JP2008007561A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いて得られた半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、成形時のパッケージ内におけるワイヤー流れ等の問題の生じない優れた成形性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いて得られた信頼性の高い半導体装置に関するものである。
トランジスター,IC,LSI等の半導体素子は、通常、エポキシ樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を用いてトランスファー成形により樹脂封止され半導体装置化されている。この種のパッケージとしては、従来から各種形態のパッケージが開発されている。
上記エポキシ樹脂組成物は、通常、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,硬化促進剤,無機質充填剤,離型剤,難燃剤,カップリング剤等から構成され、一般にはこれら各原料を攪拌混合機等で予備混合し、ついで、単軸混練機,二軸混練機,加熱ロール,連続混練機,バッチ式混練機等の加熱混練機を用いて溶融混練することによって、各原料を混合・分散し製造されている。
一方、電気機器の小型化・軽量化・高機能化に伴い、半導体パッケージの小型化・薄型化・狭ピッチ化が加速し、半導体パッケージの半田耐熱性や耐湿性の一層の向上が求められている。このため、上記エポキシ樹脂組成物中の無機質充填剤の含有量がますます多くなってきており、この無機質充填剤の含有量の増加は、樹脂封止成形時の流動性の低下を招き、結果、ワイヤー流れやボイドの発生等の成形不良を増大させている。
例えば、表面実装タイプのような薄型のパッケージにおいては、表面実装工程での半田耐熱性を向上させるために、無機質充填剤の含有量の多いエポキシ樹脂組成物を用いての樹脂封止が行われているが、このことに起因して、成形時の欠陥、具体的には、ワイヤー流れ,ボイド形成,リードピンの変形,ダイパッドシフト等が発生しやすいという問題がある。すなわち、パッケージの吸湿を抑制し、樹脂強度を向上させる目的で無機質充填剤の含有量を極限にまで多量に配合したエポキシ樹脂組成物を用いた結果、上記のような問題が発生する。そして、このようなエポキシ樹脂組成物を用いた場合、流動性が著しく低下し、先に述べたような成形上の種々の問題を引き起こすこととなる。
このような問題を解消するため、無機質充填剤の球状を真球に近い形状とし、これを用いて封止材料であるエポキシ樹脂組成物の流動性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、上記無機質充填剤の含有量を増やしながらも成形時の良好な流動性を確保するために、より低粘度の樹脂成分を用いることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−104730号公報
特開2002−237552号公報
しかしながら、上記真球に近い形状の無機質充填剤を用いたり、低粘度の樹脂成分を用いたりする方法では、流動性の向上に関して充分とは言い難いものである。また、特定の粒度分布を有する球状の無機質充填剤を用いることも検討されているが、近年の薄型の半導体パッケージの成形に際しては、やはり流動性に関して充分満足のいくものとは言い難い。このように、より一層流動性に優れた封止材料により樹脂封止されてなる高い信頼性を備えた半導体装置が要望されているのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、特に薄型の半導体パッケージの成形に際して、無機質充填剤の高充填においても高い流動性を有し、成形時のワイヤー流れ等の発生が抑制され、優れた成形性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いて得られた半導体装置の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)〜(D)を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)無機質充填剤。
(D)下記の一般式(1)で表される離型剤。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)無機質充填剤。
(D)下記の一般式(1)で表される離型剤。
そして、本発明は、上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を樹脂封止してなる半導体装置を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、上記目的を達成するために、半導体装置の封止に用いられるエポキシ樹脂組成物の配合成分を中心に鋭意検討を重ねた。そして、配合成分のなかでも、特に離型剤に着目し、さらに離型剤に関して研究を重ねた結果、前記一般式(1)で表される離型剤〔(D)成分〕を用いると、この離型剤の成分が可塑剤としても作用するため、流動性が良好となり、成形流動時における粘度が低減され、結果、成形時のパッケージ内でのワイヤー流れの発生等が抑制されることを見出し本発明に到達した。
このように、本発明は、前記一般式(1)で表される離型剤〔(D)成分〕を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。このため、前記無機質充填剤〔(C)成分〕の含有量が従来のように樹脂組成物全体に対して高含有量であっても、封止材料としての流動性は大幅に向上し、優れた成形性が得られる。したがって、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて得られる半導体装置としては、その封止成形時において、パッケージ内でのワイヤー流れの発生が抑制され、高い信頼性を備えたものが得られる。
そして、無機質充填剤〔(C)成分〕が球状溶融シリカ粉末であると、より一層流動性に優れたものが得られるようになる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A成分)と、フェノール樹脂(B成分)と、無機質充填剤(C成分)と、特定の離型剤(D成分)を用いて得られるものであって、通常、粉末状もしくはこれを打錠したタブレット状になっている。
上記エポキシ樹脂(A成分)としては、特に限定するものではなく従来公知の各種エポキシ樹脂が用いられ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらエポキシ樹脂のなかでも、耐湿信頼性等の観点から、ビフェニル骨格を有する結晶性エポキシ樹脂、例えば、下記の一般式(2)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂や、低級アルキル基をフェニル環に付加したような低吸湿型のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。具体的には、下記の一般式(2)中、R3 〜R6 が全てメチル基となる4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニルが好ましく用いられる。このようなエポキシ樹脂としては、エポキシ当量90〜250、軟化点もしくは融点が50〜140℃のものが好ましい。
上記エポキシ樹脂(A成分)とともに用いられるフェノール樹脂(B成分)としては、特に限定するものではなく1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー,オリゴマー,ポリマー全般をいう。例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビフェニル型ノボラック、トリフェノールメタン型、ナフトールノボラック、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、フェノールノボラック樹脂やキシレン変性フェノールノボラック樹脂のような水酸基当量の小さいものを用いることが流動性の観点から好ましい。そして、150℃でのICI粘度が0.002〜0.3Pa・sとなるものを用いることが流動性の観点から好ましい。さらに、水酸基当量が180未満であることが好ましい。具体的には、下記の一般式(3)で表されるフェノール樹脂とフェノールノボラック樹脂とを併用することが好ましい。
そして、上記エポキシ樹脂(A成分)とフェノール樹脂(B成分)の配合割合は、エポキシ樹脂(A成分)を硬化させるに充分な量に設定することが好ましい。例えば、エポキシ樹脂(A成分)中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基の合計が0.7〜1.5当量となるように配合することが好ましく、より好ましくは0.9〜1.2当量である。
つぎに、上記A成分およびB成分とともに用いられる無機質充填剤(C成分)としては、従来公知の各種無機粉末が用いられ、例えば、溶融シリカ粉末および結晶性シリカ粉末等のシリカ粉末、アルミナ、窒化アルミニウム、タルク、炭酸カルシウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。好ましくは流動性という観点から、球状無機粉末を用いることが好ましい。その球形度は0.85以上であることが特に好ましい。なお、上記球形度は、例えば、画像解析式粒子径分布測定装置を用い、投影された形状の、最大内接円径/最小内接円径として測定される値である。なお、無機質充填剤(C成分)全体が球状無機粉末のみで構成されていてもよいし、それ以外の無機質充填剤を併用してもよい。
上記球状無機粉末とともに球状無機粉末以外の無機質充填剤を併用する場合、上記球状無機粉末以外の無機質充填剤の割合は、無機質充填剤全体の30重量%以下に設定することが好ましく、特に好ましくは10重量%以下である。
そして、上記球状無機粉末としては、特に限定するものではなく従来公知の各種球状無機粉末が用いられる。例えば、球状溶融シリカ粉末や球状合成シリカ粉末、球状アルミナ粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これら球状無機粉末以外に、破砕状あるいは摩砕処理したもの等いずれのものでも併用することができる。なかでも、球状のもの、特に球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。
さらに、上記無機質充填剤(C成分)の粒度分布としては、粒径0.1μm以上2μm未満の領域(c1)、粒径2〜10μmの領域(c2)、粒径15〜100μmの領域(c3)において下記に示す分布割合(重量%)に設定することが好ましい。
(c1)1〜30重量%。
(c2)1〜50重量%。
(c3)49〜98重量%。
(c1)1〜30重量%。
(c2)1〜50重量%。
(c3)49〜98重量%。
そして、無機質充填剤(C成分)全体では、レーザー散乱式粒度分布測定装置による平均粒径が15〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜45μmである。
上記無機質充填剤(C成分)の含有量は、通常、樹脂組成物全体の70〜95重量%の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくは80〜92重量%の範囲である。すなわち、70重量%未満では、パッケージの耐半田性が低下する傾向がみられ、逆に95重量%を超えると、流動性が低下し、パッケージ内のワイヤー流れ,ダイパッドシフト,リードピンの変形等が多発する傾向がみられるからである。
上記A〜C成分とともに用いられる特定の離型剤(D成分)は、下記の一般式(1)で表される化合物である。
上記式(1)において、Rは炭素数20〜40の直鎖アルキル基であるが、特に好ましくは炭素数25〜35の直鎖アルキル基である。一方、R′は水素もしくは炭素数20〜40の直鎖アルキル基であるが、特に好ましくは水素または炭素数25〜35の直鎖アルキル基である。
上記特定の離型剤(D成分)としては、具体的には、n−C23H47COOH、n−C25H51COOH、n−C29H59COOH、C23H47COOC24H49、C25H51COOC26H53、C29H59COOC29H59、n−C29H59COOC30H61、C31H63COOC32H65、C33H67COOC32H65、C27H55COOC32H65、C33H67COOC24H49等があげられる。
上記特定の離型剤(D成分)はそれ単独で用いてもよいし、従来公知の離型剤を併用してもよい。上記従来公知の離型剤としては、例えば、カルナバワックスやポリエチレン系ワックス等が用いられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、従来公知の離型剤を併用する場合、従来公知の離型剤の使用割合は、離型剤成分全体の50重量%未満に設定することが好ましい。
上記特定の離型剤(D成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の0.05〜0.7重量%に設定することが好ましく、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。すなわち、0.7重量%を超えて多過ぎると金型汚れや金属との接着不足を起こす傾向がみられ、0.05重量%未満のように少な過ぎると、粘度低下が生起しにくく、パッケージ内のワイヤー流れ、ダイパッドシフト、リードピンの変形等が発生する傾向がみられるからである。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、上記A〜D成分以外に、必要に応じて、硬化促進剤、シランカップリング剤、難燃剤、難燃助剤、イオントラップ剤、低応力化剤、低粘度化剤、カーボンブラック等の着色剤や顔料等の各種添加剤を必要に応じて適宜配合することができる。
上記硬化促進剤としては、従来公知の各種硬化促進剤があげられ、例えば、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7等があげられる。
上記シランカップリング剤としては、特に限定するものではなく各種シランカップリング剤を用いることができ、なかでも2個以上のアルコキシ基を有するものが好適に用いられる。具体的には、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記難燃剤としては、ノボラック型ブロム化エポキシ樹脂や水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水酸化物等があげられ、さらに上記難燃助剤としては、三酸化二アンチモンや五酸化二アンチモン等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記イオントラップ剤としては、イオントラップ能力を有する公知の化合物をすべて用いることができ、例えば、水酸化ビスマス、ハイドロタルサイト類化合物等があげられる。
また、上記低応力化剤、低粘度化剤としては、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等のブタジエン系ゴムやシリコーン化合物等があげられる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、上記A〜D成分および必要に応じて他の添加剤を所定の割合で配合し混合する。ついで、これら混合物を、ミキシングロール機,単軸押出機あるいは二軸押出機等の装置にかけて加熱状態で溶融混合する。ついで、これを室温に冷却した後、公知の方法によって粉砕し、さらに必要に応じてタブレット状に打錠するという一連の工程を経由することにより製造することができる。
このようにして得られる半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子を封止する方法としては、特に制限するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法によって行うことができる。このようにして、半導体装置を作製することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
まず、実施例に先立って下記に示す各成分を準備した。
〔フェノール樹脂B〕
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量105、軟化点83℃)
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量105、軟化点83℃)
〔硬化促進剤〕
トリフェニルホスフィン
トリフェニルホスフィン
〔無機質充填剤〕
下記に示す粒度分布(a)〜(c)の構成を備えた球状溶融シリカ粉末(シリカ粉末全体の平均粒径が36.8μm、球形度0.88)
(a)粒径0.1以上2.0μm未満 18.8重量%
(b)粒径2〜10μm 11.8重量%
(c)粒径15〜100μm 69.4重量%
下記に示す粒度分布(a)〜(c)の構成を備えた球状溶融シリカ粉末(シリカ粉末全体の平均粒径が36.8μm、球形度0.88)
(a)粒径0.1以上2.0μm未満 18.8重量%
(b)粒径2〜10μm 11.8重量%
(c)粒径15〜100μm 69.4重量%
〔離型剤A〕
n−C29H59COOH
n−C29H59COOH
〔離型剤B〕
n−C29H59COOC30H61
n−C29H59COOC30H61
〔離型剤C〕
n−C21H43COOH
n−C21H43COOH
〔離型剤D〕
ポリエチレン系ワックス(軟化温度105℃、酸価18、数平均分子量1150、重量平均分子量4200)
ポリエチレン系ワックス(軟化温度105℃、酸価18、数平均分子量1150、重量平均分子量4200)
〔離型剤E〕
ポリエチレン系ワックス(軟化温度110℃、酸価60、数平均分子量900、重量平均分子量3900)
ポリエチレン系ワックス(軟化温度110℃、酸価60、数平均分子量900、重量平均分子量3900)
〔実施例1〜6、比較例1〜2〕
上記各成分を下記の表1〜表2に示す割合で配合し、連続式混練機を用いて120℃で1分間溶融混練を行なった。つぎに、この溶融物を冷却固化した後、粉砕して目的とする粉末状のエポキシ樹脂組成物を得た。
上記各成分を下記の表1〜表2に示す割合で配合し、連続式混練機を用いて120℃で1分間溶融混練を行なった。つぎに、この溶融物を冷却固化した後、粉砕して目的とする粉末状のエポキシ樹脂組成物を得た。
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物を用いて半導体装置を製造し、このときの金線ワイヤーの変形状態(金線ワイヤー流れ率)を下記の方法に従って測定・評価した。これらの結果を後記の表3〜表4に示す。
〔金線ワイヤー変形〕
上記各エポキシ樹脂組成物を用いタブレット状に打錠成形し、これを用いて低圧トランスファー成形機(TOWA社製の自動成型機、CPS−40L)にて成形温度175℃×成形時間90秒の成形条件でパッケージを封止し、さらに175℃×5時間で後硬化することにより半導体装置を作製した。この半導体装置は、ボールグリッドアレイ(BGA)タイプのパッケージ(樹脂封止部分サイズ:35mm×35mm×厚み1.2mm)であり、チップサイズは7.5mm×7.5mm×厚み0.3mmである。また、金線ワイヤーは、金線ワイヤー径23μm、平均金線ワイヤー長さが5mmである。そして、作製した半導体装置を軟X線解析装置を用いて、金線ワイヤーの変形状態を観察し金線ワイヤーの流れ率(変形率)を測定・算出した。すなわち、図1に示すように、金線ワイヤー2の流れ量の最大部分となる値(変形した弧の頂点から金線ワイヤー2両端を結んだ直線に引いた垂線の長さ)をそのパッケージの金線ワイヤー流れ量の値(dmm)とし、この値を金線ワイヤー長さ(Lmm)で除して金線流れ率〔(d/L)×100(%)〕を算出した。その結果、金線ワイヤー流れ率が3%以下のものを○、3%を超えるものを×として評価した。なお、上記算出した金線ワイヤー流れ率を併せて記載した。
上記各エポキシ樹脂組成物を用いタブレット状に打錠成形し、これを用いて低圧トランスファー成形機(TOWA社製の自動成型機、CPS−40L)にて成形温度175℃×成形時間90秒の成形条件でパッケージを封止し、さらに175℃×5時間で後硬化することにより半導体装置を作製した。この半導体装置は、ボールグリッドアレイ(BGA)タイプのパッケージ(樹脂封止部分サイズ:35mm×35mm×厚み1.2mm)であり、チップサイズは7.5mm×7.5mm×厚み0.3mmである。また、金線ワイヤーは、金線ワイヤー径23μm、平均金線ワイヤー長さが5mmである。そして、作製した半導体装置を軟X線解析装置を用いて、金線ワイヤーの変形状態を観察し金線ワイヤーの流れ率(変形率)を測定・算出した。すなわち、図1に示すように、金線ワイヤー2の流れ量の最大部分となる値(変形した弧の頂点から金線ワイヤー2両端を結んだ直線に引いた垂線の長さ)をそのパッケージの金線ワイヤー流れ量の値(dmm)とし、この値を金線ワイヤー長さ(Lmm)で除して金線流れ率〔(d/L)×100(%)〕を算出した。その結果、金線ワイヤー流れ率が3%以下のものを○、3%を超えるものを×として評価した。なお、上記算出した金線ワイヤー流れ率を併せて記載した。
上記結果から、実施例品は、金線ワイヤー変形が抑制され、成形性に優れたものであることがわかる。
これに対して、従来の離型剤を用いた比較例品は、金線ワイヤー変形が大きく成形性に劣るものであった。
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