JP2008006814A - プリフォームの製造方法およびプリフォーム並びに繊維強化プラスチック桁材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、面外しわの発生頻度を著しく低減させることができるプリフォームの製造方法、およびプリフォームを提供せんとするものである。
【解決手段】本発明のプリフォームの製造方法は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む樹脂材料を付与した強化繊維基材を複数枚積層した強化繊維積層体を屈曲させて得られるプリフォームを製造する方法であって、所定の加圧密着工程、所定の加熱保持工程、および所定の減圧工程を順次経ることを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機一次構造材や自動車用構造部材などに好適なプリフォームの製造方法およびプリフォーム並びに繊維強化プラスチック桁材に関する。
従来、航空機や自動車等の構造部材に用いられる炭素繊維強化プラスチックはプリプレグ/オートクレーブ成形法で製造されていた。プリプレグは常温でタック性を有するため、常温で予め所望の形状に賦形することが可能であり、複数枚を積層したプリプレグを一体化、変形させる際に加熱かつ加圧する必要はあまりなかった。たとえあったとしても、既に樹脂が含浸しているため該プリプレグ自体に剛性があり、また、加熱変形中に樹脂の硬化反応が進むために、加熱後の冷却プロセスが起因で該プリプレグを一体化、変形させたものにしわが発生することはなかった。
また、一般的にプリプレグ・オートクレーブ成形法は物性面に関しては信頼度の高い成形体を得ることのできる成形方法であるが、成形コストの面では材料費、設備費ともに高い成形方法であることが知られている。
しかし、近年の材料技術の発展により、プリプレグ/オートクレーブ成形法より安価と言われているRI法(レジンインフュージョン)において、前記構造部材へ適用するのに十分な物性が得られることが分かってきており、RI法の適用が様々な構造部材に広がり始めてきている。RI法とプリプレグ/オートクレーブ成形法との大きな違いは、材料に樹脂含浸前のドライ基材を用いるために、極めて高い変形能力を有することである。しかし、極めて高い変形能力は、逆にいうと力がかかると容易に変形して、しわが発生し易い方法でもある。
そのため、RI法の製造工程では、プリプレグ/オートクレーブ成形と異なる工程として、樹脂注入前のドライ基材で、成形品に近い形状を作り、ある程度変形能力を抑制した、いわゆるプリフォーム製造工程が必要となるが、樹脂材料を付与したドライ基材からなる強化繊維積層体を用いる場合、成形品に近い形状に賦形した後に、樹脂材料を加熱し、軟化させて、強化繊維積層体を一体化する。しかる後に、強化繊維積層体を冷却することでプリフォームを得る方法がある。
プリフォームの製造工程の一例としては、まず、強化繊維からなる強化繊維基材を所定形状に裁断、積層し、積層した強化繊維積層体の上面(例えば、図1の41参照)を把持する、その後、複数のローラーを使って成形すべきプリフォームの形状にするように加圧、賦形、加熱する方法が挙げられているが、特に加熱、冷却を行う製造プロセスにおけるしわ抑制方法についての記載はない(例えば、特許文献1)。
特開2004−237535号公報(請求項1)
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、面外しわの発生頻度を著しく低減させることができるプリフォームの製造方法、およびプリフォーム、ならびにそれを用いた繊維強化プラスチック桁材を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、本発明のプリフォームの製造方法は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む樹脂材料を付与した強化繊維基材を複数枚積層した強化繊維積層体を屈曲させて得られるプリフォームを製造する方法において、
A.ベースツールと一体化した型、もしくはベースツールの上に配置した型の上に強化繊維積層体を配置し、さらに、その上からバグ材で覆い、前記ベースツールと前記バグ材で前記型と前記強化繊維積層体を密閉し、前記バグ材の外部から前記バグ材の内部に対して10kPaを超え、1000kPa以下の範囲内である圧力を加え、前記強化繊維積層体を前記型に密着させる加圧密着工程。
B.前記加圧密着工程で加えた圧力を維持した状態で前記強化繊維基材に付与した前記樹脂材料を、そのTg(ガラス転移温度)から10℃を減じた温度を超える任意の温度(Ts)に加熱し、軟化させて、前記強化繊維積層体を一体化し、所望のプリフォーム形状とする加熱保持工程。
C.さらに前記樹脂材料を、そのTgまたは前記Ts のいずれか低い方の温度より低下した温度領域にすると同時に、前記プリフォームの面外方向に発生したしわを検知し、前記TgまたはTs のいずれか低い方の温度より低下した温度領域において、前記バグ材の外部から前記バグ材の内部に加える圧力を0〜5kPaに減圧して、前記しわを修正する減圧工程。
を順次経ることを特徴とする。
また、本発明のプリフォームは、かかるプリフォームの製造方法で作られたC型、Z型、Ω型およびL型から選ばれた少なくとも1種の断面形状のプリフォームおよび、該プリフォームを一部品に用いて作られていることを特徴とするものである。
また、本発明の繊維強化プラスチック桁材は、かかる断面形状のプリフォームを用いるか、または、該プリフォームを一部品として用いて構成されており、かつ、その後樹脂を注入して成形されてなることを特徴とするものである。
本発明によれば、面外しわが実質的に存在しない外観品位の極めて優れたプリフォームを提供することができ、強度低下を招くことも無く、さらには、成形型に該プリフォームを配置する際に、型内への配置が容易で、生産性向上も期待できる。かくして得られるプリフォームは、特に航空機用繊維強化プラスチック桁材として有効に使用される。
本発明の発明者らは、前記課題、つまり、面外しわが実質的に発生しないプリフォームの製造方法について、鋭意検討し、型とプリフォームの間に生じる力を緩和させることに着眼し、型に密着させて成形した後の冷却工程において、特定な手段により発生する外力やそれによる変形を制御して、型とプリフォームの間に生じる力を緩和させることにより、かかる課題を一挙に解決することを究明した。
すなわち、樹脂材料を付与した強化繊維基材を複数枚積層した強化繊維積層体を型に密着させた状態で加熱して得たプリフォームを次の型に移動するために、一旦、前記プリフォームと前記型を冷却するプリフォームの製造工程において、前記型と前記プリフォームの線膨張係数の差が大きい場合では、プリフォームが座屈し、面外方向にしわが発生する。かかるしわが発生すると、表面品位を損なうだけでなく、プリフォームを成形した後に得られる繊維強化プラスチック(FRP)の強度発現率を低下させたり、また、かかるプリフォームへの樹脂注入工程である成形工程において、かかるしわが、型と干渉し、型内への配置を困難にさせたり、型締め後のキャビティ寸法のばらつきを大きくさせたりするために、結局、プリフォーム製造工程での収率を低下させる等の問題が生じる。そして、本発明では、かかる問題を解決するために、前記の如き、型に密着させて成形した後の冷却工程において、特定の手段により、発生する外力やそれによる変形を制御して、型とプリフォームの間に生じる力を緩和するという手段を採用したのである。
本発明で得られるプリフォームとは、少なくとも熱可塑性樹脂を含む樹脂材料を付与した強化繊維基材を複数枚積層して得られるプリフォームであり、該強化繊維は炭素繊維やアラミド繊維やガラス繊維等で構成されていることが好ましく、強化繊維基材の形態としてはノンクリンプ、平織り、朱子織り、綾織り等が好ましく採用される。かかるプリフォームの形態とは、該樹脂材料を付与した強化繊維基材を複数枚積層した強化繊維積層体を型に密着させた状態で、該樹脂材料を加熱、軟化させた後、冷却、固化させることにより、該強化繊維積層体を所望の形状に変形させて得られた3次元形状の強化繊維構造体のことを指す。
本発明の該樹脂材料は、マトリックス樹脂と、相溶性あるいは接着性がよいものが好ましく選択される。例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリエーテルケトンケトン、これらの変性樹脂、共重合樹脂などを好ましく使用することができる。また、ここでいうマトリックス樹脂とは、RI法でプリフォームを充填する樹脂であり、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂等である。また、該樹脂材料はTgが40℃以上であり、ハンドリング性を良好にするために40℃以下の温度環境下ではベタベタしないことが好ましい。該樹脂材料の形態としては粒子状、繊維状、不織布形態等が挙げられるが、該Tg付近でタック性を発現できれば特に形態は限定しないが、該強化繊維積層体をハンドリングする作業や、繊維の配向方向を馴らす作業の際に、該強化繊維積層体の層間や該強化繊維積層体内の該強化繊維基材を突き合わせで積層した突き合わせ部分の隙間がずれないこと、つまり強化繊維基材の層間がある程度の層間摩擦係数(層間の静止摩擦係数が0.2以上)を有していることが好ましい。また、該強化繊維積層体の層間を部分的に一体化、また、該強化繊維積層体を構成する該強化繊維積層体の中の数枚を一体化するのも効果がある。なお、かかる強化繊維積層体の層間静止摩擦係数の測定はJIS K 7125(1999)に基づく。
次に、本発明の一実施態様である、C型断面プリフォームを製造する際の工程概略図である図1〜4を例に用いて、本発明のプリフォームの製造方法を説明する。
まず、A工程は、ベースツール22と一体化した型21、もしくはベースツール22の上に配置した型21の上に強化繊維積層体8を配置し、さらに、その上からバグ材7で覆い、前記ベースツール22と前記バグ材7で前記型21と前記強化繊維積層体8を密閉し、前記バグ材7の外部から前記バグ材7の内部に対して、10kPaを超え、1000kPa以下の範囲内である圧力を加え、前記強化繊維積層体8を前記型21に密着させる加圧密着工程である。ここでいうバグ材7の外部とは、前記強化繊維積層体8に面していない側の領域を指し、バグ材7の内部とは、前記強化繊維積層体8に面している側で前記ベースツール22とバグ材7で密閉されている側の領域を指す。
図1の加圧密着工程1において、ベースツール22と一体化した型21、もしくはベースツール22上に配置した型21の上に、強化繊維積層体8を配置し、さらに、その上にバグ材7で覆い、該ベースツール22と該バグ材7で、該型21と該強化繊維積層体8を密閉した状態で、前記バグ材7の外部から前記バグ材7の内部に対して、10kPaを超え、1000kPa以下の範囲の圧力を加えて、該強化繊維積層体8を該型21に密着させる。なお、10kPaを超え、1000kPa以下の範囲の圧力を加える手段としては、バグ材7の外部の圧力を、相対的にバグ材7の内部の圧力よりも10kPaを超え1000kPa以下の範囲高くする手段であれば良く、バグ材7の内部の圧力、バグ材7の外部の圧力のそれぞれを加圧、減圧する手段を有し、それぞれを調整、制御する手段を有するものが用いられることが好ましい。
このとき、該圧力が、10kPa以下の場合は、圧力変化に対する該強化繊維積層体厚さ変化の感度が高く、C型断面プリフォームの厚さや、該C型断面プリフォームのLot間での厚さのばらつきが大きくなりやすいことが考えられる。また、厚さのばらつきが大きい該C型断面プリフォームの該ばらつきを抑制するために、その後の成形工程の条件(樹脂注入温度や昇温速度)を変更することは成形品(構造部材)の強度特性を変化させる恐れがあり、あまり好ましくない。成形品(繊維強化プラスチック)に対する該厚さばらつきの影響は、該成形品の重量や比剛性を決めるFiber Volume Fraction(FVF:繊維体積含有率)のばらつきの要因となることもある。特に、剛性設計を行う構造部材において重量増、比剛性の低下は該繊維強化繊維プラスチックを用いるメリットを減少させる。
次に、該圧力が1000kPaを超える場合は、一般のオートクレーブのような加熱加圧窯12では実現ができず、装置が特注品になり設備コストが高く、安価なRI法の利点を活かせない。また、該強化繊維基材を様々な配向方向に積層した該強化繊維積層体8を加圧することは、ミクロで見ると、強化繊維同士で曲げ試験を行っているようなもので、加圧中に剛性の高い強化繊維の損傷、折れにより、成形品の剛性や強度を損なう恐れがある。また、さらに好ましい圧力の範囲としては該バグ材内を減圧した際に得られる10kPaを超え、101.3kPa(大気圧)以内の範囲である。101.3kPa(大気圧)以内であれば、大気中下での減圧のみで達成でき、設備としては、真空ポンプ9等で前記内部を減圧すれば容易に実現できる。
次に該圧力を測定する方法としては、この加圧密着工程において、該強化繊維積層体8や該型21の表面に感圧紙を配置し、該バグ材7で該ベースツール22ごと密閉、加圧する。その後、減圧し、該バグ材7を該ベースツール22上から剥がし、該感圧紙の色の変化を圧力に換算して測定する方法や、プレス機で加圧する場合は油圧を圧力計19で測定し、該型には、ロードセルを取付けて実荷重と圧力計の相関関係から該強化繊維積層体にかかる圧力を割り出すこともできる。また、真空圧の場合は、真空計18を該ベースツールと該バグ材で密閉した空間にチューブを介して取り付けて、容易に測定することができる。その際に圧力計はJIS B 7505(1999)に基づいたものを用いると良い。
加圧の方法としては、図1の加圧密着工程のように該ベースツール22を該バグ材7で該型21と該強化繊維積層体8を覆い密閉空間を形成し、該密閉空間内を真空ポンプ9で減圧する方法、加熱保持工程のように加熱加圧窯12内に配置し、加熱加圧媒体13を用いて加圧する方法、また、プレス機の間に該型21と該強化繊維積層体8を配置して加圧する方法が挙げられる。また、前述した加圧する方法を併用しても良い。
次に、B工程は、前記加圧密着工程で加えた圧力を維持した状態で前記強化繊維基材に付与した前記樹脂材料をそのTg(ガラス転移温度)から10℃を減じた温度を超える任意の温度(Ts)に加熱し、軟化させて、前記強化繊維積層体を一体化し、所望のプリフォーム形状とする加熱保持工程2である。
図2の加熱保持工程2は、前記加圧密着工程1においては、単に該強化繊維積層体を該型に密着させ、加熱・賦形してプリフォームを得る。すなわち、該強化繊維積層体8に付与した該樹脂材料を該樹脂材料のTgから10℃を減じた温度を超えた温度に加熱し、軟化させて該強化繊維積層体8を一体化して、所定形状のC型断面プリフォーム17の形状とするものである。該C型断面プリフォーム17は、該強化繊維積層体8を加圧、加熱することで該強化繊維積層体8に付与した樹脂材料を軟化させ、該強化繊維基材同士を密着させることで、該樹脂材料で一体化された該強化繊維積層体8が得られる。
前記加熱保持工程2で使用する加熱方法としては、加熱炉内に該バグ材7と該ベースツール22ごと配置して全体を過熱する方法、該型21や該ベースツール22内に配管を取り付け、水や油を加熱媒体とする循環式の温調器を用いて該型21を加熱する方法、加熱加圧窯12の中で加熱加圧媒体13を媒体として加熱する方法、電気ヒーターを該ベースツール22や該型21に取り付けて、該C型断面プリフォーム17を加熱する方法等が挙げられるが、該C型断面プリフォーム17を加熱できる方法であればこれらに限らない。
前記加熱保持工程2で加熱する加熱温度は、該樹脂材料を軟化させて、該強化繊維積層体を一体化するためにTgから10℃を減じた温度を超えて加熱し、成形品に近い形状である、所謂、ネットシェイププリフォームを製造するために、該樹脂材料を十分に軟化させる温度に設定する必要がある。前記加熱温度の上限値は樹脂が炭化、蒸発するような温度までは可能である。ここで樹脂材料のTg(ガラス転移温度)の測定方法はJIS K 7121(1999)に基づき、昇温速度10℃/分で測定する。該強化繊維積層体加熱時に該樹脂材料の温度を確認する方法は、JIS C 1602(2002)に基づいた熱電対を該強化繊維積層体の該樹脂材料を付与した部分に配置し、データロガーから熱電対の温度を読みとることで測定することができる。
さらに、前記樹脂材料を十分に軟化させ強化繊維積層体を一体化する具体的な条件を以下に示す。
(i)前記圧力が10kPaを越え、30kPa以下の範囲内においては、加熱温度がTgより0℃〜110℃高い範囲が好ましく、さらに好ましくは0℃〜70℃の範囲内である。
(ii)前記圧力が30kPaを越え600kPa以下の範囲内においては、加熱温度はTgより−10℃〜110℃高い範囲が好ましく、さらに好ましくは、Tgより−10℃〜70℃高い範囲内である。各圧力範囲における好ましい温度範囲の理由は前述の通りである。前記圧力範囲の上昇とともに、温度の下限値が下がるのは、圧力の増加により樹脂材料を変形させて該強化繊維積層体を一体化させることが可能となるためであり、温度の上限値が変化しないのは圧力がある程度以上になると強化繊維同士が接触、荷重を負担し、樹脂材料の軟化にあまり寄与しないためである。賦形する対象から加熱温度範囲を見ると、航空機の翼や自動車のプラットフォームなどの大物を賦形するときは型の熱容量が大きく、温度が上がりにくいため高圧、低温賦形の条件を選択することがある。
(iii)600kPaを越えて、1000kPa以下の範囲内においては、加熱温度はTgより−10℃〜105℃高い範囲内が好ましく、さらに好ましくは、Tgより−10℃〜65℃高い範囲内である。圧力が600kPaを越える場合は繊維の変形を考慮する必要があり、該繊維の変形とともに、前記樹脂材料の薄膜化が進むため前記樹脂流露を閉塞する可能性も上がる。そのため加熱温度の上限値を下げる必要がある。
図3(左図)は、Tsに加熱した場合の、初期冷却工程3示し、該初期冷却工程3とは、該C型断面プリフォーム17と該型21を密着させ、加圧状態を保持し、前記樹脂材料をそのTgまたはTsのいずれか低い方の温度まで冷却する工程である。冷却の範囲については、Ts>Tgの場合はTg以下に、Ts=Tgの場合はTg未満に、Ts<Tgの場合はTg−10(℃)以下が範囲となる。冷却方法としては、水や油の温調器を用いて、水や油を冷却媒体とし、該型、該冷却媒体、該プリフォームの伝熱により該プリフォームを冷却する方法や、加熱炉を用いて、加熱炉に搭載の加熱ヒーターの電源を切り、風を循環させて該プリフォームを冷却する方法等を適用することができる。さらには、該型の熱容量が小さい場合などは、該バグ材と該ベースツールを常温に暴露することで十分な冷却効果が得られる場合もある。
C工程は、さらに前記樹脂材料をそのTgまたはTs のいずれか低い方の温度より低下した温度領域にすると同時に、前記プリフォームの面外方向に発生したしわを検知し、前記TgまたはTs のいずれか低い方の温度より低下した温度領域において、前記バグ材の外部から前記バグ材の内部に加える圧力を0〜5kPaに減圧して、前記しわを修正する減圧工程である前記減圧は、該樹脂材料のTgより低い温度に下げた後に実施することが好ましい。Tg以上の温度で該プリフォームを減圧すると、該樹脂材料が軟化状態であるために、該プリフォームを構成する該強化繊維および、該強化繊維基材のスプリングバックにより発生する力がプリフォームの形状を拘束している該樹脂材料をクリープ変形させ、所望のC型断面プリフォーム17の形状が変化する恐れがある。
図3(右図)は、減圧冷却工程4を示し、前記加熱保持工程または前記初期冷却工程3から、さらに冷却する際に、該C型断面プリフォーム17の面外方向に発生した面外しわ16を検知し、該型21と該強化繊維積層体8を密着させるよう付与されていた圧力を0〜5kPaに減圧するものであって、この減圧により、型とプリフォームの間に生じる力を緩和し、発生したしわを修正するものである。
すなわち、該プリフォームは該型との線膨張係数が異なるため、該型21と該C型断面プリフォーム17が一体化した状態で冷却されると、線膨張係数差、全長、温度差に比例したプリフォームに圧縮力20(一般に金属型を用いると強化繊維より線膨張係数が大きい)が作用し、該C型断面プリフォーム17が型に密着していない方向、つまり、プリフォームの面外方向に変形し、面外しわ16が発生する。
その際に、検知すべき該面外しわの高さは0.3mm以上10.0mm以下であることが好ましく、幅は0.5mm以上であり10.0mm以下であることが好ましい。該面外しわの高さが0.3mm未満の場合は、繊維のうねりと該面外しわを判別することは難しく、また、該面外しわが成形品の外観品位を損ねたり、強度を低下させることはほとんどない。また、該面外しわの検知において10.0mmを超えるに成長するまで検知できないことはほとんど無いが、かかる場合、しわを樹脂製のローラー等で馴染ませても該面外しわを面内に馴染ませることは困難であり、たとえ、馴染ませることができても、面内にくっきりと痕跡が残り、成形品の表面品位を低下させ、該成形品を用いて強度試験を実施すると該しわを起点に破壊に至ることがあるため好ましくない。かかる場合には、次の工程である成形工程において、該面外しわが成形型と干渉し、型締めや組み付け(成型用副資材を配置する工程)困難になりプリフォームの手直しの工数、場合によるとプリフォーム自体を廃棄せざる得なくなることもある。
また、検知するのにさらに好ましい面外しわの高さの範囲は0.3mm〜1.5mmである。1.5mmを超え、10.0mm以内の範囲では樹脂製のローラー等を用いて、面内方向のしわに馴染ませ作業が生じることがあるが、0.3mm〜1.5mmの範囲であれば、該樹脂製のローラー等を用いなくても、そのまま成形することが可能である。ただし、面外しわは小さい方が望ましいので0.3mm程度で早期に検知することが最も好ましい。
次に、該面外しわの幅においても該面外しわの高さと同様の理由であり。さらに好ましい範囲としては0.5mm以上5.0mm以内の範囲である。
該面外しわを測定する方法としては、通常、目視で検知した該面外しわに、定規とスキマゲージを用いて、該C型断面プリフォームの面と平行になるように定規を該面外しわの最大高さ部分に当てて、スキマゲージで隙間を測定する方法や、面外しわの発生しやすい部分(積層体の厚さ変化や形状に特徴のある部分や長手方向の中央部)に変位計を取付けて測定する方法が挙げられる。その際の面外しわの無い部分、つまり、基準測定点の設定方法としては、プリフォームを長手方向に10分割した断面ライン上で、かつ、積層枚数や形状が局部的に変化のある断面ラインや点から50mm以上離れた測定点を基準点に設定する。または、数回同じプリフォームを製造した後に、面外しわが発生する部位を特定し、該面外しわが発生しない部位の隙間を5点以上測定し基準測定点の値とする方法でも良い。ただし、該10分割した断面ライン上が該積層枚数や形状が局部的に変化のある場合は、後者を測定方法とすることが好ましい。
また、例えば、プリフォーム表面が平坦な場合は表面近傍にレーザー光を配置し、該レーザー光が面外しわによって遮断されることを検知、また、プリフォーム上に光ファイバを碁盤の目状に張り巡らせ、面外しわの発生により生じる光ファイバの屈曲を、反射光/入射光の光の強度減水率の変化から検出しても良い。
幅方向の測定法方法としてはノギス等で該面外しわを挟んで測定する方法やラインレーザーとCCDカメラを用いて、該プリフォーム表面に該ラインレーザーを当てて、3点測量で検知する方法があげられる。また、高さ、幅方向において光学式、接触式の三次元測定機を用いて測定しても良い。
該C型断面プリフォーム17の厚さを測定する方法としては、まず、該C型断面プリフォーム17の一部の平坦な部分をカッター等で切断し、切断した該平坦な部分を2枚の金属製の平板で挟み込む。次に、該平坦な部分と該金属製の平板ごとバギングフィルムで覆い、密閉した状態で該平坦な部分と該金属製の板のあるキャビティ内を真空ポンプで吸引、減圧し、該真空ポンプの圧力が一定になったことを確認した後に金属製の板ごとマイクロメータで挟んで同じ試験片から5点測定する。
ただし、端線から10mm未満の範囲を測定範囲に入れないものとする。その後、該金属製の板ごとの厚さから金属製の板やバグ材の厚さを減じて、該平坦な部分の5点平均厚さを算出し、該プリフォームの代表厚さとする。
次に、本発明のバグ材としては、ゴム材料で構成されたものであることが好ましい。前記ゴム材料が好ましい理由として、弾性域が広く、多少複雑な形状の型であっても前記ゴム材自体の形状を変化させなくても該型の形状になじむこと、圧力解放後に元の形状に戻るため再利用が可能であること、伸びながら徐々に該型の形状に馴染んでいくために圧力のかかる部位の順番を選択できることが挙げられる。
前記ゴム材料製のバグ材を用いると、ある平板の中央部に立方体の型を配置して、その上から平板と同じサイズのゴム材料で覆い、平板の端線とゴム材料の端線を合わせて密閉させ、立方体の型を配置したキャビティ内を減圧すると、前記ゴム材料は立方体の上面41から徐々に側面42を覆うように伸びながら密着していくこととなる。つまり、上面、側面と圧力がかかる面の順番を選択的に行うことができるという利点がある。
次に、該ゴム材料の物性としては硬度が20以上で70以下、かつ、厚さが1mm以上で5mm以下であることが好ましく、さらに、破断伸度が300%以上800%以下であることが好ましい。
硬度が20未満で厚さが1mm未満の場合はゴムの剛性が低いために該強化繊維積層体の繊維束間に食い込み、加熱保持工程後に得られたプリフォーム表面凹凸が大きくなる。該プリフォーム表面凹凸は、例えば、該C型断面プリフォーム17を2個とCAP39、フィラー40を組み合わせてI型35断面プリフォームを製造する際に、密着面は凸部のみで密着し、密着面積が不足し、該I型35断面プリフォームのC型断面の合わせ目にあたる層間が剥がれやすく、取り扱い性が悪くなることがある。また、硬度が70より大きく、厚さが5mmより大きい場合は該ゴム材料が型に馴染み難いために、該ゴム材料が該強化繊維積層体8を上面51から側面52と覆う際に、側面52の下方(ベースツール側)まで密着させることができずに所望の形状の側面部を持つ該C型断面プリフォームを得られないことがある。
また、破断伸度が300%より大きい場合は該加圧密着工程において、加圧した際に該ゴム材料の弾性域に十分余裕があるため、該ゴム材料が塑性変形し難く好ましい。また、塑性変形させずに該ゴム材料を繰り返し使用できることも好ましい理由である。
該ゴム材料のTgとしては強度の観点から、加熱保持工程で保持する温度より10度以上高いことが好ましく、さらに好ましくは15度以上である。硬度の測定方法はJIS K 6253(2001)のデュロメータ硬さに、伸びの測定方法はJIS K 6251(2004)に、厚さの測定方法はJIS K 6250(2001)に基づく。
また、この際に用いる該ゴム材料としては天然ゴム、合成天然ゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム等が挙げられ、これらのゴムの複合生成物が好ましい。
その際の注意点として、タック性のあるシリコン系ゴムや表面に粉末が付着しているNBR等を用いる場合には、該強化繊維積層体への移行を防ぐためにフッ素系、ポリアミド系等の該強化繊維基材への移行性が無い高分子シート配すること、すなわち、前記強化繊維積層体を前記ゴム材料で構成されたバグ材で覆うに際し、前記樹脂材料と離型性のあるフィルムを前記強化繊維積層体の上に配置し、ついで、前記バグ材で覆うことや、該樹脂材料と離型性のある表面処理を施した金属性のシート材料を該強化繊維積層体と該ゴム材の間に配することが好ましい。また、該フッ素系、ポリアミド系の高分子シートは例えばガラスクロスにディスパージョンしたものでも良いし、該金属性シートへの該表面処理方法としては硬化クロムメッキ、イオンプレーティング、レイデント処理等が好ましいが、離型性のある材料が該強化繊維積層体に移行しなければこれに限らない。ただし、該型の形状に馴染ませることを考慮に入れると1.3mm以下の厚さのシートが好ましく、耐久性の面から考えると該高分子シートとしては0.03mm以上が好ましく、金属製シートとしては0.001mm以上であることが好ましい。粉末ゴムやタック性から該強化繊維積層体8を防ぐだけでなく、該高分子、金属製シートは該ゴム材料と該強化繊維積層体との静電気を防ぐ効果もある。
次に、該型21の面と該樹脂材料が接する場合には、該型21と、該プリフォーム間に離型手段を講じることが好ましい。かかる離型手段としては、該型21に離型剤の塗布等の離型処理をすることも可能であるが、プリフォームは成形品と比較し柔らかく、該型からの取り外し時に変形する恐れがあるため、より好ましくは該型の上に該型かつ、樹脂材料と離型性のあるシート、材質としてはFEP、PFA、ETFE、ナイロン、ポリエステル等で、シートの形態としてはフィルム、布帛を設けることが好ましい。すなわち、工程Aにおいて、前記強化繊維積層体を前記型に配置するに際し、前記樹脂材料に対して離型性のあるシートを、前記型に配置し、ついで、前記強化繊維積層体を配置することが望ましい。
該離型性のあるシートは該型21に馴染ませるために、厚さ1mm以下が好ましく、破損防止のために0.001mm以上が好ましい。また、離型性のあるシートを該型内に配置する場所としては少なくとも該C型断面プリフォーム17の端線上には配置することが好ましい。該C型プリフォームは該強化繊維基材を折り曲げて製造しているため、必ず、該強化繊維基材は曲げられた方向と逆方向に戻ろうとする反力(スプリングバックしようとする力)を生じる、そのため、一部に亀裂(端部の剥離層)が設けられていると、該剥離層部分を起点として亀裂が進展し、該反力により剥離させることができる。
次に、本発明で用いる該型は、該強化繊維積層体との線膨張係数の差が5×10−6〜30×10−6の範囲内であることが好ましい。5×10−6未満であれば、本発明の減圧冷却工程を経なくとも、しわのないプリフォームを得られる可能性が高く、30×10−6より大きい場合であれば、該強化繊維積層体8をTg以下に冷却する前にしわを発生する恐れがある。かかる線膨張係数はJIS K 7197(1999)に基づいて測定方法できる。
また、本発明で用いる該型21は、該C型断面プリフォーム17(長さ1m以上、後述するが型をくわえ込むような断面形状のプリフォーム)の全長が1m以上であることが好ましい。
次に、本発明のプリフォームはC型31、Z型32、Ω型33、L型34断面で長尺プリフォーム(1m以上)および、該プリフォームを一部品として作られた、I型35、J型36、T型38、ハット型37断面を有する合体長尺プリフォームであることが好ましい。C型31やL型34断面の該長尺プリフォームであれば凸型形状の型の上に配置して、本発明の製造工程を経れば容易に製造できる。また、Ω型33においてはC型31断面の該長尺プリフォームを製造する際に強化繊維積層体の断面の周長を型の周長より長くすれば、製造することができる。また、Z型32においてもΩ型33の断面に対して垂直二等分した断面形状であり、Ω型33断面のプリフォームを製造した後に長手方向に裁断しても良いし、Ω型33で使用する半分の該強化繊維積層体8を該凸型上に配置して、本発明の製造工程を経ることで製造が可能となる。
次に、本発明のI型35、J型36、T型38、ハット型37断面の該合体長尺プリフォームにおいては、まずI型35の場合、C型31のプリフォームを互い違いに配置し、上下からCAP39を被せて、該樹脂材料を熱融着させることで得られる。J型36においては、C型31とZ型32を合わせて、下面からCAP39を被せて得られるハット型37においてはΩ型33にCAPを取り付ければ良い、T型38においてはL型34を背中合わせにしてCAP39を取り付ければ良い。該合体長尺プリフォームは該長尺プリフォームとCAP39を合わせた交差部分にフィラー40という充填材、一般的には強化繊維、を充填しても良いし、該CAP39やフィラー40が無くても利用可能である。
また、該長尺プリフォームを成形した成形品は桁材としての使用を想定しており、航空機や自動車や建築用部材の桁材として用いられることが好ましいが、さらに好ましくは、特に航空機用の桁材(スパー)等のように、金属製の押し出し型材である角柱等からの削りだしで製造される、長手方向に断面変化を有する、または、長手方向で屈曲している桁材に、より好ましくは断面変化と屈曲を兼ね備えた桁材に適用することが好ましい。また、該長尺プリフォーム高FVF品(50%以上)を成形できること、また、強度発現率高いことから鑑みると主構造部材やエネルギー吸収部材として用いることが好ましい。FVFとは以下の式で表すことができる。
(FVF)=F×p/ρ/t/10 (%)
F:基材目付(g/m
p:積層枚数(枚)
ρ:強化繊維密度(g/cm
t:板厚(mm)
上記の基材目付はJIS L 1096(2004)に基づき、強化繊維密度はアルキメデス法で求めることが出来る。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
[実施例1]
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。実施例1は本発明のプリフォーム製造工程の模式図である図1〜2を用いて説明する。
強化繊維基材として一方向炭素繊維織物は強化繊維糸条として炭素繊維T800S(東レ株式会社製、線膨張係数:1.0×10−6密度:1.8g/m)を使用した炭素繊維目付190g/mの一方向性織物であり、表面には熱可塑性樹脂を主成分とする粒子状樹脂材料(Tg=70℃)が27g/mの目付で予め付着させてある一方向性炭素繊維織物を使用した。まず、該一方向炭素繊維織物を裁断、積層紙、サイズ:3000mm×150mm、16ply、積層構成[45,0,−45,90,45,90,−45、0]sの強化繊維積層体を準備した。
次に、ベースツール22(SUS304 線膨張係数16.1×10−6)の上に型21(材質:A6063、線膨張係数23×10―6、全長3.0m)、該強化繊維積層体8、バグ材7(シリコーンゴム)と順次乗せて、該ベースツール22と該バグ材7をベースツール22の外周に沿ってシーラントテープ(世界長シーラント、シーラーV、厚さ5mm、幅12mm、長さ5m)を配置して、密閉した。そして、該密閉した空間内にナイロンチューブ11(ニッタムアー、φ8×6)を挿入し、該ナイロンチューブ11、真空計18を取りつけてある真空トラップ10を介して、真空ポンプ9を取りつけて、該密閉した空間内を減圧し、該強化繊維積層体8を該型21に密着させた、そのときの真空計は100kPaを示しており、該強化繊維積層体8を該型21に100kPaで密着させていた。
次に、該真空トラップ10と該真空ポンプ9を接続しているコネクタのコックを閉じて、該真空トラップ10から該真空ポンプ9を取り外して、該バグ材7および該ベースツール22を加熱加圧窯12に相当するオートクレーブ内に配置した、その際に、該プリフォームの温度を測定するために表面に熱伝対を取り付け13℃であることを確認した。続いて、オートクレーブの扉を閉めてオートクレーブ内に窒素を封入し、該強化繊維積層体を900kPa、90℃に加圧、加熱しプリフォーミングを行った。
その後、オートクレーブを90℃から70℃まで冷却し、続いて徐々に温度を下げていったところ、50℃まで温度を下げたところでC型断面プリフォーム17の中央付近に面外しわが若干観察されたので、900kPa減圧し、オートクレーブの扉を開いた。このとき熱伝対の温度は50℃を示しており、温度がまだ下がっていないことを確認しながら面外しわ16を測定したところ0.3mmの高さで幅が0.5mmであった。
次に、該真空トラップ10を解放し、該真空計が0kPaを示すのを確認し、室温である15℃まで該C型断面プリフォーム17および該型21を冷却した。その後、バグ材をはがして、板厚測定と該面外しわ16の目視観察を行ったところ、板厚は3.07mmであり狙いの板厚(3.10±0.1)の範囲内であった。また、該面外しわ16は確認できなかった。次いで、該C型断面プリフォームを成形型に移動し、VaRTM法(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)で成形を行った。使用した樹脂は東レ製のエポキシ樹脂であり、樹脂注入温度はTg以下である60℃で行い、130℃で硬化させた。
できあがった成形品はFVFが56〜57%であり、また、外観上に該面外しわの痕跡は確認できなかった。
[比較例1]
実施例1と同じ構成の強化繊維積層体を2体、供試体A,供試体Bとして準備して、実施例1と同様に本発明のプリフォーム製造工程の模式図1〜2のプロセスを経て900kPa、90℃で加熱加圧した。
供試体Aは加圧した状態を維持して17℃まで冷却(図4)、供試体Bは50℃まで冷却した時点で真空圧(100kPa)がかかった状態で17℃まで冷却した。結果、供試体A,Bともに面外しわが発生した。該面外しわの高さと幅は供試体Aが13mmと11mm、供試体Bが5mmと4mmであった。
供試体A,Bを樹脂製のローラー(ジュラコンローラー)を用いて面内にしわを馴染ませようとしたところ、供試体Aでは高さ5mmと幅5mm程度の面外しわが残り、供試体Bでは面外しわをかろうじて面内に押し込むことができた。
次いで、供試体A,Bを実施例1と同様に両者を成形型に入れようとしたところ供試体Aでは該面外しわが若干成形型に干渉し入れる際に力を要した。供試体Bは実施例1と同様に容易に該成形型内に配置することができた。
その後、実施例1と同じ条件で成形を行ったところ、供試体Aでは該面外のしわが型に干渉していたために部分的にFVFが48〜57%と低い部分や、該面外しわのあった部分に成形品の内部にめり込んだしわの痕跡が観察されて、部分的に樹脂リッチがあった。供試体Bは成形品のFVFが54〜58%であったが、面外しわがあった部分には繊維の乱れが目視でも確認できる程度残存していた。
[比較例2]
実施例1と同じ構成の強化繊維積層体を2体、供試体Cを準備して、実施例1と同様に本発明のプリフォーム製造工程の模式図1〜2のプロセスを経て900kPa、90℃で加圧加熱した、その後、温度を維持して、加圧を除し、該真空計が0kPaを示すのを確認した後に、90℃から15℃まで該C型断面プリフォーム17および該型21を冷却し、バグ材をはがして、板厚測定と該面外しわ16の目視観察を行った。供試体Cの板厚は3.51mmであり、狙いの板厚(3.10±0.1)の範囲内と比較して厚く、Tg以上で大気開放したためにスプリングバックしたものと考えられる。
この図は、本発明のプリフォームの製造方法の加圧密着工程を模式的に例示するものである。 この図は、本発明のプリフォームの製造方法の加熱保持工程を模式的に例示するものである。 この図は、本発明のプリフォームの製造方法の第1の冷却工程、減圧冷却工程を模式的に例示するものである。 この図は、本発明の比較例であって、通常の冷却工程、減圧工程を模式的に例示するものである。 この図は、本発明で製造できるプリフォームの断面形状の一部を模式的に例示するものである。
符号の説明
1 加圧密着工程
2 加熱保持工程
3 初期冷却工程
4 減圧冷却工程
5 通常の冷却工程
6 減圧工程
7 バグ材
8 強化繊維積層体
9 真空ポンプ
10 真空トラップ
11 ナイロンチューブ
12 加熱加圧窯
13 加熱加圧媒体
14 温風
15 冷風
16 面外しわ
17 C型断面プリフォーム
18 真空計
19 圧力計
20 圧縮力
21 型
22 ベースツール
31 C型
32 Z型
33 Ω型
34 L型
35 I型
36 J型
37 ハット型
38 T型
39 CAP
40 フィラー
41 上面
42 側面

Claims (8)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂を含む樹脂材料を付与した強化繊維基材を複数枚積層した強化繊維積層体を屈曲させて得られるプリフォームを製造する方法において、以下に記すA〜Cの工程を順次経ることを特徴とするプリフォームの製造方法。
    A.ベースツールと一体化した型、もしくはベースツールの上に配置した型の上に強化繊維積層体を配置し、さらに、その上からバグ材で覆い、前記ベースツールと前記バグ材で前記型と前記強化繊維積層体を密閉し、前記バグ材の外部から前記バグ材の内部に対して10kPaを超え、1000kPa以下の範囲内である圧力を加え、前記強化繊維積層体を前記型に密着させる加圧密着工程。
    B.前記加圧密着工程で加えた圧力を維持した状態で前記強化繊維基材に付与した前記樹脂材料をそのTg(ガラス転移温度)から10℃を減じた温度を超える任意の温度(Ts)に加熱し、軟化させて、前記強化繊維積層体を一体化し、所望のプリフォーム形状とする加熱保持工程。
    C.さらに前記樹脂材料を、そのTgまたは前記Ts のいずれか低い方の温度より低下した温度領域にすると同時に、前記プリフォームの面外方向に発生したしわを検知し、前記TgまたはTs のいずれか低い方の温度より低下した温度領域において、前記バグ材の外部から前記バグ材の内部に加える圧力を0〜5kPaに減圧して、前記しわを修正する減圧工程。
  2. 前記Aの工程において、前記強化繊維積層体を前記型に配置するに際し、前記樹脂材料に対して離型性のあるシートを、前記型に配置し、ついで、前記強化繊維積層体を配置する、請求項1に記載のプリフォームの製造方法。
  3. 前記バグ材が、ゴム材料で構成されているものである、請求項1または2に記載のプリフォームの製造方法。
  4. 前記Aの工程において、前記強化繊維積層体を前記バグ材で覆うに際し、前記樹脂材料と離型性のあるフィルムを前記強化繊維積層体の上に配置し、ついで、前記バグ材で覆う、請求項3に記載のプリフォームの製造方法。
  5. 前記強化繊維積層体と前記型の線膨張係数の差が、5×10−6〜30×10−6の範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプリフォームの製造方法で作られたC型、Z型、Ω型およびL型から選ばれた少なくとも1種の断面形状のプリフォーム。
  7. 請求項6に記載のプリフォームを一部品に用いて作られているプリフォーム。
  8. 請求項6または7に記載のプリフォームに樹脂を注入して成形されてなる、繊維強化プラスチック桁材。
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