス良く配分されるようにし、脱水工程に備える。
このように、銀イオンシャワー工程で洗濯物に銀イオンを付着させる前に、予め脱水工程にて、洗濯物から少なくとも水がしたたらなくなる程度まで水分を除去することにより、繊維構造体が水分を吸収しやすい状態になる。このようにすることにより、繊維構造体が銀イオンを含んだ水分を吸収しやすくなる。
また、繊維構造体に銀イオンを付与した後、繊維構造体を水中に浸し攪拌することにより、一旦繊維構造体に付着した銀イオンの一部が水中に再分散する。水の量は、繊維構造体から水がしたたるくらいの少ない水量から、繊維構造体が水中に完全に浸漬する多い水量までのいずれの水量としてもよい。繊維構造体の周囲の水は銀イオンが分散した水となり、水中で攪拌されている繊維構造体は一様に銀イオンを含む水に再接触する。このようにすることにより、繊維構造体に銀イオンが一様に再付着し、繊維構造体への銀イオンの付着量のばらつきを抑制することができる。また、高濃度の銀イオン水を繊維構造体に付与するときに、洗濯物を移動させることで、銀イオン水が洗濯物のある一定の箇所のみに付与されるのではなく、洗濯物全体に付与されることができる。第1の実施形態においては洗濯槽を回転させることで洗濯物を移動させているが、洗濯物の移動手段はこれに限らず、パルセータを動かすことで洗濯物をほぐすといった手段でもよい。
また、金属イオンと異なる別の物質として柔軟剤を使用する場合、柔軟剤と銀イオンとの反応が起こることにより、銀イオンの抗菌性が減殺されるおそれがある。そこで、柔軟剤を使用する場合は、柔軟剤を使用しない場合に比べて、金属イオン付着工程としての銀イオンシャワー工程における銀イオン水の濃度を高め、600ppb以上を確保するようにすることが好ましい。また、このときの柔軟剤すすぎ工程におけるS405Bの攪拌時間は3分以下が好ましい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態と、制御動作が異なる。すなわち、すすぎ工程の1回目に銀イオンを洗濯槽に溜めて洗濯物をすすぎ、すすぎ工程の2回目で銀イオンをシャワー状にして投入し、すすぎ工程の3回目で柔軟剤を洗濯槽に溜めて洗濯物をすすぐといった制御動作を行う。その他の部分は第1の実施形態と同様である。
図13は、金属イオンである銀イオンと、金属イオンと異なる物質としての柔軟剤とを投入する第2の実施形態に係るフローチャートである。図13は、図10のステップS400Aの銀イオンシャワー工程の直前に、銀イオン水で溜めすすぎを行う銀イオンすすぎ工程(ステップS400C)を加えたフローチャートである。図14は、ステップS400Cの銀イオンすすぎ工程のフローチャートを示す。
図14に示すように、ステップ400Cの銀イオンすすぎ工程では、最初に、繊維構造体である洗濯物から少なくとも水が滴らなくなるまで水分を除去するステップS500の脱水工程が行われる。ステップS500の脱水工程終了後、ステップS401Cに進む。
ステップS401Cでは、シャワー用給水弁50cを開き、イオン溶出ユニット100に所定流量の水を流す。同時に制御部80が電極113、114の間に電圧を印加し、金属イオンである銀イオンを水中に溶出させる。なお、電極間を流れる電流は直流である。銀イオンを添加された水(銀イオン水)は、シャワー給水管52cを通り、シャワー噴射部200から噴射される。
洗濯槽30に所定濃度(300ppb以上が好ましい)の銀イオン水が所定水量投入された時点でシャワー用給水弁50cを閉じ、給水を止めて、ステップS402にて銀イオン水に洗濯物をなじませる。これにより、洗濯物に銀イオン水を十分に吸収させることができる。また、洗濯物の各所にとらわれていた空気を逃がすこともできる。ステップS405Cに進み、銀イオン水による洗濯物の攪拌を行う。ステップS405Cでの銀イオン水の攪拌時間は3分ほどで十分である。攪拌の期間が経過した後、ステップS406に移る。ステップS406では、パルセータ33が小刻みに反転して洗濯物をほぐす。
その後、本発明の金属イオン付着工程として、図13に示すステップS400Aの銀イオンシャワー工程に進む。図11に示すように、最初にステップS500の脱水工程が行われる。ステップS500の脱水工程終了後、ステップS401Aに進む。
ステップS401Aでは、シャワー用給水弁50cを開き、イオン溶出ユニット100に所定流量の水を流す。同時に制御部80が電極113、114の間に電圧を印加し、金属イオンである銀イオンを水中に溶出させる。なお、電極間を流れる電流は直流である。銀イオンを添加された水(銀イオン水)は、シャワー給水管52cを通り、シャワー噴射部200から噴射される。このとき、制御手段である制御部80は、シャワー噴霧部からシャワーを噴射する制御を行うと同時に、所定期間(たとえば5分間)排水が停止されるように、洗濯槽30内の水を排水するための排水弁68を制御し、その所定期間の間、洗濯槽30を回転させる制御を行っている。
これにより、ステップS500の脱水工程後、洗濯槽30内にへばり付いた洗濯物は、ステップS401Aにおいて、洗濯槽30の回転運動に合わせて移動し、シャワー噴射部から散布される銀イオン水が洗濯物に満遍なく付着することになる。
次にステップS400Bの柔軟剤すすぎ工程に進む。このステップS400Bの柔軟剤すすぎ工程は、前述した図12のフローチャートと同じであるので説明は省略する。ステップS400Bを終了すると、ステップS204に進む。
このように、銀イオンすすぎ工程のステップS401CからステップS406までと、銀イオンシャワー工程のステップS401Aとにおいて、繊維構造体である洗濯物に銀イオン水を接触させて、洗濯物に銀イオンを付着させた後、図12のフローチャートに示すように、ステップS500の脱水工程にて洗濯物から少なくとも水が滴らなくなる程度まで水分を必ず除去し、その後、ステップS401BからステップS406にて柔軟剤を含む水による洗濯物のすすぎ工程において洗濯物を水中で撹拌することによって洗濯物に付着した銀イオンを水中に分散させ、洗濯物の周囲の水中に分散している金属イオンと接触させることで、洗濯物全体にばらつきなく金属イオンを付着させることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、上記の第1の実施形態と、制御動作が異なる。すなわち、洗い工程で金属イオンとしての銀イオンを投入し、すすぎ工程の1回目で金属イオンとしての銀イオンをシャワー状にして投入し、すすぎ工程の2回目で金属イオンと異なる別の物質としての柔軟剤を洗濯槽に溜めて洗濯物をすすぐといった制御動作を行う。図15は、繊維構造体に銀イオンを付着させる工程が洗い工程でも行われる場合のフローチャートである。その他の部分は第1の実施形態と同様である。
図15に示すように、洗い工程であるステップS601にて、銀イオンを含む銀イオン水(たとえば、銀イオン濃度は300ppb以上が好ましい)を洗濯槽30に供給するとともに、洗剤も洗濯槽30に供給し、繊維構造体である洗濯物を洗う。洗い工程が終了すると、銀イオンシャワー工程であるステップS400Aに進む。
ステップS400Aでは、前述したように、図11に示すように、まず、ステップS500の脱水工程にて、洗濯物から水が滴らなくなる程度まで水分を除去する。次に、ステップS401Aにて、銀イオン水(たとえば、銀イオン濃度は600ppb以上が好ましい)を洗濯物にシャワー状に噴射する。ステップ400Aの銀イオンシャワー工程が終了すると、柔軟剤すすぎ工程であるステップ400Bに進む。
ステップS400Bでは、前述したように、図12に示すように、まず、ステップS500の脱水工程にて、洗濯物から水が滴らなくなる程度まで水分を除去する。次に、ステップ401Bにて柔軟剤を含む水(柔軟剤含有水)を繊維構造体である洗濯物に接触させ、ステップS402にて柔軟剤含有水に洗濯物をなじませ、ステップS405Bにて、洗濯物の攪拌を柔軟剤含有水により行い、ステップS406にて、パルセータ33が小刻みに反転して洗濯物をほぐす。その後、図15に示すように、ステップS500の脱水工程に進み、ステップS500にて最終脱水を行う。
さらに、前述した第1の実施形態と第2の実施形態におけるステップS400−1のすすぎ工程を省略することができるので、洗濯時間を短縮することができる。このとき、ステップS601の洗い工程で供給する銀イオン水中の銀イオン濃度は300ppb以上が望ましく、ステップS400Aの銀イオンシャワー工程で供給する銀イオン水中の銀イオン濃度は600ppb以上が望ましい。
なお、第1の実施形態〜第3の実施形態における銀イオンシャワー工程、金属イオンすすぎ工程、柔軟剤すすぎ工程の各工程に含まれているステップS500の脱水工程は、ステップS500の脱水工程より脱水時間の短い脱水である中間脱水工程により行ってもよい。また、銀イオン水中の銀イオン濃度は900ppb以下であることが望ましい。900ppbを超えると、塩化銀などが析出する可能性があるためである。
また、本発明では、銀イオンが洗濯物に付着するときのばらつきを改善することができる。なお、第1の実施形態〜第3の実施形態において、ステップS400Aの銀イオンシャワー工程にて繊維構造体である洗濯物に銀イオンを付着させた後、水または柔軟剤含有水にて溜めすすぎを行うことにより、洗濯物への銀イオンの付着量を一様にすることができ、銀イオンシャワー工程直後における洗濯物への銀イオンの付着量のばらつきを改善することができる。
金属イオン分散工程においては、一旦繊維構造体に付着した銀イオンが再分散し、繊維構造体全体に付着する。この金属イオン分散工程において、柔軟剤を含む水が繊維構造体に付与されると、柔軟剤が、すでに銀イオンを付与された繊維構造体をコーティングするので、先に繊維構造体に付与した銀イオンは、柔軟剤に遮られ、繊維構造体から必要以上に流出しなくなる。
<第1の実施例>
第1の実施形態によって得られる効果について説明する。第1の実施形態で得られる効果は、第2の実施形態および第3の実施形態でも同様に得ることができる。
表1は、金属イオン分散工程としての柔軟剤すすぎ工程(3分間)を行う前と行った後との銀イオンの残留量を測定したときの結果である。
Figure 2008012013
実験はサンプルピース(綿のタオル)を6枚ずつ用意して行った。表1に示す結果は、銀イオンシャワー工程の後の柔軟剤すすぎ工程においては金属イオンと異なる別の物質としての柔軟剤を使用せず、水のみで攪拌を行ったときのものである。
表1の結果によれば、銀イオンシャワー工程直後の銀イオン付着量は1.2〜7.3mg/kgであり、柔軟剤すすぎ工程後の銀イオン付着量は1.0〜1.3mg/kgであった。
また、表1より、水すすぎ前後の銀イオン付着量のばらつきの変化がわかる。ばらつきの程度を表す標準偏差を見てみると、銀イオンシャワー後の銀イオン付着量の標準偏差は2.4であり、柔軟剤すすぎ工程後の銀イオン付着量の標準偏差は0.1であった。標準偏差は小さいほどばらつきが少ないことを示すので、金属イオン付着工程としての銀イオンシャワー工程後に金属イオン分散工程としてのすすぎ工程を行うことにより、銀イオンの付着のばらつきが改善されていることが分かる。
洗濯物に残留する銀イオンの量が0.1〜0.3mg/kgであれば、黄色ブドウ球菌や好気性一般細菌などの繁殖を抑制することができる。金属イオン付着工程としての銀イオンシャワー工程によって、銀イオンの抗菌効果を繊維構造体である洗濯物に残すことができる。また、水すすぎの攪拌時間が3分程度であれば、確実に銀イオンを繊維構造体に残すことができることが証明された。
また、表1に結果を示した実験では金属イオン分散工程である柔軟剤すすぎ工程において柔軟剤を使用していないが、一般的に柔軟剤を使用する場合、柔軟剤を洗濯物に付着させるときの攪拌時間は3分程度で十分であると言われている。第1の実施形態においては、金属イオン分散工程として柔軟剤すすぎ工程を行い、柔軟剤を使用するものとして記述しているが、柔軟剤を必ずしも使用しなければならないことはなく、柔軟剤の含まれていない水での運転も可能である。金属イオン分散工程としてのすすぎ工程の攪拌時間は略3分が望ましい。
図16は、金属イオン分散工程における攪拌時間と繊維構造体の銀イオン残留量との関係を理論上表す模式図である。金属イオン付着工程である銀イオンシャワー工程で繊維構造体に付与した銀イオンは、金属イオン分散工程であるすすぎ工程において、銀イオンを付与された繊維構造体が浸漬・攪拌されることにより水中に分散していく。このとき、水中での攪拌時間が長いと繊維構造体に残留する量が減っていく。
これらのことと洗濯時間を短縮することとを考慮して、金属イオン分散工程である柔軟剤すすぎ工程の攪拌時間は3分程度であることが好ましい。
なお、金属イオン分散工程としての柔軟剤すすぎ工程の後には、最終脱水を行っている。これは、金属イオン分散工程としての柔軟剤すすぎ工程の後に最終脱水を行うと、本発明の効果が最もよく得られるためである。ただし、更に効果が得られる場合は、金属イオン分散工程の後に最終脱水以外の工程を行ってもよい。また、金属イオン付着工程と金属イオン分散工程の順番が入れ替わらない限りは、金属イオン付着工程と金属イオン分散工程との間に他の工程が行われてもよい。
<第2の実施例>
第2の実施形態では、銀イオンシャワー工程に含まれる本発明の脱水工程および金属イオン付着工程と、柔軟剤すすぎ工程に含まれる本発明の金属イオン分散工程とが行われる。この第2の実施形態の工程において、繊維構造体である洗濯物にどれだけの銀イオンが残るのかを実験で確認した。
実使用に近い条件で実験を行うため、銀イオン付着量を測定するためのサンプルピース(綿のタオル)を縫いつけた布(JIS L0803に規定された染色堅牢度試験用添付白布の綿布、以下、単に「JIS布」と呼ぶ)の他に、洗濯物と見立てた負荷(JIS布)を2kg投入し、洗濯槽30に銀イオン濃度300ppbの銀イオン水を給水し、使用水量は2kgの洗濯物に対応した水量を洗濯機の水量設定機能から選択した(本実験で使用した洗濯機の場合は27L)。サンプルピースと負荷を銀イオン濃度300ppbの銀イオン水で15分間攪拌後、一旦銀イオン水を排水し、その後、脱水工程を経て、600ppbの高濃度銀イオン水シャワーを洗濯物に80秒間付与した。この時点で、サンプルピースを一部回収し、金属イオン付着工程直後の銀イオン付着量を測定した。
柔軟剤すすぎ工程では、市販の柔軟剤を使用した。金属イオン付着工程で銀イオン水を多く含んでいる洗濯物を柔軟剤すすぎ工程に含まれる脱水工程にて洗濯物から水が滴らなくなる程度まで脱水した後、柔軟剤を含んだすすぎ水を投入し、金属イオン分散工程を行った。柔軟剤の使用量として、使用した柔軟剤の説明に記載してある水量に準じた量を使用した(この場合、27Lに見合った量)。なお、一般的には柔軟剤の使用量はすすぎを行う水量に対して300ppm前後の濃度になるように設定されている。これは、銀イオンの濃度の100倍以上である。サンプルピースと負荷を3分間攪拌後、脱水工程を経て洗濯を終了し、サンプルピースを回収し、金属イオン分散工程後の銀イオン付着量を測定した。
回収したサンプルピースから銀イオンを硝酸溶液中に洗い出し、原子吸光光度計にて銀イオンの濃度を測定した。その結果、金属イオン付着工程直後の銀イオン付着量は0.2〜2.5mg/kg、金属イオン分散工程後の銀イオン付着量は1.1〜2.6mg/kgであった。この結果、銀イオン水によるすすぎを行った後、脱水を行い、柔軟剤によるすすぎを行っても、銀イオンは繊維構造体である洗濯物に残留することがわかった。洗濯物に残留する銀イオンの量が0.1〜0.3mg/kgであれば、黄色ブドウ球菌や好気性一般細菌などの繁殖を抑制することができる。すなわち、第2の実施形態の工程を行うことにより、銀イオンの抗菌効果を繊維構造体である洗濯物に残すことができる。
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
本発明の実施の形態に係る洗濯機の全体構成を示す垂直断面図である。 本発明の実施の形態に係る給水口の模式的な垂直断面図であり、正面側から見た図である。 本発明の実施の形態に係る洗濯機の洗濯工程全体のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る洗濯機の洗い工程における動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る洗濯機のすすぎ工程における動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る洗濯機の脱水工程における動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る給水装置を取り付けた洗濯機を斜め上方から見たときの斜視図である。 本発明の実施の形態に係る給水装置の模式的な側面図を示している。 本発明の実施の形態に係るイオン溶出ユニットの外観および内部構造を模式的に示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態において、銀イオンと柔軟剤とを投入する工程を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態における銀イオンシャワー工程を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態における柔軟剤すすぎ工程を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態において、銀イオンと柔軟剤とを投入する工程を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における銀イオンすすぎ工程のフローチャートである。 本発明の第3の実施形態において、繊維構造体に銀イオンを付着させる工程が洗い工程でも行われる場合のフローチャートである。 銀イオンシャワー工程後のすすぎ工程における攪拌時間と繊維構造体の銀イオン残留量との関係を理論上表す模式図である。
符号の説明
1:洗濯機、30:洗濯槽、44:脱水軸、50:給水弁、50a:メイン給水弁、50b:サブ給水弁、50c:シャワー用給水弁、51:接続管、52:給水管、52a:メイン給水管、52b:サブ給水管、52c:シャワー用給水管、53:給水口、55:仕上剤室、56:注水口、100:イオン溶出ユニット、200(200a、200b):シャワー噴射部、250:連結管、300:給水装置。

Claims (4)

  1. 内部に繊維構造体を収容する洗浄槽と、
    前記洗浄槽に水を供給する水供給部とを備えた洗浄装置において、
    前記洗浄槽の内部に収容された繊維構造体に含まれた水分を除去する脱水工程と、
    前記脱水工程で水分を除去された繊維構造体に前記水供給部が金属イオンを含む水を接触させることにより、金属イオンを繊維構造体に付着させる金属イオン付着工程と、
    前記金属イオンが付着された前記繊維構造体に前記水供給部から水を供給し、前記水で前記繊維構造体を撹拌することにより前記繊維構造体に付着した金属イオンを前記水に分散させる金属イオン分散工程とを行うことを特徴とする、洗浄装置。
  2. 前記金属イオン付着工程において、前記洗浄槽を回転させることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄装置。
  3. 前記金属イオン付着工程において、前記洗浄槽内に収容された繊維構造体を前記洗浄槽内で移動させることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄装置。
  4. 前記金属イオン分散工程において、金属イオンと異なる別の物質を含む水を供給することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の洗浄装置。
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