JP2008010739A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスペクト比の高い溝をボイドの発生を抑制し電気的にも安定した絶縁膜を埋め込む。
【解決手段】シリコン基板21にゲート酸化膜25、多結晶シリコン膜26、シリコン窒化膜27を形成し、これに溝22をRIEにより形成する。溝22の内面に、熱CVD法でHTO膜28を形成し、この表面にAl原子層29、シリコンリッチなSiOy(y<2)膜30を形成し、ラジカル酸化処理で表面部をSiOx(y<x<2)膜31を形成する。繰り返しSiOy膜32を形成して溝22内を埋め込む。
【選択図】図8

Description

本発明は、半導体基板に溝構造を有する半導体装置に関し、前記溝内に素子分離用の絶縁膜が埋め込まれた半導体装置及びその製造方法に関する。
フラッシュメモリに代表される半導体装置において、素子間分離をSTI(Shallow Trench Isolation)構造により行うものがある。これは、シリコン基板上にゲート絶縁膜、多結晶シリコン膜、シリコン窒化膜を堆積させ、リソグラフィ処理を行いRIE加工を施して積層した膜をエッチング開口すると共にその開口を介してシリコン基板に溝を設け、この溝内に絶縁膜を形成するものである。
溝内に絶縁膜を形成する方法として、従来ではHDP(High Density Plasma)膜による埋め込み方法が一般的であった。ところが、設計ルールの微細化に伴い、シリコン基板に形成する溝の幅寸法がさらに狭くなってきており、HDP膜を形成する方法では埋め込み能力が十分ではないため、埋め込みボイドの発生が生じ、素子を作る上で陥没が生じるなどの不具合が発生していた。
このような不具合を解消するため、ボイドを発生させることなく溝内に絶縁膜を埋め込む方法として、ALD(Atomic Layer Deposition)と呼ばれる技術がある(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。これは、上記したような溝を形成したシリコン基板に対して、TMA(トリメチルアルミニウム;Al(CH)等のガスを流して表面に吸着させた後、シラノール系のガスとして例えば(Si−(−O−CH−OH)等のガスを流し、これによって成膜を行って絶縁膜を形成するようにしたものである。
特開2003−7700号公報 D. Hausmann et al、"Rapid Vapor Deposition of Highly Conformal Silica Nanolaminates"、Science(サイエンス)、11 October 2002、vol 298、p.402-406
しかしながら、上記した技術では、絶縁膜を形成するためのプリカーサ(前駆体)自体によって、形成される絶縁膜のシリコン基板の表面部分にAl(アルミニウム)そのものやシリコンリッチな膜が残ることになる。フラッシュメモリなどの不揮発性半導体記憶素子でゲート電極を先に形成する製造方法においては、アルミニウムやシリコンリッチ膜がゲート絶縁膜の表面に介在することに伴い、ゲート材料に電圧がかかった場合に、シリコン基板とゲート電極の材料である多結晶シリコン膜との間でリーク電流が生じ、素子特性に悪影響を与えることがあった。また、ゲート電極を先に形成しない構造の場合でも、素子間の絶縁膜埋め込みを行った場合、隣同士の素子の間をリーク電流が流れる事により動作が不安定になることがあった。
本発明は、本課題を解決するため、上述のようなALDのような薄膜を積層することによるボイドの発生を回避して埋め込みを行う工程を採用する場合でも、絶縁膜と半導体基板との間に残留する金属イオンやダングリングボンドなどによる悪影響を極力低減することができるようにした半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に多結晶シリコン膜を形成する工程と、前記多結晶シリコン膜上にシリコン窒化膜を形成する工程と、前記半導体基板上に積層した前記シリコン窒化膜、前記多結晶シリコン膜、前記ゲート絶縁膜および前記半導体基板を異方性エッチングし溝を形成する工程と、形成した前記溝の表面に熱CVD法により第1の酸化膜を形成する工程と、前記第1の酸化膜が形成された前記溝にシリコン酸化膜(SiOx;ただしx≦2)膜もしくは金属原子または炭素原子を1×1013/cm以上含む第2の酸化膜を埋め込む工程と、埋め込んだ前記第2の酸化膜を酸化性雰囲気中でプラズマ処理する工程とを備えたところに特徴を有する。
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にシリコン窒化膜を形成する工程と、前記半導体基板上に積層した前記シリコン窒化膜、前記ゲート絶縁膜および前記半導体基板を異方性エッチングし溝を形成する工程と、形成した前記溝の表面に熱CVD法により第1の酸化膜を形成する工程と、前記第1の酸化膜が形成された前記溝にシリコン酸化膜(SiOx;ただしx≦2)膜もしくは金属原子または炭素原子を1×1013/cm以上含む第2の酸化膜を埋め込む工程と、埋め込んだ前記第2の酸化膜を酸化性雰囲気中でプラズマ処理する工程とを備えたところに特徴を有する。
上記各発明において、前記第2の酸化膜を埋め込む工程およびプラズマ処理を行う工程は、前記溝を埋め込むために複数回繰り返し実施することが好ましい。
そして、本発明の半導体装置は、溝が形成された半導体基板と、この半導体基板の前記溝を除いた表面に形成されたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に形成された多結晶シリコン膜と、前記溝の表面に熱CVD法により形成された第1の酸化膜と、前記第1の酸化膜が形成された溝に埋め込まれ且つプラズマ酸化処理されたシリコン酸化膜(SiOx;ただしx≦2)膜もしくは1×1013/cm以上の金属原子または炭素原子を含む第2の酸化膜とを備えたところに特徴を有する。
本発明によれば、溝内部への絶縁膜の埋め込み処理に際してボイドを発生させることなく確実に行え、電気的にもリーク電流の発生を抑制した安定した特性の半導体装置を提供することができるようになる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。
図1は、例えばフラッシュメモリなどの半導体装置に適用した場合の素子分離領域の部分の製造工程の途中段階における断面を模式的に示すものである。図示の部分では、フラッシュメモリのメモリセル領域のトランジスタを素子分離している部分の構成を示している。
半導体基板としてのシリコン基板1表面に、表面から突出して、絶縁膜からなるSTI(Shallow Trench Isolation)3が形成されている。シリコン基板1の表面部分は、STI3により活性領域4が分離形成されている。
シリコン基板1の活性領域4の表面には、ゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜5が形成され、この上面には多結晶シリコン膜6が積層形成されている。さらに、多結晶シリコン膜6の上面にはシリコン窒化膜7が積層形成されている。このシリコン窒化膜7はCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理のストッパとして機能するもので、後の工程で剥離される。
絶縁膜からなるSTI3は、溝2の内面に複数の膜を積層して形成されている。溝2のシリコン基板1の面に接する部分およびゲート酸化膜5、多結晶シリコン膜6、シリコン窒化膜7の側面に接する部分には熱CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成されたシリコン酸化膜であるHTO(High Temperature Oxide)膜8が形成されている。このHTO膜8の表面にはアルミニウム(Al)原子が付着して形成されたAl原子層9およびシリコンリッチなSiOy(y<2)膜10が積層されており、その表面には同じくシリコンリッチなSiOy膜11が積層形成され、これによって溝2の内部が埋め込まれた状態となっている。Al原子層9およびSiOy膜10により、第2の酸化膜が構成されている。この第2の酸化膜には、金属原子であるアルミニウム原子が1×1013/cm以上含まれており、1層分の膜厚が100nm以下で形成されている。
シリコンリッチなSiOy膜10、11は、アスペクト比が大きいSTI3の形成においてもボイドを伴うことなく溝2内部に形成することができるので、電気的な絶縁状態を確実にすることができ、特性上においても優れたものを得ることができる。また、上記構成においては、溝2の内面にHTO膜8を形成した上で、Al原子層9およびSiOy膜10を形成しているので、Al原子層9による電気的特性への悪影響を防止することができる。
次に、上記構成の製造工程について図2ないし図7も参照して説明する。
まず、図2に示す半導体基板であるシリコン基板1に、図3に示すように、ゲート酸化膜5を形成し、続いて多結晶シリコン膜6およびシリコン窒化膜7を積層形成する。ここで、図示の領域はメモリセル領域のトランジスタ部分を示すものであるから、ゲート酸化膜5は、メモリセルトランジスタの動作に対応した膜厚に設定されている。また、多結晶シリコン膜6は、ゲート先作り方式によるトランジスタの形成を行う関係で、フローティングゲート電極の一部となる構成として形成するものである。シリコン窒化膜7は、後述するエッチングマスクおよびCMP処理のストッパとして機能するものである。
続いて、シリコン窒化膜7上にフォトリソグラフィ処理によりレジストパターンを形成し、これをマスクとして図4に示すように、シリコン窒化膜7をRIE法を用いてエッチングすると共に、続いて多結晶シリコン膜6、ゲート酸化膜5およびシリコン基板1をエッチング処理し、溝2を所定深さまで形成する。溝2は、底面が平坦で側壁は上方に向かって開くようにやや傾斜を持った状態(垂直方向からの傾斜角度αが正である順テーパ状態)に形成されている。
次に、図5に示すように、溝2の内壁表面にHTO膜8を形成する。これは、熱CVD法により形成するもので、使用するガスとして、例えばジクロルシラン(SiHCl)を50〜150sccm、NOを100〜300sccmとし、処理温度を700〜800℃として、圧力を30〜50Pa程度の条件として行う。形成するHTO膜8の膜厚は、2.5nm以上とすることが望ましく、ここでは十分なリーク防止効果を確認している例えば5nmの膜厚で形成している。
続いて、図6に示すように、HTO膜8上にAl原子層9およびSiOy膜10を形成する。Al原子層9は、例えば、真空チャンバー中で温度200〜450℃、圧力20〜100Paの範囲のArガスまたはHeガス雰囲気中で、TMA(トリメチルアルミニウム)ガスを10〜300sccmで1秒〜30秒程度流してHTO膜8の表面にアルミニウムを吸着させることにより形成される。
この後、シラノール系ガス、例えば(Si−(OCH−OH)ガスを同雰囲気環境下において20〜500sccmの流量で2秒〜60秒程度流すことにより、Al原子層9の上にAl−O−Si−(OCH結合を形成し、これによってシリコンリッチなSiOy膜10が形成される。そして、この工程を繰り返し実施して図7に示すようにシリコンリッチなSiOy膜11をSiOy膜10上に積層形成することにより、溝2内を確実に埋め込む。なお、図示の状態では、2回目の埋め込みで内部を充填したものを示しており、このとき、1層分のAl原子層9、SiOy膜10の膜厚は、100nm以下となるように形成されているが、3回以上繰り返し行っても良い。
この後、CMP処理をシリコン窒化膜7をストッパとして実施することにより、図1に示すSTI3を形成する。なお、この後は、STI3を形成している絶縁膜をさらに掘り下げたり、あるいは、シリコン窒化膜7を剥離する処理などを実施したりすることで、フローティングゲート電極の下層部分を形成することができる。
そして、この上にさらにゲート電極となる材料を何層も積層形成し、フローティングゲート電極およびゲート絶縁膜、コントロールゲート電極などを形成すると共に、導電性の材料をパターニングして加工することでフラッシュメモリを作成する。
以上のようにして溝2内にHTO膜8、Al原子層9、シリコンリッチなSiOy膜10、11を積層してSTI3を形成するので、ボイドを発生させることなく確実に溝2内を埋め込むことができ、しかも、溝2に最初にHTO膜8を形成しているので、Al原子層9などによるリーク電流の問題も解決されるので、電気的特性も良好な構成とすることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図8ないし図17を参照して説明する。
図8は、例えばフラッシュメモリなどの半導体装置に適用した場合の素子分離領域の部分の製造工程の途中段階における断面を模式的に示すものである。図示の部分では、フラッシュメモリのメモリセル領域のトランジスタを素子分離している部分の構成を示している。
半導体基板としてのシリコン基板21の表面に、表面から突出して、絶縁膜からなるSTI(Shallow Trench Isolation)23が形成されている。シリコン基板21の表面部分は、STI23により活性領域24が分離形成されている。
シリコン基板21の活性領域24の表面には、ゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜25が形成され、この上面には多結晶シリコン膜26が積層形成されている。さらに、多結晶シリコン膜26の上面にはシリコン窒化膜27が積層形成されている。このシリコン窒化膜27はCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理のストッパとして機能するもので、後の工程で剥離される。
絶縁膜からなるSTI23は、溝22の内面に複数の膜を積層して形成されている。溝22のシリコン基板21の面に接する部分およびゲート酸化膜25、多結晶シリコン膜26、シリコン窒化膜7の側面に接する部分には熱CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成されたシリコン酸化膜であるHTO(High Temperature Oxide)膜28が例えば膜厚5nmで形成されている。このHTO膜28は第1の酸化膜として形成されたもので、その表面にはアルミニウム(Al)原子が付着して形成されたAl原子層29およびシリコンリッチなSiOy(y<2)膜30が積層されている。この場合、1層分のAl原子層29およびSiOy膜30の膜厚は100nm以下となるように形成されている。
シリコンリッチなSiOy膜30は、Al原子層29と共に第2の酸化膜として設けられたもので、上層側がプラズマ酸化処理され酸素の含有比率が高められたシリコン酸化膜SiOx(x>y)膜31とされている。さらにこの表面には同じくシリコンリッチなSiOy膜32が積層形成され、これによって溝22の内部が埋め込まれた状態となっている。
シリコンリッチなSiOy膜30、32は、アスペクト比が大きいSTI23の形成においてもボイドを伴うことなく溝2内部に形成することができるので、電気的な絶縁状態を確実にすることができ、特性上においても優れたものを得ることができる。また、上記構成においては、溝2の内面にHTO膜28を形成した上で、Al原子層29およびSiOy膜30を形成しているので、Al原子層29による電気的特性への悪影響を防止することができる。
次に、上記構成の製造工程について図9ないし図17も参照して説明する。
まず、図9に示す半導体基板であるシリコン基板21に、図10に示すように、ゲート酸化膜25を形成し、続いて多結晶シリコン膜26およびシリコン窒化膜27を積層形成する。ここで、図示の領域はメモリセル領域のトランジスタ部分を示すものであるから、ゲート酸化膜25は、メモリセルトランジスタの動作に対応した膜厚に設定されている。また、多結晶シリコン膜26は、ゲート先作り方式によるトランジスタの形成を行う関係で、フローティングゲート電極の一部となる構成として形成するものである。シリコン窒化膜27は、後述するエッチングマスクおよびCMP処理のストッパとして機能するものである。
続いて、シリコン窒化膜7上にフォトリソグラフィ処理によりレジストパターンを形成し、これをマスクとして図11に示すように、シリコン窒化膜27をRIE法を用いてエッチングすると共に、続いて多結晶シリコン膜26、ゲート酸化膜25およびシリコン基板21をエッチング処理し、溝22を所定深さまで形成する。溝22は、底面が平坦で側壁は上方に向かって開くようにやや傾斜を持った状態(垂直方向からの傾斜角度αが正である順テーパ状態)に形成されている。
次に、図12に示すように、溝22の内壁表面にHTO膜28を形成する。これは、熱CVD法により形成するもので、使用するガスとして、例えばジクロルシラン(SiHCl)を50〜150sccm、NOを100〜300sccmとし、処理温度を700〜800℃として、圧力を30〜50Pa程度の条件として行う。形成するHTO膜28の膜厚は、2.5nm以上とすることが望ましく、ここでは例えば5nmの膜厚で形成している。
続いて、図13に示すように、HTO膜28上にAl原子層29およびSiOy膜30を形成する。Al原子層29は、例えば、真空チャンバー中で温度200〜450℃、圧力20〜100Paの範囲のArガスまたはHeガス雰囲気中で、TMA(トリメチルアルミニウム)ガスを10〜300sccmで1秒〜30秒程度流してHTO膜8の表面にアルミニウムを吸着させることにより形成される。
図16(a)に示すように、下地となる基板SにTMAガスが流れ、TMA分子が基板Sの表面に到達すると、Al原子が吸着される反応を起こし、これによって基板Sの表面に酸素原子を介してAl原子が結合し、1層分のAl原子が並んだ状態になり、これによってAl原子層29が形成される。このとき、Al原子層29を形成している各Al原子にはメチル基CHが残った状態となっている。
この後、シラノール系ガス、例えば(Si−(OCH−OH)ガスを同雰囲気環境下において20〜500sccmの流量で2秒〜60秒程度流すことにより、Al原子層9の上にAl−O−Si−(OCH結合を形成するような反応を発生させ、これによってシリコンリッチなSiOy膜30が形成されていく。
図16(b)に示すように、シラノール系ガスが基板Sの表面に近づくと、シラノール分子のOH基がAl原子層29のAl原子に結合しているメチル基CHと反応して酸素原子を介して結合される。このとき結合反応によりメタンガスCHが生成される。この後、このような反応が繰り返し行われ、これによって図16(c)に示すように、シリコンリッチなSiOy膜30が形成されるようになる。
この場合、Al原子層29およびSiOy層30により、第2の酸化膜が構成されており、これには、金属原子であるアルミニウム原子が1×1013/cm以上含まれており、1層分の膜厚が100nm以下で形成されている。
次に、図14に示すように、ラジカル酸化による絶縁膜31の形成を行う。このラジカル酸化による絶縁膜31は、加工中のシリコン基板21を、例えば図17に示すような導波管100と石英窓101が設けられた真空チャンバー102のステージ103に搬送し(前述した真空チャンバーと同一でも構わない)、例えばO(酸素)ガスを50sccm程度流すことで50Paの圧力下で表面波プラズマPを生成し、このラジカル酸化により前記SiOy(y<2)膜30を、SiOx(x<y≦2)膜へと変質させ、表面側の部分にシリコン含有量を低減させた酸化膜として形成する。
このようにしてSiOy膜30は、ボイドが発生しにくく、溝2内を確実に埋め込むことができ、しかも上層部分をラジカル酸化によりシリコンの含有量が低減されるように酸化処理をすることで電気的にも絶縁特性を安定させることができる。なお、本実施形態においては、SiOx膜31の形成後、SiOy膜30の形成と同様な方法で再度シリコンリッチなSiOy膜32を繰り返し形成し、図15に示すように溝22内の埋め込みを完了させている。
以上のようにして溝22内にHTO膜28、Al原子層29、シリコンリッチなSiOy膜30、32、SiOx膜31を積層してSTI23を形成するので、ボイドを発生させることなく確実に溝22内を埋め込むことができ、しかも、溝22に最初にHTO膜28を形成しているので、Al原子層29などによるリーク電流の問題も解決されるので、電気的特性も良好な構成とすることができる。
この後、CMP処理をシリコン窒化膜27をストッパとして実施することにより、図8に示すように、STI23を形成することができる。なお、この後は、STI23を形成している絶縁膜をさらに掘り下げたり、あるいは、シリコン窒化膜27を剥離する処理などを実施したりすることで、フローティングゲート電極の下層部分を形成することができる。そして、この上にさらにゲート電極となる材料を何層も積層形成し、フローティングゲート電極およびゲート絶縁膜、コントロールゲート電極などを形成すると共に、導電性の材料をパターニングして加工することでフラッシュメモリを作成する。
上記したようにしてフラッシュメモリを形成することにより、溝22内に確実に絶縁膜を埋め込み形成することができ、これによって素子分離特性を向上させ、電気的特性も安定したものとすることができ、総じて歩留まりの改善を図ることができるようになる。
(第3の実施形態)
図18ないし図21は本発明の第3の実施形態を示すもので、以下、第2の実施形態と異なる部分について説明する。図18は、同様の構成を示しており、シリコン基板21の表面に、表面から突出して、絶縁膜からなるSTI23が形成されている。シリコン基板21の表面部分は、STI23により活性領域24が分離形成されている。シリコン基板21の活性領域24の表面には、ゲート酸化膜25、多結晶シリコン膜26、シリコン窒化膜27が積層形成されている。
絶縁膜からなるSTI23は、溝22の内面に複数の膜を積層して形成されている。溝22のシリコン基板21の面に接する部分およびゲート酸化膜25、多結晶シリコン膜26、シリコン窒化膜7の側面に接する部分には熱CVDにより形成されたシリコン酸化膜である第1の酸化膜としてのHTO膜28が形成されている。このHTO膜28の表面には後述する方法で形成された第2の酸化膜としてのシリコンリッチなSiOy(y<2)膜33が積層されている。
シリコンリッチなSiOy膜33は、上層側がプラズマ酸化処理され酸素の含有比率が高められたシリコン酸化膜SiOx(x>y)膜34とされている。さらにこの表面には同じくシリコンリッチなSiOy膜35が積層形成され、これによって溝22の内部が埋め込まれた状態となっている。
シリコンリッチなSiOy膜33、35は、アスペクト比が大きいSTI23の形成においてもボイドを伴うことなく溝2内部に形成することができるので、電気的な絶縁状態を確実にすることができ、特性上においても優れたものを得ることができる。また、上記構成においては、溝2の内面にHTO膜28を形成した上で、SiOy膜33を形成しているので、シリコンリッチな状態に起因した電気的特性への悪影響を防止することができる。
次に上記構成の製造工程について図19ないし図21も参照して説明する。
シリコン基板21に対して、第2の実施形態と同様にして図9ないし図12に示した工程を実施する。すなわち、ゲート酸化膜25、多結晶シリコン膜26、シリコン窒化膜27を順次積層形成し、続いて、RIE法によりシリコン窒化膜27、多結晶シリコン膜26、ゲート酸化膜25およびシリコン基板21を順次エッチング処理し、溝22を形成する。溝22は、底面が平坦で側壁は上方に向かって開くようにやや傾斜を持った状態(順テーパ)に形成されている。
次に、溝22の内壁表面にHTO膜28を熱CVD法により形成する。使用するガスは同様に、ジクロルシラン(SiHCl)を50〜150sccm、NOを100〜300sccmとし、処理温度を700〜800℃として、圧力を30〜50Pa程度の条件として行う。形成するHTO膜28の膜厚は、2.5nm以上とすることが望ましく、ここでは例えば5nmの膜厚で形成している。
続いて、図19に示すように、HTO膜28上にSiOy膜33を形成する。これは、次のようにして実施する。真空チャンバー内にシリコン基板21を配置し、この状態で200〜550℃で圧力が20〜150PaのAr(アルゴン)ガスまたはHe(ヘリウム)ガスなどの不活性ガスを流す環境下で、O(オゾン)ガスを20〜400sccmで1〜3秒間流す。次に、TDEAS(テトラジエチルアミドシリコン)ガスを15〜300sccmの流量で1〜3秒流す。このとき、TDEASガスを流した総流量は、Oガスの総流量に対して2倍以上の流量となる条件で実施し、これによってSiOy(y<2)膜33を膜厚5nm程度堆積させる。
次に、図20に示すように、ラジカル酸化を実施して絶縁膜34を形成する。このラジカル酸化による絶縁膜34は、加工中のシリコン基板21を、前述した図17に示すような導波管100と石英窓101が設けられた真空チャンバー102のステージ103に搬送し(前述した真空チャンバーと同一でも構わない)、例えばO(酸素)ガスを50sccm程度流すことで50Paの圧力下で表面波プラズマPを生成し、このラジカル酸化により前記SiOy(y<2)膜33を、SiOx(x<y≦2)膜へと変質させ、表面側の部分にシリコン含有量を低減させた酸化膜として形成する。
このようなSiOy膜33、SiOx膜34の繰り返し形成を、2回目実施することで、図21に示すように、溝22内の埋め込みを完了させている。
以上のようにして溝22内にHTO膜28、シリコンリッチなSiOy膜33、SiOx膜34を積層してSTI23を形成するので、ボイドを発生させることなく確実に溝22内を埋め込むことができ、しかも、溝22に最初にHTO膜28を形成しているので、Al原子層29などによるリーク電流の問題も解決されるので、電気的特性も良好な構成とすることができる。この後、CMP処理をシリコン窒化膜27をストッパとして実施することにより、図18に示すように、STI23を形成することができる。
上記したようにしてフラッシュメモリを形成することにより、溝22内に確実に絶縁膜を埋め込み形成することができ、これによって素子分離特性を向上させ、電気的特性も安定したものとすることができ、総じて歩留まりの改善を図ることができるようになる。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
上記実施形態においては、HTO膜8、28の形成の際に、ジクロルシラン(SiHCl)ガスを用いたが、これに限らず、シラン(SiH)ガスを用いることもできる。この時、成膜温度は750〜850℃、圧力は65Pa〜133Pa、SiHガスの流量を20〜40sccmとし、NOガスの流量を1500〜2000sccm程度とする条件であれば、成膜は可能である。
また、HTO膜8、28の膜厚は、2.5nm以上であれば良く、実施形態で述べた5nmに限定されるものではない。
上記実施形態においては、プラズマ酸化処理の際にO2ガスを用いたが、これに限らず、O(オゾン)ガス、H(過酸化水素)Vaporでも同様に処理をすることができるものである。
上記実施形態において、シリコン基板1、21に溝2、22を形成する際に、RIE法によるエッチングで底部に向かうほど幅が狭くなるように傾斜角度α(テーパ角)を持たせるようにしているが、この傾斜角度はゼロ以上であれば適宜の角度に設定することができる。
上記実施形態においては、シラノール類のガスを用いてSiOy膜10、30、33を形成する際に(Si−(OCH−OH)ガスを用いたが、これに限らず、シラノール類として、
Si−(O−Cx1y1)(O−Cx2y2)(O−Cx3y3)−OH
ただし、
x1、x2、x3=1〜10、
y1=2×x1+1、y2=2×x2+1、y3=2×x3+1
のいずれかの材料を用いることができる。
上記実施形態においては、Al原子層9、19を形成する際に、TMAを用いたが、これに代えて
DMAH(ジメチルアルミハイドライド)(Al−(CH―H)、
TEA(テトラエチルアルミニウム)(Al−(CH)、
TMAH(ジエチルアルミハイドライド)(Al−(C−H)
などを用いることもできる。
上記実施形態においては、Al原子層9、29を設ける場合の例を示しているが、これに代えて、Cu(銅)、Ag(銀)、Ti(チタン)、Nb(ニオブ)などの金属を用いるようにしても良いし、これらを複合的に含むようにしても良い。
上記実施形態では、シリコンを含む有機化合物として、TDEAS(テトラジエチルアミドシリコン)ガスを用いる場合の例を示したが、これに代えて、TDMS(テトラジメチルアミノシリコン)、TEMAS(テトラエチルメチルアミノシリコン)、HSi(N(CH)(C))のいずれかを用いることもできる。
上記実施形態では、本発明をフラッシュメモリに適用した場合として説明したが、これに限らず、例えばMRAMのような半導体装置にも適用できるし、その他、アスペクト比が高く半導体基板に形成した溝の内部に絶縁膜を形成する構成の半導体装置全般に適用することができる。
上記実施形態においては、第1の酸化膜および第2の酸化膜を形成する工程を、ゲート電極の一部として多結晶シリコン膜6、26を設けた状態で行う場合の例で説明したが、これに限らず、多結晶シリコン膜を設けずに、ゲート絶縁膜上に直接シリコン窒化膜を形成した状態で溝を形成する場合にも適用することができる。
本発明の第1の実施形態を示す模式的な断面図 製造工程の一段階における模式的な断面図(その1) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その2) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その3) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その4) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その5) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その6) 本発明の第2の実施形態を示す模式的な断面図 製造工程の一段階における模式的な断面図(その1) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その2) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その3) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その4) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その5) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その6) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その7) Al原子層およびSiOy膜形成の原理説明図 プラズマ酸化の処理装置の概略的な断面図 本発明の第3の実施形態を示す模式的な断面図 製造工程の一段階における模式的な断面図(その1) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その2) 製造工程の一段階における模式的な断面図(その3)
符号の説明
図面中、1はシリコン基板(半導体基板)、2は溝、3はSTI(素子分離領域)、4は活性領域、5はゲート酸化膜(ゲート絶縁膜)、6は多結晶シリコン膜、7はシリコン窒化膜、8はHTO膜(第1の酸化膜)、9はAl原子層、10、11はSiOy膜(第2の酸化膜)、21はシリコン基板(半導体基板)、22は溝、23はSTI(素子分離領域)、24は活性領域、25はゲート酸化膜(ゲート絶縁膜)、26は多結晶シリコン膜、27はシリコン窒化膜、28はHTO膜(第1の酸化膜)、29はAl原子層、30、32、34、35はSiOy膜(第2の酸化膜)、31はSiOx膜、100は導波管、101は石英窓、102は真空チャンバーである。

Claims (6)

  1. 半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に多結晶シリコン膜を形成する工程と、
    前記多結晶シリコン膜上にシリコン窒化膜を形成する工程と、
    前記半導体基板上に積層した前記シリコン窒化膜、前記多結晶シリコン膜、前記ゲート絶縁膜および前記半導体基板を異方性エッチングし溝を形成する工程と、
    形成した前記溝の表面に熱CVD法により第1の酸化膜を形成する工程と、
    前記第1の酸化膜が形成された前記溝にシリコン酸化膜(SiOx;ただしx≦2)膜もしくは金属原子または炭素原子を1×1013/cm以上含む第2の酸化膜を埋め込む工程と、
    埋め込んだ前記第2の酸化膜を酸化性雰囲気中でプラズマ処理する工程とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上にシリコン窒化膜を形成する工程と、
    前記半導体基板上に積層した前記シリコン窒化膜、前記ゲート絶縁膜および前記半導体基板を異方性エッチングし溝を形成する工程と、
    形成した前記溝の表面に熱CVD法により第1の酸化膜を形成する工程と、
    前記第1の酸化膜が形成された前記溝にシリコン酸化膜(SiOx;ただしx≦2)膜もしくは金属原子または炭素原子を1×1013/cm以上含む第2の酸化膜を埋め込む工程と、
    埋め込んだ前記第2の酸化膜を酸化性雰囲気中でプラズマ処理する工程とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第2の酸化膜を埋め込む工程およびプラズマ処理を行う工程は、前記溝を埋め込むために複数回繰り返し実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第2の酸化膜を形成する工程では、前記半導体基板を、Al(アルミニウム)を含む有機化合物を導入した真空雰囲気中に曝露する工程と、シリコンを含む有機化合物を導入した真空雰囲気中に曝露する工程とを含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第2の酸化膜を形成する工程では、前記半導体基板を、シリコンを含む有機化合物を導入した真空雰囲気中に曝露する工程と、酸化性を有するガスを導入した真空雰囲気中に曝露する工程とを含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 溝が形成された半導体基板と、
    この半導体基板の前記溝を除いた表面に形成されたゲート絶縁膜と、
    このゲート絶縁膜上に形成された多結晶シリコン膜と、
    前記溝の表面に熱CVD法により形成された第1の酸化膜と、
    前記第1の酸化膜が形成された溝に埋め込まれ且つプラズマ酸化処理されたシリコン酸化膜(SiOx;ただしx≦2)膜もしくは1×1013/cm以上の金属原子または炭素原子を含む第2の酸化膜とを備えたことを特徴とする半導体装置。
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