JP2008004786A - 熱伝導基板の製造方法及びこれによって製造した熱伝導基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】リードフレームと、金属板を、途中に挟んだ高伝熱樹脂を用いて、加熱・加圧一体化する際、リードフレームの表面に、金型(図示していない)の表面に発生しやすい高伝熱樹脂に起因する汚れや、高伝熱樹脂の表面や内部のボイド等を、発生させにくい熱伝導基板の製造方法及びこの製造方法で製造した熱伝導基板を目的とする。
【解決手段】フィルム11の上に、リードフレーム10と、浮島12を貼り付けた後、前記リードフレーム10や浮島12から露出する部分の前記フィルム11に、孔開手段15によって、粗密性もしくは方向性を設けるように孔15を形成し、この状態で、伝熱樹脂16や、金属板17と積層、一体化することで、金型の汚れ防止やボイド5の発生を抑制しながら、高精度な浮島12を有する熱伝導基板を製造することができる。
【選択図】図1
【解決手段】フィルム11の上に、リードフレーム10と、浮島12を貼り付けた後、前記リードフレーム10や浮島12から露出する部分の前記フィルム11に、孔開手段15によって、粗密性もしくは方向性を設けるように孔15を形成し、この状態で、伝熱樹脂16や、金属板17と積層、一体化することで、金型の汚れ防止やボイド5の発生を抑制しながら、高精度な浮島12を有する熱伝導基板を製造することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器の大電力回路等に使用される熱伝導基板の製造方法及びこれによって製造した熱伝導基板に関するものである。
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に伴い、半導体等の電子部品の高密度化、高機能化が要求されている。この動きに対応するために、各種電子部品を実装する回路基板もまた小型・高密度化が求められている。その結果、高密度実装されたパワー半導体等の発熱をいかに放熱するかが重要な課題となっている。このような放熱性を改良する回路基板(高放熱性基板)が、特許文献1に開示されている。
以下、図面を用いて、従来の熱伝導基板の製造方法を説明する。図14は従来の熱伝導基板の構造を示す斜視図と断面図である。図14(A)において、リードフレーム1は、熱伝導樹脂2に埋め込まれた状態で、金属板3の上に固定されている。ここで熱伝導樹脂2は、例えばシート状に形成されたものであり、熱硬化性樹脂と熱伝導性フィラーとを混合して構成されている。そしてリードフレーム1は、回路パターン状に形成されている。なお図14(A)において、リードフレーム1の一部は、「パターン省略」として図示していない。
図14(B)は、図14(A)の任意部分の断面図である。図14(B)に示すように、シート状に形成された熱伝導樹脂2を介して、放熱用の金属板3と、リードフレーム1とは一体化されている。そして、前記リードフレーム1の表面に、最終的に電子部品(図示していない)を実装する。図14(B)におけるボイド5は、熱伝導樹脂2の内部や、熱伝導樹脂2の表面、あるいはリードフレーム1と熱伝導樹脂2の界面に発生した空気の泡(あるいは空気残り)であり、ボイド5は熱伝導基板の放熱性や熱伝導性に影響を与える場合がある。
次に、図15、図16を用いて、熱伝導基板の製造方法を説明する。図15は、リードフレーム1に、汚れ防止フィルム6を貼り付ける様子を示す断面図である。図15(A)において、リードフレーム1は、回路パターンに成形したものである。そしてリードフレーム1の一面側に、汚れ防止フィルム6をセットし、図15(B)に示すように、貼り付ける。
図16は、リードフレーム1と金属板3を、熱伝導樹脂2を用いて一体化する様子を示す断面図である。まず図16(A)に示すように、汚れ防止フィルム6を貼り付けられたリードフレーム1の下に、熱伝導樹脂2と、金属板3と、をセットする。そして矢印7に示すように、金型(図示していない)を用いて、これらをプレスする。図16(B)は、プレス途中の断面図であり、リードフレーム1は、熱伝導樹脂2に埋め込まれている。図16(B)におけるボイド5は、プレス工程において、熱伝導樹脂2に巻き込まれた(あるいは発生した、あるいは逃げ切れなかった)空気に相当する。
次に汚れ防止フィルム6の効果について説明する。図15、図16において、汚れ防止フィルム6を用いない場合、プレスで加熱・加圧による一体化を行う場合、前記熱伝導樹脂2が軟化して流動する。その結果、熱伝導樹脂2がリードフレーム1に設けられた回路パターン間に回りこみ、リードフレーム1の表面上(あるいは部品実装面)に、滲み出し、はみ出してしまう。そして、その滲み出したままの状態や、はみ出したままの状態で熱伝導樹脂2が硬化してしまうと、回路パターンの汚れとなる可能性があった。汚れ防止フィルム6は、こうしたことへの対策を行うためである。
しかし汚れ防止フィルム6を用いた場合、汚れ防止フィルム6に空気透過性(あるいは通気性)が無いため、図16(A)、(B)に示したような、積層工程において、熱伝導樹脂2の内部やその表面、あるいはリードフレーム1と汚れ防止フィルム6との隙間に残った空気が、ボイド5となって残る。そしてボイド5は、リードフレーム1と熱伝導樹脂2の接着強度や、複数のリードフレーム1間の絶縁性、あるいはリードフレーム1から熱伝導樹脂2への放熱性や熱伝導性に影響を与える可能性がある。
更にこうしたボイド5のリードフレーム1に接続されていない浮島部分(浮島部分とは、リードフレーム1とは一体化されていない独立した回路パターンに相当する)に発生しやすく、位置ズレ等の発生原因になる。
特開2002−33558号公報
しかしながら従来の熱伝導基板では、汚れ防止フィルム6を用いることで、リードフレーム1表面への汚れ防止は可能になったが、熱伝導樹脂2やリードフレーム1との界面、あるいは熱伝導樹脂2の内部等に、ボイド5が発生しやすくなるという課題が新たに発生することがあった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、加熱・加圧時の熱伝導樹脂の滲みやはみ出しによるリードフレームの表面上の汚れを抑制すると共に、ボイドの発生を抑制しながら、更にフィルムに固定したリードフレーム(特に他のリードフレームに固定されていない配線部分)の位置ズレも抑えられる熱伝導基板の製造方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、配線パターン状にリードフレームを加工する工程と、フィルムに、前記リードフレームを貼り付ける工程と、前記リードフレームの隙間に露出した前記フィルムの露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔を複数個、粗密性もしくは方向性を設けるように形成する工程と、前記フィルムの前記リードフレームを貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂と、金属板と、を順にセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、前記積層体中の前記伝熱樹脂を硬化させる工程と、前記伝熱樹脂が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルムを前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法及び、これによって製造した熱伝導基板を提供する。
このような構成によって、前記高伝熱樹脂と前記リードフレームとの間に空気が残ったとして、金型を用いて加熱圧着する際に、前記リードフレームを固定するフィルムに形成された孔を介して、前記空気が外部に逃がすことができる。
その結果、伝熱樹脂を、リードフレームの微細な隙間まで回りこませることができるため、リードフレームと熱硬化性樹脂の密着面積を高めることができ、リードフレームと伝熱樹脂との界面、あるいは伝熱樹脂の内部に空気が残らない。また前記フィルムによって、伝熱樹脂と、金型が直接接することを阻害できるため、金型が熱硬化性樹脂によって汚れにくくなる。更にリードフレームの一部を浮島(つまり他のリードフレームに接続されず、単独で独立した島状に浮かんでいる状態)にした時でも、前記浮島を固定するフィルムに形成する孔に粗密性もしくは方向性を設けることで、前記浮島の位置ズレの発生を抑制できる。
以上のように本発明によれば、加熱・加圧時の熱硬化樹脂組成物の滲みやはみ出しによるリードフレーム表面への汚れを抑制することができると共に、加熱・加圧時に残った空気をフィルムに形成した孔を介して外部に逃がすことができるため、ボイド発生を防止でき、浮島の位置精度を高められる。その結果、浮島と、浮島に隣接するリードフレームとの隙間を狭くできるため、浮島部分での熱伝導性を高められる。
なお本発明の実施の形態に示された一連の製造工程は、成型金型を用いて行われる。但し、説明するために必要な場合以外は、成形金型は図示していない。また図面は模式図であり、各位置関係を寸法的に正しく示したものではない。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態1における熱伝導基板について、図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態1における熱伝導基板について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は、熱伝導基板の製造方法の一例を示す断面図である。図1(A)〜(C)において、10はリードフレームであり、リードフレーム10はアルミニウム、銅、銀、鉄等の高導電性、高熱伝導性を有する金属板を、プレス加工、エッチング加工、あるいはレーザー加工等により所定の配線パターンに加工したものである。11はフィルムである。フィルム11は、例えばPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)、PPフィルム(ポリプロピレンフィルム)等の市販の樹脂性フィルムである。また必要に応じて、その片面に接着層を形成しておくことで、リードフレーム10と、フィルム11の密着性を高められる。12は浮島であり、リードフレーム10から独立した配線パターンに相当する(詳細は図4等で説明する)。13は矢印である。ここで14は孔開手段、15は孔である。
図1は、本発明の実施の形態における熱伝導基板の製造方法を説明する断面図である。図1(A)に示すように、リードフレーム10と、フィルム11を位置合わせした後、図1(B)に示すようにリードフレーム10と、フィルム11を互いに貼り合わせる。その後、図1(B)に示すように、浮島12となる金属片(これはリードフレーム10と同じ材質とすることができる)を、矢印13aに示すようにして、フィルム11の所定位置に貼り付ける。こうして浮島12と、リードフレーム10とを、電気的に絶縁する。
ここでフィルム11の片面(浮島12やリードフレーム10が接する面)に接着層(図示していない)を形成しておくことが望ましい。フィルム11の接着層を利用して、リードフレーム10と浮島12の接触を防止する。なおリードフレーム10や浮島12のフィルム11に接しない面を粗面化しておいても良い。粗面化することで、後述する樹脂と無機フィラーとからなる(後述する)伝熱樹脂16との密着性を高められる。なおリードフレーム10や浮島12のフィルム11を貼り付ける面(電子部品の実装面に相当)は、特に粗面化する必要はない。この面を粗面化すると、フィルム11との隙間に(後述する)伝熱樹脂16が回り込んだり、フィルム11表面の接着剤が表面に残る可能性がある。
次に図1(C)に示すように、孔開手段14を用いて、矢印13bに示すようにフィルム11に孔15を形成する。孔15の形成は、リードフレーム10とフィルム11を貼り合わせた後に行うのが望ましい。貼り合わせる前に孔15を形成すると、フィルム11が変形(伸び)しやすくなるため、リードフレーム10とフィルム11の貼り合わせ時に皺や伸びが発生する場合がある。また貼り直ししにくい。なお孔15は、リードフレーム10の上には形成しないことが望ましい。リードフレーム10と重なったフィルム11の上に孔15を形成した場合、孔15が原因となって、フィルム11がリードフレーム10の上で千切れたり、破れたりする可能性があるためである。なお孔15の形成手段としては物理的手段(例えば、金型や針、剣山等を用いる)、光学的手段(例えば、レーザー等を用いる)等を選ぶ(あるいは組み合わせる)ことができる。
図1(D)は、こうしてリードフレーム10から露出したフィルム11に、孔15を複数個、粗密性を設けるように形成した状態を説明する断面図である。このようにリードフレーム10を、フィルム11に貼り付けた状態で加工(あるいは取り扱い)することで、リードフレーム10の変形を防止でき、生産工程を自動化しやすい。また孔15は、粗密性もしくは方向性を有するように形成することが望ましい。図1(D)において、フィルムの上に貼り付けた浮島12の周囲に形成した孔15aは、疎(coarse)に形成している。そしてリードフレーム10とリードフレーム10との隙間に形成した孔15bは密(fine)に形成している。
図2は、リードフレーム10を伝熱樹脂に埋め込みながら、金属板に固定する様子を示す断面図である。図2において、16は伝熱樹脂、17は金属板である。図2(A)において、リードフレーム10や浮島12を固定するフィルム11には、複数個の孔15をそれぞれ粗密性もしくは方向性を設けるように形成している。そしてその下に、伝熱樹脂16や、金属板17をセットする。そして矢印13aに示すように、これらを、加熱・加圧して積層し、一体化する。
図2(B)は、この一体化の途中(あるいはプレス途中)で、リードフレーム10や浮島12と伝熱樹脂16の隙間に残った空気が、フィルム11に形成した孔15a、15bを介して、逃げる様子を示す断面図である。図2(B)において、矢印13bは、リードフレーム10と、フィルム11の隙間に閉じ込められた空気が、孔15a、15bを介して外部に逃げる方向を示す。図2(A)においてフィルム状に加工した伝熱樹脂16と、金属板17と、を順次積層し、加熱・加圧して積層体を形成しているが、伝熱樹脂16の中央部を若干膨らませて(厚くして)おくことで、伝熱樹脂16の流動性を高めることができる。
なお図2において、伝熱樹脂16と、金属板17を予め一体化したものを用いることも可能である。例えば、伝熱樹脂16と、金属板17を予め一体化してなる一体化物を使うことで、積層工程の合理化が可能となる。
図3は、リードフレーム10を、伝熱樹脂16を介して金属板17と一体化させた後の様子を説明する断面図である。図3において、18は突起であり、フィルム11に形成した孔15に伝熱樹脂16の一部が充填されてできたもの(あるいは充填された痕跡)である。図3(A)に示すように、金型(図示していない)を用いて、金属板17とフィルム11を加熱、圧着する時、図3(A)に示すように、積極的に伝熱樹脂16の一部を、フィルム11に形成した孔15に入るようにする。このようにすることで、リードフレーム10とフィルム11の隙間に空気が残らない。その後、伝熱樹脂16を硬化、もしくは半硬化させる。
図3(B)は、フィルム11を剥離した後の様子を示す断面図である。伝熱樹脂16からなる突起18は、フィルム11に形成した粗密性もしくは方向性を設けて形成した孔15a、15bに応じて、リードフレーム10の隙間に露出した伝熱樹脂16の表面に発生している。このように突起18を積極的に発生するようにすることで、空気残りの発生防止効果を確認できる。
更に伝熱樹脂16の表面に積極的に発生させた、突起18の発生状況を解析することで、プレス条件(更には加熱・加圧時の圧力ムラ、温度ムラ、熱伝導性樹脂の流動性のムラ等)の工程確認もできる。このように突起18を形成させることで、現場における製品の品質向上を可能にする。なお突起18は必ずしも凸状である必要はない。孔15が細長い場合、孔15の中で硬化した伝熱樹脂16は、フィルム11と共に除去され、凹状の窪み(あるいは割れ跡)となるためである。
なお、伝熱樹脂16の表面に発生した突起18は、バフ研磨等によって簡単に除去できる。このように表面を研磨することで、リードフレーム10や浮島12の表面の汚れを除去する。そして油汚れ、あるいはフィルム11を接着していた糊残り等を除去した後、後加工(例えば、表面に錫めっき、半田めっきをする。あるいはソルダーレジストを形成する)を行う。また研磨のブラシ等の当たり具合も、前記突起18の削られ方から容易に確認できる。
また後工程で、ソルダーレジスト(図示していない)を形成することで、リードフレーム10や浮島12表面での半田の濡れ広がりを抑えられる。
なお伝熱樹脂16と、リードフレーム10の表面は、更に同一面(望ましくは互いの段差50μm以下、更に望ましくは20μm以下、更には10μm未満)とすることで、ソルダーレジストの形成が容易となる。また伝熱樹脂16とリードフレーム10や浮島12との間の厚み段差が小さい分、ソルダーレジストの厚みバラツキを抑えられ、電子部品の実装性を高められる。なおバフ研磨等の工程で、突起18の痕跡まで完全に無くなるまで除去する必要は無い。
図4は、熱伝導基板の断面斜視図である。図4においてソルダーレジストやその上に半田付けした電子部品等は図示していない。図4において、金属板17の上には、リードフレーム10や浮島12を埋設した伝熱樹脂16を固定している。そしてリードフレーム10や浮島12の隙間に露出した、伝熱樹脂16の表面には、疎な状態の突起18aや、密な状態の突起18bを形成している(あるいはその痕跡を残している)。なお突起18a、18bは突起状であっても良いが、前述したような凹状の窪みであっても良い。また伝熱樹脂16やリードフレーム10の表面を研磨する際、突起18a、18bの痕跡まで完全に除去しなくても良い。ここで突起18a、18bの痕跡とは、例えば図4に示すように、その表面を顕微鏡等で観察した際に観察できるものであり、例えば研磨後に直径0.01〜0.5mm程度の丸い窪み跡(突起18a、18bの周囲が局所的に削られにくいため、丸いリング状に認識されることもある)である。そしてこの突起18a、18bの痕跡を見ることで、研磨のムラの有無やその程度を評価できる。リードフレーム10は金属であり、伝熱樹脂16に比べ、削られにくいため研磨のムラ、あるいは研磨ブラシの当たり方の違いは見分けにくい。一方、伝熱樹脂16は樹脂や無機フィラーを含むため、研磨のムラを見分けやすい。このように突起18を形成し、突起18を工程のモニターとして活用することで、例えばリードフレーム10の表面研磨(表面研磨を行うことで、後工程での半田めっき、スズめっき等の工程を安定化できる)工程の安定化が可能となり、現場における製品の品質向上に役立てられる。このように、突起18a、18bやその痕跡を積極的に活用することで、工程中での品質管理に役立てることができる。なお表面研磨しても、突起18a、18bの跡や痕跡と、フィルム11に形成していた孔15a、15bのピッチが略同一となる。そのため、孔15を形成したフィルム11を用いて、伝熱樹脂16を成型した場合、伝熱樹脂16の表面にその孔15の痕跡が突起18として残る。なおバイト等を用いて、深く削ることで突起18a、18bを除去することも可能であるが、この場合、リードフレーム10も同様に深く削ることになり、リードフレーム10と伝熱樹脂16の界面に微細なクラック(あるいは界面剥離)が発生する可能性がある。また突起18a、18b(あるいはこれらの痕跡)は、ソルダーレジストに対するアンカー効果を有している。
なおフィルム11に孔15を形成していない場合には、加熱・加圧工程で、リードフレーム10の隙間等に残った空気は、外部に逃げられないため、図14(B)に示すようにボイド5として、伝熱樹脂16の内部や表面、あるいは、リードフレーム10との隙間に残りやすい。またフィルム11として、不織布等の通気性のある材料、あるいは特殊な通気性フィルムを用いることも可能であるが、こうした材料は高価であり、製品コストに影響を与える。またこうした通気性部材は、その通気性を制御することが難しい。
市販の通気性フィルムの場合、通気性が固定されるため、製品仕様(リードフレーム10の材質や厚み、金属板17の材質や厚み等)によってはプレス条件側の再調整が必要となることがある。そしてプレス条件(例えば温度や圧力)が複数種類に増加することで、金型等の温度が安定するまでに一定時間(いわゆる待ち時間)が発生し、その生産性に影響を与える。更に通気性フィルムは伸縮性が大きいため、その表面に浮島12を固定した場合、プレス時に浮島12が位置ズレし、隣接するリードフレーム10と接触する可能性がある。
しかし本発明のように通気性の無いフィルム材料を用い、これに孔15を形成する場合、フィルム11に形成する孔15の大きさ、孔15の密度等によって、その通気性を自由にコントロールできる。また浮島12の位置ズレも発生しない。またその通気性を場所によって増減できる。
次に図5から図6を用いて、浮島12の位置ズレ防止効果について説明する。図5から図6において、19は評価結果であり、×は位置ズレしやすい(NG)、○は位置ズレしにくい(Good)ことを示す。図5は、浮島12の周囲に形成する孔15の最適化について説明する上面図および断面図である。図5(A)は、フィルム11上に浮島12を貼り付けた様子を示す上面図である。図5(A)において、フィルム11の上に、浮島12を精度良く位置合わせしてセットする。次に、図5(B)に示すように、フィルム11に孔15を密に形成する。図5(C)は、図5(B)の矢印13aにおける断面に相当する。図5(C)に示すように、フィルム11の上には、浮島12を形成している。そして浮島12を形成していないフィルム11には、孔15を高密度に形成している。図5(B)、(C)において矢印13bは、浮島12を位置ズレさせようとする力(例えば、プレス時の樹脂の流動による力)を示すものであり、評価結果19は×であり、位置ズレしやすいことを示す。このようにフィルム11に多数個の孔15を高密度に形成した場合、フィルム11の強度が低下したり、フィルム11が伸びてしまったりするため、外力に対して変形しやすくなる。
図6は、フィルム11に形成する孔15について、粗密性もしくは方向性を設けて、浮島12の位置ズレ防止を行う様子を説明する上面図である。図6(A)は、孔15に方向性を設けた場合について説明する上面図である。図6(A)に示すように、孔15に方向性を持たせることで、例えば矢印13に対する耐力(あるいは変形しにくさ)を高められる。その結果、図6(A)に示すような孔15の形状(横方向に孔15を高密度に並べ、縦方向には孔15を疎に並べる)では、矢印13(あるいは左右方向)に対して浮島12の変形を防止できる。その結果、図6(A)に示す方向について、評価結果19は○(Good、位置ズレしにくい)になる。
図6(B)は、孔15を疎に形成した場合について説明する上面図である。図6(B)に示すように、孔15の密度を疎にすることで、矢印13以外の方向に対しても耐力(あるいは変形しにくさ)を高められる。その結果、図6(B)に示すように、評価結果19は○(Good、位置ズレしにくい)になる。
なお、孔15の密度を疎にすることで、フィルム11の強度アップは可能となるが、その分、ボイド5が発生する可能性が増加する。そのため、孔15は全面を疎にするのではなくて、大部分を密としフィルム11の強度が必要な部分(特に、浮島12のようにフィルム11の上に固定されている部分)を疎にすることで、ボイド5の発生防止と、浮島12の位置ズレ防止を両立できる。
図7は、実施の形態における熱伝導基板の斜視図と、任意の部分の断面図である。図7(A)において、リードフレーム10は、その一部が外周部(図7では、リードフレーム10の外周部は、額縁状に繋がり一体化している)で一体化している。なおその中央部は、「パターン省略」として図示していない。そして図7(B)の断面図に示すように、リードフレーム10は、伝熱樹脂16に埋め込まれた状態で、金属板17に固定している。図7(B)における浮島12は、他のリードフレーム10から浮いた状態(独立した状態)となっている。
次に図8〜図10を用いて、浮島12を形成する様子を説明する。図8は、フィルム11を用いて浮島12の位置合わせをする様子を説明する上面図及び断面図である。図8(A)はリードフレーム10の上面図であり、リードフレーム10は、点線12で示す部分を介して一体化している。このようにリードフレーム10を、外周部(リードフレーム10の外周部であり額縁部分とも呼ばれる、点線12で示した部分)を介して一体化することで、リードフレーム10は互いに位置ズレしにくい。また矢印13における断面図が、図8(B)に相当する。
図9(A)は、フィルム11とリードフレーム10とを貼り合わせた様子を示す上面図である。図9(B)は、リードフレーム10に貼り付けたフィルム11の上に、浮島12を固定する様子を示す断面図である。図9(B)に示すようにして、フィルム11の上に、浮島12を位置合わせして、矢印13bに示すように貼り付ける。こうすることで浮島12が隣接するリードフレーム10とショートしない。
図10(A)、(B)は、浮島12をリードフレーム10の間にセットした様子を示す上面図と断面図である。
なお図9や図10に示すように、フィルム11は、リードフレーム10より大きく(少なくとも一辺、もしくは一部分で1mm以上、望ましくは2mm以上、更に望ましくは5mm以上はみ出すように)することが望ましい。フィルム11のリードフレーム10からのはみ出し長さが1mm未満の場合、後で引き剥がしにくくなる場合がある。
図9や図10に示すようにフィルム11や浮島12をリードフレーム10に固定した後、孔15を形成することで、フィルム11の強度の低下防止が可能となる。その結果、プレス工程の後でフィルム11を引き剥がす際、フィルム11の一部が引きちぎられてリードフレーム10や浮島12の表面に残ることがない。発明者らの実験によると、リードフレーム10や浮島12に、重なる部分のフィルム11全面に孔15を形成した場合、プレス後でフィルム11を機械で自動的に引き剥がした場合、フィルム11の一部が、リードフレーム10や浮島12の上で引きちぎられ、残ってしまう場合が観察された。
次に図11から図13を用いて、フィルム11に孔15を形成し、積層一体化する様子を示す。図11(A)、(B)は、リードフレーム10の無い部分に複数個の孔15を、粗密性もしくは方向性を設け形成した様子を示す上面図及び断面図である。
図11(A)において、フィルム11の、リードフレーム10を形成していない部分には孔15aを高密度に、浮島12の周囲は孔15bを疎な状態で形成している。このように、孔15a、15bに粗密性を設けることで、フィルム11の強度を保ちながら、空気の抜け性を調整できる。なお、フィルム11に形成する孔15a、15bは粗密性以外に、図5〜図6で説明した方向性を設けても良い。
図12(A)、(B)は、リードフレーム10や浮島12を、伝熱樹脂16に埋め込んだ状態で、金属板17に固定した後の様子を示す上面図及び断面図である。図12に示すように、リードフレーム10を、伝熱樹脂16を用いて金属板17に固定する。この時リードフレーム10と、伝熱樹脂16の間に残った空気は、フィルム11に形成した孔15a、15bを介して外部に逃げるため、ボイド5が発生しない。
図13(A)、(B)は、フィルム11を剥離した後の上面図及び断面図を示す。図13(A)、(B)に示すように、伝熱樹脂16が、半硬化状態または完全硬化状態とした後、フィルム11を剥離することで、積層体とする。その後、図3(B)、(C)等で説明したようにして、熱伝導基板を作製する。図13(A)、(B)において、フィルム11に形成した孔15に起因する突起18やその痕跡を、伝熱樹脂16の表面に残しても良い。なお図13(A)に示すように、リードフレーム10の中央部(電子部品を実装する部分)よりも、伝熱樹脂16や金属板17を、少しはみ出すような設計(図13では、矢印13bで示している)とすることができる。図13(A)、(B)の矢印13bが示すように、余分にはみ出させることで、例えばリードフレーム10の外周部(矢印13bで示した部分であり、この部分のリードフレーム10は部品実装部に切断除去することで、外部に接続するための外部接続端子となる)を保護する。
また伝熱樹脂16をプレスする場合、伝熱樹脂16の外周部(図13で矢印13bで示した部分等)は、圧力や温度が変化しやすい。ここに不織布等の通気性を有する通気性部材をフィルム11として用いた場合、通気性部材の有するクッション性(あるいは圧縮性)によって、伝熱樹脂16の外周部において、圧力不足しやすく、成形性に影響を与える場合がある。またまたプレス終了後に、前記通気性部材を引き剥がす際に、通気性部材は破れやすく、その一部がリードフレーム10の表面に残り、作業性に影響を与えることがある。一方、本発明で用いるフィルム11は通気性が無い(つまりクッション性に乏しい、あるいは非圧縮性)ため、圧力が伝熱樹脂16の外周部においても逃げない(しっかり圧力をかけられるため、ボイド5も減らせる)。そのためフィルム11を用いることで、伝熱樹脂16の外周部(図13で矢印13bで示した部分)の成形精度が影響を受けにくい。
なお孔15の大きさは、10μm以上500μm以下(望ましくは20μm以上、300μm以下、更には200μm以下、更に望ましくは50μm以下)が望ましい。孔15の大きさ(直径)が、10μm未満の場合、伝熱樹脂16に充填された無機フィラーによって、詰まってしまい、プレス時の空気抜きの効果が得られにくい場合がある。また孔15の大きさが500μmを超える場合、孔15を介して伝熱樹脂16が外部に流れ出しやすくなり、金型の表面に付着し、汚す場合がある。またリードフレーム10の隙間を狭くすることが難しくなる。なお、孔15のピッチはランダムでも、規則的なものであっても良い。孔15の粗密性は、0.1個/平方mm以上、1000個/平方mm以下(望ましくは1個/平方mm以上、100個/平方mm以下)の範囲内で行うことが望ましい。0.1個/平方mm未満の場合、空気が抜けにくく、プレス速度(特にプレスで荷重をかける際の速度)に影響を与える場合がある。また孔15の密度が1000個/平方mmより多い場合、フィルム11の強度が低下する場合があり、プレス後にフィルム11を引き剥がす際に、フィルム11が不規則に伸び、破れやすくなる。なお、孔15の大きさは略同一が望ましい。孔15の大きさを変化させた場合、工数が増えたり、コストアップしたりする可能性がある。
なおフィルム11は、樹脂フィルムが望ましい。樹脂フィルムは安価で、リサイクル性に優れており、孔15も形成しやすい。フィルム11の厚みは10μm以上500μm以下(更には30μm以上、300μm以下)が望ましい。フィルム11の厚みが10μm未満の場合、孔15を形成する際(更にはプレス後に引き剥がす際にも)破れやすくなる。またフィルム11の厚みが500μmを超えると、孔15の加工性に影響を与える場合があり、フィルム11の材料費に影響を与える。なおフィルム11にはある程度の伸縮性や、耐熱性(Tgが100℃以上、望ましくは110℃以上)があるものを用いることが望ましい。
リードフレーム10の厚みは0.10以上2.00mm以下(望ましくは1.00mm以下)程度が望ましい。リードフレーム10の厚みが0.10mm未満の場合、フニャフニャしたり、折曲がったりしやすく、その取り扱いが難しい。リードフレーム10の厚みが2.00mmを超えると、プレスによる打ち抜きが難しくなり、リードフレーム10自体のパターン精度が低下する。そのため加工精度の面から、リードフレーム10としては0.2〜1.00mm(更に望ましくは0.30〜0.50mm)が望ましい。
また伝熱樹脂16としては、無機フィラー70重量%以上95重量%以下と、熱硬化性樹脂5重量%以上30重量%以下からなることが望ましい。ここで無機フィラーは略球形状で、その直径は0.1μm以上100μm以下が適当である(0.1μm未満の場合、樹脂への分散が難しくなる場合、また100μmを超えると伝熱樹脂16の厚みが厚くなり熱拡散性に影響を与える)。そのため伝熱樹脂16における無機フィラーの充填量は、熱伝導率を上げるために70重量%から95重量%と高濃度に充填している。特に、本実施の形態では、無機フィラーは、平均粒径3μmと平均粒径12μmの2種類のアルミナを混合したものを用いている。この大小2種類の粒径のアルミナを用いることによって、大きな粒径のアルミナの隙間に小さな粒径のアルミナを充填できるので、アルミナを90重量%近くまで高濃度に充填できるものである。この結果、伝熱樹脂16の熱伝導率は5W/(m・K)程度となる。なお無機フィラーとしてはアルミナの代わりに、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種以上を含んでもよい。
なお無機フィラーを用いると、放熱性を高められるが、特に酸化マグネシウムを用いると線熱膨張係数を大きくできる。また酸化ケイ素を用いると誘電率を小さくでき、窒化ホウ素を用いると線熱膨張係数を小さくできる。こうして伝熱樹脂16としての熱伝導率が1W/(m・K)以上20W/(m・K)以下のものを形成することができる。なお熱伝導率が1W/(m・K)未満の場合、熱伝導基板の放熱性に影響を与える。また熱伝導率を20W/(m・K)より高くしようとした場合、フィラー量を増やす必要があり、プレス時の加工性に影響を与える場合がある。
なお熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂の内、少なくとも1種類の樹脂を含んでいる。これらの樹脂は耐熱性や電気絶縁性に優れている。伝熱樹脂16の厚みは、薄くすれば、リードフレーム10に装着した電子部品に生じた熱を金属板17に伝えやすいが、逆に絶縁耐圧が問題となり、厚すぎると、熱抵抗が大きくなるので、絶縁耐圧と熱抵抗を考慮して最適な厚さである50μm以上1000μm以下に設定すれば良い。
次にリードフレーム10の材質について説明する。リードフレーム10の材質としては、銅を主体とするものが望ましい。これは銅が熱伝導性と導電率が共に優れているためである。またリードフレーム10としての加工性や、熱伝導性を高めるためには、リードフレーム10となる銅素材に銅以外の少なくともSn、Zr、Ni、Si、Zn、P、Fe等の群から選択される少なくとも1種類以上の材料とからなる合金を使うことが望ましい。例えばCuを主体として、ここにSnを加えた、銅材料(以下、Cu+Snとする)を用いることができる。Cu+Sn銅材料(あるいは銅合金)の場合、例えばSnを0.1重量%以上0.15重量%未満添加することで、その軟化温度を400℃まで高められる。比較のためSn無しの銅(Cu>99.96重量%)を用いて、リードフレーム10を作製したところ、導電率は低いが、出来上がった熱伝導基板において特に形成部等に歪が発生する場合があった。そこで詳細に調べたところ、その材料の軟化点が200℃程度と低いため、後の部品実装時(半田付け時)に変形する可能性があることが予想された。一方、Cu+Sn>99.96重量%の銅系の材料を用いた場合、実装された各種部品の発熱の影響は特に受けなかった。また半田付け性やダイボンド性にも影響が無かった。そこでこの材料の軟化点を測定したところ、400℃であることが判った。このように、銅を主体として、いくつかの元素を添加することが望ましい。銅に添加する元素として、Zrの場合、0.015重量%以上0.15重量%の範囲が望ましい。添加量が0.015重量%未満の場合、軟化温度の上昇効果が少ない場合がある。また添加量が0.15重量%より多いと電気特性に影響を与える場合がある。また、Ni、Si、Zn、P等を添加することでも軟化温度を高くできる。この場合、Niは0.1重量%以上5重量%未満、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1t%以上5重量%未満、Pは0.005重量%以上0.1重量%未満が望ましい。そしてこれらの元素は、この範囲で単独、もしくは複数を添加することで、銅素材の軟化点を高くできる。なお添加量がここで記載した割合より少ない場合、軟化点上昇効果が低い場合がある。またここで記載した割合より多い場合、導電率への影響の可能性がある。同様に、Feの場合0.1重量%以上5重量%以下、Crの場合0.05重量%以上1重量%以下が望ましい。これらの元素の場合も前述の元素と同様である。
なおリードフレーム10に使う銅材料の引張り強度は、600N/平方mm以下が望ましい。引張り強度が600N/平方mmを超える材料の場合、リードフレーム10の加工性に影響を与える場合がある。一方、引張り強度が600N/平方mm以下(更にリードフレーム10に微細で複雑な加工が必要な場合、望ましくは400N/平方mm以下)とすることでスプリングバック(必要な角度まで曲げても圧力を除くと反力によってはねかえってしまうこと)の発生を抑えられ、形成精度を高められる。このようにリードフレーム材料としては、Cuを主体とすることで導電率を下げられ、更に柔らかくすることで加工性を高められ、更にリードフレーム10による放熱効果も高められる。なおリードフレーム10に使う銅合金の引張り強度は、10N/平方mm以上が望ましい。これは一般的な鉛フリー半田の引張り強度(30〜70N/平方mm程度)に対して、リードフレーム10に用いる銅合金はそれ以上の強度が必要なためである。リードフレーム10に用いる銅合金の引張り強度が、10N/平方mm未満の場合、リードフレーム10上に電子部品等を半田付け実装する場合、半田部分ではなくてリードフレーム10部分で凝集破壊する可能性がある。
なおリードフレーム10の、伝熱樹脂16から露出している面(電子部品等の実装面)に、予め半田付け性を改善するように半田層や錫層を形成しておくことも有用である。なおリードフレーム10の伝熱樹脂16に接する面(もしくは埋め込まれた面)には、半田層は形成しないことが望ましい。このように伝熱樹脂16と接する面に半田層や錫層を形成すると、半田付け時にこの層が柔らかくなり、リードフレーム10と伝熱樹脂16の接着性(もしくは結合強度)に影響を与える場合がある。金属板17としては、熱伝導の良いアルミニウム、銅またはそれらを主成分とする合金からできている。特に、本実施の形態では、金属板17の厚みを1mmとしているが、その厚みは製品仕様に応じて設計できる(なお金属板17の厚みが0.1mm以下の場合、放熱性や強度的に不足する可能性がある。また金属板17の厚みが50mmを超えると、重量面で不利になる)。金属板17としては、単なる板状のものだけでなく、より放熱性を高めるため、伝熱樹脂16を積層した面とは反対側の面に、表面積を広げるためにフィン部(あるいは凹凸部)を形成しても良い。全膨張係数は8〜20ppm/℃としており、本発明の熱伝導基板や、これを用いた電源ユニット全体の反りや歪みを小さくできる。またこれらの部品を表面実装する際、互いに熱膨張係数をマッチングさせることは信頼性的にも重要となる。また金属板17を他の放熱板(図示していない)にネジ止めできる。
以上のようにして、配線パターン状にリードフレーム10を加工する工程と、フィルム11と前記リードフレーム10とを貼り付ける工程と、前記リードフレーム10の隙間に露出した前記フィルム11の露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔15を複数個、粗密性もしくは方向性を設けるように形成する工程と、前記フィルム11の前記リードフレーム10を貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂16と、金属板17と、を順にセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、前記積層体中の前記伝熱樹脂16を硬化させる工程と、前記伝熱樹脂16が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルム11を前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法を提供することで、ボイド5の発生しにくく、浮島12が隣接するリードフレーム10と接触しない熱伝導性基板を提供する。
配線パターン状にリードフレーム10を加工する工程と、フィルム11と前記リードフレーム10とを貼り付ける工程と、前記リードフレーム10の隙間に露出した前記フィルム11の露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔15を複数個、粗密性もしくは方向性を設けて形成する工程と、前記リードフレーム10の前記フィルム11の貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂16を予め金属板17上に形成してなる一体化物をセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、前記積層体中の前記伝熱樹脂16を硬化させる工程と、前記伝熱樹脂16が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルム11を前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法を提供することで、ボイド5の発生しにくく、浮島12が隣接するリードフレーム10と接触しない熱伝導性基板を提供する。
また配線パターン状にリードフレーム10を加工する工程と、フィルム11と前記リードフレーム10とを貼り付ける工程と、前記リードフレーム10の隙間に露出した前記フィルム11の露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔15を複数個、粗密性もしくは方向性を設けるように形成する工程と、前記フィルム11の前記リードフレーム10を貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂16と、金属板17と、を順にセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、前記積層体中の前記伝熱樹脂16を硬化させる工程と、前記伝熱樹脂16が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルム11を前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法によって製造した熱伝導基板であって、前記伝熱樹脂16の表面には、粗密性もしくは方向性を有する直径0.01mm以上0.50mm以下の孔15もしくは孔15の痕跡を複数個形成することで、その上に形成したソルダーレジストに対するアンカー効果を高めた熱伝導基板を提供する。
配線パターン状にリードフレーム10を加工する工程と、フィルム11と前記リードフレーム10とを貼り付ける工程と、前記リードフレーム10の隙間に露出した前記フィルム11の露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔15を複数個、粗密性もしくは方向性を設けるように形成する工程と、前記フィルム11の前記リードフレーム10を貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂16を予め金属板17上に形成してなる一体化物をセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、前記積層体中の前記伝熱樹脂16を硬化させる工程と、前記伝熱樹脂16が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルム11を前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法であって、前記伝熱樹脂16の表面には、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔15もしくは孔15の痕跡を複数個有している熱伝導基板であって、前記伝熱樹脂16面には、粗密性もしくは方向性を有する直径0.01mm以上0.50mm以下の孔15もしくは孔15の痕跡を複数個形成することで、その上に形成したソルダーレジストに対するアンカー効果を高めた熱伝導基板を提供する。
以上のように、本発明にかかる熱伝導基板とその製造方法を、各種PDP(プラズマディスプレイパネル)や電装用の大電力回路等に適用することによって、機器の小型化、高性能化が可能となる。
10 リードフレーム
11 フィルム
12 浮島
13 矢印
14 孔開手段
15 孔
16 伝熱樹脂
17 金属板
18 突起
19 評価結果
11 フィルム
12 浮島
13 矢印
14 孔開手段
15 孔
16 伝熱樹脂
17 金属板
18 突起
19 評価結果
Claims (8)
- 配線パターン状にリードフレームを加工する工程と、
フィルムと前記リードフレームとを貼り付ける工程と、
前記リードフレームの隙間に露出した前記フィルムの露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔を複数個、粗密性もしくは方向性を設けるように形成する工程と、
前記フィルムの前記リードフレームを貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂と、金属板と、を順にセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、
前記積層体中の前記伝熱樹脂を硬化させる工程と、
前記伝熱樹脂が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルムを前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法。 - 配線パターン状にリードフレームを加工する工程と、
フィルムと前記リードフレームとを貼り付ける工程と、
前記リードフレームの隙間に露出した前記フィルムの露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔を複数個、粗密性もしくは方向性を設けて形成する工程と、
前記リードフレームの前記フィルムの貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂を予め金属板上に形成してなる一体化物をセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、
前記積層体中の前記伝熱樹脂を硬化させる工程と、
前記伝熱樹脂が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルムを前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法。 - 前記フィルムは、厚み10μm以上500μm以下の通気性を有さない樹脂性フィルムである請求項1もしくは2記載の熱伝導基板の製造方法。
- 伝熱樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1もしくは2記載の熱伝導基板の製造方法。
- 無機フィラーは、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化珪素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1もしくは2記載の熱伝導基板の製造方法。
- 金属板は、Snは0.1重量%以上0.15重量%以下、Zrは0.015重量%以上0.15重量%以下、Niは0.1重量%以上5重量%以下、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%以下、Pは0.005重量%以上0.1重量%以下、Feは0.1重量%以上5重量%以下である群から選択される少なくとも一種以上を含む、銅を主体とする金属材料である請求項1もしくは2記載の熱伝導基板の製造方法。
- 配線パターン状にリードフレームを加工する工程と、
フィルムと前記リードフレームとを貼り付ける工程と、
前記リードフレームの隙間に露出した前記フィルムの露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔を複数個、粗密性もしくは方向性を設けるように形成する工程と、
前記フィルムの前記リードフレームを貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂と、金属板と、を順にセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、
前記積層体中の前記伝熱樹脂を硬化させる工程と、
前記伝熱樹脂が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルムを前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法によって製造した熱伝導基板であって、
前記伝熱樹脂の表面には、粗密性もしくは方向性を有する直径0.01mm以上0.50mm以下の突起もしくは突起の痕跡を複数個有している熱伝導基板。 - 配線パターン状にリードフレームを加工する工程と、
フィルムと前記リードフレームとを貼り付ける工程と、
前記リードフレームの隙間に露出した前記フィルムの露出部に、直径0.01mm以上0.50mm以下の孔を複数個、粗密性もしくは方向性を設けるように形成する工程と、
前記フィルムの前記リードフレームを貼り付けた面側に、樹脂と無機フィラーとからなる伝熱樹脂を予め金属板上に形成してなる一体化物をセットし、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、
前記積層体中の前記伝熱樹脂を硬化させる工程と、
前記伝熱樹脂が半硬化状態または完全硬化状態で、前記フィルムを前記積層体から剥離する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法であって、前記伝熱樹脂の表面には、粗密性もしくは方向性を有する直径0.01mm以上0.50mm以下の突起もしくは突起の痕跡を複数個有している熱伝導基板。
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JP2006173329A JP2008004786A (ja) | 2006-06-23 | 2006-06-23 | 熱伝導基板の製造方法及びこれによって製造した熱伝導基板 |
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JP (1) | JP2008004786A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112969813A (zh) * | 2018-11-08 | 2021-06-15 | 恩特格里斯公司 | 使用钌前体和还原气体的化学气相沉积方法 |
-
2006
- 2006-06-23 JP JP2006173329A patent/JP2008004786A/ja active Pending
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