JP2008008414A - 一方向クラッチ - Google Patents

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英信 三上
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Abstract

【課題】一方向クラッチのころの転動面における水素脆性による白色組織変化を伴った剥離やフレッティング摩耗の発生を防止でき、耐熱耐摩耗性能に優れる一方向クラッチを提供する。
【解決手段】クラッチ用外輪13と、該外輪13の内径面に設けられた複数個のころ14とを備え、出力部材に取り付けられてなる一方向クラッチ11において、上記クラッチ用外輪13の一方向トルクのみを上記ころ14を介して上記出力部材に伝達する一方向クラッチであって、上記複数個のころ14を設置したクラッチ内部空間内にグリースが封入されてなり、上記グリースは、基油と、増ちょう剤と、添加剤とを含み、該添加剤はアルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、該アルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.01〜15 重量部である。
【選択図】図1

Description

本発明の一方向クラッチは、入力部材の一方向のトルクのみを出力部材に伝達する一方向クラッチに関し、特に該装置に封入するグリース組成物に特徴を有するものに関する。
小型軽量化を目的としたFF(フロントエンジン・フロント駆動)車の普及により、また、さらに居住空間の拡大により、自動車はエンジンルームの縮小を余儀なくされつつある。このため、自動車用電装補機は小型軽量化が一層進められるとともに、高性能、高出力のものがますます求められている。
一方向クラッチを介して作動する代表的な自動車用電装補機として、エンジン温度に対応した最適な送風を行なうファンカップリング装置やエンジンの回転をベルトで受けて発電し、車両の電気負荷に電力を供給するとともに、バッテリーを充電するオルタネータなどがある。これらはエンジンが所定の出力状態にあるときのみ繋がる一方向クラッチを介してエンジンの回転トルクを効率よく利用するために用いられるものである。自動車用電装補機に装着される一方向クラッチは、エンジン出力軸への着脱が頻繁に繰り返され、エンジン出力軸と繋がるときの回転速度が高いために、負荷荷重、発生する熱および振動などが大きくなるなど、自動車の高性能化・高出力化に伴って、使用条件が厳しくなっている。
このように一方向クラッチの使用条件が厳しくなると、一方向クラッチのオーバーラン時に、一方向クラッチの各ころの転動面およびクラッチ用外輪の転走面と、一方向クラッチが取り付けられているシャフトに連接するクラッチ用内輪の転走面とに、水素脆性による白色組織変化を伴った剥離が生じやすくなる。また、一方向クラッチのロック時に、これらの転動面と転走面との接触部でフレッティング摩耗が生じやすくなる可能性がある。このため、各ころを設置した空間内に封入するグリースとして、剥離やフレッティング摩耗の発生を防止できるものを使用することが望まれている。
また、一方向クラッチを装着した自動車用電装補機などは、エンジンルームの下部に設置されることが多いため、自動車の走行時、一方向クラッチに雨水などが浸入しやすい。このような雨水などが一方向クラッチの各ころを設置した空間内に浸入すると、一方向クラッチの各ころの転動面およびクラッチ用外輪の転走面と、一方向クラッチが取り付けられているシャフトに連接するクラッチ用内輪の転走面とが腐食しやすくなる。このため、各ころを設置した空間内に封入するグリースとしては、他の箇所に使用されるグリースよりも錆び止め性能に優れたものを使用する必要がある。
従来、オルタネータ用一方向クラッチにおいて、エーテル油を基油としたグリースを使用するもの(特許文献1参照)、粘度圧力係数が所定値以上であるグリースを使用するもの(特許文献2参照)、または、40℃での動粘度が 60 mm2/sec 以下の合成油を基油としたグリースを使用するもの(特許文献3参照)などが知られている。
しかしながら、特許文献1のように、エーテル油を基油としたものでは、一方向クラッチがオーバーラン状態での低摩擦摩耗特性が十分でないという問題がある。特許文献2では、粘度圧力係数が所定値以上であることは、ロック状態を確実に実現するには有効であるが、オーバーラン状態での摩耗を十分に抑制することができないという問題がある。また、特許文献3のように、グリース基油に動粘度が低い合成油を使用した場合では、一般的に耐熱性が不十分となり、長期間の使用が困難になるという問題がある。
特開平11−82688号公報 特開2000−234638号公報 特開2000−253620号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、一方向クラッチのころの転動面における水素脆性による白色組織変化を伴った剥離やフレッティング摩耗の発生を防止でき、耐熱耐摩耗性能に優れる一方向クラッチの提供を目的とする。
本発明の一方向クラッチは、クラッチ用外輪と、該外輪の内径面に設けられた複数個のころとを備え、出力部材に取り付けられてなる一方向クラッチにおいて、上記クラッチ用外輪の一方向トルクのみを上記ころを介して上記出力部材に伝達する一方向クラッチであって、上記複数個のころを設置したクラッチ内部空間内にグリースが封入されてなり、上記グリースは、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなるグリースであり、上記添加剤はアルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、該アルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.01〜15 重量部である(以下、このグリースを「本発明に用いるグリース」と記す)ことを特徴とする。
上記アルミニウム化合物は、硫酸アルミニウムおよび炭酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする。
また、上記基油は、ポリ-α-オレフィン(以下、PAOと記す)油であり、40℃における動粘度が 30〜200 mm2/sec であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、下記式(1)で示されるウレア系化合物であることを特徴とする。
Figure 2008008414
(式中、R1およびR3 は、炭素原子数 6〜20 の炭化水素基であり、R1およびR3 は、同一であっても異なっていてもよい。R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族系炭化水素基である。)
本発明の一方向クラッチは、耐熱耐久性に優れるアルミニウム系添加剤を配合したグリースを使用しているので、極圧性効果を長期間持続することができる。そのため、一方向クラッチのころの転動面における水素脆性による白色組織変化を伴った剥離やフレッティング摩耗の発生を防止できることにより、一方向クラッチの耐摩耗性および耐久性を長期間維持できる。
極圧剤含有グリースを封入した一方向クラッチについて検討した結果、ベースグリース 100 重量部に対し、添加剤としてアルミニウム系添加剤を 0.01〜15 重量部配合したグリースを封入した一方向クラッチは、アルミニウム系添加剤以外の添加剤を配合したグリースを封入した一方向クラッチに比べて、高荷重およびすべり運動下で摩耗が少なく、長期耐久性能が向上することがわかった。これはアルミニウム系添加剤がアルミニウム系添加剤以外の物質よりも耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果を長時間持続することができることによるものと考えられる。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明の一方向クラッチを図1に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例に係る一方向クラッチの断面図である。この実施例は一方向クラッチと転がり軸受とを併用した利用形態である一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の例である。
この一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置8は、互いに同心に配置した一対の回転部材として、プーリ10(外径側回転部材)と、出力部材に連結されたスリーブ9(内径側回転部材)とを備える。そして、これらプーリ10の内径面とスリーブ9の外径面との間に、一対の転がり軸受1、1と一方向クラッチ11とを設けている。
プーリ10は、全体が円筒状に形成されており、その外径面の幅方向に関する断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる環状ベルトの一部を掛け渡し自在としている。一方、スリーブ9は、全体が円筒状に形成されており、オルタネータなどの補機の回転軸に嵌合固定して、この回転軸と共に回転自在である。そして、プーリ10の内径面とスリーブ9の外径面との間に位置する円筒状空間の軸方向両端部でこの一方向クラッチ11を軸方向両側から挟む位置に転がり軸受1、1を設置するとともに、この円筒状空間の軸方向中間部に一方向クラッチ11を設置している。
この一方向クラッチ11は、プーリ10がスリーブ9に対し所定の相対速度で回転する場合にのみ、これらプーリ10とスリーブ9との間での回転力を自在に伝達する。また、この一方向クラッチ11は、クラッチ用外輪13と、クラッチ用内輪12と、複数個のころ14と、クラッチ用保持器15と、ばね24(図2参照)とから構成される。これらの中でクラッチ用外輪13はプーリ10の中間部内径面に、クラッチ用内輪12はスリーブ9の中間部外径面に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定している。また、クラッチ用外輪13の中間部内径面を単なる円筒面とし、かつ、クラッチ用内輪12の外径面をカム面16としている。すなわち、クラッチ用内輪12の外径面の円周方向に等間隔に、それぞれがランプ部と呼ばれる複数の凹部17を設けて、このクラッチ用内輪12の外径面をカム面16としている。
また、クラッチ用外輪13の中間部内径面と、カム面16との間に、複数個のころ14と、これら各ころ14を転動および円周方向に関する若干の変位に対応して支持する、クラッチ用保持器15とを設けている。このクラッチ用保持器15は、全体が合成樹脂製であり、その内周縁部をカム面16の一部と係合させることにより、クラッチ用内輪12よりも高速で回転しないようにしている。同時に、図示の例では、クラッチ用保持器15の端部内径面に形成した凸部18を、スリーブ9の外径面に設けた段差面19と、クラッチ用内輪12の軸方向端面との間で挟持することにより、クラッチ用保持器15の軸方向の位置決めを行なっている。
一方向クラッチの周方向断面図である図2(a)および図2(b)に示すように、各ころ14と、クラッチ用保持器15との間には、これら各ころ14を円周方向と同方向(各凹部17が浅くなる方向)に押圧するための、ばね24を設けている。各ころ14の周囲に本発明に用いるグリースが封入されている。
図2(a)に示すように、クラッチ用外輪13がクラッチ用内輪12に対して図中矢印(時計回り)方向に回転しようとすると、ばね24のスプリング作用で、ころ14はクラッチ用内輪12の凹部17のかみ合い位置に進み、クラッチ用内輪12のカム面16と、クラッチ用外輪13の内径面とのくさび作用でクラッチ用内輪12を駆動する。また、図2(b)に示すように、クラッチ用外輪13がクラッチ用内輪12に対して図中矢印(反時計回り)方向に回転しようとすると、クラッチ用内輪12はクラッチ用外輪13に対して相対的に時計回り方向に回転することになり、ころ14はクラッチ用内輪12のカム面16から離れ、クラッチ用外輪13はクラッチ用内輪12に対して空転する。
また、一対の転がり軸受1、1は、プーリ10に加わるラジアル荷重を支承しつつ、スリーブ9とプーリ10との相対回転を自在とする。この様な各転がり軸受1、1として、図1においては、それぞれ深溝型の玉軸受を使用している。すなわち、これら各転がり軸受1、1はそれぞれ、深溝型の玉軸受の断面図である図3に詳細を示すとおり、外径面に深溝型の内輪転走面2aを有し、スリーブ9の両端部に嵌合固定した内輪2と、内径面に深溝型の外輪転走面3aを有し、プーリ10の両端部に嵌合固定した外輪3と、これら内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に保持器5により保持した状態で転動自在に設けられた複数個の玉4とから構成される。また、内輪2の外径面と外輪3の内径面との間に存在する、各玉4を設けた空間の両端開口部は、それぞれシール部材6により密封されている。また、各玉4の周囲に本発明に用いるグリース7が封入されている。
上述の構成の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置8において、スリーブ9はオルタネータなどの自動車用電装補機の回転軸の端部に嵌合固定されるとともに、プーリ10の外径面は環状ベルトが掛け渡される。この環状ベルトはエンジンのクランクシャフトなどの端部に固定された駆動プーリに掛け渡され、この駆動プーリの回転により駆動する。このような状態で組み付けられる一方向クラッチ11は、環状ベルトの走行速度が低下して行く場合には、これらプーリ10と回転軸との相対回転を自在とし、反対に環状ベルトの走行速度が一定もしくは上昇して行く場合には、プーリ10から回転軸への回転力の伝達を自在としている。この結果、クランクシャフトの回転角速度が変動した場合でも、プーリ10と環状ベルトとが擦れ合うことを防止して、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩耗による環状ベルトの寿命低下を防止するとともに、オルタネータの発電効率の低下を防止できる。
一方向クラッチを用いて、自動車用電装補機の電動モータとエンジンとのうちの一方が運転状態にあり、他方が停止状態にある場合に、この一方の回転軸からプーリ10への回転力の伝達を自在にするとともに、他方の回転軸が回転しないようにすることができる。例えば、一方向クラッチを自動車用電装補機の電動モータおよびクランクシャフトの駆動軸の端部に装着することにより、エンジンのアイドルストップ時の補機駆動装置に利用することができる。
本発明の一方向クラッチとしては、軸受(または別のころ)と一方向クラッチとを組み合せた上述の併用型の形態の他、一方向クラッチにかかるラジアル荷重が小さい場合には軸受等を併用しない形態のもの等も使用することができる。
本発明の一方向クラッチに封入するグリースに添加することができるアルミニウム系添加剤としては、アルミニウム粉末、炭酸アルミニウム、硫化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびその水和物、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、オキシフッ化アルミニウム、オキシ塩化アルミニウム、オキシ臭化アルミニウム、オキシヨウ化アルミニウム、酸化アルミニウムおよびその水和物、水酸化アルミニウム、セレン化アルミニウム、テルル化アルミニウム、リン酸アルミニウム、りん化アルミニウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸マグネシウム、セレン酸アルミニウム、オキシ過塩素酸アルミニウム、オキシ硫酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、ジルコン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、モリブデン酸アルミニウム等が挙げられるが、本発明において、特に好ましいのは、耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果の高いアルミニウム粉末である。
これらアルミニウム系添加剤は、単独で、または、2 種類以上を混合してグリースに添加してもよい。
アルミニウム系添加剤の配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.01〜15 重量部、好ましくは 1〜10 重量部である。すなわち、(1)アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末のみである場合、ベースグリース 100 重量部に対してアルミニウム粉末を 0.01〜15 重量部、好ましくは 1〜10 重量部、(2)アルミニウム系添加剤がアルミニウム化合物のみである場合、ベースグリース 100 重量部に対してアルミニウム化合物を 0.01〜15 重量部、好ましくは 1〜10 重量部、(3)アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末とアルミニウム化合物とである場合、ベースグリース 100 重量部に対して、アルミニウム粉末とアルミニウム化合物とを合せて 0.01〜15 重量部、好ましくは 1〜10 重量部、それぞれ配合する。
ベースグリース 100 重量部に対してアルミニウム系添加剤の配合割合が 0.01 重量部未満であると水素脆性による転走面での剥離やフレッティング摩耗の発生を効果的に防止できない。また 15 重量部をこえても剥離防止効果等がそれ以上に向上しない。
本発明に使用できる基油としては、例えば、鉱油、PAO油、エステル油、フェニルエーテル油、フッ素油、さらに、フィッシャートロプシュ反応で合成される合成炭化水素油(GTL基油)などが挙げられる。この中でも、PAO油、鉱油、エステル油およびエーテル油から選ばれた少なくとも一種を使用することが好ましい。上記のPAO油としては、通常、α-オレフィンまたは異性化されたα-オレフィンのオリゴマーまたはポリマーの混合物である。α-オレフィンの具体例としては、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセンなどを挙げることができ、通常はこれらの混合物が使用される。また、鉱油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの通常潤滑油やグリースの分野で使用されているものをいずれも使用することができる。
本発明の一方向クラッチ用グリースに使用できる基油は、好ましくは、40℃における動粘度が 30〜200 mm2/sec である。30 mm2/sec 未満の場合は、蒸発量が増加し、耐熱性が低下するので好ましくなく、また、200 mm2/sec をこえると回転トルクの増加により、一方向クラッチのころの転動面での温度上昇が大きくなるので好ましくない。
本発明の一方向クラッチ用グリースに使用できる増ちょう剤として、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、複合リチウム、複合カルシウム、複合アルミニウムなどの金属石けん系増ちょう剤およびジウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア系化合物が挙げられる。耐久性、耐フレッティング性などを考慮するとウレア系化合物が好ましい。ウレア系化合物は、例えば下記式(1)で表わされる。これらの増ちょう剤は、単独で用いても2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2008008414
式中、R1およびR3 は、炭素原子数 6〜20 の炭化水素基であり、R1およびR3 は、同一であっても異なっていてもよい。R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族系炭化水素基である。
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物を反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
反応は、例えばモノアミン酸とジイソシアネート類を、70〜110℃程度の基油中で十分に反応させた後、温度を上昇させ 120〜180℃で 1〜2 時間程度保持し、その後冷却し、ホモジナイザー、3 本ロールミル等を使用して均一化処理することによりなされる。
式(1)で表されるジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、3,3-ジメチル-4,4-ビフェニレンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
基油にウレア系化合物等の増ちょう剤を配合して上記アルミニウム系添加剤等を配合するためのベースグリースが得られる。ウレア系化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、上述のように基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
ベースグリース中に占める増ちょう剤の配合割合は、1〜40 重量部、好ましくは 3〜25 重量部である。増ちょう剤の含有量が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、ベースグリース化が困難となり、 40 重量部をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られ難くなる。
本発明に使用できる一方向クラッチに用いるグリースの混和ちょう度は 200〜400 の範囲が好ましい。200 未満では低温時の潤滑性能が悪くなり、400 をこえるとグリース組成物が漏れやすくなって好ましくない。
本発明の一方向クラッチに用いるグリースは、必要に応じて公知の添加剤をグリースに含有させることができる。この添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系、イオウ系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑剤などが挙げられる。これらを単独で、または2種類以上組み合せて添加することができる。
実施例1〜実施例7
反応容器中で、基油中に増ちょう剤を加え、3 本ロールミルを用いて均一化処理して、表1に示すウレア/PAO油系ベースグリース( 40℃における基油動粘度 46 mm2/sec を使用)を得た。得られたベースグリースに添加剤としてアルミニウム系添加剤と、アミン系酸化防止剤(大内新興化学社製、ノクラックAD−F)とを、表1に示す割合で上記ベースグリースに添加して、各実施例のグリースを作製した。得られたグリースにつき、以下に記す極圧性評価試験および高温高速試験を行なった。結果を表1に併記した。
<極圧性評価試験>
極圧性評価試験装置を図4に示す。評価試験装置は、回転軸20に固定された φ40 mm×10 mm のリング状試験片21と、この試験片21と端面23にて端面同士が擦り合わされるリング状試験片22とで構成される。ころ軸受用グリースを端面23部分に塗布し、回転軸20を回転数 2000 rpm、図4中右方向Aのアキシャル荷重 490 N 、ラジアル荷重 392 N を負荷して、極圧性を評価した。極圧性は両試験片のすべり部の摩擦摩耗増大により生じる回転軸20の振動を振動センサにて測定し、その振動値が初期値の 2 倍になるまで試験を行ない、その時間を測定した。
回転軸20の振動値が初期値の 2 倍になるまでの時間が長いほど極圧性効果が大となり、優れた耐熱耐久性を示す。したがってグリースの耐熱耐久性の評価は、測定された上記時間の長さにて各実施例と各比較例とを対比させて行なった。
<高温高速試験>
転がり軸受(軸受寸法:内径 φ 20 mm×外径 φ 47 mm×幅 14 mm )に各実施例および各比較例で得られたグリースをそれぞれ 1.8 g 封入し、軸受外輪外径部温度 150℃、ラジアル荷重 67 N 、アキシャル荷重 67 N の下で、10000 rpm の回転数で回転させ、焼きつきにいたるまでの時間を測定した。
比較例1〜比較例3
添加剤としてアルミニウム系添加剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様に処理して得られたグリースにつき、上記極圧性評価試験および高温高速試験を行なった。結果を表1に併記した。
Figure 2008008414
本発明の一方向クラッチに用いるグリースとして表1に示すようにアルミニウム系添加剤を使用した実施例は使用しなかった比較例に比べていずれも耐摩耗性が向上しており、長期耐久性に優れる。
本発明の一方向クラッチは、封入したグリースに耐熱耐久性に優れたアルミニウム系添加剤を使用しているので、極圧性効果を長期間持続することができる。そのため、耐摩耗性とともに、長期間耐久性の要求される鉄道車両、建設機械、自動車用電装補機などに好適に利用することができる。
本発明の一実施例に係る一方向クラッチの断面図である。 一方向クラッチの周方向断面図である。 転がり軸受の断面図である 極圧性評価試験装置を示す図である。
符号の説明
1 転がり軸受
2 内輪
2a 内輪転走面
3 外輪
3a 外輪転走面
4 玉(転動体)
5 保持器
5a ポケット
6 シール部材
7 グリース
8 一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置
9 スリーブ
10 プーリ
11 一方向クラッチ
12 クラッチ用内輪
13 クラッチ用外輪
14 ころ
15 クラッチ用保持器
16 カム面
17 凹部
18 凸部
19 段差面
20 回転軸
21 リング状試験片
22 リング状試験片
23 端面
24 ばね

Claims (4)

  1. クラッチ用外輪と、該外輪の内径面に設けられた複数個のころとを備え、出力部材に取り付けられてなる一方向クラッチにおいて、前記クラッチ用外輪の一方向トルクのみを前記ころを介して前記出力部材に伝達する一方向クラッチであって、
    前記複数個のころを設置したクラッチ内部空間内にグリースが封入されてなり、
    前記グリースは、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなるグリースであり、前記添加剤はアルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、該アルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.01〜15 重量部であることを特徴とする一方向クラッチ。
  2. 前記アルミニウム化合物は、硫酸アルミニウムおよび炭酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項1記載の一方向クラッチ。
  3. 前記基油は、ポリ-α-オレフィン油であり、40℃における動粘度が 30〜200 mm2/sec であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の一方向クラッチ。
  4. 前記増ちょう剤は、下記式(1)で示されるウレア系化合物であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の一方向クラッチ。
    Figure 2008008414
    (式中、R1およびR3 は、炭素原子数 6〜20 の炭化水素基であり、R1およびR3 は、同一であっても異なっていてもよい。R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族系炭化水素基である。)
JP2006179797A 2006-02-16 2006-06-29 一方向クラッチ Pending JP2008008414A (ja)

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